(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記早送り制御手段は、前記変速動作において、前記早送り速度を2以上の所定数の移動速度間で段階的に変化させ、前記早送り移動を所定の間隔で行わせる場合、当該所定の間隔未満の上限早送り時間以内に前記早送り移動を終了させるように前記所定数及び当該所定数の移動速度を設定することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のアナログ電子時計。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態のアナログ電子時計の機能構成を説明するブロック図である。
【0011】
このアナログ電子時計1は、指針の動作により時刻を表示する電子時計であって、早送り制御手段としてのCPU41(Central Processing Unit)と、変速パターン記憶手段としてのROM42(Read Only Memory)と、RAM43(Random Access Memory)と、発振回路44と、分周回路45と、計時回路46と、操作部47と、計測部48と、駆動回路49と、電源部50と、秒針61と、分針62と、時針63と、小分針64と、小時針65と、輪列機構71〜73と、ステッピングモータ81〜83(指針駆動手段、駆動手段)などを備える。
秒針61、分針62、時針63、小分針64及び小時針65の一部又は全部を以降まとめて指針61〜65などと記す。
これらのうち、CPU41及びステッピングモータ81〜83により指針駆動制御装置が構成され、当該指針駆動制御装置には、ROM42、RAM43及び駆動回路49が含まれ得る。
【0012】
CPU41は、各種演算処理を行い、また、アナログ電子時計1の全体動作を統括制御する。CPU41は、計時回路46により計数されている日時の表示、各種機能モードにおける計測部48による計測、計測値の処理、及び計測値や設定値の表示に係る指針動作を制御する。
【0013】
ROM42は、CPU41により実行される各種制御用のプログラムや設定データを格納する。プログラムには、各種機能モードにおける指針61〜65の動作制御に係るプログラム422が含まれている。設定データには、指針61〜65を早送り動作させる場合の早送り速度変更パターン421が記憶されている。
【0014】
RAM43は、CPU41に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。RAM43には、また、指針位置を示すデータや、各種機能モードで表示を行う際の表示範囲(レンジ)情報などが記憶されている。
【0015】
発振回路44は、所定の周波数信号を生成して出力する。発振回路44は、例えば、水晶発振器を備える。
分周回路45は、発振回路44から出力された周波数信号をCPU41や計時回路46により利用される周波数の信号に分周して出力する。出力される周波数は、CPU41からの制御信号により変更可能に設定されていても良い。
【0016】
計時回路46は、所定の日時を示す初期値に分周回路45から入力される分周信号を計数して加算していくことにより現在の日時を計数する。この計時回路46により計数される日時は、発振回路44の精度に応じた誤差(歩度)、例えば、一日に0.5秒程度、を有する。この計時回路46の計数する日時は、CPU41からの制御信号により修正されることが可能となっている。
【0017】
操作部47は、ユーザからの入力操作を受け付ける。操作部47には、りゅうず471及び一又は複数の押しボタンスイッチ472が含まれる。りゅうず471が引き出され、押し戻され、また、回転動作がなされたりした場合や、押しボタンスイッチ472が押下された場合には、動作種別に応じた電気信号がCPU41に出力される。
【0018】
計測部48は、所定の空間物理量を計測する。計測部48としては、特には限られないが、例えば、温度、湿度、気圧、水平面からの傾斜、加速度や磁場(地磁気)などを計測することが出来る。温度の摂氏、華氏間での変換や、気圧値の高度値への変換などは、別途、例えばCPU41により実行される。
【0019】
電源部50は、各部の動作に係る電力を所定電圧で供給する。電源部50は、バッテリを有し、このバッテリとしては、例えば、ソーラパネルと二次電池とを備える。或いは、バッテリとして着脱交換可能なボタン型の乾電池が用いられても良い。また、電源部50から複数の異なる電圧が出力される場合には、例えば、スイッチング電源などを用いて所望の電圧に変換して出力可能な構成とすることが出来る。
