(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6593584
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】バーナ装置およびこれを備えた給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 9/02 20060101AFI20191010BHJP
F24H 1/14 20060101ALI20191010BHJP
F24H 9/00 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
F24H9/02 301Z
F24H1/14 B
F24H9/00 A
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-168078(P2015-168078)
(22)【出願日】2015年8月27日
(65)【公開番号】特開2017-44422(P2017-44422A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】馬越 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】秋山 隆
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 太平
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 健一
【審査官】
藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭59−158943(JP,U)
【文献】
特開2013−231559(JP,A)
【文献】
特開2015−049017(JP,A)
【文献】
特開2015−105814(JP,A)
【文献】
特開2011−027352(JP,A)
【文献】
特開2015−124920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/06−1/16
F24H 8/00
F24H 9/00
F24H 9/02−9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別に燃焼駆動可能な第1および第2のバーナ部を横幅方向に並べて内部に収容しており、かつ前記第1および第2のバーナ部を挟んで前後幅方向に間隔を隔てて位置する一対の側壁部を有するバーナケースと、
前記一対の側壁部のそれぞれの内側に配され、かつ前記一対の側壁部の内側面を覆う一対の遮熱板と、
前記バーナケース内を前記第1および第2のバーナ部がそれぞれ設けられている第1および第2の空間部に仕切るように前記バーナケース内に配される仕切部材と、
を備えている、バーナ装置であって、
前記一対の遮熱板のそれぞれは、前記バーナケースの外側方寄りに窪んだ凹状部が形成された凹状部形成領域を有し、かつ前記第1および第2の空間部にそれぞれ対面する第1および第2の遮熱領域が、前記凹状部形成領域を介して一体的に繋がった構成とされており、
前記仕切部材は、前記前後幅方向における両端部が前記一対の遮熱板の前記凹状部に嵌入されていることにより位置規制が図られており、
前記一対の遮熱板は、前記第1および第2の遮熱領域と前記バーナケースの一対の側壁部との間に隙間が形成され、かつ前記凹状部形成領域が前記一対の側壁部に当接するように設けられていることを特徴とする、バーナ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバーナ装置であって、
前記凹状部は、前記一対の遮熱板のそれぞれに平面断面視略コ字状の曲げ部を形成することにより設けられている、バーナ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のバーナ装置であって、
前記一対の遮熱板の少なくとも一方と前記仕切部材とには、これらの相対的な位置決め固定が図られるように互いに係合可能な係合部が設けられている、バーナ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のバーナ装置であって、
前記係合部は、
前記一対の遮熱板の少なくとも一方に切り込みを形成するとともに、この切り込みに隣接する箇所をその周辺部分よりも前記バーナケースの内側に配置させることにより形成され、かつ背後に空隙部が形成されている係合用受部と、
前記仕切部材の端部に突設され、かつ前記係合用受部の背後の空隙部に進入させることが可能な突片部と、
