(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
《実施形態1》
実施形態1について説明する。
【0021】
〈全体構成〉
実施形態に係る冷凍装置(10)は、主に業務用に用いられる冷蔵庫、冷凍庫、ショーケースなどの冷蔵設備や冷凍設備(以下、総称として冷設という)の庫内空間の空気の冷却と、室内の空調とを同時に行う。
図1に示すように、冷凍装置(10)は、室外に設置される室外ユニット(20)と、庫内の空気を冷却する冷設ユニット(80)と、室内の空調を行う室内ユニット(90)と、コントローラ(100)とを備える。冷設ユニット(80)及び室内ユニット(90)の数量は、1つに限らず、2つ以上であってもよい。これらのユニット(20,80,90)が4本の連絡配管(12,13,14,15)によって相互に接続されることで、冷媒回路(11)が構成される。冷媒回路(11)では、冷媒が循環することで冷凍サイクルが行われる。本実施形態の冷媒回路(11)の冷媒は、二酸化炭素である。
【0022】
この冷媒回路(11)では、蒸発温度が異なる複数の利用熱交換器である冷設熱交換器(第1利用熱交換器)(83)と室内熱交換器(第2利用熱交換器)(93)が、共用の熱源熱交換器である室外熱交換器(22)に並列に接続される。冷設熱交換器(83)における冷凍サイクルの蒸発温度は、室内熱交換器(93)の蒸発温度よりも低い。
【0023】
〈室外ユニット〉
室外ユニット(20)は、屋外に設置される。室外ユニット(20)には、室外回路(21)が設けられる。室外回路(21)には、第1圧縮機(31)と、第2圧縮機(41)と、室外熱交換器(22)と、室外膨張弁(23)と、レシーバ(24)と、過冷却熱交換器(25)とが接続される。
【0024】
第1圧縮機(31)及び第2圧縮機(41)は、冷媒を圧縮する圧縮部(30)を構成している。第1圧縮機(31)及び第2圧縮機(41)は、それぞれ二段圧縮式に構成されている。第1圧縮機(31)及び第2圧縮機(41)は、インバータ制御で運転周波数を調整することにより回転数が可変な可変容量式に構成される。
【0025】
第1圧縮機(31)は、第1低段圧縮機構(31a)と第1高段圧縮機構(31b)とを有する。第1圧縮機(31)では、第1低段圧縮機構(31a)で圧縮された冷媒が、第1高段圧縮機構(31b)で更に圧縮される。第1圧縮機(31)には、第1吸入管(32)、第1中継管(33)、第1吐出管(34)、及び第1油戻し管(35)が接続される。第1吸入管(32)は、第1低段圧縮機構(31a)の吸入ポートに連通する。第1中継管(33)の流入端は、第1低段圧縮機構(31a)の吐出ポートに連通する。第1中継管(33)の流出端は、第1高段圧縮機構(31b)の吸入ポートに連通する。第1吐出管(34)は、第1高段圧縮機構(31b)の吐出ポートに連通する。第1中継管(33)には、第1インタークーラ(36)が接続される。第1油戻し管(35)には、開度が可変な第1流量調節弁(37)が接続される。
【0026】
第2圧縮機(41)は、第2低段圧縮機構(41a)と第2高段圧縮機構(41b)とを有する。第2圧縮機(41)では、第2低段圧縮機構(41a)で圧縮された冷媒が、第2高段圧縮機構(41b)で更に圧縮される。第2圧縮機(41)には、第2吸入管(42)、第2中継管(43)、第2吐出管(44)、及び第2油戻し管(45)が接続される。第2吸入管(42)は、第2低段圧縮機構(41a)の吸入ポートに連通する。第2中継管(43)の流入端は、第2低段圧縮機構(41a)の吐出ポートに連通する。第2中継管(43)の流出端は、第2高段圧縮機構(41b)の吸入ポートに連通する。第2吐出管(44)は、第2高段圧縮機構(41b)の吐出ポートに連通する。第2中継管(43)には、第2インタークーラ(46)が接続される。第2油戻し管(45)には、開度が可変な第2流量調節弁(47)が接続される。
【0027】
第1吐出管(34)には、第1油分離器(38)が接続される。第2吐出管(44)には、第2油分離器(48)が接続される。第1油分離器(38)で分離された油、及び第2油分離器(48)で分離された油は、油クーラ(39)で冷却される。油クーラ(39)で冷却された油は、第1油戻し管(35)を経由して第1圧縮機(31)に戻される。油クーラ(39)で冷却された油は、第2油戻し管(45)を経由して第2圧縮機(41)に戻される。
【0028】
第1吸入管(32)及び第2吸入管(42)には、吸入連通管(50)が接続される。吸入連通管(50)には、開度が可変な圧力調節弁(V5)が設けられる。第1吐出管(34)の流出端及び第2吐出管(44)の流出端は、合流吐出管(52)に接続する。
【0029】
ブリッジ回路(70)は、流路切換機構を構成している。ブリッジ回路(70)は、ブリッジ状に接続された第1から第4までの流路(71,72,73,74)と、各流路(71,72,73,74)を開閉可能な4つの弁(V1,V2,V3,V4)とを有する。第1流路(71)には第1弁(V1)が、第2流路(72)には第2弁(V2)が、第3流路(73)には第3弁(V3)が、第4流路(74)には第4弁(V4)がそれぞれ接続される。本実施形態では、4つの弁(V1,V2,V3,V4)の全てが、開度が可変な流量調節弁で構成される。4つの弁(V1,V2,V3,V4)は、逆流防止機構を有している。具体的に、各弁(V1,V2,V3,V4)は、
