特許第6593448号(P6593448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6593448樹脂基板、部品実装樹脂基板、および、部品実装樹脂基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6593448
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】樹脂基板、部品実装樹脂基板、および、部品実装樹脂基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20191010BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20191010BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20191010BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   H05K1/02 D
   H05K3/46 Q
   H05K1/18 L
   H01L23/12 N
【請求項の数】21
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-545150(P2017-545150)
(86)(22)【出願日】2016年10月3日
(86)【国際出願番号】JP2016079211
(87)【国際公開番号】WO2017065028
(87)【国際公開日】20170420
【審査請求日】2017年12月14日
(31)【優先権主張番号】特願2015-203392(P2015-203392)
(32)【優先日】2015年10月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多胡 茂
(72)【発明者】
【氏名】用水 邦明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優輝
【審査官】 ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/106839(WO,A1)
【文献】 特開2000−068328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 1/18
H05K 3/46
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性の樹脂素体と、
前記樹脂素体の表面に形成され、部品に接続される実装用ランド導体と、
前記樹脂素体に内蔵され、前記樹脂素体を平面視して前記実装用ランド導体全体に重なる平面形状で形成された第1補強用導体パターンと、
前記樹脂素体に内蔵され、前記樹脂素体を平面視して前記実装用ランド導体に重なる位置を含み、前記第1補強用導体パターンに少なくとも一部が重なる平面形状で形成された第2補強用導体パターンと、
前記第1補強用導体パターンと前記第2補強用導体パターンとを前記樹脂素体の厚み方向に接続する複数の第1層間接続導体と、を備え、
前記複数の第1層間接続導体は、前記樹脂素体を平面視して、前記実装用ランド導体と異なる位置に配置されている、
樹脂基板。
【請求項2】
前記第1補強用導体パターン、前記第2補強用導体パターン、および、前記複数の第1層間接続導体は、前記樹脂素体に形成された他の導体パターンに接続されていない、
請求項1に記載の樹脂基板。
【請求項3】
前記樹脂素体に内蔵され、前記樹脂素体を平面視して前記実装用ランド導体に重なる位置を含み、前記第1補強用導体パターンおよび前記第2補強用導体パターンに少なくとも一部が重なる平面形状で形成された第3補強用導体パターンと、
前記第2補強用導体パターンと前記第3補強用導体パターンとを前記樹脂素体の厚み方向に接続する複数の第2層間接続導体と、を備え、
前記複数の第1層間接続導体と前記複数の第2層間接続導体は、前記樹脂素体を平面視して異なる位置に配置されている、
請求項1に記載の樹脂基板。
【請求項4】
前記第1補強用導体パターン、前記第2補強用導体パターン、前記複数の第1層間接続導体、前記第3補強用導体パターン、および、前記複数の第2層間接続導体は、前記樹脂素体に形成された他の導体パターンに接続されていない、
請求項3に記載の樹脂基板。
【請求項5】
前記実装用ランド導体は複数であり、
前記樹脂素体を平面視して、前記第1補強用導体パターンは、複数の前記実装用ランド導体に重なっている、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の樹脂基板。
【請求項6】
前記樹脂素体を平面視して、前記第1補強用導体パターンは、前記実装用ランド導体と異なる位置において、前記第1補強用導体パターンが形成されていない導体非形成部を有する、
請求項5に記載の樹脂基板。
【請求項7】
前記第1補強用導体パターンと前記樹脂素体の表面との距離は、前記樹脂素体の厚みの半分より小さい、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の樹脂基板。
【請求項8】
前記樹脂素体は、複数の熱可塑性の樹脂層を積層してなり、
前記第1補強用導体パターンは、前記実装用ランド導体が形成される前記樹脂素体の表面の樹脂層と、当該樹脂層に当接する樹脂層との間に配置されている、
請求項7に記載の樹脂基板。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の樹脂基板と、
