(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6593403
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】車両の前部車体構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/08 20060101AFI20191010BHJP
B60Q 1/04 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
B62D25/08 D
B60Q1/04 A
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-164002(P2017-164002)
(22)【出願日】2017年8月29日
(65)【公開番号】特開2019-38496(P2019-38496A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2018年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100106644
【弁理士】
【氏名又は名称】戸塚 清貴
(72)【発明者】
【氏名】越中 春男
(72)【発明者】
【氏名】坂上 大介
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼永 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 武
【審査官】
マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−168677(JP,A)
【文献】
特開2013−121815(JP,A)
【文献】
特開2009−023424(JP,A)
【文献】
特開2009−214569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/08
B60Q 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延び、フロントフェンダの上端部が取付けられる左右一対のエプロンフレームと、
前記エプロンフレームの下方において前後方向に延びる左右一対のフロントフレームと、
車体の前部中央に配設されたラジエタシュラウドと、
前記ラジエタシュラウドの上端部から車幅方向に延び、前記左右一対のエプロンフレームの前端部同士を連結するシュラウドアッパメンバと、
車幅方向に延び、前記フロントフェンダとフロントフレームとを連結するフェンダステーと、
前記フロントフェンダの前端部に連なるように配設されたヘッドライトユニットと、
前記フロントフェンダの前端部と前記ラジエタシュラウドとの間に配設され、前記ヘッドライトユニットの下方に位置されて該ヘッドライトユニットを下方から支承するランプフレームと、
を備え、
前記ランプフレームは、車幅方向内端部が前記ラジエタシュラウドに連結される一方、車幅方向外端部が前記フェンダステーに連結され、
前記ランプフレームの車幅方向外端部が、連結部材を介して前記フェンダステーに連結され、
前記フロントフェンダは、その前端部から前方に延びるフェンダブラケットを有し、
前記フェンダブラケットに対して、前記ランプフレームの車幅方向外端部と前記連結部材と前記フェンダステーの車幅方向外端部とがそれぞれ連結されている、
ことを特徴とする車両の前部車体構造。
【請求項2】
前後方向に延び、フロントフェンダの上端部が取付けられる左右一対のエプロンフレームと、
前記エプロンフレームの下方において前後方向に延びる左右一対のフロントフレームと、
車体の前部中央に配設されたラジエタシュラウドと、
前記ラジエタシュラウドの上端部から車幅方向に延び、前記左右一対のエプロンフレームの前端部同士を連結するシュラウドアッパメンバと、
車幅方向に延び、前記フロントフェンダとフロントフレームとを連結するフェンダステーと、
前記フロントフェンダの前端部に連なるように配設されたヘッドライトユニットと、
前記フロントフェンダの前端部と前記ラジエタシュラウドとの間に配設され、前記ヘッドライトユニットの下方に位置されて該ヘッドライトユニットを下方から支承するランプフレームと、
を備え、
前記ランプフレームは、車幅方向内端部が前記ラジエタシュラウドに連結される一方、車幅方向外端部が前記フェンダステーに連結され、
前記ヘッドライトユニットが、前記シュラウドアッパメンバおよび前記エプロンフレームに対して連結されている、
ことを特徴とする車両の前部車体構造。
【請求項3】
前後方向に延び、フロントフェンダの上端部が取付けられる左右一対のエプロンフレームと、
前記エプロンフレームの下方において前後方向に延びる左右一対のフロントフレームと、
車体の前部中央に配設されたラジエタシュラウドと、
前記ラジエタシュラウドの上端部から車幅方向に延び、前記左右一対のエプロンフレームの前端部同士を連結するシュラウドアッパメンバと、
車幅方向に延び、前記フロントフェンダとフロントフレームとを連結するフェンダステーと、
前記フロントフェンダの前端部に連なるように配設されたヘッドライトユニットと、
