(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保持電荷配分部は、前記電荷排出部における前記排出と前記信号生成部における前記基準信号の生成との間に前記生成電荷保持部と前記出力電荷保持部との間を一旦非導通にした後に導通させる請求項2記載の固体撮像装置。
前記信号生成部における前記第1の画像信号の生成と前記生成電荷転送部における前記第2の転送との間に前記出力電荷保持部に保持された前記電荷を排出する電荷排出部をさらに具備し、
前記信号生成部は、前記電荷排出部における前記排出と前記生成電荷転送部における前記第2の転送との間に前記信号を基準信号としてさらに生成し、
前記保持電荷配分部は、前記電荷排出部における前記排出の際および前記信号生成部における前記基準信号の生成の際に前記配分をさらに行う
請求項6記載の固体撮像装置。
前記保持電荷配分部は、前記電荷排出部における前記排出と前記信号生成部における前記基準信号の生成との間に前記生成電荷保持部と前記出力電荷保持部との間を一旦非導通にした後に導通させる請求項7記載の固体撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.第1の実施の形態(光電変換部により生成された電荷を生成電荷保持部に保持させる場合の例)
2.第2の実施の形態(出力電荷保持部を共有する場合の例)
3.第3の実施の形態(光電変換部により生成された電荷を補助電荷保持部および生成電荷保持部に保持させる場合の例)
【0022】
<1.第1の実施の形態>
[撮像装置の構成]
図1は、本技術の実施の形態における撮像装置10の構成例を示す図である。この撮像装置10は、画素アレイ部100と、垂直駆動部200と、水平転送部300と、アナログデジタル変換器(ADC:Analog Digital Converter)400と、出力バッファ500とを備える。なお、撮像装置10は、特許請求の範囲に記載の固体撮像装置の一例である。
【0023】
画素アレイ部100は、画像信号を生成する画素110が2次元アレイ状に配置されたものである。この画素アレイ部100には、各画素110に対する制御信号を伝達する信号線101と、画素110から出力された画像信号を伝達する信号線102とが、XYマトリクス状に配線されている。すなわち、同じ行に配置された画素110には1つの信号線101が共通に配線され、同じ列に配置された画素110の出力は、1つの信号線102に共通に配線されている。
【0024】
垂直駆動部200は、制御信号を生成して画素アレイ部100および水平転送部300に対して出力するものである。この垂直駆動部200は、画素アレイ部100の全ての行に対応する信号線101に対して制御信号を出力する。垂直駆動部200による制御信号の出力には、画素アレイ部100の画素110に対して露光の開始および停止を制御するための信号出力と露光により得られた画像信号の画素110からの読出しを制御するための信号出力とに分けることができる。露光の開始および停止を制御するための信号は、全ての画素110に対して同時に出力される。これにより、撮像装置10においてグローバルシャッタ機能を実現することができる。一方、画像信号の読出しを制御するための信号は、画素アレイ部100における1行の画素110に対して行毎に順に出力される。すなわち、1行毎に順次画像信号の読出しが行われる。これら垂直駆動部200における制御の詳細については、後述する。
【0025】
水平転送部300は、画素アレイ部100から出力された画像信号に対して処理を行うものである。この水平転送部300には、画素アレイ部100の1行分の画素110に対応する出力信号が同時に入力される。この入力された画像信号に対して、水平転送部300は、信号処理を行った後にパラレル−シリアル変換を行い、変換後の信号を信号線302に出力する。この水平転送部300における処理の詳細については、後述する。
【0026】
アナログデジタル変換器400は、水平転送部300により出力された画像信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換(AD変換)するものである。
【0027】
出力バッファ500は、アナログデジタル変換器400によりAD変換された画像信号を撮像装置10の外部に出力するバッファである。
【0028】
[画素の回路構成]
図2は、本技術の第1の実施の形態における画素110の構成例を示す図である。この画素110は、光電変換部111と、生成電荷転送部112と、保持電荷配分部113と、電荷排出部114と、生成電荷保持部115と、出力電荷保持部116と、オーバーフローゲート117と、信号生成部120とを備える。また、信号生成部120は、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ121および122を備える。なお、生成電荷転送部112、保持電荷配分部113、電荷排出部114およびオーバーフローゲート117は、MOSトランジスタにより構成される。
【0029】
画素110には、信号線101および信号線102のほかに電源線Vddおよび接地線が接続されており、画素110の電源はこれらの信号線を通して供給される。また、信号線101は、複数の信号線(OFG、TR1、TR2、SELおよびRST)により構成されている。OFG(Over Flow Gate)は、オーバーフローゲート117に制御信号を伝達する信号線である。TR1(Transfer 1)は、保持電荷配分部113に制御信号を伝達する信号線である。TR2(Transfer 2)は、生成電荷転送部112に制御信号を伝達する信号線である。SEL(Select)は、MOSトランジスタ122に制御信号を伝達する信号線である。RST(Reset)は、電荷排出部114に制御信号を伝達する信号線である。同図に表したように、これらは何れもMOSトランジスタのゲートに接続される。ゲートおよびソース間の閾値電圧以上の電圧(以下、オン信号と称する。)がこれらの信号線を通して入力されると、該当するMOSトランジスタが導通状態になる。
【0030】
同図に表したように、光電変換部111のアノードは接地され、カソードは生成電荷転送部112のソースとオーバーフローゲート117のソースに接続される。オーバーフローゲート117のゲートおよびドレインは、それぞれOFGおよびVddに接続される。生成電荷転送部112のドレインは、保持電荷配分部113のソースおよび生成電荷保持部115の一端に接続される。生成電荷保持部115の他の一端は、接地される。生成電荷転送部112のゲートはTR2信号線に接続され、保持電荷配分部113のゲートは信号線TR1に接続される。なお、生成電荷保持部115には後述するゲートが配置されており、このゲートは生成電荷転送部のゲートに接続される。
【0031】
保持電荷配分部113のドレインは、電荷排出部114のソース、MOSトランジスタ121のゲートおよび出力電荷保持部116の一端に接続される。出力電荷保持部116の他の一端は、接地される。電荷排出部114のゲートおよびドレインは、それぞれRSTおよびVddに接続される。MOSトランジスタ121のドレインおよびソースは、それぞれVddおよびMOSトランジスタ122のドレインに接続される。MOSトランジスタ122のゲートおよびソースは、それぞれSELおよび信号線102に接続される。
【0032】
光電変換部111は、照射された光量に応じた電荷を生成し、生成した電荷を蓄積するものである。この光電変換部111は、フォトダイオードにより構成される。
【0033】