図1の各矢印で示す方向の冷媒の流通を許容し、その逆方向の冷媒の流通を禁止する。
【0030】
ブリッジ回路(70)には、第1から第4までの4つの接続点(C1,C2,C3,C4)が構成される。第1接続点(C1)は、第1流路(71)の流入部と第2流路(72)の流入部とを接続する。第2接続点(C2)は、第1流路(71)の流出部と第3流路(73)の流入部とを接続する。第3接続点(C3)は、第2流路(72)の流出部と第4流路(74)の流入部とを接続する。第4接続点(C4)は、第3流路(73)の流出部と第4流路(74)の流出部とを接続する。
【0031】
第1接続点(C1)は、合流吐出管(52)を介して第1吐出管(34)及び第2吐出管(44)(圧縮部(30)の吐出部)と繋がる。第2接続点(C2)は、室外熱交換器(22)(熱源熱交換器)のガス側端部と繋がる。第3接続点(C3)は、室内熱交換器(93)(第2利用熱交換器)のガス側端部と繋がる。第4接続点(C4)は、吸入中継管(58)を介して第2吸入管(42)(圧縮部(30)の吸入部)と繋がる。
【0032】
室外熱交換器(22)は、熱源熱交換器を構成している。室外熱交換器(22)は、フィン・アンド・チューブ型の熱交換器である。室外熱交換器(22)の近傍には、室外ファン(22a)が設けられている。室外熱交換器(22)を流れる冷媒と、室外ファン(22a)が送風する空気とが熱交換する。第1インタークーラ(36)、第2インタークーラ(46)、油クーラ(39)、及び室外熱交換器(22)は、室外ファン(22a)及びフィン(図示省略)を共有するように互いに隣接して配置される。
【0033】
室外熱交換器(22)とレシーバ(24)との間には、第1配管(61)が接続される。第1配管(61)には、室外膨張弁(23)が接続される。室外膨張弁(23)は、開度が可変な電子膨張弁で構成される。
【0034】
レシーバ(24)は、冷媒を貯留する容器を構成している。過冷却熱交換器(25)は、高圧側流路(25a)と低圧側流路(25b)とを有する。過冷却熱交換器(25)では、高圧側流路(25a)を流れる冷媒と、低圧側流路(25b)を流れる冷媒とが熱交換する。
【0035】
レシーバ(24)と過冷却熱交換器(25)の高圧側流路(25a)との間には、第2配管(62)が接続される。過冷却熱交換器(25)の高圧側流路(25a)の流出部には、冷設熱交換器(83)側の液管(第1液管)である第3配管(63)の一端が接続される。第3配管(63)の他端には、第1液分岐管(63a)と第2液分岐管(63b)とが接続する。第1液分岐管(63a)は、第1液連絡配管(12)を介して冷設熱交換器(83)の液側端部と繋がる。第2液分岐管(63b)は、第2液連絡配管(14)を介して室内熱交換器(93)の液側端部と繋がる。
【0036】
第3配管(63)には、導入管(53)の一端が接続される。導入管(53)の途中には、減圧弁(54)と高圧側流路(25a)とが接続される。減圧弁(54)は、逆流防止機構を有している。減圧弁(54)は、
図1の矢印で示す方向の冷媒の流通を許容し、その逆方向の冷媒の流通を禁止する。
【0037】
導入管(53)の他端には、第1導入分岐管(53a)の流入端と、第2導入分岐管(53b)の流入端とが接続する。第1導入分岐管(53a)の流出端は、第1中継管(33)に接続する。第2導入分岐管(53b)の流出端は、第2中継管(43)に接続する。第1導入分岐管(53a)には、開度が可変な第3流量調節弁(55)が接続される。第2導入分岐管(53b)には、開度が可変な第4流量調節弁(56)が接続される。
【0038】
第1配管(61)と第3配管(63)との間には、第4配管(64)が接続される。第1配管(61)と第2液連絡配管(14)との間には、室内熱交換器(93)側の液管(第2液管)である第5配管(65)が接続される。第5配管(65)には第2液分岐管(63b)が接続される。レシーバ(24)の頂部には、ガス抜き管(67)の一端が接続される。ガス抜き管(67)の他端は、導入管(53)に減圧弁(54)の下流で接続される。ガス抜き管(67)には、ガス抜き弁(68)が接続される。ガス抜き弁(68)は、開度が可変な膨張弁で構成される。
【0039】
上述した第1吐出管(34)、第2吐出管(44)、第1配管(61)、第4配管(64)、第5配管(65)、第2液分岐管(63b)には、それぞれ逆止弁(CV)が設けられる。各逆止弁(CV)は、
図1の各矢印で示す方向の冷媒の流通を許容し、その逆方向の冷媒の流通を禁止する。
【0040】
〈冷設ユニット〉
冷設ユニット(80)は、例えば冷蔵倉庫に設置される。冷設ユニット(80)には、冷設回路(81)が設けられる。冷設回路(81)の液側端部には、第1液連絡配管(12)が接続される。冷設回路(81)のガス側端部には、第1ガス連絡配管(13)が接続される。冷設回路(81)には、液側端から順に、冷設膨張弁(82)及び冷設熱交換器(83)が設けられる。冷設膨張弁(82)は、開度が可変な電子膨張弁で構成される。
【0041】
冷設熱交換器(83)は、第1利用熱交換器を構成している。冷設熱交換器(83)は、フィン・アンド・チューブ型の熱交換器である。冷設熱交換器(83)の近傍には、庫内ファン(83a)が設けられている。冷設熱交換器(83)を流れる冷媒と、庫内ファン(83a)が送風する空気とが熱交換する。冷設熱交換器(83)のガス側端部は、第1ガス連絡配管(13)を介して第1圧縮機(31)の第1吸入管(32)に繋がる。
