【実施例】
【0069】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。但し、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
【0070】
1.イオン捕捉剤の評価方法
(1)水分含有率
イオン捕捉剤を150℃で20時間真空乾燥した後、水分含有率をカールフッシャー法で測定した。
【0071】
(2)pH測定
下記(3)でイオン捕捉剤を添加した後の液のpHを、堀場製作所社製ガラス電極式水素イオン濃度指示計「D−51」(型式名)によって測定した。測定は、JIS Z 8802「pH測定方法」に準拠し、測定温度は25℃で行った。
【0072】
(3)金属イオン含有水溶液中におけるイオン捕捉剤の金属イオン捕捉能
金属イオン捕捉能を、ICP発光分光分析法によって評価した。具体的な評価方法は、次の通りである。
まず、Li
+、Ni
2+又はMn
2+について、各々の金属硫酸塩及び純水を用いて100ppmの金属イオン溶液を調製した。その調製溶液に対し、イオン捕捉剤が1.0質量%となるように添加し、十分混合した後、静置した。そして、イオン捕捉剤を添加して20時間後の各々の金属イオン濃度を、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製ICP発光分光装置「iCA7600 DUO」(型式名)にて測定した。
【0073】
(4)モデル電解液中における金属イオン捕捉能
リチウムイオン二次電池への適用を想定し、モデル電解液中における金属イオン捕捉能を評価した。溶媒としてジエチルカーボネート(DEC)とエチレンカーボネート(EC)とを、体積比でDEC/EC=1/1となるように混合した溶液を用いた。また、溶質としてテトラフルオロホウ酸ニッケルを用いた。
先ず、所定量の溶媒に、溶質を、初期Ni
2+イオンの濃度が100質量ppmとなるように加え、モデル電解液とした。
次いで、このモデル電解液30mLをガラス瓶に入れ、ここにイオン捕捉剤を0.3g投入した。混合液を、25℃で約1分間撹拌した後、25℃で静置した。約20時間後のNi
2+イオンの濃度をサーモフィッシャーサイエンティフィック社製ICP発光分光装置「iCA7600 DUO」(型式名)にて測定した。尚、測定試料の前処理には酸分解(マイクロウェーブ法)を行った。
【0074】
2.イオン捕捉剤の製造及び評価
合成例1
脱イオン水850mLに、オキシ塩化ジルコニウム8水和物0.272モルを溶解後、シュウ酸2水和物0.788モルを添加して、これを溶解させた。次いで、この水溶液を撹拌しながら、リン酸0.57モルを加えた。そして、この混合液を撹拌しながら、103℃で8時間還流した。冷却後、得られた沈殿物をよく水で洗浄し、150℃で乾燥することにより、リン酸ジルコニウムからなる粉末を得た。この得られたリン酸ジルコニウムについて分析した結果、α−リン酸ジルコニウム(H型)(以下、「α−リン酸ジルコニウム(Z1)」という)であることを確認した。
上記α−リン酸ジルコニウム(Z1)を、フッ酸を添加した硝酸で煮沸溶解した後、ICP発光分光分析法により、次の組成式を得た。
ZrH
2.03(PO
4)
2.01・0.05H
2O
また、α−リン酸ジルコニウム(Z1)のメジアン径を、堀場製作所製レーザー回折式粒度分布計「LA−700」(型式名)により測定した結果、0.9μmであった。
【0075】
実施例1
合成例1で得られたα−リン酸ジルコニウム(Z1)100gを、0.1N−LiOH水溶液1000mLを撹拌しながら、これに添加し、混合液を8時間撹拌した。その後、沈殿物を水洗し、150℃で20時間真空乾燥して、ZrLi
0.3H
1.73(PO
4)
2.01・0.06H
2Oからなるリチウムイオン置換型α−リン酸ジルコニウムを製造した。水分含有率は0.4%であった。このリチウムイオン置換型α−リン酸ジルコニウムは、すべての陽イオン交換容量のうち、1meq/gをリチウムイオンに置換したものであり、以下、「1meq−Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A1−1)」とした。
次いで、この1meq−Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A1−1)をイオン捕捉剤として用いて、上記の評価(3)及び(4)を行い、その結果を表1に示した。
【0076】
実施例2
0.1N−LiOH水溶液の使用量を3000mLとした以外は、実施例1と同様の操作を行い、ZrLi
1.03H
1.00(PO
4)
2.01・0.1H
2Oからなるリチウムイオン置換型α−リン酸ジルコニウムを製造した。水分含有率は0.3%であった。以下、「3meq−Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A1−2)」とした。