前記フロントフェンダの前端部と前記ラジエタシュラウドとの間に配設され、前記ヘッドライトユニットの下方に位置されて該ヘッドライトユニットを下方から支承するランプフレームと、
を備え、
前記ランプフレームは、車幅方向内端部が前記ラジエタシュラウドに連結される一方、車幅方向外端部が前記フェンダステーに連結され、
前記ヘッドライトユニットのレンズ面は、車体の前面から側面に渡って延びて、前側方に向けて凸となるように湾曲されており、
前記ランプフレームは、前記レンズ面の下縁部に沿うように配設されて、前側方に向けて凸となるように湾曲されている、
ことを特徴とする車両の前部車体構造。
【請求項4】
前後方向に延び、フロントフェンダの上端部が取付けられる左右一対のエプロンフレームと、
前記エプロンフレームの下方において前後方向に延びる左右一対のフロントフレームと、
車体の前部中央に配設されたラジエタシュラウドと、
前記ラジエタシュラウドの上端部から車幅方向に延び、前記左右一対のエプロンフレームの前端部同士を連結するシュラウドアッパメンバと、
車幅方向に延び、前記フロントフェンダとフロントフレームとを連結するフェンダステーと、
前記フロントフェンダの前端部に連なるように配設されたヘッドライトユニットと、
前記フロントフェンダの前端部と前記ラジエタシュラウドとの間に配設され、前記ヘッドライトユニットの下方に位置されて該ヘッドライトユニットを下方から支承するランプフレームと、
を備え、
前記ランプフレームは、車幅方向内端部が前記ラジエタシュラウドに連結される一方、車幅方向外端部が前記フェンダステーに連結され、
前記ランプフレームが、フロントバンパの側部上縁部によって覆われており、
前記ランプフレームに、前記フロントバンパの側部上縁部を係止する係止部が形成されている、
ことを特徴とする車両の前部車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前部車体構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両においては、左右前端部に左右一対のヘッドランプ(ヘッドライトユニット)が設けられる。特許文献1には、ランプサポートパネルの端部を、フェンダブラケットに接続されたフェンダパネルに接続することにより、ヘッドランプを固定するための部材を追加することなくヘッドランプの取付剛性を高めて、前後方向荷重を効果的に受け止められるようにしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−117301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前方衝突として、斜め前方での軽衝突がある。この場合、斜め前方からの衝突荷重は、ヘッドライトユニットが存在する部分から入力されることになる。しかしながら、ヘッドライトユニットは車体の強度部材としては考慮されておらず、このため、斜め前方からの衝突荷重をいかに効果的に車体の強度部材へ伝達するか、ということが重要となる。
【0005】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、斜め前方からの衝突荷重を、車体の強度部材に効果的に伝達できるようにした車両の前部車体構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような
第1の解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
前後方向に延び、フロントフェンダの上端部が取付けられる左右一対のエプロンフレームと、
前記エプロンフレームの下方において前後方向に延びる左右一対のフロントフレームと、
車体の前部中央に配設されたラジエタシュラウドと、
前記ラジエタシュラウドの上端部から車幅方向に延び、前記左右一対のエプロンフレームの前端部同士を連結するシュラウドアッパメンバと、
車幅方向に延び、前記フロントフェンダとフロントフレームとを連結するフェンダステーと、
前記フロントフェンダの前端部に連なるように配設されたヘッドライトユニットと、
前記フロントフェンダの前端部と前記ラジエタシュラウドとの間に配設され、前記ヘッドライトユニットの下方に位置されて該ヘッドライトユニットを下方から支承するランプフレームと、
を備え、
前記ランプフレームは、車幅方向内端部が前記ラジエタシュラウドに連結される一方、車幅方向外端部が前記フェンダステーに連結さ
れ、
前記ランプフレームの車幅方向外端部が、連結部材を介して前記フェンダステーに連結され、
前記フロントフェンダは、その前端部から前方に延びるフェンダブラケットを有し、
前記フェンダブラケットに対して、前記ランプフレームの車幅方向外端部と前記連結部材と前記フェンダステーの車幅方向外端部とがそれぞれ連結されている、
ようにしてある。
【0007】
上記解決手法によれば、斜め前方からの衝突時における衝突荷重は、ランプフレームから、強度部材としてのラジエタシュラウドおよびフェンダステーを介して強度部材としてのフロントフレームによって受け止められることになり、衝突荷重をしっかりと受け止めることができる。
【0008】
また、連結部材を用いることにより、フェンダステーの位置や形状を大きく変更する等のことなく、ランプフレームをフェンダステーに連結することができる。
【0009】