【0020】
駆動回路49は、CPU41からの制御信号に従ってステッピングモータ81〜83に所定電圧の駆動パルスを出力する。駆動回路49は、アナログ電子時計1の状態などに応じて駆動パルスの長さ(パルス幅)や振幅(ピーク電圧値)を変更させることが出来る。また、複数の指針を同時に駆動させる制御信号が入力された場合に、負荷を低減させるために僅かに駆動パルスの出力タイミングをずらしたりすることが出来る。
【0021】
ステッピングモータ81は、複数の歯車の配列である輪列機構71を介して秒針61をステップ動作させる。ステッピングモータ81が一回駆動されると、秒針61は、1ステップ6度回転し、ステッピングモータ81の60回の動作により指針61〜64の回転面に略平行に設けられた文字盤上で一周する。文字盤上には、各指針61〜63の指針位置を定める目盛や標識(時字)が設けられている。
【0022】
ステッピングモータ82は、輪列機構72を介して分針62及び時針63を回転動作させる。輪列機構72は、分針62及び時針63を連動して回転させる構成であり、分針62を1ステップ1度ずつ回転移動させると共に時針63を1/12度ずつ回転移動させる。従って、分針62が10秒に1回ずつ回転移動されることで当該分針62が60分で文字盤上を一周し、この間に時針63は、文字盤上で30度回転移動する。即ち、時針63は、12時間で4320ステップの移動により文字盤上を一周する。
【0023】
ステッピングモータ83は、輪列機構73を介して小分針64及び小時針65を回転動作させる。輪列機構73は、小分針64及び小時針65を連動して回転させる構成であり、ステッピングモータ83が1回駆動されると、小分針64が6度(所定の角度)移動すると共に、小時針65が1/2度回転移動する。即ち、小分針64は、ステッピングモータ83の60回の動作により文字盤上を一周し、小時針65は、720回の動作により文字盤上を一周する。小分針64及び小時針65は、指針61〜63とは異なる回転軸に対して文字盤上の一部で回転動作する。ここでは、例えば、小分針64及び小時針65は、それぞれ分針62及び時針63の半分以下の長さであり、分針62の回転軸と、当該分針62により指し示される文字盤上の標識のうち何れかとの間で回転動作する。即ち、小分針64が6度回転する場合における当該小分針64の先端の移動距離は、分針62が1度回転移動する場合における当該分針62の先端の移動距離の2〜3倍程度であり、秒針61が6度回転移動する場合における当該秒針61の先端の移動距離の半分以下である。
【0024】
これらの指針61〜65は、特には限られないが、ここでは、最大200pps(pulse per second)で正転方向(時刻が進む方向)及び逆転方向の何れにも回転移動可能(回動可能)となっている。
【0025】
指針61〜63は、通常では、現在位置における現地時刻(ホーム時刻)の表示に用いられる。また、秒針61は、現在位置や世界時計位置の設定や、ストップウォッチ機能における秒表示などの各種動作に用いられる。
小分針64及び小時針65は、各種機能に係る表示に用いられる。例えば、世界時計機能の実行時には、設定された世界時計位置における現地時刻の時分を表示するのに用いられ、ストップウォッチ機能では、経過時間の時分を表示するのに用いられ、また、センサ計測機能では、計測部48の所定のセンサの計測値に基づく数値などの表示に用いられる。文字盤上の小分針64及び小時針65の回転部分(小窓)には、センサ計測に係る数値の範囲が通常の世界時計の時分表示の範囲と異なる場合には、センサ計測に合わせて別途目盛が設けられていても良い。
【0026】
次に、本実施形態のアナログ電子時計1における指針61〜65の早送り動作について説明する。
本実施形態のアナログ電子時計1は、機能モードの切替時、計測値や設定値の切替時や初期化時に指針61〜65の一部又は全部の早送り動作を行う。
【0027】
図2は、早送り速度の設定パターンの例について説明する図である。
本実施形態のアナログ電子時計1では、指針61、62、64のうち何れか(以下、単に指針と記す)を設定された位置(移動先)まで早送りさせる場合に(指針62、64の場合には、それぞれ指針63、65が連動して早送りされる)、早送りの終了前に早送り速度を漸減させる(減速させる)減速動作(変速動作)を行わせることが出来る。ここでは、減速動作は、複数の速度(移動速度)間で段階的に行われる。このような減速動作に係る複数回の変速タイミングと変速後の移動速度とを対応付けて記憶したパターン(変速パターン)は、複数種類がROM42に予め速度変更パターン421として記憶保持されている。