次いで、この3meq−Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A1−2)をイオン捕捉剤として用いて、上記の評価(3)及び(4)を行い、その結果を表1に示した。
【0077】
実施例3
0.1N−LiOH水溶液の使用量を7000mLとした以外は、実施例1と同様の操作を行い、ZrLi
2.03(PO
4)
2.01・0.2H
2Oからなるリチウムイオン置換型α−リン酸ジルコニウムを製造した。水分含有率は0.3%であった。このリチウムイオン置換型α−リン酸ジルコニウムは、全ての陽イオン交換容量(6.7meq/g)がリチウムイオンに置換されたものであり、以下、「全Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A1−3)」とした。
次いで、この全Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A1−3)をイオン捕捉剤として用いて、上記の評価(3)及び(4)を行い、その結果を表1に示した。
【0078】
合成例2
脱イオン水400mLに、75%リン酸405gを加え、この水溶液を撹拌しながら、硫酸チタニル(TiO
2換算含有量;33%)137gを添加した。次いで、これを撹拌しながら100℃で48時間還流した。冷却後、得られた沈殿物をよく水で洗浄し、150℃で乾燥することにより、リン酸チタンからなる粉末を得た。このリン酸チタンについて分析した結果、α−リン酸チタン(H型)であることを確認した。
上記α−リン酸チタンを、フッ酸を添加した硝酸の中で煮沸溶解した後、ICP発光分光分析に供することにより、次の組成式を得た。
TiH
2.03(PO
4)
2.01・0.1H
2O
また、α−リン酸チタンのメジアン径を測定した結果、0.7μmであった。
【0079】
実施例4
合成例2で得られたα−リン酸チタン100gを、0.1N−LiOH水溶液1000mLを撹拌しながら、これに添加し、混合液を8時間撹拌した。その後、沈殿物を水洗し、150℃で乾燥して、TiLi
0.3H
1.73(PO
4)
2.01・0.2H
2Oからなるリチウムイオン置換型α−リン酸チタンを製造した。水分含有率は0.5%であった。このリチウムイオン置換型α−リン酸チタンは、すべての陽イオン交換容量のうち、1meq/gがリチウムイオンに置換されたものである。以下、「1meq−Li置換型α−リン酸チタン(B−1)」とした。
次いで、この1meq−Li置換型α−リン酸チタン(B−1)をイオン捕捉剤として用いて、上記の評価(3)及び(4)を行い、その結果を表1に示した。
【0080】
実施例5
0.1N−LiOH水溶液の使用量を3000mLに代えた以外は、実施例4と同様の操作を行い、TiLi
1.00H
1.03(PO
4)
2.01・0.1H
2Oからなるリチウムイオン置換型α−リン酸チタンを製造した。水分含有率は0.3%であった。以下、「3meq−Li置換型α−リン酸チタン(B−2)」とした。
次いで、この3meq−Li置換型α−リン酸チタン(B−2)をイオン捕捉剤として用いて、上記の評価(3)及び(4)を行い、その結果を表1に示した。
【0081】
実施例6
0.1N−LiOH水溶液の使用量を7000mLに代えた以外は、実施例4と同様の操作を行い、TiLi
2.03(PO
4)
2.01・0.1H
2Oからなるリチウムイオン置換型α−リン酸チタンを製造した。水分含有率は0.3%であった。このリチウムイオン置換型α−リン酸チタンは、全ての陽イオン交換容量(7.0meq/g)がリチウムイオンに置換されたものであり、以下、「全Li置換型α−リン酸チタン(B−3)」とした。
次いで、この全Li置換型α−リン酸チタン(B−3)をイオン捕捉剤として用いて、上記の評価(3)及び(4)を行い、その結果を表1に示した。
【0082】
合成例3
脱イオン水850mLに、Hfの含有量が0.18%であるオキシ塩化ジルコニウム8水和物0.272モルを溶解後、シュウ酸2水和物0.788モルを添加して、これを溶解させた。次いで、この水溶液を撹拌しながら、リン酸0.57モルを加えた。そして、この混合液を撹拌しながら、98℃で8時間還流した。冷却後、得られた沈殿物をよく水で洗浄した後、150℃で乾燥することにより、リン酸ジルコニウムからなる鱗片状粉末を得た。このリン酸ジルコニウムについて分析した結果、α−リン酸ジルコニウム(H型)(以下、「α−リン酸ジルコニウム(Z2)」という)であることを確認した。
上記α−リン酸ジルコニウム(Z2)を、フッ酸を添加した硝酸の中で煮沸溶解した後、ICP発光分光分析に供することにより、次の組成式を得た。
Zr
0.99Hf
0.01H
2.03(PO
4)
2.01・0.05H
2O
また、α−リン酸ジルコニウム(Z2)のメジアン径は、0.8μmであった。
【0083】
実施例7
