(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、上記壁部の裏側領域内に隠蔽可能に設けられて、給水源から供給された洗浄水を上記洗浄水タンク装置及び上記温水洗浄機能部のそれぞれに給水可能な給水本管と、この給水本管と上記温水洗浄機能部から延びる温水洗浄用給水管とを接続する接続部に設けられた止水栓と、を有し、
この止水栓は、上記一対の脚部のいずれか一方に取り付けられて、この止水栓の前端が上記壁部の表側からアクセス可能に上記床面と上記便器本体の下端との間の高さ位置に配置されている請求項1記載の壁掛式便器用取付装置。
さらに、上記水洗大便器又は上記洗浄水タンク装置に設けられた電装部品と、上記壁部の裏側領域内に隠蔽可能に設けられて、上記電装部品に電力を供給する給電部が接続される給電接続部と、を有し、
この給電接続部は、上記一対の脚部のいずれか一方の脚部の外側近傍に配置されている請求項1又は2に記載の壁掛式便器用取付装置。
さらに、上記水洗大便器又は上記洗浄水タンク装置に設けられた電装部品と、上記壁部の裏側領域内に隠蔽可能に設けられて、上記電装部品に電力を供給する給電部が接続される給電接続部と、を有し、
この給電接続部は、上記止水栓と共に上記第1脚部の内側に配置されている請求項4記載の壁掛式便器用取付装置。
上記床面から上記脚部の荷重受け面の最低位置までの鉛直方向の距離は、55mm〜182mmに設定されている請求項1乃至8の何れか1項に記載の壁掛式便器用取付装置。
上記請求項1乃至9の何れか1項に記載の壁掛式便器用取付装置と、この壁掛式便器用取付装置に上記壁部を介して取り付けられた上記水洗大便器と、を備えたことを特徴とするトイレシステム。
【背景技術】
【0002】
従来から、温水洗浄機能部を備えた水洗大便器には、その背面側を壁部に取り付けるタイプである、いわゆる、「壁掛式の便器」がある。このような壁掛式の便器で温水洗浄機能部を備えたものについては、例えば、特許文献1、2に記載されているような壁掛式便器用取付装置を用いて便器の背面側が壁部に固定されている。
図8は、従来の壁掛式便器用取付装置を示す概略図である。
図8に示すように、上述した特許文献1、2に記載されている従来の壁掛式便器用取付装置200においては、壁W201の裏側領域R201内に隠蔽されて水洗大便器202に洗浄水を供給する洗浄水タンク装置204を備えている。
なお、
図8では、水洗大便器202の後端と壁掛式便器用取付装置200との間に設けられた壁W201については、部分的に省略している。
【0003】
つぎに、
図8に示すように、従来の取付装置200は、壁W201の裏側領域R201内に設けられて、洗浄水タンク装置202を固定すると共に水洗大便器202の便器本体206の後端部を壁W201に固定する支柱208を備えている。この支柱208は、洗浄水タンク装置202の左右両側に上下方向に延びるように設けられて洗浄水タンク装置202を支持している。また、各支柱208の下方部分は、裏側領域内の床面F201に固定される脚部210となっている。
また、
図8に示すように、従来の取付装置200は、左右一対の支柱208同士を連結するように設けられて左右方向に延びる金属製の便器固定板212を備えている。この便器固定板212には、便器本体206の後端部が壁W201を介して固定されるようになっている。
さらに、
図8に示すように、便器固定板212の下方には、左右一対の支柱208同士を連結するように左右方向に延びる横フレーム214が設けられている。この横フレーム214の上端には、壁W201の裏側領域R201内の床面F201から上方に延びた排水管216の流入口216aと便器本体206の後方側の排出口206aとを壁W201を介して接続可能にする排水管接続部218が設けられている。
【0004】
つぎに、
図8に示すように、従来の取付装置200では、便器固定板212の鉛直方向の位置が、床面F201と支柱208の上端とのほぼ中間位置付近に位置している。
また、
図8に示すように、従来の取付装置200では、便器本体206が便器固定板212に固定された状態において、一対の脚部210が、立面視で便器本体206の側壁206bよりも外側に配置されている。
さらに、
図8に示すように、従来の取付装置200では、一対の脚部210が、立面視で排水管接続部218の中心O201を通過して支柱208の左右方向の間を二等分する中心軸線A201に対して互いに左右対称に配置されている。
【0005】
つぎに、
図8に示すように、従来の取付装置200では、横フレーム214の前端面が水洗大便器202の使用時に便器本体206の背面から壁部を介して横フレーム214に向かって作用する荷重を受ける荷重受け面S201を形成している。
また、
図8に示すように、従来の取付装置200では、横フレーム214の荷重受け面S201の鉛直方向の位置が、便器本体206の下端よりも上方に設定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、
図8に示すように、従来の取付装置200では、床面F201から横フレーム214の荷重受け面S201の最低位置までの鉛直方向の距離H201が、床面F201から便器固定板212の下端までの鉛直方向の距離H202の1/3よりも大きく設定されており、比較的距離が大きく設定されている。
また、