前記実装用ランド導体に接続される前記部品と、
を備える、
部品実装樹脂基板。
【請求項10】
樹脂基板と、前記樹脂基板に複数のバンプを介して接合される部品と、を備える部品実装樹脂基板であって、
前記樹脂基板は、
熱可塑性の樹脂素体と、
前記樹脂素体の表面に形成され、前記部品に接続される実装用ランド導体と、
前記樹脂素体に内蔵され、前記樹脂素体を平面視して前記実装用ランド導体に重なる位置を含む平面形状で形成された第1補強用導体パターンと、
前記樹脂素体に内蔵され、前記樹脂素体を平面視して前記実装用ランド導体に重なる位置を含み、前記第1補強用導体パターンに少なくとも一部が重なる平面形状で形成された第2補強用導体パターンと、
前記第1補強用導体パターンと前記第2補強用導体パターンとを前記樹脂素体の厚み方向に接続する複数の第1層間接続導体と、を備え、
前記部品は、
前記実装用ランド導体に前記複数のバンプが超音波接合されることによって前記樹脂素体に実装されており、
前記複数の第1層間接続導体は、前記樹脂素体を平面視して、前記複数のバンプと異なる位置に配置されており、
前記複数のバンプは、前記樹脂素体を平面視して、全体が前記第1補強用導体パターンに重なる、
部品実装樹脂基板。
【請求項11】
前記第1補強用導体パターン、前記第2補強用導体パターン、および、前記複数の第1層間接続導体は、前記樹脂素体に形成された他の導体パターンに接続されていない、
請求項10に記載の部品実装樹脂基板。
【請求項12】
前記樹脂素体に内蔵され、前記樹脂素体を平面視して前記実装用ランド導体に重なる位置を含み、前記第1補強用導体パターンおよび前記第2補強用導体パターンに少なくとも一部が重なる平面形状で形成された第3補強用導体パターンと、
前記第2補強用導体パターンと前記第3補強用導体パターンとを前記樹脂素体の厚み方向に接続する複数の第2層間接続導体と、を備え、
前記複数の第1層間接続導体と前記複数の第2層間接続導体は、前記樹脂素体を平面視して異なる位置に配置されている、
請求項10に記載の部品実装樹脂基板。
【請求項13】
前記第1補強用導体パターン、前記第2補強用導体パターン、前記複数の第1層間接続導体、前記第3補強用導体パターン、および、前記複数の第2層間接続導体は、前記樹脂素体に形成された他の導体パターンに接続されていない、
請求項12に記載の部品実装樹脂基板。
【請求項14】
前記実装用ランド導体は複数であり、
前記樹脂素体を平面視して、前記第1補強用導体パターンは、複数の前記実装用ランド導体に重なっている、
請求項10乃至請求項13のいずれか1項に記載の部品実装樹脂基板。
【請求項15】
前記樹脂素体を平面視して、前記第1補強用導体パターンは、前記実装用ランド導体と異なる位置において、前記第1補強用導体パターンが形成されていない導体非形成部を有する、
請求項14に記載の部品実装樹脂基板。
【請求項16】
前記第1補強用導体パターンと前記樹脂素体の表面との距離は、前記樹脂素体の厚みの半分より小さい、
請求項10乃至請求項15のいずれか1項に記載の部品実装樹脂基板。
【請求項17】
前記樹脂素体は、複数の熱可塑性の樹脂層を積層してなり、
前記第1補強用導体パターンは、前記実装用ランド導体が形成される前記樹脂素体の表面の樹脂層と、当該樹脂層に当接する樹脂層との間に配置されている、
請求項16に記載の部品実装樹脂基板。
【請求項18】
前記複数のバンプのうち少なくとも一つのバンプは、前記樹脂素体を平面視して、前記複数の第1層間接続導体の各層間接続導体に対して、自身の位置を中心とし、最近接する層間接続導体との距離を半径する円領域を設定し、各層間接続導体によって設定される円領域の重なる領域に重なっている、
請求項10乃至請求項17のいずれか1項に記載の部品実装樹脂基板。
【請求項19】
樹脂素体を形成する熱可塑性を有する第1樹脂層の表面に実装用ランド導体を形成する工程と、
前記樹脂素体を形成する熱可塑性を有する第2樹脂層の表面に第1補強用導体パターンを形成する工程と、
前記樹脂素体を形成する熱可塑性を有する第3樹脂層の表面に第2補強用導体パターンを形成する工程と、
前記第2樹脂層における前記第1補強用導体パターンが形成される領域に、前記樹脂素体に部品を実装した状態で前記部品の複数のバンプに重ならない位置に複数の貫通孔を設ける工程と、
前記複数の貫通孔に導電ペーストを充填する工程と、
前記第1樹脂層、前記第2樹脂層、前記第3樹脂層をこの順に並べて、前記第1樹脂層、前記第2樹脂層、および前記第3樹脂層を含む複数の樹脂層を積層して加熱圧着して、複数の層間接続導体を備える前記樹脂素体を形成する工程と、
前記部品の前記複数のバンプを超音波接合によって前記実装用ランド導体に接合する工程と、
を有し、
前記複数のバンプは、前記樹脂素体を平面視して、全体が前記第1補強用導体パターンに重なる、
部品実装樹脂基板の製造方法。
【請求項20】
樹脂素体を形成する熱可塑性を有する第1樹脂層の表面に実装用ランド導体を形成する工程と、
前記樹脂素体を形成する熱可塑性を有する第2樹脂層の表面に第1補強用導体パターンを形成する工程と、
前記樹脂素体を形成する熱可塑性を有する第3樹脂層の表面に第2補強用導体パターンを形成する工程と、
前記第2樹脂層における前記第1補強用導体パターンが形成される領域に、前記樹脂素体に部品を実装した状態で前記部品の複数のバンプに重ならない位置に複数の貫通孔を設ける工程と、
前記複数の貫通孔に導電ペーストを充填する工程と、
前記第1樹脂層、前記第2樹脂層、前記第3樹脂層をこの順に並べて、前記第1樹脂層、前記第2樹脂層、および前記第3樹脂層を含む複数の樹脂層を積層して加熱圧着して、複数の層間接続導体を備える前記樹脂素体を形成する工程と、
