(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されるように、複数のオフィスのそれぞれに電子機器(複合機、プリンタ等)が設置され、これらの電子機器がネットワークを介して接続されることによって、同調して動作するようなシステムが用いられる場合がある。これにより、電子機器で扱われるデータやその他の情報を、複数の電子機器で共通として用いることができる。この場合、1台の電子機器がマスター、他の電子機器がスレーブとして用いられ、マスターとなった電子機器は、スレーブとなった電子機器を制御し、各種の操作を行うことができる。同一の電子機器が、ある場合にはマスターとなり、ある場合にはスレーブとなる場合もある。
【0003】
例えばこうした電子機器がプリンタ(画像形成装置)である場合には、マスターとなるプリンタからスレーブとなるプリンタに対して印刷の要求がされる場合がある。こうした場合には、印刷の要求がなされた時点ではスレーブ側のCPUに電力が供給されていない場合もある。この際には、まずスレーブ側のCPUに電源を供給し、マスター側のCPUとスレーブ側のCPUとの間で通信が正常に行われる状態となってから、印刷データの送信が行われ、その後でスレーブ側のプリンタから印刷出力が行われる。
【0004】
また、CPUは一般に直流電圧で駆動されるのに対して、一般的な電子機器(プリンタ等)の電源としては商用交流電源が用いられる。このため、電子機器の電源回路においては、商用交流電源に対してAC/DC変換が行われ、ここでは平滑化コンデンサ等が用いられる。この場合、CPUへの電力供給がオフとされてから実際にCPUに供給される電圧が零となるまでには、平滑化コンデンサの放電時間に対応した一定の時間を要する。一方、CPUをオフとしてから再び正常に動作させるためには、一旦CPUがリセットされることが必要である。このため、結局、CPUへの電力供給がオフとされてから再び電力を供給して正常に動作させるためには、CPUへの電力の供給は、電力供給がオフとされてから所定の時間の経過後に行う必要がある。この時間の経過前にスレーブ側のCPUに電力を供給した場合には、スレーブ側のCPUが正常に動作しないためにマスター側のCPUからスレーブ側のCPUを認識することができない場合があり、この場合はスレーブ側のCPUは印刷データを受信できず、結局、印刷ジョブを実行することができない。
【0005】
こうした状況を回避するために、スレーブ側のCPUへの電力供給が一旦オフとされてから再び電力が投入可能となるまでの待ち時間(オフ時間)が設定される。オフ時間は例えば数sec程度であり、マスター側のCPUがこのオフ時間を認識すれば、マスター側のCPUは、このオフ時間の経過後にスレーブ側のCPUへ電力を投入させ、その後にCPU間で通信を行い、スレーブ側のプリンタで印刷ジョブを実行させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような、CPUへの電力供給が一旦オフとされてから再び電力が投入可能となるまでに要する時間は、同一の電子機器であっても、実際には一定ではない。例えば、商用交流電源の(実効)電圧は、仕向け地によって100V〜240Vの範囲で異なる場合があり、この時間が上記のように平滑化コンデンサで定まる場合においては、この時間は、平滑コンデンサの容量と商用交流電源の電圧に依存する。更に、複数のスレーブが単一のマスターに接続される場合には、この時間は、各スレーブ毎に異なる場合もある。
【0008】
このため、実際には、電子機器の使用状況から想定される範囲で最も長い時間から更に余裕をもった時間を上記のオフ時間として設定し、マスター側は、これを全てのスレーブに対して一律に適用する場合が多かった。この場合、商用交流電源の電圧等によらず、ある単一の仕様の電子機器に対しては、この一定のオフ時間が設定され、マスター側となる電子機器は、このオフ時間に基づいてスレーブ側となる電子機器を制御した。
【0009】
しかしながら、上記の場合にはオフ時間を長めに設定せざるを得ないために、例えばマスター側から印刷要求を行う場合に、スレーブ側のCPUに迅速に電源を供給して、迅速に印刷ジョブを実行させることが困難であった。このため、スレーブとして用いられる電子機器において、CPUへの電力供給が遮断されてから次回にCPUに電力が供給可能となるまでの時間(オフ時間)を短くすることが求められた。