図8に示すように、従来の取付装置200では、両側の脚部210が立面視で便器本体206の側壁206bよりも外側に配置されているため、水洗大便器202の使用時に便器本体206の背面から壁部を介して横フレーム214の荷重受け面S201に荷重が作用したときに、横フレーム214やその両側の脚部210が変形する量も大きくなり、取付装置200全体が傾いてしまうという問題がある。
したがって、洗浄水タンク装置204を壁W201の裏側領域R201内に隠蔽して確実に固定することが難しくなり、水洗大便器202の便器本体206の後端部を壁W201に確実に固定することも難しくなるという問題がある。
よって、壁掛式便器用取付装置においては、前後方向の奥行寸法を抑えつつ、いかに、洗浄水タンク装置を壁の裏側領域内に隠蔽して確実に固定し、壁掛式便器を壁に確実に固定するかが、近年要請された課題となっている。
【0008】
一方、近年における温水洗浄機能部を備えた水洗大便器の海外市場へのグローバル化に伴って、トイレシステム全体や便器周辺部等に関するデザイン面についても様々なニーズがあり、多様化している。
特に、水洗大便器の温水洗浄機能部や洗浄水タンク装置に給水する設備や給電する設備等は、壁掛式便器用取付装置の周辺に設けられるが、これらの周辺設備についても、いかに外部から見え難い設計にしつつ、メンテナンス性を確保するかが、近年要請された課題となっている。
【0009】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題や近年要請された課題を解決するためになされたものであり、洗浄水タンク装置を壁の裏側領域内に隠蔽して確実に固定することができると共に、水洗大便器を壁に確実に固定することができる壁掛式便器用取付装置、及び、トイレシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明は、温水洗浄機能部を備えた水洗大便器の背面側を壁部に取り付け可能にする壁掛式便器用取付装置であって、上記壁部の裏側領域内に隠蔽されて上記水洗大便器に洗浄水を供給する洗浄水タンク装置と、上記壁部の裏側領域内に隠蔽されて上記洗浄水タンク装置を固定すると共に上記水洗大便器の便器本体の後端部を上記壁部に固定する固定ユニットと、を有し、この固定ユニットは、上記洗浄水タンク装置の左右両側に上下方向に延びるように設けられて上記洗浄水タンク装置を支持する左右一対の支持部と、この左右一対の支持部同士を接続するように左右方向に延びるように設けられて上記便器本体の後端部が上記壁部を介して固定される便器固定部と、この便器固定部から下方に延びて上記壁部の裏側領域内の床面に固定される左右一対の脚部と、上記壁部の裏側領域内の床面から上記便器固定部に近接するように延びた排水管の流入口と上記便器本体の後方側の排出口とを上記壁部を介して接続可能に、上記便器固定部に設けられた排水管接続部と、を備えており、上記便器固定部は、上記壁部の裏側領域内の床面と上記支持部の上端との中間位置よりも下方に位置し、上記一対の脚部は、上記便器本体が上記便器固定部に固定された状態において、立面視で上記排水管接続部よりも外側且つ上記便器本体の側壁よりも内側に配置されており、且つ、上記排水管接続部の中心を通過して上記固定ユニットを左右方向に二等分する中心軸線に対して互いに左右非対称に配置されており、上記一対の脚部の各前端面は、上記水洗大便器の使用時に上記便器本体の背面から上記壁部を介して上記脚部に向かって作用する荷重を受ける荷重受け面となることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、便器固定部が壁部の裏側領域内の床面と支持部の上端との中間位置よりも下方に位置している。
また、便器本体が便器固定部に固定された状態における一対の脚部が、立面視で排水管接続部よりも外側且つ便器本体の側壁よりも内側に配置されている。加えて、一対の脚部の各前端面は、水洗大便器の使用時に便器本体の背面から壁部を介して脚部に向かって作用する荷重を受ける荷重受け面となる。
これらにより、脚部が立面視で便器本体の側壁よりも外側に配置されている場合に比べて、脚部の荷重受け面を小さい範囲に限定することができる。よって、便器本体の背面から壁部を介して脚部に向かって作用する荷重によって、壁掛式便器用取付装置全体が撓む等の変形量を抑制することができる。
したがって、固定ユニットにより、洗浄水タンク装置を壁部の裏側領域内に隠蔽して確実に固定することができると共に、水洗大便器の便器本体の後端部を壁部に確実に固定することができる。
さらに、一対の脚部が、排水管接続部の中心を通過して固定ユニットを左右方向に二等分する中心軸線に対して互いに左右非対称に配置されている。
これにより、壁部の裏側領域内で固定ユニットの脚部について、立面視で排水管接続部よりも外側且つ便器本体の側壁よりも内側の領域内で自由に位置決めすることができる。よって、例えば、水洗大便器の温水洗浄機能部や洗浄水タンク装置に給水する設備や給電する設備等を脚部周辺に自由に位置決めすることができ、設計の自由度を高めることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、さらに、上記壁部の裏側領域内に隠蔽可能に設けられて、給水源から供給された洗浄水を上記洗浄水タンク装置及び上記温水洗浄機能部のそれぞれに給水可能な給水本管と、この給水本管と上記温水洗浄機能部から延びる温水洗浄用給水管とを接続する接続部に設けられた止水栓と、を有し、
