(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記受信デバイスが前記発信デバイスから受信する無線信号の受信強度に関する情報を表示する表示部を、さらに備える、請求項1に記載の遠隔操作端末の置き忘れ防止装置。
前記無線信号の周波数は、前記遠隔操作端末が前記作業機を遠隔操作する際に送信する操作信号の周波数と異なる、請求項1または2に記載の遠隔操作端末の置き忘れ防止装置。
前記所定の閾値は、前記遠隔操作端末が前記作業機の運転室内に存在する場合に、前記受信デバイスが受信する前記無線信号の受信強度未満の値である、請求項1〜3の何れか一項に記載の遠隔操作端末の置き忘れ防止装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係る遠隔操作端末の置き忘れ防止装置、遠隔操作端末、および遠隔操作端末の置き忘れ防止システムは、移動式クレーン、高所作業車、ホイルローダー、または油圧ショベル等の作業車両に適用できる。
【0013】
移動式クレーンとしては、(狭義の)トラッククレーン、(車両)積載形トラッククレーン、及びレッカー形トラッククレーンを含む。また、移動式クレーンとしては、(広義の)トラッククレーン、(狭義の)ホイールクレーン、及びラフテレーンクレーンを含む。さらに、移動式クレーンとしては、(広義の)ホイールクレーン、クローラクレーン、鉄道クレーン、および浮クレーンなどを含む。本発明は、このような種々の移動式クレーンに適用できる。以下、積載形トラッククレーンを例に挙げて説明するが、他の作業車両にも本発明に係る遠隔操作端末の置き忘れ防止装置、遠隔操作端末、および遠隔操作端末の置き忘れ防止システムを適用できる。
【0014】
[実施形態]
以下、
図1〜7を参照して、本発明の実施形態に係る遠隔操作端末の置き忘れ防止装置、遠隔操作端末、および遠隔操作端末の置き忘れ防止システムについて説明する。
【0015】
[積載形トラッククレーンの全体構成]
まず、積載形トラッククレーンCRの構成について説明する。
図1に示されるように、積載形トラッククレーンCRは、汎用トラック10と、小型クレーン20と、を有する。
【0016】
小型クレーン20は、汎用トラック10の運転室11と荷台12との間に配置された車両フレーム13に搭載されている。
【0017】
小型クレーン20は、ベース21と、ポスト22と、ブーム23と、を有する。
【0018】
ベース21は、車両フレーム13上に固定されている。ポスト22は、ベース21に対して旋回可能に設けられている。ブーム23は、ポスト22の上端部に起伏可能に設けられている。
【0019】
ポスト22にはウインチ(不図示)が内蔵されている。ウインチからブーム23の先端部までワイヤロープが導かれている。このワイヤロープは、ブーム23の先端部の滑車を介してフック24に掛け回されている。これらのポスト22、ブーム23、およびフック24によりクレーン装置が構成されている。
【0020】
さらに、小型クレーン20は、ベース21の左右両側にアウトリガ装置25、26を備えている。以下では、クレーン装置(ポスト22、ブーム23、およびフック24)とアウトリガ装置25、26とをまとめて「作業機」と称する。
【0021】
そして、小型クレーン20は、ベース21の左右両側に、これらの作業機を操作するためのレバー群27を有する。なお、ここでは、作業機としてクレーン装置(ポスト22、ブーム23、およびフック24)とアウトリガ装置25、26とを例に挙げて説明した。ただし、作業機は、これに限定されるものではない。たとえば、作業機として、後述のPTO30を介して油圧駆動される作業用の機械などが挙げられる。このような種々の作業機に対して、本実施形態の構成は適用可能である。
【0022】
[油圧系・制御系の構成]
図2に示すように、小型クレーン20の油圧系は、主に、油圧バルブユニット31と、油圧ポンプ33と、主油路34と、戻油路35と、複数の油圧アクチュエータ41〜46と、を有する。
【0023】
