(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
疎水性有機物が、炭化水素化合物、エステル化合物、脂肪酸、及びシリコーンオイルから選ばれる少なくとも一種である、請求項1又は2に記載の中空シリカ粒子の製造方法。
界面活性剤が、アルキルトリメチルアンモニウム塩、及びジアルキルジメチルアンモニウム塩から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜4のいずれかに記載の中空シリカ粒子の製造方法。
シリカ源が、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、及びジアルコキシシランから選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜5のいずれかに記載の中空シリカ粒子の製造方法。
工程2におけるシリカ源の添加量が、疎水性有機物100体積部に対して、100体積部以上1000体積部以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の中空シリカ粒子の製造方法。
工程1における、液Bの添加速度が、液A中の水100質量部に対して0.01質量部/秒以上20.0質量部/秒以下である、請求項1〜9のいずれかに記載の中空シリカ粒子の製造方法。
工程1における、液B中の親水性有機溶媒に対する疎水性有機物の質量比が、0.005以上0.1以下である、請求項1〜10のいずれかに記載の中空シリカ粒子の製造方法。
液B中、疎水性有機物の含有量が1質量%以上15質量%以下、親水性有機溶媒の含有量が50質量%以上98質量%以下、界面活性剤の含有量が0.4質量%以上10質量%以下である、請求項1〜12のいずれかに記載の中空シリカ粒子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の中空シリカ粒子の製造方法は、下記工程1〜3を有する。
工程1:70質量%以上の水を含む液Aに対して、疎水性有機物、親水性有機溶媒、及び界面活性剤を含有する液Bを添加し、疎水性有機物の量が水100質量部に対して1.0質量部以上20質量部以下の乳化物を得る工程
工程2:得られた乳化物にシリカ源を添加し、アルカリ性物質の存在下でシリカを含む外殻部を形成し、複合シリカ粒子を得る工程
工程3:複合シリカ粒子から疎水性有機物を除去し、中空シリカ粒子を得る工程
【0009】
本発明によって、回収効率に優れ、空気の比率が高い中空シリカ粒子の製造方法となる理由は定かではないが、次のように考えられる。
従来の疎水性有機物と親水性有機溶媒とを含む液に水を添加する方法に対して、本発明は水に疎水性有機物と親水性有機溶媒とを含む液を添加する。
本法によれば、添加直後に、親水性有機溶媒のほとんどが水に拡散し、疎水性有機物の溶解度が瞬時に低下するため、添加した疎水性有機物を有効に乳化粒子として利用でき、当該乳化粒子を鋳型としてシリカ外殻部を適切に形成することができ、高い効率で複合シリカ粒子を得ることができる。そのため、シリカ外殻部形成後に疎水性有機物を除去すると、中空シリカ内部の空気の比率を向上させることができ、回収効率を向上することができるものと考えられる。
【0010】
<工程1>
工程1では、高い回収効率を得る観点、及び空気の比率が高い中空シリカ粒子を得る観点から、70質量%以上の水を含む液Aに対して、疎水性有機物、親水性有機溶媒、及び界面活性剤を含有する液Bを添加し、疎水性有機物の量が水100質量部に対して1.0質量部以上20質量部以下の乳化物を得る。
【0011】
〔液A〕
液Aは70質量%以上の水を含む。水としては、例えば、蒸留水、イオン交換水、超純水等が挙げられる。液A中の水の含有量は、疎水性有機物の液A中での溶解度を瞬時に低下させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは98質量%以上であり、また、更に好ましくは100質量%である。
【0012】
液Aは、疎水性有機物の乳化をより均一で安定に生成するという観点から、水と相溶性のある有機溶媒を含有していてもよい。有機溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール類やアセトンが挙げられる。有機溶媒の含有量としては、液A中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
【0013】
(アルカリ性物質)
液Aは、より高い回収効率を得る観点、及び空気の比率が高い中空シリカ粒子を得る観点から、アルカリ性物質を含むことが好ましい。
【0014】
アルカリ性物質としては、アミン類が挙げられる。アミン類としては、炭素数1〜5のアルキル基、アルケニル基及びヒドロキシアルキル基から選ばれる有機基又は水素原子を含む第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、及び第四級アンモニウムヒドロキシドから選ばれる少なくとも一種以上が用いられる。なおアミン類の水素原子の数は、有機基の数すなわちアミンの等級によって設定され、当然ながら0であってもよい。これらのなかでも、高い回収効率を得る観点、及び空気の比率が高い中空シリカ粒子を得る観点から、第四級アンモニウムヒドロキシドが好ましい。