【0028】
図2(a)に示す減速パターンAでは、200ppsの早送り速度で開始された早送り動作の残り移動ステップ数が所定数(変速開始時移動量)となった時点(変速タイミング)で、早送り速度が128pps(変速タイミング後の移動速度)に減速され、更に、所定ステップごとに64pps、32ppsと低下して、移動ステップ数が当初の指針位置から移動目標位置までの予定移動量(変速終了時移動量)に達し、移動目標位置に指針が到達したところで早送りが停止(停止状態に移行)される。また、この減速に係る早送り速度の変更タイミング(変速タイミング)は、
図2(b)に示す減速パターンBのように、残り移動ステップ数に対して変更する(遅らせる)ことが出来る。
【0029】
計測部48による計測間隔があらかじめ定められている場合、次の計測に係る表示動作を開始する前(又は、次の計測を開始する前)に先の計測値の表示に係る移動目標位置に到達して最低表示時間以上計測結果を表示する必要がある。早送りの減速動作は、早送り動作に要する時間を増加させるので、一律に減速動作を行わせると最低表示時間以上の表示が困難になる場合があり得る。そこで、本実施形態のアナログ電子時計1では、計測部48の計測間隔と各減速パターンを用いた場合の指針の移動時間とに応じて減速パターンを選択する。
【0030】
図2(c)に示すように、移動ステップ数が減速の開始タイミングにおける残り移動ステップ数より少ない場合には、当該減速パターンで減速開始後の早送り速度を初速として減速パターンの低速側の一部のみに従って減速させることが出来る。
【0031】
また、
図2(d)に示すように、早送り動作のステップ数が最初から所定の下限値以下であって、減速の効果が十分に得られない場合には、従来と同様に、減速動作(変速動作)を実施せず、即ち、減速させずに固定速度で指針を早送りさせることが出来る。
【0032】
ここで、早送り速度が遅くなり過ぎると、指針の動作がユーザの視覚上滑らかではなく、離散的になるので、視覚効果上好ましくない。また、早送り速度が最速の早送り速度と比較して非常に低い(例えば、1/10以下など)期間があると、指針が移動目標位置に到達するまでの所要時間が必要以上に長くなってユーザにストレスを感じさせることになる。ここでは、例えば、早送り速度の最低値を32ppsとすることで指針の早送り移動をユーザに滑らかに見せる範囲内に早送り速度を留める。
また、各段階の早送り速度での移動時間が長く(例えば、0.5〜1.0秒以上)なると、即ち、移動ステップ数が多くなり過ぎると、速度変化が視覚上滑らかでなくなるので、各段階の移動速度での移動時間が所定の上限時間以内になるように各段階での移動ステップ数が設定されるのが好ましい。各段階の移動速度での移動ステップ数は、同一である必要はなく、演出効果などを考慮して適宜設定される。
【0033】
図3は、本実施形態のアナログ電子時計1で実行される計測表示制御処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
この計測表示制御処理は、ユーザによる操作部47への所定の入力操作に応じて所定の物理量の計測命令が取得され場合に、所定の時間間隔で計測部48により計測が行われるごとに開始される。
【0034】
計測表示制御処理が開始されると、CPU41は、計測部48による計測値を取得し、当該計測値に応じた小分針64及び小時針65の位置(指針位置)を移動目標指針位置として算出する(ステップS101)。CPU41は、算出された移動目標指針位置と現在位置との差分を算出して移動ステップ数(予定移動量)を求める(ステップS102)。
【0035】
CPU41は、変速動作の実施有無についての決定を行う。CPU41は、移動ステップ数が所定の下限ステップ数、ここでは、5ステップ未満であるか否かを判別することで、(ステップS103)。5ステップ未満であると判別された場合には(ステップS103で“YES”)、CPU41の処理は、ステップS108に移行する。5ステップ未満ではないと判別された場合には(ステップS103で“NO”)、CPU41は、早送り時の指針動作として減速パターンAを設定し、当該減速パターンAで早送りを行った場合における早送りの所要時間TAを算出する(ステップS104)。
【0036】