を備えている、バーナ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のバーナ装置であって、
前記係合用受部のうち、前記空隙部の前記突片部の進入口となる箇所を規定する縁部は、先端側ほど前記バーナケースの内側寄りに位置するように湾曲または屈曲した形状とされている、バーナ装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載のバーナ装置であって、
前記突片部は、その先端寄り部分が前記空隙部に進入する部分とされ、かつ基端寄り部分は、前記凹状部に嵌入する部分として構成されている、バーナ装置。
【請求項7】
請求項4ないし6のいずれかに記載のバーナ装置であって、
前記係合用受部として、前記凹状部形成領域を挟むようにして前記第1および第2の遮熱領域のそれぞれに設けられた一対の係合用受部を備えており、
前記突片部として、前記一対の係合用受部に対応する一対の突片部を備えている、バーナ装置。
【請求項8】
個別に燃焼駆動可能な第1および第2のバーナ部を有するバーナ装置と、
前記第1および第2のバーナ部によって発生された燃焼ガスから熱回収を行なって湯水加熱を行なうための第1および第2の熱交換部を有する熱交換器と、
を備えている、給湯装置であって、
前記バーナ装置として、請求項1ないし7のいずれかに記載のバーナ装置が用いられていることを特徴とする、給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば1缶2水路方式の熱交換器を備えたタイプの給湯装置の構成要素などとして用いるのに好適なバーナ装置、およびこれを備えた給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バーナ装置の具体例として、特許文献1〜3に記載のものがある。
これらの文献に記載されたバーナ装置は、バーナケース内に、個別に燃焼駆動可能な第1および第2のバーナ部が、バーナケースの横幅方向に並べられて収容されている。前記バーナケース内には、仕切部材が配され、前記バーナケース内は、前記第1および第2のバーナ部をそれぞれ有する第1および第2の空間部に仕切られている。このことにより、第1および第2の空間部の一方から他方に燃焼ガスが流入することが防止される。一方、バーナケース内には、バーナケースの側壁部の内側に位置して、この側壁部の内側面を覆う遮熱板も設けられている。この遮熱板は、第1および第2のバーナ部によって発生される火炎によってバーナケースの側壁部が高温に加熱されることを抑制し、熱損傷を防止する役割を果たす。
【0003】
しかしながら、従来においては、次に述べるように、改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、バーナケース内に仕切部材を取り付ける場合、仕切部材の位置決めを正確に図るとともに、バーナケース内の第1および第2の空間部の一方から他方への燃焼ガス漏れを生じないように、仕切部材と遮熱板との間に隙間をできる限り発生させないようにする必要がある。これに対し、バーナケースの側壁部の内側には、遮熱板が設けられており、この遮熱板が仕切部材の取り付けを困難にしている。
そこで、従来においては、バーナケースの内側のうち、仕切部材が取り付けられる箇所には、遮熱板を設けないようにした上で、仕切部材の両端部をバーナケースの側壁部にパッキンを介して当接させ、かつ仕切部材の端部を前記側壁部に対してバーナケースの外側からビス止めするといった手段が採用されている。
ところが、このような手段を採用したのでは、遮熱板が仕切部材の取り付け箇所を挟んで2つの部材に分断されたものとなる。したがって、部品点数が多くなり、それらの組み付け作業も煩雑となるため、製造コストが嵩むといった不具合を生じてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−27352号公報
【特許文献2】特開2015−105814号公報