【0042】
〈室内ユニット〉
室内ユニット(90)は、屋内に設置される。室内ユニット(90)には、室内回路(91)が設けられる。室内回路(91)のガス側端部には、第2ガス連絡配管(15)が接続される。室内回路(91)の液側端部には、第2液連絡配管(14)が接続される。室内回路(91)には、液側端から順に、室内膨張弁(92)及び室内熱交換器(93)が設けられる。室内膨張弁(92)は、開度が可変な電子膨張弁で構成される。
【0043】
室内熱交換器(93)は、第2利用熱交換器を構成している。室内熱交換器(93)は、フィン・アンド・チューブ型の熱交換器である。室内熱交換器(93)の近傍には、室内ファン(93a)が設けられている。室内熱交換器(93)を流れる冷媒と、室内ファン(93a)が送風する空気とが熱交換する。室内熱交換器(93)のガス側端部は、第2ガス連絡配管(15)、ブリッジ回路(70)の第4流路(74)、及び吸入中継管(58)を介して、第2圧縮機(41)の第2吸入管(42)に繋がる。
【0044】
〈第1補助熱交換器〉
上述したように、室外ユニット(20)の上記圧縮部(30)は、複数の利用熱交換器(83,93)のうち、冷凍サイクルの蒸発温度が低い冷設熱交換器(83)に吸入部(吸入ポート)が接続された第1圧縮機(31)と、冷設熱交換器(83)よりも蒸発温度が高い室内熱交換器(93)に吸入部(吸入ポート)が接続された第2圧縮機(41)とを備える。この実施形態では、室内熱交換器(93)を流れる冷媒を吸入して圧縮する第2圧縮機(41)の能力不足を補うために、室外ユニット(20)に、第1補助熱交換器(110)が設けられる。つまり、第1補助熱交換器(110)は、第2圧縮機(41)及び室内熱交換器(93)の能力を補助するための熱交換器である。
【0045】
第1補助熱交換器(110)は、第1高圧流路(111)と第1低圧流路(112)とを有する。第1高圧流路(111)は、第3配管(第1液管)(63)に接続される。第1低圧流路(112)は、第3配管(第1液管)(63)から分岐した第1分岐管(115)に冷媒流入端が接続される。第1分岐管(115)には第1減圧弁(第1減圧機構)(116)として第1膨張弁が設けられる。第1補助熱交換器(110)では、第1高圧流路(111)を流れる冷媒と、第1低圧流路(112)を流れる冷媒とが熱交換する。
【0046】
第1低圧流路(112)の冷媒流出端には、第1補助吸入管(118)が接続される。第1補助吸入管(118)は、上記第2圧縮機(41)の吸入部である第2低段圧縮機構(41a)の吸入ポートに、吸入中継管(58)を介して接続される。第1補助吸入管(118)は、第2高段圧縮機構(41b)の吸入ポートに接続されていてもよい。
【0047】
〈センサ〉
冷凍装置(10)には、各種のセンサが設けられる。これらのセンサが検出する指標の一例として、冷媒回路(11)の高圧冷媒の温度/圧力、低圧冷媒の温度/圧力、中間圧冷媒の温度/圧力、室外熱交換器(22)の冷媒の温度、冷設熱交換器(83)の冷媒の温度、室内熱交換器(93)の冷媒の温度、各圧縮機(31,41)の吸入過熱度、各圧縮機(31,41)の吐出過熱度、室外空気の温度、庫内空気の温度、室内空気の温度が挙げられる。
【0048】
なお、
図1では、これらのセンサのうち、詳細は後述する外気温度センサ(94)、第1冷媒温度センサ(95)、第2冷媒温度センサ(96)、及び内気温度センサ(97)を図示している。
【0049】
〈コントローラ〉
制御部であるコントローラ(100)は、制御基板上に搭載されたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリディバイス(具体的には半導体メモリ)とを含む。コントローラ(100)は、運転指令やセンサの検出信号に基づいて、冷凍装置(1)の各機器を制御する。コントローラ(100)による各機器の制御により、冷凍装置(1)の運転が切り換えられる。コントローラ(100)は、空調能力が不足するときに空調能力補助運転の制御も行う。
【0050】
−運転動作−
冷凍装置(1)の運転動作について詳細に説明する。
図2に示すように、冷凍装置の運転は、冷設運転、冷房運転、冷房/冷設運転、暖房運転、暖房/冷設運転、暖房/冷設熱回収運転、暖房/冷設余熱運転、及びデフロスト運転を含む。
【0051】
冷設運転では、冷設ユニット(80)が運転され、室内ユニット(90)は停止する。冷房運転では、冷設ユニット(80)が停止し、室内ユニット(90)が冷房を行う。冷房/冷設運転では、冷設ユニット(80)が運転され、室内ユニット(90)が冷房を行う。暖房運転では、冷設ユニット(80)が停止し、室内ユニット(90)が暖房を行う。暖房/冷設運転、暖房/冷設熱回収運転、及び暖房/冷設余熱運転のいずれにおいても、冷設ユニット(80)が運転され、室内ユニット(90)が暖房を行う。デフロスト運転では、冷設ユニット(80)が運転され、室外熱交換器(22)の表面の霜を融かす動作が行われる。
【0052】
暖房/冷設運転は、室内ユニット(90)の必要な暖房能力が比較的大きい条件下で実行され、不足する熱量が室外から取り込まれる。暖房/冷設余熱運転は、室内ユニット(90)の必要な暖房能力が比較的小さい条件下で実行され、余剰の熱量が室外に放出される。暖房/冷設熱回収運転は、室内ユニット(90)の必要な暖房能力が、暖房/冷設運転と暖房/冷設余熱運転の間である条件(冷設と暖房がバランスする条件)下で実行される。