前記部品の前記複数のバンプを、異方性導電フィルムを介して前記実装用ランド導体に接合する工程と、
を有し、
前記複数のバンプは、前記樹脂素体を平面視して、全体が前記第1補強用導体パターンに重なる、
部品実装樹脂基板の製造方法。
【請求項21】
前記第1補強用導体パターン、前記第2補強用導体パターン、および、前記複数の層間接続導体のうち前記第1補強用導体パターンと前記第2補強用導体パターンとを接続する層間接続導体は、前記樹脂素体に形成された他の導体パターンに接続されていない、
請求項19または請求項20に記載の部品実装樹脂基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に部品が実装される可撓性材料からなる樹脂基板、当該樹脂基板に部品が実装された部品実装樹脂基板、および、部品実装樹脂基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の電子機器には、部品実装樹脂基板が多く採用されている。部品実装樹脂基板は、樹脂基板と電子部品とを備える。電子部品は、樹脂基板に実装されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の構成では、熱可塑性のフレキシブル基板の表面に、半導体ベアチップが実装されている。半導体ベアチップは、超音波接合によって、フレキシブル基板に接合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3855947号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱可塑性のフレキシブル基板は、例えば半田リフロー等の全体加熱による接合方法が行いにくい。全体加熱による接合では、フレキシブル基板が軟化あるいは溶融して変形してしまう虞があるためである。
【0006】
一方、全体加熱ではなく、超音波接合による場合であっても、超音波接合の摩擦熱によって部分的にではあるがフレキシブル基板が柔らかくなり変形し易くなる。また、フレキシブル基板のフレキシブル性によって、超音波振動が分散して十分な接合強度が得られる超音波接合が行い難くなる。これによって、接合不良が生じ易くなる。
【0007】
したがって、本発明の目的は、電子部品がより確実に接合される樹脂基板、該樹脂基板と電子部品からなる部品実装樹脂基板、および、部品実装樹脂基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の樹脂基板は、熱可塑性の樹脂素体、樹脂素体の表面に形成され部品が実装される実装用ランド導体、第1補強用導体パターン、第2補強用導体パターン、第1層間接続導体を備える。第1補強用導体パターンは、樹脂素体に内蔵され、樹脂素体を平面視して実装用ランド導体に重なる位置を含む平面形状で形成されている。第2補強用導体パターンは、樹脂素体に内蔵され、樹脂素体を平面視して実装用ランド導体に重なる位置を含み、第1補強用導体パターンに少なくとも一部が重なる平面形状で形成されている。第1層間接続導体は、第1補強用導体パターンと第2補強用導体パターンとを樹脂素体の厚み方向に接続する。複数の第1層間接続導体は、樹脂素体を平面視して、実装用ランド導体と異なる位置に配置されている。
【0009】
この構成では、部品が超音波接合によって接合される実装用ランド導体の下に2個の補強用導体パターンが配置されている。さらに、これら2個の補強用導体パターンは、層間接続導体によって接続されている。これにより、実装用ランド導体の実装面に平行な方向と直交する方向のそれぞれに強度を高められ、樹脂素体の変形が抑制される。また、層間接続導体が実装用ランド導体の直下に配置されていないため、層間接続導体による部分的な平坦度の低下が接合へ与える悪影響が抑制される。
【0010】
また、この発明の樹脂基板では、第1補強用導体パターン、第2補強用導体パターン、および、複数の第1層間接続導体は、樹脂素体に形成された他の導体パターンに接続されていないことが好ましい。
【0011】
この構成では、第1補強用導体パターン、第2補強用導体パターン、および、複数の第1層間接続導体を、部品実装時の補強のみを目的として配置すればよく、他の回路用の導体パターンとの接続パターンを考慮しなくてもよい。また、電気的特性を考慮せず、補強のみを考慮すればよく、形状の単純化が容易である。
【0012】
また、この発明の樹脂基板は、次の構成であることが好ましい。樹脂基板は、第3補強用導体パターン、および、複数の第2層間接続導体を備える。第3補強用導体パターンは、樹脂素体に内蔵され、樹脂素体を平面視して実装用ランド導体に重なる位置を含み、第1補強用導体パターンおよび前記第2補強用導体パターンに少なくとも一部が重なる平面形状で形成されている。複数の第2層間接続導体は、第2補強用導体パターンと第3補強用導体パターンとを樹脂素体の厚み方向に接続する。複数の第1層間接続導体と複数の第2層間接続導体は、樹脂素体を平面視して異なる位置に配置されている。
【0013】
この構成では、実装用ランド導体の下の樹脂素体の強度がさらに向上する。さらに、第1層間接続導体と第2層間接続導体が重なっていないことにより、層間接続導体による部分的な平坦度の低下が接合へ与える悪影響が抑制される。
【0014】
また、この発明の樹脂基板では、第1補強用導体パターン、第2補強用導体パターン、複数の第1層間接続導体、第3補強用導体パターン、および、第2層間接続導体は、樹脂素体に形成された他の導体パターンに接続されていないことが好ましい。
【0015】
