特許第6593556号(P6593556)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6593556インターポーザ基板、回路モジュール、インターポーザ基板の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6593556
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】インターポーザ基板、回路モジュール、インターポーザ基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20191010BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20191010BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20191010BHJP
   H01F 27/00 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   H05K3/46 Q
   H05K1/18 R
   H01F17/00 D
   H01F27/00 S
【請求項の数】21
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2018-564132(P2018-564132)
(86)(22)【出願日】2017年11月30日
(86)【国際出願番号】JP2017042935
(87)【国際公開番号】WO2018139046
(87)【国際公開日】20180802
【審査請求日】2019年7月11日
(31)【優先権主張番号】特願2017-12765(P2017-12765)
(32)【優先日】2017年1月27日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米森 啓人
(72)【発明者】
【氏名】矢▲崎▼ 浩和
(72)【発明者】
【氏名】土屋 貴紀
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 晃史
【審査官】 原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−282785(JP,A)
【文献】 特開2001−156454(JP,A)
【文献】 特開2008−211202(JP,A)
【文献】 特開2007−335764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
H01F 17/00
H01F 27/00
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体部と磁性体部とを含み、互いに対向する第1主面と第2主面とを有する素体と、
前記素体の前記第1主面側に形成され、外部に接続される複数の接続用端子電極と、
前記素体の前記第2主面側に形成され、回路基板に接続される複数の回路基板用端子電極と、
前記素体の内部に形成され、前記複数の接続用端子電極と前記複数の回路基板用端子電極とを所定の接続パターンで接続する複数の配線電極と、
を備え、
前記複数の配線電極は、
前記誘電体部のみを通る第1配線電極と、
前記磁性体部を厚み方向に貫通し、前記厚み方向の両端に端子電極を有する、第2配線電極と、
を備える、
インターポーザ基板。
【請求項2】
前記誘電体部は、前記第1主面側から凹む凹部を有し、
前記磁性体部は、前記凹部内に実装されており、
前記複数の接続用端子電極は、
前記第1配線電極に接続する第1接続用端子電極と、前記第2配線電極に接続する第2接続用端子電極と、を備え、
前記第1接続用端子電極と前記第2接続用端子電極とは、前記素体の第1主面において面一に配置されている、
請求項1に記載のインターポーザ基板。
【請求項3】
前記誘電体部は、前記第2主面側から凹む凹部を有し、
前記磁性体部は、前記凹部内に実装されており、
前記複数の接続用端子電極は、
前記第1配線電極に接続する第1接続用端子電極と、前記第2配線電極に接続する第2接続用端子電極と、を備え、
前記第1接続用端子電極は、
複数の高周波信号用の端子電極と、
前記第1主面から視て、前記複数の高周波信号用の端子電極よりも前記素体の側面側に配置され、該側面に沿って配置された補助端子電極と、
を備える、
請求項1に記載のインターポーザ基板。
【請求項4】
前記凹部には、絶縁性樹脂が充填されている、
請求項2または請求項3に記載のインターポーザ基板。
【請求項5】
前記誘電体部は、複数の誘電体セラミック層を積層してなり、
前記磁性体部は、複数の磁性体セラミック層を積層してなる、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のインターポーザ基板。
【請求項6】
前記第2配線電極における前記磁性体部の内部に形成された電極は、所定のコイルパターンを有する、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のインターポーザ基板。
【請求項7】
前記磁性体部は、複数の前記第2配線電極を備え、
前記複数の第2配線電極は、少なくとも1つが他と異なるインピーダンスを有し、
前記複数の第2配線電極の端部は、前記第1主面または前記第2主面から視て、回転対称に配置されている、
請求項2に記載のインターポーザ基板。
【請求項8】
前記第1配線電極と前記複数の第2配線電極とは、少なくとも1つが他の異なるインピーダンスを有し、
前記第1配線電極の端部と前記複数の第2配線電極の端部とは、前記第1主面または前記第2主面から視て、回転対称に配置されている、
請求項7に記載のインターポーザ基板。
【請求項9】
前記誘電体部は、前記第1主面側から凹む凹部を備え、
前記凹部に収容可能な形状であり、端子電極を有する柱状素子を備え、
前記柱状素子は、前記誘電体部と前記磁性体部の少なくとも一方を構成する、
請求項1に記載のインターポーザ基板。
【請求項10】
前記柱状素子の端子電極は前記素体の第1主面に露出し、前記第1主面において面一に配置されている、
請求項9に記載のインターポーザ基板。
【請求項11】
前記素体における前記第1主面を覆う蓋部を備え、
前記蓋部は、前記第1配線電極と前記柱状素子の前記端子電極とを、外部に接続する蓋用の接続電極を備える、
請求項9または請求項10に記載のインターポーザ基板。
【請求項12】
前記蓋用の接続電極は、
前記蓋部の前記素体側の面に形成され、前記柱状素子の端子電極に接続する内側の端子電極と、
該内側の端子電極に接続され、前記蓋部の前記素体側と反対側の面に形成された外側の端子電極と、
を備える、請求項11に記載のインターポーザ基板。
【請求項13】
前記蓋部は、前記凹部に重なる貫通孔を有し、
前記柱状素子は、前記貫通孔に挿通している、
請求項11に記載のインターポーザ基板。
【請求項14】
前記凹部の底面には、前記素体の前記第2主面に形成され、平面視において前記凹部に重なる回路基板用端子電極に接続する端子用電極が形成されており、
前記柱状素子における前記第2主面側に配置される端子電極は、前記端子用電極に接続されている、
請求項9乃至請求項13のいずれかに記載のインターポーザ基板。
【請求項15】
前記凹部は、前記素体を貫通する形状であり、
前記柱状素子における前記第2主面側に配置される端子電極は、前記第2主面から露出している、
請求項9乃至請求項13のいずれかに記載のインターポーザ基板。
【請求項16】
前記素体における前記第1主面と前記第2主面とを連接する側面に形成され、該側面の少なくとも一部を覆うシールド膜を備える、
請求項1乃至請求項15のいずれかに記載のインターポーザ基板。
【請求項17】
前記シールド膜は、
前記側面の全周に亘って連続して形成されている、
請求項16に記載のインターポーザ基板。
【請求項18】
請求項1乃至請求項17のいずれかに記載のインターポーザ基板と、
前記複数の接続用端子電極に接合される複数の外部端子電極を有する第1回路部材と、
前記複数の回路基板用端子電極に接合される複数のランド電極を有する回路基板と、
を備える、
回路モジュール。
【請求項19】
前記複数の外部端子電極における、
前記第1配線電極に接続される外部端子電極は、高周波信号用またはグランド接続用であり、
第2配線電極に接続される外部端子電極は、低周波信号用である、
請求項18に記載の回路モジュール。
【請求項20】
請求項16または請求項17に記載のインターポーザ基板と、
前記複数の接続用端子電極に接合される複数の外部端子電極を有する第1回路部材と、
前記複数の回路基板用端子電極に接合される複数のランド電極を有する回路基板と、
前記回路基板に実装される表面実装型電子部品と、
を備え、
前記シールド膜の高さは、前記表面実装型電子部品の高さよりも高い、
回路モジュール。
【請求項21】
複数の誘電体セラミック層を積層し、互いに対向する第1主面と第2主面とを有し、前記第1主面側から凹む凹部を有する誘電体部を形成する工程と、
複数の磁性体セラミック層を積層した磁性体部を形成する工程と、
前記誘電体部における前記第1主面に、複数の第1柱状電極を形成する工程と、
前記凹部に前記磁性体部を実装する工程と、
前記磁性体部における前記第1主面側に、複数の第2柱状電極を形成する工程と、
前記第1主面側から、前記磁性体部、前記複数の第1柱状電極、および、前記複数の第2柱状電極を覆う絶縁性樹脂を形成する工程と、
少なくとも前記絶縁性樹脂を研削して、前記複数の第1柱状電極および前記複数の第2柱状電極を前記第1主面側の外部へ露出させる工程と、