【0010】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の電源制御装置は、マスターとして機能する第1の電子機器と、前記第1の電子機器とネットワークを介して接続されてスレーブとして機能し、CPUと、接続された主電源から電力変換部を介した電力を前記CPUに供給する電力変換部とが設けられた第2の電子機器と、が用いられる際に、前記CPUへの電力の供給を前記第1の電子機器側から制御するための電源制御装置であって、前記電力変換部と前記主電源との間の接続のオン・オフを制御するスイッチング部を具備し、前記スイッチング部がオフとされてから前記スイッチング部がオンとされるまでの最短時間であるオフ時間が、前記スイッチング部がオフとされてから前記オフ時間の経過後に前記スイッチング部がオンとされた際に前記第1の電子機器側と前記CPUとの間の通信が可能となり、かつ実測された前記主電源の電圧が高い場合に長く、前記電圧が低い場合に短くなるように、前記電圧に応じて定められたことを特徴とする
。
本発明の電源制御装置は、前記第2の電子機器が複数用いられ、前記オフ時間は各前記第2の電子機器毎に設定されたことを特徴とする。
本発明の電源制御装置において、前記第2の電子機器は画像を形成して出力する画像形成装置であることを特徴とする。
本発明の電源制御方法は、マスターとして機能する第1の電子機器と、前記第1の電子機器とネットワークを介して接続されてスレーブとして機能し、CPUと、接続された主電源から電力変換部を介した電力を前記CPUに供給する電力変換部と、が設けられた第2の電子機器と、が用いられる際に、前記CPUへの電力の供給を前記第1の電子機器側から制御する電源制御方法であって、前記電力変換部と前記主電源との間の接続のオン・オフを、オンからオフとされてから再度オンとされるまでの時間間隔がオフ時間を下回らないように制御し、前記電力変換部と前記主電源との間の接続がオフとされてから前記オフ時間の経過後に当該接続がオンとされた際に前記第1の電子機器側と前記CPUとの間の通信が可能となり、実測された前記主電源の電圧が高い場合に長く、前記電圧が低い場合に短くなるように、前記オフ時間を前記電圧に応じて設定することを特徴とする
。
【発明の効果】
【0012】
上記の構成により、スレーブとして用いられる電子機器において、CPUへの電力供給が遮断されてから次回にCPUに電力が供給可能となるまでの時間(オフ時間)を短くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る電源制御装置が用いられた電子機器がネットワークで接続された構成を示す図である。この電子機器は印刷機能やデータの通信機能を具備するMFP(複合機)である。ここでは、2台のMFP(複合機)10、20がネットワークで接続されて使用され、MFP(マスター:第1の電子機器)10はマスターとして、MFP(スレーブ:第2の電子機器)20はスレーブとして機能する。
図1において、本発明の実施の形態に係る電源制御装置100は、MFP10とMFP20とがネットワークで接続される際に、両者に分断されて組み込まれている。ただし、実際には、MFP10とMFP20とは同一仕様の電子機器を用い、その設定を変えることによって、マスターとしても、スレーブとしても機能するようにすることができる。この場合、単一の電子機器にこの電源制御装置100が設けられているが、
図1においては、電源制御装置100はMFP10とMFP20の間で分散して設けられているように記載されている。
【0015】
MFP10、MFP20は、それぞれ商用交流電源AC1、AC2で駆動される。MFP10の制御を行うCPU11、MFP20の制御を行うCPU21は共に所定の直流電圧で駆動されるため、MFP10、20は、それぞれAC1、AC2の交流電力を所定の直流電力に変換するAC/DC変換部(電力変換部)12、22を具備する。MFP10、20は異なる場所に設定されるため、場合によってはAC1、AC2の電圧(実効電圧)は大きく異なる。
【0016】
MFP10、20は共に、印刷機能(印刷ジョブの実行)やファクシミリ通信等を行うことができ、CPU11、21は、それぞれMFP10、20においてこれらの機能を実行させるための制御を行う。CPU11、21は特許文献1における制御部に対応し、これらの機能を実行させるための詳細な構成は、特許文献1におけるものと同様であり、かつこれらは本願発明とは無関係であるため、
図1においては省略されている。ただし、MFP10側がこれらの機能をMFP20に実行させる場合には、その際のデータはCPU11側からCPU21側に送信され、これに応じてCPU21はMFP20を制御してMFP20においてこれらの機能を実行させる。