第一級アミンの具体例としては、エチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、1,3−ジアミノプロパン、ペンチルアミン等が挙げられる。
第二級アミンの具体例としては、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジペンチルアミン等が挙げられ、高い回収効率を得る観点、及び空気の比率が高い中空シリカ粒子を得る観点から、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミンがより好ましい。
第三級アミンの具体例としては、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン等が挙げられ、高い回収効率を得る観点、及び空気の比率が高い中空シリカ粒子を得る観点から、トリエチルアミン、トリプロピルアミンがより好ましい。
また、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、プロパノールアミン等のアルカノールアミン等の置換アミン類も用いることができる。
第四級アンモニウムヒドロキシドの具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド(コリン)、テトラエタノールアンモニウムヒドロキシド、メチルトリエタノールアンモニウムヒドロキシド等が挙げられ、高い回収効率を得る観点、及び空気の比率が高い中空シリカ粒子を得る観点から、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドがより好ましい。
これらは、単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
【0015】
〔液B〕
液Bは、疎水性有機物、親水性有機溶媒、及び界面活性剤を含有する。液Bは、アルカリ性物質を更に含有していてもよい。
疎水性有機物は、疎水性有機物の利用効率の向上の点からは、好ましくは、水中で乳化滴(乳化油滴)を形成できるものである。また、分散媒として水を使用する点、及び、疎水性有機物の利用効率の向上の点から、液体状態にある温度域が0〜100℃であることが好ましく、20〜90℃であることがより好ましい。
【0016】
疎水性有機物は、疎水性有機物の利用効率の向上の点からは、水に対する溶解性が低く、水と分相を形成する化合物が好ましい。疎水性有機物は、水と相溶性のある有機溶媒に可溶であり、かつ、後述する界面活性剤により乳化可能な化合物であることがより好ましい。疎水性有機物は、LogPowが1以上であることがさらに好ましく、2〜10であることがさらにより好ましい。ここで、LogPowとは、化学物質の1−オクタノール/水分配係数である(Meylan,W.M.andP.H.Howard.1995.Atom/fragmentcontributionmethodforestimatingoctanol−waterpartitioncoefficients.J.Pharm.Sci.84:83−92参照)。
【0017】
疎水性有機物の具体例としては、炭化水素化合物、エステル化合物、脂肪酸、及びシリコーンオイルが挙げられる。
【0018】
炭化水素化合物としては、炭素数5〜18の鎖状アルカン、炭素数5〜18のシクロアルカン等の炭素数5〜18の脂肪族炭化水素、液状パラフィン又は液状石油ゼリー、スクワラン、スクアレン、ペルヒドロスクワレン、トリメチルベンゼン、キシレン、トルエン、ベンゼン等が挙げられる。これらの中では、炭化水素化合物の乳化をより安定に生成するという観点から、好ましくは炭素数5〜18の脂肪族炭化水素、より好ましくは炭素数5〜18の鎖状アルカン、及び炭素数5〜18のシクロアルカンから選ばれる少なくとも一種であり、更に好ましくは炭素数5〜10の鎖状アルカン、及び炭素数5〜10のシクロアルカンから選ばれる少なくとも一種であり、得られる複合又は中空シリカ粒子の粗大粒子数を少なくし、粒径を均一化する観点から、炭素数5〜16の鎖状アルカンがより好ましく、工程3における疎水性有機物除去の容易性の観点から、更に好ましくは炭素数5〜10の鎖状アルカン、更に好ましくは炭素数5〜8の鎖状アルカンであり、更に好ましくは炭素数5〜6の鎖状アルカンである。
【0019】
エステル化合物としては、炭素数6〜22の脂肪酸のグリセリンエステル等の油脂類が挙げられる。例えば、ミンク油、タートル油、大豆油、スイートアーモンド油、ビューティリーフオイル、パーム油、グレープシード油、ゴマ種油、トウモロコシ油、パーレアムオイル、アララ油、菜種油、ヒマワリ油、綿実油、アプリコット油、ひまし油、アボガド油、ホホバ油、オリーブ油、穀物胚芽油等を挙げることができる。これらの中でも菜種油が好ましい。