この止水栓は、上記一対の脚部のいずれか一方に取り付けられて、この止水栓の前端が上記壁部の表側からアクセス可能に上記床面と上記便器本体の下端との間の高さ位置に配置されている。
このように構成された本発明においては、止水栓が一対の脚部のいずれか一方に取り付けられており、この止水栓の前端が壁部の表側からアクセス可能に床面と便器本体の下端との間の高さ位置に配置されているため、壁部の裏側領域内に止水栓の設置空間を確保することができると共に、止水栓を外部から見え難い位置に配置することができる。
また、緊急時や通常時のメンテナンスにおいて止水操作を行う際にも、止水栓の前端に容易にアクセスすることができるため、止水操作を容易に行うことができる。
さらに、便器本体の形状に関わらず、止水栓の前端以外の大半部分を壁部で隠蔽することができるため、便器本体の形状の制約を受け難くすることができる。
よって、様々なデザインの便器本体にも対応することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、さらに、上記水洗大便器又は上記洗浄水タンク装置に設けられた電装部品と、上記壁部の裏側領域内に隠蔽可能に設けられて、上記電装部品に電力を供給する給電部が接続される給電接続部と、この給電接続部は、上記一対の脚部のいずれか一方の脚部の外側近傍に配置されている。
このように構成された本発明においては、給電接続部が一対の脚部のいずれか一方の脚部の外側近傍に配置されているため、壁部の裏側領域内に給電接続部の設置空間を確保することができると共に、給電接続部を外部から見え難い位置に配置することができる。
また、便器本体の形状に関わらず、給電接続部を壁部で隠蔽することができるため、便器本体の形状の制約を受け難くすることができる。
よって、様々なデザインの便器本体にも対応することができる。
【0013】
本発明は、好ましくは、上記一対の脚部は、第1脚部と、第2脚部と、からなり、上記固定ユニットを左右方向に二等分する中心軸線から上記第1脚部までの第1距離は、上記中心軸線から上記第2脚部までの第2距離よりも大きく設定されており、上記止水栓は、上記第1脚部に取り付けられている。
このように構成された本発明においては、壁部の裏側領域内に隠蔽する止水栓の設置空間を確保することができると共に、止水栓を壁部の表側から見え難い位置に配置することができる。
また、緊急時や通常時のメンテナンスにおいて壁部の表側から止水操作が行い易い位置に止水栓を配置することができる。
【0014】
本発明は、好ましくは、さらに、上記水洗大便器又は上記洗浄水タンク装置に設けられた電装部品と、上記壁部の裏側領域内に隠蔽可能に設けられて、上記電装部品に電力を供給する給電部が接続される給電接続部と、を有し、この給電接続部は、上記止水栓と共に上記第1脚部の内側に配置されている。
このように構成された本発明においては、固定ユニットを左右方向に二等分する中心軸線から第1脚部までの第1距離が、固定ユニットを左右方向に二等分する中心軸線から第2脚部までの第2距離よりも大きく設定されていることにより、第1脚部の内側には、第2脚部の内側よりも広い空間が形成されている。
したがって、このような第1脚部の内側に形成された空間を給電接続部や止水栓の設置空間として有効利用することにより、給電接続部及び止水栓のそれぞれについて、壁部の表側から見え難い位置に配置することができる。
また、便器本体の後端部が固定ユニットにより壁部に固定された状態では、給電接続部及び止水栓のそれぞれが便器本体の中央側に配置されることになるため、様々な形態の便器本体を適用したとしても、これらの給電接続部及び止水栓を便器本体の横幅内に確実に隠蔽することができる。
【0015】
本発明は、好ましくは、上記給電接続部は、上記止水栓に対してほぼ鉛直方向の上方に且つ上記排水管の流入口の下端よりも上方に配置されている。
このように構成された本発明においては、給電接続部が、止水栓に対してほぼ鉛直方向の上方に且つ排水管の流入口の下端よりも上方に配置されていることにより、止水栓から給電接続部までの上下方向の空間を十分に確保することができる。
したがって、例えば、排水管の下流側の配管の位置等の設置状況により、排水管を上下方向に延びた姿勢で設置する配管(いわゆる、「縦引き配管」)よりも、排水管を上下方向に対して傾いた姿勢で設置する配管(いわゆる、「横引き配管」)が好ましい状況であっても、排水管を止水栓と給電接続部との間の空間に適切に配置することができる。
よって、排水管の下流側の配管設置に応じて、縦引き配管や横引き配管を適宜選択することができるため、様々な設置場所にも多様に適用することができる。
また、給電接続部が、止水栓と共に第1脚部の内側に配置されていると共に、止水栓に対してほぼ鉛直方向上方に配置されていることにより、給電接続部及び止水栓を第1脚部の内側に取り付ける作業を行う際に、給電接続部及び止水栓の一方を第1脚部の内側に一旦取り付けると、他方も第1脚部の内側に容易に位置決めして取り付けることができるため、作業性を向上させることができる。
【0016】
本発明は、好ましくは、上記中心軸線から上記止水栓までの左右水平方向の距離は、80mm〜95mmに設定されている。