CPU41は、所要時間TAが計測結果の表示を最低表示時間以上行うための早送りの上限時間(上限早送り時間)以下であるか否かを判別する(ステップS105)。即ち、早送りの上限時間は、計測間隔から最低表示時間を減じた値(必要に応じてこの計測表示制御処理に要する時間などを更に減じても良い)である。早送りの上限時間以下であると判別された場合には(ステップS105で“YES”)、CPU41の処理は、ステップS109に移行する。
【0037】
所要時間TAが早送りの上限時間以下ではないと判別された場合には(ステップS105で“NO”)、CPU41は、早送り時の指針動作として減速パターンBを設定し、当該減速パターンBで早送りを行った場合における早送りの所要時間TBを算出する(ステップS106)。CPU41は、所要時間TBが早送りの上限時間以下であるか否かを判別する(ステップS107)。早送りの上限時間以下であると判別された場合には(ステップS107で“YES”)、CPU41の処理は、ステップS109に移行する。所要時間TBが早送りの上限時間以下ではないと判別された場合には(ステップS107で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS108に移行する。
【0038】
ステップS103、S107の処理からステップS108の処理に移行すると、CPU41は、早送り時の減速を行わないこととし、200ppsの固定速度で早送りを行う設定とする(ステップS108)。それから、CPU41の処理は、ステップS109に移行する。
【0039】
ステップS105、S107、S108の処理からステップS109の処理に移行すると、CPU41は、駆動回路49に小分針64及び小時針65の早送りに係る駆動制御信号を出力する(ステップS109)。そして、CPU41は、計測表示制御処理を終了する。
【0040】
[変形例]
図4は、早送り速度の設定パターンの変形例を示す図である。
図4(a)に示すように、減速時の速度ステップは、上述の
図2(a)、(b)に示した減速パターンにおけるものと異なる速度ステップであったり、ステップ数であったりしても良い。ここでは、128ppsと64ppsの早送り速度での移動動作の代わりに、96ppsの早送り速度の期間が設定されることで、2段階の減速で早送りが終了する。但し、あまり大きな早送り速度の変化があると動作が不自然になり得るので、早送り速度の変化は、適切に定められた上限変化量の範囲内で設定されるのが望ましい。
【0041】
同様に、
図4(b)に示すように、最終的な早送り速度は、32ppsでなくても良い。ここでは、64ppsの早送り速度で早送りが終了している。
図2(c)に示したように減速時間に比して早送り所要時間が短い場合にも、これらのように、早送りの初速度を変更する代わりに減速時の速度ステップ数や早送り速度の最低値を変更することとしても良い。
【0042】
また、
図4(c)に示すように、早送り時の変速動作として、早送りの終了時における減速動作だけではなく、早送り開始時に早送り速度を漸増させる加速動作を行わせる制御を行っても良い。ここでは、32ppsの早送り速度で早送りが開始され、64pps、128ppsでの早送りを経て200ppsでの早送りとされている。或いは、早送り終了前に減速を行わず、早送り開始時の加速のみであっても良い。
【0043】
以上のように、第1実施形態のアナログ電子時計1は、回動可能に設けられた指針61〜65と、指針61〜65に早送り移動を行わせる場合に、早送り移動の開始時に指針61〜65の早送り速度を停止状態から漸増させる加速動作、及び早送り移動の終了時に指針61〜65が停止状態となるまで早送り速度を漸減させる減速動作のうち少なくとも一方を変速動作として指針61〜65に行わせる早送り制御手段としてのCPU41と、を備える。
このように、一定速度で移動させるか停止させるかだけではなく、途中で指針61〜65の移動速度を変化させることで、アナログ電子時計1において指針61〜65の早送り動作に係る演出の幅を広げることが出来る。これにより、ユーザを飽きさせず、更には楽しませながら、必要な情報を体感的に示すことが出来る。
【0044】
また、CPU41は、早送り移動における指針61〜65の移動ステップ数が定められている場合に、当該移動ステップ数の早送り移動において変速動作を開始するタイミングにおける変速開始時移動量及び変速動作を終了するタイミングにおける変速終了時移動量を移動ステップ数に基づいて設定する。これにより、加速動作時に何ステップかけて加速させるか、及び/又は減速動作時にどのタイミングから減速を開始させるかを予め定め、変速動作に要する時間及び減速の傾向(トレンド)を適切に設定して、より自然にアナログ電子時計1における指針61〜65の早送り動作を行わせることが出来る。
