(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
≪概要≫
以下、本実施形態の画像形成装置10(
図1及び
図2参照)の全体構成及び画像形成装置10による画像形成動作、本実施形態の要部である定着装置60(
図4A参照)の構成及び定着動作並びに効果について、これらの記載順で説明する。
【0013】
本明細書では、図中における矢印Fr及び矢印Rrで示す方向をそれぞれ装置奥行き方向手前側及び奥側、矢印R及び矢印Lで示す方向をそれぞれ装置幅方向右側及び左側、矢印U及び矢印Loで示す方向をそれぞれ装置高さ方向上側及び下側とする。また、本明細書では、画像形成装置10を装置奥行き方向手前側から見た側を画像形成装置10の正面側として説明する。
【0014】
≪画像形成装置の全体構成≫
画像形成装置10の全体構成については、
図1及び
図2を参照しつつ説明する。画像形成装置10は、本体20と、給紙カセット30と、搬送装置40と、トナー像形成部50と、定着装置60と、制御部CUとを含んで構成される電子写真方式の装置とされている。
【0015】
本体20は、その内部に、給紙カセット30と、搬送装置40と、トナー像形成部50と、定着装置60と、制御部CUとを収容する機能を有する。本体20は、箱状の外装とされている。本体20の上面の一部は、トナー像が定着された(画像が形成された)媒体Sが排出される排出トレイ22とされている。なお、正面側から見た本体20の左端面には蓋24が設けられている。そして、本体20には、蓋24が倒れた状態で(
図1参照)、後述する定着装置60が着脱可能とされている。
【0016】
給紙カセット30は、本体20の下側に配置され、画像が形成される媒体Sを重ねて収容するようになっている。搬送装置40は、給紙カセット30に収容されていた媒体Sを、給紙カセット30から排出トレイ22まで搬送経路Pに沿って搬送する機能を有する。ここで、図中の矢印Yの指す方向は、媒体Sの搬送方向とされている。
【0017】
トナー像形成部50は、搬送装置40により搬送される媒体Sにトナー像を形成する機能を有する。トナー像形成部50は、正面側から見て本体20内の中央に配置されている。トナー像形成部50は、感光体51と、帯電装置52と、露光装置53と、現像装置54と、転写ローラー55とを含んで構成されている。
【0018】
トナー像形成部50は、帯電装置52により軸周りに回転する感光体51を帯電し、露光装置53により感光体51を露光して潜像を形成し、現像装置54により潜像をトナー像として現像し、転写ローラー55により媒体Sにトナー像を転写するようになっている。以上のようにして、トナー像形成部50は、媒体Sにトナー像を形成するようになっている。なお、本実施形態では、トナー像を構成するトナー(図示省略)の平均帯電量は、正極性とされている。また、トナーは、その主成分とされるバインダー、当該バインダーに含まれるワックス、外添剤等を含んで構成されている。
【0019】
定着装置60は、トナー像形成部50によりトナー像が転写された媒体S(トナー像が形成された媒体)にトナー像を定着する機能を有する。定着装置60は、正面側から見て本体20内の左側に配置されている。定着装置60は本実施形態の要部であることから、定着装置60の具体的な構成については後述する。
【0020】
制御部CUは、外部装置(図示省略)から画像データを受け取り、当該画像データに基づいて画像形成装置10を構成する各構成要素を制御する機能を有する。制御部CUの具体的な機能については、後述する画像形成動作及び定着動作の説明の中で説明する。
【0021】
≪画像形成動作≫
次に、本実施形態の画像形成装置10による画像形成動作について
図2及び
図3を参照しながら説明する。
【0022】
まず、外部装置(図示省略)から画像データを受け取った制御部CUは、トナー像形成部50を作動させる。そして、帯電装置52が感光体51を帯電し、露光装置53が感光体51を露光して潜像を形成し、現像装置54が潜像をトナー像として現像することで、感光体51にトナー像が形成される。
【0023】
また、制御部CUは、搬送装置40を作動させて、感光体51に形成されたトナー像が感光体51の軸周りの回転により転写位置(感光体51と転写ローラー55とが接触する部分)に到達するタイミングに合わせて、媒体Sを転写位置に送り込む。そして、転写ローラー55が感光体51に形成されたトナー像を媒体Sに転写させて、媒体Sにトナー像が形成される。
