(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る昇降装置の遠隔監視システムについて説明する。遠隔監視システムは、昇降装置の動作状態を遠隔で監視するシステムである。尚、昇降装置にはエレベータ、エスカレータ等があるが、以下では、エレベータの遠隔監視システムを説明する。
【0020】
遠隔監視システムは、
図1に示すように、情報出力部21を有するエレベータ2と、情報出力部21と通信可能な通信部30を有する遠隔監視ユニット3と、通信部30に接続された監視端末4と、監視端末4に通信可能な複数の技術員携帯端末5(以下、単に携帯端末5と言う)とを備える。尚、
図1では二台の携帯端末5を示しているが、三台以上の携帯端末5が存在してもよい。
【0021】
遠隔監視ユニット3は、情報出力部21(制御マイコン210及び双方向通話器211等)にそれぞれ有線により接続されており、例えば、P2P(Peer to Peer)により接続されている。また、遠隔監視ユニット3の通信部30は、通信系統(第一の通信系統)R1を介して監視端末4に接続されている。通信系統R1は、例えば、遠隔監視ユニット3から電話回線を介して監視端末4に通信可能であり、且つ、監視端末4から電話回線を介して遠隔監視ユニット3に通信可能な通信系統である。
【0022】
また、遠隔監視ユニット3の通信部30は、通信系統R1と異なる通信系統(第二の通信系統)R2を介して携帯端末5に接続可能である。通信系統R2は、サーバー6を含む通信系統であり、例えば、遠隔監視ユニット3から順に電話回線とサーバー6と電話回線とを介して携帯端末5に通信可能であり、且つ、携帯端末5から逆に電話回線とサーバー6と電話回線とを介して遠隔監視ユニット3に通信可能な通信系統である。
【0023】
サーバー6は、通信系統R3を介して、監視端末4に接続されている。通信系統R3は、サーバー6から電話回線を介して監視端末4に通信可能であり、且つ、監視端末4から電話回線を介してサーバー6に通信可能な通信系統である。
【0024】
通信系統R1,R2,R3、その他通信系統は、それぞれ一般的な構成の通信系統(モデム、DSU(Digital Service Unit)、有線回線、及び、無線回線等の一部又は全てを含む通信系統)である。
【0025】
尚、
図1では、サーバー6から電話回線へは一系統により接続されているが、複数の系統により接続されていてもよい。
【0026】
エレベータ2は、昇降路内を移動するかご等を有する動作部20と、エレベータ2に関する情報を出力する情報出力部21とを有する。本実施形態の情報出力部21は、エレベータ2の状態に関する情報を出力する制御マイコン210、かご内の利用者と音声通話可能なインターホン等の双方向通話器211等を有する。
【0027】
制御マイコン210は、例えば、エレベータ2の状態に関する情報と、この状態が生じたエレベータ2の識別番号(エレベータ2の機番)とを出力する。特に、制御マイコン210がエレベータ2の異常な状態に関する情報を出力することを、発報と言う。エレベータ2の状態に関する情報は、例えば、エレベータ2の状態毎に振り分けられたイベントコードである。この情報としては、かごドアの開閉情報、かごの位置情報等がある。エレベータ2の状態としては、異常な状態と正常な状態とがある。エレベータ2の異常な状態とは、かごドアや乗り場ドアの故障、かごに設けられた荷重検出器の故障、かご照明の寿命等である。
【0028】
双方向通話器211は、通話時にかご内の利用者の音声を出力する。
【0029】
遠隔監視ユニット3は、制御マイコン210(情報出力部21)から発報及びエレベータ2の識別番号の出力を受けて、サーバー6にフラグ信号を送信すると共に、エレベータ2の識別番号を送信する。このとき、フラグ信号及びエレベータ2の識別番号は、通信系統R2の一部(遠隔監視ユニット3から電話回線を介してサーバー6まで通信可能な部分)を介してサーバー6に送信される。
【0030】
同時に(制御マイコン210(情報出力部21)からの発報及びエレベータ2の識別番号の出力を受けて)、遠隔監視ユニット3は、監視端末4にフラグ信号(サーバー6に送信した情報(フラグ信号)と同一の情報)を送信する。このとき、フラグ信号は、遠隔監視ユニット3から電話回線を介して監視端末4に送信される。
【0031】
