特許第6593562号(P6593562)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6593562庫内空気調節装置及びそれを備えたコンテナ用冷凍装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6593562
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】庫内空気調節装置及びそれを備えたコンテナ用冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20191010BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20191010BHJP
   A01F 25/00 20060101ALI20191010BHJP
   A23B 7/148 20060101ALI20191010BHJP
   A23L 3/3418 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   F25D23/00 302Z
   F25D11/00 101D
   A01F25/00 C
   A23B7/148
   A23L3/3418
【請求項の数】12
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2019-28671(P2019-28671)
(22)【出願日】2019年2月20日
(65)【公開番号】特開2019-148411(P2019-148411A)
(43)【公開日】2019年9月5日
【審査請求日】2019年2月20日
(31)【優先権主張番号】特願2018-33915(P2018-33915)
(32)【優先日】2018年2月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤本 祐介
(72)【発明者】
【氏名】亀井 紀考
【審査官】 西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−044452(JP,A)
【文献】 特開2017−190935(JP,A)
【文献】 特表平05−503427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00
F25D 23/00
A01F 25/00
A23B 7/148
A23L 3/3418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸を行う植物(15)を収納するための収納庫(11)の庫内に、外気から酸素を除去することによって生成した酸素濃度が上記外気よりも低い低酸素濃度空気を供給するガス供給動作を行うガス供給装置(30)と、
上記収納庫(11)の庫内空気の組成が所望の組成になるように上記ガス供給装置(30)の動作を制御する制御器(55)とを備えた庫内空気調節装置であって、
上記ガス供給装置(30)は、上記ガス供給動作によって上記収納庫(11)の庫内に供給するガス供給量を複数段階に変更可能であり、該ガス供給量が少なくなる程、上記庫内に供給する上記低酸素濃度空気の酸素濃度が低くなるように構成され、
上記制御器(55)は、上記庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度より高い場合に、上記庫内空気の二酸化炭素濃度が所定の基準濃度範囲内の濃度になるように、上記ガス供給装置(30)に上記ガス供給量を上記庫内空気の二酸化炭素濃度に応じて変更させながら上記ガス供給動作を行わせて上記庫内空気の酸素濃度上記目標酸素濃度まで低下させる二酸化炭素濃度調整運転を実行可能に構成されている
ことを特徴とする庫内空気調節装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記制御器(55)は、上記基準濃度範囲を、上記二酸化炭素濃度調整運転の運転開始時の上記庫内空気の二酸化炭素濃度である初期濃度に応じて変更するように構成されている
ことを特徴とする庫内空気調節装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記基準濃度範囲は、
上記初期濃度が目標二酸化炭素濃度より低く所定の許容濃度より所定濃度高い第1低濃度以上で且つ該目標二酸化炭素濃度より上記所定濃度高い第1高濃度以下の場合、上記初期濃度を下限値とする範囲であり、
上記初期濃度が上記第1低濃度より低い場合、該第1低濃度を下限値とする範囲であり、
上記初期濃度が上記第1高濃度より高い場合、該第1高濃度を下限値とする範囲である
ことを特徴とする庫内空気調節装置。
【請求項4】
請求項3において、
上記制御器(55)は、上記二酸化炭素濃度調整運転において、
上記庫内空気の二酸化炭素濃度が上記基準濃度範囲より低い場合、上記庫内空気の二酸化炭素濃度が低下していることを示す所定の濃度低下条件が成立すると、上記ガス供給装置(30)の上記ガス供給量を一段階下げる減量制御を行い、
上記庫内空気の二酸化炭素濃度が上記基準濃度範囲より高い場合、上記庫内空気の二酸化炭素濃度が上昇していることを示す所定の濃度上昇条件が成立すると、上記ガス供給装置(30)の上記ガス供給量を一段階上げる増量制御を行うように構成されている
ことを特徴とする庫内空気調節装置。
【請求項5】
請求項4において、
上記制御器(55)は、上記二酸化炭素濃度調整運転において、
上記庫内空気の二酸化炭素濃度が上記基準濃度範囲より低い第2低濃度より低い場合、上記濃度低下条件が成立しなくても上記庫内空気の二酸化炭素濃度が維持されていることを示す所定の濃度維持条件が成立すると上記減量制御を行い、
上記庫内空気の二酸化炭素濃度が上記基準濃度範囲より高い第2高濃度より高い場合、上記濃度上昇条件が成立しなくても上記濃度維持条件が成立すると、上記増量制御を行うように構成されている
ことを特徴とする庫内空気調節装置。
【請求項6】
請求項5において、
上記収納庫(11)の庫内と庫外とを繋ぐ排気通路(46a)と、該排気通路(46a)に接続された排気弁(46b)とを有する排気部(46)を備え、
上記制御器(55)は、上記二酸化炭素濃度調整運転において、上記減量制御を行う減量条件が成立したときに、上記ガス供給装置(30)の上記ガス供給量が最も少ない最少供給量である場合、上記排気弁(46b)を閉じるように構成されている
ことを特徴とする庫内空気調節装置。
【請求項7】
請求項6において、
上記制御器(55)は、上記二酸化炭素濃度調整運転において、上記減量制御を行う減量条件が成立したときに、上記ガス供給装置(30)の上記ガス供給量が上記最少供給量であって上記排気弁(46b)が閉じられている場合、上記ガス供給動作を停止する
ことを特徴とする庫内空気調節装置。
【請求項8】
請求項7において、
上記制御器(55)は、上記二酸化炭素濃度調整運転において、上記ガス供給動作の停止中に、上記植物(15)の呼吸によって上記庫内空気の二酸化炭素濃度が上昇して所定の回復条件が成立すると、上記ガス供給動作を再開するように構成されている
ことを特徴とする庫内空気調節装置。
【請求項9】
請求項3乃至8のいずれか1つにおいて、
上記制御器(55)は、上記二酸化炭素濃度調整運転中に、上記庫内空気の二酸化炭素濃度が急上昇していることを示す所定の急上昇条件が成立すると、上記収納庫(11)の庫内に二酸化炭素が充填されているガス充填中であると判断して該ガス充填が終了したことを示す所定の充填終了条件が成立するまで待機し、該充填終了条件が成立すると、該充填終了条件成立時の上記庫内空気の二酸化炭素濃度を上記初期濃度として上記基準濃度範囲を更新するように構成されている
ことを特徴とする庫内空気調節装置。
【請求項10】
請求項3乃至9のいずれか1つにおいて、
上記制御器(55)は、上記二酸化炭素濃度調整運転中に、上記庫内空気の二酸化炭素濃度が、上記収納庫(11)の庫内への二酸化炭素の充填によって上昇した後、低下して所定の低下濃度維持条件が成立すると、該低下濃度維持条件の成立時における上記庫内空気の二酸化炭素濃度を上記初期濃度として上記基準濃度範囲を更新するように構成されている
ことを特徴とする庫内空気調節装置。
【請求項11】
請求項3乃至10のいずれか1つにおいて、
上記制御器(55)は、
上記二酸化炭素濃度調整運転の運転開始時に、上記庫内空気の二酸化炭素濃度が上記第1低濃度よりも低い所定の下限濃度以下である場合、上記庫内空気調節装置の運転モードを、上記二酸化炭素濃度調整運転から、上記庫内空気の酸素濃度が上記目標酸素濃度に低下するまで上記ガス供給装置(30)に上記ガス供給動作を連続して行わせる酸素濃度低減運転に切り換え、
上記酸素濃度低減運転中、上記庫内空気の酸素濃度が上記目標酸素濃度まで低下する前に、上記庫内空気の二酸化炭素濃度が上記下限濃度以上である状態が所定時間以上継続すると、上記庫内空気調節装置の運転モードを、上記酸素濃度低減運転から上記二酸化炭素濃度調整運転に切り換えるように構成されている
ことを特徴とする庫内空気調節装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1つに記載の庫内空気調節装置(60)と、
冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)とを備え、
上記収納庫(11)であるコンテナの庫内空気を冷却すると共に該庫内空気の組成を調節するコンテナ用冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、庫内空気調節装置及びそれを備えたコンテナ用冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、青果物等の植物を収納する収納庫において、庫内空気の組成を植物の鮮度維持に適した状態に調節する技術が提案されている。
【0003】
特許文献1には、ブルーベリーやアスパラガス等、酸素濃度が低く且つ二酸化炭素濃度が比較的高い環境下で貯蔵されることが鮮度を維持する上で好ましい植物が収納された収納庫に対し、庫内空気を好ましい状態に調節する庫内空気調節装置が開示されている。
【0004】
特許文献1では、空気よりも窒素濃度が高く酸素濃度が低い低酸素濃度空気をコンテナの庫内に供給するガス供給動作を行うガス供給装置と庫内空気を庫外に排出する排出部とを有する庫内空気調節装置を収納庫に設けられている。特許文献1では、予め収納庫の庫内に二酸化炭素を充填した後、庫内空気調節装置が、ガス供給動作を行って庫内空気を低酸素濃度空気に置換することで庫内空気の酸素濃度を低下させる一方、ガス供給動作によって庫内空気の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度より低い限界濃度まで低下するとガス供給動作を停止し、植物の呼吸によって庫内空気の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度より高い再開濃度に到達すると、ガス供給動作を再開させて再び庫内空気の酸素濃度を低下させる二酸化炭素優先制御を行うことで、庫内空気の二酸化炭素濃度を目標二酸化炭素濃度付近に維持しながら酸素濃度を低下させることとしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017−190935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記二酸化炭素優先制御では、庫内空気の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度よりも高い所定の開始濃度に到達するまではガス供給動作が開始されなかった。そのため、予め収納庫に充填される二酸化炭素が少ない場合、植物を収納庫に収納した後、庫内空気の二酸化炭素濃度がなかなか開始濃度まで上昇しないためにガス供給動作が開始されず、庫内空気の組成を調節できず、植物の鮮度低下を抑制できない場合があった。
【0007】
本開示の目的は、植物の収納庫の庫内空気の組成を調節する庫内空気調節装置及びそれを備えたコンテナ用冷凍装置において、運転開始時に庫内空気の二酸化炭素濃度が低い場合にも、庫内空気を所望の組成に調整できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様は、呼吸を行う植物(15)を収納するための収納庫(11)の庫内に、外気から酸素を除去することによって生成した酸素濃度が上記外気よりも低い低酸素濃度空気を供給するガス供給動作を行うガス供給装置(30)と、上記収納庫(11)の庫内空気の組成が所望の組成になるように上記ガス供給装置(30)の動作を制御する制御器(55)とを備えた庫内空気調節装置であって、上記ガス供給装置(30)は、上記ガス供給動作によって上記収納庫(11)の庫内に供給するガス供給量を複数段階に変更可能であり、該ガス供給量が少なくなる程、上記庫内に供給する上記低酸素濃度空気の酸素濃度が低くなるように構成され、上記制御器(55)は、上記庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度より高い場合に、上記庫内空気の二酸化炭素濃度が所定の基準濃度範囲内の濃度になるように、上記ガス供給装置(30)に上記ガス供給量を上記庫内空気の二酸化炭素濃度に応じて変更させながら上記ガス供給動作を行わせて上記庫内空気の酸素濃度上記目標酸素濃度まで低下させる二酸化炭素濃度調整運転を実行可能に構成されている。
【0009】
第1の態様では、庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度より高い場合に、制御器(55)は、ガス供給装置(30)に外気から酸素を除去することによって生成した酸素濃度が外気よりも低い低酸素濃度空気を収納庫(11)の庫内に供給するガス供給動作を、上記庫内空気の二酸化炭素濃度が所定の基準濃度範囲内の濃度になるように、上記ガス供給装置(30)に上記ガス供給量を変更させながら行わせることによって庫内空気の組成を所望の組成に調節する二酸化炭素濃度調整運転を実行可能に構成されている。
【0010】
第1の態様では、上述のように、ガス供給装置(30)によって収納庫(11)の庫内に低酸素濃度空気が供給されると、そのガス供給量分だけ庫内空気が庫外へ押し出される。そのため、ガス供給装置(30)のガス供給量を増大させると、ガス排出量も増大し、逆に、ガス供給装置(30)のガス供給量を低減させると、ガス排出量も低減する。ガス供給動作によって収納庫(11)の庫内に供給される低酸素濃度空気は、外気から酸素を除去することによって生成されるため、低酸素濃度空気の二酸化炭素濃度は外気の二酸化炭素濃度(0.03%)に等しい。一方、収納庫(11)から排出される庫内空気は、予め二酸化炭素が充填されるか植物(15)の呼吸によって外気よりも高い二酸化炭素濃度になっている。そのため、ガス供給装置(30)のガス供給量を増大させてガス排出量が増大すると、庫内空気の二酸化炭素濃度が低下し、逆に、ガス供給装置(30)のガス供給量を低減させてガス排出量が低減されると、庫内空気の二酸化炭素濃度が上昇する。
【0011】
よって、第1の態様では、二酸化炭素濃度調整運転が開始されると、その運転開始前に庫内に二酸化炭素が十分に充填されていない場合であっても、従来の装置のようにガス供給動作が開始されないということがなく、ガス供給装置(30)にガス供給動作を行わせつつ、そのガス供給量を変更することにより、庫内空気の酸素濃度を低下させつつ、庫内空気の二酸化炭素濃度を所望の基準濃度範囲内の濃度に調節することが可能となる。
【0012】
本開示の第2の態様は、上記第1の態様において、上記制御器(55)は、上記基準濃度範囲を、上記二酸化炭素濃度調整運転の運転開始時の上記庫内空気の二酸化炭素濃度である初期濃度に応じて変更するように構成されているものである。
【0013】
第2の態様では、二酸化炭素濃度調整運転において、庫内空気の二酸化炭素濃度を、目標二酸化炭素濃度に調節するのではなく、運転開始時の初期濃度に基づいて変更される所定の基準濃度範囲内に調節することとした。そのため、運転開始前に庫内に二酸化炭素が十分に充填されていない場合であっても、運転開始時の庫内空気の二酸化炭素濃度に応じた制御目標濃度範囲(基準濃度範囲)が設定されるため、従来の装置のようにガス供給動作が開始されないということがなく、庫内空気の二酸化炭素濃度を所望の組成に調節することが可能となる。
【0014】
本開示の第3の態様は、上記第2の態様において、上記基準濃度範囲は、上記初期濃度が目標二酸化炭素濃度より低く所定の許容濃度より所定濃度高い第1低濃度以上で且つ該目標二酸化炭素濃度より上記所定濃度高い第1高濃度以下の場合、上記初期濃度を下限値とする範囲であり、上記初期濃度が上記第1低濃度より低い場合、該第1低濃度を下限値とする範囲であり、上記初期濃度が上記第1高濃度より高い場合、該第1高濃度を下限値とする範囲である。
【0015】