【0045】
また、CPU41は、変速動作において、早送り速度を2以上の所定ステップ数の移動速度間、ここでは、例えば、200ppsから128pps、64pps及び32ppsと4段階で段階的に変化させるので、アナログ電子時計1のCPU41のように演算能力が限られている場合でも、無理なく容易に指針の移動速度を変化させることが出来る。
【0046】
また、CPU41は、早送り移動を所定の間隔で行わせる場合、当該所定の間隔未満で定められる早送りの上限時間以内に早送り移動を終了させるように早送り速度に係る所定ステップ数及び当該所定ステップ数の移動速度を設定する。即ち、一定間隔で定期的に行われる指針の早送り動作時に、各々指針の早送りが終了してユーザに指示内容を知得させることが出来るように早送り動作に係る変速設定を行うので、早送り動作を多様に変化させつつ、表示内容を確実にユーザに示すことが出来る。
【0047】
また、変速動作における複数回の変速タイミングと当該変速タイミング後の各移動速度とを対応付けた変速パターンを速度変更パターン421として複数種類記憶するROM42を備え、CPU41は、これら複数種類の変速パターンによる変速動作を伴う早送り移動の所要時間と、早送りの上限時間とに基づいて、当該上限時間内で適切に変速動作と内容表示とを両立可能な変速パターンのうち一つを選択し、当該一の変速パターンに応じて指針61〜65に早送り移動を行わせるので、容易な処理で確実に適切な変速パターンを選択して変速動作を行わせつつ必要な情報をユーザに示すことが出来る。
【0048】
また、CPU41は、変速パターンに係る早送り移動の所要時間が変速動作に要する時間よりも短い場合には、変速パターンに応じた変速動作のうち低速側から所要時間分の動作を行わせる。即ち、加速動作の途中で早送り動作を終了させたり、減速動作の途中から早送り動作を開始させたりすることで、変速動作を行わせつつ指針61〜65に必要な情報を示させることが出来る。このように、予め設定された変速パターンを用いてより容易且つ幅広く変速動作を適用した指針61〜65の早送り動作を行わせて多様な表現を行わせ、表情をつけることが出来る。
【0049】
また、気圧値といった所定の物理量を計測する計測部48を備え、CPU41は、所定の間隔で計測部48の計測結果を取得し、取得された計測結果に基づいて指針61〜65の早送り移動先を定める。
このように、所定の間隔でセンサ計測を行って当該計測の結果に応じた表示を行う場合に本発明を適用することで、適切な結果表示を行ってユーザに計測結果を確実に知得させると共に、表示に係る早送りの表情を多様に変更することが出来る。
【0050】
また、CPU41は、予定移動量に応じて変速動作の実施有無を決定する。例えば、変速動作に係る効果を得るのに十分な移動ステップ数がないような短距離の移動の場合には、無理して演出を行わずに速やかに指針を移動させた方が良い場合もあり、CPU41は、適宜減速動作の効果と、減速動作による早送りの遅延とを比較して好ましい早送り動作を行わせることが出来る。
【0051】
また、指針61、62、64を1度又は6度ずつステップ動作させるステッピングモータ81〜83を備え、変速動作において所定のステップ数設定される移動速度のうちの最低値は、ステップ動作の当該角度及び各指針の長さのうち少なくとも一方に基づいて定められる。これにより、各指針の動作が見かけ上滑らかに見える範囲で早送り速度を設定して、早送り動作に対する違和感をユーザに感じさせないように早送りの加減速を行わせることが出来る。
【0052】
また、本実施形態の指針駆動制御装置は、指針61〜65を回動させるステッピングモータ81〜83と、ステッピングモータ81〜83に指針61〜65の早送り移動を行わせる場合に、早送り移動の開始時に当該指針61〜65の早送り速度を停止状態から漸増させる加速動作、及び早送り移動の終了時に指針61〜65が停止状態となるまで早送り速度を漸減させる減速動作のうち少なくとも一方を変速動作として行わせるCPU41と、を備える。
このように、CPU41が指針の早送り動作時に当該指針の変速動作を行わせるようにステッピングモータ81〜83を駆動させるので、この指針駆動制御装置を用いることで、指針の早送り動作に係る演出の幅を広げることが出来る。これにより、ユーザを飽きさせず、更には楽しませながら、必要な情報を体感的に示すことが出来る。
