特許第6593553号(P6593553)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6593553耐候性向上剤、金属ナノワイヤ層被覆用樹脂組成物及び金属ナノワイヤ含有積層体
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  • 特許6593553-耐候性向上剤、金属ナノワイヤ層被覆用樹脂組成物及び金属ナノワイヤ含有積層体 図000030
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6593553
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】耐候性向上剤、金属ナノワイヤ層被覆用樹脂組成物及び金属ナノワイヤ含有積層体
(51)【国際特許分類】
   C09D 5/00 20060101AFI20191010BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20191010BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20191010BHJP
   C09D 4/00 20060101ALI20191010BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20191010BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   C09D5/00
   C09D7/61
   C09D7/63
   C09D4/00
   B32B27/18 Z
   B32B27/36
【請求項の数】7
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2018-557520(P2018-557520)
(86)(22)【出願日】2017年6月9日
(86)【国際出願番号】JP2017021427
(87)【国際公開番号】WO2018116501
(87)【国際公開日】20180628
【審査請求日】2019年2月19日
(31)【優先権主張番号】特願2016-246587(P2016-246587)
(32)【優先日】2016年12月20日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000109635
【氏名又は名称】星光PMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100164828
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦 康宏
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 俊之
【審査官】 井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭51−065045(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/196354(WO,A1)
【文献】 特開平09−241532(JP,A)
【文献】 特開2003−238901(JP,A)
【文献】 特表2005−528485(JP,A)
【文献】 特開2013−016455(JP,A)
【文献】 特開2001−335955(JP,A)
【文献】 特開平01−240579(JP,A)
【文献】 特開平03−015574(JP,A)
【文献】 特表2010−518582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−201/10
B32B 1/00− 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物(A)と、
リン原子一個に対し少なくとも一個のヒドロキシ基が結合する化合物(B)と、を含有し、
前記化合物(A)が、下記一般式(1)及び/又は(2)で表わされる化合物であり、
前記化合物(B)が、フィチン酸、下記一般式(3)、(4)、(5)、(6)で表わされる前記化合物及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする銀ナノワイヤ用耐候性向上剤。

一般式(1)
【化3】
(但し、一般式(1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜3のアルキル基を有する(ジ)カルボキシアルキル基を表す。)

一般式(2)
【化4】
(但し、一般式(2)中、Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜3のアルキル基を有する(ジ)カルボキシアルキル基を表す。)

一般式(3)
【化5】
(但し、一般式(3)中、R及びRは、水素原子、アルキル部分が炭素数1〜8のアルキル基、アリールアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アミノアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヒドロキシアリール基又はアルコキシアリール基を表し、同一又は異なってもよい。)

一般式(4)
【化6】
(但し、一般式(4)中、R5は、水素原子、アルキル部分が炭素数1〜8のアルキル基、アリールアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アミノアルキル基、ビニル基、アリール基、アリールアルケニル基、ヒドロキシアリール基、アルコキシアリール基又はカルボキシアルキル基を表す。R6は、水素原子、アルキル部分が炭素数1〜8のアルキル基、アリールアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アミノアルキル基、パーフルオロアルキル基、アリール基、ヒドロキシアリール基、アルコキシアリール基又はカルボキシアリール基を表す。)

一般式(5)
【化7】
(但し、一般式(5)中、R7及びR8は、水素原子、アルキル部分が炭素数1〜8のアルキル基、アリールアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アミノアルキル基、アリール基、ヒドロキシアリール基、アルコキシアリール基、カルボキシアリール基又は(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を表し、同一又は異なってもよい。)

一般式(6)
【化8】
(但し、一般式(6)中、Rは水素原子又はヒドロキシ基を表し、R10は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はアミノアルキル基を表し、nは1〜12を表す。)
【請求項2】
前記化合物(A)が、2−メルカプトチアゾリン、3−(1,3−ベンゾチアゾール−2−イルチオ)プロピオン酸、(1,3−ベンゾチアゾール−2−イルチオ)コハク酸から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の銀ナノワイヤ用耐候性向上剤。
【請求項3】
前記化合物(B)が、フィチン酸、リン酸、リン酸ジブチル、リン酸2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル、リン酸ビス[2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル]、アシッドホスホキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ビニルホスホン酸、6−ホスホノヘキサン酸、(12−ホスホノドデシル)ホスホン酸、エチドロン酸、ホスフィン酸、炭素数1〜8のジアルキルホスフィン酸、ジイソオクチルホスフィン酸、(2−カルボキシエチル)フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸、メチルフェニルホスフィン酸、ビス(ヒドロキシメチル)ホスフィン酸、フェニルビニルホスフィン酸から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の銀ナノワイヤ用耐候性向上剤。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか1項に記載の銀ナノワイヤ用耐候性向上剤と、光重合性開始剤及び/又は熱重合性開始剤と、重合性モノマー及び/又はマクロモノマーとを含むことを特徴とするナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物。
【請求項5】
前記重合性モノマー及び/又はマクロモノマーに対し、前記化合物(A)の少なくとも1種を0.3〜4質量%含み、前記化合物(B)の少なくとも1種をリン原子の量で0.03〜0.6mmol/g含むことを特徴とする、請求項に記載のナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物。
【請求項6】
ナノワイヤ含有層と、前記ナノワイヤ含有層上に配置された前記ナノワイヤ含有層を保護するための保護層と、を有するナノワイヤ含有積層体であって、
前記保護層のみ、あるいは前記保護層とナノワイヤ含有層の両方に、請求項1〜のいずれか1項に記載の銀ナノワイヤ用耐候性向上剤を含有し、
かつ、前記保護層が、さらに以下の条件を満足するナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物の硬化物であることを特徴とするナノワイヤ含有積層体。
(1)光重合性開始剤及び/又は熱重合性開始剤と、重合性モノマー及び/又はマクロモノマーとを含む
(2)前記 重合性モノマー及び/又はマクロモノマーに対し、前記化合物(A)の少なくとも1種を0.3〜4質量%含む
(3)前記重合性モノマー及び/又はマクロモノマーに対し、前記化合物(B)の少なくとも1種を、リン原子の量で0.03〜0.6mmol/g含む
【請求項7】
ナノワイヤ含有層が、水性ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項に記載のナノワイヤ含有積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耐候性向上剤、とりわけ金属ナノワイヤを用いた透明導電膜に用いることで耐候性を向上しうる耐候性向上剤に関する。また、本発明の耐候性向上剤を含有する金属ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物、金属ナノワイヤ含有積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機エレクトロルミネセンスディスプレイや電子ペーパーなどの表示デバイス、タッチパネルなどの入力センサー、薄膜型アモルファスシリコン太陽電池や色素増感太陽電池などの太陽光を利用した太陽電池などの利用が増えている。それに伴い、これらのデバイスに必須の部材である透明導電膜の需要も増えている。
【0003】
金属ナノワイヤの直径はナノオーダーと小さいため、可視光領域での光透過性が高く、ITO(酸化インジウムスズ)に代わる透明導電膜としての応用が期待されている。中でも高い導電性を有する銀ナノワイヤを用いた透明導電膜が提案されている(例えば、特許文献1、2及び3参照)。
【0004】
透明導電膜は、前記した液晶ディスプレイやタッチパネルなどの入力センサー等の用途に利用されるため、その使用環境は屋内外を問わず、長時間、太陽光、蛍光灯光又はLED光といった光源下で使用されることや、高温高湿度条件下で使用されることも想定される。金属ナノワイヤを用いた透明導電膜には、光の長時間暴露条件下で表面抵抗率を維持する光安定性と、高温高湿度条件下で表面抵抗率を維持する高温高湿安定性の二つの安定性が同時に求められる。一方、金属ナノワイヤは、双方の環境下において、導電性を損失する傾向を有するため、光安定性と高温高湿安定性を併せて発現するための耐候性向上剤が求められる。
【0005】
また、光安定性については、金属ナノワイヤを用いた透明導電膜において太陽光に曝される照射部分の光安定性が必要であるとともに、照射部分と遮蔽物により太陽光が遮られる遮蔽部分との境界部においても光安定性が必要であるが、この境界部分で特に導電性が悪化しうることが報告されている(例えば、特許文献4及び5参照)。特許文献4では、境界部において有効な光安定剤として、遷移金属塩、遷移金属錯体が記載されている。また、特許文献5では、境界部において有効な光安定剤として、金属粒子、金属酸化物粒子、金属錯体化合物が記載されている。しかしながら、これら特許文献4、5には、高温高湿安定性に関する記載はない。また、これらの金属を含む化合物は着色の問題、同時に使用する重合性モノマー及びマクロモノマーのゲル化を促進する問題、析出と移行の問題を有するため、金属を含有しない耐候性向上剤が好ましいと考えられる。特許文献6においては、特定のpKa値を有する有機酸を使用することで蛍光灯光下の耐久性を得ているが、耐久性が保たれる期間が低照度で2カ月といまだ満足いくものではなく、また、高湿度条件下での耐久性については記載がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−324324号公報
【特許文献2】特開2005−317395号公報
【特許文献3】米国特許出願公開2007/0074316号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開2015/0270024号明細書
【特許文献5】特開2016−1608号公報
【特許文献6】特表2016−508892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、太陽光長時間暴露下、人工光長時間暴露下及び高温高湿条件下のいずれにおいても、金属ナノワイヤを用いた透明導電膜の劣化を抑制することができる耐候性向上剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、特定の化合物の組み合わせからなる耐候性向上剤を用いた場合に、太陽光長時間暴露下、人工光長時間暴露下並びに高温高湿条件下のいずれにおいても、金属ナノワイヤを用いた透明導電膜の劣化を抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の発明に関する。
(i) 化合物(A)と化合物(B)を含有し、
化合物(A)が、下記構造(1)を有する化合物であり、
化合物(B)が、下記構造(2)を有する化合物又はその塩である、耐候性向上剤。