第3の態様では、庫内空気の二酸化炭素濃度の初期濃度が、所定の許容濃度より高く目標二酸化炭素濃度を含む濃度範囲内にあるときには、基準濃度範囲が初期濃度を下限値とする範囲に設定され、庫内空気の二酸化炭素濃度の初期濃度が、許容濃度を含む比較的低い濃度範囲内にあるときには、基準濃度範囲が許容濃度より所定濃度高い第1低濃度を下限値とする範囲に設定され、庫内空気の二酸化炭素濃度の初期濃度が、目標二酸化炭素濃度よりも高い比較的高い濃度範囲内にあるときには、基準濃度範囲が目標二酸化炭素濃度より所定濃度高い第1高濃度を下限値とする範囲に設定される。このように基準濃度範囲を設定することにより、初期濃度が許容濃度より高く目標二酸化炭素濃度を含む濃度範囲内の濃度の場合には、庫内空気の二酸化炭素濃度が初期濃度を維持するように調整され、初期濃度が許容濃度を含む低い濃度範囲内の濃度の場合、庫内空気の二酸化炭素濃度が許容濃度を維持するように調整され、初期濃度が目標二酸化炭素濃度より高い濃度範囲内の濃度の場合、庫内空気の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度を維持するように調整されることとなる。よって、二酸化炭素濃度調整運転では、庫内空気の二酸化炭素濃度の初期濃度に応じた該初期濃度を含む又は該初期濃度に近い無理のない制御目標濃度範囲(基準濃度範囲)が設定されるため、従来の装置のようにガス供給動作が開始されないということがなく、庫内空気の二酸化炭素濃度を所望の組成に調節することが可能となる。
【0016】
本開示の第4の態様は、第3の態様において、上記制御器(55)は、上記二酸化炭素濃度調整運転において、上記庫内空気の二酸化炭素濃度が上記基準濃度範囲より低い場合、上記庫内空気の二酸化炭素濃度が低下していることを示す所定の濃度低下条件が成立すると、上記ガス供給装置(30)の上記ガス供給量を一段階下げる減量制御を行い、上記庫内空気の二酸化炭素濃度が上記基準濃度範囲より高い場合、上記庫内空気の二酸化炭素濃度が上昇していることを示す所定の濃度上昇条件が成立すると、上記ガス供給装置(30)の上記ガス供給量を一段階上げる増量制御を行うように構成されている。
【0017】
第4の態様では、二酸化炭素濃度調整運転において、庫内空気の二酸化炭素濃度が基準濃度範囲より低く庫内空気の二酸化炭素濃度が低下傾向にある場合、ガス供給装置(30)のガス供給量が一段階下げられる。これにより、庫内空気の排出量が低減されるため、庫内空気の二酸化炭素濃度を上昇させる又は低下速度を低減することが可能になる。一方、庫内空気の二酸化炭素濃度が基準濃度範囲より高く庫内空気の二酸化炭素濃度が上昇傾向にある場合、ガス供給装置(30)のガス供給量が一段階上げられる。これにより、庫内空気の排出量が増加するため、庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させる又は上昇速度を低減することが可能になる。
【0018】
本開示の第5の態様は、第4の態様において、上記制御器(55)は、上記二酸化炭素濃度調整運転において、上記庫内空気の二酸化炭素濃度が上記基準濃度範囲より低い第2低濃度より低い場合、上記濃度低下条件が成立しなくても上記庫内空気の二酸化炭素濃度が維持されていることを示す所定の濃度維持条件が成立すると上記減量制御を行い、上記庫内空気の二酸化炭素濃度が上記基準濃度範囲より高い第2高濃度より高い場合、上記濃度上昇条件が成立しなくても上記濃度維持条件が成立すると、上記増量制御を行うように構成されている。
【0019】
第5の態様では、二酸化炭素濃度調整運転において、庫内空気の二酸化炭素濃度が基準濃度範囲より低い第2低濃度より低い場合、庫内空気の二酸化炭素濃度が低下傾向になくても維持されている場合、ガス供給装置(30)のガス供給量が一段階下げられる。つまり、庫内空気の二酸化炭素濃度が基準濃度範囲より著しく低い場合には、庫内空気の二酸化炭素濃度が低下傾向になくても維持されていれば、ガス供給装置(30)のガス供給量が一段階下げられる。これにより、庫内空気の排出量が低減されるため、庫内空気の二酸化炭素濃度を上昇させる又は低下速度を低減することが可能になる。一方、庫内空気の二酸化炭素濃度が基準濃度範囲より高い第2高濃度より高い場合、庫内空気の二酸化炭素濃度が上昇傾向になくても維持されている場合、ガス供給装置(30)のガス供給量が一段階上げられる。つまり、庫内空気の二酸化炭素濃度が基準濃度範囲より著しく高い場合には、庫内空気の二酸化炭素濃度が上昇傾向になくても維持されていれば、ガス供給装置(30)のガス供給量が一段階上げられる。これにより、庫内空気の排出量が増加するため、庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させる又は上昇速度を低減することが可能になる。
【0020】
本開示の第6の態様は、第5の態様において、上記収納庫(11)の庫内と庫外とを繋ぐ排気通路(46a)と、該排気通路(46a)に接続された排気弁(46b)とを有する排気部(46)を備え、上記制御器(55)は、上記二酸化炭素濃度調整運転において、上記減量制御を行う減量条件が成立したときに、上記ガス供給装置(30)の上記ガス供給量が最も少ない最少供給量である場合、上記排気弁(46b)を閉じるように構成されている。
【0021】
第6の態様では、二酸化炭素濃度調整運転において、庫内空気の二酸化炭素濃度が基準濃度範囲より低く、ガス供給装置(30)のガス供給量を一段階下げる減量制御を行う上述の減量条件が成立したときに、ガス供給装置(30)のガス供給量が最も少ない最少供給量である場合、それ以上ガス供給装置(30)のガス供給量を低減させることができない。そのため、排気弁(46b)を閉じ、庫内空気が排出されないようにすることで、庫内空気の二酸化炭素濃度を上昇させる又は低下速度を低減することを可能にしている。
【0022】
本開示の第7の態様は、第6の態様において、上記制御器(55)は、上記二酸化炭素濃度調整運転において、上記減量制御を行う減量条件が成立したときに、上記ガス供給装置(30)の上記ガス供給量が上記最少供給量であって上記排気弁(46b)が閉じられている場合、上記ガス供給動作を停止する。
【0023】
第7の態様では、二酸化炭素濃度調整運転において、庫内空気の二酸化炭素濃度が基準濃度範囲より低く、ガス供給装置(30)のガス供給量を一段階下げる減量制御を行う上述の減量条件が成立したときに、ガス供給装置(30)のガス供給量が最も少ない最少供給量であり、さらに、排気弁(46b)が閉じられていて庫内空気の排出も行われていない場合、ガス供給動作を継続すると、庫内空気の二酸化炭素濃度が低下し続けてしまう。そのため、ガス供給動作を停止することで、植物(15)の呼吸によって庫内空気の二酸化炭素濃度を上昇させることを可能にしている。
【0024】
本開示の第8の態様は、第7の態様において、上記制御器(55)は、上記二酸化炭素濃度調整運転において、上記ガス供給動作の停止中に、上記植物(15)の呼吸によって上記庫内空気の二酸化炭素濃度が上昇して所定の回復条件が成立すると、上記ガス供給動作を再開するように構成されている。
【0025】
第8の態様では、二酸化炭素濃度調整運転において、庫内空気の二酸化炭素濃度が基準濃度範囲より低く、ガス供給動作が停止された後、植物(15)の呼吸によって庫内空気の二酸化炭素濃度が上昇して所定の回復条件が成立すると、ガス供給動作が再開される。このように庫内空気の二酸化炭素濃度の回復を待ってガス供給動作を再開させることにより、庫内空気の二酸化炭素濃度が著しく低下するのを抑制しつつ酸素濃度を目標酸素濃度まで低下させることを可能にしている。
【0026】
本開示の第9の態様は、第3乃至第8のいずれか1つの態様において、上記制御器(55)は、上記二酸化炭素濃度調整運転中に、上記庫内空気の二酸化炭素濃度が急上昇していることを示す所定の急上昇条件が成立すると、上記収納庫(11)の庫内に二酸化炭素が充填されているガス充填中であると判断して該ガス充填が終了したことを示す所定の充填終了条件が成立するまで待機し、該充填終了条件が成立すると、該充填終了条件成立時の上記庫内空気の二酸化炭素濃度を上記初期濃度として上記基準濃度範囲を更新するように構成されている。
【0027】
ところで、ガス充填前又はガス充填中に庫内空気調節装置(60)が起動されると、上昇前又は上昇途中の比較的低い二酸化炭素濃度が初期濃度として測定されるため、その初期濃度に応じた基準濃度範囲も、ガス充填後に庫内空気調節装置(60)が起動された場合に比べて低く設定されてしまう。このように基準濃度範囲が本来設定されるべき濃度範囲よりも低い範囲に設定されると、収納庫(11)の庫内に十分な量の二酸化炭素が充填されたとしても、ガス充填終了時点の二酸化炭素濃度を維持するのではなく、ガス充填終了時点の二酸化炭素濃度よりも低い濃度に調節されてしまう。
【0028】
しかしながら、第9の態様では、ガス充填前又はガス充填中に庫内空気調節装置(60)が起動されたとしても、ガス充填後の庫内空気の二酸化炭素濃度を初期濃度として基準濃度範囲が更新されるように構成されている。そのため、二酸化炭素濃度調整運転において、ガス充填前やガス充填中の比較的低い二酸化炭素濃度ではなく、ガス充填終了時点の二酸化炭素濃度を維持するように庫内空気の二酸化炭素濃度を調整することが可能になる。
【0029】
本開示の第10の態様は、第3乃至第9のいずれか1つの態様において上記制御器(55)は、上記二酸化炭素濃度調整運転中に、上記庫内空気の二酸化炭素濃度が、上記収納庫(11)の庫内への二酸化炭素の充填によって上昇した後、低下して所定の低下濃度維持条件が成立すると、該低下濃度維持条件の成立時における上記庫内空気の二酸化炭素濃度を上記初期濃度として上記基準濃度範囲を更新するように構成されている。
【0030】
ところで、収納庫(11)の庫内への二酸化炭素の充填(ガス充填)の終了後、充填された二酸化炭素が積荷箱に流入することや庫内空気が撹拌されることにより、庫内空気の二酸化炭素濃度は、ガス充填の終了時点に比べて低下したところで安定する。ガス充填終了時点で二酸化炭素濃度調整運転を開始した場合、ガス充填後、一旦低下して安定した二酸化炭素濃度よりも高い二酸化炭素濃度を初期濃度として基準濃度範囲が高く設定されてしまう。
【0031】
しかしながら、第10の態様では、ガス充填後に庫内空気の二酸化炭素濃度がガス充填終了時よりも低下したところで安定したとしても、二酸化炭素濃度が安定した時点における庫内空気の二酸化炭素濃度を初期濃度として基準濃度範囲が更新されるように構成されている。そのため、二酸化炭素濃度調整運転において、ガス充填終了時点の比較的高い二酸化炭素濃度ではなく、ガス充填後、一旦低下して安定した時点における二酸化炭素濃度を維持するように庫内空気の二酸化炭素濃度を調整することが可能になる。
【0032】
本開示の第11の態様は、第3乃至第10のいずれか1つの態様において、上記制御器(55)は、上記二酸化炭素濃度調整運転の運転開始時に、上記庫内空気の二酸化炭素濃度が上記第1低濃度よりも低い所定の下限濃度以下である場合、上記庫内空気調節装置の運転モードを、上記二酸化炭素濃度調整運転から、上記庫内空気の酸素濃度が上記目標酸素濃度に低下するまで上記ガス供給装置(30)に上記ガス供給動作を連続して行わせる酸素濃度低減運転に切り換え、上記酸素濃度低減運転中、上記庫内空気の酸素濃度が上記目標酸素濃度まで低下する前に、上記庫内空気の二酸化炭素濃度が上記下限濃度以上である状態が所定時間以上継続すると、上記庫内空気調節装置の運転モードを、上記酸素濃度低下運転から上記二酸化炭素濃度調整運転に切り換えるように構成されている。
【0033】
ところで、収納庫(11)の庫内に二酸化炭素が充填されていない状況下であっても、制御器(55)によって二酸化炭素濃度調整運転が開始される場合がある。しかし、このように庫内空気の二酸化炭素濃度が低い状態において二酸化炭素濃度調整運転を行っても、すぐにガス供給量が最小になり、庫内空気の酸素濃度を低下させることができない。
【0034】
しかしながら、第11の態様では、二酸化炭素濃度調整運転の運転開始時に、庫内空気の二酸化炭素濃度が所定の下限濃度以下である場合、庫内空気調節装置の運転モードを、二酸化炭素濃度調整運転から庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度に低下するまでガス供給装置(30)にガス供給動作を連続して行わせる酸素濃度低減運転に切り換えるように構成されている。このような構成により、ガス充填がされておらず、二酸化炭素濃度調整運転の運転開始時に庫内空気の二酸化炭素濃度が低い場合には、酸素濃度低減運転に切り換えられ、確実にガス供給動作が行われることとなる。そして、酸素濃度低減運転への運転切換後、庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度まで低下する前に、庫内空気の二酸化炭素濃度が下限濃度以上である状態が所定時間以上継続すると、制御器(55)は、庫内空気調節装置(60)の運転を、酸素濃度低減運転から二酸化炭素濃度調整運転に戻すように構成されている。そのため、酸素濃度低減運転に切り換えられてガス供給動作が行われる中で、ガス充填が行われる又は植物(15)の呼吸によって庫内空気の二酸化炭素濃度がある程度上昇すると、酸素濃度低減運転から二酸化炭素濃度調整運転に切り換えられる。このように運転を切り換えることにより、ガス供給動作が行われないために庫内空気の酸素濃度を低減できない状態が長く継続されるのを抑制することができる。
【0035】
本開示の第12の態様は、第1乃至第11のいずれか1つの態様の庫内空気調節装置(60)と、冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)とを備え、上記収納庫(11)であるコンテナの庫内空気を冷却すると共に該庫内空気の組成を調節するコンテナ用冷凍装置である。
【0036】
第12の態様では、植物(15)の収納庫(11)の庫内空気の組成を調節する庫内空気調節装置(60)を備えたコンテナ用冷凍装置(10)において、運転開始時に庫内空気の二酸化炭素濃度が低い場合にも、庫内空気を所望の組成に調整することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、実施形態1のコンテナ用冷凍装置を庫外側から見た斜視図である。
図2図2は、実施形態1のコンテナ用冷凍装置の概略構成を示す側面断面図である。
図3図3は、実施形態1の冷媒回路の構成を示す配管系統図である。
図4図4は、実施形態1のCA装置の構成を示す配管系統図であり、第1動作中の空気の流れを示すものである。
図5図5は、実施形態1のCA装置の構成を示す配管系統図であり、第2動作中の空気の流れを示すものである。
図6図6は、実施形態1のCA装置の構成を示す配管系統図であり、均圧動作中の空気の流れを示すものである。
図7図7は、実施形態1のCA装置の構成を示す配管系統図であり、ガス排出動作中の空気の流れを示すものである。
図8図8は、実施形態1のガス供給装置のガス生成動作における弁切換タイミングと吸着筒内の状態を示すタイムチャートである。
図9図9は、実施形態1のガス供給装置のガス供給モードにおける弁切換タイミングを示すタイムチャートである。
図10図10は、実施形態1のCA装置の酸素濃度低減運転と二酸化炭素濃度調整運転と空気組成調整運転の遷移の様子を示す図である。
図11図11は、実施形態1の二酸化炭素濃度調整運転における庫内空気の二酸化炭素濃度の初期濃度と開始時濃度及び基準濃度範囲との相関を示す図である。
図12図12は、実施形態1の二酸化炭素濃度調整運転において増量制御を行う増量条件と減量制御を行う減量条件とを示す図である。
図13図13は、実施形態1の二酸化炭素濃度調整運転において増量制御及び減量制御に用いる閾値を4つの初期濃度の濃度範囲毎に示す表である。
図14図14は、実施形態1の二酸化炭素濃度調整運転の制御フローである。
図15図15は、実施形態1の二酸化炭素濃度調整運転におけるガス充填による更新制御の制御フローである。
図16図16は、実施形態1の二酸化炭素濃度調整運転におけるガス充填後の濃度低下による更新制御の制御フローである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0039】
《実施形態1》
図1及び図2に示すように、コンテナ用冷凍装置(10)は、海上輸送等に用いられるコンテナ(11)に設けられ、該コンテナ(11)の庫内空気を冷却するものである。コンテナ(11)の庫内には、植物(15)が箱詰めされた状態で収納されている。植物(15)は、空気中の酸素(O)を取り込んで二酸化炭素(CO)を放出する呼吸を行うものであり、例えば、バナナやアボカド等の青果物、野菜、穀物、球根、生花等である。
【0040】
コンテナ(11)は、一方の端面が開口する細長い箱状に形成されている。コンテナ用冷凍装置(10)は、ケーシング(12)と、図3に示す冷媒回路(20)と、CA装置(庫内空気調節装置/Controlled Atmosphere System)(60)とを備え、コンテナ(11)の開口端を塞ぐように取り付けられている。