合成例3で得られたα−リン酸ジルコニウム(Z2)100gを、0.1N−LiOH水溶液1000mLを撹拌しながら、これに添加し、混合液を8時間撹拌した。その後、沈殿物を水洗し、150℃で20時間真空乾燥して、Zr
0.99Hf
0.01Li
0.3H
1.73(PO
4)
2.01・0.07H
2Oからなるリチウムイオン置換型α−リン酸ジルコニウムを製造した。水分含有率は0.4%であった。このリチウムイオン置換型α−リン酸ジルコニウムは、すべての陽イオン交換容量のうち、1meq/gをリチウムイオンに置換したものであり、「1meq−Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A2−1)」とした。
次いで、この1meq−Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A2−1)をイオン捕捉剤として用いて、上記の評価(3)及び(4)を行い、その結果を表1に示した。
【0084】
実施例8
0.1N−LiOH水溶液の使用量を3000mLとした以外は、実施例7と同様の操作を行い、Zr
0.99Hf
0.01Li
1.03H
1.00(PO
4)
2.01・0.1H
2Oからなるリチウムイオン置換型α−リン酸ジルコニウムを製造した。水分含有率は0.3%であった。以下、「3meq−Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A2−2)」とした。
次いで、この3meq−Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A2−2)をイオン捕捉剤として用いて、上記の評価(3)及び(4)を行い、その結果を表1に示した。
【0085】
実施例9
0.1N−LiOH水溶液の使用量を7000mLとした以外は、実施例7と同様の操作を行い、Zr
0.99Hf
0.01Li
2.03(PO
4)
2.01・0.2H
2Oからなるリチウムイオン置換型α−リン酸ジルコニウムを製造した。水分含有率は0.3%であった。このリチウムイオン置換型α−リン酸ジルコニウムは、全ての陽イオン交換容量(6.7meq/g)がリチウムイオンに置換されたものであり、以下、「全Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A2−3)」とした。
次いで、この全Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A2−3)をイオン捕捉剤として用いて、上記の評価(3)及び(4)を行い、その結果を表1に示した。
【0086】
実施例10
テイカ社製トリポリリン酸二水素アルミニウム「K−FRESH #100P」(商品名)をビーズミルで粉砕し、微粉末を得た。次いで、100gの微粉末を、0.1N−LiOH水溶液に加えた。この混合物を8時間撹拌した後、水洗及び濾別を行い、残渣を150℃で乾燥することにより、AlLi
2P
3O
10・0.2H
2Oからなるリチウムイオン置換型トリポリリン酸二水素アルミニウムを製造した。メジアン径は0.8μm、水分含有率は0.3%であった。このリチウムイオン置換型トリポリリン酸二水素アルミニウムは、全ての陽イオン交換容量(6.9meq/g)がリチウムイオンに置換されたものであり、以下、「全Li置換型トリポリリン酸リン酸二水素アルミニウム(C−1)」とした。
次いで、この全Li置換型トリポリリン酸リン酸二水素アルミニウム(C−1)をイオン捕捉剤として用いて、上記の評価(3)及び(4)を行い、その結果を表1に示した。
【0087】
比較例1
700mmol/Lの塩化アルミニウム水溶液500mLに、350mmol/Lのオルトケイ酸ナトリウム水溶液500mLを加え、30分間撹拌した。次いで、この混合液に、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液330mLを加え、pH6.1に調整した。
pH調整した液を30分間撹拌後、5分間の遠心分離を行った。遠心分離後、上澄み液を除去した。そして、回収したゲル状沈殿物に純水を添加して、これを再分散させ、遠心分離前の容積とした。この遠心分離による脱塩処理を3回行った。
次に、この分散液を乾燥器に入れ、98℃で48時間加熱し、アルミニウムケイ酸塩濃度が47g/Lの分散液を得た。そして、この分散液に、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を188mL添加し、pH=9.1に調整した。pH調整により液中のアルミニウムケイ酸塩を凝集させた。その後、5分間の遠心分離でこの凝集物を沈殿させ、上澄み液を除去した。そして、回収した凝集物に純水を添加して、遠心分離前の容積とする、という脱塩処理を3回行った。
脱塩処理3回目の上澄み排出後に得たゲル状沈殿物を、60℃で16時間乾燥して30gの粉末を得た。以下、この粉末を「アルミニウムケイ酸塩」とした。
次いで、このアルミニウムケイ酸塩をイオン捕捉剤として用いて、上記の評価(3)及び(4)を行い、その結果を表1に示した。