このように構成された本発明においては、壁部の裏側領域内に隠蔽する止水栓の設置空間を確保することができると共に、止水栓を壁部の表側から見え難い位置に配置することができる。
また、緊急時や通常時のメンテナンスにおいて壁部の表側から止水操作が行い易い位置に止水栓を配置することができる。
【0017】
本発明は、好ましくは、上記床面から上記止水栓までの鉛直方向の距離は、30mm〜157mmに設定されている。
このように構成された本発明においては、壁部の裏側領域内に隠蔽する止水栓の設置空間を確保することができると共に、止水栓を壁部の表側から見え難い位置に配置することができる。
また、緊急時や通常時のメンテナンスにおいて壁部の表側から止水操作が行い易い位置に止水栓を配置することができる。
【0018】
本発明は、好ましくは、上記床面から上記脚部の荷重受け面の最低位置までの鉛直方向の距離は、55mm〜182mmに設定されている。
このように構成された本発明においては、脚部の荷重受け面と床面との鉛直方向の距離を比較的小さく設定することができるため、水洗大便器の使用時に便器本体の背面から壁部を介して脚部の荷重受け面に荷重が作用しても、これらの脚部及びその前側の壁部の変形量を抑制することができる。
【0019】
また、本発明は、上記壁掛式便器用取付装置と、この壁掛式便器用取付装置に上記壁部を介して取り付けられた上記水洗大便器と、を備えたことを特徴とするトイレシステムである。
このように構成された本発明においては、壁掛式便器用取付装置により、洗浄水タンク装置が壁部の裏側領域内に隠蔽して確実に固定されると共に、水洗大便器が壁部に確実に固定されたトイレシステムを提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の壁掛式便器用取付装置によれば、洗浄水タンク装置を壁の裏側領域内に隠蔽して確実に固定することができると共に、水洗大便器を壁に確実に固定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、
図1〜
図5を参照して、本発明の第1実施形態による壁掛式便器用取付装置について説明する。
まず、
図1は、本発明の第1実施形態による壁掛式便器用取付装置、及び、この壁掛式便器用取付装置に壁を介して取り付けられた水洗大便器を示す概略分解斜視図である。
つぎに、
図2は、本発明の第1実施形態による壁掛式便器用取付装置及び壁の背面図である。
また、
図3は、本発明の第1実施形態による壁掛式便器用取付装置、及び、この壁掛式便器用取付装置に壁を介して取り付けられた水洗大便器を示す左側面図である。
さらに、
図4は、本発明の第1実施形態による壁掛式便器用取付装置の正面図である。
ここで、
図4に示す壁掛式便器用取付装置においては、取り付けられる水洗大便器の便器本体の外形を鎖線で示している。
【0023】
まず、
図1に示すように、本発明の第1実施形態による壁掛式便器用取付装置1は、トイレシステムTの一部であり、温水洗浄機能付き便座ユニットAを備えた壁掛式の水洗大便器2の背面側についてトイレ室の壁部(壁W1)に取り付け可能にするものである。
具体的には、
図1に示すように、本実施形態の壁掛式便器用取付装置1は、壁W1の裏側領域R1内に洗浄水タンク装置4及び固定ユニット6をそれぞれ備えている。
まず、
図1〜
図4に示すように、取付装置1の洗浄水タンク装置4は、壁W1の裏側領域R1内に隠蔽可能に設けられた重力給水式の貯水タンク4aを備えており、この貯水タンク4a内の洗浄水について重力を利用して水洗大便器2に洗浄水を供給するものである。
なお、洗浄水タンク装置4の貯水タンク4aの内部構造の詳細については、説明を省略するが、代表的には、貯水タンク4a内に給水する給水装置(図示せず)が設けられていると共に、貯水タンク4aの排水口(図示せず)を開閉する排水弁(図示せず)を電気的に駆動する電装部品を含む排水弁装置(図示せず)等が設けられている。これらの給水装置(図示せず)や排水弁装置(図示せず)による洗浄水タンク装置4における給排水操作については、例えば、洗浄水タンク装置4の前面に設けられた操作パネルE1のボタン操作等によって手動で操作し、このボタン操作に連動して、排水弁装置(図示せず)等が作動可能となっている。しかしながら、この操作パネルE1については、電気的な操作信号を送受信可能とする電装部品であってもよく、この操作パネルE1と洗浄水タンク装置4内の各電装部品(図示せず)との間で送受信される電気的な操作信号に基づいて排水弁装置(図示せず)等を電気的に作動可能とするものとしてもよい。
また、水洗大便器2については、その便器本体8内のボウル部(図示せず)の高さ方向の落差によりボウル部(図示せず)内の汚物を洗い落す、いわゆる、洗い落とし式の水洗大便器であってもよいし、サイホン作用を利用してボウル部(図示せず)内の汚物を吸い込んでトラップ排水路(図示せず)から外部に排出する、いわゆる、サイホン式便器の形態等、他の水洗大便器の形態であってもよい。
さらに、
図1及び
図3に示すように、水洗大便器2の温水洗浄機能付き便座ユニットAは、電気的に作動する複数の電装部品(図示せず)を備えており、代表的には、局部洗浄用ノズル(図示せず)を含む温水洗浄機能部である温水洗浄機能装置2aを備えている。
また、便座ユニットAは、便器本体8の上面に設けられて便蓋2bによって覆われている便座2cを備えている。