この構成では、これらの導体パターンおよび層間接続導体を、部品実装時の補強のみを目的として配置すればよく、他の回路用の導体パターンとの接続パターンを考慮しなくてもよい。また、電気的特性を考慮せず、補強のみを考慮すればよく、形状の単純化が容易である。
【0016】
また、この発明の樹脂基板では、次の構成であること好ましい。実装用ランド導体は複数である。樹脂素体を平面視して、第1補強用導体パターンは、複数の実装用ランド導体に重なっている。
【0017】
この構成では、複数の実装用ランド導体が共通の第1補強用導体パターンによって補強される。したがって、1つの実装用ランド導体毎に第1補強用導体パターンを備える構成よりも、強度が向上する。
【0018】
また、この発明の樹脂基板では、樹脂素体を平面視して、第1補強用導体パターンは、実装用ランド導体と異なる位置において、第1補強用導体パターンが形成されていない導体非形成部を有していてもよい。
【0019】
この構成では、第1補強用導体パターンを備えながら、導体非形成部に配線導体を配置することが可能になる。これにより、樹脂素体内での導体の引き回しが容易になる。
【0020】
また、この発明の樹脂基板では、第1補強用導体パターンと樹脂素体の表面との距離は、樹脂素体の厚みの半分より小さいことが好ましい。
【0021】
この構成では、実装用ランド導体と第1補強用導体パターンとの距離が短くなり、樹脂基板の強度が効果的に向上する。
【0022】
また、この発明の樹脂基板では、樹脂素体は、複数の熱可塑性の樹脂層を積層してなり、第1補強用導体パターンは、実装用ランド導体が形成される樹脂素体の表面の樹脂層と、当該樹脂層に当接する樹脂層との間に配置されていることが好ましい。
【0023】
この構成では、実装用ランド導体と第1補強用導体パターンとの距離がさらに短くなり、樹脂基板の強度がさらに効果的に向上する。
【0024】
また、この発明は、樹脂基板と、前記樹脂基板にバンプを介して接合される部品と、を備える部品実装樹脂基板に関する。樹脂基板は、熱可塑性の樹脂素体、実装用ランド導体、第1補強用導体パターン、第2補強用導体パターン、および、複数の第1層間接続導体を備える。実装用ランド導体は、樹脂素体の表面に形成され、部品が実装されている。第1補強用導体パターンは、樹脂素体に内蔵され、樹脂素体を平面視して実装用ランド導体に重なる位置を含む平面形状で形成されている。第2補強用導体パターンは、樹脂素体に内蔵され、樹脂素体を平面視して実装用ランド導体に重なる位置を含み、第1補強用導体パターンに少なくとも一部が重なる平面形状で形成されている。第1層間接続導体は、第1補強用導体パターンと第2補強用導体パターンとを樹脂素体の厚み方向に接続している。部品は、実装用ランド導体にバンプが超音波接合されることによって樹脂素体に実装されている。第1層間接続導体は、樹脂素体を平面視して、バンプと異なる位置に配置されている。
【0025】
この構成では、超音波接合によって実装用ランド導体に接合される部品のバンプの下に2個の補強用導体パターンが配置されている。さらに、これら2個の補強用導体パターンは、層間接続導体によって接続されている。これにより、実装用ランド導体の実装面に平行な方向と直交する方向のそれぞれに強度を高められ、樹脂素体の変形が抑制される。また、層間接続導体がバンプの直下に配置されていないため、層間接続導体による部分的な平坦度の低下が接合へ与える悪影響が抑制される。
【0026】
また、この発明の部品実装樹脂基板では、次の構成であることが好ましい。複数の層間接続導体は、実装用ランド導体に対して、次に示す条件を満たす位置に配置されている。樹脂素体を平面視して、複数の第1層間接続導体の各層間接続導体に対して、自身の位置を中心とし、最近接する層間接続導体との距離を半径する円領域を設定する。各層間接続導体によって設定される円領域の重なる領域に、バンプが重なっている。
【0027】
この構成では、複数の層間接続導体によって樹脂素体の強度が効果的に向上する領域にバンプが実装される。これにより、接合不良がより効果的に抑制される。
【0028】
また、この発明の部品実装樹脂基板の製造方法では、次の工程を有する。部品実装基板の製造方法は、樹脂素体を形成する熱可塑性を有する第1樹脂層の表面に実装用ランド導体を形成する工程と、樹脂素体を形成する熱可塑性を有する第2樹脂層の表面に第1補強用導体パターンを形成する工程と、樹脂素体を形成する熱可塑性を有する第3樹脂層の表面に第2補強用導体パターンを形成する工程と、を有する。部品実装基板の製造方法は、第2樹脂層における第1補強用導体パターンが形成される領域に、樹脂素体に部品を実装した状態で部品のバンプに重ならない位置に複数の貫通孔を設ける工程と、複数の貫通孔に導電ペーストを充填する工程と、を有する。部品実装基板の製造方法は、第1樹脂層、第2樹脂層、第3樹脂層をこの順に並べて、これらを含む複数の樹脂層を積層して加熱圧着する工程を有する。部品実装基板の製造方法は、部品のバンプを超音波接合によって実装用ランド導体に接合する工程を有する。
【0029】
また、この発明の部品実装樹脂基板の製造方法では、次の工程を有する。部品実装基板の製造方法は、樹脂素体を形成する熱可塑性を有する第1樹脂層の表面に実装用ランド導体を形成する工程と、樹脂素体を形成する熱可塑性を有する第2樹脂層の表面に第1補強用導体パターンを形成する工程と、樹脂素体を形成する熱可塑性を有する第3樹脂層の表面に第2補強用導体パターンを形成する工程と、を有する。部品実装基板の製造方法は、第2樹脂層における第1補強用導体パターンが形成される領域に、樹脂素体に部品を実装した状態で部品のバンプに重ならない位置に複数の貫通孔を設ける工程と、複数の貫通孔に導電ペーストを充填する工程と、を有する。部品実装基板の製造方法は、第1樹脂層、第2樹脂層、第3樹脂層をこの順に並べて、これらを含む複数の樹脂層を積層して加熱圧着する工程を有する。部品実装基板の製造方法は、電子部品のバンプを、異方性導電フィルムを介して前記実装用ランド導体に接合する工程を有する。