このように、遠隔監視ユニット3は、制御マイコン210(情報出力部21)の出力に伴って、フラグ信号を出力可能である。
【0032】
サーバー6は、例えば、クラウドサーバーである。サーバー6は、CPU60と記憶部65とを有する。このサーバー6では、CPU60が所定のプログラムを実行することで、機能的に、取得部61、緊急性判断部62、及び送信部64が形成される。また、サーバー6では、CPU60が出向要請アプリケーション650(実行ファイル)を実行することで、機能的に出向要請部63が形成される。
【0033】
出向要請アプリケーション650及び担当者データベース651は、記憶部65に記憶されている。
【0034】
担当者データベース651は、複数の携帯端末5の出向優先順位を含む情報を有している。本実施形態の遠隔監視ユニット3と携帯端末5とが通信系統R2を介して(電話回線を介して)通信を行うため、本実施形態の担当者データベース651は、複数の携帯端末5の電話番号を有し、例えば、エレベータ2の識別番号、複数の携帯端末5の電話番号、各携帯端末5に対応する技術員が属する担当エリアの管理者の連絡先、及び出向優先順位を有している。
【0035】
取得部61は、情報出力部21から情報(エレベータ2の状態に関する情報)を取得する。具体的に、取得部61は、遠隔監視ユニット3からフラグ信号及びエレベータ識別番号を受けると、制御マイコン210から、エレベータ2の事象に対する対応の緊急性(エレベータ2の状態の緊急性)を判断するための情報(以下、緊急性判断情報と言う)を取得する。
【0036】
緊急性判断部62は、取得部61が取得した情報に基づき、エレベータ2の事象への対応の緊急性を判断する。緊急性判断情報は、例えば、イベントコードである。具体的に、緊急性判断部62は、イベントコード(緊急性判断情報)と記憶部65に記憶された設定データとを比較し、これが一致する場合に緊急性があると判断し、これが不一致の場合に緊急性が無いと判断する。
【0037】
尚、設定データは、記憶部65に記憶されており、例えば、緊急性のあるエレベータ2の状態に対応して制御マイコン210から出力されるイベントコードと一致するデータである。緊急性のあるエレベータ2の状態は、例えば、かごドアや乗り場ドアの開閉不可によるかご内への利用者の閉じ込め、モーター等からの発火、ブレーキ故障、地震等の発生である。例えば、本実施形態の遠隔監視システム1において、双方向通話器211からの通話は、緊急性が無いものと見なされる。
【0038】
出向要請部63は、担当者データベース651から出向させる技術員を決定する。具体的に、この出向要請部63は、緊急性判断部62が、エレベータ2の状態に緊急性があると判断した場合に、担当者データベース651から出向対象の技術員を決定する。
【0039】
送信部64は、携帯端末5に出向を指示する信号を送る。具体的に、送信部64は、緊急性判断部62により緊急性ありと判断され、且つ、出向要請部63により出向対象の技術員が決定されると、この技術員に対応する携帯端末5(携帯端末5A)に、通信系統R2の一部(サーバー6から電話回線を介して携帯端末5に通信可能な部分)を介して、出向要請を出力する。本実施形態の送信部64は、この出向要請の出力と同時に、出向を指示する信号を送った携帯端末5Aの情報(電話番号等)、又は、携帯端末5Aに対応する技術員の情報(氏名等)を監視端末4に出力する。
【0040】
尚、緊急性判断部62は、エレベータ2の状態に緊急性が無いと判断した場合、処理を終了する。
【0041】
送信部64は、監視端末4から後述の出向中止の信号(中止信号)を受けると、前記通信系統R2の一部(サーバー6から電話回線を介して携帯端末5に通信可能な部分)を介して携帯端末5Aに中止要請を出力する。即ち、送信部64は、監視端末4(指令部)からの出向中止の信号(中止信号)の受信に伴い、先ほど出向を指示する信号を送った携帯端末5Aに、通信系統R2の一部を介して、出向を中止する旨の信号を送信する。
【0042】
送信部64は、監視端末4に出向を指示する信号を送った携帯端末5Aの情報等を出力した後であって所定時間の経過後に、監視端末4から出向中止の信号を受けなかった場合、通信系統R2の一部を介して、携帯端末5Aに出向の継続要請を出力する。
【0043】