生成電荷転送部112は、TR2により制御されて、光電変換部111により生成された電荷を生成電荷保持部115に転送するものである。この生成電荷転送部112は、光電変換部111と生成電荷保持部115との間を導通させることにより電荷の転送を行う。
【0034】
生成電荷保持部115は、生成電荷転送部112により転送された電荷を保持するものである。この生成電荷保持部115は、生成電荷転送部112のソース領域に形成され、このソース領域のポテンシャルを制御するゲートを備えている。なお、本技術の実施の形態においては、このゲートは生成電荷転送部112のゲートに接続されている。生成電荷転送部112および生成電荷保持部115の構成の詳細については、後述する。
【0035】
保持電荷配分部113は、TR1により制御されて、生成電荷保持部115に保持された電荷を生成電荷保持部115および出力電荷保持部116に均一に配分するものである。この保持電荷配分部113は、生成電荷保持部115と出力電荷保持部116との間を導通させることにより電荷の配分を行う。
【0036】
出力電荷保持部116は、電荷を保持するものである。この出力電荷保持部116は、保持電荷配分部113により配分された電荷を保持する。後述するように、生成電荷保持部115および出力電荷保持部116は、半導体基板上において略同一の不純物濃度に形成される。
【0037】
電荷排出部114は、RSTにより制御されて、出力電荷保持部116に保持された電荷を排出するものである。この電荷排出部114は、出力電荷保持部116とVddとの間を導通させることにより、電荷の排出を行う。
【0038】
オーバーフローゲート117は、光電変換部111で過剰に生成された電荷を排出するものである。また、このオーバーフローゲート117は、光電変換部111とVddとの間を導通させることにより光電変換部111に蓄積された電荷の排出をさらに行う。この際、オーバーフローゲート117は、OFGにより制御される。
【0039】
信号生成部120は、出力電荷保持部116に保持された電荷に応じた信号を生成するものである。この信号生成部120は、MOSトランジスタ121および122により構成される。MOSトランジスタ121は、出力電荷保持部116に保持された電荷に応じた電圧をソースに出力する。また、MOSトランジスタ122はSELにより制御され、このMOSトランジスタ122が導通状態の時にMOSトランジスタ121のソースの電圧が信号線102に出力される。
【0040】
[画素における動作]
OFGからオン信号が入力されるとオーバーフローゲート117は導通し、光電変換部111のカソードにVddが印加される。これにより、光電変換部111に蓄積された電荷は排出される。その後、露光量に応じた電荷が新たに生成されて、光電変換部111に蓄積される。
【0041】
所定の露光時間が経過した後、TR2からオン信号が入力されることにより、生成電荷転送部112が導通する。これにより、光電変換部111と生成電荷保持部115との間が導通状態になり、光電変換部111に蓄積された電荷が生成電荷保持部115に転送される。光電変換効率を高め、残像の発生を防ぐためには、光電変換部111に蓄積された全ての電荷が生成電荷保持部115に転送されて、光電変換部111が空乏化される必要がある。そのため、生成電荷保持部115は、光電変換部111に比べて十分に高いポテンシャルにする必要がある。
【0042】
なお、この生成電荷転送部112による転送は、画素アレイ部100に配置された全ての画素110において同時に行われる。グローバルシャッタ機能を実現するためである。これに対し、以降で説明する動作は、画素アレイ部100に配置された画素110において1行毎に順に実行される。
【0043】
TR1からオン信号が入力されると、保持電荷配分部113が導通する。これにより、生成電荷保持部115と出力電荷保持部116との間が導通状態になり、生成電荷保持部115に保持されていた電荷は生成電荷保持部115および出力電荷保持部116に均一に配分される。前述のように生成電荷保持部115および出力電荷保持部116は、半導体基板において略同一の不純物濃度に形成されるため、これらは略同一のポテンシャルを有することになる。そのため、生成電荷保持部115に保持されていた電荷は、生成電荷保持部115および出力電荷保持部116に保持される。上述の光電変換部111とは異なり、生成電荷保持部115は空乏化されない。
【0044】
この状態の時に、信号生成部120による信号の生成が行われる。具体的には、MOSトランジスタ121により、生成電荷保持部115および出力電荷保持部116に保持された電荷に応じた信号が生成される。次に、SELからオン信号が入力されるとMOSトランジスタ122が導通し、MOSトランジスタ121により生成された信号が信号線102に出力される。この信号は、撮像装置10に入射した光に応じた画像信号に該当する。
【0045】
その後、保持電荷配分部113を導通させた状態で、RSTからオン信号が入力されて電荷排出部114が導通すると、生成電荷保持部115および出力電荷保持部116にVddが印加されて、これらに保持されていた電荷が排出される。その後、電荷排出部114は非導通の状態に戻る。
【0046】
この状態の時に、信号生成部120による信号の生成がさらに行われる。すなわち、MOSトランジスタ121により、出力電荷保持部116に保持された電荷に応じた信号が生成される。再度SELにオン信号が入力されると、MOSトランジスタ122が導通し、MOSトランジスタ121により生成された信号が信号線102に出力される。この信号は、電荷が排出された状態で生成された信号であり、上述の画像信号の基準となる基準信号に該当する。
【0047】
通常、上述の排出を行った後であっても、画素110ごとに固有の信号成分が残留し、この信号成分が画像信号に重畳されてノイズとなって出力される。そこで、この基準信号を取得し、上述の画像信号から減算することにより、ノイズを軽減することができる。なお、このような方式は相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling:CDS)と呼ばれる方式であり、撮像装置において広く使用される方式である。
【0048】
このように、生成電荷転送部112よる光電変換部111と生成電荷保持部115との間の電荷の転送の際には、光電変換部111に蓄積された全ての電荷が生成電荷保持部115に転送される完全転送が実行される。一方、生成電荷保持部115および出力電荷保持部116は略同一のポテンシャルを有するため、保持電荷配分部113による生成電荷保持部115と出力電荷保持部116との間の転送の際には、このような完全転送を行うことはできない。しかし、保持電荷配分部113を導通させることにより、生成電荷保持部115と出力電荷保持部116とを一体として1つの電荷保持領域にすることができる。これにより、生成電荷保持部115に保持されていた電荷は、生成電荷保持部115および出力電荷保持部116に均一に配分される。この状態で信号生成部120による信号の生成を行うことにより、生成電荷保持部115と出力電荷保持部116との間で完全転送ができない場合において、正確な画像信号および基準信号を得ることができる。
【0049】
また、後述するように、半導体基板において、生成電荷保持部115のポテンシャルを出力電荷保持部116と略同一の高さ(深さ)にするため、生成電荷保持部115は、半導体基板面における面積当たりの容量を高くすることができる。これにより、生成電荷保持部115の面積を縮小することができる。さらに、上述のように生成電荷保持部115と出力電荷保持部116とを一体として1つの電荷保持領域にするため、出力電荷保持部116の容量は、生成電荷保持部115と比較して小さくすることもできる。これにより、出力電荷保持部116の面積も縮小することができる。