油圧ポンプ33は、油圧バルブユニット31にタンク32内から作動油を供給する。主油路34は、油圧ポンプ33と油圧バルブユニット31とを接続している。戻油路35は、油圧バルブユニット31とタンク32とを接続している。複数の油圧アクチュエータ41〜46は、油圧バルブユニット31に接続されている。
【0024】
このうち油圧ポンプ33は、PTO30を介してエンジンの回転動力を取り出すことによって回転駆動される。そして、本実施形態では、PTO30にはPTO30のON/OFFを検出するPTO検出器36が接続されている。
【0025】
なお、PTO検出器36は、PTO30に直接に接続されるものでなくてもよい。PTO検出器36は、制御装置70内に機能部として存在して、PTO30のON/OFFの指示情報を取得するものであってもよい。
【0026】
油圧バルブユニット31には、油圧アクチュエータとして、ブーム伸縮用油圧シリンダ41、ウインチ用油圧モータ42、ブーム起伏用油圧シリンダ43、旋回用油圧モータ44、およびアウトリガ用油圧シリンダ45、46が接続されている。
【0027】
油圧バルブユニット31を構成する各切換制御弁(不図示)には、それぞれレバーが取り付けられている。これら各レバーを手動操作することによって、油圧ポンプ33から供給される圧油の方向および流量が切り換えられる。切換制御弁に取り付けられたレバーは、レバー群27としてベース21の左右両側に配置されている(
図1参照)。
【0028】
さらに、切換制御弁には、レバーとは別にそれぞれパイロットシリンダが取り付けられている。このようなパイロットシリンダの動作によっても、油圧ポンプ33から供給される圧油の方向および流量が切り換えられる。
【0029】
各パイロットシリンダには、電磁弁が付設されている。電磁弁は、公知のコンピュータ等で構成された制御装置70に接続されている。電磁弁は、制御装置70からの制御信号に基づいて動作することで、パイロットシリンダを駆動し、切換制御弁を切り換える。このようにして、制御装置70は作業機の動作を制御する。
【0030】
このような制御装置70は、作業機に組み込まれたプリント基板などの基板70cに実装されている。制御装置70には、遠隔操作端末80からの操作信号を受信する作業機側通信部70aが接続されている。このような作業機側通信部70aは、基板70cに実装されていてもよい。作業機側通信部70aは、遠隔操作端末80から受信した操作信号を、制御装置70に送る。
【0031】
制御装置70は、作業機側通信部70aから受け取った操作信号に基づいて、油圧バルブユニット31を制御することにより、ブーム伸縮用油圧シリンダ41、ウインチ用油圧モータ42、ブーム起伏用油圧シリンダ43、旋回用油圧モータ44、およびアウトリガ用油圧シリンダ45、46への圧油の給排を制御する。この結果、遠隔操作端末80からの操作信号に基づいて、ブーム23、ウインチ、ポスト22、およびアウトリガ装置25、26が作動する。以上のように、作業機は、レバー群27から入力された操作指示に基づいて動作することもできるし、遠隔操作端末80から入力された操作指示に基づいて、動作することもできる。
【0032】
さらに、本実施形態の制御装置70には、後述する無線発信ユニット50からの電波を受信する受信ユニット60が接続されている。受信ユニット60の機能については後述する。
【0033】
[遠隔操作端末]
遠隔操作端末80は、端末側通信部80aを介して、作業機の制御装置70と双方向に無線通信又は有線通信可能となっている。このような遠隔操作端末80は、作業機を遠隔操作できる。
【0034】
遠隔操作端末80は、ハウジング92と、把持部95と、を有する。
図2および
図3に示すように、遠隔操作端末80の上部には、各種のスイッチやレバー等の操作用スイッチ81〜90と、液晶ディスプレイである表示部91と、が配置されている。操作用スイッチ81〜90は、ハウジング92に保持されている。
【0035】
操作用スイッチ81〜90は、具体的には、旋回選択スイッチ81、起伏選択スイッチ82、ウインチ選択スイッチ83、伸縮選択スイッチ84、電源スイッチ85、ホーンスイッチ86、ナビスイッチ87、モード選択スイッチ88、フック取出スイッチ89、およびフック格納スイッチ90などを含む。