【0053】
図2に示すように、各運転では、第1圧縮機(31)及び第2圧縮機(41)の一方又は両方が運転される。第1圧縮機(31)のみ運転する場合、圧力調節弁(V5)が閉状態となる。第2圧縮機(41)のみ運転する場合、圧力調節弁(V5)が開状態となる。第1圧縮機(31)及び第2圧縮機(41)を運転する場合、冷房/冷設運転と暖房/冷設運転を除いて圧力調節弁(V5)が開状態となる。以下の各運転の説明では、第1圧縮機(31)及び第2圧縮機(41)を運転する場合を例示する。
【0054】
〈冷設運転〉
図3に示す冷設運転では、第1弁(V1)が開状態となり、第2弁(V2)、第3弁(V3)、第4弁(V4)が閉状態となる。室外膨張弁(23)は全開状態となり、冷設膨張弁(82)の開度が過熱度制御により調節され、室内膨張弁(92)が全閉状態となる。圧縮部(30)で圧縮された冷媒が、室外熱交換器(22)で放熱し、冷設熱交換器(83)で蒸発する冷凍サイクルが行われる。
【0055】
具体的には、第1圧縮機(31)及び第2圧縮機(41)で圧縮された冷媒は、ブリッジ回路(70)の第1流路(71)を経由して室外熱交換器(22)を流れる。室外熱交換器(22)では、冷媒の熱が室外空気へ放出される。室外熱交換器(22)で放熱した冷媒は、レシーバ(24)、過冷却熱交換器(25)の高圧側流路(25a)を経由して冷設熱交換器(83)を流れる。冷設熱交換器(83)では、蒸発する冷媒によって庫内空気が冷やされる。冷設熱交換器(83)で蒸発した冷媒は、第1圧縮機(31)及び第2圧縮機(41)に吸入される。
【0056】
冷設運転や、他の運転では、次のように中間圧の冷媒を冷却する冷媒冷却動作が適宜行われる。第1圧縮機(31)の第1低段圧縮機構(31a)で圧縮された冷媒の少なくとも一部は、第1中継管(33)を経由して第1インタークーラ(36)を流れる。第1インタークーラ(36)では、冷媒の熱が室外空気へ放出される。第1インタークーラ(36)で冷却された冷媒は、第1圧縮機(31)の第1高段圧縮機構(31b)で更に圧縮される。同様に、第2圧縮機(41)の第2低段圧縮機構(41a)で圧縮された冷媒の少なくとも一部は、第2中継管(43)を経由して第2インタークーラ(46)を流れる。第2インタークーラ(46)では、冷媒の熱が室外空気へ放出される。第2インタークーラ(46)で冷却された冷媒は、第2圧縮機(41)の第2高段圧縮機構(41b)で更に圧縮される。
【0057】
冷設運転や、他の運転では、過冷却熱交換器(25)の低圧側流路(25b)を流れた冷媒を各圧縮機(31,41)へ導入するインジェクション動作が適宜行われる。なお、各図においては、インジェクション動作時の冷媒の流れの図示は省略している。第2配管(62)の冷媒の一部は、導入管(53)に流入する。また、レシーバ(24)内のガス冷媒は、ガス抜き管(67)を経由して導入管(53)に流入する。導入管(53)に流入した冷媒は、減圧弁(54)で減圧された後、低圧側流路(25b)を流れる。冷設熱交換器(83)では、高圧側流路(25a)を流れる冷媒の熱が、低圧側流路(25b)を流れる冷媒に付与される。低圧側流路(25b)を流出した冷媒は、第1導入分岐管(53a)及び第2導入分岐管(53b)に分流する。第1導入分岐管(53a)の冷媒は、第1中継管(33)を経由して第1圧縮機(31)の第1高段圧縮機構(31b)に導入される。第2導入分岐管(53b)の冷媒は、第2中継管(43)を経由して第2圧縮機(41)の第2高段圧縮機構(41b)に導入される。
【0058】
〈冷房運転〉
図4に示す冷房運転では、第1弁(V1)及び第4弁(V4)が開状態となり、第2弁(V2)及び第3弁(V3)が閉状態となる。室外膨張弁(23)は全開状態となり、冷設膨張弁(82)が全閉状態となり、室内膨張弁(92)の開度が過熱度制御により制御される。圧縮部(30)で圧縮された冷媒が、室外熱交換器(22)で放熱し、冷設熱交換器(83)で蒸発する冷凍サイクルが行われる。
【0059】
具体的には、第1圧縮機(31)及び第2圧縮機(41)で圧縮された冷媒は、ブリッジ回路(70)の第1流路(71)を経由して室外熱交換器(22)を流れる。室外熱交換器(22)では、冷媒の熱が室外空気へ放出される。室外熱交換器(22)で放熱した冷媒は、レシーバ(24)、過冷却熱交換器(25)の高圧側流路(25a)を経由して室内熱交換器(93)を流れる。室内熱交換器(93)では、蒸発する冷媒によって室内空気が冷やされる。室内熱交換器(93)で蒸発した冷媒は、ブリッジ回路(70)の第4流路(74)及び吸入中継管(58)を経由して第1圧縮機(31)及び第2圧縮機(41)に吸入される。
【0060】
〈冷房/冷設運転〉
図5に示す冷房/冷設運転では、第1弁(V1)及び第4弁(V4)が開状態となり、第2弁(V2),第3弁(V3)及び圧力調節弁(V5)が閉状態となる。室外膨張弁(23)は全開状態となり、冷設膨張弁(82)及び室内膨張弁(92)の開度が過熱度制御により制御される。圧縮部(30)で圧縮された冷媒が、室外熱交換器(22)で放熱し、冷設熱交換器(83)及び室内熱交換器(93)で蒸発する冷凍サイクルが行われる。
【0061】