さらに、ランプフレームの車幅方向外端部での連結強度を十分い確保しつつ、斜め前方から入力される衝突荷重を強度部材としてのエプロンフレームにも伝達することができ、衝突荷重をより広く分散して受け止めることができる。
【0010】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような第2の解決手法を採択してある。すなわち、請求項2に記載のように、
前後方向に延び、フロントフェンダの上端部が取付けられる左右一対のエプロンフレームと、
前記エプロンフレームの下方において前後方向に延びる左右一対のフロントフレームと、
車体の前部中央に配設されたラジエタシュラウドと、
前記ラジエタシュラウドの上端部から車幅方向に延び、前記左右一対のエプロンフレームの前端部同士を連結するシュラウドアッパメンバと、
車幅方向に延び、前記フロントフェンダとフロントフレームとを連結するフェンダステーと、
前記フロントフェンダの前端部に連なるように配設されたヘッドライトユニットと、
前記フロントフェンダの前端部と前記ラジエタシュラウドとの間に配設され、前記ヘッドライトユニットの下方に位置されて該ヘッドライトユニットを下方から支承するランプフレームと、
を備え、
前記ランプフレームは、車幅方向内端部が前記ラジエタシュラウドに連結される一方、車幅方向外端部が前記フェンダステーに連結され、
前記ヘッドライトユニットが、前記シュラウドアッパメンバおよび前記エプロンフレームに対して連結されている、
ようにしてあ
る。上記解決手法によれば、斜め前方からの衝突時における衝突荷重は、ランプフレームから、強度部材としてのラジエタシュラウドおよびフェンダステーを介して強度部材としてのフロントフレームによって受け止められることになり、衝突荷重をしっかりと受け止めることができる。また、ヘッドライトユニットを、
強度部材としてのシュラウドアッパメンバおよびエプロンフレームに連結して、その取付強度(剛性)を十分確保することができる。
【0011】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような第3の解決手法を採択してある。すなわち、請求項3に記載のように、
前後方向に延び、フロントフェンダの上端部が取付けられる左右一対のエプロンフレームと、
前記エプロンフレームの下方において前後方向に延びる左右一対のフロントフレームと、
車体の前部中央に配設されたラジエタシュラウドと、
前記ラジエタシュラウドの上端部から車幅方向に延び、前記左右一対のエプロンフレームの前端部同士を連結するシュラウドアッパメンバと、
車幅方向に延び、前記フロントフェンダとフロントフレームとを連結するフェンダステーと、
前記フロントフェンダの前端部に連なるように配設されたヘッドライトユニットと、
前記フロントフェンダの前端部と前記ラジエタシュラウドとの間に配設され、前記ヘッドライトユニットの下方に位置されて該ヘッドライトユニットを下方から支承するランプフレームと、
を備え、
前記ランプフレームは、車幅方向内端部が前記ラジエタシュラウドに連結される一方、車幅方向外端部が前記フェンダステーに連結され、
前記ヘッドライトユニットのレンズ面は、車体の前面から側面に渡って延びて、前側方に向けて凸となるように湾曲されており、
前記ランプフレームは、前記レンズ面の下縁部に沿うように配設されて、前側方に向けて凸となるように湾曲されている、
ようにしてあ
る。上記解決手法によれば、斜め前方からの衝突時における衝突荷重は、ランプフレームから、強度部材としてのラジエタシュラウドおよびフェンダステーを介して強度部材としてのフロントフレームによって受け止められることになり、衝突荷重をしっかりと受け止めることができる。また、ヘッドライトユニットを、車体前面から側面に渡って延びる形状としつつ、ランプフレームをこのヘッドライトユニットの形状に対応させて形状として、ランプフレームを設けたことによる外観上の見栄え悪化を防止でき、またヘッドライトユニットを衝突荷重から保護する上でも好ましいものとなる。
【0012】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような第4の解決手法を採択してある。すなわち、請求項4に記載のように、
前後方向に延び、フロントフェンダの上端部が取付けられる左右一対のエプロンフレームと、
前記エプロンフレームの下方において前後方向に延びる左右一対のフロントフレームと、
車体の前部中央に配設されたラジエタシュラウドと、
前記ラジエタシュラウドの上端部から車幅方向に延び、前記左右一対のエプロンフレームの前端部同士を連結するシュラウドアッパメンバと、
車幅方向に延び、前記フロントフェンダとフロントフレームとを連結するフェンダステーと、
前記フロントフェンダの前端部に連なるように配設されたヘッドライトユニットと、
前記フロントフェンダの前端部と前記ラジエタシュラウドとの間に配設され、前記ヘッドライトユニットの下方に位置されて該ヘッドライトユニットを下方から支承するランプフレームと、
を備え、
前記ランプフレームは、車幅方向内端部が前記ラジエタシュラウドに連結される一方、車幅方向外端部が前記フェンダステーに連結され、
前記ランプフレームが、フロントバンパの側部上縁部によって覆われて
おり、