【0030】
これらの構成では、樹脂素体の表面の実装用ランド導体に部品のバンプを接合する際の樹脂素体への補強を、樹脂素体内に容易に形成することができる。これにより、実装用ランド導体とバンプの接合信頼性が高い部品実装樹脂基板が容易に製造される。
【0031】
また、この発明の部品実装樹脂基板の製造方法では、第1補強用導体パターン、第2補強用導体パターン、および、複数の第1層間接続導体は、樹脂素体に形成された他の導体パターンに接続されていないことが好ましい。
【0032】
この製造方法では、第1補強用導体パターン、第2補強用導体パターン、および、複数の第1層間接続導体を、部品実装時の補強のみを目的として配置すればよく、他の回路用の導体パターンとの接続パターンを考慮しなくてもよい。また、電気的特性を考慮せず、補強のみを考慮すればよく、形状の単純化が容易である。したがって、補強用導体パターンのパターン形状を単純化でき、設計が容易になる。
【発明の効果】
【0033】
この発明によれば、電子部品をより確実に実装可能な樹脂基板、および、当該電子部品と樹脂基板との接続信頼性が高い部品実装樹脂基板を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は本発明の第1実施形態に係る部品実装樹脂基板の構造を示す断面図である。
図2図2は本発明の第1実施形態に係る部品実装樹脂基板の実装用ランド導体と層間接続導体との位置関係を示す平面図である。
図3図3は本発明の第1の実施形態に係る部品実装樹脂基板の樹脂基板における層間接続導体と実装用ランド導体との位置関係を示す拡大平面図である。
図4図4は本発明の第1実施形態に係る部品実装樹脂基板の製造工程を示すフローチャートである。
図5図5は本発明の第1の実施形態に係る部品実装樹脂基板の樹脂基板の積層状態を示す側面断面図である。
図6図6は本発明の第2実施形態に係る部品実装樹脂基板の構造を示す断面図である。
図7図7(A)は第3の実施形態に係る第1補強用導体パターン41Aの平面図であり、図7(B)は第2補強用導体パターン42Aの平面図である。
図8図8(A)は本発明の第4の実施形態に係る部品実装樹脂基板の製造時の側面断面図であり、図8(B)は本発明の第4の実施形態に係る部品実装樹脂基板の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の第1実施形態に係る樹脂基板、部品実装樹脂基板、および部品実装樹脂基板の製造方法について、図を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る部品実装樹脂基板の構造を示す断面図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る部品実装樹脂基板の実装用ランド導体と層間接続導体との位置関係を示す平面図である。
【0036】
図1に示すように、部品実装樹脂基板10は、樹脂基板20と電子部品30を備える。電子部品30は、本発明の「部品」に対応し、略平板形状である。電子部品30の裏面には、複数の外部接続用端子が形成され、外部接続用端子にはバンプ31が形成されている。複数のバンプ31は、電子部品30の裏面に配列形成されている。
【0037】
樹脂基板20は、樹脂素体21と、複数の実装用ランド導体22、配線導体パターン23、外部接続用導体24、補強用導体パターン41,42、層間接続導体25,43を備える。
【0038】
樹脂素体21は、熱可塑性を有する材料からなる。例えば、樹脂素体21は、液晶ポリマを主材料としている。
【0039】
複数の実装用ランド導体22は、樹脂素体21の表面(実装面)に形成されている。複数の実装用ランド導体22は、矩形の導体バターンである。複数の実装用ランド導体22は、樹脂素体21に実装される電子部品30のバンプ31の配置パターンに応じた配置パターンで形成されている。
【0040】
配線導体パターン23は、樹脂素体21の表面および内部に形成されている。表面に形成された配線導体パターン23は、実装用ランド導体22に接続されている。表面に形成された配線導体パターン23と内部に形成された配線導体パターン23、および、内部に形成された配線導体パターン23同士は、層間接続導体25によって接続されている。
【0041】
外部接続用導体24は、樹脂素体21の裏面に形成されている。外部接続用導体24は、図示を省略した導体パターン、層間接続導体等によって、所定の配線導体パターン23に接続されている。
【0042】
補強用導体パターン41,42は、平面形状の導体からなる。補強用導体パターン41が本発明の「第1補強用導体パターン」に対応し、補強用導体パターン42が本発明の「第2補強用導体パターン」に対応する。補強用導体パターン41は、樹脂素体21の内部に形成されている。補強用導体パターン41,42の平面は、樹脂素体21の厚み方向に直交または略直交している。言い換えれば、補強用導体パターン41,42の平面は、樹脂素体21の表面および裏面に平行または略平行である。補強用導体パターン41,42は、樹脂素体21の厚み方向に距離をおいて配置されている。補強用導体パターン41は、補強用導体パターン42よりも、樹脂素体21の表面側に配置されている。
【0043】