具体的には、第1圧縮機(31)及び第2圧縮機(41)で圧縮された冷媒は、ブリッジ回路(70)の第1流路(71)を経由して室外熱交換器(22)を流れる。室外熱交換器(22)では、冷媒の熱が室外空気へ放出される。室外熱交換器(22)で放熱した冷媒は、レシーバ(24)、過冷却熱交換器(25)の高圧側流路(25a)を経由して冷設熱交換器(83)及び室内熱交換器(93)を流れる。冷設熱交換器(83)では、蒸発する冷媒によって庫内空気が冷やされる。冷設熱交換器(83)で蒸発した冷媒は、第1ガス連絡配管(13)を経由して第1圧縮機(31)に吸入される。室内熱交換器(93)で蒸発した冷媒は、ブリッジ回路(70)の第4流路(74)及び吸入中継管(58)を経由して第2圧縮機(41)に吸入される。
【0062】
〈暖房運転〉
図6に示す暖房運転では、第2弁(V2)及び第3弁(V3)が開状態となり、第1弁(V1)及び第4弁(V4)が閉状態となる。室外膨張弁(23)の開度が過熱度制御され、冷設膨張弁(82)が全閉状態となり、室内膨張弁(92)が全開状態となる。圧縮部(30)で圧縮された冷媒が、室内熱交換器(93)で放熱し、室外熱交換器(22)で蒸発する冷凍サイクルが行われる。
【0063】
具体的には、第1圧縮機(31)及び第2圧縮機(41)で圧縮された冷媒は、ブリッジ回路(70)の第2流路(72)及び第2ガス連絡配管(15)を経由して室内熱交換器(93)を流れる。室内熱交換器(93)では、放熱する冷媒によって室内空気が加熱される。室内熱交換器(93)で放熱した冷媒は、レシーバ(24)、過冷却熱交換器(25)の高圧側流路(25a)を経由して室外熱交換器(22)を流れる。室外熱交換器(22)では、冷媒が室内空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(22)で蒸発した冷媒は、ブリッジ回路(70)の第3流路(73)及び吸入中継管(58)を経由して第1圧縮機(31)及び第2圧縮機(41)に吸入される。
【0064】
〈暖房/冷設運転〉
図7に示す暖房/冷設運転では、第2弁(V2)及び第3弁(V3)が開状態となり、第1弁(V1),第4弁(V4)及び圧力調節弁(V5)が閉状態となる。室外膨張弁(23)及び冷設膨張弁(82)の開度が過熱度制御され、室内膨張弁(92)が全開状態となる。圧縮部(30)で圧縮された冷媒が、室内熱交換器(93)で放熱し、室外熱交換器(22)及び冷設熱交換器(83)で蒸発する冷凍サイクルが行われる。
【0065】
具体的には、第1圧縮機(31)及び第2圧縮機(41)で圧縮された冷媒は、ブリッジ回路(70)の第2流路(72)及び第2ガス連絡配管(15)を経由して室内熱交換器(93)を流れる。室内熱交換器(93)では、放熱する冷媒によって室内空気が加熱される。室内熱交換器(93)で放熱した冷媒は、レシーバ(24)、過冷却熱交換器(25)の高圧側流路(25a)を経由して室外熱交換器(22)及び冷設熱交換器(83)を流れる。室外熱交換器(22)では、冷媒が室内空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(22)で蒸発した冷媒は、ブリッジ回路(70)の第3流路(73)及び吸入中継管(58)を経由して第2圧縮機(41)に吸入される。冷設熱交換器(83)では、蒸発する冷媒によって庫内空気が冷やされる。冷設熱交換器(83)で蒸発した冷媒は、第1ガス連絡配管(13)を経由して第1圧縮機(31)に吸入される。
【0066】
〈暖房/冷設熱回収運転〉
図8に示す暖房/冷設熱回収運転では、第2弁(V2)が開状態となり、第1弁(V1)及び第4弁(V4)が閉状態となる。第3弁(V3)は原則として開状態となる。室外膨張弁(23)が全閉状態となり、冷設膨張弁(82)の開度が過熱度制御され、室内膨張弁(92)が全開状態となる。圧縮部(30)で圧縮された冷媒が、室内熱交換器(93)で放熱し、冷設熱交換器(83)で蒸発する冷凍サイクルが行われる。この際、室外熱交換器(22)は、停止状態となる。
【0067】
具体的には、第1圧縮機(31)及び第2圧縮機(41)で圧縮された冷媒は、ブリッジ回路(70)の第2流路(72)及び第2ガス連絡配管(15)を経由して室内熱交換器(93)を流れる。室内熱交換器(93)では、放熱する冷媒によって室内空気が加熱される。室内熱交換器(93)で放熱した冷媒は、レシーバ(24)、過冷却熱交換器(25)の高圧側流路(25a)を経由して冷設熱交換器(83)を流れる。冷設熱交換器(83)では、蒸発する冷媒によって庫内空気が冷やされる。冷設熱交換器(83)で蒸発した冷媒は、第1ガス連絡配管(13)を経由して第1圧縮機(31)及び第2圧縮機(41)に吸入される。
【0068】
〈暖房/冷設余熱運転〉
図9に示す暖房/冷設余熱運転では、第1弁(V1)及び第2弁(V2)が開状態となり、第3弁(V3)及び第4弁(V4)が閉状態となる。室外膨張弁(23)及び室内膨張弁(92)が全開状態となり、冷設膨張弁(82)の開度が過熱度制御される。圧縮部(30)で圧縮された冷媒が、室外熱交換器(22)及び室内熱交換器(93)で放熱し、冷設熱交換器(83)で蒸発する冷凍サイクルが行われる。
【0069】
