(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
可燃性溶剤を取り扱う現場で、静電気放電の火花による着火事故の多くは、接地不良により帯電した導体と、接地された導体間で生じる火花放電が原因となって発生する。
このような火花放電に起因する着火事故は、接地を適切に行うことで未然に防止することができる。
例えば、可燃性溶剤をドラム缶等の容器に充填する工程で火花放電を起こすと、着火事故を引き起こしてしまうが、このような着火事故のほとんどは、容器の接地不良など、静電気対策の基本的なことが原因になっている。
【0003】
そこで、金属製の上記容器を確実に接地することが望まれる。容器が接地されているかどうかは、人の感覚で判断し難いので、従来は、例えば特許文献1に開示された接地装置を用いて、上記容器を接地させながらその接地状況を確認していた。
上記特許文献1に開示された従来の接地装置は、金属製の一対の挟持部材からなる2組のクリップを備え、これらクリップを構成する一方の挟持部材を、接地状況を検知する確認回路に接続させるとともに、他方の挟持部材を接地側配線に接続している。上記確認回路には、確認用発光体とこの確認用発光体の電源とを備えている。
このような従来の接地装置は、一方のクリップで上記容器などを挟持し、他方のクリップで確実に接地された接地部材を挟持し、上記容器を接地させながらその接地状況を確認用発光体の発光によって視覚的に確認できるようにしたものである。
【0004】
上記従来の接地装置は、容器などを接地させながら、その接地状況を確認することができる装置であるが、工場などでは、上記ドラム缶を載置した床面や、金属製の接地板など、予め接地されているべき対象の接地状況を確認することも必要である。
床面を接地させれば、そこに載置された容器だけでなく、人の帯電も防止できる。帯電した人がいると火花放電による火災発生などの危険だけでなく、静電気敏感デバイスなどを破壊してしまうこともあるため、床面の接地は重要である。そのため、本来接地されているべき床面などがしっかり接地されているか否かを確認することも必要である。
【0005】
しかし、上記従来の接地装置は、上記したように、クリップ状の一対の挟持体でドラム管などを挟んで、それを接地させながら接地状況を確認するものである。
そのため、上記従来の接地装置を用いて床面の設置状況を確認しようとすると、クリップを開き、そのクリップを構成する一対の挟持部材のうち、確認回路が接続されている一方の挟持部材のみを床面に接触させなければならない。
ところが、上記のように、クリップを開いた状態を維持して一方の挟持部材のみを、床面に接触させる操作はやりにくい。
【0006】
仮に、何も挟持しない状態でクリップが閉じて、金属製の一対の挟持部材が接触してしまうと、一方の挟持部材が、他方の挟持部材を介して接地側配線と電気的に導通してしまうことがあり、一方の挟持部材を接触させた床面がもともと接地されているのか、上記接地確認装置によって接地されたのか区別できなくなってしまう。つまり、上記床面が本当に接地されているのかどうかを確認することはできなかった。
そこで、床面などの接地状況だけを確認する際には、通常、導通確認ができる絶縁抵抗計を用いてその一対の検出端子をそれぞれ、床面と建物に予め設けられたアース端子とに接触させてその間の導通を確認するようにしていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
様々な装置が接地されている現場では、接地されているはずの床面などの接地状況を確認するだけでなく、可燃性溶剤の容器としてのドラム缶などを確実に接地させることも必要である。例えば、絶縁抵抗計によってアースとの導通を確認し、接地されていないことが分かった場合に、床面など上記接地装置で挟持できないものは、本来のアース配線を接続し直し、上記クリップ状の挟持部材で挟持できるドラム缶などでは、上記接地装置を用いて確実に接地させるようにしていた。
つまり、必要個所の確実な接地のためには、アースとの導通だけを確認するための絶縁抵抗計と、積極的に接地させて、その状況を確認する上記接地確認装置との両方が必要であった。
【0009】
そして、接地状況の確認だけで済むのか、改めて接地させなければならないのかは、予め正確に予測できないため、接地させながら接地確認をする接地確認装置と、導通確認のみを行なう絶縁抵抗計との両方を準備しておく必要があり、それらを場合によって使い分けなければならず、装置コストが嵩むうえ、接地確認の作業性が悪いという問題もあった。
【0010】