【0024】
次いで、制御部CUは、定着装置60を作動させて、転写ローラー55により媒体Sに転写されたトナー像を媒体Sに定着させる。そして、トナー像が定着された媒体S、すなわち、画像が形成された媒体Sは、搬送装置40により更に搬送方向の下流側に搬送され、本体20の排出トレイ22に排出されて、画像形成動作が終了する。
【0025】
≪要部(定着装置)の構成≫
次に、本実施形態の要部である定着装置60の構成について
図4A〜
図4C(主に
図4A)を参照しながら詳しく説明する。
【0026】
本実施形態の定着装置60は、加熱ローラー61(加熱体の一例)と、加圧ローラー62(加圧体の一例)と、熱源63と、温度センサー(図示省略)と、第1コロナ帯電装置70(帯電部の一例)と、第2コロナ帯電装置80(捕集部の一例)と、電源PSと、電流計90(検知部の一例)と、ハウジングHGと、一対の側板(図示省略)とを含んで構成されている。
【0027】
加熱ローラー61、加圧ローラー62、熱源63、第1コロナ帯電装置70及び第2コロナ帯電装置80は、それぞれ長尺とされており、互いにそれらの長手方向を(装置奥行き方向に)沿わせた状態で、一対の側板に位置決めされている。そして、定着装置60は、長尺とされており、その長手方向を装置奥行き方向に沿わせた状態で、画像形成装置10の本体20に取り付けられている(
図1参照)。なお、ハウジングHGは、定着装置60を構成する構成要素の一部(例えば、加熱ローラー61、加圧ローラー62等)を、その内部に収容している。
【0028】
<加熱ローラー>
加熱ローラー61は、周回しながらトナー像形成部50により媒体Sに接触し、当該媒体Sに形成されたトナー像(を構成するトナー)及び媒体Sを加熱する機能を有する。加熱ローラー61は、一例として、筒状のアルミ素管61Aと、表層61Bと、プライマー層61Cとで構成される多層構造のローラーとされている。表層61Bは、アルミ素管61Aの外周を覆っている。プライマー層61Cは、アルミ素管61Aと表層61Bとに挟まれ、アルミ素管61Aと表層61Bとを接着している。アルミ素管61Aは、装置本体の筐体(図示省略)に接地されている。本実施形態では、表層61Bは、一例として、PFAチューブとされている。なお、PFAチューブは、媒体Sとの接触により負極性に帯電され易い性質を有する。そのため、本実施形態のトナー(平均帯電量が正極性とされるトナー)を用いた場合、加熱ローラー61には、媒体Sに形成されたトナーが付着してオフセットを発生し得る傾向にあるといえる。
【0029】
加熱ローラー61は、後述する熱源63により熱を付与されつつ、後述する加圧ローラー62に従動して軸周りに回転するようになっている。ここで、
図4Aにおける符号Oは加熱ローラー61の回転中心を示しており、矢印Aは加熱ローラー61の回転方向(周回方向)を示している。そして、加熱ローラー61は、搬送装置40により搬送されるトナー像が形成された媒体Sを、後述するニップNにおいて加圧ローラー62とで加圧するようになっている。その結果、加熱ローラー61は、軸周りに回転しながらトナー像が形成された媒体Sに接触して、媒体Sを加熱し、加圧ローラー62とでニップNを通過する媒体Sを加圧して、媒体Sにトナー像を定着させるようになっている。
【0030】
加熱ローラー61の両端の部分にはフランジ(図示省略)が嵌め込まれており、加熱ローラー61は各フランジに接着されて固定されている。そして、各フランジは、それぞれに嵌め込まれたシャフト(図示省略)を介して一対の側板に回転可能に支持されている。
【0031】
<加圧ローラー>
加圧ローラー62は、トナー像形成部50により媒体Sに形成されたトナー像(を構成するトナー)及び媒体Sを、加熱ローラー61とともに加圧する機能を有する。加圧ローラー62は、長尺のシャフトと、当該シャフトの外周を覆う被覆層とを含んで構成されたローラーとされている。加圧ローラー62は、装置奥行き方向から見て、加熱ローラー61の下側に配置されている。また、加圧ローラー62の上側の部分には、加熱ローラー61の下側の部分が接触している。そして、前述のニップNとは、加圧ローラー62と加熱ローラー61とにより形成される、加圧ローラー62と加熱ローラー61との接触部分を意味する。