【0050】
通常のCDS方式では、基準信号を生成した後、生成電荷保持部115に保持された電荷を出力電荷保持部116に転送して画像信号の生成を行う。これに対し、本技術の第1の実施の形態では、画像信号の生成を行った後に、基準信号の生成を行う。この理由について説明する。前述のように、本技術の第1の実施の形態では、保持電荷配分部113を導通させた状態で画像信号の生成を行う。基準信号生成の精度を向上させるためには、画像信号の生成と同じ条件のもとで基準信号の生成を行う必要がある。このため基準信号の生成の際にも保持電荷配分部113を導通させる必要が生じる。これは、画像信号の生成の前には行うことができず、画像信号の生成および電荷排出部114による電荷の排出の後に行うこととなる。
【0051】
また、前述のように、本技術の第1の実施の形態では、画像信号の生成の前に保持電荷配分部113を導通状態にする。これに起因するノイズが発生し、画像信号に重畳される。そこで、基準信号の生成の前に保持電荷配分部113を一旦非導通の状態にし、その後導通状態にすることができる。これにより、基準信号にも同様のノイズが重畳される。CDSを行うことによりこれらのノイズが打ち消され、画像信号の低ノイズ化が可能になる。なお、撮像装置10における駆動方法の詳細については、後述する。
【0052】
[水平転送部の構成]
図3は、本技術の第1の実施の形態における水平転送部300の構成例を示す図である。この水平転送部300は、定電流源310と、信号処理部320と、スイッチ330とを備える。
【0053】
信号線102は、定電流源310の一端および信号処理部320の入力に接続される。定電流源310の他の一端は、接地される。信号処理部320の出力は、スイッチ330の入力に接続される。なお、信号処理部320とスイッチ330との間は、信号線301により接続される。
【0054】
なお、これらは、水平転送部300に接続された全ての信号線102に同様に配置されている。全てのスイッチ330の出力は、信号線302に接続される。
【0055】
定電流源310は、
図2において説明したMOSトランジスタ121の負荷として動作するものである。すなわち、MOSトランジスタ121とともにソースフォロワ回路を構成する。
【0056】
信号処理部320は、画素110から出力された信号の処理を行うものである。この信号処理部320は、前述したCDSを行う。
【0057】
スイッチ330は、信号処理部320の出力を切り替えて、パラレル−シリアル変換を行うスイッチである。信号処理部320における処理が終了した後、左端のスイッチ330から順にオンおよびオフを行う。これにより、各信号線301に接続された信号処理部320の出力信号が順に信号線302に出力されて、パラレル−シリアル変換が行われる。
【0058】
[信号処理部の構成]
図4は、本技術の第1の実施の形態における信号処理部320の構成例を示す図である。この信号処理部320は、サンプルアンドホールド回路(S/H:Sample and Hold Circuit)321および322と、減算器323とを備える。また、信号線201は、複数の信号線(SH1およびSH2)により構成されている。
【0059】
サンプルアンドホールド回路321および322は、それぞれSH1およびSH2により制御され、信号線102に出力された信号のサンプリングとホールドを行う回路である。サンプルアンドホールド回路321を例に挙げて説明する。SH1にオン信号が入力されると、サンプルアンドホールド回路321は、信号のサンプリングを行う。その後、オン信号の入力が停止されると、サンプリングされた信号がホールドされ、再度SH1にオン信号が入力されるまで保持される。同図のサンプルアンドホールド回路321および322は、それぞれ画像信号および基準信号についてサンプリングおよびホールドを行う。
【0060】
減算器323は、サンプルアンドホールド回路321にホールドされた画像信号からサンプルアンドホールド回路322にホールドされた基準信号の減算を行うものである。この減算により、CDSが実行される。
【0061】
[画素の構成]
図5は、本技術の第1の実施の形態における画素110の構成例を示す模式図である。同図は、シリコン半導体基板上に形成された画素110の構成を模式的に表した断面図である。同図には、光電変換部111、生成電荷転送部112、保持電荷配分部113、電荷排出部114、生成電荷保持部115、出力電荷保持部116およびオーバーフローゲート117を含む半導体基板部分の断面図が表されている。また、同図には信号生成部120がさらに表されている。本技術の第1の実施の形態における画素110は、例えばn型半導体基板に形成されたp型のウェル領域141に、上述した各部を形成することができる。このウェル領域141に、オーバーフローゲート117、光電変換部111、生成電荷転送部112、生成電荷保持部115、保持電荷配分部113、出力電荷保持部116および電荷排出部114が順に形成される。
【0062】
光電変換部111は、ウェル領域141内に形成されたn型半導体領域144とこのn型半導体領域144周囲のp型半導体領域との界面におけるpn接合を有するフォトダイオード(PD)により構成される。このpn接合部に光が入射すると電荷が生成される。この生成された電荷のうちの電子がn型半導体領域144に蓄積される。このn型半導体領域144は、後述するn型半導体領域146よりも低い不純物濃度、例えば10
16/cm
3に形成される。なお、n型半導体領域144の上部には、不純物濃度が高いp型半導体領域145が形成されている。このp型半導体領域145は、半導体の界面をピンニングすることにより界面準位に起因する暗電流を抑制するものである。
【0063】
生成電荷保持部115は、ウェル領域141に形成されたn型半導体領域146により構成され、電荷保持領域(C1)として動作する。このn型半導体領域146の上部には、シリコン酸化膜153を介して生成電荷保持ゲート133が配置されている。また、このn型半導体領域146は、例えば10
18乃至10
19/cm
3の不純物濃度に形成される。光電変換部111のn型半導体領域144より不純物濃度が高いため、n型半導体領域144より高いポテンシャルになる。なお、生成電荷保持ゲート133には、例えば−1V程度の負のバイアス電圧を印加することもできる。n型半導体領域146とシリコン酸化膜153との間に正孔蓄積領域を形成してピンニングを行うためである。
【0064】
生成電荷転送部112は、光電変換部111および生成電荷保持部115の間のp型半導体領域をチャンネル領域とし、このチャンネル領域の上部にシリコン酸化膜152を介してゲート132が配置されて構成されている。また、このゲート132は、生成電荷保持ゲート133と接続されている。このゲート132に正の電圧が印加されると、生成電荷転送部112は導通する。その結果、光電変換部111のn型半導体領域144に蓄積された電荷が生成電荷保持部115のn型半導体領域146に転送される。このように、生成電荷転送部112は、n型半導体領域144および146をそれぞれソースおよびドレイン領域とするMOSトランジスタと等価である。また、生成電荷保持部115は、このMOSトランジスタのソース領域に形成されたものと捉えることができる。
【0065】