構造(1)
【0010】
【化1】
構造(2)
【0011】
【化2】
(ii) 化合物(A)と、リン原子一個に対し少なくとも一個のヒドロキシ基が結合する化合物(B)を含有し、
化合物(A)が、下記一般式(1)及び/又は(2)で表わされる化合物であり、
化合物(B)が、フィチン酸、下記一般式(3)、(4)、(5)、(6)で表わされる化合物及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種である、(i)に記載の耐候性向上剤。

一般式(1)
【0012】
【化3】
(但し、一般式(1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜3のアルキル基を有する(ジ)カルボキシアルキル基を表す。)

一般式(2)
【0013】
【化4】
(但し、一般式(2)中、Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜3のアルキル基を有する(ジ)カルボキシアルキル基を表す。)

一般式(3)
【0014】
【化5】
(但し、一般式(3)中、R及びRは、水素原子、アルキル部分が炭素数1〜8のアルキル基、アリールアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アミノアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヒドロキシアリール基又はアルコキシアリール基を表し、同一又は異なってもよい。)

一般式(4)
【0015】
【化6】
(但し、一般式(4)中、R5は、水素原子、アルキル部分が炭素数1〜8のアルキル基、アリールアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アミノアルキル基、ビニル基、アリール基、アリールアルケニル基、ヒドロキシアリール基、アルコキシアリール基又はカルボキシアルキル基を表す。R6は、水素原子、アルキル部分が炭素数1〜8のアルキル基、アリールアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アミノアルキル基、パーフルオロアルキル基、アリール基、ヒドロキシアリール基、アルコキシアリール基又はカルボキシアリール基を表し、同一又は異なってもよい。)

一般式(5)
【0016】
【化7】
(但し、一般式(5)中、R7及びR8は、水素原子、アルキル部分が炭素数1〜8のアルキル基、アリールアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アミノアルキル基、アリール基、ヒドロキシアリール基、アルコキシアリール基、カルボキシアリール基又は(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を表し、同一又は異なってもよい。)

一般式(6)
【0017】
【化8】
(但し、一般式(6)中、Rは水素原子又はヒドロキシ基を表し、R10は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はアミノアルキル基を表し、nは1〜12を表す。)
(iii) 金属ナノワイヤ用である、(i)又は(ii)に記載の耐候性向上剤。
(iv) 金属ナノワイヤが銀ナノワイヤである、(iii)に記載の耐候性向上剤。
(v) 前記化合物(A)が、2−メルカプトチアゾリン、3−(2−ベンゾチアゾール−2−イルチオ)プロピオン酸、(1,3−ベンゾチアゾール−2−イルチオ)コハク酸から選ばれる少なくとも1種である、(i)又は(ii)に記載の耐候性向上剤。
(vi) 前記化合物(B)が、ホスフィン酸、炭素数1〜8のジアルキルホスフィン酸、(2−カルボキシエチル)フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸、メチルフェニルホスフィン酸、フェニルビニルホスフィン酸から選ばれる少なくとも1種である、(i)又は(ii)に記載の耐候性向上剤。
(vii) (i)〜(vi)のいずれか1項に記載の耐候性向上剤と、光重合性開始剤及び/又は熱重合性開始剤と、重合性モノマー及び/又はマクロモノマーとを含む、金属ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物、
(viii) 前記重合性モノマー及び/又はマクロモノマーに対し、前記化合物(A)の少なくとも1種を0.3〜4質量%含み、前記化合物(B)の少なくとも1種をリン原子の量で0.03〜0.6mmol/g含む、(vii)に記載の金属ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物。
(ix) 金属ナノワイヤ含有層と、前記金属ナノワイヤ含有層上に配置された前記金属ナノワイヤ含有層を保護するための保護層とを交互に有する金属ナノワイヤ含有積層体であって、前記保護層のみ、あるいは前記保護層と金属ナノワイヤ含有層の両方に、(i)〜(vi)のいずれか1項に記載の耐候性向上剤を含有し、かつ、前記保護層が、さらに以下の条件を満足する金属ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物の硬化物である、金属ナノワイヤ含有積層体。
(1)光重合性開始剤及び/又は熱重合性開始剤と、重合性モノマー及び/又はマクロモノマーとを含む
(2)前記重合性モノマー及び/又はマクロモノマーに対し、前記化合物(A)の少なくとも1種を0.3〜4質量%含む
(3)前記重合性モノマー及び/又はマクロモノマーに対し、前記化合物(B)の少なくとも1種をリン原子の量で0.03〜0.6mmol/g含む
(x)金属ナノワイヤ含有層が、水性ポリエステル樹脂を含む、(ix)に記載の金属ナノワイヤ含有積層体。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、太陽光長時間暴露下、人工光長時間暴露下及び高温高湿条件下のいずれにおいても、金属ナノワイヤを用いた透明導電膜の劣化を抑制することができる耐候性向上剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1(A)、図1(B)は、金属ナノワイヤ含有積層体の一態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0021】
[耐候性向上剤]
本発明における耐候性向上剤は、化合物(A)と、化合物(B)と、を含有するものである。化合物(A)、化合物(B)を併用することが、太陽光の長時間暴露環境下、人工光の長時間暴露環境下及び高温高湿環境下で、金属ナノワイヤの劣化を抑制するために必要であり、この効果は、化合物(A)と、化合物(B)をそれぞれ単独で使用しただけでは不十分であった耐候性を長期間に亘って維持できるという本発明に特有の効果である。
【0022】
[化合物(A)]
化合物(A)は、下記構造(1)を有する化合物であり、