【特許文献3】特開2013−231559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、部品点数を少なくして全体構造の簡素化を図りながらも、バーナケース内への仕切部材の取り付けを適切に行なうことが可能なバーナ装置、およびこれを備えた給湯装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明の第1の側面により提供されるバーナ装置は、個別に燃焼駆動可能な第1および第2のバーナ部を横幅方向に並べて内部に収容しており、かつ前記第1および第2のバーナ部を挟んで前後幅方向に間隔を隔てて位置する一対の側壁部を有するバーナケースと、前記一対の側壁部のそれぞれの内側に配され、かつ前記一対の側壁部の内側面を覆う一対の遮熱板と、前記バーナケース内を前記第1および第2のバーナ部がそれぞれ設けられている第1および第2の空間部に仕切るように前記バーナケース内に配される仕切部材と、を備えている、バーナ装置であって、前記一対の遮熱板のそれぞれは、前記バーナケースの外側方寄りに窪んだ凹状部を形成した凹状部形成領域を有し、かつ前記第1および第2の空間部にそれぞれ対面する第1および第2の遮熱領域が、前記凹状部形成領域を介して一体的に繋がった構成とされており、前記仕切部材は、前記前後幅方向における両端部が前記一対の遮熱板の前記凹状部に嵌入されていることにより位置規制が図られて
おり、前記一対の遮熱板は、前記第1および第2の遮熱領域と前記バーナケースの一対の側壁部との間に隙間が形成され、かつ前記凹状部形成領域が前記一対の側壁部に当接するように設けられていることを特徴としている。
ここで、「横幅方向」および「前後幅方向」は、バーナケース自体の横幅方向および前後幅方向であり、バーナケースが組み込まれる給湯装置の横幅方向や前後幅方向とは必ずしも一致するものではない。
【0009】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
第1に、一対の遮熱板のそれぞれは、バーナケース内の第1および第2の空間部にそれぞれ対面する第1および第2の遮熱領域が、凹状部形成領域を介して一体的に繋がった構成であり、従来技術とは異なり、仕切部材が取り付けられる箇所において2つの部材には分断されていない。このため、遮熱板の部品点数を従来技術よりも少なくし、バーナケースへの組み付け作業の簡素化などを図り、バーナ装置の製造コストを低減することが可能となる。
第2に、各遮熱板の凹状部に仕切部材の端部を嵌入させることにより、仕切部材の位置規制を図っているために、仕切部材の位置規制を行なうための構成は合理的かつ簡素なものとすることができ、組み立て性もよい。また、位置決め精度も高いものとすることができる他、仕切部材の端部と遮熱板との間に隙間を生じ難くすることもでき、バーナケース内の第1および第2の空間部の一方から他方側へ燃焼ガスが漏れるといったことを防止する上でも好ましいものとなる。
第3に、遮熱板の第1および第2の遮熱領域とバーナケースの側壁部との間には隙間が形成されているため、この隙間内に存在する空気が断熱層となり、遮熱板から側壁部への熱伝導が好適に抑制される。一方、遮熱板の凹状部形成領域は、側壁部に当接するように設けられているため、凹状部の深さ(前後幅方向の深さ)を大きくとり、凹状部への仕切部材の嵌入寸法も大きくとることが可能となる。また、凹状部形成領域を側壁部に接触させれば、側壁部に対する遮熱板の取り付け状態の安定化を図ることもできる。
【0010】
本発明において、好ましくは、前記凹状部は、前記一対の遮熱板のそれぞれに平面断面視略コ字状の曲げ部を形成することにより設けられている。
【0011】
このような構成によれば、前記凹状部を、たとえばプレス加工によって容易に形成することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、前記一対の遮熱板の少なくとも一方と前記仕切部材とには、これらの相対的な位置決め固定が図られるように互いに係合可能な係合部が設けられ
ている。
【0015】
このような構成によれば、仕切部材の位置決め固定手段として、ビス止めなどの手段を採用する必要を無くし、または少なくし、組み立て作業の一層の容易化を図ることができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、前記係合部は、前記一対の遮熱板の少なくとも一方に切り込みを形成するとともに、この切り込みに隣接する箇所をその周辺部分よりも前記バーナケースの内側に配置させることにより形成され、かつ背後に空隙部が形成されている係合用受部と、前記仕切部材の端部に突設され、かつ前記係合用受部の背後の空隙部に進入させることが可能な突片部と、を備えている。
【0017】
このような構成によれば、簡易な構成の係合用受部と突片部とを係合させることによって、仕切部材の位置決め固定を適切に図ることができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、前記係合用受部のうち、前記空隙部の前記突片部の進入口となる箇所を規定する縁部は、先端側ほど前記バーナケースの内側寄りに位置するように湾曲または屈曲した形状とされている。
【0019】
このような構成によれば、空隙部のうち、突片部の進入口となる箇所の開口幅を大きくし、空隙部に突片部を進入させる作業の容易化ならびに円滑化を図ることができる。