具体的には、第1圧縮機(31)及び第2圧縮機(41)で圧縮された冷媒は、ブリッジ回路(70)の第1流路(71)及び第2流路(72)に分流する。第1流路(71)を流出した冷媒は、室外熱交換器(22)を流れる。室外熱交換器(22)では、冷媒の熱が室外空気へ放出される。第2流路(72)を流出した冷媒は、第2ガス連絡配管(15)を経由して室内熱交換器(93)を流れる。室内熱交換器(93)では、放熱する冷媒によって室内空気が加熱される。室内熱交換器(93)で放熱した冷媒は、室外熱交換器(22)で放熱した冷媒と合流し、レシーバ(24)、過冷却熱交換器(25)の高圧側流路(25a)を経由して冷設熱交換器(83)を流れる。冷設熱交換器(83)では、蒸発する冷媒によって庫内空気が冷やされる。冷設熱交換器(83)で蒸発した冷媒は、第1ガス連絡配管(13)を経由して第1圧縮機(31)及び第2圧縮機(41)に吸入される。
【0070】
〈デフロスト運転〉
デフロスト運転の冷媒の流れは、
図3に示す冷房運転と同様である。つまり、第1圧縮機(31)及び第2圧縮機(41)で圧縮された冷媒は、室外熱交換器(22)で放熱する。これにより、室外熱交換器(22)の表面の霜と融ける。室外熱交換器(22)の除霜に利用された冷媒は、室内熱交換器(93)で蒸発した後、第1圧縮機(31)及び第2圧縮機(41)に吸入される。
【0071】
−空調能力補助運転−
本実施形態では、冷設熱交換器(83)で蒸発した冷媒を第1圧縮機(31)で吸入する第1冷凍サイクルと、室内熱交換器(93)で蒸発した冷媒を第2圧縮機(41)で吸入する第2冷凍サイクルとが行われる運転状態(
図5の冷房/冷設運転の状態)で、室内熱交換器(93)の冷却能力が不足すると、
図10のフローチャートに従って空調能力補助運転が行われる。
【0072】
具体的には、空調能力補助運転時に、コントローラ(100)は、ステップST11において、(1)空調用の第2圧縮機(41)が最大周波数であり、(2)空調能力アップの要求があり、(3)冷設用の第1圧縮機(31)が最大周波数でないまたは空調優先である、という3つの条件が全て満たされているかどうかを判別する。この3つの条件が満たされていると、第2圧縮機(41)を最大容量にしているのに室内熱交換器(93)の冷却能力が不足しており、室内熱交換器(93)の冷却能力が冷却負荷を下回っている。
【0073】
そこで、この場合は、ステップST12へ進んで、第1補助熱交換器(110)を設けていなければ冷設熱交換器(83)へ流れて行くことになる冷媒の一部を、第1分岐管(115)の第1減圧弁(116)(図では第1減圧弁を空調補助用膨張弁と表示)で減圧して第1低圧流路(112)で蒸発させ、第1補助吸入管(118)から吸入中継管(58)を介して第2圧縮機(41)に吸入させる。このとき、第1減圧弁(116)は、第1低圧流路(112)の冷媒圧力が第2圧縮機(41)の吸入圧力になるように開度が調整される。なお、第1補助吸入管(118)が第2高段圧縮機構(41b)の吸入ポートに接続されている場合は、第1減圧弁(116)は、第1低圧流路(112)の冷媒圧力が第2圧縮機(41)の中間圧力になるように開度が調整される。
【0074】
この運転を行うと、第2圧縮機(41)の吸入冷媒量を増やせるので、室内熱交換器(93)の冷媒流量が増加して冷却能力が高められる。このように、ステップST11の条件が満たされたときは、第1液管(63)を流れる冷媒の一部を利用して室内熱交換器(93)の冷却能力を補助する空調能力補助運転(第1補助運転)が行われる。この運転時は、第1高圧流路(111)で冷媒が過冷却されるため、冷設熱交換器(83)の能力低下が抑制される。
【0075】
ステップST11の条件が満たされないときは、室内熱交換器(93)の冷却能力を高める運転が求められていないか、室内熱交換器(93)の冷却能力を第2圧縮機(41)の運転周波数を上昇させて高める余裕がある。したがって、この場合は、1補助熱交換器(110)を用いた空調能力補助運転(第1補助運転)は行われない。そこで、この場合は、ステップST13において、第1減圧弁(116)が全閉となる。
【0076】
−実施形態1の効果−
この実施形態1では、蒸発温度が異なる複数の利用熱交換器(83,93)が共用の熱源熱交換器(22)に並列に接続された冷媒回路(11)を有する冷凍装置において、蒸発温度が低い冷設熱交換器(83)に吸入部が接続された第1圧縮機(31)と、それよりも蒸発温度が高い室内熱交換器(93)に吸入部が接続された第2圧縮機(41)とで圧縮部(30)を構成している。また、第1高圧流路(111)と第1低圧流路(112)とを有し、第1高圧流路(111)を流れる冷媒と第1低圧流路(112)を流れる冷媒とが熱交換をする第1補助熱交換器(110)を設け、第1低圧流路(112)の冷媒流出側と第2圧縮機(41)の吸入部とを第1補助吸入管(118)で接続している。
【0077】
したがって、この実施形態1によれば、冷設熱交換器(83)で蒸発した冷媒を第1圧縮機(31)で吸入する第1冷凍サイクルと、室内熱交換器(93)で蒸発した冷媒を第2圧縮機(41)で吸入する第2冷凍サイクルとが行われる冷房/冷設運転の状態で、室内熱交換器(93)の冷却能力が冷却負荷を下回って冷却能力が不足する状態になると、空調能力補助運転(第1補助運転)を行うことができる。
【0078】
空調能力補助運転時は、具体的には、第1補助熱交換器(110)が設けられていないと冷設熱交換器(83)へ流れていく冷媒の一部が、第1低圧流路(112)に分流して第1高圧流路(111)の冷媒と熱交換して蒸発する。蒸発した冷媒は、第1補助吸入管(118)を通って第2圧縮機(41)に吸入される。その結果、第2圧縮機(41)の吸入冷媒量を増やして、蒸発温度が高い室内熱交換器(93)の冷媒循環量を増やせるので、室内熱交換器(93)の冷却能力を高められる。