出力電荷保持部116は、ウェル領域141に形成されたn型半導体領域147により構成される。このn型半導体領域147は、フローティングディフュージョン(FD)と称され、信号生成部120が接続される領域である。このn型半導体領域147は、生成電荷保持部115のn型半導体領域146と略同一の不純物濃度に形成される。このため、出力電荷保持部116のn型半導体領域147と生成電荷保持部115のn型半導体領域146とは同じ高さのポテンシャルになる。なお、信号生成部120との配線を行う領域は、不純物濃度を、例えば10
21/cm
3に高めた領域(不図示)にする必要がある。配線との接合部分を低抵抗にするためである。
【0066】
保持電荷配分部113は、生成電荷保持部115および出力電荷保持部116の間のp型半導体領域をチャンネル領域とし、このチャンネル領域の上部にシリコン酸化膜154を介してゲート134が配置されて構成されている。このゲート134に正の電圧が印加されると、保持電荷配分部113は導通する。その結果、生成電荷保持部115のn型半導体領域146に保持されていた電荷が生成電荷保持部115のn型半導体領域146および出力電荷保持部116のn型半導体領域147に均一に配分される。
【0067】
電荷排出部114は、出力電荷保持部116のn型半導体領域147およびn型半導体領域148の間のp型半導体領域をチャンネル領域とし、このチャンネル領域の上部にシリコン酸化膜155を介してゲート135が配置されて構成されている。このゲート135に正の電圧が印加されると、電荷排出部114は導通する。n型半導体領域148にはVddが接続されているため、出力電荷保持部116のn型半導体領域147に保持されていた電荷は、Vddに排出される。
【0068】
オーバーフローゲート117は、光電変換部111のn型半導体領域144およびn型半導体領域143の間のp型半導体領域をチャンネル領域とし、このチャンネル領域の上部にシリコン酸化膜151を介してゲート131が配置されて構成されている。このゲート131に正の電圧が印加されると、オーバーフローゲート117は導通する。n型半導体領域143にはVddが接続されているため、光電変換部111のn型半導体領域144に保持されていた電荷は、Vddに排出される。
【0069】
これら以外にも、画素110には配線層、層間絶縁層および遮光メタル等が配置されている。なお、遮光メタルは、生成電荷転送部112、生成電荷保持部115および保持電荷配分部113を遮光して、これらに流れる暗電流を減少させるものである。
【0070】
なお、上述の例では、出力電荷保持部116のn型半導体領域147における不純物濃度を生成電荷保持部115のn型半導体領域146における不純物濃度と同一の10
18乃至10
19/cm
3にしていたが、例えば10
21/cm
3にしてもよい。この場合においてもn型半導体領域147とn型半導体領域146とを略同一のポテンシャルにすることができる。このため、保持電荷配分部113を導通させた際に、生成電荷保持部115に保持されていた電荷が生成電荷保持部115および出力電荷保持部116に均一に配分される。
【0071】
[撮像装置の駆動方法]
図6は、本技術の第1の実施の形態における撮像装置10の駆動方法を例示する図である。同図は、撮像装置10における入力信号線(OFG、RST、TR1、TR2、SEL、SH1およびSH2)および出力信号線(信号線102および信号線301)の信号を表すタイムチャートである。同図における各入力信号線の状態は、値「0」および「1」により表示されている。値「0」はオン信号が入力されていない状態を表し、値「1」はオン信号が入力されている状態を表している。同図のうち、期間T0乃至T7は画素アレイ部100の全ての画素110を同時に駆動する期間であり、期間T8乃至T15は画素アレイ部100の画素110を1行毎に順に駆動する期間である。
【0072】
[期間T0乃至T7]
図7は、本技術の第1の実施の形態における画素110の動作状態(期間T0乃至T4)を示す図である。また、
図8は、本技術の第1の実施の形態における画素110の動作状態(期間T5乃至T7)を示す図である。これらの図は、
図6における期間T0乃至T4および期間T5乃至T7に対応した画素110の動作状態を表したポテンシャル図である。また、これらの図には、光電変換部111、生成電荷転送部112、保持電荷配分部113、電荷排出部114、生成電荷保持部115、出力電荷保持部116およびオーバーフローゲート117の状態が表されている。なお、これらの配置は、
図5において説明した半導体基板における配置と同じである。
【0073】
露光開始前の待機状態では、生成電荷転送部112、保持電荷配分部113、電荷排出部114およびオーバーフローゲート117には入力信号が印加されず、非導通の状態になる(
図6におけるT0、
図7におけるa)。
【0074】
次に、OFGにオン信号を入力してオーバーフローゲート117を導通させる。これにより、光電変換部111に蓄積されていた電荷が排出される(
図6におけるT1、
図7におけるb)。
【0075】
この電荷が排出された後にオーバーフローゲート117を非導通にする。これにより、いわゆるリセットが行われ、全ての画素110において同時に露光が開始される。光電変換部111には、露光量に応じた電荷(
図7における網掛けを施した領域)が蓄積される(
図6におけるT2、
図7におけるc)。
【0076】
所定の露光期間の経過後に、RSTおよびTR1にオン信号を入力して保持電荷配分部113および電荷排出部114を導通させる。これにより、生成電荷保持部115および出力電荷保持部116に蓄積されていた暗電流に基づく電荷が排出される(
図6におけるT3、
図7におけるd)。
【0077】
次に、保持電荷配分部113を非導通にし(
図6におけるT4、
図7におけるe)、電荷排出部114を非導通にする(
図6におけるT5、
図8におけるf)。
【0078】
次に、TR2にオン信号を入力して生成電荷転送部112を導通させ、光電変換部111に蓄積された電荷を生成電荷保持部115に転送する(
図6におけるT6、
図8におけるg)。その後、生成電荷転送部112を非導通にする。これにより、全ての画素110において同時に露光が停止される(
図6におけるT7、
図8におけるh)。
【0079】
[期間T8乃至T15]
図9は、本技術の第1の実施の形態における画素110の動作状態(期間T8乃至T12)を示す図である。また、
図10は、本技術の第1の実施の形態における画素110の動作状態(期間T13乃至T14)を示す図である。
【0080】
期間T7に続いて、RSTにオン信号を入力して、電荷排出部114を導通させる(
図6におけるT8、
図9におけるa)。これにより、出力電荷保持部116に蓄積されていた暗電流に基づく電荷が排出される。その後、電荷排出部114を非導通にする(
図6におけるT9、
図9におけるb)。
【0081】
次に、TR1およびSELにオン信号を入力して保持電荷配分部113およびMOSトランジスタ122を導通させる。これにより、生成電荷保持部115に保持されていた電荷が生成電荷保持部115および出力電荷保持部116に均一に配分され、画像信号(
図6において「A」と表記)が生成されて信号線102に出力される。さらに、SH1にオン信号が入力されることにより、信号線102に出力された画像信号が信号処理部320のサンプルアンドホールド回路321にサンプリングされる(
図6におけるT10、
図9におけるc)。
【0082】