【0041】
〈ケーシング〉
図2に示すように、ケーシング(12)は、コンテナ(11)の庫外側に位置する庫外壁(12a)と、コンテナ(11)の庫内側に位置する庫内壁(12b)とを備えている。庫外壁(12a)及び庫内壁(12b)は、例えば、アルミニウム合金によって構成されている。
【0042】
庫外壁(12a)は、コンテナ(11)の開口端を塞ぐようにコンテナ(11)の開口の周縁部に取り付けられている。庫外壁(12a)は、下部がコンテナ(11)の庫内側へ膨出するように形成されている。
【0043】
庫内壁(12b)は、庫外壁(12a)と対向して配置されている。庫内壁(12b)は、庫外壁(12a)の下部に対応して庫内側へ膨出している。庫内壁(12b)と庫外壁(12a)との間の空間には、断熱材(12c)が設けられている。
【0044】
このように、ケーシング(12)の下部は、コンテナ(11)の庫内側に向かって膨出するように形成されている。これにより、ケーシング(12)の下部におけるコンテナ(11)の庫外側には庫外収納空間(S1)が形成され、ケーシング(12)の上部におけるコンテナ(11)の庫内側には庫内収納空間(S2)が形成されている。
【0045】
図1に示すように、ケーシング(12)には、メンテナンス用の2つのサービス用開口(14)が幅方向に並んで形成されている。2つのサービス用開口(14)は、それぞれ開閉自在な第1及び第2サービス扉(16A,16B)によって閉塞されている。第1及び第2サービス扉(16A,16B)は、いずれもケーシング(12)と同様に、庫外壁と庫内壁と断熱材とによって構成されている。
【0046】
図2に示すように、コンテナ(11)の庫内には、仕切板(18)が配置されている。この仕切板(18)は、略矩形状の板部材に構成され、ケーシング(12)のコンテナ(11)の庫内側の面と対向する姿勢で立設されている。この仕切板(18)によって、コンテナ(11)の庫内と庫内収納空間(S2)とが区画されている。
【0047】
仕切板(18)の上端とコンテナ(11)内の天井面との間には吸込口(18a)が形成されている。コンテナ(11)の庫内空気は、吸込口(18a)を通って庫内収納空間(S2)に取り込まれる。
【0048】
また、庫内収納空間(S2)には、水平方向に延びる区画壁(13)が設けられている。区画壁(13)は、仕切板(18)の上端部に取り付けられ、後述する庫内ファン(26)が設置される開口が形成されている。区画壁(13)は、庫内収納空間(S2)を、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)と、庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)とに区画する。なお、本実施形態では、庫内収納空間(S2)は、区画壁(13)によって上下に区画され、吸込側の1次空間(S21)が上側、吹出側の2次空間(S22)が下側に形成されている。
【0049】
コンテナ(11)内には、コンテナ(11)の底面との間に隙間を存して床板(19)が設けられている。床板(19)上には、箱詰めされた植物(15)が載置されている。コンテナ(11)内の底面と床板(19)との間には、床下流路(19a)が形成されている。仕切板(18)の下端とコンテナ(11)内の底面との間には隙間が設けられ、床下流路(19a)に連通している。
【0050】
床板(19)におけるコンテナ(11)の奥側(図2で右側)には、コンテナ用冷凍装置(10)によって冷却された空気をコンテナ(11)の庫内へ吹き出す吹出口(18b)が形成されている。
【0051】
〈冷媒回路等の構成と配置〉
図3に示すように、冷媒回路(20)は、圧縮機(21)と、凝縮器(22)と、膨張弁(23)と、蒸発器(24)とを、冷媒配管(20a)によって順に接続することによって構成された閉回路である。
【0052】
凝縮器(22)の近傍には、庫外ファンモータ(25a)によって回転駆動され、コンテナ(11)の庫外空間の空気(外気)を庫外収納空間(S1)内へ誘引して凝縮器(22)へ送る庫外ファン(25)が設けられている。凝縮器(22)では、圧縮機(21)で加圧されて凝縮器(22)の内部を流れる冷媒と庫外ファン(25)によって凝縮器(22)に送られた外気との間で熱交換が行われる。本実施形態では、庫外ファン(25)は、プロペラファンによって構成されている。
【0053】
蒸発器(24)の近傍には、庫内ファンモータ(26a)によって回転駆動され、コンテナ(11)の庫内空気を吸込口(18a)から誘引して蒸発器(24)へ吹き出す庫内ファン(26)が2つ設けられている(図1を参照)。蒸発器(24)では、膨張弁(23)によって減圧されて蒸発器(24)の内部を流れる冷媒と庫内ファン(26)によって蒸発器(24)に送られた庫内空気との間で熱交換が行われる。
【0054】
図1に示すように、圧縮機(21)及び凝縮器(22)は、庫外収納空間(S1)に収納されている。凝縮器(22)は、庫外収納空間(S1)の上下方向の中央部分において、該庫外収納空間(S1)を下側の第1空間(S11)と上側の第2空間(S12)とに区画するように設けられている。第1空間(S11)には、上記圧縮機(21)と、該圧縮機(21)を可変速で駆動するための駆動回路が収納されたインバータボックス(29)と、CA装置(60)のガス供給装置(30)とが設けられている。一方、第2空間(S12)には、庫外ファン(25)と、電装品ボックス(17)とが設けられている。第1空間(S11)は、コンテナ(11)の庫外空間に対して開放される一方、第2空間(S12)は、庫外ファン(25)の吹出口のみが庫外空間に開口するように庫外空間との間が板状部材によって閉塞されている。
【0055】
一方、図2に示すように、蒸発器(24)は、庫内収納空間(S2)の2次空間(S22)に収納されている。庫内収納空間(S2)における蒸発器(24)の上方位置には、ケーシング(12)の幅方向に並んで2つの庫内ファン(26)が設けられている。
【0056】
〈CA装置〉
図4に示すように、CA装置(60)は、ガス供給装置(30)と、排気部(46)と、センサユニット(50)と、制御器(55)とを備え、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とを調節するものである。なお、以下の説明で用いる「濃度」は、全て「体積濃度」を指す。
【0057】
[ガス供給装置]
−ガス供給装置の構成−
ガス供給装置(30)は、外気から窒素濃度が外気よりも高く酸素濃度が外気よりも低く二酸化炭素濃度が外気と同等の低酸素濃度空気を生成し、コンテナ(11)の庫内に供給する装置である。本実施形態では、ガス供給装置(30)として、VPSA(Vacuum Pressure Swing Adsorption)方式の装置を用いている。また、ガス供給装置(30)は、図1に示すように、庫外収納空間(S1)の左下のコーナー部に配置されている。
【0058】
図4に示すように、ガス供給装置(30)は、エアポンプ(31)と、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)と、空気中の窒素成分を吸着するための吸着剤が設けられた第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)とが接続された空気回路(3)と、該空気回路(3)の構成部品が収納されたユニットケース(36)とを有している。このようにガス供給装置(30)は、構成部品がユニットケース(36)の内部に収納されることによって1つのユニットとして構成され、コンテナ用冷凍装置(10)に後付けすることができるように構成されている。
【0059】
(エアポンプ)
エアポンプ(31)は、ユニットケース(36)内に設けられ、それぞれ空気を吸引して加圧して吐出する第1ポンプ機構(加圧部)(31a)及び第2ポンプ機構(減圧部)(31b)を有している。第1ポンプ機構(31a)及び第2ポンプ機構(31b)は、モータ(31c)の駆動軸に接続され、モータ(31c)によって回転駆動されることにより、それぞれ空気を吸引して加圧して吐出する。
【0060】
第1ポンプ機構(31a)の吸込口は、ユニットケース(36)を内外に貫通するように設けられた外気通路(41)の一端が接続されている。外気通路(41)の他端には、通気性と防水性を有するメンブレンフィルタ(76)が設けられている。外気通路(41)は、可撓性を有するチューブによって構成されている。図示を省略するが、メンブレンフィルタ(76)が設けられた外気通路(41)の他端は、庫外収納空間(S1)の凝縮器(22)の上方の第2空間(S12)に設けられている。このような構成により、第1ポンプ機構(31a)は、外気通路(41)の他端に設けられたメンブレンフィルタ(76)を介してユニットケース(36)の外から中へ流入する際に水分が除去された外気を吸い込んで加圧する。一方、第1ポンプ機構(31a)の吐出口には吐出通路(42)の一端が接続されている。該吐出通路(42)の他端は、下流側において2つに分岐して第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)のそれぞれに接続されている。
【0061】
第2ポンプ機構(31b)の吸込口には、吸引通路(43)の一端が接続されている。該吸引通路(43)の他端は、上流側において2つに分かれ、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)のそれぞれに接続されている。一方、第2ポンプ機構(31b)の吐出口には、供給通路(44)の一端が接続されている。供給通路(44)の他端は、コンテナ(11)の庫内収納空間(S2)における庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)において開口している。供給通路(44)の他端部には、一端から他端へ向かう向きの空気の流通のみを許容し、空気の逆流を防止する逆止弁(65)が設けられている。
【0062】
吐出通路(42)と吸引通路(43)とは、バイパス通路(47)によって接続されている。バイパス通路(47)は、エアポンプ(31)に取り込んだ外気を、そのままエアポンプ(31)の加圧力によってコンテナ(11)の庫内へ供給する外気導入動作を行うために設けられている。バイパス通路(47)は、外気導入動作を行う際に、エアポンプ(31)の第1ポンプ機構(31a)に取り込んだ外気を、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)をバイパスさせて第2ポンプ機構(31b)の吸込口へ導く。バイパス通路(47)には、制御器(55)によって開閉制御されるバイパス開閉弁(48)が設けられている。バイパス開閉弁(48)は、制御器(55)によって開閉制御される。バイパス開閉弁(48)は、外気導入動作時にのみ開かれ、それ以外は閉じられる。
【0063】
エアポンプ(31)の第1ポンプ機構(31a)及び第2ポンプ機構(31b)は、潤滑用のオイルを使用しないオイルレスのポンプで構成されている。また、エアポンプ(31)の側方には、エアポンプ(31)に向かって送風することでエアポンプ(31)を冷却するための送風ファン(49)が2つ設けられている。
【0064】
(方向制御弁)
第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)は、空気回路(3)におけるエアポンプ(31)と第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)との間に設けられ、エアポンプ(31)と第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)との接続状態を後述する4つの接続状態(第1〜第4接続状態)に切り換えるものである。この切り換え動作は、制御器(55)によって制御される。
【0065】
具体的に、第1方向制御弁(32)は、第1ポンプ機構(31a)の吐出口に接続された吐出通路(42)と、第2ポンプ機構(31b)の吸込口に接続された吸引通路(43)と、第1吸着筒(34)の一端部(加圧時の流入口)とに接続される。この第1方向制御弁(32)は、第1吸着筒(34)を第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通させて第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断する第1状態(図4に示す状態)と、第1吸着筒(34)を第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通させて第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断する第2状態(図5に示す状態)とに切り換わる。
【0066】
第2方向制御弁(33)は、第1ポンプ機構(31a)の吐出口に接続された吐出通路(42)と、第2ポンプ機構(31b)の吸込口に接続された吸引通路(43)と、第2吸着筒(35)の一端部とに接続される。この第2方向制御弁(33)は、第2吸着筒(35)を第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通させて第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断する第1状態(図4に示す状態)と、第2吸着筒(35)を第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通させて第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断する第2状態(図5に示す状態)とに切り換わる。
【0067】
第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を共に第1状態に設定すると、空気回路(3)が、第1ポンプ機構(31a)の吐出口と第1吸着筒(34)とが接続され且つ第2ポンプ機構(31b)の吸込口と第2吸着筒(35)とが接続される第1接続状態に切り換わる(図4を参照)。この状態では、第1吸着筒(34)で外気中の窒素成分を吸着剤に吸着させる吸着動作が行われ、第2吸着筒(35)で吸着剤に吸着された窒素成分を脱着させる脱着動作が行われる。
【0068】
第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を共に第2状態に設定すると、空気回路(3)が、第1ポンプ機構(31a)の吐出口と第2吸着筒(35)とが接続され且つ第2ポンプ機構(31b)の吸込口と第1吸着筒(34)とが接続される第2接続状態に切り換わる(図5を参照)。この状態では、第2吸着筒(35)で吸着動作が行われ、第1吸着筒(34)で脱着動作が行われる。
【0069】
第1方向制御弁(32)を第1状態に設定し、第2方向制御弁(33)を第2状態に設定すると、空気回路(3)が、第1ポンプ機構(31a)の吐出口と第1吸着筒(34)とが接続され且つ第1ポンプ機構(31a)の吐出口と第2吸着筒(35)とが接続される第3接続状態に切り換わる(図6を参照)。この状態では、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方が第1ポンプ機構(31a)の吐出口に接続され、第1ポンプ機構(31a)によって第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方に加圧された外気が供給される。
【0070】
第1方向制御弁(32)を第2状態に設定し、第2方向制御弁(33)を第1状態に設定すると、空気回路(3)が、第2ポンプ機構(31b)の吸込口と第1吸着筒(34)とが接続され且つ第2ポンプ機構(31b)の吸込口と第2吸着筒(35)とが接続される第4接続状態に切り換わる。この状態では、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方が第2ポンプ機構(31b)の吸込口に接続され、第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断される。
【0071】
(吸着筒)
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)は、内部に吸着剤が充填された円筒部材によって構成されている。第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に充填された吸着剤は、加圧下で窒素成分を吸着して、減圧下で吸着した窒素成分を脱着させる性質を有している。
【0072】
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に充填された吸着剤は、例えば、窒素分子の分子径(3.0オングストローム)よりも小さく且つ酸素分子の分子径(2.8オングストローム)よりも大きな孔径の細孔を有する多孔体のゼオライトで構成されている。このような孔径のゼオライトで吸着剤を構成すれば、空気中の窒素成分を吸着することができる。