【0036】
上述の各スイッチ81〜90は、作業者が操作指示を入力(以下、「操作入力」という。)するためのスイッチ(操作入力部ともいう。)である。また、各スイッチ81〜90はそれぞれ、制御部80bに接続されている。制御部80bは、遠隔操作端末80のハウジング92内に設けられたプリント基板などの基板80cに実装されている。
【0037】
また、遠隔操作端末80は、作業機の作業機側通信部70aに双方向の無線通信又は有線通信可能に接続される端末側通信部80a(操作信号送信部ともいう。)を有する。端末側通信部80aは、制御部80bに接続されている。なお、端末側通信部80aは、基板80cに実装されていてもよい。
【0038】
各スイッチ81〜90から入力された操作入力は、制御部80bに送られる。制御部80bは、各スイッチ81〜90から受け取った操作入力に基づいて、操作信号を生成する。そして、制御部80bは、操作信号を、端末側通信部80aに送る。端末側通信部80aは、受け取った操作信号を、作業機(具体的には、作業機側通信部70a)に送信する。このようにして作業機は、遠隔操作端末80により、遠隔操作される。なお、操作入力部である各スイッチ81〜90、制御部80b、および操作信号送信部である端末側通信部80aにより、遠隔操作部が構成されている。
【0039】
さらに、本実施形態の遠隔操作端末80には、電波(無線信号)を発信(送信)する無線発信ユニット50(発信部ともいう。)が繋がれている。すなわち、無線発信ユニット50は、遠隔操作端末80と一体になって離れないように、ベルトなどの締結手段によって遠隔操作端末80の把持部95と締結されている。無線発信ユニット50の機能については後述する。
【0040】
[置き忘れ防止システム]
遠隔操作端末の置き忘れ防止システムは、作業機(ポスト22、ブーム23、フック24、およびアウトリガ装置25、26)と、遠隔操作端末80と、無線発信ユニット50と、受信ユニット60と、PTO検出器36と、判断部61と、報知手段62と、報知停止手段60b(
図5A参照)と、を有する。
【0041】
なお、遠隔操作端末の置き忘れ防止装置Dは、少なくとも、受信ユニット60、判断部61、および報知部62を含んで構成される。また、遠隔操作端末の置き忘れ防止装置Dは、作業機(ポスト22、ブーム23、フック24、およびアウトリガ装置25、26)、PTO検出器36、および報知停止手段60bなどを含んでもよい。
【0042】
作業機(ポスト22、ブーム23、フック24、およびアウトリガ装置25、26)は、PTO30を介して取り出されたエンジンの動力により駆動される。
【0043】
[遠隔操作端末]
遠隔操作端末80は、作業機(ポスト22、ブーム23、フック24、およびアウトリガ装置25、26)を遠隔操作するためのものである。
【0044】
[無線発信ユニット]
無線発信ユニット50(発信デバイスともいう。)は、遠隔操作端末80に接続されて電波(無線信号)を発信(送信)する。上記無線信号の周波数は、端末側通信部80aが作業機に送る操作信号の周波数とは異なる。また、上記無線信号は、無線発信ユニット50から作業機に設けられた受信ユニット60への一方向通信により送信される。つまり、端末側通信部80aと受信ユニット60とは、一方向通信により通信可能に接続される。このような構成は、通信制御をシンプルに構成できるため、低コスト化に効果的である。ただし、無線発信ユニット50と受信ユニット60とは、双方向通信による通信可能に接続されてもよい。
【0045】
無線発信ユニット50は、
図3、
図4A、および
図4Bに示すように、小型のケース内に収容されるものであり、遠隔操作端末80と別体ではあるが、このような無線発信ユニット50は、遠隔操作端末80と一体になって離れないように、ベルトなどの締結手段によって遠隔操作端末80と締結されている。無線発信ユニット50は、リチウム電池等の電池を電源として、所定の電波強度かつ所定の時間間隔(例えば1.5秒毎)で特定の周波数の電波を発信する。したがって、無線発信ユニット50は、遠隔操作端末80の電源スイッチ85がOFF状態の場合でも、無線信号を発信する。