【0020】
またエステル化合物として、炭素数4〜22の脂肪酸と炭素数1〜22の一価又はグリセリン以外の多価アルコールとの縮合物を挙げることができる。例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルデシル、ミリスチン酸2−オクチルドデシルが具体的に挙げられる。その他のエステル化合物として、多価カルボン酸化合物とアルコールとのエステルが挙げられる。具体的にはアジピン酸ジイソプロピル、乳酸2−オクチルドデシルエステル、琥珀酸2−ジエチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル等が挙げられる。
【0021】
脂肪酸としては、炭素数6〜22の脂肪酸が好ましく、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸又はイソステアリン酸等が挙げられる。
【0022】
シリコーンオイルとしては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、脂肪酸、脂肪族アルコール、又はポリオキシアルキレンで変性されたポリシロキサン、フルオロシリコーン、パーフルオロシリコーンオイル等が挙げられる。
【0023】
ポリジメチルシロキサン(PDMS)はフェニル化されていてもよく、例えばフェニルトリメチコン、又は任意的に脂肪族基及び/又は芳香族基で置換されていてもよい。また、それらは、疎水性有機物の利用効率の向上の点から、炭化水素をベースとするオイル又はシリコーンオイルであって、シリコーン鎖のペンダント状であるか又は末端に存在するアルキル基又はアルコキシ基を任意的に含み2〜7の珪素原子を含む直鎖又は環状シリコーンが好ましく、特にオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン等が好ましい。
【0024】
上記の疎水性有機物の中では、界面活性剤によって乳化され易くする観点から、炭素数5〜18の脂肪族炭化水素及び菜種油から選ばれる少なくとも1種、好ましくは炭素数5〜18のアルカン及び炭素数5〜18のシクロアルカンから選ばれる少なくとも1種、より好ましくは炭素数5〜10のアルカン及び炭素数5〜10のシクロアルカンから選ばれる少なくとも1種、更に好ましくは炭素数5〜10のアルカン、更に好ましくは炭素数5〜8のアルカンである。
【0025】
本発明の製造方法において、疎水性有機物は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。また、疎水性有機物は、前記疎水性条件を満たさない化合物が混合された状態、又は、該化合物が疎水性有機物に溶解している状態の「疎水性組成物」を使用してもよい。
【0026】
(親水性有機溶媒)
親水性有機溶媒としては、例えば、炭素数1〜3のアルコール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらの中でも、添加後の水への拡散性に優れ、乳化粒子を形成しやすくし回収効率を高め、空気の比率を高める観点から、好ましくは炭素数1〜3のアルコール、より好ましくは炭素数1又は2のアルコール、更に好ましくはメタノールである。
親水性有機溶媒とは、25℃の水と任意の量で混和する有機溶媒を意味する。
【0027】
(界面活性剤)
界面活性剤は、得られる複合又は中空シリカ粒子の粗大粒子数を少なくし、粒径を均一化する観点から、好ましくはカチオン性界面活性剤、より好ましくは第四級アンモニウム塩型界面活性剤であり、更に好ましくはアルキルトリメチルアンモニウム塩、及びジアルキルジメチルアンモニウム塩から選ばれるすくなくとも一種、更に好ましくは下記一般式(1)及び(2)からなる群から選択される少なくとも1種類の第四級アンモニウム塩型界面活性剤がより好ましい。
[R
1(CH
3)
3N]
+X
- (1)
[R
1R
2(CH
3)
2N]
+X
- (2)
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に炭素数4〜22の直鎖状又は分岐状アルキル基を示し、X
-は1価陰イオンを示す。)
【0028】
上記一般式(1)及び(2)におけるR
1及びR
2は、それぞれ独立に炭素数4〜22、好ましくは炭素数6〜18、更に好ましくは炭素数8〜16の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。炭素数4〜22のアルキル基としては、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、各種エイコシル基等が挙げられる。
【0029】
一般式(1)及び(2)におけるX
-は、規則的なメソ細孔を形成させるという観点から、好ましくはハロゲンイオン、水酸化物イオン、硝酸化物イオン、硫酸化物イオン等の1価陰イオンから選ばれるすくなくとも一種である。X
-としては、より好ましくはハロゲンイオンであり、更に好ましくは塩素イオン又は臭素イオンである。