【0053】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のアナログ電子時計について説明する。
第2実施形態のアナログ電子時計1は、第1実施形態のアナログ電子時計1と同一の構成要素を備えるので、同一の構成要素には同一の符号を用いることとする。
【0054】
これらの構成要素のうち、第2実施形態のアナログ電子時計1では、ステッピングモータ83が1回駆動されるごとに輪列機構73が小分針64を2度ずつ回転移動させ、これに伴って小時針65を1/6度ずつ回転移動させる。従って、小分針64及び小時針65は、世界時計機能やストップウォッチ機能において時刻や時間を表示させる際に20秒に1回ずつ移動されることになる。
【0055】
次に、第2実施形態のアナログ電子時計1による指針の早送り動作について説明する。
ここでは、ストップウォッチ機能により計測された経過時間のラップタイムやスプリットタイム(まとめて履歴経過時間と記す)の履歴を所定の時間間隔で順番に表示する場合を例に挙げて説明する。履歴経過時間は、小時針65、小分針64及び秒針61により表示される。
【0056】
図5は、本実施形態のアナログ電子時計1の指針63〜65による早送り動作パターンを示す図である。
ここでは、小分針64及び小時針65は、通常、
図5(a)で示す減速パターンCで早送り動作が行われる。そして、減速パターンCによる早送り時間が上限時間以下ではない場合には、
図5(b)で示す減速パターンAで早送り動作を行う。
一方、秒針61は、
図2で示した減速パターンA及び減速パターンBによる早送り動作を行う。
秒針61と、小分針64及び小時針65とは、各々独立に移動目標指針位置に早送り移動されることとして良い。
【0057】
上述のように、小分針64は、2度ステップで回転動作する。即ち、1回の回転動作で小分針64の先端が移動する距離は、上記第1実施形態のアナログ電子時計1における小分針64の先端が移動する距離の約1/3となる。このように1回の回転動作あたりの移動距離が小さくなると、低速の早送り動作であっても離散的な動作が目立ち難くなる。また、ここでは、センサ計測の計測間隔よりも各履歴時間の表示間隔を広く設定することが出来るとすると、早送りの上限時間も上記第1実施形態より長く設定することが可能となる。一方で、秒針61は、6度ステップでの回転移動であり、且つ小分針64の倍以上の長さがあるので、小分針64よりも1回の回転動作あたりの移動距離が大きい。従って、表示間隔の設定によらず、第1実施形態のアナログ電子時計1と同様に、32pps未満での早送り動作を行わせない。
このように、早送りの所要時間と表示切替間隔(第1実施形態では計測間隔)の関係だけではなく、表示内容によって減速パターンを切り替えることが出来る。
【0058】
図6は、本実施形態のアナログ電子時計1で実行される履歴時間表示制御処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
この履歴時間表示制御処理は、操作部47へのユーザの所定の入力操作により履歴時間の表示モードに移行した場合に、全ての履歴時間の表示が終了するまで所定の時間間隔で呼び出されて実行される。
【0059】
履歴時間表示制御処理が開始されると、CPU41は、表示対象の履歴時間を取得し、移動目標指針位置に変換する(ステップS121)。CPU41は、秒針61と、小分針64及び小時針65とのそれぞれについて、現在位置と移動目標指針位置との差分から移動ステップ数を算出する(ステップS122)。
【0060】
CPU41は、小分針64及び小時針65の移動ステップ数が5ステップ未満であるか否かを判別する(ステップS123)。5ステップ未満であると判別された場合には(ステップS123で“YES”)、CPU41の処理は、ステップS128に移行する。5ステップ未満ではないと判別された場合には(ステップS123で“NO”)、CPU41は、小分針64及び小時針65の早送り動作として減速パターンCを設定し、当該減速パターンCによる早送り所要時間TCを算出する(ステップS124)。
【0061】
CPU41は、早送り所要時間TCが早送りの上限時間以下であるか否かを判別する(ステップS125)。上限時間以下であると判別された場合には(ステップS125で“YES”)、CPU41の処理は、ステップS133に移行する。上限時間以下ではないと判別された場合には(ステップS125で“NO”)、CPU41は、小分針64及び小時針65の早送り動作として減速パターンAを設定し、当該減速パターンAによる早送り所要時間TAを算出する(ステップS126)。