【0046】
ここにおいて、無線発信ユニット50が発信する電波の電波強度は、使用される環境に応じて複数の強度(例えば5種類の強度)の中から選択できるように構成することが好ましい。このように、無線発信ユニット50は所定の時間間隔で断続的に電波を発信しつづけることによって、この電波を受信する受信ユニット60に対して遠隔操作端末80の遠近を知らせるようになっている。
【0047】
[受信ユニット]
受信ユニット60(受信デバイスともいう。)は、無線発信ユニット50が発信する電波を受信する。このような受信ユニット60は、作業車のいずれかの場所に設置されている。
【0048】
具体的には、受信ユニット60は、
図5Aおよび
図5Bに示すように、小型のケース内に収容されるものであり、このケースには、正面にLED60aと報知停止手段60bが配置され、側面に無線発信ユニット50に対するペアリングスイッチ60cが配置されている。受信ユニット60は、積載形トラッククレーンCRに設けられている。具体的には、受信ユニット60は、積載型トラッククレーンCRの運転室11の内部において制御装置70に接続されている。
【0049】
なお、受信ユニット60の設置場所は、積載形トラッククレーンCRの運転室11内に限定されるものではなく、ラフテレーンクレーンの走行体(車両ともいう。)上などであってもよい。ラフテレーンクレーンの場合には、運転室が高い位置にあるため、遠隔操作端末の格納場所を低い位置に設定することができる。この場合には、受信ユニットを、遠隔操作端末の格納場所内や格納場所の近くに設置することができる。
【0050】
表示手段としてのLED60aは、報知手段62とは別に、電波の強度が所定値以下となっていることを表示する。すなわち、LED60aは、PTO30のON/OFFによらず、電波の強度のみに基づいて、電波の強度が所定値を超えている場合には緑色を点灯し、電波の強度が所定値以下となっている場合には赤色を点灯する。
【0051】
このような表示手段を備えることで、オペレータはLED60aを常に確認することができる。したがって、PTO30をOFFにするよりも前にLED60aが赤色を点灯していることで、オペレータは遠隔操作端末80が遠くにあることを認識して、遠隔操作端末80の位置を確認することが可能となる。
【0052】
さらに、受信ユニット60は、無線発信ユニット50に対するペアリング機能、無線発信ユニット50のバッテリー警告機能などを備えることが好ましい。この他にも、スマートフォンを使用して無線発信ユニット50から電波が送信されているか否かを確認できるようにすることなども好ましい。
【0053】
[PTO検出器]
PTO検出器36は、PTO30のON/OFFを検出する。PTO検出器36は、検出結果を判断部61に送る。
【0054】
[判断部]
判断部61(制御部ともいう。)は、制御装置70の機能部として構成されるものであり、遠隔操作端末80が置き忘れられているか否かを判断する。判断部61には、PTO検出器36によって検出された検出情報と、受信ユニット60の受信部(不図示)で受信された電波強度とが入力される。そして、判断部61は、これら2つの入力値に基づいて、PTO30がOFFになっており、かつ、電波強度が所定の閾値(例えば、−95dBm)以下になっている場合に、遠隔操作端末80が置き忘れられていると判断する。判断部61は、遠隔操作端末80が置き忘れられていると判断した場合に、報知手段62に報知命令を出す。
【0055】
判断部61は、PTO30がOFF状態である間、所定の時間間隔(たとえば、1.5秒)で上述の判定を繰り返し行う。判断部61は、作業車両の走行中も、所定の時間間隔(たとえば、1.5秒)で上述の判定を繰り返し行ってもよい。
【0056】