これら補強用導体パターン41,42は、補強用導体パターン41,42および層間接続導体43間は接続されているものの、部品実装樹脂基板10によって構成される電気回路には接続されておらず、電気回路として機能を果たさないダミー導体である。
【0044】
複数の層間接続導体43は、補強用導体パターン41と補強用導体パターン42を樹脂素体21の厚み方向に接続している。この複数の層間接続導体43も補強用導体パターン41,42以外の導体パターンには接続されておらず、電気回路として機能を果たさないダミー導体である。言い換えれば、補強用導体パターン41,42および層間接続導体43は、樹脂素体21に形成された他の導体パターンとは接続されていない。この補強用導体パターン41と補強用導体パターン42を接続する層間接続導体43が、本発明の「第1層間接続導体」に対応する。
【0045】
図2に示すように、補強用導体パターン41,42の平面は、電子部品30のバンプ31が接合される全ての実装用ランド導体22を含む面積を有する。樹脂素体21を平面視して、補強用導体パターン41,42は、これら全ての実装用ランド導体22に対して重なる位置に配置されている。
【0046】
図2に示すように、複数の層間接続導体43は、樹脂素体21を平面視して、電子部品30の複数のバンプ31と異なる位置、言い換えれば、電子部品30の複数のバンプ31と重ならない位置に配置されている。
【0047】
このような構成とすることによって、電子部品30のバンプ31の直下の領域に、実装面に平行な方向および実装面に直交する方向(樹脂素体21の厚み方向)に延び、樹脂素体21を形成する樹脂よりも高強度の立体構造物を配置することができる。
【0048】
これにより、バンプ31が実装用ランド導体22に超音波接合される際に樹脂素体21の樹脂が軟化しても、樹脂素体21の変形を抑制することができる。したがって、バンプ31と実装用ランド導体22との超音波接合時の接合不良を抑制できる。また、超音波が効果的に接合部に印加されるので、接合状態を良好にでき、接合信頼性の高い部品実装樹脂基板10を実現することができる。
【0049】
また、電子部品30のバンプ31と層間接続導体43とが平面視で重なっていないことにより、樹脂基板20を形成する際に、層間接続導体43の配置される位置とそれ以外の領域との厚みの差の影響を抑制できる。例えば、電子部品30のバンプ31において、層間接続導体43と重なるバンプ31と、重ならないバンプ31が存在する場合に、これらではバンプ31に対応する位置毎に樹脂基板20の厚みが異なってしまう。しかしながら、バンプ31が層間接続導体43に重ならないように層間接続導体43を配置することによって、バンプ31に対応する位置での樹脂基板20の厚みのばらつきを抑制することができる。これにより、バンプ31と実装用ランド導体22との接合強度が安定し、高い接合強度を実現できる。
【0050】
なお、実装用ランド導体22と層間接続導体43とが平面視して重なっていないことがさらに好ましい。この場合、バンプ31に対応する位置での樹脂基板20の厚みの差がさらに小さくなりやすい。したがって、バンプ31と実装用ランド導体22との接合強度が安定し、高い接合強度を実現できる。
【0051】
また、本実施形態では、補強用導体パターン41と樹脂素体21の表面との距離(樹脂素体21の厚み方向に沿った距離)hは、樹脂素体21の厚みHの半分よりも小さい。例えば、後述の図5に示すように、複数の樹脂層を積層して樹脂素体21を形成する場合、樹脂層を一層だけ挟んだ距離である。このような構成とすることによって、樹脂素体21の厚み方向における実装用ランド導体22と第1補強用導体パターン41との距離が近くなり、立体構造物による接合の安定性をさらに向上することができる。
【0052】
さらに、本実施形態に係る樹脂基板20では、複数の層間接続導体43と電子部品30のバンプ31との位置関係は、次に示す条件を満たしていることが好ましい。図3は、本発明の第1の実施形態に係る部品実装樹脂基板の樹脂基板における層間接続導体とバンプとの位置関係を示す拡大平面図である。
【0053】
図3に示すように、複数の層間接続導体43を構成する層間接続導体431,432,433,434は、樹脂素体21を平面視して離散的に配置されている。ここで、平面視して層間接続導体431,432,433,434のそれぞれを中心とする円を設定する。具体的には、層間接続導体431を中心とする円Cir1、層間接続導体432を中心とする円Cir2、層間接続導体433を中心とする円Cir3、および、層間接続導体434を中心とする円Cir4を設定する。各円の半径は、中心となる層間接続導体と、これに最近接する層間接続導体との距離によって設定される。なお、図3では、1つの層間接続導体に対して2つの層間接続導体が同じ距離で最近接している場合を示しており、この場合は、最近接するいずれの層間接続導体を選択してもよい。
【0054】
実装用ランド導体22は、円Cir1と円Cir2とが重なる領域、円Cir1と円Cir3とが重なる領域、円Cir2と円Cir4とが重なる領域、および、円Cir3と円Cir4とが重なる領域のうちいずれかを満たす領域に配置されている。この際、バンプ31に対応する位置と層間接続導体431,432,433,434とは重なっていない。
【0055】
このような位置関係で、電子部品30のバンプ31と層間接続導体43を配置することによって、実装用ランド導体22の配置位置での樹脂素体21の強度を効果的に向上することができる。これにより、さらに安定して高い接合強度を実現することができる。
【0056】