【0032】
加圧ローラー62のシャフトの一端には、駆動源(図示省略)が連結されている。そして、加圧ローラー62は、駆動源により駆動され、軸周りに回転して(周回して)、加熱ローラー61を周回させるようになっている。ここで、
図4Aにおける矢印Bは、加圧ローラー62の回転方向(周回方向)を示している。
【0033】
<熱源>
熱源63は、加熱ローラー61が媒体Sを加熱するための熱を、加熱ローラー61に付与する機能を有する。熱源63は、一例として、誘導コイル63Aと、交流電源63Bとを含んで構成されている。誘導コイル63Aは、加熱ローラー61の上側から加熱ローラー61の上側半分に相当する外周に対向して配置されている。すなわち、誘導コイル63Aは、正面側から見て、円弧状とされている。そして、誘導コイル63Aは、交流電源63Bから交流電圧が印加されると、加熱ローラー61を電磁誘導により加熱するようになっている。
【0034】
<温度センサー>
温度センサー(図示省略)は、加熱ローラー61の温度を検知する機能を有する。温度センサー66は、一例として、加熱ローラー61の外周に対向して配置されている。なお、温度センサー66に検知された温度(温度に関するデータ)は、定められた周期で制御部CUに送信されるようになっている。
【0035】
<第1コロナ帯電装置>
第1コロナ帯電装置70は、
図4Aに示されるように、加熱ローラー61における誘導コイル63Aが対向する位置よりも加熱ローラー61の周回方向の下流側かつニップNよりも上流側の部分に対向して配置されている。そして、第1コロナ帯電装置70は、放電して加熱ローラー61(の表層61B)をトナー(の平均帯電量)と同極性、すなわち、正極性に帯電させる機能を有する。
【0036】
第1コロナ帯電装置70は、
図4Aに示されるように、放電電極72と、押さえ部材74と、シールド76と、を含んで構成されている。放電電極72は、
図4Bに示されるように、一例として、長尺状の金属板とされ、その短手方向の一端側が鋸歯形状の部材とされている。押さえ部材74は、長尺状の絶縁部材とされ、その短手方向の一端側で放電電極72における鋸歯形状側と反対側の部分を挟んで放電電極72を支持している。シールド76は、長尺状の金属製のケースとされ、その短手方向の一端側が開口している。シールド76は、放電電極72とで電界を形成するようになっている。また、シールド76内には、押さえ部材74が固定されている。そして、第1コロナ帯電装置70は、電源(図示省略)の出力端子に放電電極72が接続され、接地端子にシールド76が接続された状態で、当該出力端子に正極性の直流電圧が印加されることで、正極性のイオンを放電するように構成されている。その結果、第1コロナ帯電装置70は、加熱ローラー61を正極性に帯電させるようになっている。
【0037】
<第2コロナ帯電装置及び電源>
第2コロナ帯電装置80は、
図4A及び
図4Cに示されるように、第2コロナ帯電装置80は、加熱ローラー61における第1コロナ帯電装置70の対向位置よりも加熱ローラー61の周回方向の上流側かつニップNの位置(形成位置)よりも下流側の位置に対向して配置されている。そして、第2コロナ帯電装置80は、トナー像が形成された媒体SがニップNを通過する際に当該媒体Sから生じる不純物を吸着させて捕集する機能を有する。また、第2コロナ帯電装置80は、ニップNを通過した媒体Sを加熱ローラー61から剥離、すなわち分離する機能を有する。ここで、「媒体Sから生じる不純物」とは、トナー、トナーを構成する材料(例えばワックス)、これらから生じるガスその他の媒体SがニップNを通過しなければ生じることがない不純物を意味する。
【0038】
第2コロナ帯電装置80は、
図4A及び
図4Cに示されるように、放電電極82と、押さえ部材84と、シールド86(補助電極の一例)と、を含んで構成されている。本実施形態の第2コロナ帯電装置80は、第1コロナ帯電装置70との関係において、第1コロナ帯電装置70のシールド76の形状に対しシールド86の形状が異なる点以外、同じ構成とされている。すなわち、