構造(1)
【0023】
【化9】
好ましくは、下記一般式(1)又は(2)で表わされる化合物である。これらは1種単独又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0024】
一般式(1)
【0025】
【化10】
(但し、一般式(1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜3のアルキル基を有する(ジ)カルボキシアルキル基を表す。)
【0026】
一般式(2)
【0027】
【化11】
(但し、一般式(2)中、Rは、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜3のアルキル基を有する(ジ)カルボキシアルキル基を表す。)
【0028】
前記R又はRの炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソアミル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基等が挙げられる。前記R又はRの炭素数1〜3のアルキル基からなる(ジ)カルボキシアルキル基としては、例えば、カルボキシメチル基、1−カルボキシエチル基、2−カルボキシエチル基、1,2−ジカルボキシエチル基、3−カルボキシプロピル基、1,3−ジカルボキシプロピル基が挙げられる。
【0029】
化合物(A)の具体例として、2−メルカプトチアゾリン、2−メルカプトチアゾリンメチルエーテル、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールメチルエーテル、2−メルカプトベンゾチアゾールエチルエーテル、2−メルカプトベンゾチアゾールプロピルエーテル、2−メルカプトベンゾチアゾールブチルエーテル、2−メルカプトベンゾチアゾールイソブチルエーテル、2−メルカプトベンゾチアゾールドデシルエーテル、(1,3−ベンゾチアゾール−2−イルチオ)酢酸、2−(1,3−ベンゾチアゾール−2−イルチオ)プロピオン酸、3−(1,3−ベンゾチアゾール−2−イルチオ)プロピオン酸、(1,3−ベンゾチアゾール−2−イルチオ)コハク酸等が挙げられる。
【0030】
これらの中でも、耐候性の観点で、2−メルカプトチアゾリン、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールメチルエーテル、3−(1,3−ベンゾチアゾール−2−イルチオ)プロピオン酸、(1,3−ベンゾチアゾール−2−イルチオ)コハク酸が好ましく、2−メルカプトチアゾリン、3−(1,3−ベンゾチアゾール−2−イルチオ)プロピオン酸、(1,3−ベンゾチアゾール−2−イルチオ)コハク酸が特に好ましい。これらは1種単独又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0031】
[化合物(B)]
化合物(B)が、下記構造(2)で有する化合物又はその塩であり、