【0073】
また、ゼオライトの細孔内には、陽イオンが存在しているために電場が存在し極性を生じているので、水分子などの極性分子を吸着する性質を有している。そのため、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に充填されたゼオライトからなる吸着剤には、空気中の窒素だけでなく、空気中の水分(水蒸気)も吸着される。そして、吸着剤に吸着された水分は、脱着動作によって窒素成分と共に吸着剤から脱着される。そのため、水分を含んだ低酸素濃度空気がコンテナ(11)の庫内に供給されることとなり、庫内の湿度を上げることができる。さらに、吸着剤が再生されるので、吸着剤の長寿命化を図ることができる。
【0074】
このような構成により、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)では、エアポンプ(31)から加圧された外気が供給されて内部が加圧されると、吸着剤に該外気中の窒素成分が吸着する。その結果、外気よりも窒素成分が少なくなることで外気よりも窒素濃度が低く且つ酸素濃度が高い高酸素濃度空気が生成される。一方、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)では、エアポンプ(31)によって内部の空気が吸引されて減圧されると、吸着剤に吸着されていた窒素成分が脱着する。その結果、外気よりも窒素成分を多く含むことで外気よりも窒素濃度が高く且つ酸素濃度が低い低酸素濃度空気が生成される。
【0075】
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の他端部(加圧時の流出口)には、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において、第1ポンプ機構(31a)によって加圧された外気が供給されて生成された高酸素濃度空気を、コンテナ(11)の庫外へ導くための酸素排出通路(45)の一端が接続されている。酸素排出通路(45)の一端は、2つに分岐し、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の他端部のそれぞれに接続されている。酸素排出通路(45)の他端は、ガス供給装置(30)の外部、即ち、コンテナ(11)の庫外において開口している。酸素排出通路(45)の第1吸着筒(34)の他端部に接続された部分及び第2吸着筒(35)の他端部に接続された部分には、酸素排出通路(45)から第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)への空気の逆流を防止するための逆止弁(61)がそれぞれ設けられている。
【0076】
酸素排出通路(45)の中途部には、逆止弁(62)とオリフィス(63)とが一端から他端に向かって順に設けられている。逆止弁(62)は、後述する排気用接続通路(71)からの低酸素濃度空気の第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)側への逆流を防止する。オリフィス(63)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)から流出した高酸素濃度空気が庫外へ排出される前に減圧する。
【0077】
(給排切換機構)
空気回路(3)には、生成した低酸素濃度空気をコンテナ(11)の庫内に供給する後述するガス供給動作(図4及び図5を参照)と生成した低酸素濃度空気を庫外へ排出するガス排出動作(図7を参照)とを切り換えるための給排切換機構(70)が設けられている。給排切換機構(70)は、排気用接続通路(71)と、排気用開閉弁(72)と、供給側開閉弁(73)とを有している。
【0078】
排気用接続通路(71)は、一端が供給通路(44)に接続され、他端が酸素排出通路(45)に接続されている。排気用接続通路(71)の他端は、酸素排出通路(45)のオリフィス(63)よりも庫外側に接続されている。
【0079】
排気用開閉弁(72)は、排気用接続通路(71)に設けられている。排気用開閉弁(72)は、排気用接続通路(71)の中途部において、供給通路(44)から流入した低酸素濃度空気の流通を許容する開状態と、低酸素濃度空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。排気用開閉弁(72)の開閉動作は、制御器(55)によって制御される。
【0080】
供給側開閉弁(73)は、供給通路(44)における排気用接続通路(71)が接続される接続部よりも他端側(庫内側)に設けられている。供給側開閉弁(73)は、供給通路(44)の排気用接続通路(71)の接続部よりも庫内側において、低酸素濃度空気の庫内側への流通を許容する開状態と、低酸素濃度空気の庫内側への流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。供給側開閉弁(73)の開閉動作は、制御器(55)によって制御される。
【0081】
このような給排切換機構(70)により、ガス供給装置(30)は、コンテナ(11)の庫内へ供給する低酸素濃度空気の供給量を複数段階に変更可能に構成されている。なお、本実施形態では、ガス供給装置(30)は、コンテナ(11)の庫内へ供給する低酸素濃度空気の供給量を、15段階に変更可能に構成されている。
【0082】
(測定ユニット)
空気回路(3)には、生成した低酸素濃度空気の濃度を、コンテナ(11)の庫内に設けられた後述するセンサユニット(50)の酸素センサ(51)を用いて測定する給気測定動作を行うための測定ユニット(80)が設けられている。測定ユニット(80)は、分岐管(測定用通路)(81)と測定用開閉弁(82)とを備え、供給通路(44)を流れる低酸素濃度空気の一部を分岐させて酸素センサ(51)に導くように構成されている。
【0083】
具体的には、分岐管(81)は、一端が供給通路(44)に接続され、他端が酸素センサ(51)の後述する酸素センサボックス(51a)に連結されている。なお、本実施形態では、分岐管(81)は、ユニットケース(36)内において供給通路(44)から分岐し、ユニットケースの内外に亘るように設けられている。分岐管(81)の他端部には、一端から他端へ向かう向きの空気の流通のみを許容し、空気の逆流を防止する逆止弁(64)が設けられている。
【0084】
測定用開閉弁(82)は、分岐管(81)のユニットケースの内部に設けられている。測定用開閉弁(82)は、分岐管(81)における低酸素濃度空気の流通を許容する開状態と、分岐管(81)における低酸素濃度空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。測定用開閉弁(82)の開閉動作は、制御器(55)によって制御される。詳細については後述するが、測定用開閉弁(82)は、後述する給気測定動作が実行される際にのみ開状態となり、その他のモードでは閉状態となる。
【0085】
−ガス供給装置の運転動作−
(ガス生成動作)
ガス供給装置(30)では、第1吸着筒(34)が加圧されると同時に第2吸着筒(35)が減圧される第1動作(図4を参照)と、第1吸着筒(34)が減圧されると同時に第2吸着筒(35)が加圧される第2動作(図5を参照)とが、所定の時間(例えば、14.5秒)ずつ交互に繰り返し行われることにより、低酸素濃度空気と高酸素濃度空気とが生成される。また、本実施形態では、第1動作と第2動作との各合間に、第1吸着筒(34)と第2吸着筒(35)のいずれもが加圧される均圧動作(図6を参照)が、所定の時間(例えば、1.5秒)行われる(図8を参照)。各動作の切り換えは、制御器(55)が第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を操作することによって行われる。
【0086】
《第1動作》
第1動作では、制御器(55)によって、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)が共に、図4に示す第1状態に切り換えられる。これにより、空気回路(3)は、第1吸着筒(34)が第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通して第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断され、且つ第2吸着筒(35)が第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通して第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断された第1接続状態となる。
【0087】
第1ポンプ機構(31a)は、加圧した外気を第1吸着筒(34)へ供給する。第1吸着筒(34)へ流入した空気に含まれる窒素成分は、第1吸着筒(34)の吸着剤に吸着される。このように、第1動作中、第1吸着筒(34)では、上記第1ポンプ機構(31a)から加圧された外気が供給されて該外気中の窒素成分が吸着剤に吸着されることにより、窒素濃度が外気よりも低く酸素濃度が外気よりも高い高酸素濃度空気が生成される。高酸素濃度空気は、第1吸着筒(34)から酸素排出通路(45)に流出する。
【0088】
一方、第2ポンプ機構(31b)は、第2吸着筒(35)から空気を吸引する。その際、第2吸着筒(35)の吸着剤に吸着された窒素成分が、空気と共に第2ポンプ機構(31b)に吸引されて吸着剤から脱着する。このように、第1動作中、第2吸着筒(35)では、第2ポンプ機構(31b)によって内部の空気が吸引されて吸着剤に吸着された窒素成分が脱着することにより、吸着剤から脱着した窒素成分を含み、窒素濃度が外気よりも高く酸素濃度が外気よりも低い低酸素濃度空気が生成される。低酸素濃度空気は、第2ポンプ機構(31b)に吸い込まれ、加圧された後、供給通路(44)に吐出される。
【0089】
《第2動作》
第2動作では、制御器(55)によって、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)が共に、図5に示す第2状態に切り換えられる。これにより、空気回路(3)は、第1吸着筒(34)が第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通して第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断され、且つ第2吸着筒(35)が第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通して第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断された第2接続状態となる。
【0090】
第1ポンプ機構(31a)は、加圧した外気を第2吸着筒(35)へ供給する。第2吸着筒(35)へ流入した空気に含まれる窒素成分は、第2吸着筒(35)の吸着剤に吸着される。このように、第2動作中、第2吸着筒(35)では、上記第1ポンプ機構(31a)から加圧された外気が供給されて該外気中の窒素成分が吸着剤に吸着されることにより、窒素濃度が外気よりも低く酸素濃度が外気よりも高い高酸素濃度空気が生成される。高酸素濃度空気は、第2吸着筒(35)から酸素排出通路(45)に流出する。
【0091】
一方、第2ポンプ機構(31b)は、第1吸着筒(34)から空気を吸引する。その際、第1吸着筒(34)の吸着剤に吸着された窒素成分が、空気と共に第2ポンプ機構(31b)に吸引されて吸着剤から脱着する。このように、第2動作中、第1吸着筒(34)では、第2ポンプ機構(31b)によって内部の空気が吸引されて吸着剤に吸着された窒素成分が脱着することにより、吸着剤から脱着した窒素成分を含み、窒素濃度が外気よりも高く酸素濃度が外気よりも低い低酸素濃度空気が生成される。低酸素濃度空気は、第2ポンプ機構(31b)に吸い込まれ、加圧された後、供給通路(44)に吐出される。
【0092】
《均圧動作》
図6に示すように、均圧動作では、制御器(55)によって、第1方向制御弁(32)が第1状態に切り換える一方、第2方向制御弁(33)が第2状態に切り換えられる。これにより、空気回路(3)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)が、共に第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通して第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断された第3接続状態となる。
【0093】
第1ポンプ機構(31a)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方に加圧した外気を供給する。第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)へ流入した空気に含まれる窒素成分は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の吸着剤に吸着され、高酸素濃度空気が生成される。高酸素濃度空気は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)から酸素排出通路(45)に流出する。
【0094】
一方、第2ポンプ機構(31b)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)から遮断される。そのため、均圧動作中には、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において新たに低酸素濃度空気が生成されることはなく、第2ポンプ機構(31b)は、吸引通路(43)に残存する低酸素濃度空気を吸引して加圧した後、供給通路(44)に吐出する。
【0095】
ところで、上述したように、第1動作中には、第1吸着筒(34)では第1ポンプ機構(31a)によって加圧されて吸着動作が行われ、第2吸着筒(35)では第2ポンプ機構(31b)によって減圧されて脱着動作が行われる。一方、第2動作中には、第2吸着筒(35)では第1ポンプ機構(31a)によって加圧されて吸着動作が行われ、第1吸着筒(34)では第2ポンプ機構(31b)によって減圧されて脱着動作が行われる。そのため、上述の均圧動作を挟むことなく、第1動作から第2動作へ切り換える又は第2動作から第1動作へ切り換えると、切り換え直後は、切り換え前に脱着動作を行っていた吸着筒内の圧力が著しく低いため、該吸着筒内の圧力が上昇するのに時間がかかり、すぐには吸着動作が行われない。
【0096】
そこで、本実施形態では、第1動作から第2動作へ切り換える際、及び第2動作から第1動作へ切り換える際に、空気回路(3)を第3接続状態に切り換え、第1吸着筒(34)と第2吸着筒(35)とを、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を介して連通させることとしている。これにより、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の互いの内部圧力が、速やかに等しくなる(互いの内部圧力の中間の圧力になる)。このような均圧動作により、切り換え前に第2ポンプ機構(31b)によって減圧されて脱着動作を行っていた吸着筒内の圧力が、速やかに上昇するため、第1ポンプ機構(31a)への接続後、速やかに吸着動作が行われる。
【0097】
このようにして、ガス供給装置(30)では、均圧動作を挟みながら第1動作と第2動作とを交互に繰り返すことによって空気回路(3)において低酸素濃度空気と高酸素濃度空気とが生成される。
【0098】
(ガス供給動作/ガス排出動作)
ガス供給装置(30)では、給排切換機構(70)によって、空気回路(3)において生成した低酸素濃度空気をコンテナ(11)の庫内に供給するガス供給動作と、脱着動作の開始時点から所定時間の間、生成した低酸素濃度空気をコンテナ(11)の庫内へ供給せずに排気するガス排出動作とが切り換えられる。
【0099】
《ガス供給動作》
図4図6に示すように、ガス供給動作では、制御器(55)によって、排気用開閉弁(72)が閉状態に制御され、供給側開閉弁(73)が開状態に制御される。これにより、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において交互に生成された低酸素濃度空気が供給通路(44)を通ってコンテナ(11)の庫内へ供給され、高酸素濃度空気は酸素排出通路(45)を通って庫外へ排出される。
【0100】
《ガス排出動作》
図7に示すように、ガス排出動作では、制御器(55)によって、排気用開閉弁(72)が開状態に制御され、供給側開閉弁(73)が閉状態に制御される。これにより、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において交互に生成されて供給通路(44)に吐出された低酸素濃度空気は、供給通路(44)において供給側開閉弁(73)よりも庫内側への流通が阻止され、排気用接続通路(71)に流入する。排気用接続通路(71)に流入した低酸素濃度空気は、酸素排出通路(45)に流入し、酸素排出通路(45)を流れる高酸素濃度空気と共に庫外へ排出される。