【0088】
比較例5
市販のY型ゼオライト「ミズカシーブス Y−520」(水澤化学社製)50gを0.05M−HNO
3溶液10Lに入れ、室温で8時間撹拌した。その後、沈殿物を水洗し、150℃で20時間乾燥して、ナトリウムが除去されたゼオライトを得た。次に、このゼオライト10gを0.1M−LiOH水溶液1Lに入れ、室温で8時間撹拌した。その後、沈殿物を水洗し、150℃で20時間乾燥して、「Li置換Y型ゼオライト」を得た。
次いで、このLi置換Y型ゼオライトをイオン捕捉剤として用いて、上記の評価(3)及び(4)を行い、その結果を表1に示した。
【0089】
上記以外の比較例では、次の材料をイオン捕捉剤として使用した。これらのイオン捕捉剤は、150℃で20時間乾燥した後、使用した。
比較例2:和光純薬工業社製 活性炭素(試薬)「破砕状、2mm〜5mm」
比較例3:和光純薬工業社製 シリカゲル(試薬)「小粒状(白色)」
比較例4:水澤化学社製 Y型ゼオライト「ミズカシーブス Y−520」(商品名)
比較例6:合成例1で合成したα−リン酸ジルコニウム(Z1)
比較例7:合成例2で合成したα−リン酸チタン
比較例8:協和化学社製 ハイドロタルサイト「DHT−4H」(商品名)
【0090】
【表1】
【0091】
表1から明らかなように、実施例1〜10のイオン捕捉剤は、水中におけるNi
2+及びMn
2+を選択的に捕捉し、イオン吸着能に優れることが分かる。また、モデル電解液を用いた試験においても、実施例1〜10のイオン捕捉剤は、高いイオン捕捉性を示した。これらの結果より、本発明のイオン捕捉剤は、リチウムイオン二次電池に不要なNi
2+及びMn
2+を捕捉する一方で、充放電に必須なLi
+は捕捉しないため、リチウムイオン二次電池の性能を阻害することなく、短絡の発生を抑えることができる。
また、実施例1〜10のイオン捕捉剤を含む液は中性であったので、電解液に配合した場合でも抵抗の上昇が起こることはない。
【0092】
3.セパレーターの製造及び評価
上記のイオン捕捉剤、ポリビニルアルコール等を用いて、イオン捕捉剤加工液を調製し、その後、このイオン捕捉剤加工液を、空孔率が50%〜60%であり、厚さが20μmである多孔性のポリエチレンフィルム(多孔質基材)に塗布し、イオン捕捉剤を含むセパレーターを得た。
そして、得られたセパレーターと、キシダ化学社製非水電解液とを用いて、Ni
2+イオンの捕捉試験を行った。尚、上記非水電解液は、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを、体積比でEC/EMC=3/7となるように混合した溶媒に、支持電解質として1M−LiBF
4を含むものである。
初めに、上記非水電解液に、Ni
2+が100質量ppmとなるように、Ni(BF
4)・6H
2Oを溶解させ、試験溶液を調製した。直径9cmのシャーレに、セパレーター(50mm×50mm)、及び、試験溶液10mLを入れて蓋をして、25℃で静置した。20時間後、セパレーターを取り出して、試験溶液を回収し、これをイオン交換水で100倍に希釈した。次いで、この希釈液におけるNi
2+イオンの濃度を、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製ICP発光分光装置「iCA7600 DUO」(型式名)にて測定した。得られた結果を表2に示した。
【0093】
実施例11
実施例3で得られた全Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A1−3)と、ポリビニルアルコール(平均重合度1700、ケン化度99%以上)と、イオン交換水とを、それぞれ、5質量部、95質量部及び100質量部の割合で用い、これらを、直径0.5mmの東レ社製酸化ジルコニウムビーズ「トレセラム」(登録商標)とともにポリプロピレン製の容器に入れ、東洋精機製作所製「ペイントシェーカー」により4時間分散させた。その後、得られた分散液を、濾過限界5μmのフィルターで濾過し、イオン捕捉剤加工液を得た。
次に、上記多孔質基材(ポリエチレンフィルム)の片面に、イオン捕捉剤加工液をグラビアコート法にて塗布し、厚さ10μmの塗膜を得た。そして、50℃の熱風乾燥炉内を10秒間通過させることにより、乾燥及び定着させ、
図2の断面構造を有し、厚さが25μmのセパレーター(S1)を得た。このセパレーター(S1)を、1000℃で2時間焼成し、焼成残渣から全Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A1−3)の担持量を計算したところ、1.0mg/cm
2であった。
【0094】
実施例12
実施例3で得られた全Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A1−3)を、真空中、150℃で20時間、その後、350℃で4時間加熱し、焼成物を得た。得られた焼成物は、ZrLi