構造(2)
【0032】
【化12】
好ましくは、リン原子一個に対し少なくとも一個のヒドロキシ基が結合し、フィチン酸、下記一般式(3)、(4)、(5)、(6)で表わされる化合物及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種である化合物である。
一般式(3)
【0033】
【化13】
(但し、一般式(3)中、R及びRは、水素原子、アルキル部分が炭素数1〜12のアルキル基、アリールアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アミノアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヒドロキシアリール基又はアルコキシアリール基を表し、同一又は異なってもよい。)
一般式(4)
【0034】
【化14】
(但し、一般式(4)中、R5は、水素原子、アルキル部分が炭素数1〜12のアルキル基、アリールアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アミノアルキル基、ビニル基、アリール基、アリールアルケニル基、ヒドロキシアリール基、アルコキシアリール基又はカルボキシアルキル基を表す。R6は、水素原子、アルキル部分が炭素数1〜12のアルキル基、アリールアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アミノアルキル基、パーフルオロアルキル基、アリール基、ヒドロキシアリール基、アルコキシアリール基又はカルボキシアリール基を表す。)
一般式(5)
【0035】
【化15】
(但し、一般式(5)中、R7及びR8は、水素原子、アルキル部分が炭素数1〜12のアルキル基、アリールアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アミノアルキル基、アリール基、ヒドロキシアリール基、アルコキシアリール基、カルボキシアリール基又は(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を表し、同一又は異なってもよい。)
一般式(6)
【0036】
【化16】
(但し、一般式(6)中、Rは水素原子又はヒドロキシ基を表し、R10は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はアミノアルキル基を表し、nは1〜12を表す。)
これらは1種単独又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0037】
化合物(B)の具体例としては、フィチン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、リン酸、メチルホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、メチルフェニルホスフィン酸、(1−メチル−ヘプチル)フェニルホスフィン酸、(2−メトキシフェニル)フェニルホスフィン酸、フェニル−o−トリルホスフィン酸、フェニルビニルホスフィン酸、ビス(ヒドロキシメチル)ホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸、ジイソオクチルホスフィン酸、(2−カルボキシエチル)フェニルホスフィン酸、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、オクチルホスホン酸、デシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ビニルホスホン酸、(4−ヒドロキシベンジル)ホスホン酸、ベンズヒドリルホスホン酸、シンナミルホスホン酸、(1−アミノメチル)ホスホン酸、メチルホスホン酸エチル、メチルホスホン酸イソプロピル、6−ホスホノヘキサン酸、リン酸メチル、リン酸イソプロピル、リン酸ジメチル、リン酸ジイソプロピル、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、エチドロン酸、(6−ホスホノヘキシル)ホスホン酸、(12−ホスホノドデシル)ホスホン酸、アレンドロン酸、リン酸2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル、リン酸ビス[2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル]、アシッドホスホキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート又はアシッドホスホキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノナフルオロヘキシルホスホン酸等が挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を組合せて用いることができる。これらの中でも一般式(3)で表わされる、ホスフィン酸、メチルホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、メチルフェニルホスフィン酸、(1−メチル−ヘプチル)フェニルホスフィン酸、(2−メトキシフェニル)フェニルホスフィン酸、フェニル−o−トリルホスフィン酸、フェニルビニルホスフィン酸、ビス(ヒドロキシメチル)ホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸、ジイソオクチルホスフィン酸、(2−カルボキシエチル)フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸類が好ましい。
また化合物(B)は、その一部がアルカリ金属、アンモニア、アミン等の中和剤の塩となっていても良い。中和剤の量は、P−OHで表わされる原子団に対し0.5当量以下が好ましく、0.2当量以下がより好ましい。この範囲であると耐候性が良好に発現する。
【0038】
本発明において、耐候性向上剤は各化合物(A)及び(B)を予め混合したものである必要はなく、最終的に耐候性を向上させたい材料に含有されていれば構わない。化合物(A)の含有量は重合性モノマー及び/又はマクロモノマーに対し、0.3〜4質量%であることが好ましく、0.5〜3質量%であることがより好ましく、0.7〜2.5質量%であることがさらに好ましい。化合物(B)の含有量は、リン原子の量で0.03〜0.6mmol/gであることが好ましく、0.06〜0.5mmol/gであることがより好ましく、0.07〜0.4mmol/gであることがさらに好ましい。この範囲であると耐候性が良好に発現する。
【0039】
[金属ナノワイヤ含有積層体]
金属ナノワイヤ含有積層体は、基板上に形成される。金属ナノワイヤ含有積層体とは、金属ナノワイヤ含有組成物を製膜して得られる金属ナノワイヤ含有層と、金属ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物を製膜して得られる、金属ナノワイヤ含有層上に配置された金属ナノワイヤ含有層を保護するための保護層とを、少なくとも1層ずつ有する積層体である。保護層は、金属ナノワイヤ含有層の上に設けられるのであれば特に位置に制限はなく、例えば、金属ナノワイヤ含有層の第一主面側及び第二主面側のいずれか一方、または両面側に配置することができる。具体的には、図1(A)に示すように金属ナノワイヤ含有層の第一主面上に配置したり、図1(B)に示すように金属ナノワイヤ含有層の第一、第二主面の両面に配置することができる。金属ナノワイヤ含有層を保護する観点から、保護層は少なくも金属ナノワイヤ含有層の第一主面上に配置されることが好ましい。
金属ナノワイヤ含有層と保護層が互いに接する例を挙げて説明したが、金属ナノワイヤ含有層に接触しているか否かは問わない。そのため、金属ナノワイヤ含有層と保護層の間に他の層を介在させて配置してもよい。
保護層と金属ナノワイヤ含有層は隣接して配置されることが好ましく、保護層と金属ナノワイヤ含有層が接して配置されることがより好ましい。保護層(耐候性向上剤)が金属ナノワイヤ層に移行し、耐候性が向上するからである。
【0040】
金属ナノワイヤ含有積層体の一態様としては、金属ナノワイヤ含有層と、前記金属ナノワイヤ含有層上に配置された前記金属ナノワイヤ含有層を保護するための保護層と、を有する金属ナノワイヤ含有積層体であって、
保護層のみ、あるいは保護層と金属ナノワイヤ含有層の両方に、上述の耐候性向上剤を含有し、かつ、保護層が、さらに以下の条件を満足する金属ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物の硬化物である、金属ナノワイヤ含有積層体が挙げられる。
(1)光重合性開始剤及び/又は熱重合性開始剤と、重合性モノマー及び/又はマクロモノマーとを含む。
(2)重合性モノマー及び/又はマクロモノマーに対し、化合物(A)の少なくとも1種を0.3〜4質量%含む。
(3)重合性モノマー及び/又はマクロモノマーに対し、化合物(B)の少なくとも1種を、リン原子の量で0.03〜0.6mmol/g含む。
この場合、金属ナノワイヤ含有層が、水性ポリエステル樹脂を含むことが好ましい。
【0041】
[基板]
基板は、用途に応じて適宜選択し、堅くてもよく、曲がり易くてもよい。また、着色されていてもよい。本発明における基板は、公知の方法で得られる、あるいは市販品の基板であれば特に限りはなく用いることができる。基板の材料の具体例として、ガラス、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニルが挙げられる。基板には、有機機能性材料及び無機機能性材料が、さらに形成されても良い。また、基板は多数積層されても良い。
【0042】
[金属ナノワイヤ含有組成物]
金属ナノワイヤ含有組成物は、金属ナノワイヤと、バインダーと、金属ナノワイヤ分散媒を含有し、さらに必要に応じて適宜耐候性向上剤、並びに後述するその他の添加剤を含有してなる組成物である。
【0043】
[金属ナノワイヤ]
本発明において金属ナノワイヤとは、断面直径が1μm未満であり、アスペクト比(長軸長/直径)が10以上である、断面直径がナノレベルのワイヤ状の金属構造体である。
【0044】