所定の閾値は、たとえば、遠隔操作端末80が作業機の運転室11内に存在するか否かを判定可能な受信強度に関する値である。具体的には、所定の閾値は、遠隔操作端末80が作業機の運転室11内に存在する場合に、受信ユニット60が受信する上記無線信号の受信強度のうち最小の受信強度未満の値である。一例として、上記最小の受信強度が−90dbmである場合には、所定の閾値として、−95dbmが挙げられる。この場合、判断部61は、PTO30がOFFになっており、かつ、受信ユニット60が受信した電波強度が−95dbm以下の場合に、遠隔操作端末80が置き忘れられている(換言すれば、運転室11内に存在していない)と判断する。このような所定の閾値であれば、遠隔操作端末80が運転室11内に存在していないことを高い精度で判定できる。このような所定の閾値は、運転室11の広さ、形に応じて適宜決定されてよい。
【0057】
また、所定の閾値は、たとえば、遠隔操作端末80が作業機(ドアおよび窓が閉じている状態の作業機)の運転室11の外であって、かつ、運転室11の近傍(たとえば、ドアの外側面)に存在する場合に、受信ユニット60が受信する上記無線信号の受信強度の値であってもよい。このような所定の閾値であれば、遠隔操作端末80が、運転室11内に存在していないことを、より高い精度で判定できる。
【0058】
[報知手段]
報知手段62は、判断部61が、遠隔操作端末80が置き忘れられていると判断したときに報知する。
【0059】
運転室11内に設置される報知手段62は、判断部61からの報知命令を受けて、オペレータに遠隔操作端末80が忘れられていることを報知する。報知手段62は、報知音(音声又はブザー音)、報知表示を含む。報知音としては、例えば、「遠隔操作端末を忘れています」といった人による音声や、「ブー」といったブザー音などが好ましい。報知表示としては、例えば、安全装置用のモニタ内の「遠隔操作端末を忘れています。」といったメッセージの表示や、専用の報知灯(赤色ランプなど)を搭載することなどが好ましい。
【0060】
[報知停止手段]
報知停止手段60bは、報知手段62による報知を停止させる。具体的には、オペレータは、報知停止手段60bを操作することで、遠隔操作端末80を置き忘れていないことを判断部61に強制的に判断させて、報知手段62による報知を停止させる。あるいは、報知停止手段60bを操作することで、直接に報知手段62に命令を出して報知を停止させることも好ましい。
【0061】
[作用・効果について]
次に、
図6のフローチャートを用いて、本実施例の遠隔操作端末の置き忘れ防止システムおよび置き忘れ防止装置Dによる置き忘れ防止制御の流れについて説明する。
【0062】
PTO検出器36によって、PTO30のON/OFFが常に監視されており、PTO30のOFFへの切り換えが検出されると、検出情報(OFF)が制御装置70に伝送される(ステップS1)。すなわち、PTO30がOFFにされたタイミングで、置き忘れ防止制御が実行される。
【0063】
次に、無線発信ユニット50から所定の時間間隔で発信された電波が、受信ユニット60で受信される。そして、判断部61は、受信ユニット60で受信された電波の電波強度が所定値以下か否かを判定する(ステップS2)。電波強度が所定値を超えていれば(ステップS2のNO)、遠隔操作端末80を置き忘れていないものとみなして制御を終了する。
【0064】
なお、
図6のステップS2において、電波強度が所定値を超えている場合でも、判断部61は、作業車両が走行を開始してから所定時間が経過するまでの間、
図6のステップS2を繰り返してもよい。このような構成によれば、遠隔操作端末80を運転室11の外かつ運転室11の近傍に置き忘れているような状況を、確実に検知できる。
【0065】
また、
図6のステップS2において、電波強度が所定値を超えている場合でも、判断部61は、作業車両の走行中、継続的に
図6のステップS2を繰り返してもよい。
【0066】
図6のステップS2において、電波の強度が所定値以下であれば(ステップS2のYES)、遠隔操作端末80を置き忘れているとみなして、報知手段62に報知命令を出す。つまり、電波の強度が所定値以下となっていれば、遠隔操作端末80が遠い場所にあると考えられるため、置き忘れたものとみなしている。なお、