【0101】
(ガス供給装置の動作モード)
ガス供給装置(30)は、外気導入モードと15種のガス供給モード(第1ガス供給モード〜第15ガス供給モード)と呼吸モードとが実行可能に構成されている。外気導入モードは、外気を庫内に充填するモードであり、外気導入モードでは外気導入動作が実行される。ガス供給モードは、低酸素濃度空気を庫内に供給するモードであり、各ガス供給モードでは上記ガス供給動作と上記ガス排出動作とが繰り返し行われる。呼吸モードは、庫内の植物(15)の呼吸によって庫内空気の組成を変化させるために、ガス供給装置(30)がコンテナ(11)の庫内への低酸素濃度空気及び外気の供給を停止する動作モードである。以下、各動作モードについて詳述する。
【0102】
《外気導入モード》
外気導入モードでは、制御器(55)によって、第1方向制御弁(32)が第2状態に切り換えられる一方、第2方向制御弁(33)が第1状態に切り換えられる。これにより、空気回路(3)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)が、共に第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断されて第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通する第4接続状態となる。また、外気導入モードでは、制御器(55)によって、バイパス開閉弁(48)が開状態に制御される。
【0103】
上述の制御により、第1ポンプ機構(31a)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)から遮断される。そのため、エアポンプ(31)の第1ポンプ機構(31a)に吸引されて加圧された外気は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に流入することなく、吐出通路(42)からバイパス通路(47)に流入する。バイパス通路(47)に流入した外気は、吸引通路(43)を流れて第2ポンプ機構(31b)に吸引される。第2ポンプ機構(31b)は、吸引した外気を加圧し、供給通路(44)に吐出する。このようにして、外気導入モードでは、エアポンプ(31)に取り込んだ外気を、そのままエアポンプ(31)の加圧力によってコンテナ(11)の庫内へ供給する外気導入動作が行われる。
【0104】
《ガス供給モード》
第1〜第15ガス供給モードは、庫内に供給される低酸素濃度空気の供給量(ガス供給量)がそれぞれ異なり、第1ガス供給モード、第2ガス供給モード、…、第15ガス供給モードの順にガス供給量が多くなるように設定されている。即ち、第1ガス供給モードが最もガス供給量の少ないガス供給モードであり、第15ガス供給モードが最もガス供給量の多いガス供給モードである。第1〜第15ガス供給モードは、制御器(55)によってガス排出動作の動作時間(t秒)を変更することによって変更される。
【0105】
各ガス供給モードでは、制御器(55)が第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を切り換えてガス供給装置(30)に均圧動作を挟みながら第1動作と第2動作とを交互に繰り返し行わせて窒素濃度が外気よりも高く酸素濃度が外気よりも低い低酸素濃度空気を生成させる(ガス生成動作)。本実施形態では、第1動作及び第2動作の動作時間が14.5秒、均圧動作の動作時間が1.5秒に設定されている。
【0106】
なお、第1動作及び第2動作の各動作において初期と末期とでは、生成される低酸素濃度空気の組成が異なる。具体的には、各動作の初期では、吸着筒や配管等に外気が残存しているために比較的酸素濃度の高い低酸素濃度空気が生成され、各動作の末期には、吸着筒内の圧力が初期よりも低下するために窒素成分が多く脱着され、比較的酸素濃度の低い低酸素濃度空気が生成される。
【0107】
各ガス供給モードでは、図7,9に示すように、制御器(55)は、第1動作及び第2動作の初期の所定時間の間(本実施形態では、各動作の開始時からt秒経過するまでの間)、排気用開閉弁(72)を開状態、供給側開閉弁(73)を閉状態に制御して、ガス供給装置(30)にガス供給動作を行わせずにガス排出動作を行わせる。つまり、上記ガス生成動作によって生成される低酸素濃度空気のうち、比較的酸素濃度の高い低酸素濃度空気をコンテナ(11)の庫内に供給せずに庫外へ排出する。
【0108】
そして、上記所定時間の終了後(ガス排出動作の終了後)、制御器(55)は、排気用開閉弁(72)を閉状態、供給側開閉弁(73)を開状態に制御して、ガス供給装置(30)にガス供給動作を行わせる。つまり、上記ガス生成動作によって生成された低酸素濃度空気のうち、比較的酸素濃度の低い低酸素濃度空気をコンテナ(11)の庫内に供給する。
【0109】
各ガス供給モードでは、このように、ガス供給装置(30)において、ガス生成動作によって比較的酸素濃度の低い低酸素濃度空気が生成されるタイミングでガス供給動作を間欠的に行うことにより、コンテナ(11)の庫内には、比較的酸素濃度の低い低酸素濃度空気のみが供給されることとなる。
【0110】
また、動作モードの切り換えは、制御器(55)によってガス排出動作の動作時間を変更することによって変更される。具体的には、制御器(55)は、第1動作及び第2動作の初期の所定時間の間(本実施形態では、各動作の開始時からt秒経過するまでの間)行うガス排出動作の動作時間tを変更することによって、ガス供給量の異なる第1ガス供給モード〜第15ガス供給モードを変更するように構成されている。なお、本実施形態1では、ガス排出動作の動作時間tは、第1ガス供給モードでは3秒、第1ガス供給モードから第15ガス供給モードへ順に0.5秒ずつ増やし、第15ガス供給モードでは10秒になるように設定されている。
【0111】
ガス供給装置(30)は、このような動作モードを変更可能に構成されることにより、庫内へ供給する低酸素濃度空気の供給量(ガス供給量)を複数段階に変更可能であり、庫内に供給するガス供給量が少なくなる程、庫内に供給する低酸素濃度空気の酸素濃度が低くなるように構成されている。なお、本実施形態では、ガス供給量が最も少ない第1ガス供給モードで酸素濃度が3%の低酸素濃度空気が庫内に供給され、ガス供給量が最も多い第15ガス供給モードで酸素濃度が8%の低酸素濃度空気が庫内に供給されるように構成されている。
【0112】
《呼吸モード》
呼吸モードは、庫内の植物(15)の呼吸を利用して庫内空気の組成を変化させるために、ガス供給装置(30)がコンテナ(11)の庫内への低酸素濃度空気及び外気の供給を停止する待機動作である。呼吸モードでは、エアポンプ(31)が停止し、排気用開閉弁(72)が閉状態となる。また、呼吸モードでは、後述するセンサユニット(50)に庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とを計測させるために、測定用開閉弁(82)が閉状態となる。なお、呼吸モードにおいて、ガス供給装置(30)は、完全に停止している訳ではなく、制御器(55)からの指令を受けると直ちに起動できる状態で待機している。
【0113】
[排気部]
−排気部の構成−
図2に示すように、排気部(46)は、庫内収納空間(S2)と庫外空間とを繋ぐ排気通路(46a)と、排気通路(46a)に接続された排気弁(46b)と、排気通路(46a)の流入端部(庫内側端部)に設けられたメンブレンフィルタ(46c)とを有している。排気通路(46a)は、ケーシング(12)を内外に貫通するように設けられている。排気弁(46b)は、排気通路(46a)の庫内側に設けられ、排気通路(46a)における空気の流通を許容する開状態と、排気通路(46a)における空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。排気弁(46b)の開閉動作は、制御器(55)によって制御される。
【0114】
−排気部の運転動作−
庫内ファン(26)の回転の回転中に、制御器(55)によって排気弁(46b)を開くことによって、庫内に繋がる庫内収納空間(S2)の空気(庫内空気)が庫外へ排出される排気動作が行われる。
【0115】
具体的には、庫内ファン(26)が回転すると、吹出側の2次空間(S22)の圧力が、庫外空間の圧力(大気圧)よりも高くなる。これにより、排気弁(46b)が開状態であるときには、排気通路(46a)の両端部の間で生じる圧力差(庫外空間と2次空間(S22)との間の圧力差)により、庫内に繋がる庫内収納空間(S2)の空気(庫内空気)が排気通路(46a)を通って庫外空間へ排出される。
【0116】
[センサユニット]
−センサユニットの構成−
図2に示すように、センサユニット(50)は、庫内収納空間(S2)における庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に設けられている。センサユニット(50)は、酸素センサ(51)と、二酸化炭素センサ(52)と、固定プレート(53)と、メンブレンフィルタ(54)と、連絡管(56)と、排気管(57)とを有している。
【0117】
酸素センサ(51)は、内部にガルバニ電池式センサが収容された酸素センサボックス(51a)を有している。酸素センサ(51)は、ガルバニ電池式センサの電解液に流れる電流値を計測することによって、酸素センサボックス(51a)内の気体中の酸素濃度を測定する。酸素センサボックス(51a)は、固定プレート(53)に固定されている。酸素センサボックス(51a)の外面には開口が形成され、該開口には通気性と防水性を有するメンブレンフィルタ(54)が取り付けられている。また、酸素センサボックス(51a)には、連絡管(56)の一端が連結されている。さらに、酸素センサボックス(51a)には、上述した測定ユニット(80)の分岐管(81)が連結されている。
【0118】
二酸化炭素センサ(52)は、二酸化炭素センサボックス(52a)を有し、二酸化炭素センサボックス(52a)内の気体に赤外線を放射し、二酸化炭素に固有の波長の赤外線の吸収量を計測することによって気体中の二酸化炭素濃度を測定する非分散型赤外線方式(NDIR:non dispersive infrared)のセンサである。二酸化炭素センサボックス(52a)には、連絡管(56)の他端が連結されている。また、二酸化炭素センサボックス(52a)には、排気管(57)の一端が連結されている。
【0119】
固定プレート(53)は、酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とが取り付けられた状態で、ケーシング(12)に固定されている。
【0120】
連絡管(56)は、上述のように、酸素センサボックス(51a)と二酸化炭素センサボックス(52a)とに連結され、酸素センサボックス(51a)の内部空間と二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間とを連通させている。
【0121】
排気管(57)は、上述のように、一端が二酸化炭素センサボックス(52a)に連結され、他端が庫内ファン(26)の吸込口の近傍において開口している。つまり、排気管(57)は、二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間と庫内収納空間(S2)の1次空間(S21)とを連通させている。
【0122】
−濃度測定動作−
上述のように、庫内収納空間(S2)の2次空間(S22)と1次空間(S21)とは、メンブレンフィルタ(54)、酸素センサボックス(51a)の内部空間、連絡管(56)、二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間、及び排気管(57))によって形成される空気通路(58)を介して連通している。そのため、庫内ファン(26)の運転中には、1次空間(S21)の圧力が、2次空間(S22)の圧力よりも低くなる。この圧力差により、酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とが接続された空気通路(58)において、2次空間(S22)側から1次空間(S21)側へ庫内空気が流れる。このようにして、庫内空気が酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とを順に通過し、酸素センサ(51)において庫内空気の酸素濃度が測定され、二酸化炭素センサ(52)において庫内空気の二酸化炭素濃度が測定される。
【0123】
[制御器]
図10に示すように、制御器(55)は、コンテナ(11)の庫内空気の組成が所望の組成となるように、CA装置(60)に、酸素濃度低減運転と二酸化炭素濃度調整運転と空気組成調整運転とを実行させるように構成されている。具体的には、制御器(55)は、コンテナ(11)の庫内に積み込まれる植物(15)毎に異なる庫内空気の酸素濃度と酸素濃度の目標濃度を有しており、各運転において、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)の測定結果に基づいて、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度がそれぞれの目標濃度(目標酸素濃度SPO、目標二酸化炭素濃度SPCO)になるように、ガス供給装置(30)及び排気部(46)の動作を制御する。酸素濃度低減運転と二酸化炭素濃度調整運転は、庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPOよりも高い場合に庫内空気の酸素濃度を低下させるために行われる運転である。一方、空気組成調整運転は、酸素濃度低減運転又は二酸化炭素濃度調整運転を行って庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPO以下になると実行され、庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度をそれぞれ目標濃度に調整する運転である。また、空気組成調整運転中にコンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPOに所定濃度V(本実施形態では、1.0%)を加えた上限濃度以上になると、制御器(55)は、CA装置(60)の運転を酸素濃度低減運転に切り換える。なお、各運転の詳細については後述する。
【0124】
本実施形態では、制御器(55)は、CA装置(60)の各要素を本願で開示するように制御するマイクロコンピュータと、実施可能な制御プログラムが記憶されたメモリやハードディスク等とを含んでいる。なお、上記制御器(55)は、CA装置(60)の制御器の一例であり、制御器(55)の詳細な構造やアルゴリズムは、本願で開示する機能を実行するどのようなハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであってもよい。
【0125】
−コンテナ用冷凍装置の運転動作−
本実施形態では、図3に示すユニット制御器(100)によって、コンテナ(11)の庫内空気を冷却する冷却運転が実行される。
【0126】
冷却運転では、ユニット制御器(100)によって、圧縮機(21)、膨張弁(23)、庫外ファン(25)及び庫内ファン(26)の動作が、図示しない温度センサの測定結果に基づいて庫内空気の温度が所望の目標温度になるように制御される。このとき、冷媒回路(20)では、冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。そして、庫内ファン(26)によって庫内収納空間(S2)へ導かれたコンテナ(11)の庫内空気が、蒸発器(24)を通過する際に該蒸発器(24)の内部を流れる冷媒によって冷却される。蒸発器(24)において冷却された庫内空気は、床下流路(19a)を通って吹出口(18b)から再びコンテナ(11)の庫内へ吹き出される。これにより、コンテナ(11)の庫内空気が冷却される。
【0127】
−CA装置の運転動作−
CA装置(60)は、コンテナ(11)の庫内空気の組成が所望の組成となるように、図10に示す酸素濃度低減運転と二酸化炭素濃度調整運転と空気組成調整運転とを実行する。
【0128】
具体的には、CA装置(60)の起動時(電源ON時)に、まず、制御器(55)が、起動時の庫内空気の組成や使用者からの指令等によって予め設定された目標二酸化炭素濃度SPCO等から、庫内空気の二酸化炭素濃度の調整よりも酸素濃度の低減を優先させるべきか(酸素優先)、庫内空気の酸素濃度の低減より二酸化炭素濃度の調整を優先させるべきか(二酸化炭素優先)を判定する優先判定を行う。
【0129】