この発明の目的は、確認対象の形状にかかわりなく、その接地状態を簡単かつ正確に確認する機能と、対象物を確実に接地させながら接地状況を確認する機能とを併せ持った接地確認装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の発明は、互いに対向する一対の挟持部材を備え、上記一対の挟持部材であって、互いに対向する一対の対向面のうち一方の対向面には、第1の端子を設け、上記一対の対向面の少なくともいずれか一方には第2の端子を設け、上記両挟持部材の少なくともいずれか一方であって、上記一対の対向面以外の部分には第3の端子を設け、上記第1の端子を接地回線に接続
し、上記第2又は第3の端子がアースに接続したことを確認するための確認回路を設け、この確認回路に上記第2及び第3の端子を接続
するとともに、
上記第2,3の端子が絶縁樹脂製の端子保持部材に間隔を保って設けられ、上記第1の端子と第2の端子、上記第1の端子と第3の端子とが互いに接触しない位置関係を保ち、これら第1の端子と第2,3の端子との間を電気的絶縁状態に維持する構成にしたことを特徴とする。
【0012】
第2の発明は、上記確認回路が、確認用発光体と、上記第2の端子あるいは第3の端子のいずれかが接地されたときに導通するスイッチング素子と、上記スイッチング素子が導通したとき、上記確認用発光体を発光させるための電源とを備えたことを特徴とする。
【0013】
第3の発明は、上記第3の端子が、上記挟持部材に対し着脱自在に設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明によれば、1つの接地確認装置で、挟持部材で挟持して接地対象物を接地させることができるとともに、床など挟持できないような様々な形状の物体についても接地状況を、簡単かつ確実に確認することができる。そのため、接地確認のみのための装置と、接地させながら状況を確認させる接地装置とを別々に用意する必要がなく、経済的で、しかも作業性もよくなる。
第2の発明によれば、確認対象の接地状況を確認用発光体の発光によって視覚的に認識することができる。
【0015】
第3の発明によれば、確認対象の表面性に応じた様々な形状の第3の端子を用いることができる。例えば、確認対象が平面の場合には、先端が平坦な端子を用い、塗料などの被覆がある場合にはそれを突き破る尖端を備えた端子に取り換えることができる。これにより、端子と確認対象との接触を確実にすることができる。
また、繰り返しの使用によって端子の先端が摩耗したり変形したりした場合にも、新たな端子に交換することで、接触性能を維持できる。
特に第3の端子を確認対象に接触させる際には、第1,2の端子のように挟持力が作用せず、人が手で押し付ける必要があるので、確認対象の表面に適した尖端形状を選択できることは有用である。
さらに、第3の端子の先端は外部に露出するので、必要以上に鋭い尖端を有する端子を備えていると危険な場合もある。上記したように塗料などの被覆を突き破る必要があるときにのみ、尖端を備えた端子を取り付け、その他の場合には、平面や丸みを帯びた先端の端子を用いるようにすることもできる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜5に示す第1実施形態の接地確認装置は、断面コ字状にした金属製の第1,2挟持部材1,2を支持軸3周りに回動自在に取付け、両挟持部材1,2間に板ばね4を設けてクリップ状の端子圧接部を構成したものである。そして、この端子圧接部を図示しない装置本体に接続している。
なお、上記第1,2の挟持部材1,2は外力を作用させない
図1の状態で、上記板ばね4の弾性力によって閉じている方を先端側とする。
【0018】
上記第1挟持部材1の先端側には、後で詳しく説明するピン状のアース端子5と接地回線用ビス6が取り付けられている。上記接地回線用ビス6は、金属製の第1挟持部材1を介してアース端子5と電気的に導通し、
図4に示す接地回線7を接続している。この接地回線7は、第2挟持部2の基端側から引き出された配線カバー8内に収容され上記装置本体に接続されている。
上記アース端子5は、第1挟持部材1において第2挟持部材2と対向する対向面に取り付けられたこの発明の第1の端子である。
【0019】
一方、第2挟持部材2の先端内側には、樹脂製の端子保持部材9を設け、この端子保持部材9と第2挟持部材2とによってこの発明の一方の挟持部材と対向する挟持部材を構成している。
上記端子保持部材9は、
図2,3に示すように、内部に空洞を形成したポロブチレンテレフタレートなどの絶縁樹脂製の本体10を備え、この本体10であって上記第1挟持部材1と対向する対向面10aに、この発明の第2の端子である4本の確認用端子11を設けている。さらに、第2挟持部材2の先端に対応する本体10の先端面10bには、この発明の第3の端子である確認用端子12を設けている。