図4Aに示されるように、第1コロナ帯電装置70のシールド76では縦断面がU字状でその対向壁が放電電極72を挟んで対象とされているのに対し、第2コロナ帯電装置80のシールド86では縦断面がJ字状でその対向壁が放電電極82を挟んで非対称とされている。より具体的には、シールド86は、上側(誘導コイル63A側)の対向壁86Bと、下側の対向壁86Cと、対向壁86Bと対向壁86Cとを連結する連結壁86Aとで構成されており、対向壁86Bの縦断面の長さは、対向壁86Cの縦断面の長さよりも短く設定されている。そして、本実施形態では、第2コロナ帯電装置80の構成要素のうち対向壁86CがニップNを通過した媒体Sを加熱ローラー61から分離する機能を有する。
【0039】
第2コロナ帯電装置80は、電源PS(
図4C参照)の出力端子に放電電極82が接続され、接地端子にシールド86が接続された状態で、当該出力端子に正極性の直流電圧(
図4C中のVdc)が印加されることで(電源PSが放電電極82とシールド86との間に電圧を印加することで)、正極性のイオンを放電するように構成されている。その結果、第2コロナ帯電装置80は、媒体Sから生じる不純物に正極性のコロナイオンを付着させて、コロナイオンが付着された不純物を放電電極82で捕集するようになっている(と推測されている)。また、正極性に印加された放電電極82は、媒体Sから生じる不純物が浮遊後に付着することで捕集するようになっている(と推測されている)。何れのメカニズムの場合であっても、本実施形態の第2コロナ帯電装置80は、電源PSによりシールド86に対して放電電極82にトナー(の平均帯電量)と同極性の電圧を印加することで放電電極82を放電させて放電電極82に不純物を静電吸着させるようになっている。
【0040】
<電流計>
電流計90は、第2コロナ帯電装置80による放電の際に流れる電流、すなわち、放電電極82と、シールド86との間に流れる電流を検知する機能を有する。電流計90は、
図4Cに示されるように、電源PSと、制御部CUとに接続されている。そして、電流計90は、定着動作の際に、放電電極82と、シールド86との間に流れる電流を、定められた周期で検知しながら、その都度検知した電流(電流に関するデータ)を制御部CUに送信するようになっている。なお、検知した電流に基く処理については、定着装置60の定着動作の説明の中で説明する。
【0041】
≪定着動作≫
次に、本実施形態の定着装置60の定着動作について、
図3、
図4A、
図4C及び
図5を参照しつつ説明する。
【0042】
まず、外部装置(図示省略)から画像データを受け取った制御部CUは、定着装置60に定着動作を行うためのリモート信号を送信する(
図3参照)。そして、制御部CUは、加圧ローラー62の駆動源(図示省略)を駆動させることにより加圧ローラー62を周回させる。これに伴い、加熱ローラー61が加圧ローラー62に従動して周回される。また、制御部CUは、熱源63の交流電源63Bを作動させて、交流電源63Bから誘導コイル63Aに交流電圧を印加させる。これに伴い、加熱ローラー61が誘導コイル63Aによる電磁誘導により加熱される。
【0043】
次いで、制御部CUは、電源PSから第2コロナ帯電装置80の放電電極82に定められた正極性の直流電圧を印加させる。また、電流計90は、放電電極82と、シールド86との間に流れる電流を検知し、定められた周期で検知した電流に関するデータを制御部CUに送信する。そして、制御部CUは、電流計90から送信された電流に関するデータから定められた基準以上の電流が流れていると判断すると、第2コロナ帯電装置80を作動させる。
【0044】
ここで、トナー像形成部50により媒体Sにトナー像が形成された媒体Sは、搬送装置40により定着装置60に向けて搬送される。そして、ニップNを通過後に溶けて固化する前のトナーにより加熱ローラー61に巻き付いた媒体Sは、分離板(剥離板)として機能する対向壁86Cにより、加熱ローラー61から分離され、更に、搬送装置40により搬送方向下流側に搬送される。
【0045】
そして、トナー像形成部50によりトナー像が形成されたすべての媒体SがニップNを通過すると、制御部CUは、加圧ローラー62の駆動源、熱源63の交流電源63B、第1コロナ帯電装置70の電源、第2コロナ帯電装置80の電源PSを停止させて、定着動作が終了する。
【0046】
なお、制御部CUによる電流計90から送信された電流に関するデータと第2コロナ帯電装置80の作動との制御フローは、以下のように行われる。
【0047】
すなわち、制御部CUは、