【0017】
マスターとなるMFP10においては、CPU11は、AC1からAC/DC変換部12によって生成された直流電力が供給されて動作する。図示が省略された他の構成要素においても同様である。また、AC1による電力供給は、メインスイッチ13によって制御され、メインスイッチ13のオン・オフは使用者によって制御される。
【0018】
スレーブとなるMFP20においても、CPU21は、AC2からAC/DC変換部(電力変換部)22によって生成された直流電力が供給されて動作する。AC/DC変換部22へのAC2の電力供給は、リレースイッチ(スイッチング部)23によって制御される。このリレースイッチ23のオン・オフは、マスター側のCPU11によって制御される。また、実際のAC2の電圧(実効電圧)をモニターする電圧測定部24がリレースイッチ23とAC/DC変換部22との間に設けられ、リレースイッチ23がオンの間にAC2の電圧を測定し、マスター側のCPU11はこの電圧を認識する。リレースイッチ23の代わりに、半導体のスイッチング素子を用いることもできる。
【0019】
この構成においては、スレーブ側のCPU21に対する電力供給のオン・オフは、リレースイッチ23を介して、マスター側のCPU11によって制御される。このため、CPU11は、MFP10を制御する制御部としてだけでなく、スレーブ側におけるリレースイッチ23も制御する。また、後述するように、CPU11は、電圧測定部24で測定された電圧に基づいてオフ時間の設定をするオフ時間設定部としても機能する。このため、
図1の構成においては、CPU21への電力の供給を制御する電源制御装置100は、CPU(オフ時間設定部)11、リレースイッチ(スイッチング部)23、電圧測定部24で構成される。
図1の構成においては、MFP10、MFP20で構成されるシステムにおいて、この電源制御装置100が組み込まれた形態が示されている。
【0020】
リレースイッチ23のオン・オフはマスター側のCPU11によって制御されるため、CPU11は、スレーブ側のCPU21への電力供給がオフとなったタイミングを正確に認識することができる。その後、MFP10(CPU11)がMFP20に対して印刷を要求するように使用者から操作された際に、この要求を実現するためにCPU21に再び電力を供給するタイミングも調整することができる。この際、電力供給がオフとされてから所定のオフ時間の経過後にCPU21に電力を供給させることによって、CPU21が正常にリセットされ、その後に正常な動作を再開させることができ、CPU11とCPU21との間の通信を正常に行うことができる。これによって、MFP10(CPU11)は、印刷ジョブをMFP20で実行させることができる。
【0021】
ここで、CPU11は、上記のオフ時間として、予め設定された時間ではなく、MFP20側から得た情報に基づいてCPU11が設定した時間T
0を用いることができる。具体的には、電圧測定部24によって測定されたAC2の実効電圧V
0に基づいて、T
0を設定することができる。例えば、T
0は以下の通りに設定することができる。
【0023】
ここで、CはAC/DC変換部22とアース間の容量成分であり、実際には平滑化コンデンサ等で定まる容量成分である。V
1は容量成分Cにおける放電時(電圧が零に近づく際)においてCPU21がリセットされる際の目安となる電圧(V
1<V
0)であり、Iはこの容量成分による放電電流である。αは、補正用パラメータ(定数)として適宜設定される。例えばCを22μF、V
0を240V、V
1を0V、Iを2mAとし、かつα=0とした場合には、T
0=2.64secとなる。実際にはC、V
1、IはMFP20(CPU21、AC/DC変換部22等)の仕様に応じて定まる。T
0の経過後にCPU21に再び電力を供給すれば、CPU21を正常に動作させることができ、その直後からCPU11との間で正常に通信を行わせることができる。上記のαは、確実にCPU21がリセットされた後でCPU21に電力が供給されるように設定すれば、無駄な待ち時間を少なくしてMFP20に印刷ジョブの実行を素早く行わせることができる。
【0024】
ただし、(1)式は1つの例であり、例えばV
0とこれに応じた最適なオフ時間(確実にCPU21をリセットするために要する最短時間)を予めデータとして取得しておき、CPU11がこのデータに応じてオフ時間T
0を設定してもよい。いずれにおいても、オフ時間T
0は実測されたV
0に応じてCPU11が設定し、このT