【0020】
具体的には、
図3に示すように、上記本体10内にはステンレス製のショートバー13,14と4本のボルト15が組み込まれ、これらボルト15に上記確認用端子11を取り付けている。各確認用端子11は、テーパー状の先端を備え、上記ボルト15に結合する雌ねじを備えた筒状部材である。この筒状の確認用端子11は、側面にスパナなどを引っ掛けるための工具掛け平面11aを備えている。
また、上記ボルト15は、各ショートバー13,14に形成された取付孔13a,14aを貫通し、その先端側に上記確認用端子11を結合している。なお、上記対向面10aには上記確認用端子11を上記ボルト15に取り付け可能にする図示しない貫通孔が形成されていえる。
【0021】
また、上記ショートバー14は先端面10bに沿った起立片14bを備え、そこに形成された取付け孔14cに上記確認用端子12を取り付けている。確認用端子12は、上記確認用端子11と同様の尖った先端を備えたボルト状の部材である。そして、上記本体10内には、確認用端子12の雄ねじと結合するための袋ナット16を設け、これら確認用端子12と袋ナット16とを、上記本体10の先端面10b及び上記起立片14bを介して結合している。
なお、上記ショートバー13の4個の取付孔13aのうち先端側の一対の取付け孔13aには、もう一つのショートバー14の取付孔14aを重ねて上記ボルト15を貫通させ、他の取付孔13aには圧着端子17を重ねてボルト15を取り付けている。
この圧着端子17には回路接続線18を接続し、この回路接続線18は端子保持部材9の本体10から引き出され、配線カバー8に収容されて装置本体に接続されている。
図3では、配線カバー8を一部しか示していないが、この配線カバー8は、上記回路接続線18及び上記接地用配線7の全長をカバーしている。
【0022】
上記のようにして、本体10の対向面10a及び先端面10bに複数の確認用端子11及び12を取り付けたら、本体10の空洞にウレタン樹脂を充填して硬化させる。これによって、上記ショートバー13,14、ボルト15及び袋ナット16が固定され、略直方体の端子保持部材9が形成される。
このように形成された端子保持部材9では、各確認用端子11,12がねじ結合を利用して取り付けられているため、ねじを緩めて取り外すことが可能である。特に、先端面10bの確認用端子12は、袋ナット16に結合するようにしているので、製造工程で本体10内に充填したウレタン樹脂が取付け孔から外部へ流れ出ることがないし、確認用端子12のねじ部分にウレタン樹脂が付着することもない。そのため、ねじの取り外しが容易で、例えば
図5に示すように先端形状が異なる端子37と交換することも簡単にできる。
【0023】
また、上記対向面10a側の確認用端子11も、ねじを緩めて取り外すことが可能であるが、取り外した確認用端子11の周囲には、ウレタン樹脂が付着してしまうことがある。ただし、対向面10a側の確認用端子11において、確認用端子11側の雌ねじとボルト15の雄ねじとの関係を反対にすれば、取り外した確認用端子11側にウレタン樹脂が付着することはない。
【0024】
なお、
図2,3中の符号19は、この端子保持部材9を第2挟持部材2に取り付けるための取付ボルト20(
図1参照)を貫通させるための座ぐり孔である。
そして、上記座ぐり孔を貫通させた取付ボルト20を第2挟持部材2の図示しない取付け孔に貫通させ、先端にナット21を締め付けることで、上記端子保持部材9を固定している。このとき、第1挟持部材1に取り付けたアース端子5が、第2挟持部材2側の確認用端子11と接触しない位置関係を保つようにしている。したがって、
図1に示す状態で、アース端子5と確認用端子11及び12は、電気的絶縁状態が維持されている。
【0025】
次に、
図4に示す確認回路Cについて説明する。この確認回路Cは、図示しない装置本体において上記確認用端子11及び12が接続されている上記回路接続線18を接続した回路である。
上記確認用端子11,12に接続した回路接続線18は、主回線22を介して、直列に接続したバッテリ23のプラス側に接続されるとともに、このバッテリ23のマイナス側を接地回線24に接続している。
なお、主回線22には、第1〜第3抵抗25,26,27を接続している。
【0026】
さらに、上記第1,2抵抗25,26間と接地回線24間には第1接続回線28を設けるとともに、この第1接続回線28には、FETからなるスイッチング素子29及びLED等からなる確認用発光体30を設けている。そして、上記スイッチング素子29はそのゲートG側に所定の電圧が印加されているときには遮断状態を維持し、ゲートGが接地電圧になったときには導通状態となるものである。