次に、TR1にオン信号を入力した状態で、RSTにオン信号を入力して保持電荷配分部113および電荷排出部114を導通させる。これにより生成電荷保持部115および出力電荷保持部116に保持されていた電荷が排出される(
図6におけるT11、
図9におけるd)。なお、期間T10から期間T11に移行する際、SH1におけるオン信号の入力が停止される。これにより、信号線102に出力されていた画像信号(A)がサンプルアンドホールド回路321にホールドされる。
【0083】
次に、保持電荷配分部113を非導通にする(
図6におけるT12、
図9におけるe)。さらに、電荷排出部114を非導通にする(
図6におけるT13、
図10におけるf)。
【0084】
次に、TR1およびSELにオン信号を入力して保持電荷配分部113およびMOSトランジスタ122を導通させる。これにより、基準信号(
図6において「B」と表記)が信号線102に出力される。さらに、SH2にオン信号を入力することにより、信号線102に出力された基準信号が信号処理部320のサンプルアンドホールド回路322にサンプリングされる(
図6におけるT14、
図10におけるg)。なお、この基準信号の生成の直前に保持電荷配分部113を一旦非導通にし(
図6におけるT12)、その後導通させる(
図6におけるT14)。これにより、画像信号の生成の際と同様のノイズが基準信号に重畳される。
【0085】
次に、保持電荷配分部113およびMOSトランジスタ122を非導通にする(
図6におけるT15)。また、期間T14から期間T15に移行する際、SH2におけるオン信号の入力が停止される。これにより、信号線102に出力されていた基準信号(B)がサンプルアンドホールド回路322にホールドされる。なお、信号処理部320の減算器323により減算(A−B)が行われて信号線301に演算の結果が出力される。これにより、1行分の画像信号の処理が終了する。
【0086】
期間T8乃至T14の処理を画素アレイ部100の全ての行について行うことにより、1つのフレームにおける画像信号の転送が終了する。静止状態を経て期間T1の処理に移行し、次のフレームの露光が開始される。
【0087】
このように、本技術の第1の実施の形態では、生成電荷保持部115および出力電荷保持部116に電荷を均一に配分し、画像信号を生成する。さらに、生成電荷保持部115のn型半導体領域146の不純物濃度を出力電荷保持部116のn型半導体領域147と略同一にする。これにより、n型半導体領域146の単位面積当たりの容量を高めることができ、生成電荷保持部115の面積を小さくすることができる。
【0088】
<2.第2の実施の形態>
上述の実施の形態では、全ての画素110が出力電荷保持部116、電荷排出部114および信号生成部120を備えていた。これに対し、本技術の第2の実施の形態では、これらを2個の画素110で共有する。
【0089】
[撮像装置の構成]
図11は、本技術の第2の実施の形態における画素の構成例を示す模式図である。同図は、半導体基板表面における画素の配置を表した図である。同図の画素は、第1の画素と第1の画素の出力電荷保持部に接続された第2の画素とにより構成されている。第1の画素として
図3において説明した画素110を適用することができる。また、第2の画素として、光電変換部171と、生成電荷転送部172と、生成電荷保持部175(不図示)と、保持電荷配分部173と、オーバーフローゲート177とを備える画素を使用することができる。
【0090】
同図の中央部に出力電荷保持部116のn型半導体領域147が配置され、これを中心として図面の上下に2個の画素が配置されている。出力電荷保持部116の上側に保持電荷配分部113のゲート134と生成電荷保持部115のゲート133とが順に隣接して配置されている。さらに、ゲート133の上側には、生成電荷転送部112のゲート132と光電変換部111のn型半導体領域144とが順に隣接して配置されている。また、光電変換部111の左側にオーバーフローゲート117のゲート131とn型半導体領域143とが順に隣接して配置されている。
【0091】
一方、出力電荷保持部116の下側には、保持電荷配分部173のゲート184と生成電荷保持部175のゲート183とが順に隣接して配置されている。さらに、生成電荷保持ゲート183の下側には、生成電荷転送部172のゲート182と光電変換部171のn型半導体領域194とが順に隣接して配置されている。また、光電変換部171の左側にオーバーフローゲート177のゲート181とn型半導体領域193とが順に隣接して配置されている。
【0092】
出力電荷保持部116の左側に電荷排出部114のゲート135とn型半導体領域161とが順に配置されている。また、光電変換部171の下方には、信号生成部120を構成するMOSトランジスタ121および122が直列に接続されている。このMOSトランジスタ121は、ドレインに相当するn型半導体領域162、ゲート163およびソースに相当するn型半導体領域164を備える。また、MOSトランジスタ122は、ドレインに相当するとともにMOSトランジスタ121のソースを兼ねるn型半導体領域164、ゲート165およびソースに相当するn型半導体領域166を備える。出力電荷保持部116のn型半導体領域147とMOSトランジスタ121のゲート163とは、配線167により接続されている。電荷排出部114およびMOSトランジスタ122は、第1の画素および第2の画素において共有されるため、これらを制御する信号線(RSTおよびSEL)も同様に、第1の画素および第2の画素において共有される。
【0093】
これ以外の画素110および撮像装置10の構成は、
図3において説明した画素110および
図1において説明した撮像装置10と同様であるため説明を省略する。
【0094】
このように本技術の第2の実施の形態によれば、出力電荷保持部116、電荷排出部114および信号生成部120を2個の画素で共有するため、画素110を小型化することができる。
【0095】
<3.第3の実施の形態>
上述の実施の形態では、光電変換部111により生成された電荷を生成電荷保持部115に転送していた。これに対し、本技術の第3の実施の形態では補助電荷保持部を備え、光電変換部111により生成された電荷は、補助電荷保持部を経由して生成電荷保持部115に転送される。
【0096】
[画素の回路構成]
図12は、本技術の第3の実施の形態における画素110の構成例を示す図である。同図の画素110は、補助電荷転送部118と、補助電荷保持部119とをさらに備える点で、
図2において説明した画素110と異なっている。補助電荷転送部118は、MOSトランジスタにより構成される。補助電荷保持部119には、生成電荷保持部115と同様にゲートが配置されている。また、信号線101は、信号線TR3(Transfer 3)をさらに備える。これは、補助電荷転送部118に制御信号を伝達する信号線である。
【0097】
補助電荷転送部118のソースは光電変換部111のカソードおよびオーバーフローゲート117のソースに接続され、補助電荷転送部118のドレインは生成電荷転送部112のソースおよび補助電荷保持部119の一端に接続される。補助電荷保持部119の他の一端は、接地される。補助電荷転送部118のゲートはTR3信号線に接続され、補助電荷保持部119のゲートは補助電荷転送部118のゲートに接続される。
【0098】
補助電荷転送部118は、TR3により制御されて、光電変換部111により生成された電荷を補助電荷保持部119に転送するものである。この補助電荷転送部118は、光電変換部111と補助電荷保持部119との間を導通させることにより電荷の転送を行う。
【0099】