制御器(55)は、優先判定時に、目標二酸化炭素濃度SPCOが10%以上の場合、二酸化炭素優先と判定し、目標二酸化炭素濃度SPCOが4%未満の場合、酸素優先と判定する。また、制御器(55)は、優先判定時に、目標二酸化炭素濃度SPCOが4%以上10%未満であって庫内空気の二酸化炭素濃度と酸素濃度の和が22%より高い場合、二酸化炭素優先と判定する。一方、制御器(55)は、優先判定時に、目標二酸化炭素濃度SPCOが4%以上10%未満であって庫内空気の二酸化炭素濃度と酸素濃度の和が22%以下の場合、CA装置(60)の電源OFFからONされる(今回の起動)までの間に庫内に二酸化炭素が充填されたことを示す充填条件が成立するか否かを判断する。例えば、制御器(55)は、充填条件として、CA装置(60)が前回OFF状態になった時からON状態に切り換わるまでの間が1日未満であって、CA装置(60)が前回電源OFFされた時に比べて庫内空気の二酸化炭素濃度が4%以上上昇(呼吸分より上昇)したか否かを判断する。そして、制御器(55)は、充填条件が成立していると判断した場合、二酸化炭素優先と判定し、充填条件が成立していないと判断した場合、酸素優先と判定する。
【0130】
制御器(55)は、優先判定によって酸素優先と判定すると、CA装置(60)において酸素濃度低減運転を実行し、優先判定によって二酸化炭素優先と判定すると、CA装置(60)において二酸化炭素濃度調整運転を実行する。そして、酸素濃度低減運転又は二酸化炭素濃度調整運転の実行中に、庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPO以下になると、制御器(55)は、CA装置(60)の運転を空気組成調整運転に切り換える。また、空気組成調整運転中にコンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPOに所定濃度V(本実施形態では、1.0%)を加えた上限濃度以上になると、制御器(55)は、CA装置(60)の運転を酸素濃度低減運転に切り換える。
【0131】
なお、酸素濃度低減運転、二酸化炭素濃度調整運転及び空気組成調整運転の実行中において、制御器(55)は、測定用開閉弁(82)を閉状態とし、ユニット制御器(100)と通信して庫内ファン(26)を回転させ、庫内と庫内収納空間(S2)との間において庫内空気を循環させる。この状態では、センサユニット(50)にコンテナ(11)の庫内空気が供給されるため、酸素センサ(51)はコンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度を計測し、二酸化炭素センサ(52)はコンテナ(11)の庫内空気の二酸化炭素濃度を計測する。
【0132】
以下、酸素濃度低減運転、空気組成調整運転、二酸化炭素濃度調整運転の順に、詳細に説明する。
【0133】
[酸素濃度低減運転]
酸素濃度低減運転は、庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPOよりも高い場合に、庫内空気の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度SPCOを超えないように、庫内に低酸素濃度空気を供給して庫内空気の酸素濃度を目標酸素濃度SPOまで低減する運転である。
【0134】
酸素濃度低減運転では、制御器(55)の制御により、ガス供給装置(30)が、主に第5ガス供給モードのガス供給動作を行う。このガス供給動作により、平均酸素濃度5%の低酸素濃度空気がコンテナ(11)の庫内に供給される。また、酸素濃度低減運転では、制御器(55)の制御により、排気部(46)の排気弁(46b)が開状態になる。
【0135】
ガス供給装置(30)が低酸素濃度空気をコンテナ(11)の庫内へ供給すると、低酸素濃度空気の供給量に相当する量の庫内空気が、排気部(46)の排気通路(46a)を通ってコンテナ(11)の庫外へ排出される。そして、コンテナ(11)の庫内に存在する空気が、ガス供給装置(30)によって供給された低酸素濃度空気に徐々に置き換わり、その結果、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が次第に低下してゆく。そして、制御器(55)は、酸素低減運転中に庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPO以下になると、CA装置(60)に酸素濃度低減運転を終了させて空気組成調整運転を開始させる。
【0136】
なお、本実施形態1では、制御器(55)は、酸素濃度低減運転において、庫内空気の二酸化炭素濃度がN1(例えば、SPCO−0.5%)以上になると、ガス供給装置(30)のガス供給モードを第5ガス供給モード(酸素濃度5%モード)から第15ガス供給モード(酸素濃度8%モード)に切り換え、第15ガス供給モードの実行中に、庫内空気の二酸化炭素濃度がN2(例えば、SPCO−0.9%)以下になると、ガス供給装置(30)のガス供給モードを第15ガス供給モードから第5ガス供給モードに戻すように構成されている。このような構成により、コンテナ(11)の庫内に低酸素濃度空気を供給して庫内空気の酸素濃度を低下させる際に、植物(15)の呼吸によって庫内空気の二酸化炭素濃度が上昇して目標二酸化炭素濃度SPCOに近づくと、ガス供給装置(30)のガス供給モードを切り換えてガス供給量を増大させることにより、二酸化炭素の排出を促進して庫内空気の二酸化炭素濃度の上昇を抑制している。このようにして、制御器(55)は、庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPOよりも高い場合に、庫内空気の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度SPCOを超えないように、庫内に低酸素濃度空気を供給して庫内空気の酸素濃度を目標酸素濃度SPOまで低減する。
【0137】
[空気組成調整運転]
空気組成調整運転は、酸素濃度低減運転又は二酸化炭素濃度調整運転を行って庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPO以下の場合に、庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度をそれぞれ目標濃度(SPO、SPCO)に調整する運転である。
【0138】
空気組成調整運転において、制御器(55)は、庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPOとなり、庫内空気の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度SPCOとなるように、ガス供給装置(30)に、第5ガス供給モード(酸素濃度5%モード)と第15ガス供給モード(酸素濃度8%モード)と外気導入モードと呼吸モードとを切り換えながら実行させる。
【0139】
また、空気組成調整運転において、制御器(55)は、排気部(46)の排気弁(46b)を操作する動作を行う。具体的には、制御器(55)は、ガス供給装置(30)が第5ガス供給モードと第15ガス供給モードと外気導入モードのどれかを実行している場合は、排気弁(46b)を開状態にし、ガス供給装置(30)が呼吸モードを実行している場合は、排気弁(46b)を閉状態にする。
【0140】
空気組成調整運転では、制御器(55)は、ガス供給装置(30)に最初に第15ガス供給モードを実行させ、平均酸素濃度8%の低酸素濃度空気をコンテナ(11)の庫内へ供給させる。そして、制御器(55)は、必要に応じて、ガス供給装置(30)の動作を、第15ガス供給モードから呼吸モードへ、第15ガス供給モードから第5ガス供給モードへ、第15ガス供給モードから外気導入モードへ、呼吸モードから外気導入モードへ、第5ガス供給モードから外気導入モードへ、外気導入モードから第15ガス供給モードへ、外気導入モードから呼吸モードへ、呼吸モードから第15ガス供給モードへそれぞれ切り換えることによって、庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPOとなり、庫内空気の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度SPCOとなるように調整する。
【0141】
ところで、上述のように、空気組成調整運転においてガス供給装置(30)が行う動作モードは、第5ガス供給モード、第15ガス供給モード、外気導入モードの順に、庫内に供給するガスの酸素濃度が高くなり(5%→8%→21%)、且つ、ガス供給量も増える。また、呼吸モードでは、庫内にガスが供給されることがなく、また、庫内空気も排出されない。そのため、ガス供給装置(30)の動作が、第5ガス供給モードから第15ガス供給モードに、第5ガス供給モードから外気導入モードに、第15ガス供給モードから外気導入モードに切り換わると、庫内に供給するガスの酸素濃度は高くなるが、ガス供給量が増加するため、庫内空気の排出量も増加する。一方、ガス供給装置(30)の動作が、第15ガス供給モードから第5ガス供給モードに、又は外気導入モードから第15ガス供給モードに切り換わると、庫内に供給するガスの酸素濃度が低くなるが、ガス供給量が減少するため、庫内空気の排出量も減少する。また、ガス供給装置(30)の動作が、第15ガス供給モードから呼吸モードに、又は外気導入モードから呼吸モードに切り換わると、庫内へのガス供給と庫内空気の排出とが停止される。一方、ガス供給装置(30)の動作が、呼吸モードから第15ガス供給モードに、又は呼吸モードから外気導入モードに切り換わると、庫内へのガス供給と庫内空気の排出とが再開される。
【0142】
以上のように、制御器(55)は、必要に応じて、ガス供給装置(30)の動作を切り換えながら庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度をそれぞれ目標濃度(SPO、SPCO)に調整する。そして、制御器(55)は、空気組成調整運転中にコンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPOに所定濃度V(本実施形態では、1.0%)を加えた上限濃度以上になると、制御器(55)は、CA装置(60)の運転を酸素濃度低減運転に切り換える。
【0143】
[二酸化炭素濃度調整運転]
二酸化炭素濃度調整運転は、庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPO(本実施形態では5%)よりも高い場合に、庫内空気の二酸化炭素濃度が運転開始時の庫内空気の二酸化炭素濃度である初期濃度C0に応じて設定される基準濃度範囲A内の濃度(Amin≦CO≦Amax)になるように、ガス供給装置(30)にガス供給量を変更させながらガス供給動作を行わせて庫内空気の酸素濃度を目標酸素濃度SPOまで低減する運転である。
【0144】
二酸化炭素濃度調整運転において、制御器(55)は、庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPOとなるようにガス供給装置(30)にガス供給動作を行わせつつ、庫内空気の二酸化炭素濃度が基準濃度範囲A内の濃度(Amin≦CO≦Amax)となるように、ガス供給装置(30)のガス供給量を変更する。制御器(55)は、ガス供給装置(30)のガス供給量を変更するために、ガス供給量を一段階上げる増量制御と、ガス供給量を一段階下げる減量制御とを行う。増量制御は、ガス供給装置(30)のガス供給モードを一段階上げることによって行われ、減量制御は、ガス供給装置(30)のガス供給モードを一段階下げることによって行われる。
【0145】
また、二酸化炭素濃度調整運転において、制御器(55)は、排気部(46)の排気弁(46b)を操作する動作を行う。排気弁(46b)の具体的な操作については後述する。
【0146】
なお、本実施形態では、制御器(55)には、二酸化炭素濃度調整運転を実行するために、コンテナ(11)の庫内に積み込まれる植物(15)に応じた目標酸素濃度SPO及び目標二酸化炭素濃度SPCOが予め与えられている他、目標二酸化炭素濃度SPCOとは異なる二酸化炭素の指標濃度として許容濃度X(例えば、10%)が与えられている。なお、許容濃度Xは、目標二酸化炭素濃度SPCOよりは低いもののコンテナ(11)の庫内に積み込まれる植物(15)の鮮度を維持するために許容される濃度として制御器(55)に与えられている。
【0147】
《基準濃度範囲の設定》
図11に示すように、二酸化炭素濃度調整運転では、まず、制御器(55)が、増量制御及び減量制御の制御目標となる基準濃度範囲Aを初期濃度C0に応じて設定する。基準濃度範囲Aは、初期濃度C0に応じて設定される開始時濃度C1によって設定される。なお、開始時濃度C1は、「C1=C0−α」と「X≦C1≦SPCO」とを満たす濃度であり、基準濃度範囲Aは、「C1+α≦A≦C1+β(β>α)」を満たす範囲である。また、本実施形態では、αを0.5%、βを0.6%とする。
【0148】
初期濃度C0が、許容濃度Xより所定濃度α(0.5%)だけ高い第1低濃度以上で且つ目標二酸化炭素濃度SPCOより所定濃度αだけ高い第1高濃度以下(X+α≦C0≦SPCO+α)の標準濃度範囲内の濃度の場合、開始時濃度C1は「C0−α」となり、基準濃度範囲Aは「C0≦A≦C0−α+β」となる。つまり、初期濃度C0が上記標準濃度範囲内の濃度の場合、基準濃度範囲Aは、初期濃度C0を下限値とする濃度範囲となる。
【0149】
初期濃度C0が、上記第1低濃度より低い(C0<X+α)、即ち、上記標準濃度範囲より低い濃度の場合、開始時濃度C1は「X」となり、基準濃度範囲Aは「X+α≦A≦X+β」となる。つまり、初期濃度C0が上記標準濃度範囲より低い濃度の場合、基準濃度範囲Aは、第1低濃度(X+α)を下限値とする濃度範囲となる。
【0150】
初期濃度C0が上記第1高濃度より高い(C0>SPCO+α)、即ち、上記標準濃度範囲より高い濃度の場合、開始時濃度C1は「SPCO」となり、基準濃度範囲Aは「SPCO+α≦A≦SPCO+β」となる。つまり、初期濃度C0が上記標準濃度範囲より高い濃度の場合、基準濃度範囲Aは、第1高濃度(SPCO+α)を下限値とする濃度範囲となる。
【0151】
《増量制御及び減量制御における閾値の決定》
図11図13に示すように、二酸化炭素濃度調整運転では、初期濃度C0に応じて増量制御及び減量制御に用いる閾値(第2低濃度Y、第2高濃度Y)が異なる。そのため、制御器(55)は、初期濃度C0から増量制御及び減量制御に用いる閾値となる第2低濃度Y及び第2高濃度Yを求める。図11に示すように、初期濃度C0が4つの濃度範囲1〜4のいずれの範囲内の濃度であるかによって、図13に示すように、第2低濃度Y及び第2高濃度Yが決まる。
【0152】
具体的には、初期濃度C0が第1高濃度よりも高い濃度範囲1内の濃度である場合(C0>SPCO+α)、第2低濃度Yが「SPCO」、第2高濃度Yが「SPCO+γ(γ>β)」と決定される。初期濃度C0が目標二酸化炭素濃度SPCO以上で第1高濃度以下の濃度範囲2内の濃度である場合(SPCO≦C0≦SPCO+α)、第2低濃度Yが「C0−α」、第2高濃度Yが「C0−α+γ」と決定される。初期濃度C0が第1低濃度以上で目標二酸化炭素濃度SPCO未満の濃度範囲3内の濃度である場合(X+α≦C0<SPCO)、第2低濃度Yが「C0−α」、第2高濃度Yが「SPCO」と決定される。初期濃度C0が第1低濃度未満の濃度範囲4内の濃度である場合(C0<X+α)、第2低濃度Yが「X」、第2高濃度Yが「SPCO」と決定される。なお、本実施形態では、γを0.8%とする。
【0153】
《増量制御及び減量制御》
図12に示すように、増量制御及び減量制御は、現在の庫内空気の二酸化炭素濃度(現在濃度CO)が4つの濃度範囲I〜IVのいずれの範囲内の濃度であるかと、現在の庫内空気の二酸化炭素濃度の増減傾向とに応じてガス供給装置(30)のガス供給動作によるガス供給量を増加又は低減する制御である。
【0154】
具体的には、制御器(55)は、現在濃度COが基準濃度範囲Aの上限値Amaxより高い場合、即ち、現在濃度COが濃度範囲I又はII内の濃度である場合(Amax<CO)、庫内空気の二酸化炭素濃度が上昇していることを示す所定の濃度上昇条件が成立すると、ガス供給装置(30)のガス供給量を一段階上げる増量制御を行う。即ち、制御器(55)は、ガス供給装置(30)のガス供給モードを一段階上げる。なお、濃度上昇条件は、「二酸化炭素センサ(52)で4秒間隔に計測した庫内空気の二酸化炭素濃度の1分平均値の60回分の移動平均値CO2_1hr平均nが、1回前の二酸化炭素センサ(52)で4秒間隔に計測した庫内空気の二酸化炭素濃度の1分平均値の60回分の移動平均値CO2_1hr平均n-1より高い(CO_1hr平均n>CO2_1hr平均n-1)」である。
【0155】
つまり、制御器(55)は、現在濃度COが濃度範囲I又はII内の濃度である場合(Amax<CO)、即ち、現在濃度COが基準濃度範囲Aより高い場合には、上記濃度上昇条件が成立すれば、増量制御を行ってコンテナ(11)へのガス供給量を増加させて庫内空気の排出量を増加させることにより、庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させる又は上昇速度を低減する。