したがって、ゲートGが接地電圧になってスイッチング素子29が導通すると、確認用発光体30はバッテリ23を電源として発光することになる。
【0027】
また、上記第2,3抵抗26,27間は第2接続回線31を介して接地回線24に接続するとともに、この第2接続回線31にはバッテリ確認用スイッチ32を設けている。そして、このバッテリ確認用スイッチ32と主回線22との間に、上記スイッチング素子29のゲートG側を接続している。
したがって、このバッテリ確認用スイッチ32がオンになれば、この第2接続回線31が接地回線24に接続されるとともに、上記スイッチング素子29のゲートGが接地回線24に接続されて接地電圧になる。したがって、スイッチング素子29が導通して確認用発光体30が発光する。
【0028】
さらに、上記アース端子5に接続した接地回線7は、上記接地回線24とともに接地されている。
なお、
図4中、符号33はメタルコネクタで、複数の回線を束ねるものである。
また、符号34は、ドラム缶などの有機溶剤の金属製の容器、35は上記容器34を載置した金属板である。
【0029】
上記のようにした接地装置において、
図1のクリップ部の第1,2挟持部材1,2によって容器34を挟持、すなわち確認用端子11とアース端子5とで挟持したとき、アース端子5と容器34との接触状況が悪ければ、容器34が接地されず、第2挟持部材2側の確認用端子11が電気的に浮いた状態になる。したがって、上記バッテリ確認用スイッチ32がオフになっているかぎり、スイッチング素子29のゲートGには、主回線22及び第2接続回線31を介して、バッテリ23の電圧が印加される。このようにゲートGに電圧が印加されれば、スイッチング素子29は遮断状態を維持し、確認用発光体30は発光しない。つまり、容器34が接地されていないことを確認できる。
【0030】
一方、アース端子5が容器34に接触して当該容器34が接地回線7を介して接地されれば、ゲートGが、第2接続回線31、回路接続線18、容器34、アース端子5及び接地回線7を介して接地されるので、ゲートGは接地電圧になる。ゲートGが接地電圧になれば、スイッチング素子29は導通して確認用発光体30を発光させる。この確認用発光体30の発光によって、容器34が接地されていることを確認できる。
【0031】
また、容器34を載置した金属版35が接地されているかどうかを確認するためには、クリップを開かずに、第2挟持部材2に設けた端子保持部材9の本体10の先端面10bに突出した確認用端子12を金属板35に接触させる。このとき、第1挟持部材1側のアース端子5は金属板35に接触しない。
もし、上記金属板35が、鎖線で示した接地回線36によって接地されていた場合には、上記ゲートGがこの接地回線36及び回路接続線18を介して接地されるので、スイッチング素子29が導通して確認用発光体30が発光する。
しかし、上記接地回線36が破断するなどして、金属板35が接地されていなかった場合には、上記確認用端子12が浮いた状態となり、上記ゲートGの所定の電圧が維持されるので、スイッチング素子29が遮断状態を維持して金属板35が接地されていないことを確認できる。
【0032】
上記のように、この第1実施形態の接地確認装置を用いれば、上記金属板35や床面などの確認対象に、第2挟持部材2の先端に突出した確認用端子12を接触させるだけで、その確認対象が接地されているかどうかを視覚的に確認することができるとともに、第1,2挟持部材1,2で確認対象を挟持すれば、確認対象を積極的に接地させながら、その状態を確認することもできる。つまり、単なる接地確認の機能と、積極的に接地させる機能とを、1つの装置で実現することができる。
【0033】
また、上記したように確認用端子11,12を交換可能にしているため、例えば、金属板35や床面など、平坦面の設置状況を確認する際には、
図5に示すように先端に平坦面38aを備えた端子37を用いることもできる。この端子37は、頭部37bと棒状の雄ねじ部37aとからなるが、頭部37bの端面を平坦面38aとするとともに、外周には、スパナなどを引っ掛けるための工具掛け平面38bを形成している。このような平坦面38aは、平坦な確認対象と端子37との接触面が大きくなり、両者の接触をより確実にすることができる。
一方、塗料などで被覆された確認対象に対しては、上記確認用端子12のように先端がとがった部材を用いれば、被覆を破って確認対象に端子を確実に接触させることができる。