金属ナノワイヤの直径は、5nm以上250nm未満であることが好ましく、10nm以上150nm未満であることがより好ましい。この範囲内であると、導電膜の透明性に優れる。
【0045】
金属ナノワイヤの長軸長は、0.5μm以上500μm以下であることが好ましく、2.5μm以上100μm以下であることがより好ましい。この範囲内であると、金属ナノワイヤの分散性に優れ、また、透明導電膜とした際の導電性や透明性に優れる。
【0046】
前記金属ナノワイヤの金属種は、特に限定されない。金属種の具体例としては、金、銀、銅、白金及びこれらの金属の合金が挙げられる。性能面や製造の容易さ、コスト等を考慮すると、総合的には銀が好ましい。銀ナノワイヤは公知の製造方法で得られたものを用いることができる。本発明においては、N置換アクリルアミド含有重合体をワイヤ成長制御剤として、銀化合物をポリオール中において25〜180℃で反応させる工程を含む製造方法から得られた銀ナノワイヤが特に好ましい。
【0047】
[バインダー]
バインダーは、多糖類、水性ポリエステル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性アクリル樹脂、水性エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができ、多糖類と水性ポリエステル樹脂との組み合わせが好ましい。
【0048】
[多糖類]
多糖類は、多糖及びその誘導体を言う。多糖の具体例としては、デンプン、プルラン、グアーガム、キサンタンガム、セルロース、キトサン及びローカストビーンガム、並びに、それらの酵素分解物等を挙げることができる。また、多糖の誘導体の具体例としては、多糖に、メチル、エチル、プロピル等のアルキル基、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル等のヒドロキシアルキル基、カルボキシメチル、カルボキシエチル等のカルボキシアルキル基、及びその金属塩、の少なくともひとつを導入した部分エーテル化多糖の誘導体;多糖や部分エーテル化多糖の誘導体に、(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合した多糖の誘導体や部分エーテル化多糖の誘導体等が挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を組合せて用いることができる。好ましいものとしては、グアーガム、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシプロピルキサンタンガムメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、およびそれらの(メタ)アクリル酸エステルグラフト重合物あるいは(メタ)アクリルアミド類グラフト共重合物が挙げられる。
【0049】
[水性ポリエステル樹脂]
水性ポリエステル樹脂は、水系溶媒あるいは水系分散媒に、溶解あるいは分散しうるポリエステル樹脂であればよい。水性ポリエステル樹脂の具体例としては、多価カルボン酸及びそのエステル形成性誘導体と、ポリオール及びそのエステル形成性誘導体との重縮合物が挙げられる。また、水性ポリエステル樹脂には、水性ポリエステル樹脂からの誘導体も含まれる。水性ポリエステル樹脂の誘導体の具体例としては、水性ポリエステルに(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合した(メタ)アクリル変性水性ポリエステル樹脂が挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0050】
上記の多価カルボン酸は2個以上のカルボン酸基を有する化合物であればよく、具体的には、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、オルソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;直鎖、分岐及び脂環式のシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等のトリカルボン酸;スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、2−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸等の金属スルホネート基含有ジカルボン酸とそのアルカリ金属塩等が挙げられる。多価カルボン酸のエステル形成性誘導体として、多価カルボン酸の無水物、エステル、酸クロライド、ハロゲン化物等の誘導体が挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0051】
上記のポリオールは2個以上の水酸基を有する化合物であればよく、具体的には、エチレングリコール及びジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール等のポリエチレングリコール;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等のポリプロピレングリコール;トリメチロールプロパン、グリセリン、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール等が挙げられる。ポリオールのエステル形成性誘導体として、ポリオールのヒドロキシル基がアセテート化された誘導体等が挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0052】
[水性ポリウレタン樹脂]
水性ポリウレタン樹脂は、水系溶媒あるいは水系分散媒に、溶解あるいは分散しうるポリウレタン樹脂であればよい。水性ポリウレタン樹脂の具体例として、ジイソシアネートと、ポリオールと、を重付加反応させ、さらに、中和及び鎖伸長し、水性化したもの等を挙げることができる。これらは1種単独又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0053】
[水性アクリル樹脂]
水性アクリル樹脂は、水系溶媒あるいは水系分散媒に、溶解あるいは分散しうるアクリル樹脂であればよい。水性アクリル樹脂の具体例としては、(メタ)アクリル酸エステル類とアニオン性の重合性モノマーとの共重合体であるアニオン性の水性アクリル樹脂や(メタ)アクリル酸エステル類とカチオン性の重合性モノマーとの共重合体であるカチオン性の水性アクリル樹脂が挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0054】
[水性エポキシ樹脂]
水性エポキシ樹脂は、水系溶媒あるいは水系分散媒に、溶解あるいは分散しうるエポキシ樹脂であればよい。水性エポキシ樹脂の具体例としては、a)ビスフェノール型エポキシオリゴマー、b)ビスフェノール型エポキシオリゴマーと、脂肪酸及びその誘導体、脂肪酸アミド、不飽和基含有アミン類のいずれかと反応させた変性エポキシ樹脂、c)ビスフェノール型エポキシオリゴマーとポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルとの混合物にビスフェノールAを反応させた変性エポキシ樹脂、のいずれかを原料として、前記a)〜c)原料樹脂中のエポキシ基にアミン化合物を反応させ、導入したアミン基の一部を酸で中和して水溶化又は水分散性化した水性エポキシ樹脂が挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0055】
[金属ナノワイヤ分散媒]
金属ナノワイヤ含有組成物は、金属ナノワイヤ分散媒を含有する。金属ナノワイヤ分散媒は、金属ナノワイヤが分散可能であるとともに、金属ナノワイヤ含有組成物中の他の成分を溶解させ、成膜時に蒸発することで均一な塗膜を形成する化合物であればよい。金属ナノワイヤ分散媒としては、水、アルコール類が挙げられる。アルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチルプロパノール、1,1−ジメチルエタノール、シクロヘキサノール等が挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0056】
[金属ナノワイヤ含有組成物に添加可能なその他の添加剤]
金属ナノワイヤ含有組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲内で各種の添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、界面活性剤、架橋剤、pH調製剤、導電補助剤、増粘剤、有機の微粒子、難燃剤、難燃助剤、耐酸化安定剤、レベリング剤、滑り賦活剤、帯電防止剤、染料、充填剤などを用いることができる。
【0057】
[金属ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物]
金属ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物は、光重合開始剤及び/又は熱重合開始剤、並びに、重合性モノマー及び/又はマクロモノマー、耐候性向上剤を含有し、さらに必要に応じて適宜溶媒、硬化助剤並びに後述するその他の添加剤を含有してなる組成物である。
なお、金属ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物を硬化させることにより、所定の成形品が得られる。
【0058】
[光重合開始剤]
光重合開始剤は特に限定なく、公知の方法で得られる、あるいは市販品の光重合開始剤でよい。光重合開始剤の具体例としては、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン、キサントン、アントラキノン、2−メチルアントラキノン等が挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0059】
[熱重合開始剤]