2.03(PO
4)
2.01で示され、メジアン粒径は、0.9μmであった。
その後、この焼成物を、全Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A1−3)に代えて用いた以外は、実施例11と同様にして、イオン捕捉剤加工液の調製及びセパレーターの製造を行った。得られたセパレーター(S2)の厚さは、25μmであり、焼成物の担持量は、1.1mg/cm
2であった。
【0095】
実施例13
全Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A1−3)に代えて、3meq−Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A1−2)を用いた以外は、実施例11と同様にして、イオン捕捉剤加工液の調製及びセパレーターの製造を行った。得られたセパレーター(S3)の厚さは、25μmであり、3meq−Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A1−2)の担持量は、1.0mg/cm
2であった。
【0096】
実施例14
全Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A1−3)に代えて、全Li置換型α−リン酸チタン(B−3)を用いた以外は、実施例11と同様にして、イオン捕捉剤加工液の調製及びセパレーターの製造を行った。得られたセパレーター(S4)の厚さは、25μmであり、全Li置換型α−リン酸チタン(B−3)の担持量は、0.8mg/cm
2であった。
【0097】
実施例15
全Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A1−3)に代えて、3meq−Li置換型α−リン酸チタン(B−2)を用いた以外は、実施例11と同様にして、イオン捕捉剤加工液の調製及びセパレーターの製造を行った。得られたセパレーター(S5)の厚さは、25μmであり、3meq−Li置換型α−リン酸チタン(B−2)の担持量は、0.8mg/cm
2であった。
【0098】
実施例16
全Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A1−3)に代えて、全Li置換型トリポリリン酸二水素アルミニウム(C−1)を用いた以外は、実施例11と同様にして、イオン捕捉剤加工液の調製及びセパレーターの製造を行った。得られたセパレーター(S6)の厚さは、25μmであり、全Li置換型トリポリリン酸二水素アルミニウム(C−1)の担持量は、1.1mg/cm
2であった。
【0099】
実施例17
実施例11で調製したイオン捕捉剤加工液を、上記多孔質基材(ポリエチレンフィルム)の両面に塗布した以外は、実施例11と同様の操作を行って、イオン捕捉剤を両面に担持させたセパレーター(S7)を得た。得られたセパレーター(S7)の厚さは、30μmであり、全Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A1−3)の担持量は、合計2.0mg/cm
2であった。
【0100】
実施例18
実施例11で調製したイオン捕捉剤加工液の塗布量を減量した以外は、実施例11と同様の操作を行って、
図2の断面構造を有するセパレーター(S8)を得た。得られたセパレーター(S8)の厚さは、23μmであり、全Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A1−3)の担持量は、0.5mg/cm
2であった。
【0101】
実施例19
実施例11で調製したイオン捕捉剤加工液の塗布量を増量した以外は、実施例11と同様の操作を行って、
図2の断面構造を有するセパレーター(S9)を得た。得られたセパレーター(S9)の厚さは、35μmであり、全Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A1−3)の担持量は、3.0mg/cm
2であった。
【0102】
実施例20
実施例3で得られた全Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A1−3)と、ポリビニルアルコール(平均重合度1700、ケン化度99%以上)と、イオン交換水とを、それぞれ、85質量部、15質量部及び100質量部の割合で用いて、実施例11と同様にして得られたイオン捕捉剤加工液を用いた以外は、実施例11と同様の操作を行って、
図2の断面構造を有するセパレーター(S10)を得た。得られたセパレーター(S10)の厚さは、25μmであり、全Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A1−3)の担持量は、0.9mg/cm
2であった。
【0103】
比較例9