図5に示されるように、定着動作の開始後、まず、判断ステップS10において、電流計90が検知した電流(に関するデータ)が定められた基準以上かを判断する。具体的には、電源PSにより放電電極82に定められた直流電圧(例えば、5kV)が印加されてその場合に流れる基準電流(例えば、50mA)に対して実際に検知した電流を比べる。その結果、制御部CUは、判断ステップS10で肯定判断をした場合には、本制御フローを終了し、そのままの設定で定着装置60(第2コロナ帯電装置80)に定着動作(放電動作)を行わせる。
【0048】
これに対して、制御部CUは、判断ステップS10において否定判断をした場合、ステップS20で定められた大きさ分、放電電極82に印加する直流電圧を高くして(例えば、定められた大きさ分を50Vとした場合は、直流電圧を5050Vとして)、再度、判断ステップS10を行う。そして、制御部CUは、判断ステップS10とステップS20とをサブルーチンとして実行し、判断ステップS10で肯定判断をして本フローを終了する。
【0049】
≪効果≫
次に、本実施形態の効果について
図4A〜
図4C及び
図5を参照しながら説明する。
【0050】
<第1の効果>
例えば、第2コロナ帯電装置80及び電源PSがない点以外は本実施形態と同様の構成の定着装置(図示省略)の場合(以下、比較形態の場合)、トナー像が形成された媒体SがニップNを通過する際に媒体Sから生じる不純物が第1コロナ帯電装置70の放電電極72に付着する場合がある。その結果、第1コロナ帯電装置70による加熱ローラー61(の軸方向)への放電が不均一になって、長期的に見ると放電状態が不安定となる虞がある。また、これに伴う定着不良が発生する虞がある。
【0051】
これに対して、本実施形態の定着装置60は、媒体Sから生じる不純物を吸着させて捕集する第2コロナ帯電装置80を備えている。そのため、本実施形態の場合、上記比較形態の場合に比べて、媒体Sから生じた不純物がハウジングHG内を浮遊して第1コロナ帯電装置70に到達し難い。その結果、本実施形態の場合、上記比較形態の場合に比べて、媒体から生じた不純物が第1コロナ帯電装置70の放電電極72に付着し難い。
【0052】
したがって、本実施形態の定着装置60は、上記比較形態の定着装置に比べて、第1コロナ帯電装置70による放電状態(放電電極72の長手方向に亘る放電の均一性)を長期的に安定させることができる。また、本実施形態の画像形成装置10は、第1コロナ帯電装置70による放電状態の不安定に伴う画像形成不良を抑制することができる。
【0053】
なお、前述の効果は、特に、トナーにワックスが含まれている場合、ワックスが蒸発してハウジングHG内を浮遊する点を考慮すると有効といえる。また、本実施形態のように、熱源63が加熱ローラー61を覆うように対向して配置されている構成の場合、媒体Sから生じた不純物が誘導コイル63Aと周回する加熱ローラー61との隙間に沿って移動し易いため有効といえる。
【0054】
<第2の効果>
また、本実施形態の場合、第2コロナ帯電装置80を構成するシールド86の対向壁86Cは、コロナ放電時の電極としての機能以外に、ニップNを通過後に加熱ローラー61に巻き付いた媒体Sを加熱ローラー61から分離させる機能を有する。そのため、本実施形態の定着装置60は、第2コロナ帯電装置80とは別の部材としての分離板(剥離板)を備える必要がない。
【0055】
したがって、本実施形態の定着装置60は、第2コロナ帯電装置80に加熱ローラー61から媒体Sの分離機能を持たせたことで、小型化することができる。また、別の見方をすると、本実施形態の定着装置60は、第2コロナ帯電装置80に加熱ローラー61から媒体Sの分離機能を持たせたことで、低コスト化を実現することができるといえる。
【0056】
<第3の効果>
また、本実施形態の定着装置60は、
図4Cに示されるように、第2コロナ帯電装置80による放電の際に流れる電流を検知する電流計90を備えている。そして、電流計90は、電源PSと制御部CUとに接続され、放電電極82とシールド86との間に流れる電流を、定められた周期で検知しながら、その都度検知した電流(電流に関するデータ)を制御部CUに送信するようになっている。そして、制御部CUは、電流計90が検知した電流が定められた基準未満の場合に、当該電流が基準以上となるように、電源PSが放電電極82に印加する電圧を変更させて、再度電流計90が検知する電流が定められた基準以上となるように制御する(