【0079】
このように、従来は冷房/冷設運転の状態で蒸発温度が高い室内熱交換器(93)の能力不足が生じたときに、室内熱交換器(93)の冷却能力を高めることができなかったのに対して、本実施形態によれば、室内熱交換器(93)の冷却能力を高めることが可能になる。したがって、より幅広い運転条件に対応することが可能になる。
【0080】
本実施形態では、第1圧縮機(31)の第1吸入管(32)と第2圧縮機(41)の第2吸入管(42)とに、開度調節可能な圧力調節弁(V5)が設けられた吸入連通管(50)を接続している。
【0081】
本実施形態によれば、室内熱交換器(93)の冷却能力を高めるだけでなく、室内熱交換器(93)から流出した冷媒の一部を圧力調整弁(V5)で減圧して第1圧縮機(31)で吸入する運転が可能になるので、冷設熱交換器(83)の冷媒循環量を増やすことで冷設熱交換器(83)の冷却能力を高めることも可能になる。
【0082】
本実施形態では、冷媒として二酸化炭素を用いている。このため、地球温暖化の影響を緩和できる。
【0083】
《実施形態2》
実施形態2について説明する。
【0084】
図11に示すように、実施形態2は、実施形態1の冷凍装置(10)に、さらに第2補助熱交換器(120)を設けた例である。第2補助熱交換器(120)は、冷設熱交換器(83)を流れる冷媒を吸入して圧縮する第1圧縮機(31)の能力不足を補うために、室外ユニット(20)に設けられている。つまり、第2補助熱交換器(110)は、第1圧縮機(31)及び冷設熱交換器(83)の能力を補助するための熱交換器である。
【0085】
第2補助熱交換器(120)は、第2高圧流路(121)と第2低圧流路(122)とを有する。第2高圧流路(121)は、第5配管(第2液管)(65)に接続される。第2低圧流路(122)は、第3配管(第1液管)(63)から分岐した第2分岐管(125)に冷媒流入端が接続される。第2分岐管(125)には第2減圧弁(第2減圧機構)(126)として第2膨張弁が設けられる。第2補助熱交換器(120)では、第2高圧流路(121)を流れる冷媒と、第2低圧流路(122)を流れる冷媒とが熱交換する。
【0086】
第2低圧流路(122)の冷媒流出端には、第2補助吸入管(128)が接続される。第2補助吸入管(128)は、上記第1圧縮機(31)の吸入部である第1低段圧縮機構(31a)の吸入ポートに、第1吸入管(32)を介して接続される。第2補助吸入管(128)は、第1高段圧縮機構(31b)の吸入ポートに接続されていてもよい。
【0087】
この実施形態2の冷媒回路(11)は、第2補助熱交換器(120)を追加した点を除いては、実施形態1と同様に構成されている。
【0088】
−運転動作−
この実施形態2においても、冷凍装置(1)は、実施形態1と同様に、冷設運転、冷房運転、冷房/冷設運転、暖房運転、暖房/冷設運転、暖房/冷設熱回収運転、暖房/冷設余熱運転、及びデフロスト運転を行うことができる。
【0089】
この実施形態2では、冷房/冷設運転時に空調能力補助運転を行うことができるのに加え、同じく
図5の冷房/冷設運転時に冷設熱交換器(83)の冷却能力が不足する場合は、
図12のフローチャートに従って冷設能力補助運転を行うことができる。
【0090】
具体的には、冷設能力補助運転時に、コントローラ(100)は、ステップST21において、(1)冷設用の第1圧縮機(31)が最大周波数であり、(2)冷設能力アップの要求があり、(3)空調用の第2圧縮機(41)が最大周波数でないまたは冷設優先である、という3つの条件が全て満たされているかどうかを判別する。この3つの条件が満たされていると、第1圧縮機(31)を最大能力にしているのに冷設熱交換器(83)の冷却能力が不足しており、冷設熱交換器(83)の冷却能力が冷却負荷を下回っている。
【0091】
そこで、この場合は、ステップST22へ進んで、第2補助熱交換器(120)を設けていなければ室内熱交換器(93)へ流れて行くことになる冷媒の一部を、第2分岐管(125)の第2減圧弁(126)(図では第2減圧弁を冷設補助用膨張弁と表示)で減圧して第2低圧流路(122)で蒸発させ、第2補助吸入管(128)から第1吸入管(32)を介して第1圧縮機(31)に吸入させる。このとき、第2減圧弁(126)は、第2低圧流路(122)の冷媒圧力が第1圧縮機(31)の吸入圧力になるように開度が調整される。なお、第2補助吸入管(128)が第1高段圧縮機構(31b)の吸入ポートに接続されている場合は、第2減圧弁(126)は、第2低圧流路(122)の冷媒圧力が第1圧縮機(31)の中間圧力になるように開度が調整される。
【0092】
この運転を行うと、第1圧縮機(31)の吸入冷媒量を増やせるので、冷設熱交換器(83)の冷媒流量が増加して冷却能力が高められる。このように、ステップST21の条件が満たされたときは、第2液管(65)を流れる冷媒の一部を利用して冷設熱交換器(83)の冷却能力を補助する冷設能力補助運転(第2補助運転)が行われる。この運転時は、第2高圧流路(121)で冷媒が過冷却されるため、室内熱交換器(93)の能力低下が抑制される。
【0093】