【0024】
つぎに、
図1〜
図4に示すように、取付装置1の固定ユニット6は、壁W1の裏側領域R1内に隠蔽可能に設けられており、洗浄水タンク装置4を固定すると共に水洗大便器2の便器本体8の後端を壁W1の表側面(前面)に固定するものである。
具体的には、
図2〜
図4に示すように、固定ユニット6は、正面側から見て、左右一対の縦フレーム(左縦フレーム10及び右縦フレーム12)、上横フレーム14、便器固定用横フレーム16、左右一対の脚フレーム18,20(左脚フレーム18及び右脚フレーム20)、左右の下横フレーム22,24(左下横フレーム22及び右下横フレーム24)、並びに、排水管接続部26を備えている。
また、
図2〜
図4に示すように、固定ユニット6の左右一対の縦フレーム10,12は、洗浄水タンク装置4の貯水タンク4aの左右両側に上下方向に延びるように設けられており、洗浄水タンク装置4を左右両側から支持する支持部となっている。なお、各縦フレーム10,12の下端は、床面F1よりも上方に位置しており、接地されていない。
さらに、
図2及び
図4に示すように、固定ユニット6の上横フレーム14は、左右一対の縦フレーム10,12の上端同士を接続するように設けられている。
【0025】
つぎに、
図5は、
図4に示す本発明の第1実施形態による壁掛式便器用取付装置の下方部分を拡大した部分拡大正面図である。
ここで、
図4及び
図5に示す壁掛式便器用取付装置1においては、便器本体8の外形を鎖線で示している。
図2、
図4及び
図5に示すように、固定ユニット6の便器固定用横フレーム16は、その鉛直方向の位置が壁W1の裏側領域R1内の床面F1と両縦フレーム10,12の上端との鉛直方向の中間位置M1よりも下方に位置している。
そして、この便器固定用横フレーム16は、左右一対の縦フレーム10,12同士を接続しており、便器本体8の後端部がW1を介して固定される便器固定部となっている。
より具体的には、
図5に示すように、便器固定用横フレーム16には、固定ユニット6を左右方向に二等分する中心軸線A1に対して左右対称に2つずつ、合計4つの便器固定用のねじ穴16a,16b,16c,16dが形成されている。
また、便器本体8の後端部には、これらのねじ穴16a,16b,16c,16dのそれぞれに螺合する固定ボルト(図示せず)が取り付けられている。そして、各固定ボルト(図示せず)が、壁W1を介して各ねじ穴16a,16b,16c,16dに締結されて固定ナット(図示せず)によって締め付け可能になっている。これにより、便器本体8の後端部が壁W1を介して便器固定用横フレーム16に固定されるようになっている。
さらに、
図4及び
図5に示すように、便器固定用横フレーム16の左右方向のほぼ中央部には、貯水タンク4aから下方に延びて便器本体8の背面の流入口(図示せず)に接続される接続管28の出口部28aを保持する保持穴16eが形成されている。
【0026】
つぎに、
図2及び
図4に示すように、固定ユニット6の左右一対の脚フレーム18,20は、便器固定用横フレーム16から下方に延びて壁W1の裏側領域R1内の床面F1に固定されている脚部である。
また、
図2及び
図4に示すように、固定ユニット6の左下横フレーム22は、左脚フレーム18とその外側の左縦フレーム10の下端とを接続している。同様に、固定ユニット6の右下横フレーム24は、右脚フレーム20とその外側の右縦フレーム12の下端とを接続している。
【0027】
つぎに、
図2〜
図5に示すように、固定ユニット6の排水管接続部26は、便器固定用横フレーム16の下端に設けられている。この排水管接続部26は、壁W1の裏側領域R1内の床面F1から便器固定用横フレーム16の下端に近接するように延びた排水管30の流入口30aと便器本体8の後方側の排出口8aとを壁W1を介して接続可能にする。
【0028】
つぎに、
図5に示すように、一対の脚フレーム18,20は、便器本体8が便器固定用横フレーム16に固定された状態において、立面視で排水管接続部26よりも外側且つ便器本体8の側壁8bよりも内側に配置されている。
また、
図4及び
図5に示すように、一対の脚フレーム18,20は、立面視で排水管接続部26の中心である排水管30の流入口30aの中心O1を通過して固定ユニット6を左右方向に二等分する中心軸線A1に対して互いに左右非対称に配置されている。
すなわち、
図5に示すように、固定ユニット6の中心軸線A1から左脚フレーム18までの水平方向の距離L1は、この中心軸線A1から右脚フレーム20までの水平方向の距離L2よりも大きく設定(L1>L2)されている。
【0029】
さらに、
図3に示すように、例えば、使用者が水洗大便器2の使用時に水洗大便器2の便座(図示せず)に座った場合、便器本体8の上面には、鉛直方向下方に向けて荷重P1が作用するようになっている。また、この荷重P1により、便器本体8の背面からその後方の壁W1を介して各脚フレーム18,20に向かって荷重P2が作用するようになっている。
よって、
図3〜
図5に示すように、一対の脚フレーム18,20の各前端面は、このような便器本体8の背面から作用する荷重P2を受ける荷重受け面S1,S2となっている。
また、
図5に示すように、一対の脚フレーム18,20の各荷重受け面S1,S2の最低位置は、床面F1よりも上方の便器本体8の下端とほぼ同一の高さ位置に設定されている。
【0030】