前記ランプフレームに、前記フロントバンパの側部上縁部を係止する係止部が形成されている、
ようにしてあ
る。上記解決手法によれば、斜め前方からの衝突時における衝突荷重は、ランプフレームから、強度部材としてのラジエタシュラウドおよびフェンダステーを介して強度部材としてのフロントフレームによって受け止められることになり、衝突荷重をしっかりと受け止めることができる。また、フロントバンパを有効に利用して、ランプフレームが外部から目視されないようすることができる(見栄え向上)。
【0013】
以上に加えて、強度部材となるランプフレームを有効に利用して、フロントバンパの車体への取付剛性を高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、斜め前方からの衝突荷重を、車体の強度部材に効果的に伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明が適用された車両の前部を示す斜視図。
【
図2】フロントフェンダとボンネットとフロントバンパとを取外した状態で、ヘッドライトユニット付近の様子を示す斜視図。
【
図3】
図2の状態からヘッドライトユニットを取外した状態を示す斜視図。
【
図4】フェンダブラケットに対するフェンダステーとランプフレームと連結部材との連結の様子を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1において、10はボンネット、20は左右一対のフロントフェンダ、30はフロントバンパ、40は左右一対のヘッドライトユニットである。フロントバンパ30は、実施形態では、走行風の取入用となるグリル部31aを有するバンパロア部材31と、ボンネット10に面一に連なるようにされたバンパアッパ部材32との分割構成とされている。なお、バンパロア部材31とバンパアッパ部材32とを一体成形することもできる。
【0017】
ヘッドライトユニット40付近の様子が、
図2に示される。この
図2において、1は前後方向に延びる左右一対のフロントフレーム(一方のフロントフレームは図示略)、2はフロントフレーム1の上方において前後方向に延びる左右一対のエプロンフレーム(一方のエプロンフレームは図示略)である。左右一対のフロントフレーム1の前端部付近でかつその間に位置するように、ラジエタシュラウド3が配設されている。フロントフレーム1、エプロンフレーム2、ラジエタシュラウド3は、それぞれ車体強度部材となるものである。そして、フロントフェンダ20の上端部が、エプロンフレーム2に取付けられている。
【0018】
ラジエタシュラウド3は、その上端部に、車幅方向に延びるシュラウドアッパ部材4が固定されている。このシュラウドアッパ部材4の車幅方向端部が、固定具5によって、エプロンフレーム2の前端部に連結されている(
図3参照)。このシュラウドアッパ部材4によって、左右一対のエプロンフレーム2の前端部同士が連結されることになる。なお、ラジエタシュラウド3は、その下端部が、車幅方向に延びる連結部材(図示略)を介して、左右一対のフロントフレーム1に連結されている。なお、バンパアッパ部材32は、前後方向に延びる支承部材(図示略)を介して、シュラウドアッパ部材4によって支承される。
【0019】
ヘッドライトユニット40は、フロントフェンダ20の前端部に連なるように配設されている。実施形態では、フロントフェンダ20の前端部に前方へ開口された凹部21が形成されて、この凹部21内にヘッドライトユニット40の後部が入り込んだ形態とされている。ヘッドライトユニット40のレンズ面41は、車体の前面から側面に渡って延びて、前側方に向けて凸となるように湾曲されている。
【0020】
図2に示すように、ヘッドライトユニット40は、その後部に設けたブラケット部42が、固定具43によってシュラウドアッパ部材4に固定されている。また、ヘッドライトユニット40は、その後部に設けたブラケット部44が、固定具45によって、エプロンフレーム2の前端部に固定されている。
【0021】
図3、
図4に示すように、フロントフェンダ20の前端部には、フェンダブラケット22が形成されている。このフェンダブラケット22は、前方に向けて延びていて、上下方向および前後方向に延びる板状とされている。このフェンダブラケット22は、フロントフェンダ20と一体成形することもでき、また別部材として構成されたものをフロントフェンダ20に固定することにより形成することもできる。
【0022】
上記フェンダブラケット22は、車幅方向に延びるフェンダステー23(
図7をも参照)を介して、フロントフレーム1(の外側面)に連結されている。このフェンダステー23は、その車幅方向内端部がフロントフレーム1に溶接等により接合され、その車幅方向外端部が固定具24によってフェンダブラケット22に固定されている。
【0023】
ヘッドライトユニット40の直下方には、ランプフレーム50(
図5をも参照)が配設される。ランプフレーム50は、車幅方向に延びて、フロントフェンダ20の前端部とラジエタシュラウド3との間に配設される。ランプフレーム50は、ヘッドライトユニット40のレンズ面41の下縁部に沿うように形状設定されている。ランプフレーム50は、強度部材となるもので、実施形態では繊維強化プラスチックにより形成されているが、金属(例えば鉄系金属やアルミ合金等の軽金属)によって形成することもできる。