を有する、インターポーザ基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回路基板と他の回路部材とを接続する際に利用するインターポーザ基板および該インターポーザ基板を用いた回路モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、携帯通信端末等では、筐体内に複数の回路基板が配置されている。これら複数の回路基板の接続には、他の回路部材の一例であるフラットケーブルが用いられることがある。
【0003】
特許文献1に記載のフラットケーブルでは、外部端子としてコネクタ部材が用いられている。フラットケーブルのコネクタ部材は、回路基板に実装されたコネクタ部材に嵌合される。この構成によって、フラットケーブルは、回路基板に接続される。
【0004】
また、特許文献2に記載の構成では、回路基板にガイド部材が実装されており、このガイド部材にフラットケーブルの外部端子が接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5842850号明細書
【特許文献2】国際公開第2014/002757号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような回路基板およびケーブルを含む回路モジュールは、当該回路モジュールのノイズ特性を向上させるために、フェライトビーズ素子等の所定の回路素子を用いることがある。
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1、2に示す構成では、回路基板におけるケーブルの実装位置の周辺に、フェライトビーズ素子等の所定の回路素子を実装しなければならない。このため、回路基板上の表面実装用のスペースを有効活用できず、回路基板および回路モジュールの小型化が難しくなることがある。
【0008】
したがって、本発明の目的は、ケーブルが接続される回路基板に、フェライトビーズ素子等の所定の回路素子を実装する必要が無い、ケーブルと回路基板とを接続するインターポーザ基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のインターポーザ基板は、素体、複数の接続用端子電極、複数の回路基板用端子電極、および、複数の配線電極を備える。素体は、誘電体部と磁性体部とを含み、互いに対向する第1主面と第2主面とを有する。複数の接続用端子電極は、素体の第1主面側に形成されており、ケーブルに接続される電極である。複数の回路基板用端子電極は、素体の第2主面側に形成されており、回路基板に接続される電極である。複数の配線電極は、素体の内部に形成され、複数の接続用端子電極と複数の回路基板用端子電極とを所定の接続パターンで接続する。複数の配線電極は、誘電体部のみを通る第1配線電極と、磁性体部を通る第2配線電極と、を備える。
【0010】
この構成では、第2配線電極は磁性体部を通るので、この部分は、フェライトビーズ素子、チョークコイル、ノイズフィルタ等の所定の回路素子として機能する。一方、第1配線電極は磁性体部を通らないので、この部分は、低損失な高周波信号の伝送線路等として機能する。そして、これらの部分が素体に一体化されていることで、上述の回路素子を別途外部に配置する必要は無い。
【0011】
また、この発明のインターポーザ基板は、次の構成であってもよい。誘電体部は、第1主面側から凹む凹部を有する。磁性体部は、凹部内に実装されている。複数の接続用端子電極は、第1配線電極に接続する第1接続用端子電極と、第2配線電極に接続する第2接続用端子電極と、を備える。第1接続用端子電極と第2接続用端子電極とは、素体の第1主面において面一に配置されている。
【0012】
この構成では、誘電体部と磁性体部とを別々に形成して、組み合わせればよく、製造が容易になる。また、ケーブルの接合面がフラットになり、ケーブルの接合が容易になる。
【0013】
また、この発明のインターポーザ基板は、次の構成であってもよい。誘電体部は、第2主面側から凹む凹部を有する。磁性体部は、凹部内に実装されている。複数の接続用端子電極は、第1配線電極に接続する第1接続用端子電極と、第2配線電極に接続する第2接続用端子電極と、を備える。第1接続用端子電極は、複数の高周波信号用の端子電極と、第1主面から視て、該複数の高周波信号用の端子電極よりも素体の側面側に配置され、該側面に沿って配置された補助端子電極と、を備える。
【0014】
この構成では、補助端子電極によって、インターポーザ基板とケーブルとの接合強度が向上する。また、この構成によって、素体の第1主面側は、誘電体部のみで構成されるので、補助端子電極が形成し易い。
【0015】
また、この発明のインターポーザ基板では、凹部に絶縁性樹脂が充填されていることが好ましい。
【0016】
この構成では、磁性体部と誘電体部との接合強度が向上し、信頼性が向上する。
【0017】
また、この発明のインターポーザ基板では、次の構成であることが好ましい。誘電体部は、複数の誘電体セラミック層を積層してなる。磁性体部は、複数の磁性体セラミック層を積層してなる。
【0018】
この構成では、誘電体部と磁性体部とが、所定形状に容易に形成される。
【0019】
また、この発明のインターポーザ基板では、第2配線電極における磁性体部の内部に形成された電極は、所定のコイルパターンを有していてもよい。
【0020】
この構成では、第2配線電極によって実現される作用効果が向上する。
【0021】
また、この発明のインターポーザ基板では、次の構成であってもよい。磁性体部は、複数の第2配線電極を備える。複数の第2配線電極は、少なくとも1つが他と異なるインピーダンスを有する。複数の第2配線電極の端部は、第1主面または第2主面から視て、回転対称に配置されている。
【0022】
この構成では、磁性体部の配置を回転させることで、電気的な接続パターンが変わる。これにより、物理的な接続パターンを変更することなく、電気的な接続パターンを変更できる。
【0023】
また、この発明のインターポーザ基板では、次の構成であってもよい。第1配線電極と複数の第2配線電極とは、少なくとも1つが他の異なるインピーダンスを有する。第1配線電極の端部と複数の第2配線電極の端部とは、第1主面または第2主面から視て、回転対称に配置されている。
【0024】
この構成では、インターポーザ基板の回路基板への配置を回転させることで、電気的な接続パターンが変わる。これにより、物理的な接続パターンを変更することなく、電気的な接続パターンを変更できる。
【0025】
また、この発明のインターポーザ基板では、次の構成であってもよい。誘電体部は、第1主面側から凹む凹部を備える。凹部に収容可能な形状であり、端子電極を有する柱状素子を備える。柱状素子は、誘電体部と磁性体部の少なくとも一方を構成する。
【0026】
この構成では、柱状素子の種類を換えることで、物理的な接続パターンを変更することなく、電気的な接続パターンを変更できる。
【0027】
また、この発明のインターポーザ基板では、次の構成であってもよい。柱状素子の端子電極は素体の第1主面に露出し、第1主面において面一に配置されている。
【0028】
この構成では、柱状素子の端子電極をインターポーザ基板の接続用端子電極として用いることができる。
【0029】
また、この発明のインターポーザ基板では、次の構成であってもよい。インターポーザ基板は、素体における第1主面を覆う蓋部を備える。蓋部は、第1配線電極と柱状素子の端子電極とを、外部に接続する蓋用の接続電極を備える。
【0030】
この構成では、柱状素子が蓋部によって確実に固定される。
【0031】
また、この発明のインターポーザ基板では、次の構成であってもよい。蓋用の接続電極は、蓋部の素体側の面に形成され、柱状素子の端子電極に接続する内側の端子電極と、該内側の端子電極に接続され、蓋部の素体側と反対側の面に形成された外側の端子電極と、を備える。
【0032】
この構成では、蓋部の具体的な構造を示しており、インターポーザ基板の第1主面側において、柱状素子が確実に固定され、電気的に接続される。
【0033】
また、この発明のインターポーザ基板では、次の構成であってもよい。蓋部は、凹部に重なる貫通孔を有する。柱状素子は、貫通孔に挿通している。
【0034】
この構成では、インターポーザ基板の第1主面側からの柱状素子の変更が容易になる。
【0035】
また、この発明のインターポーザ基板では、次の構成であってもよい。凹部の底面には、素体の第2主面に形成され、平面視において凹部に重なる回路基板用端子電極に接続する端子用電極が形成されている。柱状素子における第2主面側に配置される端子電極は、端子用電極に接続されている。
【0036】
この構成では、柱状素子が凹部内に確実に固定され、電気的に接続される。
【0037】
また、この発明のインターポーザ基板では、次の構成であってもよい。凹部は、素体を貫通する形状であり、柱状素子における第2主面側に配置される端子電極は、第2主面から露出している。
【0038】
この構成では、インターポーザ基板の第2主面側からの柱状素子の変更が容易になる。
【0039】
また、この発明のインターポーザ基板では、次の構成であることが好ましい。インターポーザ基板は、素体における第1主面と第2主面とを連接する側面に形成され、該側面の少なくとも一部を覆うシールド膜を備える。
【0040】
この構成では、インターポーザ基板内で生じたノイズが外部に放射されることが抑制される。
【0041】
また、この発明のインターポーザ基板では、シールド膜は、側面の全周に亘って連続して形成されていることが好ましい。