上述の構成からなる部品実装樹脂基板10は、図4に示す工程によって製造される。図4は、本発明の第1実施形態に係る部品実装樹脂基板の製造工程を示すフローチャートである。図5は、本発明の第1の実施形態に係る部品実装樹脂基板の樹脂基板の積層状態を示す側面断面図である。
【0057】
まず、複数の熱可塑性の樹脂層211−217を用意する。図5に示すように、樹脂素体の表層となる樹脂層211に、電子部品30のバンプ31を接合するための実装用ランド導体22を形成する(S101)。図5に示すように、樹脂素体の表層から2層目の樹脂層212に平面形状の補強用導体パターン41を形成し、3層目の樹脂層213に平面形状の第2補強用導体パターン42を形成する(S102)。なお、本実施形態では、補強用導体パターン41と補強用導体パターン42とは完全に重なっているが、部分的に重なっていてもよい。また、このステップS101,S102において、配線導体パターン23、外部接続用導体24も所望の樹脂層に形成される。
【0058】
補強用導体パターン41が形成された樹脂層212に対して、補強用導体パターン41に重なり、樹脂素体の状態にしたときに実装用ランド導体22に重ならない領域に貫通孔を形成する(S103)。貫通孔に導電ペーストを充填する(S104)。
【0059】
樹脂層211−217を積層して、加熱プレスすることによって、樹脂素体21を形成する(S105)。この加熱プレスの熱によって、導電ペーストが固化し層間接続導体43が形成される。
【0060】
電子部品30のバンプ31を、樹脂素体21の実装用ランド導体22に超音波接合する(S106)。
【0061】
このような製造方法を用いることによって、上述の接合信頼性の高い部品実装樹脂基板10を容易に且つ確実に製造することができる。
【0062】
次に、本発明の第2実施形態に係る樹脂基板および部品実装樹脂基板について、図を参照して説明する。図6は、本発明の第2実施形態に係る部品実装樹脂基板の構造を示す断面図である。
【0063】
本実施形態に係る部品実装樹脂基板10Aは、樹脂基板20Aの構成において、第1の実施形態に係る部品実装樹脂基板10と異なる。樹脂基板20Aは、第1の実施形態に係る樹脂基板20に対して、補強用導体パターン44を追加している。この補強用導体パターン44が本発明の「第3補強用導体パターン」に対応する。
【0064】
補強用導体パターン44は、樹脂素体21に内蔵されている。補強用導体パターン44は、補強用導体パターン41,42と同じく、平面形状の導体パターンである。補強用導体パターン44は、樹脂素体21の厚み方向において、補強用導体パターン42よりも裏面側に配置されている。樹脂素体21を平面視して、補強用導体パターン44は、補強用導体パターン42に重なっている。補強用導体パターン44は、補強用導体パターン41,42と同様にダミー導体である。
【0065】
補強用導体パターン44は、複数の層間接続導体435によって補強用導体パターン42と接続されている。この複数の層間接続導体435も補強用導体パターン42,44以外の導体パターンには接続されておらず、電気回路として機能を果たさないダミー導体である。このように、補強用導体パターン44および層間接続導体435も、補強用導体パターン41,42および層間接続導体43と同様に、樹脂素体21に形成された他の導体パターンとは接続されていない。この補強用導体パターン44と補強用導体パターン42とを接続する層間接続導体435が、本発明の「第2層間接続導体」に対応する。
【0066】
樹脂素体21を平面視して、複数の層間接続導体435は、複数の層間接続導体43と異なる位置に配置されている。言い換えれば、複数の層間接続導体435は、複数の層間接続導体43と重ならない位置に配置されている。なお、複数の層間接続導体435は、平面視して、電子部品30のバンプ31と異なる位置(重ならない位置)に設けられていることが好ましいが、バンプ31と重なる位置に設けられていてもよい。複数の層間接続導体435は層間接続導体43よりもバンプ31から樹脂素体21の厚み方向に遠い位置に設けられているので、接合への影響が小さいためである。
【0067】
このような構成とすることによって、立体構造物の強度をさらに高くすることができる。したがって、樹脂素体21の軟化による接合不良をさらに確実に抑制することができる。
【0068】
なお、本実施形態では、補強用導体パターンを三層にして各層間を層間接続導体で接続する態様を示したが、四層以上にして各層間を層間接続導体で接続する態様としてもよい。
【0069】
次に、本発明の第3の実施形態に係る部品実装樹脂基板について、図を参照して説明する。図7は、本実施形態に第3の実施形態に係る部品実装樹脂基板の補強用導体パターンの配置構成を示す平面図である。図7(A)は、第1補強用導体パターン41Aの平面図であり、図7(B)は、第2補強用導体パターン42Aの平面図である。
【0070】
本実施形態に係る部品実装樹脂基板は、補強用導体パターンが複数の個別導体パターンに分割された点で、第1の実施形態に係る部品実装樹脂基板と異なる。
【0071】
第1の実施形態に係る補強用導体パターン41に対応する補強用導体パターン41Aは、個別導体パターン411,412,413,414に分割されている。この分割により、補強用導体パターン41Aは、補強用導体パターン41Aの外周(図7(A)の破線)に開口する部分を有する帯状の導体非形成部451が備えられる。
【0072】