【0030】
一般式(1)で表されるアルキルトリメチルアンモニウム塩としては、ブチルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ブチルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ラウリルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
【0031】
一般式(2)で表されるジアルキルジメチルアンモニウム塩としては、ジブチルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキシルジメチルアンモニウムブロミド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロミド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロミド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
【0032】
これらの第四級アンモニウム塩型界面活性剤の中では、得られる複合又は中空シリカ粒子の粗大粒子数を少なくし、粒径を均一化する観点から、一般式(1)で表されるアルキルトリメチルアンモニウム塩が好ましく、アルキルトリメチルアンモニウムブロミド又はクロリドがより好ましく、ラウリルトリメチルアンモニウムブロミド又はクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド又はクロリドが更に好ましく、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド及びヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(セチルトリメチルアンモニウムクロリド)から選ばれる少なくとも一種以上が更に好ましい。
【0033】
アルカリ性物質としては、前述のアルカリ性物質が好ましく用いられる。
【0034】
液B中の疎水性有機物の量は、空気比率と密度の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、より更に好ましくは4.5質量%以上であり、回収効率の観点から、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下、更に好ましくは7質量%以下、より更に好ましくは5.5質量%以下である。
液B中の親水性有機溶媒の量は、空気比率と密度の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、また、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは90質量%以下である。
【0035】
液B中の界面活性剤の量は、空気比率と密度の観点から、好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.9質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上、より更に好ましくは2.0質量%以上であり、密度の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは4質量%以下である。
液B中の親水性有機溶媒に対する疎水性有機物の質量比は、空気比率と密度の観点から、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.020以上、更に好ましくは0.030以上、より更に好ましくは0.040以上、より更に好ましくは0.050以上、より更に好ましくは0.055以上であり、回収効率の観点から、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.090以下、更に好ましくは0.080以下、更に好ましくは0.075以下、更に好ましくは0.070以下、更に好ましくは0.065以下である。
【0036】
液B中の疎水性有機物に対する界面活性剤の質量比は、疎水性有機物の乳化をより均一で安定に生成するという観点から、好ましくは0.10以上、より好ましくは0.20以上、更に好ましくは0.30以上、より更に好ましくは0.40以上であり、また、好ましくは2.00以下、より好ましくは1.50以下、更に好ましくは1.00以下、より更に好ましくは0.90以下である。
【0037】
〔添加方法〕
液A中に液Bを添加する方法としては、液Bを気相を介して液Aに添加しても、液Bを液A内に直接的に添加してもよい。液Bを液A内に直接的に添加する場合、上部から注入しても、下部から注入してもよいが、回収効率、空気比率、密度の観点及び設備の容易性の観点から、下部から注入する方法が好ましい。また、液Bを液A内に直接的に添加する場合、回収効率、空気比率、密度の観点から、液Aの液深を1とした時、底部から0.5以下の位置から液Bを注入することが好ましく、より好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.1以下、より更に好ましくはほぼ0、すなわち底部から液Bを注入することが好ましい。すなわち、回収効率、空気比率、密度の観点から、液Aを入れた反応槽の底部に接続した配管から、液Bを注入することが好ましい。