熱重合開始剤は特に限定なく、公知の方法で得られる、あるいは市販品の熱重合開始剤でよい。熱重合開始剤の具体例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩類;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物類;過硫酸塩類や過酸化物類と亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、硫酸第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、ブドウ糖、アスコルビン酸等の還元剤との組み合わせによるレドックス開始剤;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物類、が挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0060】
[重合性モノマー及びマクロモノマー]
重合性モノマー及びマクロモノマーとしては、可視光、又は紫外線や電子線のような電離放射線の照射により直接又は開始剤の作用を受けて重合反応を生じるモノマー及びマクロモノマーであれば、特に限定はなく用いることができる。1分子中に1個の官能基を有する重合性モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アリルアルコール、グリセロールモノ(メタ)アリルエーテル等の(メタ)アリル化合物;スチレン、メチルスチレン、ブチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。また、1分子中に2個以上の官能基を有する重合性モノマーの具体例としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタエリスリトール、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性イソシアヌル酸トリアクリレート等が挙げられる。マクロモノマーの具体例としては、1分子あたり平均1個以上重合性不飽和基を有する重合性ウレタンアクリレート樹脂、重合性ポリウレタン樹脂、重合性アクリル樹脂、重合性エポキシ樹脂、重合性ポリエステル樹脂、を用いることができる。これらは1種単独又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0061】
[溶媒]
金属ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物には、更に溶媒を含有することができる。溶媒は金属ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物中の他の成分を溶解させ、製膜時に蒸発することで均一な塗膜を形成する化合物であればよい。溶媒の具体例として、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、n−ヘキサン、n−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、1,3−ブチレングリコールジアセテート、シクロヘキサノールアセテート、プロピレングリコールジアセテート、テトラヒドロフルフリルアルコール、メチルエチルジグリコール、及びN−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0062】
[硬化助剤]
金属ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物には、更に硬化助剤を含有することができる。硬化助剤は、1分子中に反応性官能基を2個以上有する化合物であればよい。反応性官能基の具体例としては、イソシアネート基、アクリル基、メタクリル基、メルカプト基等が挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0063】
[金属ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物に添加可能なその他の添加剤]
金属ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲内で各種の添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、有機の微粒子、難燃剤、難燃助剤、耐酸化安定剤、レベリング剤、滑り賦活剤、帯電防止剤、染料、充填剤などを用いることができる。
【0064】
[製膜]
金属ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物、並びに金属ナノワイヤ含有組成物の塗布方法としては、公知な塗布方法を用いることができる。塗布方法の具体例としては、スピンコート法、スリットコート法、ディップコート法、ブレードコート法、バーコート法、スプレー法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、平板印刷法、ディスペンス法及びインクジェット法等が挙げられる。また、これらの塗布方法を用いて複数回塗り重ねてもよい。
【0065】
[積層方法]
金属ナノワイヤ含有積層体の製造方法は特に限定されない。例えば、基材上に金属ナノワイヤ含有組成物を製膜することで金属ナノワイヤ含有層を形成し、さらにその上面に金属ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物を製膜することで金属ナノワイヤ含有層の保護層を形成する方法、あるいは、基材上に予め保護層を形成しておき、その上に順に金属ナノワイヤ含有層、保護層を形成する方法などが挙げられる。
【0066】
金属ナノワイヤ含有組成物は、塗布方法に応じて任意の濃度に希釈して塗布することができる。希釈分散媒として、水、アルコール類が挙げられる。アルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチルプロパノール、1,1−ジメチルエタノール、シクロヘキサノール等が挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0067】
金属ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物は、塗布方法に応じて任意の濃度に希釈して塗布することができる。希釈分散媒の具体例として、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、n−ヘキサン、n−ブチルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、1,3−ブチレングリコールジアセテート、シクロヘキサノールアセテート、プロピレングリコールジアセテート、テトラヒドロフルフリルアルコール、メチルエチルジグリコール、及びN−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0068】
本発明の耐候性向上剤は、太陽光長時間暴露下と高温高湿条件下の双方における、金属ナノワイヤを用いた透明導電膜の劣化を抑制することができるため、例えば、液晶ディスプレイ用電極材、プラズマディスプレイ用電極材、有機エレクトロルミネセンスディスプレイ用電極材、電子ペーパー用電極材、タッチパネル用電極材、薄膜型アモルファスシリコン太陽電池用電極材、色素増感太陽電池用電極材、電磁波シールド材、帯電防止材等の各種デバイスの透明導電膜を形成するために幅広く適用される。
【実施例】
【0069】
以下、本発明の実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、実施例においては本発明で規定する金属ナノワイヤの代表例として銀ナノワイヤを用いた。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は特に断らない限り質量基準である。実施例、比較例中において、構成成分としての水は純水を用いた。
【0070】
[銀ナノワイヤの直径]
走査型電子顕微鏡(SEM;日本電子(株)製、JSM−5610LV)を用い、100個の銀ナノワイヤを観察し、その算術平均値から銀ナノワイヤの直径を求めた。
【0071】
[銀ナノワイヤの長軸長]
走査型電子顕微鏡(SEM;日本電子(株)製、JSM−5610LV)を用い、100個の銀ナノワイヤを観察し、その算術平均値から銀ナノワイヤの長軸長を求めた。
【0072】
[銀ナノワイヤ含有積層体の平均表面抵抗率]
銀ナノワイヤ含有積層体上の異なる10部位の表面抵抗率(Ω/□)を測定し、その算術平均値から銀ナノワイヤ含有積層体の平均表面抵抗率を求めた。表面抵抗率の測定には、非接触式表面抵抗測定器EC−80P(ナプソン(株)製)を用いた。
【0073】
[銀ナノワイヤ含有積層体による基板の全光線透過率変化量]
何も施されていない基板と、銀ナノワイヤ含有積層体を有する基板の全光線透過率を測定し、その差から銀ナノワイヤ含有積層体による基板の全光線透過率変化量を求めた。全光線透過率変化量は、その値が低い方が、銀ナノワイヤ含有積層体の透明性が高い。測定には、NDH5000(日本電色工業(株)製)を用いた。
【0074】
[銀ナノワイヤ含有積層体による基板のヘイズ変化量]
何も施されていない基板と、銀ナノワイヤ含有積層体を有する基板のヘイズを測定し、その差から銀ナノワイヤ含有積層体による基板のヘイズ変化量を求めた。ヘイズ変化量は、その値が低い方が、銀ナノワイヤ含有積層体の濁度が低い。測定には、NDH5000(日本電色工業(株)製)を用いた。
【0075】
[銀ナノワイヤ含有積層体の光安定性]
PETフィルム上に形成された銀ナノワイヤ含有積層体上に、光学弾性樹脂(3M(株)製、商品名8146−2、膜厚50μm)を片面のセパレータを剥がして貼り合せた。さらに、貼り合わせた光学弾性樹脂の残る片面のセパレータを剥がした上からガラス基板(アズワン(株)製、ソーダガラス製スライドガラス)を貼り合わせ、PETフィルム上に、銀ナノワイヤ含有積層体、光学弾性樹脂、ガラスが順に積層された積層体を調製した。この積層体の全面の半分を覆うように、ガラス面側に黒テープ(ニチバン(株)製、ビニールテープVT−50黒)を貼り付けて、耐候性試験機及び蛍光灯による光安定性試験用試料2種を調製した。なお、これらの試験は促進試験であり、長期的な安定性を確認している。
【0076】