特に、確認用端子12を確認対象に接触させる際は、第1,2挟持部材1,2による挟持力が作用しないため、確実に接触させるための先端形状を選ぶことの重要性が高い。
【0034】
図6〜8に示す第2実施形態は、接地対象に端子を圧接させるための端子圧接部の構成が第1実施形態と異なる接地確認装置である。第2実施形態では、引掛け部材39と回動する押さえ部材41とで端子圧接部を構成しているが、引っ掛け部材39に設けられた確認用端子11’が、図示しない装置本体において確認回路Cに接続されている。この確認回路Cは、
図4に示す第1実施形態の確認回路Cと同じである。そこで、この第2実施形態の説明にも、
図4を参照することにする。また、上記確認用端子11’は、上記第1実施形態の確認用端子11に相当する第2の端子である。
【0035】
この第2実施形態は、
図6に示すようにU字状の引掛け部材39と、この引掛け部材39に回動自在に設けたハンドル部材40と、このハンドル部材40の回動にともなってその先端を回動させる押さえ部材41とを備えている。
上記引掛け部材39は、一定の間隔を保った一対の対向片42,43からなるが、これら両対向片42,43は同一形状にしている。すなわち、U字状に湾曲させた中央部42a,43aから、前側腕部42b,43b及び後側腕部42c,43cを連続させるとともに、
図7から明らかなように、前側腕部42b,43b間に保持板部44を設けている。
【0036】
この保持板部44には、ボックス状にした端子保持部材45を固定している。この端子保持部材45は、
図2,3に示す第1実施形態の端子保持部材9と同様に、樹脂で形成され、この端子保持部材45であって、上記押さえ部材41と対向する側である対向面45aには、
図8に示すように、2つの確認用端子11’と2つのアース端子5’のそれぞれを2列に配置している。そして、端子保持部材45内において、確認用端子11’同士を電気的に接続するとともに、アース端子5’同士も電気的に接続している。ただし、確認用端子11’とアース端子5’との間は電気的絶縁状態を保つようにしている。
【0037】
また、上記保持部材45であって、上記対向面45aと反対側の面には、第3の端子である確認用端子12’を設け、端子保持部材45の内部で、上記確認用端子11’と電気的に接続させている。なお、上記保持板部44には、
図7に示すように、上記確認用端子12’の先端を外部へ突出させるための開口44aを設けている。
そして、上記確認用端子11’及び12’は、回路接続線18を介して上記確認回路Cに接続され、アース端子5’は接地回線7を介して接地されている(
図4参照)。
なお、この第2実施形態の確認用端子11’,12’、アース端子5’は、それぞれ第1実施形態の確認用端子11,12及びアース端子5と同じ機能を持つものである。
したがって、
図4における各確認端子11,12及びアース端子5を、それぞれ確認用端子11’,
12’及び、アース端子5’に置き換えることによって第2実施形態のものとして説明する。
【0038】
図7における符号46は、上記回路接続線18と接地回線7とを、1本にまとめたケーブルを示している。
また、上記アース端子5’及び確認用端子11’は、
図7に示すように、その先端が前側腕部42b,43bよりも、後側腕部42c,43c側にわずかに突出する長さを維持している。したがって、上記前側腕部42b,43bの内側すなわち後側腕部42c,43cとの対向面側を、例えば接地対象物である金属製の容器34の面に圧接させれば、接続端子5’,11’がその面に圧接することになる。
【0039】
また、上記のようにした対向片42,43の基端部42d,43dは、その対向片42,43の対向間隔を狭くして、
図6に示すように支持片47を挟持し、これら基端部42d,43d及び支持片47を2本のボルト48で固定している。
なお、
図6,7中符号49,50は、上記基端部42d,43dの外側に設けたカバーで、このカバー49,50を含めて、基端部42d,43d及び支持片47を上記ボルト48で固定している。また、符号42e,43eは、上記基端部42d,43dの先端に設けた支点部である。
【0040】
上記支持片47には、上記押さえ部材41を支持する一対の回動片51,52を設けている。すなわち、一対の回動片51,52の基端部分で上記支持片47を挟んで取付けるとともに、その取付け部分を第1回動支点53としている。したがって、上記回動片51,52は、第1回動支点53を中心に回動する。
【0041】
さらに、上記一対の回動片51,52は、その先端側を、一定の間隔を保って平行にするとともに、これら平行にした部分を挟んで一対の取付片54,55を設け、これら取付片54,55に上記押さえ部材41を貫通させている。この押さえ部材41はねじ棒からなり、上記取付片54,55に重ねたナット56,57を貫通している。したがって、上記ナット56,57を締め付けることによって、押さえ部材41の先端の位置を固定化できる。