0に基づいてCPU11がリレースイッチ23を制御することによって、CPU11はCPU21と適正に通信をすることができる。
【0025】
なお、電圧測定部24はリレースイッチ23がオンの間において常時AC2の電圧をモニターする必要はない。一般的には商用交流電源の電圧は安定しているため、例えばこのモニターはMFP20の設置直後の1回のみ行ってもよい。その後は、計測されたV
0、あるいはこのV
0から求められたT
0をCPU11に接続された不揮発性メモリに記憶させれば、CPU11は、以降の動作においてこのV
0又はT
0を用いた制御を行うことができる。
【0026】
図1においては、1台のマスター(MFP10)に対して1台のスレーブ(MFP20)が接続されたが、複数台のMFPがスレーブとして用いられる場合もあり、各々の設置環境(電源電圧等)が異なる場合もある。こうした場合において、スレーブとなった各MFPにおいて上記のMFP20と同様の構成を採用することによって、マスター側のCPU11は、各MFPにおいて最適なT
0(必要限最小の値のT
0)を設定することができ、各T
0に基づいて各々のMFPを制御することができる。これにより、1台のマスターと複数のスレーブからなるシステム全体において、スレーブからの出力を確実かつ素早く行うことができる。
【0027】
また、効率的な動作を行わせるためには、T
0は、CPU21をリセット後に確実に起動させることができる限りにおいて、短いことが好ましい。このためには、実際の動作の状況に応じて、CPU11が最適化したT
0を求めるような設定とすることもできる。
図2は、こうした場合におけるCPU11が行う動作を示すフローチャートである。ここでは、仮のオフ時間Tが、その初期値をT
00として、リレースイッチ23のオフ・オンが最大試行回数N
max(N
max≧2)以下で繰り返されて実際の動作がチェックされることによって、より好ましい値に書き換えられる。
【0028】
この場合、例えば(1)式におけるα=0としたT
0を仮のオフ時間Tの初期値T
00として設定することができる。あるいは、仮のオフ時間Tの初期値T
00をMFP10又はMFP20において使用者が入力することができるような設定としてもよい。ただし、この場合の初期値T
00は、実際のオフ時間よりも短い、すなわち、このオフ時間を設定した場合にはCPU21のリセットができなくなるような時間とすることが好ましい。
【0029】
この場合において、まず、試行回数N=1、仮のオフ時間T=T
00と設定し(S1)、上記と同様に、リレースイッチ23がオフとなってからT経過後(S2)にリレースイッチ23をオンさせる(S3)。この直後にCPU11がCPU21と正常に通信できた場合(S4:Yes)には、オフ時間としてこのT(=T
00)が適正であると認識し、T
00がオフ時間として記憶される(S5)。
【0030】
一方、T経過後(S2)にリレースイッチ23をオンした(S3)後にCPU11がCPU21と正常に通信できなかった場合(S4:No)には、NがN
max以下であれば(S6:Yes)、N(試行回数)をインクリメントし、かつTを1.1倍する(S7)。その後、リレースイッチ23をオフして(S8)から、再びT経過後(S2)にリレースイッチ23をオンさせ(S3)、通信の状況を確認する(S4)。Nをインクリメントし、かつTを1.1倍する(S7)動作、リレースイッチ23をオフして(S8)から、再びT経過後(S2)にリレースイッチ23をオンさせ(S3)、通信の状況を確認する動作(S4)は、通信が正常と認められるまで(S4:Yes)、又はNがN
maxを超えるまで(S6:No)繰り返される。なお、Tを1.1倍する(S7)代わりに、Tに一定値(例えば0.1sec)を加算する設定としてもよい。
【0031】
これによって、CPU21を正常に動作させることができ、かつ小さな値のT
0を設定することができる。また、NがN
maxを超えても(S6:Yes)正常な通信ができなかった場合(S4:No)には、上記のような電力の投入タイミング以外の問題から通信ができない、あるいは初期値T
00が適正でないと認識されるため、その旨がMFP10あるいはMFP20で表示される(S9)。この場合は、使用者は、通信の回線等をチェックする、あるいはMFP10において初期値T
00を設定しなおす、等の作業を行った後に、再び上記の動作を行わせることにより、適正なT
0を得ることができる。なお、(1)式によるT
0を初期値T
00(S1)として用いない場合でも、実測されたAC2の電圧に応じて初期値T