図5の制御フロー図を参照)。
【0057】
なお、本実施形態では、制御部CUは、電流計90が検知した電流が定められた基準未満の場合に不純物が第2コロナ帯電装置80の放電電極82に付着して電気抵抗が上昇したことに伴い電流が少なくなったと擬制して、上記のような制御をする。
【0058】
したがって、本実施形態の定着装置60は、上記の制御をしない場合に比べて、放電電極82における不純物の付着量に関わらず、不純物の捕集能力を維持することができる。
【0059】
以上のとおり、本発明について前述の実施形態を一例として説明したが、本発明の技術的範囲は前述の実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明の技術的範囲には、下記のような形態も含まれる。
【0060】
例えば、本実施形態の説明では、制御部CUは定着装置60の構成要素ではないとした。しかしながら、制御部CUにおける定着装置60を制御する部分を、定着装置60の一部として捉えてもよい。
【0061】
また、本実施形態の説明では、加熱体の一例を加熱ローラー61、加圧体の一例を加圧ローラー62として説明した。しかしながら、周回しながら媒体Sを加熱する機能を有すれば、加熱体の一例は加熱ローラー61でなくてもよい。例えば、加熱体の一例は、無端ベルトでもよい。また、周回しながら加熱体とでニップNを形成しニップNを通過する媒体Sを加熱体とで加圧する機能を有すれば、加圧体の一例は加圧ローラー62でなくてもよい。例えば、加圧体の一例は、無端ベルトであってもよい。
【0062】
また、本実施形態の説明では、トナーの平均帯電量が正極性であるとして説明した。しかしながら、トナーの平均帯電量は、負極性であってもよい。この場合、第1コロナ帯電装置70の放電電極72には、トナーと同極性とされる負極性の電圧を印加するように設定すればよい。
【0063】
また、本実施形態の説明では、第1コロナ帯電装置70の放電電極72及び第2コロナ帯電装置80の放電電極82が鋸歯形状の部材であるとして説明した(
図4B参照)。しかしながら、放電電極72及び放電電極82が放電する機能を有すれば、これらは鋸歯形状の部材でなくてもよい。例えば、単なる長尺の平板状の部材、ワイヤー状の部材、列を成して並ぶ複数の針電極を並べた部材であってもよい(図示省略)。
【0064】
また、本実施形態の説明では、第2コロナ帯電装置80の放電電極82には正極性の直流電圧(
図4C中のVdc)が印加されるとして説明した。そして、放電電極82に電圧が印加されることにより、放電電極82には媒体Sから生じた不純物が静電吸着されることを説明した。しかしながら、
図6の第1変形例のように、放電電極82に負極性の直流電圧(
図8中の−Vdc参照)を印加するようにしてもよい。第1変形例の場合、本実施形態の場合と異なり、本実施形態の場合に放電電極82に付着する不純物と逆極性の不純物を放電電極82に静電吸着させ易いといえる。
【0065】
また、本実施形態及び第1変形例の説明では、放電電極82に直流電圧を印加するとして説明した。しかしながら、
図7の第2変形例のように、放電電極82に対して、直流電圧(Vdc)に交流電圧(Vac)を重畳した電圧を印加してもよい。この場合、放電電極82の極性が正負に変化するように設定すれば、第2変形例は、本実施形態と第1変形例との効果を奏するといえる。
【0066】
また、本実施形態の説明では、第2コロナ帯電装置80を構成するシールド86(
図4A等参照)の対向電極86Cにより加熱ローラー61に巻き付いた媒体Sを加熱ローラー61から分離させるとした。すなわち、本実施形態の説明では、シールド86がコロナ放電時の電極としての機能と、分離板(剥離板)としての機能とを有するとした。しかしながら、例えば、
図8の第3変形例のように、第2コロナ帯電装置80のシールド86を、第1コロナ帯電装置70のシールド76と同じ形状として(別言すれば、シールド86の対向壁86B及び対向壁86Cを同じ形状として)、対向壁86Cに接触して配置されている分離板64(分離部の一例)を備えた構成としてもよい。本変形例の場合、シールド86に分離板64の機能を持たせることができない。しかしながら、本変形例の定着装置60Bは、分離板64をシールド86に接触させて配置することにより、小型化することができる。