上記多孔質基材(ポリエチレンフィルム)のみをセパレーター(S11)として評価した。
【0104】
比較例10
全Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A1−3)に代えて、メジアン径0.8μmのアルミナ粒子を用いた以外は、実施例11と同様にして、イオン捕捉剤加工液の調製及びセパレーターの製造を行った。得られたセパレーター(S12)の厚さは、25μmであり、アルミナ粒子の担持量は、1.6mg/cm
2であった。
【0105】
比較例11
全Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A1−3)に代えて、合成例1で調製したα−リン酸ジルコニウム(Z1)を用いた以外は、実施例11と同様にして、イオン捕捉剤加工液の調製及びセパレーターの製造を行った。得られたセパレーター(S13)の厚さは、25μmであり、α−リン酸ジルコニウム(Z1)の担持量は、1.0mg/cm
2であった。
【0106】
比較例12
全Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A1−3)に代えて、合成例2で調製したα−リン酸チタン(H型)を用いた以外は、実施例11と同様にして、イオン捕捉剤加工液の調製及びセパレーターの製造を行った。得られたセパレーター(S14)の厚さは、25μmであり、α−リン酸チタン(H型)の担持量は、0.8mg/cm
2であった。
【0107】
比較例13
全Li置換型α−リン酸ジルコニウム(A1−3)に代えて、テイカ社製トリポリリン酸二水素アルミニウム「K−FRESH #100P」(商品名)をビーズミルで粉砕して得られた微粉末(メジアン粒径20μm)を用いた以外は、実施例11と同様にして、イオン捕捉剤加工液の調製及びセパレーターの製造を行った。得られたセパレーター(S15)の厚さは、25μmであり、トリポリリン酸二水素アルミニウムの担持量は、1.1mg/cm
2であった。
【0108】
【表2】
【0109】
表2から明らかなように、比較例9〜13のセパレーターは、Ni
2+イオンの捕捉が不十分であるのに対し、実施例11〜20のセパレーターは、5質量ppm以下に低減することができた。
【0110】
4.リチウムイオン二次電池の製造及び評価
実施例21
初めに、正極及び負極を作製し、その後、これらの正極及び負極と、実施例11で得られたセパレーター(S1)と、上記のキシダ化学社製非水電解液とを用いて、リチウムイオン二次電池を製造した。
【0111】
(1)正極の作製
90質量部のLi(Ni
1/3Mn
1/3Co
1/3)O
2(正極活物質)と、7質量部のアセチレンブラック(導電助剤)と、3質量部のポリフッ化ビニリデン(バインダー)と、100質量部のN−メチル−2−ピロリドン(溶媒)とを混合分散し、正極材含有スラリーを得た。
次いで、この正極材含有スラリーを、ドクターブレード法により、厚さ20μmのアルミニウム箔(正極集電体)の表面に、塗膜の厚さが30μmとなるように塗布し、乾燥させて正極活物質層を形成した。その後、ロールプレス機による圧縮成形、及び、所定の大きさ(35mm×70mm)への裁断を行って、リチウムイオン二次電池用正極を得た。
【0112】
(2)負極の作製
90質量部の非晶質炭素(負極活物質)と、7質量部のカーボンブラック(導電助剤)と、3質量部のポリフッ化ビニリデン(バインダー)と、100質量部のN−メチル−2−ピロリドン(溶媒)とを混合分散し、負極材含有スラリーを得た。
次いで、この負極材含有スラリーを、ドクターブレード法により、厚さ20μmの銅箔(負極集電体)の表面に、塗膜の厚さが30μmとなるように塗布し、乾燥させて負極活物質層を形成した。その後、ロールプレス機による圧縮成形、及び、所定の大きさ(35mm×70mm)への裁断を行って、リチウムイオン二次電池用負極を得た。
【0113】
(3)リチウムイオン二次電池の製造
負極と、40mm×80mmのセパレーター(S1)と、正極とを、セパレーター(S1)のイオン捕捉剤含有層側を正極に面するようにして、この順に積層し、これらを、アルミニウム包装材(電池の外装材)の中に収納した。次いで、キシダ化学社製非水電解液を、空気が混入しないように注入した。その後、内容物を密封するために、アルミニウム包装材の開口部に150℃のヒートシールを行って、50mm×80mm×6mmのアルミニウムラミネート外装のリチウムイオン二次電池(L1)を得た。尚、上記非水電解液は、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを、体積比でEC/EMC=3/7となるように混合した溶媒に、支持電解質として1M−LiPF
6を含むものである。
【0114】
次に、以下の方法で、リチウムイオン二次電池(L1)を初期化し、初期容量及びサイクル特性の測定並びに安全性試験を行った。その結果を表3に示す。
(初期化)