ステップST21の条件が満たされないときは、冷設熱交換器(83)の冷却能力を高める運転が求められていないか、冷設熱交換器(83)の冷却能力を第1圧縮機(31)の運転周波数を上昇させて高める余裕がある。したがって、この場合は、第2補助熱交換器(120)を用いた冷設能力補助運転(第2補助運転)は行われない。そこで、この場合は、ステップST23において、第2減圧弁(126)が全閉となる。
【0094】
−実施形態2の効果−
この実施形態2では、第2高圧流路(121)と第2低圧流路(122)とを有し、第2高圧流路(121)を流れる冷媒と第2低圧流路(122)を流れる冷媒とが熱交換をする第2補助熱交換器(120)を設け、第2低圧流路(122)の冷媒流出側と第1圧縮機(31)の吸入部とを第1補助吸入管(118)で接続している。
【0095】
したがって、この実施形態2によれば、冷房/冷設運転の状態で、実施形態1の空調能力補助運転を行うことができるのに加えて、冷設熱交換器(83)の冷却能力が冷却負荷を下回ってその冷却能力が不足する状態になると、冷設能力補助運転(第2補助運転)を行うことができる。
【0096】
冷設能力補助運転時は、具体的には、第2補助熱交換器(120)が設けられていないと室内熱交換器(93)へ流れていく冷媒の一部が、第2低圧流路(122)に分流して第2高圧流路(121)の冷媒と熱交換して蒸発する。蒸発した冷媒は、第2補助吸入管(128)を通って第1圧縮機(31)に吸入される。その結果、第1圧縮機(31)の吸入冷媒量を増やして、蒸発温度が低い冷設熱交換器(93)の冷媒循環量を増やせるので、室内熱交換器(93)の冷却能力も高められる。このように、本実施形態によれば、空調能力補助運転に加えて、第2補助熱交換器(120)を用いて冷設能力補助運転も行えるので、より幅広い運転条件に対応することが可能になる。
【0097】
《実施形態3》
冷凍装置(10)には、第2利用熱交換器として、水などの熱媒体と冷媒とを熱交換させる熱交換器(85)を用いてもよい。
【0098】
図13に示す実施形態3の冷凍装置(10)では、実施形態1の室内熱交換器(93)に代えて、温水及び冷水を生成するための熱交換器(85)が設けられる。熱交換器(85)は、室外回路(21)に接続される。熱交換器(85)の液側には、実施形態の室内膨張弁(92)と同様に機能する膨張弁(86)が接続される。熱交換器(85)は、冷媒流路(85a)と熱媒体流路(85b)とを有する。熱交換器(85)では、冷媒と熱媒体(水)とが熱交換する。
【0099】
熱交換器(85)が放熱器として機能すると、冷媒流路(85a)の冷媒によって、熱媒体流路(85b)の水が加熱される。この水は、温水としてタンク(87)に貯留される。熱交換器(85)が蒸発器として機能すると、冷媒流路(85a)の冷媒によって、熱媒体流路(85b)の水が冷却される。この水は、冷水としてタンク(87)に貯留される。タンク(87)に貯留された温水及び冷水は、ポンプ(88)によって対象へ供給される。
【0100】
この実施形態3においても、実施形態2と同様に配管接続された第1補助熱交換器(110)と第2補助熱交換器(120)が設けられている。したがって、実施形態2と同様に空調能力補助運転と冷設能力補助運転を行えるので、空調能力補助と冷設能力補助に関して実施形態2と同様の効果を得ることができる。
【0101】
《その他の実施形態》
上記実施形態や、各変形例においては、以下のような構成としてもよい。
【0102】
実施形態1〜3において、上記第1分岐管(115)は、第1補助熱交換器(110)の第1高圧流路(111)の下流側で第3配管(63)(第1液分岐管(63a))から分岐し、第1減圧機構(116)を介して第1低圧流路(112)の冷媒流入側に接続される構成であってもよい。第1低圧流路(112)の冷媒流出側には、第1補助吸入管(118)が接続される。
【0103】
実施形態2,3において、第2分岐管(125)は、第2補助熱交換器(120)の第2高圧流路(121)の下流側で第5配管(65)から分岐し、第2減圧機構(126)を介して第2低圧流路(122)の冷媒流入側に接続される構成であってもよい。第2低圧流路(122)の冷媒流出側には、第2補助吸入管(128)が接続される。
【0104】
以上のように、第1分岐管(115)に設けられる第1減圧機構(116)や第2分岐管(125)に設けられる第2減圧機構(126)は、第1高圧流路(111)や第2高圧流路(121)の上流側と下流側のどちらに配置してもよい。
【0105】
冷媒回路(11)の冷媒は、二酸化炭素に限らず、HFC系の冷媒などの他の冷媒を用いてもよい。冷凍サイクルは、冷媒を臨界圧力以上にまで圧縮する、いわゆる臨界サイクルであってもよいし、冷媒を臨界圧力よりも低い圧力まで圧縮する、いわゆる亜臨界サイクルであってもよい。
【0106】
第1圧縮機(31)及び第2圧縮機(41)は、単段式であってもよい。
【0107】
第1利用熱交換器及び第2利用熱交換器は、それぞれ2つ以上あってもよい。第1利用熱交換器は、冷凍庫の庫内を冷却するものであってもよいし、冷房専用の室内ユニットに設けられてもよい。
【0108】
各実施形態の冷媒回路(11)には、ブリッジ回路(70)に代えて、複数の四路切換弁などを用いた流路切換機構を設けてもよい。
【0109】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能である。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。