【0042】
この構成では、ノイズのシールド効果が向上する。
【0043】
また、この発明の回路モジュールは、上述のいずれかに記載のインターポーザ基板、ケーブル、および、回路基板を備える。ケーブルは、複数の接続用端子電極に接合される複数の外部端子電極を有する。回路基板は、複数の回路基板用端子電極に接合される複数のランド電極を有する。
【0044】
この構成では、回路基板に、フェライトビーズ素子等の所定の回路素子を実装する必要が無い。
【0045】
また、この発明の回路モジュールでは、複数の外部端子電極において、第1配線電極に接続される外部端子電極は、高周波信号用またはグランド接続用であり、第2配線電極に接続される外部端子電極は、低周波信号用である。
【0046】
この構成では、高周波信号が低損失に伝送され、低周波信号に対するノイズが効果的に抑制される。
【0047】
また、この発明の回路モジュールは、上述のシールド膜を有するインターポーザ基板、第1回路部材、回路基板、および、表面実装型電子部品を備える。第1回路部材は、複数の接続用端子電極に接合される複数の外部端子電極を有する。回路基板は、複数の回路基板用端子電極に接合される複数のランド電極を有する。表面実装型電子部品は、回路基板に実装されている。シールド膜の高さは、表面実装型電子部品の高さよりも高いことが好ましい。
【0048】
この構成では、インターポーザ基板から表面実装型電子部品へのノイズの放射が抑制される。また、この逆方向のノイズの漏洩も抑制される。
【0049】
また、この発明のインターポーザ基板の製造方法は、次の各工程を有する。この製造方法は、複数の誘電体セラミック層を積層し、互いに対向する第1主面と第2主面とを有し、第1主面側から凹む凹部を有する誘電体部を形成する工程と、複数の磁性体セラミック層を積層した磁性体部を形成する工程と、を有する。この製造方法は、誘電体部における第1主面に、複数の第1柱状電極を形成する工程と、凹部に磁性体部を実装する工程と、磁性体部における第1主面側に、複数の第2柱状電極を形成する工程と、を有する。この製造方法は、第1主面側から、磁性体部、複数の第1柱状電極、および、複数の第2柱状電極を覆う絶縁性樹脂を形成する工程と、少なくとも絶縁性樹脂を研削して、複数の第1柱状電極および複数の第2柱状電極を第1主面側の外部へ露出させる工程と、を有する。
【0050】
この製造方法では、誘電体部と磁性体部とを一体化したインターポーザ基板が、容易に形成され、第1主面側の複数の電極の露出面(ケーブルが接合される面)の平坦性が向上する。
【発明の効果】
【0051】
この発明によれば、回路基板に、フェライトビーズ素子等の所定の回路素子を実装する必要が無い。したがって、回路基板の表面実装用のスペースを有効活用でき、回路基板および回路モジュールの小型化が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】(A)は、本発明の第1の実施形態に係るインターポーザ基板の第1主面側からの平面図であり、(B)は、このインターポーザ基板の構成を示す側面断面図であり、(C)は、このインターポーザ基板の第2主面側からの平面図である。
図2】第1の実施形態に係るインターポーザ基板を備えた回路モジュールの構成を示す斜視図である。
図3図2に示す回路モジュールの一部の構成を拡大した側面断面図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係るインターポーザ基板の主たる製造工程を示すフローチャートである。
図5】(A)、(B)、(C)は、図4に示すフローにおける途中の工程での構成を示す側面断面図である。
図6】(A)は、本発明の第2の実施形態に係るインターポーザ基板の第1主面側からの平面図であり、(B)は、このインターポーザ基板の構成を示す側面断面図であり、(C)は、このインターポーザ基板の第2主面側からの平面図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係るインターポーザ基板の別の態様での第1主面側からの平面図である。
図8】本発明の第3の実施形態に係る磁性体部の概略構成を示す分解斜視図である。
図9】本発明の第4の実施形態に係るインターポーザ基板の構成を示す側面断面図である。
図10】本発明の第5の実施形態に係るインターポーザ基板の構成を示す外観斜視図である。
図11】本発明の第5の実施形態に係るインターポーザ基板の構成を示す側面断面図である。
図12】(A)は、第5の実施形態に係る磁性体部の配置の第1態様を示す平面図であり、(B)は、第5の実施形態に係る磁性体部の配置の第2態様を示す平面図である。
図13】本発明の第6の実施形態に係るインターポーザ基板の構成を示す外観斜視図である。
図14】(A)は、第6の実施形態に係るインターポーザ基板の配置の第1態様を示す平面図であり、(B)は、第6の実施形態に係るインターポーザ基板の配置の第2態様を示す平面図である。
図15】(A)は、抵抗素子を形成する態様を示し、(B)は、インダクタ素子を形成する態様を示し、(C)および(D)は、キャパシタ素子を形成する態様を示す。
図16】本発明の第7の実施形態に係るインターポーザ基板の構成を示す側面断面図である。
図17】(A)は、磁性体部の配置の第1態様を示し、(B)は、磁性体部の配置の第2態様を示す。
図18】本発明の第8の実施形態に係るインターポーザ基板の構成を示す側面断面図である。
図19】(A)は、誘電体部の第1主面側からの平面図であり、(B)は、誘電体部の側面断面図であり、(C)は、誘電体部の第2主面側からの平面図である。
図20】(A)は、蓋部の第1主面側からの平面図であり、(B)は、蓋部の側面断面図であり、(C)は、蓋部の第2主面側からの平面図である。
図21】(A)は、柱状素子の外観斜視図であり、(B)は、柱状素子の第1態様を示し、(C)は、柱状素子の第2態様を示し、(D)は、柱状素子の第3態様を示し、(E)は、柱状素子の第4態様を示す。
図22】(A)は、誘電体部に形成された凹部の派生の第1態様を示し、(B)は、誘電体部に形成された凹部の派生の第2態様を示す。
図23】(A)は、柱状素子の設置の派生の第1態様を示し、(B)は、柱状素子の設置の派生の第2態様を示し、(C)は、柱状素子の設置の派生の第3態様を示し、(D)は、柱状素子の設置の派生の第4態様を示し、(E)は、柱状素子の設置の派生の第5態様を示す。
図24】本発明の第9の実施形態に係るインターポーザ基板の構成を示す側面断面図である。
図25】本発明の第9の実施形態に係るインターポーザ基板の構成を示す平面図である。
図26】本発明の第10の実施形態に係るインターポーザ基板の構成を示す側面断面図である。
図27】本発明の第11の実施形態に係るインターポーザ基板の構成を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明の第1の実施形態に係るインターポーザ基板、回路モジュール、および、インターポーザ基板の製造方法について、図を参照して説明する。図1(A)は、本発明の第1の実施形態に係るインターポーザ基板の第1主面側からの平面図である。図1(B)は、このインターポーザ基板の構成を示す側面断面図である。図1(C)は、このインターポーザ基板の第2主面側からの平面図である。なお、図1(B)では、図を見やすくするために、同定が容易な箇所の一部の付記を省略している。
【0054】
図1(A)、図1(B)、図1(C)に示すように、インターポーザ基板10は、誘電体部20、磁性体部30、および、絶縁性樹脂40を備える。誘電体部20と磁性体部30との部分によって、インターポーザ基板10の素体が構成されている。
【0055】
誘電体部20は、複数の誘電体セラミック層200を、厚み方向に沿って積層してなる。誘電体部20は、基本的には非磁性体部であるが、磁性体部30よりも透磁率の低い材料であっても構わない。誘電体部20は、第1主面201と第2主面202とを有する。第1主面201と第2主面202とは、誘電体部20の厚み方向に直交している。第1主面201の面積は、第2主面202の面積よりも小さく、第1主面201は、第2主面202の一部に対向している。すなわち、誘電体部20は、第1主面201側から厚み方向に凹む凹部CP20を有する。
【0056】
誘電体部20の第1主面201には、複数の接続用端子電極111が形成されている。誘電体部20の第2主面202には、複数の回路基板用端子電極121が形成されている。複数の回路基板用端子電極121は、第2主面202における第1主面201に対向する領域に形成されている。なお、複数の回路基板用端子電極121の形成領域は、この領域に限るものではないが、この領域内であることが好ましい。
【0057】
誘電体部20の内部には、平面電極221、222と、接続電極231、232とが形成されている。平面電極221、222は、誘電体部20の厚み方向に直交する電極であり、接続電極231、232は、この厚み方向に平行に延びる電極である。
【0058】
複数の平面電極221と複数の接続電極231とは、第1主面201と第2主面202とが対向する領域内に形成されており、所定の接続パターンで接続されている。これにより、複数の第1配線電極CH1が構成されている。複数の接続用端子電極111と複数の回路基板用端子電極121とは、図1(B)に示すように、複数の第1配線電極CH1を介して、所定の接続パターンによって接続されている。なお、所定の接続パターンとは、インターポーザ基板10の機能として予め設定された接続パターンである。
【0059】