【0042】
また、上記一対のナット56,57を緩めれば、回動片51,52に対する取付片54,55の挟持力が弱くなるので、取付片54とともに押さえ部材41の位置、すなわち回動片51,52の長手方向における位置を調整することができる。このように押さえ部材41を、上記長手方向において位置調整できるので、押さえ部材41の先端と端子保持部材45との相対位置も調整することができる。
【0043】
さらに、上記支持片47には、それを挟む一対のリンク部材58,59の一端を回動自在に取付けるとともに、このリンク部材58,59の他端はハンドル部材40に回動自在に取付けている。そして、
図7に示すように、リンク部材58,59の一端側の回動支点を第2回動支点60とし、他端側の回動支点を第3回動支点61としている。
そして、上記ハンドル部材40の先端、すなわち上記第2回動支点60よりもさらに先端を、上記回動片51,52に回動自在に連結し、その回動中心を第4回動支点62としている。
【0044】
上記のようにした第1〜第4回動支点53,60〜62のそれぞれは、リンク機構の支点を構成するものであり、第1回動支点53と第2回動支点60との間が固定リンクとなり、第2,3回動支点60,61間、第3,4回動支点61,62間及び第1回動支点53と第4回動支点62間のそれぞれが運動リンクとなって、いわゆる結束連鎖を構成するものである。
したがって、例えば、ハンドル部材40が、
図7の実線で示した締付位置にあるときには、押さえ部材41の先端が端子保持部材45に対向する位置を保ち、ハンドル部材40が鎖線で示した開放位置にあるときには、押さえ部材41の先端が端子保持部材45から退避した位置を保つ。
【0045】
上記ハンドルを解放位置に保った状態で、上記引っ掛け部材39を容器34の開口に引っ掛けてから、上記ハンドル40を締め付け位置に移動させれば、押さえ部材41が容器34の面に対してほぼ直角になって容器34の面を押さえるので、その反力で、端子5’,11’が同時に容器34の裏側面に押し付けられる。上記第1〜4回動支点53,60〜62を回動支点とするリンク機構が結束連鎖を構成するので、ハンドル部材40の回動力が倍化されることになり、それだけ押さえ部材41が容器34に強く押し付けられる。押さえ部材41の押し付け力が強くなればなるほど、容器34に対する上記端子5’,11’の圧接力も強くなる。
【0046】
このようにハンドル部材40の回動にともなって押さえ部材41が回動し、その押さえ部材41の先端で容器34の面を押し付けるようにしたので、てこの原理によって端子5’,11’が容器34の面に強く押し付けられることになる。
なお、この第2実施形態では、上記保持板部44に固定した端子保持部材45と、上記押さえ部材41とで、この発明の一対の挟持部材を構成し、上記端子保持部材45側がこの発明の第1の端子を設ける一方の挟持部材である。
そして、上記端子5’,11’は、上記押さえ部材41と端子保持部材45との挟持力によって容器34の面に強く押し付けられ、例えば、容器34の表面に塗料などで被覆されていても、その塗料を貫いて容器34に確実に接触する。
【0047】
その結果、上記アース端子5’を介して容器34を確実に接地させることができ、その接地状況は確認用端子11’に接続された確認回路Cの確認用発光体30の発光によって確認することができる(
図4参照)。
一方、この第2実施形態においても、端子保持部材45から引掛け部材39の外方へ突出して設けられた確認用端子12’を接触させることで、例えば
図4に示す金属板35の接地状況を確認することができる。金属板35が接地されていた場合には、上記確認用端子12’及び回路接続線18を介して、ゲートGが接地電位となるため、スイッチング素子29が導通してバッテリ23によって確認用発光体30が発光する。
このように、第2実施形態においても、金属板35や床面などに対する接地確認の機能と、対象を積極的に接地させる機能とを、1つの装置で実現することができる。
【0048】
上記第2実施形態は、第1実施形態と比べて一対の挟持部材の構成が複雑になるが、挟持圧、すなわち端子の圧接力を強くすることができるというメリットがある。したがって、確認対象が塗料などで被覆されている場合に特に有用である。
また、この第2実施形態においても、各端子5’,11’,12’を、ねじ結合などによって着脱可能にすれば、確認用端子やアース端子を様々な形状の端子に交換することができる。