また、液Bを液Aに添加する際、液Bを連続した液体として添加しても、断続的に液体として添加しても、液滴により添加してもよいが、生産性を向上させる観点から、液Bを連続した液体として液A中に添加することが好ましい。
液Bを液Aに添加する方法としては、回収効率、空気比率、密度の観点、生産性の観点及び設備の容易性の観点から、液Aを入れた反応槽の底部に接続した配管から、液Bを連続した液体として注入することが好ましい。
【0038】
〔添加条件〕
液Bの添加速度は、液A中の水100質量部に対して、生産性の観点から、好ましくは0.01質量部/秒以上、より好ましくは0.10質量部/秒以上、更に好ましくは0.50質量部/秒以上、より更に好ましくは0.75質量部/秒以上であり、回収効率、空気比率、密度の観点から、好ましくは20.0質量部/秒以下、より好ましくは10質量部/秒以下、更に好ましくは5.0質量部/秒以下、更に好ましくは3.0質量部/秒以下、更に好ましくは2.0質量部/秒、更に好ましくは1.5質量部/秒、更に好ましくは1.0質量部/秒である。
液Bの添加量は、回収効率、空気比率、密度の観点から、液A100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上であり、好ましくは160質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは70質量部以下、より更に好ましくは60質量部以下、より更に好ましくは50質量部以下である。
【0039】
工程1で得られる乳化物中の疎水性有機物の量は、水100質量部に対して、生産性を高める観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.2質量部以上、より更に好ましくは1.3質量部以上であり、回収効率を高める観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5.0質量部以下、より更に好ましくは4.0質量部以下、より更に好ましくは3.0質量部以下、より更に好ましくは2.5質量部以下、より更に好ましくは2.0質量部以下、より更に好ましくは1.5質量部以下である。本発明の製造方法ではこのように高濃度の疎水性有機物を用いたとしても適切な乳化物が得られ、高い回収効率を維持することができる。
【0040】
添加時の液Aの温度は、回収効率、空気比率、密度の観点から、好ましくは1℃以上、より好ましくは5℃以上、更に好ましくは8℃以上であり、好ましくは50℃以下、より好ましくは30℃以下、更に好ましくは20℃以下である。
工程1において、好ましくは液Aを周速0.1〜10m/秒で撹拌しながら、液Bが添加される。
周速は、適切な乳化物を得、密度の低いシリカを得る観点から、好ましくは0.2m/秒以上、より好ましくは0.3m/秒以上、更に好ましくは0.4m/秒以上、より更に好ましくは0.5m/秒以上であり、好ましくは5m/秒以下、より好ましくは2m/秒以下、更に好ましくは1.0m/秒以下、より更に好ましくは0.80m/秒以下である。
液Bを液Aに添加後、更に撹拌処理してもよい。
【0041】
添加終了後、空気の比率を高くし、回収効率を向上させる観点から、更に水を加えてもよい。この場合、水の添加量は、液A中の水との総量が、疎水性有機物に対して、乳化物を安定化させる観点から、好ましくは20質量倍以上、より好ましくは30質量倍以上であり、特に回収効率を向上させる観点から、好ましくは100質量倍以下、より好ましくは80質量倍以下、更に好ましくは60質量倍以下、更に好ましくは50質量倍以下である。
【0042】
<工程2>
工程2では、得られた乳化物にシリカ源を添加し、アルカリ性物質の存在下でシリカを含む外殻部を形成し、複合シリカ粒子を得る。乳化物にシリカ源を添加し、反応させることで、疎水性有機物の乳化油滴の表面にシリカを含む外殻部を有し、内部に疎水性有機物を含む複合シリカ粒子を形成することができる。
【0043】
〔シリカ源〕
シリカ源は、アルコキシシラン等の加水分解によりシラノール化合物を生成する物質であることが好ましい。具体的には、下記一般式(3)〜(7)で示される化合物、又はこれらの組合せを挙げることができる。
SiY
4 (3)
R
3SiY
3(4)
R
32SiY
2 (5)
R
33SiY (6)
Y
3Si−R
4−SiY
3 (7)
(式中、R
3はそれぞれ独立して、ケイ素原子に直接炭素原子が結合している有機基を示し、R
4は炭素原子を1〜4個有する炭化水素基又はフェニレン基を示し、Yは加水分解によりヒドロキシ基になる1価の加水分解性基を示す。)
【0044】
シリカ源は、疎水性有機物の利用効率の向上の点から、一般式(3)〜(7)において、R