誘電体部20の凹部CP20の底面には、複数の磁性体実装用電極212が形成されている。複数の回路基板用端子電極122は、第2主面202における第1主面201に対向していない領域(凹部CP20を有する領域)に形成されている。
【0060】
平面電極222と複数の接続電極232とは、誘電体部20における第1主面201と第2主面202とが対向していない領域(凹部CP20を有する領域)に形成されており、所定の接続パターンで接続されている。複数の磁性体実装用電極212と複数の回路基板用端子電極121とは、この所定の接続パターンによって接続されている。
【0061】
磁性体部30は、複数の磁性体セラミック層300を、厚み方向に沿って積層してなる。磁性体部30は、主面301と主面302とを有する。主面301と主面302とは、磁性体部30の厚み方向に直交している。
【0062】
磁性体部30の主面301には、複数の接続用端子電極112が形成されている。磁性体部30の主面302には、複数の実装用電極321が形成されている。
【0063】
磁性体部30の内部には、複数の接続電極331が形成されている。複数の接続電極331は、磁性体部30の厚み方向に平行に延びる電極である。複数の接続用端子電極112と複数の実装用電極321とは、図1(B)に示すように、複数の接続電極331を介して、所定の接続パターンによって接続されている。これにより、複数の第2配線電極CH2が構成されている。
【0064】
磁性体部30は、誘電体部20の凹部CP20の内部に配置されている。この際、磁性体部30の主面301と、誘電体部20の第1主面201とは、面一である。さらに、複数の接続用端子電極112と複数の接続用端子電極111とは、面一である。これにより、素体の第1主面側の外面(フラットケーブルが接続される面)は平坦である。
【0065】
磁性体部30の複数の実装用電極321は、誘電体部20の複数の磁性体実装用電極212に、はんだ50を介して接合されている。
【0066】
絶縁性樹脂40は、誘電体部20の凹部CP20に充填されており、磁性体部30を覆っている。絶縁性樹脂40は、誘電体部20の第1主面201を覆うとともに、磁性体部30の主面301も覆っており、複数の接続用端子電極111、112の端面のみが外部に露出している。絶縁性樹脂40は、省略も可能であるが、絶縁性樹脂40を備えることによって、誘電体部20と磁性体部30との接合強度が向上し、インターポーザ基板10の信頼性が向上する。
【0067】
このような構成を用いることによって、第1配線電極CH1を介する伝送経路と第2配線電極CH2を介する伝送経路とが1つの素体に形成される。
【0068】
第2配線電極CH2は、磁性体部30を介するので、フェライトビーズ効果を得ることができる。第1配線電極CH1は、磁性体部30を介さないので、フェライトビーズの影響を受けず、高周波信号を低損失に伝送できる。また、グランド(接地電位)に対する寄生インダクタンスの発生を抑制できる。
【0069】
したがって、上述の構成を備えることによって、インターポーザ基板10は、高周波信号の低損失な伝送、グランドに対する寄生インダクタンスの抑制と、低周波信号に対するノイズ抑制効果とを、1つの素体で同時に実現できる。すなわち、インターポーザ基板10は、信号伝送機能とインダクタンスを利用した他の機能とを同時に実現する構造を実現できる。
【0070】
これにより、単に信号伝送のためにインターポーザ基板と、フェライトビーズ素子等の回路素子とを個別に配置する構成と比較して、小型化が可能になる。
【0071】
なお、上述の高周波信号とは、100MHzよりも高い周波数域を利用する信号であり、低周波数信号は、当該高周波数よりも低い周波数域を利用する信号、例えば100MHzよりも低い周波数域を利用する信号である。この高周波と低周波の定義は、これに限るものではなく、インターポーザ基板10が利用される回路モジュールに応じて、この定義に類似する範囲で適宜設定することができる。
【0072】
このような構成からなるインターポーザ基板10は、次に示す回路モジュールに用いられている。図2は、第1の実施形態に係るインターポーザ基板を備えた回路モジュールの構成を示す斜視図である。
【0073】
図2図3に示すように、回路モジュール1は、インターポーザ基板10、10S、フラットケーブル800、および、回路基板90、90Sを備える。
【0074】
回路基板90と回路基板90Sとは、離間して配置されている。回路基板90の表面、より具体的には回路基板90の表面の複数のランド電極901には、複数の表面実装型電子部品911、912が実装されている。回路基板90Sの表面には、複数の表面実装型電子部品911S、912Sが実装されている。
【0075】
インターポーザ基板10は、回路基板90の表面に実装されている。インターポーザ基板10Sは、回路基板90Sの表面に実装されている。フラットケーブル800は、インターポーザ基板10の複数の接続用端子電極111、112とインターポーザ基板10Sの複数の接続用端子電極111Sとをそれぞれに接続している。これにより、回路基板90と回路基板90Sとは、インターポーザ基板10、10S、および、フラットケーブル800を介して、電気的に接続されている。
【0076】
次に、図3を用いて、インターポーザ基板10、フラットケーブル800、および、回路基板90の接続構造を、より具体的に説明する。図3は、図2に示す回路モジュールの一部の構成を拡大した側面断面図である。
【0077】
図3に示すように、回路基板90の表面には、複数のランド電極901が形成されている。インターポーザ基板10の複数の回路基板用端子電極121、122は、はんだ991を介して、複数のランド電極901にそれぞれ接続されている。
【0078】
フラットケーブル800には、複数の外部端子電極810、820が形成されている。インターポーザ基板10の複数の接続用端子電極111は、はんだ992を介して、複数の外部端子電極810にそれぞれ接続されている。インターポーザ基板10の複数の接続用端子電極112は、はんだ992を介して、複数の外部端子電極820に接続されている。
【0079】
フラットケーブル800における複数の外部端子電極810は、複数のフラットケーブル配線電極81に接続されている。複数のフラットケーブル配線電極81は、高周波信号の伝送用の電極、または、グランド用の電極である。複数の外部端子電極820は、複数のフラットケーブル配線電極82に接続されている。複数のフラットケーブル配線電極82は、低周波信号の伝送用の電極、例えば、制御信号の伝送用の電極、直流電源ラインの電極である。
【0080】
このような構成を備えることで、回路モジュール1は、インターポーザ基板10において、高周波信号を低損失に伝送し、グランドに対する寄生インダクタンスを抑制できる。さらに、回路モジュール1は、インターポーザ基板10において、低周波信号に重畳するノイズ成分を抑制できる。
【0081】
さらに、インターポーザ基板10が実装される回路基板側に、フェライトビーズ素子等を実装する必要が無くなり、回路基板の表面実装用のスペースを有効活用でき、回路基板90および回路モジュール1の小型化が容易になる。
【0082】
また、上述の構成では、インターポーザ基板10の第1主面側が平坦であるので、インターポーザ基板10とフラットケーブル800との接合信頼性が向上する。
【0083】
上述の構成を備えるインターポーザ基板10は、図4図5に示す製造方法で実現が可能である。図4は、本発明の第1の実施形態に係るインターポーザ基板の主たる製造工程を示すフローチャートである。図5(A)、図5(B)、図5(C)は、図4に示すフローにおける途中の工程での構成を示す側面断面図である。
【0084】
まず、誘電体部20を形成する(S101)。誘電体部20の形成方法は、既知の低温焼結セラミック多層基板(LTCC基板)の製造方法等を用いることができる。また、磁性体部30を形成する(S102)。磁性体部30の形成方法は、磁性体粉を含有したセラミックグリーンシートを積層して焼結する等の製造方法を用いることができる。なお、図4では、誘電体部20の形成と磁性体部30の形成とを、この順に行っているが、この順に限るものではなく、平行して個別に形成してもよい。このように、誘電体部20および磁性体部30を積層体によって形成することで、上述の構成のインターポーザ基板10を容易に製造できる。
【0085】
次に、図5(A)に示すように、誘電体部20の第1主面201に、複数の柱状電極111Pを形成する(S103)。柱状電極111Pが本発明の「第1柱状電極」に対応する。複数の柱状電極111Pは、上述の接続用端子電極111よりも高く形成される。複数の柱状電極111Pは、銅ポストの形成、はんだによる盛り上げ電極、または、銅または銀の積層形成等によって実現可能である。
【0086】
次に、誘電体部20の凹部CP20に、磁性体部30を実装する(S104)。次に、図5(B)に示すように、磁性体部30の主面301に、複数の柱状電極112Pを形成する(S105)。柱状電極112Pが本発明の「第2柱状電極」に対応する。複数の柱状電極112Pは、上述の接続用端子電極112よりも高く形成される。複数の柱状電極112Pは、複数の柱状電極111Pと同様に、銅ポストの形成、はんだによる盛り上げ電極、または、銅または銀の積層形成等によって実現可能である。
【0087】
次に、図5(C)に示すように、絶縁性樹脂40Pを形成する(S106)。絶縁性樹脂40Pは、誘電体部20の凹部CP20を充填し、誘電体部20の第1主面201、磁性体部30の主面301、複数の柱状電極111P、112Pを覆うように形成される。
【0088】