開回路の状態から、電池電圧が4.2Vになるまで、3時間率相当の定電流でリチウムイオン二次電池(L1)を充電した。電池電圧が4.2Vに達した後、電流値が0.1時間率相当になるまで4.2Vを保持した。この2つの充電工程を「標準条件での充電」といい、充電されたその状態を「満充電」という。
次いで、充電を停止し、30分間休止した。この工程を「休止」という。そして、3時間率相当の定電流の放電を開始し、電池電圧が3.0Vに達するまで放電させた。この工程を「標準条件での放電」という。その後、放電を停止し、「休止」を行った。
この後、「標準条件での充電」、「休止」、「標準条件での放電」及び「休止」のサイクルを3回繰り返した。そして、更に、「標準条件での充電」及び「休止」を行い、3時間率相当の定電流の放電を開始し、電池電圧が3.8Vに達するまで放電させた。この状態を「半充電」という。その後、1週間のエージングを行って、初期化を完了した。
尚、上記「時間率」は、電池の設計放電容量を所定の時間で放電する電流値と定義する。例えば、3時間率とは、電池の設計容量を3時間で放電する電流値である。更に、電池の容量をC(単位:Ah)とすると、3時間率の電流値はC/3(単位:A)となる。
【0115】
(A)初期容量の測定
初期化後のリチウムイオン二次電池(L1)を用いて、「標準条件での充電」、「休止」、「標準条件での放電」及び「休止」のサイクルを3回繰り返し、各回の放電容量を測定し、その平均値を「初期容量」とした。尚、表3に示す値は、イオン捕捉剤を含まないセパレーター(S11)を用いた比較例14における放電容量の平均値を「1.00」として規格化したものである。
【0116】
(B)サイクル特性の評価
初期容量を測定したリチウムイオン二次電池(L1)を40℃の恒温槽に入れ、二次電池の表面温度が40℃になった後、この状態を12時間保持した。次いで、「休止」を設けずに、「標準条件での充電」及び「標準条件での放電」のサイクルを200回繰り返した。この後、二次電池の放電容量を、「初期容量」と同様にして測定した。尚、表3に示す「試験後容量」は、イオン捕捉剤を含まないセパレーター(S11)を用いた比較例14における放電容量の平均値を「1.00」としたときの値である。この「試験後容量」により、サイクル特性(サイクル試験による劣化の程度)を評価した。
【0117】
(C)安全性試験
初期化後のリチウムイオン二次電池(L1)を4.2Vで充電をして満充電とした後、直径20mmの孔を有する拘束板の上に載置した。そして、この拘束板を、上部にφ3mmの鋼鉄製の釘が取り付けられたプレス機に配置した。プレス機を駆動させて、外装材に対して釘刺しを行い、強制的に内部短絡を発生させた。即ち、釘がリチウムイオン二次電池(L1)を貫通して、釘の先端部が拘束板の孔内に達するまで、釘を上方から80mm/秒の速度で移動させた。釘を抜いた後の電池を、室温、大気条件で観察した。1時間経過するまでに、発火及び破裂が発生しなかったものを合格として、表3に「○」で表記した。また、1時間以内に火花が発生したものを「×」で表記した。
【0118】
リチウムイオン二次電池(L1)では、釘が電池を貫通して短絡した後、すぐに、電池電圧が急激に低下した。短絡により発生したジュール熱により、貫通部付近の電池温度及び電池表面温度は、徐々に上昇し、最高で150℃付近まで上昇したが、それ以上の著しい発熱はなく、熱暴走には至らなかった。
【0119】
実施例22
負極、セパレーター(S1)及び正極を、セパレーター(S1)のイオン捕捉剤含有層側を負極に面するようにして積層した以外は、実施例21と同様にして、ラミセル型のリチウムイオン二次電池(L2)を得た。その後、実施例21と同様にして、初期容量及びサイクル特性の評価並びに安全性試験を行った。安全性試験では、リチウムイオン二次電池(L1)と同じ挙動を示した。以上の結果を表3に示す。
【0120】
実施例23
セパレーター(S1)に代えて、セパレーター(S2)を用いた以外は、実施例21と同様にして、ラミセル型のリチウムイオン二次電池(L3)を得た。その後、実施例21と同様にして、初期容量及びサイクル特性の評価並びに安全性試験を行った。安全性試験では、リチウムイオン二次電池(L1)と同じ挙動を示した。以上の結果を表3に示す。
【0121】
実施例24
セパレーター(S1)に代えて、セパレーター(S3)を用いた以外は、実施例21と同様にして、ラミセル型のリチウムイオン二次電池(L4)を得た。その後、実施例21と同様にして、初期容量及びサイクル特性の評価並びに安全性試験を行った。安全性試験では、リチウムイオン二次電池(L1)と同じ挙動を示した。以上の結果を表3に示す。
【0122】
実施例25
セパレーター(S1)に代えて、セパレーター(S4)を用いた以外は、実施例21と同様にして、ラミセル型のリチウムイオン二次電池(L5)を得た。その後、実施例21と同様にして、初期容量及びサイクル特性の評価並びに安全性試験を行った。安全性試験では、リチウムイオン二次電池(L1)と同じ挙動を示した。以上の結果を表3に示す。