【0020】
本発明において、好ましくは、前記突片部は、その先端寄り部分が前記空隙部に進入する部分とされ、かつ基端寄り部分は、前記凹状部に嵌入する部分として構成されている。
【0021】
このような構成によれば、係合用受部との係合部として利用される突片部が、凹状部に嵌入することによって仕切部材の位置決めを図るための部分としても兼用されることとなり、その構成は合理的であって、全体の構造の簡素化を図る上で好ましい。
【0022】
本発明において、好ましくは、前記係合用受部として、前記凹状部形成領域を挟むようにして前記第1および第2の遮熱領域のそれぞれに設けられた一対の係合用受部を備えており、前記突片部として、前記一対の係合用受部に対応する一対の突片部を備えている。
【0023】
このような構成によれば、仕切部材の位置決め固定状態をより安定させることができる。
【0024】
本発明の第2の側面により提供される給湯装置は、個別に燃焼駆動可能な第1および第2のバーナ部を有するバーナ装置と、前記第1および第2のバーナ部によって発生された燃焼ガスから熱回収を行なって湯水加熱を行なうための第1および第2の熱交換部を有する熱交換器と、を備えている、給湯装置であって、前記バーナ装置として、本発明の第1の側面によって提供されるバーナ装置が用いられていることを特徴としている。
【0025】
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供されるバーナ装置について述べたのと同様な効果が得られる。
【0026】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係る給湯装置の一例を示す正面断面図である。
【
図3】
図1に示す給湯装置で用いられているバーナ装置の概略斜視図である。
【
図5】(a)は、
図1のVa部の拡大断面図(バーナ本体は省略)であり、(b)は、(a)の分解断面図である。
【
図6】(a)は、
図5(a)のVIa−VIa断面図であり、(b)は、(a)の分解断面図である。
【
図7】(a)は、
図5(a)の平面断面図であり、(b)は、(a)の分解平面断面図である。
【
図8】
図3に示すバーナ装置で用いられている仕切部材の側面図であり、
図4の矢視VIIIの概略側面図に相当する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0029】
図1および
図2に示す給湯装置WHは、一般給湯と風呂給湯、あるいは一般給湯と暖房給湯などの2系統の給湯動作が可能なものであり、その基本的な構成自体は、特許文献3に記載されたものと同様である。したがって、給湯装置WHの全体構成については比較的簡単に説明する。
【0030】
給湯装置WHは、個別に燃焼駆動可能な第1および第2のバーナ部5A,5Bが、バーナケース2内に配されたバーナ装置B、バーナケース2内に燃焼用空気を供給するファン30、ならびに第1および第2のバーナ部5A,5Bによって発生された燃焼ガスから顕熱および潜熱を順次回収して湯水加熱を行なうための1次および2次の熱交換器HE1,HE2を備えている。
【0031】
1次熱交換器HE1は、バーナケース2の上側に載設された缶体1内に、複数のフィン19a,19bに貫通した平面視蛇行状の伝熱管T1a,T1bが収容され、かつそれらの相互間が仕切部材18によって仕切られた構成である。2次熱交換器HE2は、1次熱交換器HE1の上側に載設されたケース7内に螺旋状の複数の伝熱管T2a,T2bが収容され、かつそれらの相互間が仕切部材74によって仕切られた構成である。複数の伝熱管T2a,T2bには、入水用のヘッダ75a,75b、および出湯用のヘッダ76a,76bが接続されている。
図2によく表われているように、第1のバーナ部5Aによって発生された燃焼ガスは、伝熱管T1aに作用して顕熱回収がなされた後に、ケース7の底部の給気口71からケース7内に流入し、複数の伝熱管T2aに作用して潜熱回収がなされる。その後は、ケース7の前部の排気口72に進行する。
図1に示すように、伝熱管T2aに供給されて通過した湯水は、伝熱管T1aに送られ、これら2つの伝熱管T2a,T1aを経由して加熱生成された湯水は、一般給湯に利用される。一方、第2のバーナ部5Bによって発生された燃焼ガスは、伝熱管T1bに作用した後に、ケース7の前記した給気口71とは別の給気口(不図示)からケース7内に流入して複数の伝熱管T2bに作用し、やはり顕熱および潜熱回収がなされる。伝熱管T2bに供給されて通過した湯水は、伝熱管T1bに送られ、これら2つの伝熱管T2b,T1bを経由して加熱生成された湯水は、風呂給湯または暖房給湯に利用される。