さらに、
図5に示すように、床面F1から各脚フレーム18,20の各荷重受け面S1,S2の最低位置までの鉛直方向の距離H1については、55mm〜182mmに設定されているのが好ましく、距離H2については、370mm〜390mmに設定されているのが好ましい。
【0031】
つぎに、
図2〜
図5に示すように、本実施形態の壁掛式便器用取付装置1は、さらに、壁W1の裏側領域R1内に隠蔽可能に設けられた給水本管32を備えている。この給水本管32は、その上流側の水道等の給水源(図示せず)から供給された洗浄水について、洗浄水タンク装置4及び水洗大便器2の温水洗浄機能装置2aのそれぞれに給水可能となっている。
また、取付装置1は、さらに、温水洗浄機能装置2aから延びる温水洗浄用給水管34と給水本管32とを接続する接続部に設けられた止水栓36を備えている。
この止水栓36は、一対の脚フレーム18,20のうち、固定ユニット6の中心軸線A1に対して右脚フレーム20よりも遠位側に位置する左脚フレーム18に取り付けられている。
さらに、
図3〜
図5に示すように、止水栓36の前端は、壁W1の表側からアクセス可能に床面F1と便器本体8の下端8cとの間の高さ位置に配置されている。
【0032】
つぎに、
図2〜
図5に示すように、本実施形態の壁掛式便器用取付装置1は、さらに、壁W1の裏側領域R1内に隠蔽可能に設けられた給電ケーブル38を備えている。
この給電ケーブル38は、その上端が洗浄水タンク装置4の内部の各電装部品(図示せず)に接続され、下端が温水洗浄機能付き便座ユニットAの給電接続部40に接続されている。
また、給電接続部40の下方に隣接する壁W1の表面には、電源コンセント42が配置されており、便座ユニットAから延びる電源コード(図示せず)が電源コンセント42に接続されるようになっている。
電源コンセント42から電源コード(図示せず)を介して便座ユニットAに供給された電力は、温水洗浄機能装置2a等に供給される他、給電接続部40から給電ケーブル38を介して洗浄水タンク装置4の各電装部品(図示せず)に供給されるようになっている。
また、
図2〜
図5に示すように、本実施形態では、給電ケーブル38の下端及び給電接続部40、並びに、電源コンセント42は、右脚フレーム20外側近傍に配置されている。
しかしながら、これらの給電接続部40及び電源コンセント42は、便器本体8の後端部が壁W1に固定された状態では、便器本体8の右側面よりも内側に隠蔽されるため、外部から見え難い位置に配置されるようになっている。
【0033】
ちなみに、
図5に示すように、立面視における固定ユニット6の中心軸線A1から止水栓36までの左右水平方向の距離L3は、80mm〜95mmに設定されている。
また、
図5に示すように、床面F1から止水栓36までの鉛直方向の距離H3は、30mm〜157mmに設定されている。
【0034】
上述した本発明の第1実施形態による壁掛式便器用取付装置1によれば、固定ユニット6の便器固定用横フレーム16の鉛直方向の位置が、壁W1の裏側領域R1内の床面F1と両縦フレーム10,12の上端との鉛直方向の中間位置M1よりも下方に位置している。
また、便器本体8が便器固定用横フレーム16に固定された状態における一対の脚フレーム18,20が、立面視で排水管接続部26よりも外側且つ便器本体8の側壁8bよりも内側に配置されている。加えて、一対の脚フレーム18,20の各前端面は、水洗大便器2の使用時に便器本体8の背面から壁W1を介して脚フレーム18,20に向かって作用する荷重P2を受ける荷重受け面S1,S2となる。
これらにより、各脚フレーム18,20が立面視で便器本体8の側壁8bよりも外側に配置されている場合に比べて、各脚フレーム18,20の荷重受け面S1,S2を小さい範囲に限定することができる。よって、便器本体8の背面から壁W1を介して各脚フレーム18,20に向かって作用する荷重P2によって、壁掛式便器用取付装置1の全体が撓む等の変形量を抑制することができる。
したがって、固定ユニット6により、洗浄水タンク装置4を壁W1の裏側領域R1内に隠蔽して確実に固定することができると共に、水洗大便器2の便器本体8の後端部を壁W1に確実に固定することができる。
さらに、一対の脚フレーム18,20が、排水管30の流入口30aの中心O1を通過して固定ユニット6を左右方向に二等分する中心軸線A1に対して互いに左右非対称に配置されている。
これにより、壁W1の裏側領域R1内で固定ユニット6の一対の脚フレーム18,20について、立面視で排水管接続部26及び排水管30よりも外側且つ便器本体8の側壁8bよりも内側の領域内で自由に位置決めすることができる。
よって、例えば、水洗大便器2の温水洗浄機能装置2aや洗浄水タンク装置4に給水する設備や給電する設備等を脚フレーム18,20の周辺に位置決めすることができ、設計の自由度を高めることができる。
【0035】
また、本実施形態による壁掛式便器用取付装置1によれば、止水栓36が一対の脚フレーム18,20のうちの左脚フレーム18に取り付けられており、この止水栓36の前端が、壁W1の表側からアクセス可能に床面F1と便器本体8の下端8cとの間の高さ位置に配置されている。
これにより、壁W1の裏側領域R1内に止水栓36の設置空間を確保することができると共に、止水栓36を外部から見え難い位置に配置することができる。