携帯端末5は、表示部、スピーカー、及びマイク(図示なし)と、要請を受信すると共に表示部に表示させる受信部50と、要請を受信する際に実行される要請受信アプリケーション510を記憶する記憶部51と、を有する。携帯端末5は、例えば、PDA(Personal Digital Assistant)である。
【0044】
本実施形態の受信部50は、サーバー6からの出向要請、中止要請、出向の継続要請を受けると、携帯端末5の表示部にこの要請を表示させる。
【0045】
監視端末4は、CPU40と、入力された情報を表示する表示部43と、指令部(ボタン)44とを有する。監視端末4では、CPU40が遠隔監視アプリケーション410を実行することにより、機能的に、遠隔監視部41が形成される。遠隔監視部41は、エレベータ2の遠隔監視を行う。遠隔監視アプリケーション410は、記憶部42に記憶されている。
【0046】
本実施形態の監視端末4は、例えば、複数の地域に設置された多数のエレベータの監視を行うと共に、対象となるエレベータと離れた建物である監視センター等に設置されている。本実施形態の監視センターには、監視員(オペレータ)が常駐しており、監視員は監視端末4を操作することができる。
【0047】
遠隔監視部41は、常時、遠隔監視ユニット3からのエレベータ2の状態に関する情報を受けている。また、遠隔監視部41は、この情報を受けると、入力された情報を表示部43に表示させる。監視員は、この表示を確認することで、エレベータ2の動作状態を監視することができる。
【0048】
また、本実施形態の監視端末4は、サーバー6から携帯端末5A(出向を指示する信号を送った携帯端末5A)の情報等の通知を受けると、遠隔監視ユニット3からエレベータ2の状態に関する情報を取得し、この情報を表示部43に表示させる。監視員は、このエレベータ2の状態に関する情報を確認して、技術員の出向を中止するか否かを判断する。監視員は、出向を中止すると判断した場合、指令部44を操作する。これにより、監視端末4は、通信系統R3を介してサーバー6に出向を中止させるための中止信号を出力する。出向を中止すべき場合としては、トラブル等に対して技術員の現地での対応が不要である場合、例えば、停電や工事などによる一時的な電源遮断,悪戯や荷物運搬などによる人為的な戸閉め妨害がある。
【0049】
以下、
図2のフローチャート図を用いて、遠隔監視システム1における処理の流れを説明する。
【0050】
エレベータ2に異常が発生すると、制御マイコン210は、遠隔監視ユニット3に対して、発報を行うと共にエレベータ2の識別番号を出力する(S01)。遠隔監視ユニット3に対する発報とは、上述のように、遠隔監視ユニット3に対して、エレベータ2の異常な状態に対応するイベントコードを出力することである。
【0051】
遠隔監視ユニット3は、発報を受けて、通信系統R1を介して発報を示すフラグ信号を監視端末4に出力すると共に、発報を示すフラグ信号及びエレベータ2の識別番号をサーバー6に出力する(S02)。
【0052】
取得部61は、フラグ信号を受けて、制御マイコン210から遠隔監視ユニット3を介して、緊急性判断情報(エレベータ2の異常な状態に対応するイベントコード)を取得する(S03)。緊急性判断部62は、S03において取得した緊急性判断情報と設定データとを比較する(S04)。
【0053】
緊急性判断情報と設定データとが一致しない場合(S04においてNo、緊急性が無い場合)、処理は終了となる。
【0054】
緊急性判断情報と設定データとが一致する場合(S04においてYes、緊急性がある場合)、緊急性判断部62は、出向の対象となる技術員(出向担当者)を決定する(S05)。具体的に、緊急性判断部62は、担当者データベース651から、この技術員が所持する携帯端末5Aに関する情報を選択する。この情報に基づいて、送信部64は、この携帯端末5Aに対して出向要請を出力すると共に、監視端末4に対して対象携帯端末5Aを通知する(S06)。
【0055】
遠隔監視部41は、この通知を受けると、表示部43に対して、対象携帯端末5Aに関する情報、及び、通常の遠隔監視の際に入力されるエレベータ2の状態に関する情報を表示させる。監視員は、この表示を確認し、携帯端末5Aに対応する技術員の出向を中止するかを判断する。監視員は、出向を中止するべきと判断した場合、指令部44を操作する。遠隔監視部41は、この操作を受けて、通信系統R3を介してサーバー6に出向の中止信号を出力する。