次に、絶縁性樹脂40Pを表面側(誘電体部20および磁性体部30と反対側)から研削する(S107)。この際、複数の柱状電極111P、112Pが研削され、外部に露出するように、研削を行う。これにより、図1(B)に示す形状が実現される。
【0089】
このような製造方法を用いることによって、上述の構成のインターポーザ基板10を容易に製造できる。
【0090】
また、インターポーザ基板10の第1主面側の平坦性を高くできる。これにより、フラットケーブル800の接合が容易になり、インターポーザ基板10とフラットケーブル800との接合信頼性を向上できる。
【0091】
次に、本発明の第2の実施形態に係るインターポーザ基板について、図を参照して説明する。図6(A)は、本発明の第2の実施形態に係るインターポーザ基板の第1主面側からの平面図である。図6(B)は、このインターポーザ基板の構成を示す側面断面図である。図6(C)は、このインターポーザ基板の第2主面側からの平面図である。なお、図6(B)では、図を見やすくするために、同定が容易な箇所の一部の付記を省略している。
【0092】
図6(A)、図6(B)、図6(C)に示すように、概略的には、第2の実施形態に係るインターポーザ基板10Aは、第1の実施形態に係るインターポーザ基板10に対して、誘電体部20Aの凹部CP20Aが第2主面202A側にある点、および、素体の第1主面側の端子電極の構成と第2主面側の端子電極の構成において異なる。インターポーザ基板10Aにおける他の構成は、インターポーザ基板10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0093】
図6(B)に示すように、誘電体部20Aは、第2主面202Aから凹む凹部CP20Aを備える。図6(C)に示すように、複数の回路基板用端子電極121Aは、誘電体部20Aの第2主面202Aに、配列して形成されている。
【0094】
磁性体部30は、凹部CP20Aの内部に配置されている。この際、磁性体部30の主面301と、誘電体部20Aの第2主面202Aとは、面一である。図6(C)に示すように、複数の回路基板用端子電極122Aは、磁性体部30の主面301に、配列して形成されている。
【0095】
複数の回路基板用端子電極122Aと複数の回路基板用端子電極121Aとは、面一である。これにより、素体の第2主面側の外面(回路基板に実装される面)は平坦である。
【0096】
絶縁性樹脂40Aは、誘電体部20Aの凹部CP20Aに充填されており、磁性体部30を覆っている。絶縁性樹脂40Aは、誘電体部20Aの第2主面202Aを覆うとともに、磁性体部30の主面301も覆っており、複数の回路基板用端子電極121A、122Aの端面のみが外部に露出している。
【0097】
複数の接続用端子電極111A、112A、および、補助端子電極111AGは、誘電体部20Aの第1主面201Aに、所定の配列パターンで形成されている。具体的には、複数の接続用端子電極111Aは、インターポーザ基板10Aを平面視して、誘電体部20Aの凹部CP20Aに重ならない領域に配置されている。複数の接続用端子電極112Aは、インターポーザ基板10Aを平面視して、誘電体部20Aの凹部CP20Aに重なる領域に配置されている。
【0098】
補助端子電極111AGは、複数の接続用端子電極111A、112Aの配置領域よりも第1主面201Aの辺側に配置されている。補助端子電極111AGは、環状であり、インターポーザ基板10Aを平面視して、複数の接続用端子電極111A、112Aの配置領域を囲んでいる。すなわち、補助端子電極111AGは、インターポーザ基板10Aを平面視して、誘電体部20Aの凹部CP20Aに重ならない領域と凹部CP20Aに重なる領域とを跨いで配置されている。
【0099】
補助端子電極111AGは、電気的にはグランド用電極等として機能し、低周波用であり、接続用端子電極111Aと同様の取り扱いができる。すなわち、補助端子電極111AGは、第1配線電極CH1に接続されている。
【0100】
また、補助端子電極111AGの幅(環状の延びる方向に直交する方向の長さ)は、可能な限り太いことが望ましい。例えば、補助端子電極111AGの幅は、複数の接続用端子電極111A、112Aの直径や辺の長さよりも長いことが好ましい。これにより、補助端子電極111AGは、フラットケーブルの外部端子電極(図示を省略する。)に対する接合面積を大きくできる。したがって、インターポーザ基板10Aとフラットケーブルとの接合強度は高くなり、接合信頼性が向上する。
【0101】
そして、インターポーザ基板10Aの構成では、インターポーザ基板10Aのフラットケーブルに接続される面の全面が、誘電体部20Aの第1主面201Aである。したがって、誘電体部20Aの凹部CP20Aに重ならない領域と凹部CP20Aに重なる領域とを跨ぐ形状の補助端子電極111AGを、容易に形成できる。さらに、この構成によって、インターポーザ基板10Aのフラットケーブルに接続される面の全面の平坦性が向上し、インターポーザ基板10Aとフラットケーブルとの接合信頼性がさらに向上する。
【0102】
なお、補助端子電極111AGは、全周に亘って繋がる環状であることが好ましいが、これに限るものではない。図7は、本発明の第2の実施形態に係るインターポーザ基板の別の態様での第1主面側からの平面図である。
【0103】
図7に示すように、補助端子電極111AGは、環状に延びる方向の途中に、電極が形成されていない分断部を備える。分断部は、単数であっても、複数であってもよい。
【0104】
このような構成であっても、インターポーザ基板10Aとフラットケーブルとの接合信頼性が向上する。
【0105】
なお、上述の各実施形態では、凹部は、誘電体部の三側面に開口する形状であるが、二側面に開口する形状、一側面に開口する形状であってもよく、一方の主面のみに開口する形状であってもよい。
【0106】
次に、第3の実施形態に係るインターポーザ基板について、図を参照して説明する。本実施形態に係るインターポーザ基板は、磁性体部30Aの構成において、第1、第2の実施形態に係るインターポーザ基板と異なる。
【0107】
図8は、本発明の第3の実施形態に係る磁性体部の概略構成を示す分解斜視図である。なお、図8では、第3の実施形態に係る磁性体部において特徴的な箇所を図示しており、他の箇所の図示は省略している。
【0108】
磁性体部30Aは、複数の磁性体セラミック層300を、厚み方向に沿って積層してなる。複数の磁性体セラミック層300の主面には、それぞれ線状電極332Aが形成されている。これら複数の線状電極332Aは、複数の磁性体セラミック層300を厚み方向に貫く接続電極331Aによって接続されている。これら複数の線状電極332Aと複数の接続電極331Aとによって、磁性体部30Aの厚み方向を軸方向とするスパイラル電極が形成されている。そして、このスパイラル電極からなるコイルパターンが、上述の第2配線電極CH2に用いられる。これにより、第2配線電極CH2のインダクタンスを大きくでき、例えば、磁性体部30Aは、高いフェライトビーズ効果を有することができる。
【0109】
なお、本実施形態では、スパイラル形状の電極パターンを用いる場合を示したが、ミアンダ状の電極パターン、または、単なる線状の電極パターン等の他のコイル電極パターンであってもよい。
【0110】
次に、本発明の第4の実施形態に係るインターポーザ基板について、図を参照して説明する。図9は、本発明の第4の実施形態に係るインターポーザ基板の構成を示す側面断面図である。
【0111】
図9に示すように、第4の実施形態に係るインターポーザ基板10Bは、磁性体部30Bが誘電体部20Bに内蔵されている点において、第1の実施形態に係るインターポーザ基板10と異なる。インターポーザ基板10Bの他の構成は、インターポーザ基板10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0112】
図9に示すように、磁性体部30Bは、複数の磁性体セラミック層300Bを積層してなる。誘電体部20Bは、複数の誘電体セラミック層200を積層してなる。磁性体部30Bは、誘電体部20Bに内蔵されている。
【0113】
第1配線電極CH1は、誘電体部20Bを介し、磁性体部30Bを介さない。第2配線電極CH2は、磁性体部30Bを介する。これにより、上述の各実施形態に示すインターポーザ基板と同様の作用効果を得られる。
【0114】
次に、本発明の第5の実施形態に係るインターポーザ基板について、図を参照して説明する。図10は、本発明の第5の実施形態に係るインターポーザ基板の構成を示す外観斜視図である。図11は、本発明の第5の実施形態に係るインターポーザ基板の構成を示す側面断面図である。図12(A)は、第5の実施形態に係る磁性体部の配置の第1態様を示す平面図であり、図12(B)は、第5の実施形態に係る磁性体部の配置の第2態様を示す平面図である。
【0115】
なお、図10では、誘電体部の第2主面側の電極の図示を省略している。また、図10図11では、誘電体部20および磁性体部30Cの概略的な構造を示している。磁性体部30Cは、磁性体部30と同様に積層体からなる。
【0116】
図10図11に示すように、第5の実施形態に係るインターポーザ基板10Cは、第1の実施形態に係るインターポーザ基板10に対して、磁性体部30Cの配置が複数の態様で可能な点で異なる。インターポーザ基板10Cの他の構成は、インターポーザ基板10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0117】
