【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
バンパフェイシャの上端部を、アッパフェイシャで覆うようにされた車両の前部構造であって、
前記バンパフェイシャと前記アッパフェイシャとの間に、前後方向に延びる補強部材が配設され、
前記補強部材は、前後方向の所定位置を境に、前部が高剛性部とされると共に後部が低剛性部となるように形成さ
れ、
前記アッパフェイシャは、その前部が前下方に向けて傾斜する傾斜部とされ、
前記高剛性部が、前記傾斜部の下方において該傾斜部に沿うように配設されている、
ようにしてある。
【0008】
上記解決手法によれば、前方衝突(特に軽衝突)によってアッパフェイシ
ャに対して後下方への荷重が作用したときに、補強部材の高剛性部とされた前部によって衝突荷重がしっかりと受け止められる。これにより、アッパフェイシャやその下方に位置されるバンパフェイシャ上端部の変形が防止あるいは抑制され、さらにはアッパフェイシ
ャの後方部材の変形や破損が防止あるいは抑制される。衝突荷重が大きくなると、補強部材のうち低剛性部とされた後部が変形されて、荷重吸収が行われる。これにより、衝突した前方障害物が歩行者の場合に、歩行者保護の上で好ましいものとなる。
【0009】
以上に加えて、高剛性部が、傾斜部の下方において該傾斜部に沿うように配設されている
ことから、前方衝突時にアッパフェイシャに入力される後下方への荷重を、補強部材によってしっかりと受け止めるようにする上で好ましいものとなる。
【0010】
前記所定位置が、前記傾斜部の後端付近でかつ該傾斜部の後端よりも前方位置に設定されている、ようにしてある(
請求項2対応)。この場合、後下方へ向かう衝突荷重を補強部材の高剛性部となる前部でしっかりと受け止めるようにしつつ、低剛性部となる補強部材の後部に対して衝突荷重の伝達を効果的に行う上で好ましいものとなる。
【0011】
前記アッパフェイシャのうち前記傾斜部よりも後方部位が、下方への段差を有してボンネットの下方に略水平に延びる後方延設部とされ、
前記低剛性部が、前記後方延設部の下方において略水平に延びている、
ようにしてある(
請求項3対応)。この場合、ボンネットに衝突荷重が入力される前の段階で補強部材の衝突荷重を十分に受け止めさせることができ、大型部材で高価となるボンネットの変形を防止あるいは抑制する上で好ましいものとなる。
【0012】
前記高剛性部は、前後方向に延びると共に車幅方向に間隔をあけて複数配設された前縦リブ部と、隣り合う該前縦リブ部同士を斜め方向から連結するX字状の斜めリブ部とを有するリブ構造とされている、ようにしてある(
請求項4対応)。この場合、リブ構造を利用して、極力軽量化を図りつつ高剛性部とすることができる。
【0013】
前記高剛性部が、前記前縦リブ部と前記斜めリブ部とに加えて、前後方向に間隔をあけて車幅方向に延びる複数の前横リブ部を有し、
前記前縦リブ部が複数の前記前横リブ部同士を連結しており、
前記前縦リブ部と前記前横リブ部とで区画される領域毎に、前記斜めリブ部が形成されている、
ようにしてある(
請求項5対応)。この場合、横リブ部をも利用して、補強部材の前部の剛性を十分に高めることができる。
【0014】
前記低剛性部は、前後方向に延びる後縦リブ部を有し、
前記後縦リブ部は、前記前縦リブ部の後端に連なっている、
ようにしてある(
請求項6対応)。この場合、補強部材の前部に入力される衝突荷重を効果的に補強部材の後部に伝達する上で好ましいものとなる。
【0015】
前記バンパフェイシャの上端部は、上下方向に延びる縦壁部と該縦壁部の上端から後方へ略水平に延びる後方延設部とを有し、
前記バンパフェイシャの前記縦壁部と前記後方延設部との境界となる屈曲部が、前記補強部材の前端と前記所定位置との間に位置されている、
ようにしてある(
請求項7対応)。この場合、バンパフェイシャの縦壁部の前方位置まで補強部材の高剛性部となる前部が存在するようにして、衝突荷重によってバンパフェイシャ(特に上端部)が変形されてしなう事態を防止あるいは抑制する上で好ましいものとなる。