【0056】
送信部64は、出向の中止信号を受けると(S07においてYes)、携帯端末5Aに中止要請を出力する。携帯端末5Aの受信部50は、この要請を受けて中止要請を表示する。
【0057】
送信部64は、出向の中止信号を受けなかった場合(S07においてNo)、所定時間の経過後に、携帯端末5Aに出向の継続要請を出力する。携帯端末5Aの受信部50は、この要請を受けて出向の継続要請を表示する。
【0058】
以上のように、エレベータ2の情報出力部21からの情報を受けた遠隔監視ユニット3により、情報が通信系統R2を介して携帯端末5に送信される。即ち、携帯端末5が、エレベータ2から出力された情報を、監視端末4を見た監視員の確認作業、指示作業等を介さずに遠隔監視ユニット3から受信できるため、携帯端末5を所持する技術員がトラブル等の発生したエレベータ2に対して迅速な初動対応を行うことが可能となる。
【0059】
遠隔監視システム1において、出向要請部63が出向を指示する技術員を決定し、送信部64がこの技術員に対応する携帯端末5A(この技術員により所持される携帯端末5A)に出向要請を出力する。かかる構成によれば、出向要請部63が出向させる技術員を出向要請アプリケーション650の実行により決定することで、複数の技術員の中から適切な技術員を、トラブル等が発生したエレベータ2に、迅速に出向させることができる。しかも、出向要請アプリケーション650がサーバー6(記憶部65)に格納されることで、携帯端末5にこのアプリケーションが格納される場合に比べ、携帯端末5のメモリ等のデータ量が抑えられる。
【0060】
サーバー6において、緊急性判断部62が、エレベータ2の状態に緊急性があると判断した場合、出向要請部63は、出向を指示する技術員を決定し、この技術員に対応する携帯端末5A(この技術員が所持する携帯端末5A)に出向要請を出力する。そのため、エレベータ2の事象(トラブル等)における対応の緊急性に応じて、適切な技術員を前記トラブル等の発生したエレベータ2に迅速に出向させることができる。
【0061】
送信部64は、出向を指示した携帯端末5Aの情報等を監視端末4に送信している。そのため、監視端末4の設置された監視センター等の監視員が、トラブル等の発生したエレベータ2に出向するようサーバー6(送信部64)から指示された技術員についての情報を、把握することが可能となる。
【0062】
指令部44からの中止信号の受信に伴い、サーバー6(送信部64)は、出向を指示した携帯端末5Aに、出向を中止する旨の信号を出力する。そのため、監視員等による指令部44の操作によって、トラブル等の発生したエレベータ2に向かっている技術員に、指令部44から出向中止の指示(中止信号)を送信させることができる。これにより、エレベータ2においてトラブル等が発生したときに、技術員に迅速に出向指示を出してエレベータ2に対する初動対応の遅れを防ぎつつ、トラブル等が、技術員が現地で対応する必要がないものであった場合等に、出向指示を受けた技術員に対して出向を中止させることができる。
【0063】
尚、本発明の遠隔監視システム1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0064】
上記実施形態の遠隔監視システム1では、エレベータ2に対して、出向要請が出力される携帯端末5は一台であったが、複数台であってもよい。この場合、技術員の出向の中止信号(
図2におけるS07)は、出向要請が出力された複数台の携帯端末5の全部に対してなされればよい。また、この代わりに、出向要請が出力された複数台の携帯端末5の一部になされてもよい。このとき、監視員は、出向の中止の判断を、複数台の携帯端末5をそれぞれ所持する複数人の技術員に対して個別に行ってもよい。
【0065】
上記実施形態の遠隔監視システム1では、遠隔監視ユニット3は、フラグ信号及びエレベータ2の識別番号をサーバー6に出力していたが、さらに、エレベータ2の状態に関する情報(例えば、イベントコード)を出力してもよい。この場合、緊急性判断情報として、このエレベータ2の状態に関する情報を用いることができる。
【0066】
上記実施形態の遠隔監視システム1では、緊急性判断情報として、エレベータ2のイベントコードを用いていたが、さらに、情報出力部21から取得した画像(かご内を撮影した画像)や各種センサー出力情報等を用いてもよい。この場合、監視員が、エレベータ2の状態の緊急性を総合的に判断することができる。