3は、それぞれ独立して、好ましくは、水素原子の一部がフッ素原子に置換していてもよい炭素数1〜22の炭化水素基であり、疎水性有機物の利用効率の向上の点から、好ましくは炭素数1〜22、より好ましくは炭素数4〜18、さらに好ましくは炭素数8〜16のアルキル基、フェニル基、又はベンジル基である。R
4は、疎水性有機物の利用効率の向上の点から、炭素数1〜4のアルカンジイル基(メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、テトラメチレン基等)又はフェニレン基が好ましい。Yは、疎水性有機物の利用効率の向上の点から、好ましくは、水素原子、炭素数1〜22、より好ましくは炭素数1〜8、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基、又はフッ素を除くハロゲン基が好ましい。
【0045】
より具体的には、シリカ源としては、疎水性有機物の利用効率の向上の点から、次の化合物が好ましい。
・一般式(3)において、Yが炭素数1〜3のアルコキシ基であるか、又はフッ素を除くハロゲン基であるシラン化合物。
・一般式(4)又は(5)において、R
3がフェニル基、ベンジル基、又は水素原子の一部がフッ素原子に置換されている炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5の炭化水素基であるトリアルコキシシラン又はジアルコキシシラン。
・一般式(7)において、Yがメトキシ基であって、R
4がメチレン基、エチレン基又はフェニレン基である化合物。
これらの中でも、好ましくは一般式(3)で示される化合物であって、Yが炭素数1〜3のアルコキシ基である化合物である。
【0046】
これらの中でも、シリカ源としては、疎水性有機物の利用効率の向上の点から、好ましくは、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、及びジアルコキシシランから選ばれる少なくとも一種、より好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、及び1,1,1−トリフルオロプロピルトリエトキシシランから選ばれる少なくとも一種であり、更に好ましくは、テトラメトキシシラン、及びテトラエトキシシランから選ばれる少なくとも一種である。
【0047】
工程2のアルカリ性物質は、としては前述のアルカリ性物質が好ましく用いられる。アルカリ性物質は、工程2において添加してもよいし、工程1からのアルカリ性物質であってもよい。
【0048】
外殻部の形成反応の温度は、疎水性有機物の利用効率の向上の点から、好ましくは10℃以上であり、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下である。
外殻部の形成時間としては、疎水性有機物の利用効率の向上の点から、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上、更に好ましくは5分以上であり、好ましくは24時間以下、より好ましくは12時間以下、更に好ましくは6時間以下である。
なお複数種類の疎水性有機物を用いる場合、例えば、液体状態の温度が高いものと低いものとを混合する場合は、当業者であれば、揮発の程度を考慮しながら、乳化温度及び反応温度を決定することができる。
【0049】
工程2において、シリカ源の添加量は、疎水性有機物100体積部に対して、回収効率を高める観点から、好ましくは100体積部以上、より好ましくは120体積部以上、更に好ましくは130体積部以上、より更に好ましくは160体積部以上、より更に好ましくは210体積部以上、より更に好ましくは230体積部以上であり、好ましくは1000体積部以下、より好ましくは500体積部以下、更に好ましくは350体積部以下、より更に好ましくは280体積部以下、より更に好ましくは270体積部以下である。
工程2における界面活性剤の存在量は、外殻部の形成を容易にする観点から、工程1で得られた乳化物に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.10質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上であり、精製の容易性の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは2質量%以下、より更に好ましくは1.5質量%以下である。
工程2におけるアルカリ性物質の存在量は、外殻部の形成を容易にする観点から、工程1で得られた乳化物に対して、好ましく0.01質量%以上、より好ましく0.02質量%以上、更に好ましく0.03質量%以上、より更に好ましく0.05質量%以上、より更に好ましく0.10質量%以上であり、精製の容易性の観点から、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.8質量%以下、より更に好ましくは0.4質量%以下、より更に好ましくは0.25質量%以下である。