【0032】
図3に示すように、バーナ装置Bは、ガスバーナ装置であり、既述した第1および第2のバーナ部5A,5B、ならびにバーナケース2に加え、一対の遮熱板4(4A,4B)、および仕切部材6をさらに備えている。バーナケース2は、上面が開口した略直方体状である。
【0033】
第1および第2のバーナ部5A,5Bは、複数のバーナ本体50(燃焼管)が横並び状
に設けられた部分である。各バーナ本体50としては、たとえば特開2013−242080号公報などに記載された従来既知のものを用いることが可能であり、その詳細は省略するが、全体が比較的偏平状であって、
図2に示すように、長手方向一端の下部には燃料ガス導入口51を有し、かつ上部には炎孔部52を有している。バーナケース2の側壁部20(20B)の下部には、燃料ガス導入口51に対向する開口部22が設けられており、バーナケース2の側部に配される燃料ガス供給用のヘッダ31のノズル32から開口部22に燃料ガスを噴出可能である。一方、開口部22には、ファン30から吐出された燃焼用空気(1次空気)も供給され、前記燃料ガスは炎孔部52において燃焼する。バーナ本体50の下方には、複数の通気孔80を有する整流板8が設けられている。ファン30からバーナケース2内に供給された空気のうち、一部の空気(2次空気)は、通気孔80を通過して複数のバーナ本体50の設置領域に供給される。
【0034】
図3および
図4において、一対の遮熱板4(4A,4B)は、バーナケース2の一対の側壁部20が第1および第2のバーナ部5A,5Bの燃焼駆動に起因して高温に加熱されることを防止するための部材であり、耐熱性に優れるたとえばステンレス鋼板にプレス加工を施すことにより形成されている。各遮熱板4は、上下高さ方向に起立した略平板状の本体部40、この本体部40の上端縁に屈曲して繋がった上片部41、本体部40の下端縁から内向きに突出した複数のバーナ保持片部42、および本体部40に設けられた凹状部形成領域Scを有している。一対の遮熱板4のうち、一方の遮熱板4(4A)には、一対の係合用受部44(44A,44B)がさらに設けられている。
【0035】
遮熱板4は、バーナケース2の側壁部20の上部フランジ23に、上片部41を係止させてネジ止めすることにより、バーナケース2への取り付けが図られている。この取り付けは、
図2および
図7に示すように、遮熱板4の本体部40と側壁部20との間に断熱用の隙間39が形成されるようになされる。ただし、本実施形態においては、凹状部形成領域Scは、側壁部20に当接した構成とされている(
図7を参照)。
図4において、複数のバーナ保持片部42は、これらによって形成されている複数の凹部のそれぞれにバーナ本体50の端部を進入させてバーナ本体50の位置決め保持を図るための部分である。
【0036】
凹状部形成領域Scは、遮熱板4(4A,4B)の本体部40の一部を平面断面視略コ字状の曲げ部とし、バーナケース2の外側方に向けて窪んだ凹状部43(43A,43B)を形成した領域である。凹状部43は、上下高さ方向に延びている。遮熱板4の本体部40は、バーナケース2の横幅方向において、凹状部形成領域Scを介して第1および第2の遮熱領域Sa,Sbに区分されており、かつこれらの領域Sa〜Scが一体的に繋がった構成とされている。バーナケース2内は、仕切部材6によって第1および第2のバーナ部5A,5Bをそれぞれ有する第1および第2の空間部25A,25Bに仕切られるが、第1および第2の遮熱領域Sa,Sbは、それら第1および第2の空間部25A,25Bに対面する領域である。
なお、
図1には、バーナケース2の他の一対の側壁部26を保護するための遮熱板90が示されているが、他の図面ではこれを省略している。遮熱板90は、本発明が技術対象とするものではなく、遮熱板90の有無、ならびにその具体的な構成は問わない。
【0037】
仕切部材6は、既述したように、バーナケース2内を第1および第2の空間部25A,25Bに仕切るための部材であり、たとえば遮熱板4と同様に、耐熱性に優れたステンレス鋼板にプレス加工を施すことにより形成されている。
図4において、仕切部材6の幅方向(バーナケース2の前後幅方向)の一端部には、一対の第1の突片部61(61A,61B)が突設され、かつ他端部には、一対の第2の突片部62(62A,62B)が突設されている。第1の突片部61および第2の突片部62は、ともに仕切部材6の一部に曲げ加工を施すことにより、仕切部材6に一体的に連設された部位である。
【0038】
一対の第1の突片部61(61A,61B)は、仕切部材6の一端部から右左に突出し、かつ上下高さ位置が相違する突片部として形成されている。