補助電荷保持部119は、補助電荷転送部118により転送された電荷を保持するものである。この補助電荷保持部119は、補助電荷転送部118のソース領域に形成される。また、生成電荷保持部115と同様にゲートによりポテンシャルを制御することができる。後述するように、この補助電荷保持部119は、生成電荷保持部115より低い不純物濃度に形成される。
【0100】
生成電荷転送部112は、補助電荷保持部119に保持された電荷を生成電荷保持部115に転送する。
【0101】
これ以外の画素110の構成は、
図2において説明した画素110と同様であるため説明を省略する。
【0102】
[画素における動作]
本技術の第3の実施の形態では、光電変換部111により生成された電荷を補助電荷保持部119および生成電荷保持部115に転送する。このため、補助電荷保持部119は、生成電荷保持部115より小容量にすることができる。また、補助電荷保持部119は、生成電荷保持部115よりも低く、かつ、光電変換部111よりも高い不純物濃度に形成される。このため、光電変換部111、補助電荷保持部119および生成電荷保持部115のポテンシャルは、この順に高くなる。すなわち、階段状のポテンシャルが形成される。
【0103】
所定の露光時間の経過後に補助電荷転送部118を導通させて光電変換部111の電荷を補助電荷保持部119に転送するとともに、生成電荷転送部112を導通させる。これにより、光電変換部111により生成された電荷は、補助電荷保持部119に保持される。補助電荷保持部119の容量を超える電荷が光電変換部111において生成された際には、この超過した電荷が生成電荷保持部115に転送される。このように補助電荷転送部118における転送と同期して行われる生成電荷転送部112の転送を第1の転送と称する。
【0104】
次に、保持電荷配分部113を導通させて、生成電荷保持部115に保持されていた電荷を生成電荷保持部115および出力電荷保持部116に均一に配分させた後に、信号生成部120により画像信号が生成される。この時の保持電荷配分部113の配分を第1の配分と称し、信号生成部120により生成された画像信号を第1の画像信号と称する。
【0105】
次に、保持電荷配分部113および電荷排出部114を導通させて電荷の排出が行われる。さらに、保持電荷配分部113を一旦非導通にした後に導通させた状態にして、信号生成部120による基準信号の生成が行われる。
【0106】
この基準信号の生成の後、保持電荷配分部113を導通状態にしたままで、生成電荷転送部112を導通させて、補助電荷保持部119に保持されていた電荷を生成電荷保持部115に転送する。保持電荷配分部113は導通状態であるため、生成電荷保持部115に転送された電荷は、生成電荷保持部115および出力電荷保持部116に均一に配分される。この時の生成電荷転送部112の転送および保持電荷配分部113の配分をそれぞれ第2の転送および第2の配分と称する。これらの生成電荷転送部112における第2の転送および保持電荷配分部113における第2の配分により、補助電荷保持部119に保持されていた電荷が生成電荷保持部115および出力電荷保持部116に転送される。
【0107】
前述のように補助電荷保持部119と生成電荷保持部115との間のポテンシャルは階段状であるため、補助電荷保持部119は空乏化する。すなわち完全転送が行われる。その後、信号生成部120により画像信号の生成が行われる。この生成された画像信号を第2の画像信号と称する。第1の画像信号および第2の画像信号の合計が光電変換部111において生成された電荷に基づく画像信号になる。
【0108】
第1の画像信号の生成の際には、直前に保持電荷配分部113を導通させる手順を必要とする。従って、第1の画像信号にはノイズが混入する。一方、上述の基準信号の生成から第2の画像信号の生成に亘って、保持電荷配分部113は導通した状態を維持する。保持電荷配分部113の導通に伴うノイズの混入を防ぐことができるため、第2の画像信号の生成の際には、精度の高い信号の生成が可能になる。入射光量が少ない場合には、光電変換部111で生成される電荷も少なくなる。このような場合には、前述の補助電荷転送部118の転送および生成電荷転送部112の第1の転送の際、光電変換部111により生成された電荷は、補助電荷保持部119にのみ保持される。その後、この電荷に基づく画像信号が第2の画像信号として生成される。上述のように、第2の画像信号の生成は高精度に行われるため、入射光量が少ない環境において、高精度の撮像が可能となる。
【0109】
[信号処理部の構成]
図13は、本技術の第3の実施の形態における信号処理部320の構成例を示す図である。この信号処理部320は、サンプルアンドホールド回路324、減算器325および加算器326をさらに備える点で、
図4において説明した信号処理部320と異なっている。また、信号線201は、信号線SH3をさらに備える。
【0110】
同図におけるサンプルアンドホールド回路321、322および324は、それぞれ第1の画像信号、基準信号および第2の画像信号のサンプリングおよびホールドを行う。これらの入力には信号線102が共通に接続される。また、サンプルアンドホールド回路324には、制御信号としてSH3が接続される。
【0111】
減算器323は、サンプルアンドホールド回路321にホールドされた第1の画像信号からサンプルアンドホールド回路322にホールドされた基準信号の減算を行うものである。減算器325は、サンプルアンドホールド回路324にホールドされた第2の画像信号からサンプルアンドホールド回路322にホールドされた基準信号の減算を行うものである。加算器326は、減算器323および減算器325の出力を加算するものである。
【0112】
これら加算器326ならびに減算器323および325により、第1の画像信号および第2の画像信号を加算した値から基準信号を2倍した値を減算する演算が行われる。これにより、ノイズが除去された画像信号を得ることができる。
【0113】
これ以外の構成は本技術の第1の実施の形態における撮像装置10と同様であるため、説明を省略する。
【0114】
[画素の構成]
図14は、本技術の第3の実施の形態における画素110の構成例を示す模式図である。同図の画素110は、補助電荷転送部118および補助電荷保持部119を備える点で、
図5において説明した画素110と異なっている。これら補助電荷転送部118および補助電荷保持部119は光電変換部111と生成電荷転送部112との間に配置されている。
【0115】
補助電荷保持部119は、ウェル領域141に形成されたn型半導体領域149により構成され、電荷保持領域(C2)として動作する。このn型半導体領域149の上部には、シリコン酸化膜157を介して補助電荷保持ゲート137が配置されている。また、このn型半導体領域149は、例えば10
16乃至10
17/cm
3の不純物濃度に形成される。光電変換部111のn型半導体領域144および生成電荷保持部115のn型半導体領域146の中間の不純物濃度に形成されるため、前述した階段状のポテンシャルが形成される。
【0116】
補助電荷転送部118は、光電変換部111および補助電荷保持部119の間のp型半導体領域をチャンネル領域とし、このチャンネル領域の上部にシリコン酸化膜156を介してゲート136が配置されて構成されている。また、このゲート136は、ゲート137と接続されている。このゲート136に正の電圧が印加されると補助電荷転送部118は導通する。その結果、光電変換部111のn型半導体領域144に蓄積された電荷が補助電荷保持部119のn型半導体領域149に転送される。このように、補助電荷転送部118は、n型半導体領域144および149をソースおよびドレイン領域とするMOSトランジスタと等価である。また、補助電荷保持部119は、このMOSトランジスタのソース領域に形成されたものと捉えることができる。