【0050】
乳化液にシリカ源を添加することで、複合シリカ粒子を含む懸濁液が得られる。得られた懸濁液を必要に応じて濃縮し、該懸濁液から複合シリカ粒子を分離する。
本発明において懸濁液を濃縮及び分離する方法は、特に限定するものではないが、遠心分離、フィルターろ過、多孔質膜による透析等を挙げることができる。
得られる複合シリカ粒子は、その製造工程において、陽イオン界面活性剤を使用する場合は、陽イオン界面活性剤が複合シリカ粒子内部、メソ細孔内、又はシリカ粒子表面に残留する可能性がある。陽イオン界面活性剤が残留しても問題ない場合は除去する必要はないが、残留する陽イオン界面活性剤の除去を望む場合は、この複合シリカ粒子を酸性溶液と接触させることにより除去することができる。
例えば、複合シリカ粒子を酸性水溶液中で混合することにより陽イオン界面活性剤を除去した後、必要に応じて、水洗し、疎水性有機物が揮発し過ぎない程度の温度で乾燥して、目的とする複合シリカ粒子を得ることができる。用いる酸性溶液としては、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸;酢酸、クエン酸等の有機酸;カチオン交換樹脂等を水やエタノール等に加えた液が挙げられるが、塩酸が特に好ましい。pHは通常1.5〜5.0に調整される。
【0051】
〔複合シリカ粒子〕
複合シリカ粒子は、シリカを含む外殻部を備え、かつ該外殻部の内部に疎水性有機物を含む複合シリカ粒子である。外殻部には、好ましくは、界面活性剤を鋳型とした細孔が粒子中心方向に向かって放射方向に形成されている。
複合シリカ粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上であり、好ましくは3μm以下、より好ましくは2.5μm以下、更に好ましくは1.5μm以下、更に好ましくは1.0μm以下、更に好ましくは0.7μm以下である。平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて加速電圧10kVで測定を行い、それぞれ200〜500個の粒子が含まれる5視野以上の画像に対して、画像解析ソフト(A像くん、旭化成エンジニアリング社製)を用いて、個数平均として求める。
【0052】
<工程3>
工程3では、複合シリカ粒子から疎水性有機物を除去し、中空シリカ粒子を得る。
疎水性有機物の除去方法としては、複合シリカの中心部に含まれる疎水性有機物を除去するため、例えば、焼成する、又は、疎水性有機物を溶解する溶媒により洗浄する方法が挙げられるが、好ましくは焼成して、複合シリカ粒子から疎水性有機物を除去する。
中空シリカ粒子は、その内部に中空部を備えた中空シリカ粒子であるが、前記方法により製造される複合シリカ粒子を、好ましくは350℃以上で焼成することで得られる。
中空シリカ粒子の製造方法は、複合シリカ粒子に内包されている疎水性有機物を除去する観点から350℃以上950℃以下の温度で焼成する(以下「工程3A」ともいう)工程を行うことが好ましく、更に950℃を超える温度で焼成する(以下「工程3B」ともいう)工程を行うことがより好ましい。あるいは工程3Bだけを行ってもよい。工程3A、工程3Bの焼成は例えば電気炉で行う。
工程3Aの焼成温度は、疎水性有機物を効率的に除去する観点から、好ましくは350℃以上、より好ましくは450℃以上であり、好ましくは800℃以下、より好ましくは700℃以下である。工程3Aの焼成時間は好ましくは1時間以上10時間以下である。当該焼成により、複合シリカ粒子に内包されている疎水性有機物を除去する。得られる中空シリカ粒子(A)は、その外殻部の基本構成は変わらず、内包されていた疎水性有機物や陽イオン界面活性剤は焼成により除去されている。
工程3Bの焼成温度は、疎水性有機物を効率的に除去する観点、及び外殻部を焼しめて細孔を閉塞する観点から、好ましくは960℃以上、より好ましくは970℃以上、更に好ましくは980℃以上であり、好ましくは1500℃以下、より好ましくは1300℃以下、更に好ましくは1200℃以下である。工程3Bの焼成時間は、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上であり、好ましくは100時間以下、より好ましくは72時間以下である。この工程3Bを行うことにより、得られる中空シリカ粒子(B)の外殻部を焼き締め、細孔を閉塞することができる。
【0053】
〔中空シリカ粒子〕
中空シリカ粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上であり、好ましくは3μm以下、より好ましくは2.5μm以下、更に好ましくは1.5μm以下、更に好ましくは1.0μm以下、更に好ましくは0.7μm以下である。平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて加速電圧10kVで測定を行い、それぞれ200〜500個の粒子が含まれる5視野以上の画像に対して、画像解析ソフト(A像くん、旭化成エンジニアリング社製)を用いて、個数平均として求める。