【0062】
CPU41は、早送り所要時間TAが早送りの上限時間以下であるか否かを判別する(ステップS127)。上限時間以下であると判別された場合には(ステップS127で“YES”)、CPU41の処理は、ステップS133に移行する。上限時間以下ではないと判別された場合には(ステップS127で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS128に移行する。
【0063】
ステップS123、S127の処理からステップS128の処理に移行すると、CPU41は、小分針64及び小時針65の早送り動作時に減速パターンを適用せずに200ppsの固定速度で早送りを行わせる設定を行う(ステップS128)。それから、CPU41の処理は、ステップS133に移行する。
【0064】
ステップS125、S127、S128の処理からステップS133の処理に移行すると、CPU41は、秒針61の移動ステップ数が5ステップ未満であるか否かを判別する(ステップS133)。5ステップ未満であると判別された場合には(ステップS133で“YES”)、CPU41の処理は、ステップS138に移行する。5ステップ未満ではないと判別された場合には(ステップS133で“NO”)、CPU41は、秒針61の早送り動作として減速パターンAを設定し、当該減速パターンAによる早送り所要時間TAを算出する(ステップS134)。
【0065】
CPU41は、早送り所要時間TAが早送りの上限時間以下であるか否かを判別する(ステップS135)。上限時間以下であると判別された場合には(ステップS135で“YES”)、CPU41の処理は、ステップS139に移行する。上限時間以下ではないと判別された場合には(ステップS135で“NO”)、CPU41は、秒針61の早送り動作として減速パターンBを設定し、当該減速パターンBによる早送り所要時間TBを算出する(ステップS136)。
【0066】
CPU41は、早送り所要時間TBが早送りの上限時間以下であるか否かを判別する(ステップS137)。上限時間以下であると判別された場合には(ステップS137で“YES”)、CPU41の処理は、ステップS139に移行する。上限時間以下ではないと判別された場合には(ステップS137で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS138に移行する。
【0067】
ステップS133、S137の処理からステップS138の処理に移行すると、CPU41は、秒針61の早送り動作時に減速パターンを適用せずに200ppsの固定速度で早送りを行わせる設定を行う(ステップS138)。それから、CPU41の処理は、ステップS139に移行する。
【0068】
CPU41は、秒針61と、小分針64及び小時針65をそれぞれ早送り動作させるための駆動制御信号を駆動回路49に出力する。そして、CPU41は、履歴時間表示制御処理を終了する。
【0069】
以上のように、第2実施形態のアナログ電子時計1では、CPU41は、指針61〜65による表示内容に基づいて変速動作に係る所定のステップ数及び当該所定のステップ数の移動速度を設定する。
このように、表示内容に応じてイメージなどが合う変速パターンを設定することで、より効果的に指針61〜65の早送り動作を多様化してユーザに表示内容を体感的に知得させることが出来る。
【0070】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、予め移動ステップ数が定められている早送りの場合に当該移動ステップ数の終了時に合わせて指針動作が停止するように減速タイミングを設定する場合を例に挙げて説明したが、ユーザにより停止タイミングを定めない連続早送り動作の命令が入力操作された場合の加速動作にも本発明を適用することが可能であり、また、減速時にもユーザによる停止操作の入力がなされてから即座に停止する必要が無い場合には、減速動作を伴って早送りを停止させても良い。但し、この場合には、減速動作中の合計移動ステップ数があまり大きくない(例えば、文字盤上で1/4周以下など)ことが望ましい。
【0071】
また、上記実施の形態では、速度変更パターン421として予め定められ、ROM42に記憶されたタイミングで段階的に早送り速度(移動速度)を変化させたが、より細かく早送り速度を変更可能な場合には、早送り速度の時間変化を示す関数などのみを定義しておき、変速動作に係る経過時間に応じて当該関数から得られる速度に合わせて次の指針動作までの時間を略連続的に定めても良い。