【0117】
[撮像装置の駆動方法]
図15は、本技術の第3の実施の形態における撮像装置10の駆動方法を例示する図である。同図は、撮像装置10における入力信号線(OFG、RST、TR1、TR2、TR3、SEL、SH1、SH2およびSH3)および出力信号線(信号線102および信号線301)の信号を表すタイムチャートである。同図のうち、期間T0乃至T8は画素アレイ部100の全ての画素110を同時に駆動する期間であり、期間T9乃至T18は画素アレイ部100の画素110を1行毎に順に駆動する期間である。
【0118】
[期間T0乃至T8]
図16は、本技術の第3の実施の形態における画素110の動作状態(期間T0乃至T4)を示す図である。また、
図17は、本技術の第3の実施の形態における画素110の動作状態(期間T5乃至T8)を示す図である。これらの図は、
図15における期間T0乃至T4および期間T5乃至T8に対応した画素110の動作状態を表したポテンシャル図である。また、これらの図には、
図14における半導体基板に配置された各部の状態が表されている。
【0119】
露光開始前の待機状態では、補助電荷転送部118、生成電荷転送部112、保持電荷配分部113、電荷排出部114およびオーバーフローゲート117には入力信号が印加されず、非導通の状態になる(
図15におけるT0、
図16におけるa)。
【0120】
次に、OFGにオン信号を入力してオーバーフローゲート117を導通させる。これにより、光電変換部111に蓄積されていた電荷が排出される(
図15におけるT1、
図16におけるb)。
【0121】
この電荷が排出された後にオーバーフローゲート117を非導通にする。これにより、全ての画素110において同時に露光が開始される(
図15におけるT2、
図16におけるc)。
【0122】
所定の露光期間の経過後に、RST、TR1およびTR2にオン信号を入力して生成電荷転送部112、保持電荷配分部113および電荷排出部114を導通させる。これにより、補助電荷保持部119および生成電荷保持部115に蓄積されていた暗電流に基づく電荷が排出される(
図15におけるT3、
図16におけるd)。
【0123】
次に、生成電荷転送部112を非導通にし(
図15におけるT4、
図16におけるe)、保持電荷配分部113を非導通にし(
図15におけるT5、
図17におけるf)、電荷排出部114を非導通にする(
図15におけるT6、
図17におけるg)。
【0124】
次に、TR3およびTR2にオン信号を入力して補助電荷転送部118および生成電荷転送部112を導通させる。これにより、光電変換部111に蓄積された電荷は、補助電荷保持部119および生成電荷保持部115に転送される(
図15におけるT7、
図17におけるh)。なお、この際の生成電荷転送部112による転送が前述した生成電荷転送部112における第1の転送に該当する。その後、補助電荷転送部118および生成電荷転送部112を非導通にする。これにより、全ての画素110において同時に露光が停止される(
図15におけるT8、
図17におけるi)。
【0125】
[期間T9乃至T18]
図18は、本技術の第3の実施の形態における画素110の動作状態(期間T9乃至T13)を示す図である。また、
図19は、本技術の第3の実施の形態における画素110の動作状態(期間T14乃至T17)を示す図である。
【0126】
期間T8に続いて、RSTにオン信号を入力して、電荷排出部114を導通させる(
図15におけるT9、
図18におけるa)。出力電荷保持部116に蓄積されていた暗電流に基づく電荷が排出された後、電荷排出部114を非導通にする(
図15におけるT10、
図18におけるb)。
【0127】
次に、TR1およびSELにオン信号を入力して保持電荷配分部113およびMOSトランジスタ122を導通させる。これにより、生成電荷保持部115に保持されていた電荷が生成電荷保持部115および出力電荷保持部116に均一に配分され(保持電荷配分部113における第1の配分に該当)、第1の画像信号(A)が信号線102に出力される。さらに、SH1にオン信号を入力することにより、信号線102に出力された第1の画像信号が信号処理部320のサンプルアンドホールド回路321にサンプリングされる(
図15におけるT11、
図18におけるc)。
【0128】
次に、TR1にオン信号を入力した状態で、RSTにオン信号を入力して保持電荷配分部113および電荷排出部114を導通させる。これにより生成電荷保持部115および出力電荷保持部116に保持されていた電荷が排出される(
図15におけるT12、
図18におけるd)。なお、期間T11から期間T12に移行する際、SH1におけるオン信号の入力が停止される。これにより、信号線102に出力されていた第1の画像信号(A)がサンプルアンドホールド回路321にホールドされる。
【0129】
次に、保持電荷配分部113を非導通にし(
図15におけるT13、
図18におけるe)、電荷排出部114を非導通にする(
図15におけるT14、
図19におけるf)。
【0130】
次に、TR1およびSELにオン信号を入力して保持電荷配分部113およびMOSトランジスタ122を導通させる。これにより、基準信号(B)が信号線102に出力される。さらに、SH2にオン信号を入力することにより、信号線102に出力された基準信号が信号処理部320のサンプルアンドホールド回路322にサンプリングされる(
図15におけるT15、
図19におけるg)。なお、この基準信号の生成の直前に保持電荷配分部113を一旦非導通にし(
図15におけるT13)、その後導通させる(図におけるT15)。これにより、第1の画像信号の生成の際と同様のノイズが基準信号に重畳される。
【0131】
次に、保持電荷配分部113を導通させた状態で、TR2にオン信号を入力して生成電荷転送部112を導通させる(
図15におけるT16、
図19におけるh)。これにより、補助電荷保持部119に保持されていた電荷が生成電荷保持部115に転送される(生成電荷転送部112における第2の転送に該当)。なお、期間T15から期間T16に移行する際、SH2におけるオン信号の入力が停止され、信号線102に出力されていた基準信号(B)がサンプルアンドホールド回路322にホールドされる。
【0132】
次に、生成電荷転送部112を非導通にするとともにSELにオン信号を入力してMOSトランジスタ122を導通させる。一方、保持電荷配分部113は、引き続き導通させた状態にする。これにより、生成電荷保持部115に保持されていた電荷が生成電荷保持部115および出力電荷保持部116に均一に配分され(保持電荷配分部113における第2の配分に該当)、第2の画像信号(C)が信号線102に出力される。さらに、SH3にオン信号を入力することにより、信号線102に出力された第2の画像信号が信号処理部320のサンプルアンドホールド回路324にサンプリングされる(
図15におけるT17、
図19におけるi)。
【0133】
次に、保持電荷配分部113およびMOSトランジスタ122を非導通にする(
図15におけるT18)。また、期間T17から期間T18に移行する際、SH3におけるオン信号の入力が停止される。これにより、信号線102に出力されていた第2の画像信号(C)がサンプルアンドホールド回路324にホールドされる。その後、信号処理部320の減算器323および325ならびに加算器326により演算(A+C−B×2)が行われて信号線301に演算の結果が出力される。これにより、1行分の画像信号の処理が終了する。