【0156】
また、制御器(55)は、現在濃度COが第2高濃度Yより高い場合、即ち、現在濃度COが濃度範囲II内の濃度である場合(CO>Y)、上記濃度上昇条件が成立しなくても、庫内空気の二酸化炭素濃度が維持されていることを示す所定の濃度維持条件が成立すると、ガス供給装置(30)のガス供給量を一段階上げる増量制御を行う。即ち、制御器(55)は、ガス供給装置(30)のガス供給モードを一段階上げる。なお、濃度維持条件は、「4秒間隔に二酸化炭素センサ(52)で計測したコンテナ(11)の庫内空気の二酸化炭素濃度の1分平均値の60回分の移動平均値CO21hr平均nが、1回前の二酸化炭素センサ(52)で4秒間隔に計測した庫内空気の二酸化炭素濃度の1分平均値の60回分の移動平均値1hr平均n-1と等しい(CO_1hr平均n=CO2_1hr平均n-1)」である。
【0157】
つまり、制御器(55)は、現在濃度COが濃度範囲I内の濃度である場合(CO>Y>Amax)、即ち、現在濃度COが基準濃度範囲Aより著しく高い場合には、庫内空気の二酸化炭素濃度が上昇傾向にある場合だけでなく維持されていても(CO_1hr平均n≧CO2_1hr平均n-1)、増量制御を行ってコンテナ(11)へのガス供給量を増加させて庫内空気の排出量を増加させることにより、庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させる又は上昇速度を低減する。
【0158】
一方、制御器(55)は、現在濃度COが基準濃度範囲Aの下限値Aminより低い場合、即ち、現在濃度COが濃度範囲III又はIV内の濃度である場合(CO<Amin)、庫内空気の二酸化炭素濃度が低下していることを示す所定の濃度低下条件が成立すると、ガス供給装置(30)のガス供給量を一段階下げる減量制御を行う。即ち、制御器(55)は、ガス供給装置(30)のガス供給モードを一段階下げる。なお、濃度低下条件は、「二酸化炭素センサ(52)で4秒間隔に計測した庫内空気の二酸化炭素濃度の1分平均値の60回分の移動平均値CO21hr平均nが、1回前の二酸化炭素センサ(52)で4秒間隔に計測した庫内空気の二酸化炭素濃度の1分平均値の60回分の移動平均値1hr平均n-1より低い(CO_1hr平均n<CO2_1hr平均n-1)」である。
【0159】
つまり、制御器(55)は、現在濃度COが濃度範囲III又はIV内の濃度である場合(CO<Amin)、即ち、現在濃度COが基準濃度範囲Aより低い場合には、上記濃度低下条件が成立すると、減量制御を行ってコンテナ(11)へのガス供給量を低減して庫内空気の排出量を低減させることにより、庫内空気の二酸化炭素濃度を上昇させる又は低下速度を低減する。
【0160】
また、制御器(55)は、現在濃度COが第2低濃度Yより低い場合、即ち、現在濃度COが濃度範囲IV内の濃度である場合(CO<Y)、上記濃度低下条件(CO_1hr平均n<CO2_1hr平均n-1)が成立しなくても、上記濃度維持条件(CO_1hr平均n=CO2_1hr平均n-1)が成立すると、ガス供給装置(30)のガス供給量を一段階下げる減量制御を行う。即ち、制御器(55)は、ガス供給装置(30)のガス供給モードを一段階下げる。
【0161】
つまり、制御器(55)は、現在濃度COが濃度範囲IV内の濃度である場合(CO<Y<Amax)、即ち、現在濃度COが基準濃度範囲Aより著しく低い場合には、庫内空気の二酸化炭素濃度が低下傾向にある場合だけでなく維持されていても(CO_1hr平均n≦CO2_1hr平均n-1)、減量制御を行ってコンテナ(11)へのガス供給量を低減して庫内空気の排出量を低減させることにより、庫内空気の二酸化炭素濃度を上昇させる又は低下速度を低減する。
【0162】
以上より、現在濃度COが濃度範囲I内で濃度上昇条件又は濃度維持条件を満たす場合、即ち、「Y<CO、CO_1hr平均n≧CO2_1hr平均n-1」との条件1、及び、現在濃度COが濃度範囲II内で濃度上昇条件を満たす場合、即ち、「Amax<CO≦Y、CO_1hr平均n>CO2_1hr平均n-1」との条件2とが、制御器(55)が増量制御を行う増量条件となる。一方、現在濃度COが濃度範囲III内で濃度低下条件を満たす場合、即ち、「Y≦CO<Amin、CO_1hr平均n<CO2_1hr平均n-1」との条件3、及び、現在濃度COが濃度範囲IV内で濃度低下条件又は濃度維持条件を満たす場合、即ち、「CO<Y、CO_1hr平均n≦CO2_1hr平均n-1」との条件4とが、制御器(55)が減量制御を行う減量条件となる。
【0163】
《制御フロー》
次に、二酸化炭素濃度調整運転における制御器(55)による制御について図14を用いて説明する。
【0164】
上述したように、制御器(55)は、優先判定において二酸化炭素優先と判定すると、運転開始前にコンテナ(11)の庫内に二酸化炭素が充填されることにより、現在の庫内空気の二酸化炭素濃度(現在濃度CO)が所定の下限濃度Cmin(例えば、5%)より高くなっている(CO>Cmin)ことを確認し、二酸化炭素濃度調整運転を開始する。
【0165】
二酸化炭素濃度調整運転では、制御器(55)は、まず、運転開始時の庫内空気の二酸化炭素濃度である初期濃度C0から増量制御及び減量制御の制御目標となる基準濃度範囲Aと増量制御及び減量制御で用いる閾値(第2低濃度Y、第2高濃度Y)とを求め、ガス供給装置(30)に第13ガス供給モード(t=9秒)でガス供給動作を開始させると共に、排気部(46)の排気弁(46b)を開状態にする(ステップS1)。このガス供給動作により、コンテナ(11)の庫内に低酸素濃度空気が供給され、該低酸素濃度空気の供給量に相当する量の庫内空気が、排気部(46)の排気通路(46a)を通ってコンテナ(11)の庫外へ排出される。そして、コンテナ(11)の庫内に存在する空気が、ガス供給装置(30)によって供給された低酸素濃度空気に徐々に置き換わり、その結果、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が次第に低下してゆく。
【0166】
次に、制御器(55)は、上述の増量条件(条件1,2)が成立しているか否かを判定する(ステップS2)。制御器(55)は、ステップS2において「YES」の場合、ステップS3に進み、ガス供給装置(30)がガス供給量の最も多い第15ガス供給モード(酸素濃度8%モード)の実行中か否かを判定する。制御器(55)は、ステップS3において「YES」の場合、ステップS2に戻り、ステップS3において「NO」の場合、ステップS4に進む。制御器(55)は、ステップS4において、ガス供給装置(30)のガス供給モードを1段階上げてガス供給量を1段階増加させると、ステップS2に戻る。
【0167】
一方、制御器(55)は、ステップS2において「NO」の場合、ステップS4に進み、上述の減量条件(条件3,4)が成立しているか否かを判定する(ステップS5)。制御器(55)は、ステップS5において「YES」の場合、ステップS6に進み、ガス供給装置(30)がガス供給量の最も少ない第1ガス供給モード(酸素濃度3%モード)の実行中か否かを判定する。制御器(55)は、ステップS6において「NO」の場合、ステップS7に進み、ガス供給装置(30)のガス供給モードを1段階下げてガス供給量を1段階低減し、ステップS2に戻る。
【0168】
なお、制御器(55)は、ステップS6において「YES」の場合、ステップS8に進み、排気部(46)の排気弁(46b)が開状態であるか否かを判定する。制御器(55)は、ステップS8において「YES」の場合、ステップS9に進み、排気部(46)の排気弁(46b)を閉じてステップS2に戻る。
【0169】
一方、制御器(55)は、ステップS8において「NO」の場合、ステップS10に進み、所定の停止条件が成立しているか否かを判定する。なお、本実施形態では、制御器(55)は、運転開始後、増量制御及び減量制御が1度も行われていないとの条件、又は増量制御か減量制御の後、1時間以上経過しているとの条件を満たす場合、停止条件が成立したと判定する。
【0170】
制御器(55)は、ステップS10において「NO」の場合、ステップS2に戻り、ステップS10において「YES」の場合、ステップS11に進み、ガス供給装置(30)によるガス供給動作を停止する。なお、このとき、ガス供給装置(30)は、完全に停止している訳ではなく、制御器(55)からの指令を受けると直ちに起動できる状態で待機している。
【0171】
制御器(55)は、ステップS11の後、ステップS12に進み、ガス供給動作の停止中に植物(15)の呼吸によって庫内空気の二酸化炭素濃度が上昇したことを示す所定の回復条件が成立しているか否かを判定する。なお、本実施形態では、制御器(55)は、現在の庫内空気の二酸化炭素濃度(現在濃度CO)が、基準濃度範囲Aの下限値Amin(=C0+α)より高い状態が10分連続しているとの条件又は二酸化炭素センサ(52)で4秒間隔に計測した庫内空気の二酸化炭素濃度の1分平均値の10回分の移動平均値CO2_平均が基準濃度範囲Aの下限値Amin(=C0+α)より高いとの条件を満たす場合、回復条件が成立したと判定する。つまり、回復条件は、基準濃度範囲Aより低かった庫内空気の二酸化炭素濃度が、基準濃度範囲A内まで回復したことを示す条件である。
【0172】
制御器(55)は、ステップS12において「NO」の場合、ステップS12を繰り返し、ステップS12において「YES」の場合、ステップS1に戻り、ガス供給装置(30)によるガス供給動作を再開する。
【0173】
以上のようにして、制御器(55)は、ガス供給装置(30)にガス供給動作を行わせながら、そのガス供給量を庫内空気の二酸化炭素濃度に応じて増減することにより、庫内空気の二酸化炭素濃度を所望の基準濃度範囲A内の濃度になるように調節しながら庫内空気の酸素濃度を目標酸素濃度まで低下させる。また、制御器(55)は、二酸化炭素濃度調整運転において、庫内空気の二酸化炭素濃度を、目標二酸化炭素濃度SPCOになるように調節するのではなく、運転開始時の初期濃度C0に基づいて設定された所定の基準濃度範囲A内になるように調節するため、運転開始前に庫内に二酸化炭素が十分に充填されていない場合であっても、運転開始時の初期濃度C0に応じた制御目標濃度範囲(基準濃度範囲A)が設定され、庫内空気の二酸化炭素濃度が所望の組成に調節されることとなる。
【0174】
《ガス充填による更新制御》
CA装置(60)は、コンテナ(11)の庫内への二酸化炭素の充填(ガス充填)後ではなく、ガス充填前又はガス充填中に起動(電源ON)されることがある。このように、ガス充填前又はガス充填中にCA装置(60)が起動されると、上昇前又は上昇途中の比較的低い二酸化炭素濃度が初期濃度C0として測定されるため、その初期濃度C0に応じた基準濃度範囲Aも、ガス充填後にCA装置(60)が起動された場合に比べて低く設定されてしまう。このように基準濃度範囲Aが本来設定されるべき濃度範囲よりも低い範囲に設定されると、コンテナ(11)の庫内に十分な量の二酸化炭素が充填されたとしても、ガス充填終了時点の二酸化炭素濃度を維持するのではなく、ガス充填終了時点の二酸化炭素濃度よりも低い濃度に調節されてしまう。
【0175】
そこで、本実施形態では、このようにガス充填前又はガス充填中に起動(電源ON)され、その後にガス充填が終了するような場合に、ガス充填後に基準濃度範囲Aの設定を更新する更新制御を実行するようにしている。
【0176】
具体的には、制御器(55)は、図14に示す制御と同時に、図15に示す更新制御を行う。制御器(55)は、更新制御において、まず、急上昇条件が成立しているか否かを判定する(ステップS21)。なお、本実施形態では、制御器(55)は、二酸化炭素センサ(52)で計測した庫内空気の二酸化炭素濃度の1分平均値CO2_平均が、5分前の二酸化炭素センサ(52)で計測した庫内空気の二酸化炭素濃度の1分平均値CO2_平均より0.5%以上高い場合((現在のCO2_平均−5分前のCO2_平均)≧+0.5%)、急上昇条件が成立したと判定する。
【0177】
制御器(55)は、ステップS21において「NO」の場合、ステップS21の判定を繰り返す。一方、制御器(55)は、ステップS21において「YES」の場合、ステップS22に進み、ガス充填中であると判断してガス充填中フラグを「1」にする。
【0178】
次に、制御器(55)は、ステップS23に進み、所定の充填終了条件が成立しているか否かを判定する。なお、本実施形態では、制御器(55)は、二酸化炭素センサ(52)で計測した庫内空気の二酸化炭素濃度の1分平均値CO2_平均が、5分前の二酸化炭素センサ(52)で計測した庫内空気の二酸化炭素濃度の1分平均値CO2_平均より0.5%以上高くない場合((現在のCO2_平均−5分前のCO2_平均)<+0.5%)、充填終了条件が成立したと判定する。
【0179】
制御器(55)は、ステップS23において「NO」の場合、ステップS23の判定を繰り返す。一方、制御器(55)は、ステップS23において「YES」の場合、ステップS24に進み、基準濃度範囲Aの設定を更新する。具体的には、現在の庫内空気の二酸化炭素濃度を初期濃度C0として開始時濃度C1を更新し、基準濃度範囲Aの設定を更新する。
【0180】
そして、制御器(55)は、基準濃度範囲Aの設定を更新した後、ステップS25に進み、ガス充填中フラグを「0」にし、ステップS21に戻る。
【0181】
このように制御器(55)が更新制御を行うことにより、ガス充填前又はガス充填中にCA装置(60)が起動(電源ON)されたとしても、ガス充填後の庫内空気の二酸化炭素濃度を初期濃度C0として開始時濃度C1が更新され、基準濃度範囲Aの設定が更新される。その結果、二酸化炭素濃度調整運転において、庫内空気の二酸化炭素濃度が、ガス充填終了時点の二酸化炭素濃度を維持するように調整される。
【0182】
なお、本実施形態では、制御器(55)は、上記更新制御のステップS22においてガス充填中フラグを「1」にした後、ステップS25においてガス充填中フラグを「0」にするまでの間、二酸化炭素濃度調整運転において、上述の増量条件が成立したとしても、ガス充填中であるため、増量制御は行わないように構成されている。
【0183】
《ガス充填後の濃度低下による更新制御》
コンテナ(11)の庫内への二酸化炭素の充填(ガス充填)の終了後、充填された二酸化炭素が積荷箱に流入することや庫内空気が撹拌されることにより、庫内空気の二酸化炭素濃度は、ガス充填の終了時点に比べて低下したところで安定する。ガス充填終了時点で二酸化炭素濃度調整運転を開始した場合、ガス充填後、一旦低下して安定した二酸化炭素濃度よりも高い二酸化炭素濃度を初期濃度C0として基準濃度範囲Aが高く設定されてしまう。
【0184】
そこで、本実施形態では、庫内空気の二酸化炭素濃度が、運転開始時に比べて低い濃度で安定するような場合に、基準濃度範囲Aの設定を更新する更新制御を実行するようにしている。
【0185】
具体的には、制御器(55)は、図14に示す制御と同時に、図16に示す更新制御を行う。制御器(55)は、更新制御において、まず、庫内空気の二酸化炭素濃度が、コンテナ(11)の庫内への二酸化炭素の充填(ガス充填)によって上昇した後、低下した状態であることを示す所定の低下濃度維持条件が成立しているか否かを判定する(ステップS31)。なお、本実施形態では、制御器(55)は、初期濃度C0が第1低濃度(X+α)より高く、庫内空気の二酸化炭素濃度が開始時濃度C1より所定濃度(例えば、1.0%)だけ低い低下濃度以下の濃度である状態(CO≦C1−1.0%)が所定時間(例えば、1時間)以上継続した場合、低下濃度維持条件が成立したと判定する。
【0186】
制御器(55)は、ステップS31において「NO」の場合、ステップS31の判定を繰り返す。一方、制御器(55)は、ステップS31において「YES」の場合、ステップS32に進み、基準濃度範囲Aの設定を更新する。具体的には、現在の庫内空気の二酸化炭素濃度を初期濃度C0として開始時濃度C1を更新し、基準濃度範囲Aの設定を更新する。そして、制御器(55)は、基準濃度範囲Aの設定を更新した後、ステップS21に戻る。
【0187】
このように制御器(55)が更新制御を行うことにより、ガス充填後に庫内空気の二酸化炭素濃度がガス充填終了時よりも低下したところで安定したとしても、二酸化炭素濃度が安定した時点における庫内空気の二酸化炭素濃度を初期濃度C0として開始時濃度C1が更新され、基準濃度範囲Aの設定が更新される。その結果、二酸化炭素濃度調整運転において、庫内空気の二酸化炭素濃度が、ガス充填後、一旦低下して安定した時点における二酸化炭素濃度を維持するように調整されることとなる。
【0188】
《ガス未充填時の運転変更制御》
二酸化炭素濃度調整運転は、コンテナ(11)の庫内に、ブルーベリーやアスパラガス等、酸素濃度が低く且つ二酸化炭素濃度が比較的高い環境下で貯蔵されることが鮮度を維持する上で好ましい植物(15)が庫内に積み込まれる場合に、庫内空気の組成をこれらの植物(15)の鮮度維持に適した環境にするべく行われるものである。そのため、二酸化炭素濃度調整運転は、予め、コンテナ(11)の庫内に二酸化炭素を充填して庫内空気の二酸化炭素濃度がある程度上昇した状況で開始されることを前提としている。