磁性体部30Cの内部には、複数の接続電極331、332、333、334が形成されている。複数の接続電極331、332、333、334は、主として磁性体部30Cの厚み方向に平行な方向に延びる電極である。
【0118】
複数の接続電極331、332、333、334は、それぞれに異なるインピーダンスを有する形状で形成されている。例えば、図10図11図12に示す態様では、複数の接続電極331、332、333、334は、磁性体部30Cの厚み方向(第1主面301および第2主面302に直交する方向)に沿って延びる直線状であり、同じ材料からなり、それぞれに太さが異なる。これにより、複数の接続電極331、332、333、334は、それぞれに異なるインピーダンスを有する。
【0119】
複数の接続電極331、332、333、334における第1主面301側の端部および第2主面302側の端部は、図12(A)、図12(B)に示すように、平面視において(第1主面301に直交する方向に視て)、回転中心OR30を基準にして、回転対称の位置に配置されている。
【0120】
磁性体部30Cの主面301には、複数の接続用端子電極1121、1122、1123、1124が形成されている。複数の接続用端子電極1121、1122、1123、1124も、図12(A)、図12(B)に示すように、平面視において(第1主面301に直交する方向に視て)、回転中心OR30を基準にして、回転対称の位置に配置されている。
【0121】
図12(A)に示す、配置の第1態様では、接続用端子電極1121は、平面視において接続電極331に重なっており、接続電極331に接続されている。接続用端子電極1122は、平面視において接続電極332に重なっており、接続電極332に接続されている。接続用端子電極1123は、平面視において接続電極333に重なっており、接続電極333に接続されている。接続用端子電極1124は、平面視において接続電極334に重なっており、接続電極334に接続されている。
【0122】
図12(B)に示す、配置の第2態様では、接続用端子電極1121は、平面視において接続電極334に重なっており、接続電極334に接続されている。接続用端子電極1122は、平面視において接続電極331に重なっており、接続電極331に接続されている。接続用端子電極1123は、平面視において接続電極332に重なっており、接続電極332に接続されている。接続用端子電極1124は、平面視において接続電極333に重なっており、接続電極333に接続されている。
【0123】
すなわち、図12(A)、図12(B)に示すように、第1態様と第2態様とでは、磁性体部30Cは、平面視において回転中心OR30を基準に90°回転している。なお、図12(A)、図12(B)では、配置の角度が90°異なる2つの態様のみを示しているが、180°異なる態様、270°異なる態様も可能である。
【0124】
このような構成では、誘電体部20に対する磁性体部30Cの配置態様を変化させても、外部に対する物理的な接続態様は、変化しない。一方、誘電体部20に対する磁性体部30Cの配置態様を変化させることで、インピーダンスの異なる配線電極の配置パターンを変化させる、すなわち、外部に対する電気的な接続態様を変化させることができる。
【0125】
したがって、インターポーザ基板10Cは、外部に対する物理的な接続態様を変化させることなく、電気的な接続態様を変化させることができる。
【0126】
次に、本発明の第6の実施形態に係るインターポーザ基板について、図を参照して説明する。図13は、本発明の第6の実施形態に係るインターポーザ基板の構成を示す外観斜視図である。図14(A)は、第6の実施形態に係るインターポーザ基板の配置の第1態様を示す平面図であり、図14(B)は、第6の実施形態に係るインターポーザ基板の配置の第2態様を示す平面図である。なお、図13では、図を見やすくするために、誘電体部における構成の一部の図示を省略している。
【0127】
第6の実施形態に係るインターポーザ基板10Dは、第5の実施形態に係るインターポーザ基板10Cに対して、誘電体部20Dの形状、および、磁性体部30Dの形状において異なる。インターポーザ基板10Dの基本的な構成は、インターポーザ基板10Cと同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0128】
インターポーザ基板10Dは、誘電体部20Dおよび磁性体部30Dを備える。インターポーザ基板10Dの第1主面側には、複数の接続用端子電極111、1121、1122、1123が配置されている。
【0129】
図14(A)、図14(B)に示すように、複数の接続用端子電極111、1121、1122、1123は、平面視において(第1主面に直交する方向に視て)、回転中心OR10Dを基準にして、回転対称の位置に配置されている。
【0130】
また、図14(A)、図14(B)に示すように、複数の接続電極231、331、332、333は、平面視において(第1主面に直交する方向に視て)、回転中心OR10Dを基準にして、回転対称の位置に配置されている。
【0131】
このような構成では、図14(A)、図14(B)に示すように、配置角度を変更することによって、回路基板90に対する物理的な接続態様を変化させることなく、電気的な接続態様を変化させることができる。
【0132】
なお、インターポーザ基板10Dにおいて、磁性体部30Dの配置を変更することも可能である。これにより、1種類の物理的な接続態様において、電気的な接続態様を、より多様に変化させることができる。
【0133】
なお、上述の第5の実施形態に係るインターポーザ基板10C、第6の実施形態に係るインターポーザ基板10Dでは、誘電体部または磁性体部に形成される接続電極を次に示す各種態様で実現できる。図15(A)は、抵抗素子を形成する態様を示し、図15(B)は、インダクタ素子を形成する態様を示し、図15(C)および図15(D)は、キャパシタ素子を形成する態様を示す。
【0134】
図15(A)では、接続電極331R、332Rは、磁性体部30Cの厚み方向に沿って直線状に延びる形状である。接続電極331R、332Rは、同じ材料からなり、太さが異なる。これにより、抵抗値が異なる抵抗素子が実現される。
【0135】
なお、接続電極331R、332Rは、磁性体部30Cに形成されることによって、インダクタ素子としても実現可能である。また、接続電極331R、332Rは、誘電体部20Dに形成することでも、抵抗素子を実現できる。また、接続電極331R、332Rは、材料を異ならせることで、抵抗値を異ならせることもできる。
【0136】
図15(B)では、接続電極331L、332Lは、磁性体部30Cの厚み方向に沿った巻回軸を有するスパイラル形状である。接続電極331L、332Lは、同じ材料からなり、巻回径、または、巻き数の少なくとも一方が異なる。これにより、インダクタンスが異なるインダクタ素子が実現される。
【0137】
なお、接続電極331L、332Lは、誘電体部20Dに形成することでも、インダクタ素子を実現できる。ただし、磁性体部30Dに形成されることによって、インダクタンスを稼ぐことができ、小型化、インダクタ特性の向上を容易に実現できる。また、接続電極331L、332Lは、材料を異ならせることで、インダクタンスを異ならせることもできる。
【0138】
図15(C)では、接続電極231C1、232C1は、誘電体部20Dの厚み方向に直交する面を有する一対の対向電極と、これを接続する線状電極である。接続電極231C1、232C1は、同じ材料からなり、対向面積、離間距離が異なる。これにより、キャパシタンスが異なるキャパシタ素子が実現される。これらのキャパシタ素子は、接続電極に直列接続される態様となる。なお、対向電極間の誘電体の比誘電率を異ならせることで、キャパシタンスを異ならせることもできる。
【0139】
図15(D)では、接続電極231C2、232C2は、誘電体部20Dの厚み方向に直交する面を有する一対の対向電極と、対向電極の一方に接続する線状電極である。対向電極の他方は、誘電体部20Dの内部を側面まで延び、側面において広がる形状である。接続電極231C2、232C2は、同じ材料からなり、対向面積、離間距離が異なる。これにより、キャパシタンスが異なるキャパシタ素子が実現される。これらのキャパシタ素子は、接続電極に並列接続される態様となる。例えば、他方の対向電極が接地されていれば、キャパシタ素子は、線状の接続電極とグランド電位との間に接続されるキャパシタ素子である。なお、対向電極間の誘電体の比誘電率を異ならせることで、キャパシタンスを異ならせることもできる。
【0140】
なお、図15(A)、図15(B)、図15(C)、図15(D)では、それぞれに同じ種類の回路素子を形成する態様を示した。しかしながら、異なる種類の回路素子を、誘電体部または磁性体部にそれぞれ形成してもよい。例えば、図15(A)の態様と図15(C)との態様を組み合わせて、誘電体部に抵抗素子とキャパシタ素子とを形成してもよい。
【0141】
また、上述の第5の実施形態に係るインターポーザ基板10C、第6の実施形態に係るインターポーザ基板10Dにおいては、全ての接続電極を異ならせる必要はなく、少なくとも1つの接続電極を他の接続電極に対して異ならせていればよい。
【0142】
次に、本発明の第7の実施形態に係るインターポーザ基板について、図を参照して説明する。図16は、本発明の第7の実施形態に係るインターポーザ基板の構成を示す側面断面図である。図17(A)は、磁性体部の配置の第1態様を示し、図17(B)は、磁性体部の配置の第2態様を示す。
【0143】