【0123】
実施例26
セパレーター(S1)に代えて、セパレーター(S5)を用いた以外は、実施例21と同様にして、ラミセル型のリチウムイオン二次電池(L6)を得た。その後、実施例21と同様にして、初期容量及びサイクル特性の評価並びに安全性試験を行った。安全性試験では、リチウムイオン二次電池(L1)と同じ挙動を示した。以上の結果を表3に示す。
【0124】
実施例27
セパレーター(S1)に代えて、セパレーター(S6)を用いた以外は、実施例21と同様にして、ラミセル型のリチウムイオン二次電池(L7)を得た。その後、実施例21と同様にして、初期容量及びサイクル特性の評価並びに安全性試験を行った。安全性試験では、リチウムイオン二次電池(L1)と同じ挙動を示した。以上の結果を表3に示す。
【0125】
実施例28
セパレーター(S1)に代えて、両面にイオン捕捉剤含有層を有するセパレーター(S7)を用いた以外は、実施例21と同様にして、ラミセル型のリチウムイオン二次電池(L4)を得た。その後、実施例21と同様にして、初期容量及びサイクル特性の評価並びに安全性試験を行った。安全性試験では、リチウムイオン二次電池(L1)と同じ挙動を示した。以上の結果を表3に示す。
【0126】
実施例29
セパレーター(S1)に代えて、セパレーター(S8)を用いた以外は、実施例21と同様にして、ラミセル型のリチウムイオン二次電池(L9)を得た。その後、実施例21と同様にして、初期容量及びサイクル特性の評価並びに安全性試験を行った。安全性試験では、リチウムイオン二次電池(L1)と同じ挙動を示した。以上の結果を表3に示す。
【0127】
実施例30
セパレーター(S1)に代えて、セパレーター(S9)を用いた以外は、実施例21と同様にして、ラミセル型のリチウムイオン二次電池(L10)を得た。その後、実施例21と同様にして、初期容量及びサイクル特性の評価並びに安全性試験を行った。安全性試験では、リチウムイオン二次電池(L1)と同じ挙動を示した。以上の結果を表3に示す。
【0128】
実施例31
セパレーター(S1)に代えて、セパレーター(S10)を用いた以外は、実施例21と同様にして、ラミセル型のリチウムイオン二次電池(L11)を得た。その後、実施例21と同様にして、初期容量及びサイクル特性の評価並びに安全性試験を行った。安全性試験では、リチウムイオン二次電池(L1)と同じ挙動を示した。以上の結果を表3に示す。
【0129】
比較例14
セパレーター(S1)に代えて、セパレーター(S11)を用いた以外は、実施例21と同様にして、ラミセル型のリチウムイオン二次電池(L12)を得た。その後、実施例21と同様にして、初期容量及びサイクル特性の評価並びに安全性試験を行った。以上の結果を表3に示す。
安全性試験では、釘が電池を貫通して短絡した後、すぐに、電池電圧が急激に低下した。そして、貫通部付近の電池温度及び電池表面温度は、急上昇し、熱暴走状態となって、釘を抜いてから約40秒後に、最高で400℃以上になった。また,熱暴走後に貫通部から火花が発生し、高温の煙が噴出した。
【0130】
比較例15
セパレーター(S1)に代えて、セパレーター(S12)を用いた以外は、実施例21と同様にして、ラミセル型のリチウムイオン二次電池(L13)を得た。その後、実施例21と同様にして、初期容量及びサイクル特性の評価並びに安全性試験を行った。安全性試験では、リチウムイオン二次電池(L1)と同じ挙動を示した。以上の結果を表3に示す。
【0131】
比較例16
セパレーター(S1)に代えて、セパレーター(S13)を用いた以外は、実施例21と同様にして、ラミセル型のリチウムイオン二次電池(L14)を得た。その後、実施例21と同様にして、初期容量及びサイクル特性の評価並びに安全性試験を行った。安全性試験では、リチウムイオン二次電池(L1)と同じ挙動を示した。以上の結果を表3に示す。
【0132】
比較例17
セパレーター(S1)に代えて、セパレーター(S14)を用いた以外は、実施例21と同様にして、ラミセル型のリチウムイオン二次電池(L15)を得た。その後、実施例21と同様にして、初期容量及びサイクル特性の評価並びに安全性試験を行った。安全性試験では、リチウムイオン二次電池(L1)と同じ挙動を示した。以上の結果を表3に示す。
【0133】
比較例18
セパレーター(S1)に代えて、セパレーター(S15)を用いた以外は、実施例21と同様にして、ラミセル型のリチウムイオン二次電池(L16)を得た。その後、実施例21と同様にして、初期容量及びサイクル特性の評価並びに安全性試験を行った。安全性試験では、リチウムイオン二次電池(L1)と同じ挙動を示した。以上の結果を表3に示す。
【0134】
【表3】
【0135】
表3から明らかなように、イオン交換基の少なくとも一部がリチウムイオンに置換されたリン酸塩(本発明のイオン捕捉剤)を含有するセパレーターを備えるリチウムイオン二次電池は、サイクル特性及び安全性に優れる。