図7に示すように、第1の突片部61は、平面視において屈曲した形態を有しており、それらの基端寄り部分は、遮熱板4Aの凹状部43に嵌入される。また、第1の突片部61の先端寄り部分は、遮熱板4Aに設けられた一対の係合用受部44に係合する部分とされている。第1の突片部61は、本発明でいう係合部を構成する突片部の一例に相当する。これに対し、第2の突片部62は、本発明でいう係合部を構成する突片部の例には相当しない。
【0039】
より詳細に説明すると、一対の第1の突片部61(61A,61B)の双方の基端寄り部分は、凹状部43(43A)の奥壁面43cに当接するようにして凹状部43内に進入する部分とされている。ただし、一方の第1の突片部61Aには、凹状部43の右側壁面43aに当接する当接部61aが設けられ、かつ他方の第1の突片部61Bには、凹状部43の左側壁面43bに当接する当接部61bが設けられている。これら2つの当接部61a,61bをトータルすると、これらの部分は、バーナケース2の横幅方向における仕切部材6の位置規制が図られるように凹状部43に嵌入する嵌入部に相当する。
【0040】
図5に示すように、遮熱板4Aに設けられている一対の係合用受部44(44A,44B)は、凹状部43を挟んでその右左に位置し、かつ高さが相違するように設けられている。一方の係合用受部44Aは、遮熱板4Aに正面視略『状の切り込み45を形成するとともに、この切り込み45に隣接する箇所をその周辺部分よりもバーナケース2の内側(
図5の手前側)に押し出すことにより形成されている。この係合用受部44の背後には、
図6および
図7に示すように空隙部46が形成されている。他方の係合用受部44Bは、一方の係合用受部44Aと左右対称であり、図面において、一方の係合用受部44Aに対応する部位については、それと同一の符号を付している。
【0041】
一対の第1の突片部61のそれぞれの先端寄り部分は、一対の係合用受部44の背後の空隙部46に対してその上方側から進入され、一対の係合用受部44との係合が図られている。この係合は遊びのない状態で行なわれている。
図6に示すように、各係合用受部44の上側の縁部44aは、先端側(上端側)ほどバーナケース2の内側寄りに位置するように湾曲または屈曲している。このような構成によれば、空隙部46のうち、第1の突片部61の進入口となる部分の開口幅を大きくすることができるために、第1の突片部61を空隙部46に進入させる作業の容易化ならびに円滑化が図られる。
【0042】
図4および
図8に示すように、仕切部材6の他端部に設けられた一対の第2の突片部62(62A,62B)は、仕切部材6の他端部から左右に突出し、かつ上下高さ位置が相違した突片部として形成されている。これらの第2の突片部62は、先に述べた第1の突片部61の基端寄り領域と同様な機能をもつ部分である。すなわち、
図7に示すように、一対の第2の突片部62は、遮熱板4Bの凹状部43(43B)の奥壁面43cに当接するようにして凹状部43に進入する部分とされている。一方の第2の突片部62Aには、凹状部43の右側壁面43aに当接する当接部62aが設けられ、かつ他方の第2の突片部62Bには、凹状部43の左側壁面43bに当接する当接部62bが設けられている。これら2つの当接部62a,62bをトータルすると、これらの部分は、仕切部材6の横幅方向への位置規制を図るように凹状部43に嵌入する嵌入部となっている。第1および第2の突片部61,62が一対の凹状部43(43A,43B)のそれぞれの奥壁面43cに当接する構造は、バーナケース2の前後幅方向における仕切部材6の位置規制に役立つ。
【0043】
次に、前記したバーナ装置B、および給湯装置WHの作用について説明する。
【0044】
まず、仕切部材6の取り付け手段として、一対の遮熱板4には、凹状部43や係合用受
部44が形成されており、各遮熱板4は凹状部形成領域Scを介して第1および第2の遮熱領域Sa,Sbが一体的に繋がった構成とされている。このため、たとえば遮熱板4が仕切部材6の取り付け箇所において分断された構成とは異なり、遮熱板4の部品点数を少なくし、バーナケース2への組み付け作業の煩雑さを抑制することができる。
【0045】
遮熱板4や仕切部材6は、たとえばステンレス鋼板にプレス加工を施すことにより製作されるが、遮熱板4の凹状部43や係合用受部44は、プレス加工により形成可能である。また、仕切部材6の第1および第2の突片部61,62も、プレス加工により形成可能である。したがって、遮熱板4や仕切部材6の製造は容易であり、それらの製造コストを廉価に抑え、バーナ装置Bの製造コストを低減することも可能である。第1の突片部61は、係合用受部44に対する係合片としての役割を果たす他、凹状部43への嵌入部としての役割も果たすため、それらの役割を果たす突片部を別々に設ける場合と比較すると、その構成は合理的であり、仕切部材6の構成を簡素にし得る利点もある。