【0189】
しかしながら、コンテナ(11)の庫内に二酸化炭素が充填されていない状況下であっても、目標二酸化炭素濃度SPCOが高いと、制御器(55)は、優先判定において二酸化炭素優先と判定し、二酸化炭素濃度調整運転を開始しようとする。しかし、このように庫内空気の二酸化炭素濃度が低い状態において二酸化炭素濃度調整運転を行っても、ガス供給動作がすぐに停止され、庫内空気の酸素濃度を低下させることができない。
【0190】
そこで、本実施形態では、制御器(55)は、二酸化炭素濃度調整運転の運転開始時に、庫内空気の二酸化炭素濃度が所定の下限濃度Cmin(例えば、5%)以下の場合、CA装置(60)の運転を、二酸化炭素濃度調整運転から酸素濃度低減運転に切り換えるように構成されている。このような構成により、ガス充填がされておらず、二酸化炭素濃度調整運転の運転開始時に庫内空気の二酸化炭素濃度が低い場合には、酸素濃度低減運転に切り換えられ、確実にガス供給動作が行われることとなる。そして、酸素濃度低減運転への運転切換後、庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPOまで低下する前に、庫内空気の二酸化炭素濃度SPCOが下限濃度Cmin以上である状態が所定時間(例えば、10分)以上継続すると、制御器(55)は、CA装置(60)の運転を、酸素濃度低減運転から二酸化炭素濃度調整運転に戻すように構成されている。そのため、酸素濃度低減運転に切り換えられてガス供給動作が行われる中で、ガス充填が行われる又は植物(15)の呼吸によって庫内空気の二酸化炭素濃度がある程度上昇すると、酸素濃度低減運転から二酸化炭素濃度調整運転に切り換えられる。このように運転を切り換えることにより、ガス供給動作が行われないために庫内空気の酸素濃度を低減できない状態が長く継続されるのを抑制することができる。
【0191】
−実施形態1の効果−
以上のように、本実施形態1の制御器(55)は、庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPOより高い場合に、ガス供給装置(30)に外気から酸素を除去することによって生成した酸素濃度が外気よりも低い低酸素濃度空気をコンテナ(11)の庫内に供給するガス供給動作を、庫内空気の二酸化炭素濃度が所定の基準濃度範囲内の濃度になるように、ガス供給装置(30)に上記ガス供給量を変更させながら行わせることによって庫内空気の組成を所望の組成に調節する二酸化炭素濃度調整運転を実行可能に構成されている。
【0192】
上述のように、ガス供給装置(30)によってコンテナ(11)の庫内に低酸素濃度空気が供給されると、そのガス供給量分だけ庫内空気が庫外へ押し出される。そのため、ガス供給装置(30)のガス供給量を増大させると、ガス排出量も増大し、逆に、ガス供給装置(30)のガス供給量を低減させると、ガス排出量も低減する。ガス供給動作によって収納庫(11)の庫内に供給される低酸素濃度空気は、外気から酸素を除去することによって生成されるため、低酸素濃度空気の二酸化炭素濃度は外気の二酸化炭素濃度(0.03%)に等しい。一方、コンテナ(11)から排出される庫内空気は、予め二酸化炭素が充填されるか植物(15)の呼吸によって外気よりも高い二酸化炭素濃度になっている。そのため、ガス供給装置(30)のガス供給量を増大させてガス排出量が増大すると、庫内空気の二酸化炭素濃度が低下し、逆に、ガス供給装置(30)のガス供給量を低減させてガス排出量が低減すると、庫内空気の二酸化炭素濃度が上昇する。
【0193】
よって、本実施形態1では、二酸化炭素濃度調整運転が開始されると、その運転開始前に庫内に二酸化炭素が十分に充填されていない場合であっても、従来の装置のようにガス供給動作が開始されないということがなく、ガス供給装置(30)にガス供給動作を行わせつつ、そのガス供給量を変更することにより、庫内空気の酸素濃度を低下させつつ、庫内空気の二酸化炭素濃度を所望の基準濃度範囲A内の濃度に調節することが可能となる。
【0194】
また、本実施形態1では、二酸化炭素濃度調整運転において、庫内空気の二酸化炭素濃度を、目標二酸化炭素濃度SPCOに調節するのではなく、運転開始時の初期濃度C0に基づいて設定された所定の基準濃度範囲A内に調節することとした。そのため、運転開始前に庫内に二酸化炭素が十分に充填されていない場合であっても、運転開始時の庫内空気の二酸化炭素濃度に応じた制御目標濃度範囲が設定されるため、従来の装置のようにガス供給動作が開始されないということがなく、庫内空気の二酸化炭素濃度を所望の組成に調節することが可能となる。
【0195】
また、本実施形態1では、庫内空気の二酸化炭素濃度の初期濃度C0が、所定の許容濃度Xより高く目標二酸化炭素濃度SPCOを含む濃度範囲内にあるときには、基準濃度範囲Aが初期濃度C0を下限値とする範囲に設定され、庫内空気の二酸化炭素濃度の初期濃度C0が、許容濃度Xを含む比較的低い濃度範囲内にあるときには、基準濃度範囲Aが許容濃度Xより所定濃度α高い第1低濃度(X+α)を下限値とする範囲に設定され、庫内空気の二酸化炭素濃度の初期濃度C0が、目標二酸化炭素濃度SPCOよりも高い比較的高い濃度範囲内にあるときには、基準濃度範囲Aが目標二酸化炭素濃度SPCOより所定濃度α高い第1高濃度(SPCO+α)を下限値とする範囲に設定される。このように基準濃度範囲Aを設定することにより、初期濃度C0が許容濃度Xより高く目標二酸化炭素濃度SPCOを含む濃度範囲内の濃度の場合には、庫内空気の二酸化炭素濃度が初期濃度C0を維持するように調整され、初期濃度C0が許容濃度Xを含む低い濃度範囲内の濃度の場合、庫内空気の二酸化炭素濃度が許容濃度Xを維持するように調整され、初期濃度C0が目標二酸化炭素濃度SPCOより高い濃度範囲内の濃度の場合、庫内空気の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度SPCOを維持するように調整されることとなる。よって、二酸化炭素濃度調整運転では、庫内空気の二酸化炭素濃度の初期濃度C0に応じた該初期濃度C0を含む又は該初期濃度C0に近い無理のない制御目標濃度範囲(基準濃度範囲A)が設定されるため、従来の装置のようにガス供給動作が開始されないということがなく、庫内空気の二酸化炭素濃度を所望の組成に調節することが可能となる。
【0196】
また、実施形態1では、二酸化炭素濃度調整運転において、庫内空気の二酸化炭素濃度が基準濃度範囲Aより低く庫内空気の二酸化炭素濃度が低下傾向にある場合、ガス供給装置(30)のガス供給量が一段階下げられる。これにより、庫内空気の排出量が低減されるため、庫内空気の二酸化炭素濃度を上昇させる又は低下速度を低減することが可能になる。一方、庫内空気の二酸化炭素濃度が基準濃度範囲Aより高く庫内空気の二酸化炭素濃度が上昇傾向にある場合、ガス供給装置(30)のガス供給量が一段階上げられる。これにより、庫内空気の排出量が増加するため、庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させる又は上昇速度を低減することが可能になる。
【0197】
さらに、実施形態1では、二酸化炭素濃度調整運転において、庫内空気の二酸化炭素濃度が基準濃度範囲Aより低い第2低濃度Yより低い場合、庫内空気の二酸化炭素濃度が低下傾向になくても維持されている場合、ガス供給装置(30)のガス供給量が一段階下げられる。つまり、庫内空気の二酸化炭素濃度が基準濃度範囲Aより著しく低い場合には、庫内空気の二酸化炭素濃度が低下傾向になくても維持されていれば、ガス供給装置(30)のガス供給量が一段階下げられる。これにより、庫内空気の排出量が低減されるため、庫内空気の二酸化炭素濃度を上昇させる又は低下速度を低減することが可能になる。一方、庫内空気の二酸化炭素濃度が基準濃度範囲Aより高い第2高濃度Yより高い場合、庫内空気の二酸化炭素濃度が上昇傾向になくても維持されている場合、ガス供給装置(30)のガス供給量が一段階上げられる。つまり、庫内空気の二酸化炭素濃度が基準濃度範囲Aより著しく高い場合には、庫内空気の二酸化炭素濃度が上昇傾向になくても維持されていれば、ガス供給装置(30)のガス供給量が一段階上げられる。これにより、庫内空気の排出量が増加するため、庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させる又は上昇速度を低減することが可能になる。
【0198】
また、実施形態1では、二酸化炭素濃度調整運転において、庫内空気の二酸化炭素濃度が基準濃度範囲Aより低く、ガス供給装置(30)のガス供給量を一段階下げる減量制御を行う上述の減量条件が成立したときに、ガス供給装置(30)のガス供給量が最も少ない最少供給量である場合、それ以上ガス供給装置(30)のガス供給量を低減させることができない。そのため、排気弁(46b)を閉じ、庫内空気が排出されないようにすることで、庫内空気の二酸化炭素濃度を上昇させる又は低下速度を低減することを可能にしている。
【0199】
また、実施形態1では、二酸化炭素濃度調整運転において、庫内空気の二酸化炭素濃度が基準濃度範囲Aより低く、ガス供給装置(30)のガス供給量を一段階下げる減量制御を行う上述の減量条件が成立したときに、ガス供給装置(30)のガス供給量が最も少ない最少供給量であり、さらに、排気弁(46b)が閉じられていて庫内空気の排出も行われていない場合、ガス供給動作を継続すると、庫内空気の二酸化炭素濃度が低下し続けてしまう。そのため、ガス供給動作を停止することで、植物(15)の呼吸によって庫内空気の二酸化炭素濃度を上昇させることを可能にしている。
【0200】
また、実施形態1では、二酸化炭素濃度調整運転において、庫内空気の二酸化炭素濃度が基準濃度範囲Aより低く、ガス供給動作が停止された後、植物(15)の呼吸によって庫内空気の二酸化炭素濃度が上昇して所定の回復条件が成立すると、ガス供給動作を再開するように構成されている。このように庫内空気の二酸化炭素濃度の回復を待ってガス供給動作を再開させることにより、庫内空気の二酸化炭素濃度が著しく低下するのを抑制しつつ酸素濃度を目標酸素濃度まで低下させることが可能になる。
【0201】
ところで、ガス充填前又はガス充填中に庫内空気調節装置(60)が起動されると、上昇前又は上昇途中の比較的低い二酸化炭素濃度が初期濃度C0として測定されるため、その初期濃度C0に応じた基準濃度範囲Aも、ガス充填後に庫内空気調節装置(60)が起動された場合に比べて低く設定されてしまう。このように基準濃度範囲Aが本来設定されるべき濃度範囲よりも低い範囲に設定されると、コンテナ(11)の庫内に十分な量の二酸化炭素が充填されたとしても、ガス充填終了時点の二酸化炭素濃度を維持するのではなく、ガス充填終了時点の二酸化炭素濃度よりも低い濃度に調節されてしまう。
【0202】
しかしながら、実施形態1では、ガス充填前又はガス充填中に庫内空気調節装置(60)が起動されたとしても、ガス充填後の庫内空気の二酸化炭素濃度を初期濃度C0として基準濃度範囲Aが更新されるように構成されている。そのため、二酸化炭素濃度調整運転において、ガス充填前やガス充填中の比較的低い二酸化炭素濃度ではなく、ガス充填終了時点の二酸化炭素濃度を維持するように庫内空気の二酸化炭素濃度を調整することが可能になる。
【0203】
ところで、コンテナ(11)の庫内への二酸化炭素の充填(ガス充填)の終了後、充填された二酸化炭素が積荷箱に流入することや庫内空気が撹拌されることにより、庫内空気の二酸化炭素濃度は、ガス充填の終了時点に比べて低下したところで安定する。ガス充填終了時点で二酸化炭素濃度調整運転を開始した場合、ガス充填後、一旦低下して安定した二酸化炭素濃度よりも高い二酸化炭素濃度を初期濃度C0として基準濃度範囲Aが高く設定されてしまう。
【0204】
しかしながら、実施形態1では、ガス充填後に庫内空気の二酸化炭素濃度がガス充填終了時よりも低下したところで安定したとしても、二酸化炭素濃度が安定した時点における庫内空気の二酸化炭素濃度を初期濃度C0として基準濃度範囲Aが更新されるように構成されている。そのため、二酸化炭素濃度調整運転において、ガス充填終了時点の比較的高い二酸化炭素濃度ではなく、ガス充填後、一旦低下して安定した時点における二酸化炭素濃度を維持するように庫内空気の二酸化炭素濃度を調整することが可能になる。
【0205】
ところで、コンテナ(11)の庫内に二酸化炭素が充填されていない状況下であっても、制御器(55)によって二酸化炭素濃度調整運転が開始される場合がある。しかし、このように庫内空気の二酸化炭素濃度が低い状態において二酸化炭素濃度調整運転を行っても、すぐにガス供給量が最小になり又はガス供給動作が停止され、庫内空気の酸素濃度を低下させることができない。
【0206】
しかしながら、実施形態1では、二酸化炭素濃度調整運転の運転開始時に、庫内空気の二酸化炭素濃度が所定の下限濃度Cmin以下である場合、庫内空気調節装置の運転モードを、二酸化炭素濃度調整運転から庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPOに低下するまでガス供給装置(30)にガス供給動作を連続して行わせる酸素濃度低減運転に切り換えるように構成されている。このような構成により、ガス充填がされておらず、二酸化炭素濃度調整運転の運転開始時に庫内空気の二酸化炭素濃度が低い場合には、酸素濃度低減運転に切り換えられ、確実にガス供給動作が行われることとなる。そして、酸素濃度低減運転への運転切換後、庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPOまで低下する前に、庫内空気の二酸化炭素濃度が下限濃度Cmin以上である状態が所定時間以上継続すると、制御器(55)は、庫内空気調節装置(60)の運転を、酸素濃度低減運転から二酸化炭素濃度調整運転に戻すように構成されている。そのため、酸素濃度低減運転に切り換えられてガス供給動作が行われる中で、ガス充填が行われる又は植物(15)の呼吸によって庫内空気の二酸化炭素濃度がある程度上昇すると、酸素濃度低減運転から二酸化炭素濃度調整運転に切り換えられる。このように運転を切り換えることにより、ガス供給動作が行われないために庫内空気の酸素濃度を低減できない状態が長く継続されるのを抑制することができる。
【0207】
また、実施形態1によれば、植物(15)が収納されるコンテナ(11)の庫内空気の組成を調節するCA装置(60)を備えたコンテナ用冷凍装置(10)において、運転開始時に庫内空気の二酸化炭素濃度が低い場合にも、庫内空気を所望の組成に調整することが可能になる。
【0208】
《その他の実施形態》
上記実施形態において説明した目標酸素濃度SPO及び目標二酸化炭素濃度SPCOは、一例であり、上述の値に限られない。
【0209】
また、上記実施形態において説明した優先判定は、上述のものに限られず、酸素優先又は二酸化炭素優先とすべき状況を検知することができる判定であれば、いかなるものであってもよい。
【0210】
また、上記実施形態において説明した許容濃度、第1低濃度、第1高濃度、下限濃度として示した濃度はあくまで一例であり、上記実施形態において示した濃度に限定されない。
【0211】
さらに、上記実施形態において説明した初期濃度に応じて設定される基準濃度範囲、第2低濃度、第2高濃度の求め方は、上記実施形態において示したものに限定されない。
【0212】
また、上記実施形態では、ガス供給装置(30)において加圧下で窒素成分を吸着する吸着剤を用いて低酸素濃度空気を生成していたが、吸着剤として酸素成分を吸着させる活性炭を用いて低酸素濃度空気を生成することとしてもよい。
【0213】
また、上記各実施形態では、海上輸送用のコンテナ(11)に設けられるコンテナ用冷凍装置(10)にCA装置(60)を適用した例について説明したが、CA装置(60)の用途はこれに限られない。CA装置(60)は、海上輸送用のコンテナの他、例えば、陸上輸送用のコンテナ、単なる冷凍冷蔵倉庫、常温の倉庫等の庫内空気の組成調節に用いることができる。
【0214】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0215】
以上説明したように、本開示は、庫内空気調節装置及びそれを備えたコンテナ用冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0216】
10 コンテナ用冷凍装置
11 コンテナ(収納庫)
15 植物
20 冷媒回路
30 ガス供給装置
46 排気部
46a 排気通路
46b 排気弁
55 制御器
60 CA装置(庫内空気調節装置)
SPO 目標酸素濃度
SPCO 目標二酸化炭素濃度
C0 初期濃度
C1 開始時濃度
A 基準濃度範囲
max 基準濃度範囲の上限値
min 基準濃度範囲の下限値
X 許容濃度
X+α 第1低濃度
SPCO+α 第1高濃度
第2低濃度
第2高濃度
min 下限濃度
図1
図2
図3
図4
図5
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