【0072】
また、上記実施の形態では、移動ステップ数が5ステップ以内の場合に変速動作を行わせないこととしたが、必ず変速動作を行わせても良いし、5ステップ以外の大きさに可変としても良い。例えば、実施形態1のアナログ電子時計1に係る計測データの表示の場合の早送りと、実施形態2のアナログ電子時計1に係る計測時間の履歴表示の場合の早送りとでは、変速動作を行わせない基準ステップ数を異ならせても良い。
【0073】
また、上記実施の形態では、指針動作が滑らかに見える範囲で低速側の早送り速度を制限したが、これに限るものではない。
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成や数値などの細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0075】
[付記]
<請求項1>
回動可能に設けられた指針と、
前記指針に早送り移動を行わせる場合に、前記早送り移動の開始時に前記指針の早送り速度を停止状態から漸増させる加速動作、及び前記早送り移動の終了時に前記指針が停止状態となるまで早送り速度を漸減させる減速動作のうち少なくとも一方を変速動作として前記指針に行わせる早送り制御手段と、
を備えることを特徴とするアナログ電子時計。
<請求項2>
前記早送り制御手段は、前記早送り移動における前記指針の予定移動量が定められている場合に、当該予定移動量の早送り移動において前記変速動作を開始するタイミングにおける変速開始時移動量及び前記変速動作を終了するタイミングにおける変速終了時移動量を前記予定移動量に基づいて設定することを特徴とする請求項1記載のアナログ電子時計。
<請求項3>
前記早送り制御手段は、前記変速動作において、前記早送り速度を2以上の所定数の移動速度間で段階的に変化させることを特徴とする請求項1又は2記載のアナログ電子時計。
<請求項4>
前記早送り制御手段は、前記変速動作において、前記早送り速度を2以上の所定数の移動速度間で段階的に変化させ、前記早送り移動を所定の間隔で行わせる場合、当該所定の間隔未満の上限早送り時間以内に前記早送り移動を終了させるように前記所定数及び当該所定数の移動速度を設定することを特徴とする請求項2記載のアナログ電子時計。
<請求項5>
前記変速動作における複数回の変速タイミングと当該変速タイミング後の各移動速度とを対応付けた変速パターンを複数種類記憶する変速パターン記憶手段を備え、
前記早送り制御手段は、前記複数種類の変速パターンによる前記変速動作を伴う前記早送り移動の所要時間と、前記上限早送り時間とに基づいて前記変速パターンのうち一つを選択し、当該一の変速パターンに応じて前記指針に早送り移動を行わせる
ことを特徴とする請求項4記載のアナログ電子時計。
<請求項6>
前記早送り制御手段は、前記変速パターンに係る前記早送り移動の前記所要時間が変速動作に要する時間よりも短い場合には、前記変速パターンに応じた前記変速動作のうち低速側から前記所要時間分の動作を行わせることを特徴とする請求項5記載のアナログ電子時計。
<請求項7>
前記早送り制御手段は、前記指針による表示内容に基づいて前記所定数及び当該所定数の移動速度を設定することを特徴とする請求項4〜6の何れか一項に記載のアナログ電子時計。
<請求項8>
所定の物理量を計測する計測部を備え、
前記早送り制御手段は、前記所定の間隔で前記計測部の計測結果を取得し、取得された前記計測結果に基づいて前記指針の早送り移動先を定める
ことを特徴とする請求項4〜7の何れか一項に記載のアナログ電子時計。
<請求項9>
前記早送り制御手段は、前記予定移動量に応じて前記変速動作の実施有無を決定することを特徴とする請求項2、4〜8の何れか一項に記載のアナログ電子時計。
<請求項10>
前記指針を所定の角度ずつステップ動作させる指針駆動手段を備え、
前記変速動作における前記2以上の所定数の移動速度のうちの最低値は、前記所定の角度及び前記指針の長さのうち少なくとも一方に基づいて定められる
ことを特徴とする請求項2、4〜9の何れか一項に記載のアナログ電子時計。
<請求項11>
指針を回動させる駆動手段と、
前記駆動手段に前記指針の早送り移動を行わせる場合に、前記早送り移動の開始時に前記指針の早送り速度を停止状態から漸増させる加速動作、及び前記早送り移動の終了時に前記指針が停止状態となるまで早送り速度を漸減させる減速動作のうち少なくとも一方を変速動作として行わせる早送り制御手段と、
を備えることを特徴とする指針駆動制御装置。