00を定めることによって、より効率的かつ適正にT
0を設定することができる。
【0032】
上記の例では、初期状態では通信が正常に行われず、その後にTを増加させて通信が正常に行われた時点で適正なT
0が設定された。これに対して、逆に、初期状態では通信が正常に行われ、その後にTを減少させて通信が正常に行われなくなった時点で適正なT
0を設定することもできる。
図3は、この場合のCPU11の動作を示すフローチャートである。この場合には、初期値T
00としては、確実に通信が正常に行われる程度に十分に大きな値が用いられる。
【0033】
図3のフローチャートにおいては、まず、リレースイッチ23がオフとなってからT経過後(S2)にリレースイッチ23をオンした場合(S3)に、正常な通信が行われ(S4:No)、かつNがN
max以下であれば(S6:Yes)、N(試行回数)をインクリメントし、かつTを0.9倍する(S11)。その後に同様にT経過後(S2)にリレースイッチ23のオン(S3)後に、通信の状態のチェック(S4)が行われる動作が、通信の状態が正常でなくなる(S4:No)まで繰り返される。通信の状態が正常でなくなった場合(S4:No)には、この段階よりも1つ前の段階でのT(現在のT/0.9)が、T
0として設定される(S12)。あるいは、試行回数NがN
maxを超えても通信が正常であった場合(S6:No)には、T
0の初期値が適正でなかったと判定されるため、その旨が表示される(S13)。なお、
図2のS7と同様に、Tを0.9倍する(S11)代わりに、Tから一定値を減算する設定としてもよい。また、この場合においても、Tの初期値(S1)を、実測されたAC2の電圧に応じて定めることによって、より効率的かつ適正にT
0を設定することができる。
【0034】
図2、3のように設定を行う際には、例えばMFP20に印刷ジョブを実行させることができないため、こうした設定は、前記の電圧測定部24によるAC2の実効電圧の測定と同様に、MFP20の初期設定時や主電源の投入時において行うことが好ましい。
【0035】
なお、
図1の構成において、MFP20の電源として、MFP10と共通にAC1を用いてもよい。こうした場合でも、実際にCPU11とCPU21とが通信回線で接続された際に、適切なオフ時間を設定することは重要であり、この適切なオフ時間は、CPU11とCPU21とが通信回線で接続された状態において、上記のように適正に算出される。すなわち、MFP10、MFP20の環境によらず、上記の電源制御装置100は有効である。
【0036】
また、
図2、3のような設定は、MFP10とMFP20とが
図1に示されたように接続され、リレースイッチ23がCPU11によって操作されるために可能となる。これに対して、例えば
図2、3に示されたような動作を行わずに式(1)によって算出したT
0をそのまま用いる場合には、電圧測定部24によって測定されたAC2の実効電圧を元にして、MFP20側(CPU21)でT
0を設定することもできる。このようにした設定されたT
0は、CPU11とCPU21とが正常に通信できている状態で、CPU11側がCPU21側から入手することができる。CPU11は、その後の動作にはこのT
0を用いればよい。
【0037】
また、上記の例では、マスター側のCPU11は、MFP10全体の制御を行うと共にオフ時間設定部として機能したが、マスター側のCPUとは別に上記と同様に機能するオフ時間設定部を設けてもよい。また、前記の通り、このように機能する電源制御装置100を単一のMFPに設け、マスターとなるMFP、スレーブとなるMFPの間で上記のように動作させれば、このMFPを上記のMFP10(マスター:第1の電子機器)、MFP20(スレーブ:第2の電子機器)のどちらとしても用いることができる。
【0038】
また、上記の例では、AC/DC変換部における電解コンデンサの放電過程に起因してオフ時間の設定が必要であるものとしたが、例えばCPUに付随した容量成分に起因しても、CPUのリセットには時間を要する場合がある。このため、上記のようにオフ時間を設定することは、CPUに供給する電力を生成する方式に依存せず、有効である。
【0039】
また、上記の構成では、電子機器がMFPであるものとしたが、同様にマスター、スレーブとして機能する電子機器が用いられる際に、上記のように機能する電源制御装置をこれらの電子機器に組み込むことによって、同様の効果を奏することは明らかである。また、第1の電子機器と第2の電子機器はいずれも1つのMFP内に配置される基板であってもよい。