第7の実施形態に係るインターポーザ基板10Eは、第5の実施形態に係るインターポーザ基板10Cに対して、磁性体部30E1、30E2を備える点において異なる。インターポーザ基板10Eの他の構成は、インターポーザ基板10Cと同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0144】
図16に示すように、インターポーザ基板10Eは、磁性体部30E1、30E2を備える。磁性体部30E1、30E2は、第5の実施形態に係る磁性体部30Cに対して厚みのみが薄くなり、他の構成においては同様である。
【0145】
磁性体部30E1、30E2は、互いの主面が平行になるように積層されている。この際、配置態様の一例として、磁性体部30E1は、図17(A)に示す第1態様で配置されており、磁性体部30E2は、図17(B)に示す第2態様で配置されている。これら磁性体部30E1、30E2の回転中心OR30は、平面視において一致している。このような構成とすることで、磁性体部30E1で実現される各回路素子と磁性体部30E2で実現される各回路素子とがそれぞれに直列接続された回路構成を実現できる。
【0146】
これにより、外部に対する物理的な接続態様を変化させることなく、電気的な接続態様を、より多様に変化させることができる。
【0147】
次に、本発明の第8の実施形態に係るインターポーザ基板について、図を参照して説明する。図18は、本発明の第8の実施形態に係るインターポーザ基板の構成を示す側面断面図である。
【0148】
第8の実施形態に係るインターポーザ基板10Fは、第1の実施形態に係るインターポーザ基板10に対して、誘電体部20Fに形成する凹部140の形状、および、該凹部140に柱状素子60を配置する点で異なる。また、インターポーザ基板10Fは、絶縁性樹脂40を省略して、蓋部70を備える点で異なる。インターポーザ基板10Fの他の構成は、インターポーザ基板10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0149】
図18に示すように、インターポーザ基板10Fは、誘電体部20F、複数の柱状素子60、および、蓋部70を備える。
【0150】
図19(A)は、誘電体部の第1主面側からの平面図であり、図19(B)は、誘電体部の側面断面図であり、図19(C)は、誘電体部の第2主面側からの平面図である。
【0151】
誘電体部20Fには、複数の凹部140が形成されている。複数の凹部140は、誘電体部20Fの第1主面201から、誘電体部20Fの第2主面202方向へ凹む形状である。複数の凹部140は、円筒形である。複数の凹部140は、誘電体部20Fの平面視において、それぞれに第2主面202の回路基板用端子電極122に重なっている。複数の凹部140は、後述する柱状素子60が収容可能な形状で形成されている。具体的には、複数の凹部140の径は、柱状素子60の径と略同じであり、且つ大きい。
【0152】
複数の凹部140の底部には、それぞれに端子用電極141が形成されている。複数の端子用電極141は、それぞれに重なる回路基板用端子電極12に、層間接続電極142を介して接続されている。
【0153】
図20(A)は、蓋部の第1主面側からの平面図であり、図20(B)は、蓋部の側面断面図であり、図20(C)は、蓋部の第2主面側からの平面図である。
【0154】
蓋部70は、平板の主体700を有する。主体700の平面形状および平面面積は、誘電体部20Fの平面形状および平面面積と略同じである。
【0155】
主体700の第1主面701には、複数の端子電極71が形成されている。主体700の第2主面702には、複数の端子電極72が形成されている。複数の端子電極71と複数の端子電極72の配置パターンは同じであり、平面視において、複数の端子電極71と複数の端子電極72とは、それぞれに重なっている。複数の端子電極71と複数の端子電極72の配置パターンは、誘電体部20Fにおける複数の接続電極231と複数の凹部140との組の配置パターンと同じである。
【0156】
互いに重なっている端子電極71と端子電極72とは、主体700を厚み方向に貫通する層間接続電極73によって接続されている。
【0157】
図21(A)は、柱状素子の外観斜視図である。図21(B)は、柱状素子の第1態様を示し、図21(C)は、柱状素子の第2態様を示し、図21(D)は、柱状素子の第3態様を示し、図21(E)は、柱状素子の第4態様を示す。
【0158】
図21(A)に示すように、柱状素子60は、主体61と端子電極621、622とを備える。主体61は、円柱形状であり、例えば、図21(B)から図21(E)に示すような所定の回路素子を実現している。端子電極621は、主体61の側面(円周面)に直交する一方端面に形成されており、端子電極622は、主体61の他方端面に形成されている。
【0159】
図21(B)に示す構成では、主体61は、絶縁体611からなり、内部に直線状の電極63が形成されている。電極63の一方端は、端子電極621に接続されており、電極63の他方端は、端子電極622に接続されている。これにより、抵抗素子からなる柱状素子60Rが実現される。なお、柱状素子60Rでは、主体61は、誘電体であってもよい。
【0160】
図21(C)に示す構成では、主体61は、誘電体612からなる。誘電体612内には、互いに所定面積で対向する対向電極64が形成されている。対向電極64の一方の電極は、端子電極621に接続されており、他方の電極は、端子電極622に接続されている。これにより、キャパシタ素子からなる柱状素子60Cが実現される。
【0161】
図21(D)に示す構成では、主体61は、磁性体613からなり、内部にスパイラル状の電極65が形成されている。電極65の一方端は、端子電極621に接続されており、電極65の他方端は、端子電極622に接続されている。これにより、インダクタ素子からなる柱状素子60Lが実現される。なお、柱状素子60Lでは、主体61は、誘電体であってもよいが、磁性体であることによって閉磁されるとともに、インダクタンスを稼ぎ易い。
【0162】
図21(E)に示す構成では、主体61は、導電体614からなる。導電体614の一方端は、端子電極621に接続されており、導電体614の他方端は、端子電極622に接続されている。これにより、低抵抗な抵抗を有する導体からなる柱状素子60Dが実現される。
【0163】
図18に示すように、柱状素子60は、誘電体部20Fの凹部140に収容されている。柱状素子60の端子電極622は、誘電体部20Fの端子用電極141に当接している。
【0164】
蓋部70は、誘電体部20Fの第1主面201側配置されている。この際、蓋部70の複数の端子電極72は、誘電体部20Fの複数の接続電極231または複数の柱状素子60の端子電極621に当接している。なお、この際、蓋部70は、第2主面702の固定用電極74を誘電体部20Fの固定用電極131に接合することによって、誘電体部20Fに対して所定の強度をもって固定される。
【0165】
このような構成では、柱状素子60の配置パターンを変更することによって、上述の第5、第6、第7の実施形態と同様に、外部に対する物理的な接続態様を変化させることなく、電気的な接続態様を、より多様に変化させることができる。
【0166】
なお、インターポーザ基板10Fでは、柱状素子60によって1種類の回路素子を実現する態様を示したが、複数種類の回路素子を実現することも可能である。また、複数の回路基板用端子電極122に重なるように凹部140を形成し、当該凹部140内に複数の柱状素子60を配置してもよい。また、これら複数の柱状素子60を一体化して、複数の回路基板用端子電極122に重なる凹部140に収容してもよい。
【0167】
また、誘電体部20Fに形成する凹部は、次に示す構造であってもよい。図22(A)は、誘電体部に形成された凹部の派生の第1態様を示し、図22(B)は、誘電体部に形成された凹部の派生の第2態様を示す。
【0168】
図22(A)に示す態様では、凹部140Aは、誘電体部20Fを厚み方向に貫通している。この場合、柱状素子60の高さ(長さ)は、誘電体部20Fの厚みに略一致させればよい。
【0169】
図22(B)に示す態様では、凹部140Bは、主体となる凹部の底面から誘電体部20Fの第2主面202にかけて貫通する補助貫通孔を有する。この場合、柱状素子60は、端子電極622の高さを、補助貫通孔の高さに一致させればよい。
【0170】
また、誘電体部20Fの凹部、蓋部、および、柱状素子は、次の構造であってもよい。図23(A)は、柱状素子の設置の派生の第1態様を示し、図23(B)は、柱状素子の設置の派生の第2態様を示し、図23(C)は、柱状素子の設置の派生の第3態様を示し、図23(D)は、柱状素子の設置の派生の第4態様を示し、図23(E)は、柱状素子の設置の派生の第5態様を示す。
【0171】
図23(A)に示す態様では、蓋部70Aには、主体700に複数の貫通孔710Aが形成されている。貫通孔710Aの径は、誘電体部20Fの凹部140の径と略同じである。複数の貫通孔710Aは、誘電体部20Fの凹部140に重なっている。柱状素子60Aは、凹部140および貫通孔710Aに跨がって収容されている。柱状素子60Aの端子電極621は、外部に露出している。
【0172】
図23(B)に示す態様では、蓋部70Bには、主体700に複数の貫通孔710Bが形成されている。複数の貫通孔710Bは、深さ方向(高さ方向)の途中で径(面積)が変化する大径部と小径部とを有する。複数の貫通孔710Bは、誘電体部20Fの凹部140に重なっている。蓋部70Bは、貫通孔710における大径部の側が誘電体部20F側となるように配置されている。
【0173】