【0024】
ランプフレーム50の車幅方向内端部は、固定具51(
図3参照)によって、ラジエタシュラウド3から一体的に前方へ延びるブラケット(図示略)に対して固定されている。なお、ランプフレーム50の車幅方向内端部を、ブラケットを介することなくラジエタシュラウド3に固定するようにしてもよい。また、ランプフレーム50の車幅方向外端部は、連結部材60(
図6をも参照)を介して、フェンダステー23に対して固定されている(
図4参照)。
【0025】
上記連結部材60は、その下端部に形成された二股部位でフェンダステー23を前後方向から挟持した状態でフェンダステー23に対して溶接等により固定されている。そして、連結部材60の前端部とランプフレーム50とが、固定具52によって固定されている。ランプフレーム50は、さらに、連結部材60を介することなく、フェンダブラケット22に対して固定具53によって固定されている(実施形態ではクリップ止め)。
【0026】
連結部材60は、フェンダブラケット22に対しては、固定具61によっても固定が行われている(
図4参照)。連結部材60は、後方への荷重を効果的にフェンダステー23に伝達できるように、例えば鉄系金属板によって十分に強度(剛性)を有するように形成されている。
【0027】
ランプフレーム50は、車体に強固に連結されたものとなるが、このランプフレーム50によって、ヘッドライトユニット40が下方から支承されている。実施形態では、ヘッドライトユニット40は、その下面がランプフレーム50に着座されているだけで、ランプフレーム50に対して固定具等による固定は行われていない。なお、ヘッドライトユニット40(の下端部)を、ランプフレーム50に対して係止(固定具による固定を含む)することも可能であるが、ランプフレーム50に所定以上の後方への荷重が入力されたときに、ヘッドライトユニット40とランプフレーム50との間での係止が解除される設定とするのが好ましい。
【0028】
フェンダブラケット22の後端部の外側面には、係止部材70(
図2、
図3参照)が固定具(図示略)によって固定され、この固定のためにフェンダブラケット22に形成された取付孔33が、
図4において符号33で示される。この係止部材70は、バンパロア部材31の側端部を固定するためのものである。
【0029】
前述したランプフレーム50(の外側面)は、上方から見た平面視において、ヘッドライトユニット40のレンズ面41よりも若干車体内方側に位置されている。そして、バンパロア部材31を車体に取付けたときに、このバンパロア部材31によって覆われる。そして、バンパロア部材31の側部上縁部が、レンズ面41の下縁部に沿うようにされる。
【0030】
実施形態では、ランプフレーム50は、バンパロア部材31の取付けには関与しないものとされている。ただし、例えばランプフレーム50にその長手方向に間隔をあけて複数の係止孔を設けて、この係止孔に対して、バンパロア部材31の裏面側に形成された係止爪部を係止させることもできる(ランプフレーム50に係止爪部を設ける一方、バンパロア部材31に係止孔を設けてもよい)。勿論、上記のような係止は、別途固定具を用いた強固なものとすることもできる。
【0031】
以上のような構成において、前方特に斜め前方からの軽衝突時に、衝突荷重がランプフレーム50に入力される。ランプフレーム50に入力された荷重は、強度部材としてのラジエタシュラウド3およびフェンダステー23を介して強度部材としてのフロントフレーム1に伝達されて、荷重をしっかりと受け止めることができる。これにより、ヘッドライトユニット50の破損防止や、破損したとしても軽微な破損ですむことになる。また、実施形態では、ランプフレーム50が、フロントフェンダ20を介してエプロンフレーム2にも連結されているため、上記衝突荷重がエプロンフレーム2へも伝達されて、衝突荷重のロードパスがより多く形成されることになる(衝突荷重がより広く分散されることになる)。
【0032】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能である。例えば、ランプフレーム50を、連結部材60を介することなく、フェンダステー23に連結するようにしてもよい。もっとも、連結部材60を用いることにより、フェンダステー23の位置や形状を大きく変更する等のことなく、ランプフレーム50をフェンダステー23に連結することができる。ランプフレーム50は、上方から見た平面視において、ヘッドライトユニット40のレンズ面よりも車体外方側に突出するように配設してもよく、この場合、斜め前方から入力される衝突荷重がヘッドライトユニットに入力されてしまう事態をより一層確実に防止あるいは抑制することができる。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、前側方からの軽衝突対応として好適である。
【符号の説明】
【0034】
1:フロントフレーム
2:エプロンフレーム
3:ラジエタシュラウド
4:シュラウドアッパ部材
10:ボンネット
20:フロントフェンダ
22:フェンダブラケット
23:フェンダステー
30:フロントバンパ
31:バンパロア部材
32:バンパアッパ部材
40:ヘッドライトユニット
41:レンズ面
50:ランプフレーム
51:固定具
52:固定具
53:固定具
60:連結部材