また、緊急時や通常時のメンテナンスにおいて止水操作を行う際にも、止水栓36の前端に容易にアクセスすることができるため、止水操作を容易に行うことができる。
さらに、便器本体8の形状に関わらず、止水栓36の前端以外の大半部分を壁W1で隠蔽することができるため、便器本体8の形状の制約を受け難くすることができる。
よって、様々なデザインの便器本体8にも対応することができる。
【0036】
さらに、本実施形態による壁掛式便器用取付装置1によれば、給電接続部40や電源コンセント42が一対の脚フレーム18,20のうちの右脚フレーム20の外側近傍に配置されているため、壁W1の裏側領域R1内に給電接続部40の設置空間を確保することができると共に、給電接続部40や電源コンセント42を外部から見え難い位置に配置することができる。
また、便器本体8の形状に関わらず、給電接続部40や電源コンセント42を壁W1や便器本体8で隠蔽することができるため、便器本体8の形状の制約を受け難くすることができる。
よって、様々なデザインの便器本体8にも対応することができる。
【0037】
また、本実施形態による壁掛式便器用取付装置1によれば、固定ユニット6の中心軸線A1から左脚フレーム18までの水平方向の距離L1は、この中心軸線A1から右脚フレーム20までの水平方向の距離L2よりも大きく設定(L1>L2)されている。また、止水栓36が、固定ユニット6の中心軸線A1に対して右脚フレーム20よりも遠位側に位置する左脚フレーム18に取り付けられている。
これらにより、壁W1の裏側領域R1内に隠蔽する止水栓36の設置空間を確保することができると共に、止水栓36を壁W1の表側から見え難い位置に配置することができる。
さらに、緊急時や通常時のメンテナンスにおいて壁W1の表側から止水操作が行い易い位置に止水栓36を配置することができる。
【0038】
さらに、本実施形態による壁掛式便器用取付装置1によれば、
図5に示すように、立面視における固定ユニット6の中心軸線A1から止水栓36までの左右水平方向の距離L3は、80mm〜95mmに設定されている。
したがって、壁W1の裏側領域R1内に隠蔽する止水栓36の設置空間を確保することができると共に、止水栓36を壁W1の表側から見え難い位置に配置することができる。
また、緊急時や通常時のメンテナンスにおいて壁W1の表側から止水操作が行い易い位置に止水栓36を配置することができる。
【0039】
また、本実施形態による壁掛式便器用取付装置1によれば、
図5に示すように、床面F1から止水栓36までの鉛直方向の距離H3は、30mm〜157mmに設定されている。
したがって、壁W1の裏側領域R1内に隠蔽する止水栓36の設置空間を確保することができると共に、止水栓36を壁W1の表側から見え難い位置に配置することができる。
また、緊急時や通常時のメンテナンスにおいて壁W1の表側から止水操作が行い易い位置に止水栓36を配置することができる。
【0040】
さらに、本実施形態による壁掛式便器用取付装置1によれば、床面F1から各脚フレーム18,20の荷重受け面S1,S2の最低位置までの鉛直方向の距離H1は、55mm〜182mmに設定されている。
したがって、各脚フレーム18,20の荷重受け面S1,S2と床面F1との鉛直方向の距離H1を比較的小さく設定することができるため、水洗大便器2の使用時に便器本体8の背面から壁W1を介して各脚フレーム18,20の荷重受け面S1,S2に荷重が作用しても、これらの脚フレーム18,20及びその前側の壁W1の変形量を抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態による壁掛式便器用取付装置1によれば、洗浄水タンク装置4が壁W1の裏側領域R1内に隠蔽して確実に固定されると共に、水洗大便器2が壁W1に確実に固定されたトイレシステムTを提供することができる。
【0042】
つぎに、
図6及び
図7を参照して、本発明の第2実施形態による壁掛式便器用取付装置について説明する。
図6は、本発明の第2実施形態による壁掛式便器用取付装置及び壁の背面図である。また、
図7は、本発明の第2実施形態による壁掛式便器用取付装置の正面図である。
ここで、
図6及び
図7に示す本発明の第2実施形態による壁掛式便器用取付装置において、上述した本発明の第1実施形態による壁掛式便器用取付装置と同一部分については同一の符号を付し、これらの説明については省略する。
【0043】
まず、
図6及び
図7に示すように、本発明の第2実施形態による壁掛式便器用取付装置100においては、上述した第1実施形態による壁掛式便器用取付装置1と同様に、一対の脚フレーム18,20が、立面視で排水管接続部26の中心である排水管30の流入口30aの中心O1を通過して固定ユニット206を左右方向に二等分する中心軸線A1に対して互いに左右非対称に配置されている。
そして、
図7に示すように、本発明の第2実施形態による壁掛式便器用取付装置100においては、上述した第1実施形態による壁掛式便器用取付装置1と同様に、固定ユニット206の中心軸線A1から左脚フレーム18(第1脚部)までの水平方向の距離L1が、この中心軸線A1から右脚フレーム20(第2脚部)までの水平方向の距離L2よりも大きく設定(L1>L2)されている。
また、