柱状素子60Bは、凹部140および貫通孔710に跨がって収容されている。柱状素子60Bの主体における端子電極621側の端面は、小径部に当接しており、端子電極621は、小径部を貫通して外部に露出している。
【0174】
図23(C)に示す態様では、蓋部70Cには、主体700に複数の貫通孔710Cが形成されている。複数の貫通孔710Cは、誘電体部20Fの凹部140に重なっている。複数の貫通孔710Cの径は、凹部140の径よりも小さい。
【0175】
柱状素子60Cは、凹部140および貫通孔710Cに跨がって収容されている。柱状素子60Cの主体における端子電極621側の端面付近の部分は、他の部分よりも径が小さい。柱状素子60Cの主体における径が変化する面は、蓋部70Cの主体700に当接しており、端子電極621は、外部に露出している。
【0176】
図23(D)に示す態様では、蓋部70Dには、主体700に複数の貫通孔710Dが形成されている。貫通孔710Dの壁面には、端子電極72Dが形成されている。主体700における第1主面701には、端子電極71が形成されている。端子電極71と端子電極72Dは、層間接続電極73によって接続されている。
【0177】
柱状素子60Dは、主体の一方端面付近に引き回し電極624を備える。また、柱状素子60Dは、主体の一方端面付近の側面(円周面)に端子電極623を備える。端子電極623は、引き回し電極624を介して、柱状素子60Dに形成された回路素子(図示を省略している。)に接続されている。柱状素子60Dは、凹部140および貫通孔710Dに跨がって収容されている。貫通孔710Dの径は、柱状素子60Dの一方端付近の径と略同じである。したがって、柱状素子60Dの端子電極623と、蓋部70Dの端子電極72Dとは、面状で当接し、接続されている。
【0178】
図23)に示す態様では、蓋部70Eには、主体700に複数の貫通孔710Eが形成されている。貫通孔710の径は、誘電体部20Fの凹部140の径よりも大きい。複数の貫通孔710Eは、誘電体部20Fの凹部140に重なっている。
【0179】
柱状素子60Eの主体における端子電極621側の端面付近の部分は、他の部分よりも径が大きい。この径は、凹部140の径よりも大きく、貫通孔710Eの径よりも小さい。柱状素子60Eの主体における径が変化する面は、誘電体部20Fの第1主面201に当接している。
【0180】
次に、本発明の第9の実施形態に係るインターポーザ基板について、図を参照して説明する。図24は、本発明の第9の実施形態に係るインターポーザ基板の構成を示す側面断面図である。図25は、本発明の第9の実施形態に係るインターポーザ基板の構成を示す平面図である。
【0181】
第9の実施形態に係るインターポーザ基板10Gは、第1の実施形態に係るインターポーザ基板10に対して、シールド膜80を備えた点において異なる。インターポーザ基板10Gの他の構成は、インターポーザ基板10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0182】
図24図25に示すように、インターポーザ基板10Gは、シールド膜80を備える。シールド膜80は、金属を材料としている。シールド膜80は、接地用の接続電極231に接続されている。シールド膜80は、インターポーザ基板10Gの側面を、全周に亘って連続して覆っている。この際、シールド膜80は、高さ方向においても、インターポーザ基板10Gの全体を覆っている。
【0183】
このような構成によって、インターポーザ基板10Gの内部で生じるまたは伝搬されるノイズが外部に放射されることが抑制される。したがって、インターポーザ基板10Gの近傍に、他の表面実装型電子部品を配置しても、当該表面実装型電子部品へのノイズの伝搬を抑制できる。また、逆に、外部からインターポーザ基板10Gへのノイズの漏洩を抑制できる。
【0184】
また、インターポーザ基板10Gの構成では、磁束が外部を介して回り込むことが抑制できる。
【0185】
なお、シールド膜80は、インターポーザ基板10Gの側面に連接する各主面まで覆う形状であってもよい。この場合、接地用の電極以外の電極に接続しなければよい。
【0186】
次に、本発明の第10の実施形態に係るインターポーザ基板について、図を参照して説明する。図26は、本発明の第10の実施形態に係るインターポーザ基板の構成を示す側面断面図である。
【0187】
第10の実施形態に係るインターポーザ基板10Hは、第9の実施形態に係るインターポーザ基板10Gに対して、シールド膜80Hの形状において異なる。インターポーザ基板10Hの他の構成は、インターポーザ基板10Gと同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0188】
図26に示すように、インターポーザ基板10Hでは、シールド膜80Hは、インターポーザ基板10Hの高さ方向において部分的に形成されている。具体的に、図26の例では、シールド膜80Hは、インターポーザ基板10Hの第2主面側を基準とした所定高さの範囲に形成されている。この高さは、インターポーザ基板10Hに近接して実装されている表面実装型電子部品911の高さよりも高い。
【0189】
このような構成でも、インターポーザ基板10Hに近接する表面実装型電子部品へのノイズの伝搬を抑制できる。また、逆に、当該表面実装型電子部品からインターポーザ基板10Hへのノイズの漏洩を抑制できる。
【0190】
次に、本発明の第11の実施形態に係るインターポーザ基板について、図を参照して説明する。図27は、本発明の第11の実施形態に係るインターポーザ基板の構成を示す側面断面図である。
【0191】
第11の実施形態に係るインターポーザ基板10Iは、第9の実施形態に係るインターポーザ基板10Gに対して、シールド膜80Iの形状において異なる。インターポーザ基板10Iの他の構成は、インターポーザ基板10Gと同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0192】
図27に示すように、インターポーザ基板10Iでは、シールド膜80Iは、インターポーザ基板10に近接する表面実装型電子部品911側の側面に形成されている。
【0193】
このような構成でも、インターポーザ基板10Iに近接する表面実装型電子部品へのノイズの伝搬を抑制できる。また、逆に、当該表面実装型電子部品からインターポーザ基板10Iへのノイズの漏洩を抑制できる。
【0194】
なお、上述の各実施形態では、フェライトビーズ素子の機能をインターポーザ基板に内蔵する態様を示したが、コモンモードチョークコイル、低周波用のノイズフィルタ等の、磁性体を備えるコイルによって機能を発揮する素子であれば、上述の構成を適用することができる。
【0195】
また、上述の各実施形態では、誘電体部内の電極パターンについて具体的な例を示していないが、単に伝送用の電極パターンであってもよく、フィルタ等の回路構成する電極パターンであってもよい。
【0196】
また、上述の各実施形態では、フラットケーブルを用いる態様を示したが、はんだ等の導電性接合材を用いて、インターポーザ基板に直接接続される他のケーブル、回路基板、回路部品に対しても、上述の構成を適用でき、同様の作用効果が得られる。
【0197】
また、上述の各実施形態の構成は、適宜、部分的に組み合わせることができる。これにより、その組合せに応じた作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0198】
1:回路モジュール
10、10A、10B、10C、10D、10E、10F、10G、10H、10I、10S:インターポーザ基板
20、20A、20B、20D、20F:誘電体部
30、30A、30B、30C、30D、30E1、30E2:磁性体部
40、40A、40P:絶縁性樹脂
60、60A、60B、60C、60D、60E、60L、60R:柱状素子
61:主体
63:電極
64:対向電極
65:電極
70、70A、70B、70C、70D、70E:蓋部
71、72、72D:端子電極
73:層間接続電極
74:固定用電極
80、80H、80I:シールド膜
81、82:フラットケーブル配線電極
90、90S:回路基板
111、111A、111S、112、112A:接続用端子電極
111AG:補助端子電極
111P、112P:柱状電極
121、121A、122、122A:回路基板用端子電極
131:固定用電極
140、140A、140B:凹部
141:端子用電極
142:層間接続電極
200:誘電体セラミック層
201、201A:第1主面
202、202A:第2主面
212:磁性体実装用電極
221、222:平面電極
231、231C1、231C2、232:接続電極
300、300B:磁性体セラミック層
301:第1主面
302:第2主面
321:実装用電極
331、331A、331L、331R、332、333、334:接続電極
332A:線状電極
611:絶縁体
612:誘電体
613:磁性体
614:導電体
621、622、623:端子電極
624:引き回し電極
700:主体
701:第1主面
702:第2主面
710、710A、710B、710C、710D、710E:貫通孔
800:フラットケーブル
810、820:外部端子電極
901:ランド電極
911、911S:表面実装型電子部品
1121、1122、1123、1124:接続用端子電極
CH1:第1配線電極
CH2:第2配線電極
CP20、CP20A:凹部
OR10D、OR30:回転中心
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