【0046】
仕切部材6は、その両端部に設けられている第1および第2の突片部61,62が、遮熱板4の凹状部43に嵌入する作用により、バーナケース2の横幅方向および前後幅方向の位置決めならびにその位置規制が好適に図られる。なお、仕切部材6の上下高さ方向の位置決めは、仕切部材6の下端縁が整流板8などに隙間なく当接するようになされる。このようなことから、仕切部材6の位置決め精度を高くし、適切な位置規制を図ることができる。とくに、本実施形態においては、一対の第1の突片部61は、上下高さ方向に間隔を隔てて位置し、かつ凹状部43の右側壁面43aおよび左側壁面43bに個々に当接するため、凹状部43に対して一対の第1の突片部61が横幅方向にがたつきを生じ難いように嵌入させることが可能である。一対の第2の突片部62についても同様である。
【0047】
仕切部材6は、バーナケース2内の第1および第2の空間部25A,25Bの相互間で燃焼ガスが行き来する不具合を生じないように取り付ける必要があるが、仕切部材6の前記したような取り付け構造によれば、仕切部材6の位置規制を適切に図ることができるために、前記した不具合を生じないようにすることが可能である。凹状部43に仕切部材6の端部が進入している部分およびその周辺の構造は、段差を有する構造となっているため、ラビリンス構造の作用と同様な作用により、燃焼ガスの通過量を少なくし得る効果も期待できる。
【0048】
仕切部材6は、係合用受部44と第1の突片部61との係合作用により、遮熱板4に対する取り付け固定の確実化が図られる。したがって、仕切部材6をビス止めするような必要をなくし、このことによってもバーナ装置Bの組み立て性を良くすることができる。とくに、本実施形態では、仕切部材6の第1の突片部61を凹状部43に嵌入する作業工程において、この第1の突片部61を係合用受部44に係合させる作業を同時に行なうことができるため、仕切部材6の組み立て性は一層良くなる。
【0049】
遮熱板4の凹状部形成領域Scは、バーナケース2の側壁部20に当接しているため、凹状部43の深さを大きくとることが可能である。このことにより、側壁部20への遮熱板4の取り付けを安定させることができる。なお、遮熱板4の本体部40のうち、凹状部形成領域Sc以外の部分は、側壁部20との間に隙間39を形成しているため、側壁部20が高温に加熱されることを防止する断熱機能を適切に発揮する。
【0050】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係るバーナ装置、および給湯装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0051】
上述の実施形態においては、仕切部材の端部に上下高さ方向の配置が相違する一対の突
片部を形成し、これらの突片部を遮熱板の凹状部に嵌入させているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、仕切部材の端部に、凹状部と同等幅の1つの突片部を形成し、この突片部を凹状部に嵌入させるようにしてもよい。また、仕切部材に前記したような突片部を設けることなく、仕切部材の本体部の端部をそのまま凹状部に嵌入させるといった手段を採用することも可能である。
遮熱板および仕切部材は、いずれも耐熱性に優れた材質とすることが望まれるが、やはりその具体的な材質は限定されない。仕切部材は、第1および第2のバーナ部の双方から熱を受けるため、かなり高温となる場合があるが、これに対処する策として、仕切部材をそれよりも耐熱性に優れた材質の部材、あるいはファンから供給される空気を利用した効率のよい冷却が図られる部材によって覆うといった手段を採用することもできる。
遮熱板に形成される凹状部の具体的な形状、サイズ、形成方法なども限定されない。
【符号の説明】
【0052】
WH 給湯装置
B バーナ装置
HE1 1次熱交換器(熱交換器)
HE2 2次熱交換器(熱交換器)
Sa,Sb 第1および第2の遮熱領域(遮熱板の)
Sc 凹状部形成領域(遮熱板の)
2 バーナケース
20 側壁部(バーナケースの)
25A,25B 第1および第2の空間部
39 隙間
4(4A,4B) 遮熱板
43 凹状部
44(44A,44B) 係合用受部(係合部)
44a 縁部(係合用受部の)
45 切り込み
46 空隙部
5A,5B 第1および第2のバーナ部
50 バーナ本体
6 仕切部材
61(61A,61B) 第1の突片部(係合部)
62(62A,62B) 第2の突片部