図6のステップS2において、電波強度が所定値以下の場合でも、判断部61は、作業車両が走行を開始してから所定時間が経過するまでの間、
図6のステップS2を繰り返してもよい。このような構成によれば、遠隔操作端末80の置き忘れを、より確実に検知できる。
【0067】
そして、判断部61によって遠隔操作端末80が置き忘れられていると判断されて、報知命令を受けると、報知手段62はオペレータに報知する(ステップS3)。例えば、運転室11内に配置されたスピーカから「遠隔操作端末を置き忘れています。ご注意ください。」というアナウンスが放送される。このようにして、置き忘れ防止制御が実行される。
【0068】
[作用・効果]
次に、本実施形態に係る遠隔操作端末の置き忘れ防止システムおよび置き忘れ防止装置Dの奏する効果を列挙して説明する。
【0069】
(1)上述してきたように、本実施形態に係る遠隔操作端末の置き忘れ防止装置Dによれば、遠隔操作端末80の置き忘れを防止できる。さらに、本実施形態に係る遠隔操作端末の置き忘れ防止システムおよび置き忘れ防止装置Dによれば、車両において遠隔操作端末80の設置位置が限定されていない場合でも遠隔操作端末80の置き忘れを防止できる。
【0070】
つまり、本実施形態に係る遠隔操作端末の置き忘れ防止システムおよび遠隔操作端末の置き忘れ防止装置Dを備えることで、遠隔操作端末80を作業現場へ置き忘れたり、事務所や自宅に置き忘れたりすることを防止できる。これによって、遠隔操作端末80の紛失・再購入によるユーザ負担を軽減することができる。さらに、遠隔操作端末80を置き忘れることがなければ、現場の作業効率を損なうことがない。加えて、無線化によって配置の自由度が増すうえ、取付工数の低減にもなる。
【0071】
(2)また、作業車が積載形トラッククレーンCR等の場合には、受信ユニット60は、積載形トラッククレーンCRの運転室11内に設置されることが可能である。このように構成すれば、運転室11内でPTO30をOFFにしたときに、遠隔操作端末80を置き忘れていることを認識することができる。この点については、荷台を備えないトラッククレーンでも同様である。なお、その他の移動式クレーンについても、もちろん運転室内に受信ユニット60を設置することが可能である。
【0072】
(3)あるいは、作業車がラフテレーンクレーン(又はオールテレーンクレーン)等の場合には、受信ユニットは、ラフテレーンクレーンの走行体上に設置されることが可能である。なお、この場合でも、報知手段62は、運転室11内に配置されることが好ましい。このように構成すれば、運転室11内でPTO30をOFFにしたときに、遠隔操作端末80を置き忘れていることを認識することができる。特に、大型の移動式クレーンのジブの取付/取外作業を遠隔操作で行う場合などに、遠隔操作端末80を置くために運転室まで昇る必要がなくなるため都合が良い。なお、その他の移動式クレーンについても、もちろん走行体上に受信ユニット60を設置することが可能である。
【0073】
(4)また、受信ユニット60は、報知手段62による報知を停止させる報知停止手段60bをさらに有している。このように構成すれば、遠隔操作端末80を紛失した場合に、報知され続けることを防止できる。つまり、遠隔操作端末80を置き忘れた場合には、PTO30をOFFにしたときにしばらくの間だけ報知してオペレータに気付かせればよく、その後は報知を停止させることができる。
【0074】
(5)さらに、受信ユニット60は、報知手段62とは別に、電波の強度が所定値以下となっていることを表示する表示手段としてのLED60aをさらに備えている。そうすると、オペレータはLED60aを常に確認することができる。したがって、PTO30をOFFにするよりも前にLED60aが赤色を点灯していることで、オペレータは遠隔操作端末80が遠くにあることを認識して、遠隔操作端末80の位置を確認することが可能となる。
【0075】
以上、図面を参照して、本実施形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0076】