図7に鎖線で示す水洗大便器102(便器本体108)については、その後端部が固定ユニット206により壁W1に固定された状態では、便器本体108の水平左右方向の横幅が左脚フレーム18との内縁と右脚フレーム20の内縁との間の距離(L1+L2)よりも大きく設定されている。
【0044】
しかしながら、本実施形態による壁掛式便器用取付装置100においては、給電ケーブル138の下端が接続される給電接続部140が、止水栓36と共に第1脚部(左脚フレーム18)の内側に配置されている構造であるため、上述した本発明の第1実施形態による壁掛式便器用取付装置1の給電ケーブル38の下端及び給電接続部40が右脚フレーム20外側近傍に配置されている構造と異なっている。
また、
図6及び
図7に示すように、本実施形態による壁掛式便器用取付装置100においては、給電接続部140の下方には、壁W1の裏側領域R1から便器本体108に延びた電源コード(図示せず)を取り出し可能にする電源コード取出口142が設けられている。
さらに、給電接続部140は、便座ユニットAから延びた給電ケーブル(図示せず)と洗浄水タンク装置4から延びた給電ケーブル138とを接続可能にするコネクタ部材(図示せず)を備えている。これらの給電接続部140及び電源コード取出口142は、止水栓36に対してほぼ鉛直方向の上方に配置されている。壁W1の裏側領域R1の電源コード(図示せず)から電源コード取出口142を介して便座ユニットAに供給された電力は、温水洗浄機能装置102a等に供給される他、給電接続部140から給電ケーブル138を介して洗浄水タンク装置4の各電装部品(図示せず)等に供給されるようになっている。
また、
図7に示すように、給電接続部140及び電源コード取出口142の各位置Q101,Q102は、排水管30の流入口30aの下端位置Q103よりも上方に位置している。
【0045】
ここで、
図6及び
図7に示すように、本実施形態による壁掛式便器用取付装置100における排水管30については、上下方向に延びた姿勢で設置されている配管(いわゆる、「縦引き配管」)の形態で示している。
しかしながら、本実施形態による壁掛式便器用取付装置100では、排水管30の下流側の配管の位置等の設置状況によっては、
図6及び
図7に鎖線で概略的に示した排水管130のように、上下方向に対して傾いた姿勢で設置される配管(いわゆる、「横引き配管」)の形態でも適用可能である。
【0046】
上述した本発明の第2実施形態による壁掛式便器用取付装置100によれば、固定ユニット206の中心軸線A1から左脚フレーム18(第1脚部)までの水平方向の距離L1が、この中心軸線A1から右脚フレーム20(第2脚部)までの水平方向の距離L2よりも大きく設定(L1>L2)されていることにより、左脚フレーム18(第1脚部)の内側には、右脚フレーム20(第2脚部)の内側よりも広い空間が形成されている。
したがって、このような左脚フレーム18(第1脚部)の内側に形成された空間を給電接続部140や止水栓36の設置空間として有効利用することにより、止水栓36、給電接続部140、及び、電源コード取出口142のそれぞれについて、壁W1の表側から見え難い位置に配置することができる。
また、便器本体108の横幅が、左脚フレーム18との内縁と右脚フレーム20の内縁との間の距離(L1+L2)よりも大きく設定されているため、便器本体108の後端部が固定ユニット206により壁W1に固定された状態では、止水栓36、給電接続部140、及び、電源コード取出口142のそれぞれが便器本体108の中央側に配置されることになる。
したがって、様々な形態の便器本体108を適用したとしても、これらの止水栓36、給電接続部140、及び、電源コード取出口142のそれぞれについて、便器本体108の横幅内(より厳密に説明すると、左脚フレーム18との内縁と右脚フレーム20の内縁との間の距離(L1+L2)の範囲内)に確実に隠蔽することができる。
【0047】
また、本発明の第2実施形態による壁掛式便器用取付装置100によれば、給電接続部140及び電源コード取出口142が、止水栓36に対してほぼ鉛直方向の上方に且つ排水管30の流入口30aの下端よりも上方に配置されていることにより、止水栓36から給電接続部140及び電源コード取出口142までの上下方向の空間を十分に確保することができる。
したがって、例えば、排水管30の下流側の配管の位置等の設置状況により、排水管30を上下方向に延びた姿勢で設置する配管(いわゆる、「縦引き配管」)よりも、排水管130を上下方向に対して傾いた姿勢で設置する配管(いわゆる、「横引き配管」)が好ましい状況であっても、排水管130を止水栓36と給電接続部140及び電源コード取出口142との間の空間に適切に配置することができる。
よって、排水管30,130の下流側の配管設置に応じて、縦引き配管(排水管30)や横引き配管(排水管130)を適宜選択することができるため、様々な設置場所にも多様に適用することができる。
また、給電接続部140が、止水栓36と共に左脚フレーム18(第1脚部)の内側に配置されていると共に、止水栓36に対してほぼ鉛直方向上方に配置されていることにより、給電接続部140及び止水栓36を左脚フレーム18(第1脚部)の内側に取り付ける作業を行う際に、給電接続部140及び止水栓36の一方を左脚フレーム18(第1脚部)の内側に一旦取り付けると、他方も左脚フレーム18(第1脚部)の内側に容易に位置決めして取り付けることができるため、作業性を向上させることができる。