【0067】
上記実施形態の遠隔監視システム1では、監視員が技術員の出向を中止するか否かを判断していたが、監視端末4がこれを自動的に判断してもよい。例えば、監視端末4において、記憶部42が出向の中止を判断するアプリケーションを記憶していてもよい。この場合、遠隔監視部41は、サーバー6から対象携帯端末5Aの通知を受けると、出向の中止を判断するアプリケーションを実行し、出向の中止を判断した際には、自動的にサーバー6に出向の中止信号を出力する。出向を中止するか否かの判断は、例えば、制御マイコン210から出力されるコードが、自動運転不可又はドア開閉不可の状態の継続を示すコードや、予め定められたコードに一致するか否かにより行われる。
【0068】
かかる構成によっても、エレベータ2においてトラブル等が発生したとき、技術員に迅速に出向指示を出してエレベータ2に対する初動対応の遅れを防ぎつつ、前記トラブル等が、技術員が現地で対応する必要がないものであった場合等に、出向指示を受けた技術員に対して出向を中止させることができる。
【0069】
上記実施形態の遠隔監視システム1では、受信部50が、出向要請、中止要請、出向の継続要請を携帯端末5に表示させていたが、これらの要請に加えて、出向を暫くの間待つ旨の要請である出向待機要請を携帯端末5に表示させてもよい。
【0070】
また、遠隔監視ユニット3は、サーバー6を含む通信系統R2を介して携帯端末5と通信を行う代わりに、サーバー6を含まない通信系統(例えば、通信系統R2の一部(遠隔監視ユニット3から電話回線を介して携帯端末5に通信可能な通信系統))を介して携帯端末5と通信を行ってもよい。即ち、遠隔監視ユニット3は、サーバー6へフラグ信号及びエレベータ2の識別番号を出力する(
図2におけるS02)代わりに、携帯端末5にフラグ信号及びエレベータ2の識別番号を出力してもよい。
【0071】
この場合、遠隔監視ユニット3は、発報を受けて、緊急性を判断せずに携帯端末5に出向要請を出力してもよい。具体的には、遠隔監視ユニット3は、上述したサーバー6を含まない通信系統(例えば、通信系統R2の一部(遠隔監視ユニット3から電話回線を介して携帯端末5に通信可能な通信系統))を介して、遠隔監視ユニット3と通信可能な携帯端末5A,5Bの全てに出向要請を出力する。同時に、遠隔監視ユニット3は、携帯端末5A,5Bの全てに出向要請を出力した旨を、監視端末4に通知する。この通知を受けて、上述のように、監視端末4が遠隔監視ユニット3からエレベータ2の状態に関する情報を取得し、表示部43はこの情報を表示する。監視員は、この情報に基づき出向の中止を判断する。この判断を踏まえて、例えば、携帯端末5Bの出向の中止信号がサーバー6に出力される。送信部64は、この中止信号を受けて、出向の継続要請を携帯端末5Aに出力し(
図2におけるS09)中止要請を携帯端末5Bに出力(
図2におけるS08)することで、携帯端末5Aを所持する技術員を現地(エレベータ2)に出向させ、それ以外の携帯端末5Bを所持する技術員の出向を中止することができる。
【0072】
尚、
図1に示すように、通信系統R2を介して携帯端末5と通信を行う場合においても、サーバー6等が緊急性を判断しなくてもよい。緊急性を判断しない場合、サーバー6等が緊急性を判断する際に用いるデータ等を有する必要が無いため、サーバー6等のメモリ等のデータ量が抑えられる。
【0073】
また、遠隔監視ユニット3及びサーバー6の両方が、出向要請アプリケーション及び担当者データベースを有する場合、遠隔監視ユニット3は、通信系統R2の一部(サーバー6から電話回線を介して携帯端末5に通信可能な部分)を介して、携帯端末5と通信を行うことができる。
【0074】
尚、遠隔監視システム1の通信系統について、遠隔監視ユニット3の通信部30に対して、通信系統R1を介して監視端末4が接続されると共に、通信系統R2を介して携帯端末5が通信可能であれば、各通信系統の具体的な構成は特に限定されない。
【0075】
上記実施形態の情報出力部21は、遠隔監視ユニット3の通信部30にP2Pにより接続されていたが、この代わりに、有線回線を用いたインターネット、又は、無線通信により接続されてもよい。
【0076】