調製された光安定性試験用試料について、そのPETフィルム面から表面抵抗率を測定した。表面抵抗率の測定には、非接触式表面抵抗測定器EC−80P(ナプソン(株)製)を用いた。表面抵抗率は、照射部(黒テープが貼り付けていない領域)、境界部(黒テープを貼り付けた領域と貼り付けていない領域の境界部)と遮光部(黒テープが貼り付けた領域)の3箇所について測定し、この表面抵抗率を各部の各々の初期値(Rp0)とした。
【0077】
次いで、第一の光安定性試験用試料について、耐候性試験機(アトラス マテリアルテクノロジー社製、SUNTEST CPS+)を用いてキセノンランプを照射した。試験条件は、昼光フィルター装填、ブラックパネル温度70℃、照射強度750W/m(波長300nm〜800nmの分光放射照度の積算値)、試験槽内の温度は42℃、湿度は50%RH、試験時間は240時間及び480時間とした。キセノンランプは、光安定性試験用試料の黒テープ貼り付け面側から照射した。光安定性試験後、室温で1日静置してから、改めて照射部、境界部と遮光部の表面抵抗率を測定した。この表面抵抗率を耐候性試験機光安定性試験後の表面抵抗率(Rp1)とした。
【0078】
並行して、第二の光安定性試験用試料について、蛍光灯(メロウ5N 30形)を用いて照射した。試験条件は、照射度20000lx、環境温度は25℃、湿度は50%RH、試験時間は240時間及び480時間とした。蛍光灯は、光安定性試験用試料の黒テープ貼り付け面側から照射した。光安定性試験後、室温で1日静置してから、改めて照射部、境界部と遮光部の表面抵抗率を測定した。この表面抵抗率を蛍光灯光安定性試験後の表面抵抗率(Rp2)とした。
【0079】
銀ナノワイヤ含有積層体の光安定性を、光安定性試験前後の表面抵抗率Rp0、Rp1、Rp2に基づき、以下に従って評価した。
AA ; |1−(Rp1/Rp0)|、|1−(Rp2/Rp0)|ともに0.05以下
A ; |1−(Rp1/Rp0)|、|1−(Rp2/Rp0)|ともに0.05より大きく、0.1以下
BB; |1−(Rp1/Rp0)|、|1−(Rp2/Rp0)|ともに0.1より大きく、0.2以下
B ; |1−(Rp1/Rp0)|、|1−(Rp2/Rp0)|ともに0.2より大きく、0.3以下
C ; |1−(Rp1/Rp0)|、|1−(Rp2/Rp0)|ともに0.3より大きく、0.5以下
CC; |1−(Rp1/Rp0)|、|1−(Rp2/Rp0)|ともに0.5より大きい
CあるいはCCで表わされる、変化率の絶対値が0.3を超えるものは透明導電膜として実用的ではないと判定した。
【0080】
[銀ナノワイヤ含有積層体の高温高湿安定性]
銀ナノワイヤ含有積層体について、恒温恒湿器試験機(いすゞ製作所製、TPAV−48−20)を用いて、85℃85%RHの環境下で240時間静置することにより、高温高湿安定性試験を行った。高温高湿安定性試験前の表面抵抗率を測定し、この表面抵抗率を初期値(Rw0)とした。表面抵抗率の測定には、非接触式表面抵抗測定器EC−80P(ナプソン(株)製)を用いた。高温高湿安定性試験後、室温で1日静置してから、改めて表面抵抗率を測定した。この表面抵抗率を高温高湿安定性試験後の表面抵抗率(Rw1)とした。
【0081】
銀ナノワイヤ含有積層体の高温高湿安定性を、高温高湿安定性試験前後の表面抵抗率Rw0、Rw1に基づき、以下に従って評価した。
AA ; |1−(Rw1/Rw0)| ≦ 0.05
A ; 0.05 < |1−(Rw1/Rw0)| ≦ 0.1
BB; 0.1 < |1−(Rw1/Rw0)| ≦ 0.2
B ; 0.2 < |1−(Rw1/Rw0)| ≦ 0.3
C ; 0.3 < |1−(Rw1/Rw0)| ≦ 0.5
CC; 0.5 < |1−(Rw1/Rw0)|
CあるいはCCで表わされる、変化率の絶対値が0.3を超えるものは透明導電膜として実用的ではないと判定した。
【0082】
[銀ナノワイヤ分散液の調製]
遮光下において、攪拌装置、温度計、窒素導入管を備えた四つ口フラスコ(以下、「攪拌装置、温度計、窒素導入管を備えた四つ口フラスコ)を「四つ口フラスコ」と略する)に窒素を送入しながら、銀ナノワイヤ成長制御剤として重量平均分子量29万のN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体1.00質量部と、1,2−プロパンジオール117.9質量部とを加え、120℃で攪拌し溶解させた。ここに、1,2−プロパンジオール9.0質量部と塩化アンモニウム0.0054質量部とを加え、140℃に昇温し、15分間攪拌した。さらに1,2−プロパンジオール40.0質量部と硝酸銀0.85質量部とを加え、140℃で45分間攪拌し、銀ナノワイヤを作成した。得られた銀ナノワイヤ分散液に大過剰の純水を加え、銀ナノワイヤ成分を濾別し、残渣を銀ナノワイヤ分散媒である水に再分散させた。この操作を複数回繰り返すことで銀ナノワイヤ成分を精製し、銀ナノワイヤ含有量12.5質量%の銀ナノワイヤ分散液を調製した。得られた銀ナノワイヤは平均長軸長14μm、平均直径41nmであった。
【0083】
[バインダー(a)の調製]
四つ口フラスコにヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業(株)品、製品名 メトローズ90SH15000)20質量部、純水950質量部を仕込んだ後、10質量%クエン酸0.3質量部を添加し、50℃まで昇温した。続けて、N−メチロールアクリルアミド0.1質量部を添加し、6時間攪拌した。さらに、70℃まで昇温し、窒素ガスを通しながら、メチルメタクリレート15質量部、n−ブチルアクリレート5質量部、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液8質量部を添加し、3時間攪拌し、(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合したヒドロキシプロピルメチルセルロース分散液である4.0質量%のバインダー(a)を合成した。
【0084】
[バインダー(b)の調製]
四つ口フラスコに、窒素ガスを通しながら、テレフタル酸ジメチル106質量部、イソフタル酸ジメチル78質量部、5-スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム18質量部、エチレングリコール124質量部、無水酢酸ナトリウム0.8質量部を仕込んだ後、攪拌しながら150℃まで昇温した。生成するメタノールを反応系外に留去しながら、さらに180℃まで昇温し、3時間攪拌した。テトラ−n−ブチルチタネート0.2質量部を添加し、攪拌しながら230℃まで昇温し、10hPaの減圧下で、生成するエチレングリコールを反応系外に留去しながら、7時間攪拌した後、180℃まで冷却した。無水トリメリット酸1質量部を添加し、3時間攪拌した後、室温まで冷却することで、水性ポリエステル樹脂(B−1)を合成した。四つ口フラスコに、上記の水性ポリエステル樹脂(B−1)200質量部、純水298質量部を仕込んだ後、攪拌しながら60℃まで昇温し、水性ポリエステル樹脂を溶解させた。グリシジルメタクリレート2.5質量部を添加し、1時間攪拌した。さらに、純水279質量部を添加し、40℃まで攪拌しながら冷却し、メチルメタクリレート37.5質量部、n−ブチルアクリレート12.5質量部を添加し、70℃まで攪拌しながら昇温した。窒素ガスを通しながら、1質量%過硫酸アンモニウム4質量部を添加し、4時間攪拌した後、純水167部を添加し、10.0質量%の(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合した水性ポリエステル樹脂分散液であるバインダー(b)を合成した。
【0085】
[銀ナノワイヤ含有組成物(1)の調製]
四つ口フラスコに、12.5質量%の銀ナノワイヤ分散液0.48質量部、バインダーとして、バインダー(a)2.00質量部、分散媒として純水97.52質量部を仕込んだ後、均一な分散液になるまで攪拌し、銀ナノワイヤ含有組成物(1)を調製した。
【0086】
[銀ナノワイヤ含有組成物(2)の調製]
四つ口フラスコに、12.5質量%の銀ナノワイヤ分散液0.48質量部、バインダーとして、バインダー(a)2.00質量部、耐候性向上剤として3−(1,3−ベンゾチアゾール−2−イルチオ)プロピオン酸0.006質量部、分散媒として純水97.514質量部を仕込んだ後、均一な分散液になるまで攪拌し、銀ナノワイヤ含有組成物(2)を調製した。
【0087】
[銀ナノワイヤ含有組成物(3)の調製]
四つ口フラスコに、12.5質量%の銀ナノワイヤ分散液0.48質量部、バインダーとして、バインダー(a)1.50質量部、バインダー(b)0.20質量部、分散媒として純水97.82質量部を仕込んだ後、均一な分散液になるまで攪拌し、銀ナノワイヤ含有組成物(3)を調製した。
【0088】
[銀ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物の調製]
四つ口フラスコに、重合性モノマー及びマクロモノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート15質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート5質量部、重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.8質量部、耐候性向上剤として2−メルカプトベンゾチアゾール0.03質量部(重合性モノマー/マクロモノマーに対し、0.15質量%)、50%フィチン酸3質量部(フィチン酸純分として1.5質量部、重合性モノマー/マクロモノマーに対し、リン原子の量として0.7mmol/g)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル80質量部を仕込んだ後、均一な溶液になるまで攪拌し、銀ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物(1)を調製した。
【0089】
銀ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物(1)の調整例の耐候性向上剤を以下の表1及び表2のようにした以外は同様にして銀ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物(2)〜(33)を得た。