例えば、本実施形態では、判断部61及び報知手段62を受信ユニット60とは別の構成として説明したが、これに限定されるものではなく、判断部61及び報知手段62を受信ユニット60と一体に構成することもできる。
【0077】
図7は、本実施形態の変形例の一例を示している。本変形例の場合、受信ユニット60Aは、無線モジュールとして作業機に組み込まれた基板70cに実装されている。なお、基板70cには、作業機の制御装置70も実装されている。このような受信ユニット60Aは、制御装置70に接続されている。
【0078】
また、
図7に示される変形例の場合、無線発信ユニット50aは、無線モジュールとして遠隔操作端末80に組み込まれている。この場合には、無線発信ユニット50aは、ハウジング92(
図3参照)に収容される。このような無線発信ユニット50aは、ハウジング92内において、遠隔操作端末80の制御部80bなどが実装された基板80cに実装されている。無線発信ユニット50aの電源は、遠隔操作端末80(具体的には、遠隔操作部)と共通の電源80d(二次電池など)でもよい。
【0079】
図7に示される変形例の場合、遠隔操作端末80の電源スイッチ85(
図3参照)がOFF状態の場合でも、無線発信ユニット50aは、無線信号を発信する。無線発信ユニット50aが発信する無線信号の周波数は、端末側通信部80aが作業機に送る操作信号の周波数とは異なる。
【0080】
また、
図7に示される変形例の場合、無線発信ユニット50aは、遠隔操作端末80の電源スイッチ85がOFF状態の場合に、無線信号を発信し、遠隔操作端末80の電源スイッチ85がON状態の場合に、無線信号を発信しない。なお、無線発信ユニット50aは、遠隔操作端末80の電源スイッチ85の状態に関係なく、所定の時間間隔で常時無線信号を発信してもよい。
【0081】
以上のように、上述の実施形態では無線発信ユニット50を遠隔操作端末80に後付けされる別の構成として説明したが、これに限定されるものではなく、上述の変形例のように無線発信ユニット50は遠隔操作端末80と一体に構成(内蔵)されてもよい。
【0082】
さらに、本実施形態では、受信ユニット60を制御装置70に有線で接続される別の構成として説明したが、これに限定されるものではなく、受信ユニット60は外付けではなく、制御装置70と一体に構成することもできる。
【0083】
[付記]
遠隔操作端末の置き忘れ防止装置の参考例1として、遠隔操作端末の置き忘れ防止装置は、PTOを介してエンジンの動力を取り出して駆動される作業機と、上記作業機を遠隔操作するための遠隔操作端末と、上記遠隔操作端末に接続されて電波を発信する無線発信ユニットと、上記電波を受信する受信ユニットであって、作業車のいずれかの場所に設置される受信ユニットと、上記PTOのON/OFFを検出するPTO検出器と、上記PTOがOFFになっており、かつ、上記受信ユニットで受信された上記電波の強度が所定値以下になっているときに、上記遠隔操作端末が置き忘れられていると判断する判断部と、上記遠隔操作端末が置き忘れられていると判断されたときに報知する報知手段と、を備える。
【0084】
上述の参考例1に係る遠隔操作端末の置き忘れ防止装置において、作業車は、積載形トラッククレーンである。また、上記受信ユニットは、上記積載形トラッククレーンの運転室内に設置されている。
【0085】
上述の参考例1に係る遠隔操作端末の置き忘れ防止装置において、作業車は、ラフテレーンクレーンであってもよい。また、上記受信ユニットは、上記ラフテレーンクレーンの走行体上に設置されている。
【0086】
上述の参考例1に係る遠隔操作端末の置き忘れ防止装置において、上記受信ユニットは、上記報知手段による報知を停止させる報知停止手段をさらに有してもよい。
【0087】
上述の参考例1に係る遠隔操作端末の置き忘れ防止装置において、上記受信ユニットは、上記報知手段とは別に、上記電波の強度が上記所定値以下となっていることを表示する表示手段をさらに備えてもよい。
【0088】
2017年4月27日出願の特願2017−087832の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。