【0134】
期間T9乃至T17の処理を全ての行について行うことにより1つのフレームにおける画像信号の転送が終了する。静止状態を経て期間T1の処理に移行し、次のフレームの露光が開始される。
【0135】
このように、本技術の第3の実施の形態では、生成電荷保持部115のn型半導体領域146より低い不純物濃度に形成されたn型半導体領域149を有する補助電荷保持部119を備え、補助電荷保持部119および生成電荷保持部115に電荷を保持させる。補助電荷保持部119に保持された電荷に基づく画像信号の生成の際には、保持電荷配分部113の導通および非導通を切り替える必要がないため、ノイズの影響を低減することができる。このため、低照度環境において高精度の撮像を行うことができる。
【0136】
上述のように本技術の実施の形態では、生成電荷保持部115および出力電荷保持部116に電荷を均一に配分して画像信号を生成する。さらに、生成電荷保持部115のn型半導体領域146の不純物濃度を出力電荷保持部116のn型半導体領域147と略同一にすることにより、n型半導体領域146の容量を高め、生成電荷保持部115の面積を小さくすることができる。このため画素110および撮像装置10を小型にすることが可能になる。
【0137】
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、特許請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、特許請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
【0138】
また、上述の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。この記録媒体として、例えば、CD(Compact Disc)、MD(MiniDisc)、DVD(Digital Versatile Disc)、メモリカード、ブルーレイディスク(Blu-ray(登録商標)Disc)等を用いることができる。
【0139】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって、限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0140】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)所定の露光期間の露光量に応じた電荷を生成する光電変換部と、
半導体基板における所定の不純物濃度に形成されて前記電荷を保持する生成電荷保持部と、
前記露光期間の経過後に前記光電変換部と前記生成電荷保持部との間を導通させて前記電荷を前記光電変換部から前記生成電荷保持部に転送する生成電荷転送部と、
前記生成電荷保持部と略同一の不純物濃度に形成されて前記電荷を保持する出力電荷保持部と、
前記生成電荷保持部と前記出力電荷保持部との間を導通させて前記生成電荷保持部に保持されていた前記電荷を前記生成電荷保持部および前記出力電荷保持部に均一に配分する保持電荷配分部と、
前記保持電荷配分部における前記配分の後に前記出力電荷保持部に保持された前記電荷に応じた信号を画像信号として生成する信号生成部と
を具備する固体撮像装置。
(2)前記信号生成部における前記画像信号の生成の後に前記出力電荷保持部に保持された前記電荷を排出する電荷排出部をさらに具備し、
前記信号生成部は、前記電荷排出部における前記排出の後に前記信号を基準信号としてさらに生成し、
前記保持電荷配分部は、前記電荷排出部における前記排出の際および前記信号生成部における前記基準信号の生成の際に前記配分をさらに行う
前記(1)に記載の固体撮像装置。
(3)前記保持電荷配分部は、前記電荷排出部における前記排出と前記信号生成部における前記基準信号の生成との間に前記生成電荷保持部と前記出力電荷保持部との間を一旦非導通にした後に導通させる前記(2)に記載の固体撮像装置。
(4)前記画像信号から前記基準信号を減算する信号処理部をさらに備える前記(2)または(3)に記載の固体撮像装置。
(5)前記生成電荷保持部のポテンシャルを制御する生成電荷保持ゲート部をさらに具備し、
前記生成電荷転送部は、前記導通を制御する生成電荷転送ゲート部を備えるとともに当該生成電荷転送ゲート部は前記生成電荷保持ゲート部と接続される
前記(1)から(3)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(6)前記生成電荷保持部より低い不純物濃度に形成されて前記電荷を保持する補助電荷保持部と、
前記露光期間の経過後に前記光電変換部と前記補助電荷保持部との間を導通させて前記電荷を前記光電変換部から前記補助電荷保持部に転送する補助電荷転送部と
をさらに具備し、
前記生成電荷転送部は、前記補助電荷保持部および前記生成電荷保持部を導通させることにより実行される前記補助電荷保持部に保持された前記電荷の前記生成電荷保持部への転送を前記補助電荷転送部における前記転送と同期した第1の転送および当該第1の転送の後の第2の転送として行い、
前記保持電荷配分部は、前記生成電荷転送部における前記第1の転送および前記第2の転送の後に前記配分をそれぞれ第1の配分および第2の配分として行い、
前記信号生成部は、前記保持電荷配分部における前記第1の配分および前記第2の配分の後に前記信号をそれぞれ第1の画像信号および第2の画像信号として生成する
前記(1)に記載の固体撮像装置。
(7)前記信号生成部における前記第1の画像信号の生成と前記生成電荷転送部における前記第2の転送との間に前記出力電荷保持部に保持された前記電荷を排出する電荷排出部をさらに具備し、
前記信号生成部は、前記電荷排出部における前記排出と前記生成電荷転送部における前記第2の転送との間に前記信号を基準信号としてさらに生成し、
前記保持電荷配分部は、前記電荷排出部における前記排出の際および前記信号生成部における前記基準信号の生成の際に前記配分をさらに行う
前記(6)に記載の固体撮像装置。
(8)前記保持電荷配分部は、前記電荷排出部における前記排出と前記信号生成部における前記基準信号の生成との間に前記生成電荷保持部と前記出力電荷保持部との間を一旦非導通にした後に導通させる前記(7)に記載の固体撮像装置。
(9)前記第1の画像信号および前記第2の画像信号を加算した値から前記基準信号を2倍した値を減算する信号処理部をさらに具備する前記(7)または(8)に記載の固体撮像装置。
(10)前記補助電荷保持部のポテンシャルを制御する補助電荷保持ゲート部をさらに具備し、
前記補助電荷転送部は、前記導通を制御する補助電荷転送ゲート部を備えるとともに当該補助電荷転送ゲート部は前記補助電荷保持ゲート部と接続される
前記(6)から(8)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(11)所定の不純物濃度に形成されて所定の露光期間の露光量に応じた電荷を保持する生成電荷保持部に前記電荷を転送して保持させる生成電荷転送手順と、
前記生成電荷保持部に保持されていた前記電荷を前記生成電荷保持部と略同一の不純物濃度に形成されて前記電荷を保持する出力電荷保持部および前記生成電荷保持部に均一に配分する保持電荷配分手順と、
前記出力電荷保持部に保持された前記電荷に応じた信号を画像信号として生成する信号生成手順と
を具備する固体撮像装置の駆動方法。