樹脂素体21を平面視して、導体非形成部451は、複数のバンプ31および実装用ランド導体22と異なる位置に配置されている。このため、導体非形成部451は、電子部品30のバンプ31とも異なる位置に配置されていることになる。また、導体非形成部451は、互いに最近接するバンプ31(実装用ランド導体22)と層間接続導体43と実装用ランド導体22との間には配置されていない。言い換えれば、導体非形成部451は、層間接続導体43の間に配置されている。これにより、平面視して、バンプ31の位置とこれに最も近い層間接続導体43との間に導体非形成部(導体が無い部分)が存在せず、導体非形成部451を設けたことによる補強用導体パターン41Aの補強効果の低下を抑制することができる。
【0073】
第1の実施形態に係る補強用導体パターン42に対応する補強用導体パターン42Aは、個別導体パターン421,422,423に分割されている。この分割により、補強用導体パターン42Aは、補強用導体パターン42Aの外周(図7(B)の破線)に開口する部分を有する帯状の導体非形成部452が備えられる。
【0074】
樹脂素体21を平面視して、導体非形成部452は、複数の実装用ランド導体22と異なる位置に配置されている。このため、導体非形成部452は、電子部品30のバンプ31とも異なる位置に配置されている。また、導体非形成部452は、互いに最近接するバンプ31(実装用ランド導体22)と層間接続導体43と実装用ランド導体22との間には配置されていない。言い換えれば、導体非形成部452は、層間接続導体43の間に配置されている。これにより、平面視して、バンプ31の位置とこれに最も近い層間接続導体43との間に導体非形成部(導体が無い部分)が存在せず、導体非形成部452を設けたことによる補強用導体パターン42Aの補強効果の低下を抑制することができる。
【0075】
このような構成とすることによって、上述の接合不良の抑制効果を備えながら、導体非形成部451,452に配線導体を引き回しでき、樹脂素体21内の引き回しの自由度が向上して、引き回しが容易になる。特に、上述のように、補強用導体パターン41A,42Aを樹脂素体21の表面近傍に配置する態様では、実装用ランド導体22からの配線の領域を確保することが難しいが、本実施形態の構成を備えることによって、この配線領域を確保でき、有効である。
【0076】
なお、補強用導体パターン41Aの導体非形成部451と補強用導体パターン42の導体非形成部452は、重ならない方が好ましい。また、補強用導体パターン42には、導体非形成部を設けなくてもよい。
【0077】
また、上述の実施形態では、複数の補強用導体パターンおよびこれらの接続する層間接続導体をダミー導体とする態様を示したが、回路パターンの一部として利用することも可能である。しかしながら、ダミー導体にすることによって、複数の補強用導体パターンおよびこれらの接続する層間接続導体を、部品実装時の補強のみを目的として配置すればよく、他の回路用の導体パターンとの接続パターンを考慮しなくてもよい。また、電気的特性を考慮せず、補強のみを考慮すればよく、形状の単純化が容易である。
【0078】
また、上述の実施形態では、補強用に導体を用いる態様を示したが、導体に限らず、少なくとも超音波接合の熱が加わった温度において、樹脂素体を構成する樹脂よりも強度が強い材料であればよい。この場合、層間接続導体も導体である必要なく、樹脂層の高さからなる柱状部材であればよい。
【0079】
次に、本発明の第4の実施形態に係る部品実装樹脂基板について、図を参照して説明する。図8(A)は本発明の第4の実施形態に係る部品実装樹脂基板の製造時の側面断面図であり、図8(B)は本発明の第4の実施形態に係る部品実装樹脂基板の側面断面図である。
【0080】
本実施形態に係る部品実装樹脂基板の製造方法は、図4に示した各工程のうち、工程S106の超音波接合に代えて、実装用ランド導体に異方性導電フィルムを介して電子部品のバンプを接合する。本実施形態における上記工程S106の具体的な手順は次のとおりである。
【0081】
先ず、図8(A)に表れているように、樹脂素体21の表面(実装面)の、実装用ランド導体22や配線導体パターン23を覆う領域に、異方性導電フィルム51を被覆する。異方性導電フィルム51以外の樹脂素体21の構成は、第1の実施形態で示したものと同じである。
【0082】
次に、樹脂素体21に電子部品30を載置(積層)する。電子部品30の構成は第1の実施形態で示したものと同じである。
【0083】
その後、図8(A)に示すように、加熱プレス用の治具101,102を用い、この治具101,102間に、積層状態の樹脂素体21および電子部品30を載置し、所定温度、所定圧力で加熱プレスする。
【0084】
以上の工程により、図8(B)に示す部品実装樹脂基板10Bが得られる。
【0085】
上記異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film:ACF)は、熱硬化性樹脂に微細な金属粒子を分散させたものを、膜状に成型したフィルムである。上記加熱プレスによって、実装用ランド導体22とバンプ31との間の異方性導電フィルム内の粒子のメッキ層同士が接触状態となって、導電経路が形成される。
【符号の説明】
【0086】
10,10A,10B:部品実装樹脂基板
20,20A:樹脂基板
21:樹脂素体
22:実装用ランド導体
23:配線導体パターン
24:外部接続用導体
25,43,431,432,433,434,435:層間接続導体
30:電子部品
31:バンプ
41,41A,42、42A,44:補強用導体パターン
51:異方性導電フィルム
101,102:加熱プレス治具
211,212,213,214,215,216,217:樹脂層
411,412,413,414,421,422,423:個別導体パターン
451,452:導体非形成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8