【0090】
四つ口フラスコに、重合性モノマー及びマクロモノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート15質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート5質量部、重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.8質量部、耐候性向上剤として2−メルカプトベンゾチアゾール0.3質量部(重合性モノマー/マクロモノマーに対し、1.5質量%)、50%ホスフィン酸0.4質量部(ホスフィン酸純分として0.2質量部、重合性モノマー/マクロモノマーに対し、リン原子の量として0.15mmol/g)、中和剤としてジ−n−ブチルアミン0.3質量部(重合性モノマー/マクロモノマーに対し、0.12mmol/g、ホスフィン酸のP−OHで表わされる原子団に対し0.8当量)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル80質量部を仕込んだ後、均一な溶液になるまで攪拌し、銀ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物(34)を調製した。
【0091】
銀ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物(34)の調整例の中和剤を以下の表2のようにした以外は同様にして銀ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物(35)、(36)を得た。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
[銀ナノワイヤ含有層(1)の調製]
銀ナノワイヤ含有組成物(1)を、膜厚100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、東レ(株)製、商品名「ルミラーU403」)上に24g/mで均一に塗布し、120℃の熱風対流式乾燥機で1分間乾燥し、銀ナノワイヤ含有層(1)を調製した。
【0095】
[銀ナノワイヤ含有層(2)の調製]
銀ナノワイヤ含有組成物(2)を、膜厚100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、東レ(株)製、商品名「ルミラーU403」)上に24g/mで均一に塗布し、120℃の熱風対流式乾燥機で1分間乾燥し、銀ナノワイヤ含有層(2)を調製した。
【0096】
[銀ナノワイヤ含有層(3)の調製]
銀ナノワイヤ含有組成物(3)を、膜厚100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、東レ(株)製、商品名「ルミラーU403」)上に24g/mで均一に塗布し、120℃の熱風対流式乾燥機で1分間乾燥し、銀ナノワイヤ含有層(3)を調製した。
【0097】
[銀ナノワイヤ含有層(4)の調製]
銀ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物(12)をプロピレングリコールモノメチルエーテルで40倍に希釈し、膜厚100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、東レ(株)製、商品名「ルミラーU403」)上に24g/mで均一に塗布し、120℃の熱風対流式乾燥機で5分間乾燥した後、紫外線照射装置UV1501C−SZ(セルエンジニア(株)製)を用いて、PET基板上に、上方から500mJ/cmの条件でUV光を照射することで、銀ナノワイヤ層の保護層を形成した。この保護層上に、銀ナノワイヤ含有組成物(1)を24g/mで均一に塗布し、120℃の熱風対流式乾燥機で1分間乾燥し、銀ナノワイヤ含有層(4)を調製した。
【0098】
[実施例1]
〈銀ナノワイヤ含有積層体(1)の調製〉
銀ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物(1)をプロピレングリコールモノメチルエーテルで40倍に希釈し、銀ナノワイヤ含有層(1)上に、に24g/mで均一に塗布し、120℃の熱風対流式乾燥機で5分間乾燥した後、紫外線照射装置UV1501C−SZ(セルエンジニア(株)製)を用いて、PET基板上に、上方から500mJ/cmの条件でUV光を照射することで、銀ナノワイヤ含有積層体(1)を調製した。表3に実施例1の銀ナノワイヤ含有積層体の各構成成分、評価結果を示す。
【0099】
[実施例2〜39]
銀ナノワイヤ含有積層体(1)の調製例の銀ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物と金属ナノワイヤ含有層を以下の表3、表4のようにした以外は同様にして銀ナノワイヤ含有積層体(2)〜(39)を調製した。表3、表4に実施例2〜46の銀ナノワイヤ含有積層体の各構成成分、評価結果を示す。なお、水酸基含有リン系化合物が水溶液の場合、純分で添加し、含有している水分の質量は無視した。
【0100】
【表3】
【0101】
【表4】
【0102】
[比較例1〜11]
銀ナノワイヤ含有積層体(1)の調整例の銀ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物を以下の表5のようにした以外は同様にして銀ナノワイヤ含有積層体(37)〜(47)を得た。表5、表6に比較例1〜11の銀ナノワイヤ含有積層体の各構成成分、評価結果を示す。なお、カルボン酸の添加率は、重合性モノマー及び/又はマクロモノマー1gに対するカルボキシ基のモル数で算出した。タンニン酸の添加率は、重合性モノマー及び/又はマクロモノマー1gに対するフェノール性ヒドロキシ基のモル数で算出した。
【0103】
【表5】
【表6】
【0104】
得られた銀ナノワイヤ含有積層体の平均表面抵抗率は、いずれも60Ω/□以下であり、良好な平均表面抵抗率を確保できていた。
【0105】
得られた銀ナノワイヤ含有積層体による基板の全光線透過率変化量は、いずれも1%以下であり、高い透明性を確保できていた。
【0106】
得られた銀ナノワイヤ含有積層体による基板のヘイズ変化量は、いずれも1%以下であり、低い濁度を確保できていた。
【0107】
比較例1、9は、耐候性向上剤として化合物(A)、化合物(B)の何れも含有しないため、実施例1〜2に比べ、銀ナノワイヤ含有積層体の耐候性試験機光安定性、蛍光灯光安定性及び高温高湿安定性が低いことがわかる。
【0108】
比較例2〜6は、耐候性向上剤として化合物(A)を含有しないため、実施例1、2に比べ、銀ナノワイヤ含有積層体の蛍光灯光安定性と高温高湿安定性が低いことがわかる。
【0109】
比較例7、8、10、11は、耐候性向上剤として化合物(B)を含有しないため、実施例1、2に比べ、銀ナノワイヤ含有積層体の蛍光灯光安定性が低いことがわかる。
【0110】
実施例3、4は、重合性モノマー及び/又はマクロモノマーに対し、化合物(A)を0.3〜4質量%含み、化合物(B)を、P−OHで表わされる原子団のリン原子の量で0.03〜0.6mmol/gの好ましい範囲で含んでいるため、実施例1、2に比べて銀ナノワイヤ含有積層体の耐候性試験機光安定性、蛍光灯光安定性及び高温高湿安定性が高いことがわかる。
【0111】
実施例5、6は、重合性モノマー及び/又はマクロモノマーに対し、化合物(A)を0.5〜3質量%含み、化合物(B)を、P−OHで表わされる原子団のリン原子の量で0.06〜0.5mmol/gのより好ましい範囲で含んでいるため、実施例3、4に比べて銀ナノワイヤ含有積層体の耐候性試験機光安定性、蛍光灯光安定性及び高温高湿安定性が高いことがわかる。
【0112】
実施例7〜20は、重合性モノマー及び/又はマクロモノマーに対し、化合物(A)を0.5〜3質量%含み、化合物(B)を、P−OHで表わされる原子団のリン原子の量で0.07〜0.4mmol/gのさらに好ましい範囲で含んでいるため、実施例5、6に比べて銀ナノワイヤ含有積層体の耐候性試験機光安定性、蛍光灯光安定性及び高温高湿安定性が高いことがわかる。
【0113】
実施例21〜33は、化合物(B)としてホスフィン酸類が含まれるため、実施例5〜20に比べて銀ナノワイヤ含有積層体の耐候性試験機光安定性、蛍光灯光安定性及び高温高湿安定性が高いことがわかる。
【0114】
実施例34は、重合性モノマー及び/又はマクロモノマーに対し、化合物(A)を0.5〜3質量%含み、化合物(B)を、P−OHで表わされる原子団のリン原子の量で0.06〜0.5mmol/gのより好ましい範囲で含み、中和率がP−OHで表わされる原子団の80%であるため、比較例1に比べて銀ナノワイヤ含有積層体の耐候性試験機光安定性、蛍光灯光安定性及び高温高湿安定性が高いことがわかる。
【0115】
実施例35は、重合性モノマー及び/又はマクロモノマーに対し、化合物(A)を0.5〜3質量%含み、化合物(B)を、P−OHで表わされる原子団のリン原子の量で0.06〜0.5mmol/gのより好ましい範囲で含み、P−OHで表わされる原子団に対する中和率が好ましい50%であるため、実施例34に比べて銀ナノワイヤ含有積層体の耐候性試験機光安定性、蛍光灯光安定性及び高温高湿安定性が高いことがわかる。
【0116】
実施例36は、重合性モノマー及び/又はマクロモノマーに対し、化合物(A)を0.5〜3質量%含み、化合物(B)を、P−OHで表わされる原子団のリン原子の量で0.06〜0.5mmol/gのより好ましい範囲で含み、P−OHで表わされる原子団に対する中和率がより好ましい20%であるため、実施例35に比べて銀ナノワイヤ含有積層体の耐候性試験機光安定性、蛍光灯光安定性及び高温高湿安定性が高いことがわかる。
【0117】
実施例37は、銀ナノワイヤ含有層に耐候性向上剤として化合物(A)が含まれるため、実施例21に比べて銀ナノワイヤ含有積層体の高温高湿安定性が高いことがわかる。
【0118】
実施例38は、銀ナノワイヤ含有層にポリエステル樹脂が含まれるため、実施例21に比べて銀ナノワイヤ含有積層体の高温高湿安定性が高いことがわかる。
【0119】
実施例39は、銀ナノワイヤ含有層の両面に銀ナノワイヤ含有層被覆用樹脂組成物による保護層が積層されているため、実施例21に比べて銀ナノワイヤ含有積層体の高温高湿安定性が高いことがわかる。
図1