上記実施形態での遠隔監視システム1では、通信系統R1,R2の一部(電話回線)が共通しているが、通信系統R1,R2は、いずれの部分も全く共通しない別の通信系統であってもよい。また、通信系統R1,R3の一部(電話回線)は共通しているが、いずれの部分も全く共通しない別の通信系統であってもよい。
【0077】
また、遠隔監視システム1は、電話回線に加えてインターネットを含んでもよい。例えば、
図1の通信系統R1,R2,R3に加えて、
図3に示すように、遠隔監視ユニット3が通信系統R4(第二の通信系統)を介して携帯端末5と接続可能であり、サーバー6が通信系統R5を介して監視端末4と接続されていてもよい。通信系統R4は、遠隔監視ユニット3から順に電話回線とサーバー6とインターネットとを介して携帯端末5に通信可能な通信系統であり、且つ、携帯端末5から逆にインターネットとサーバー6と電話回線とを介して遠隔監視ユニット3に通信可能な通信系統である。通信系統R5は、サーバー6からインターネットを介して監視端末4に通信可能であり、且つ、監視端末4からインターネットを介してサーバー6に通信可能な通信系統である。
【0078】
この場合、遠隔監視ユニット3は、通信系統R4(第二の通信系統)を介して、携帯端末5と通信を行うことができる。また、遠隔監視ユニット3と監視端末4との間で通信系統R1を介した通信が行われていても、同時に、サーバー6は、通信系統R4の一部(サーバー6からインターネットを介して携帯端末5に通信可能な部分)を介して、携帯端末5と通信を行うことができる。
【0079】
尚、本実施形態の遠隔監視システム1では、サーバー6と携帯端末5とがインターネットを介して通信を行うことができるため、担当者データベース651は、複数の携帯端末5のIPアドレスを有している。
【0080】
通信系統R1は、
図4、
図5に示すように、インターネットを含む通信系統であってもよい。具体的に、通信系統R1は、例えば、遠隔監視ユニット3からインターネットを介して監視端末4に通信可能であり、且つ、監視端末4からインターネットを介して遠隔監視ユニット3に通信可能な通信系統である。また、遠隔監視ユニット3は、通信系統R2を介して、携帯端末5に通信可能である。通信系統R2は、例えば、遠隔監視ユニット3から順にインターネットとサーバー6とインターネットとを介して携帯端末5に通信可能であり、且つ、携帯端末5から逆にインターネットとサーバー6とインターネットとを介して遠隔監視ユニット3に通信可能な通信系統である。
【0081】
この場合であっても、携帯端末5が、エレベータ2から出力された情報を、監視端末4を見た監視員の確認作業、指示作業等を介さずに、通信系統R2を介して遠隔監視ユニット3から受信できるため、携帯端末5を所持する技術員がトラブル等の発生したエレベータ2に対して迅速な初動対応を行うことが可能となる。
【0082】
上記実施形態の携帯端末5は、要請受信アプリケーション510を有していたが、サーバー6がこのアプリケーションを有していてもよい。例えば、
図5に示すように、サーバー6の記憶部65が要請受信アプリケーション652を記憶すると共に、携帯端末5の記憶部51が要請受信アプリケーション652を実行するブラウザ511を記憶している。携帯端末5のブラウザ511が要請受信アプリケーション652を実行することで、携帯端末5は出向要請、中止要請、出向の継続要請を表示できる。
【0083】
かかる構成によれば、要請受信アプリケーション652がサーバー6に格納されることで、携帯端末5にこのアプリケーションが格納される場合に比べ、携帯端末5のメモリ等のデータ量が抑えられる。
【0084】
上記実施形態のエレベータ2は、一台であったが、エレベータ2は複数台であってもよい。この場合、一つの遠隔監視ユニット3が複数台のエレベータ2を監視してもよいし、一つの遠隔監視ユニット3が一台のエレベータ2を監視するように複数の遠隔監視ユニット3が複数台のエレベータ2を監視してもよい。
【0085】
上記実施形態のサーバー6は、社外サーバーであってもよいし、自社サーバーであってもよい。また、上記実施形態のサーバー6は、一つであったが、複数であってもよい。
【0086】
上記実施形態の遠隔監視システム1では、遠隔監視ユニット3やサーバー6が担当者データベースを備えていたが、担当者データベースはサーバーや遠隔監視ユニットに備えられていなくてもよい。