【実施例】
【0054】
以下、実施例により本発明を説明する。後述する実施例及び比較例において、シリカ粒子の各種測定は、以下の方法により行った。
【0055】
(1)密度及び空気の比率
ガス置換式のピクノメーター(カンタクローム社製、ウルトラピクノメーター1000、置換ガス:窒素)を用いて密度を測定した。測定した密度から、次式を用いて空気の比率を求めた。
空気の比率(体積%)=(シリカの真密度(2.2g/cm
3)−測定粒子密度)/シリカの真密度(2.2g/cm
3)×100
【0056】
(2)回収効率
(A)仕込みのヘキサン体積(cm
3)=仕込みのヘキサン質量(g)/ヘキサン密度(g/cm
3)
(B)空気部の体積(cm
3)
【数1】
【0057】
上記(A)、(B)式を用いて次式により算出した。
回収効率(体積%)=(B)/(A)×100
【0058】
(3)全体積に対する粒子に保持された空気の体積割合
全体積に対する粒子に保持された空気の体積割合は、以下のように算出した。
(A)空気部の体積(cm
3)
【数2】
【0059】
なお、シリカ源モル量(mol)=シリカ源質量(g)/シリカ源モル質量(g/mol)である。
(B)全体積(cm
3)=仕込みの親水性有機溶媒体積+仕込みの水体積+仕込みのアルカリ源体積+仕込みの疎水性有機物体積+仕込みの界面活性剤体積+仕込みのシリカ源体積
なお、それぞれの体積=仕込みのそれぞれの質量(g)/それぞれの密度(g/cm
3)である。
全体積に対する粒子に保持された空気の体積割合(体積%)=(A)/(B)×100
【0060】
(4)SiO
2換算体積
SiO
2換算体積は次式を用いて算出した。
SiO
2換算体積(cm
3)=仕込みのシリカ源重量(g)/シリカ源分子量(g/mol)×シリカ分子量(g/mol)/シリカの真密度(2.2g/cm
3)である。
【0061】
(5)シリカ源の添加量(体積部)
シリカ源の添加量は次式を用いて算出した。
シリカ源の添加量(体積部)=仕込みのシリカ源重量(g)/シリカ源密度(g/cm
3)/仕込みの疎水性有機物重量(g)×疎水性有機物密度(g/cm
3)×100である。
シリカ源及び疎水性有機物の密度は25℃における値を用いた。25℃におけるテトラメトキシシランの密度は1.02g/cm
3、テトラエトキシシランの密度は0.93g/cm
3、ヘキサン密度は0.655g/cm
3を用いた。
【0062】
実施例1
18LのSUS304製のジャケット付反応槽に水8000gを入れて10℃とし、これをA液とした。5Lのフラスコにメタノール(和光純薬工業株式会社製、一級)2670.0g、ヘキサン(和光純薬工業株式会社製、一級)160.0g、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド25質量%水溶液(セイケムアジア株式会社製)61.0g、カチオーゲンTML(第一工業製薬株式会社製、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド30質量%水溶液)184.5gを入れて、氷水につけることで7℃にしたB液を調製した。A液を攪拌しながらA液にB液を、A液の水100gあたり、添加速度1.3g/秒で添加し、さらに20秒間攪拌後、テトラメトキシシラン(多摩化学工業株式会社製)を340g加え、10分間攪拌を行った。得られた白濁水溶液を、5Cのろ紙(東洋濾紙株式会社製、品番5C)を用いてろ別し、100℃で乾燥機にて乾燥することにより、粒子内部にヘキサンを内包した複合シリカ粒子の白色粉末を得た。得られた複合シリカ粒子の白色粉末を、焼成炉(株式会社モトヤマ製、スーパーバーン)にて1100℃まで11時間で昇温し、その後1100℃で1時間保持することで内部のヘキサンを完全に除去し、中空シリカ粒子の白色粉末を得た。評価結果を表2に示す。
【0063】
実施例2、5〜9、13〜23
条件を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして中空シリカ粒子の白色粉末を得た。評価結果を表2に示す。
なお表中、カチオーゲンTMPは、第一工業製薬株式会社製セチルトリメチルアンモニウムクロライド30質量%水溶液である。
【0064】
実施例3、4、10〜12
反応槽に入れる水8000gを4000g又は2000gとし、A液をB液に添加し終わり、20秒間撹拌後に、水を4000g又は6000g添加した。その後、テトラメトキシシランを加えたことと、条件を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして中空シリカ粒子の白色粉末を得た。評価結果を表2に示す。
【0065】
実施例24
反応容器を18LのSUS304製のジャケット付反応槽から300LのSUS304製のジャケット付反応槽に変更し、5Lのフラスコを200LのSUS304製のジャケット付反応槽に変更し、さらに条件を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして中空シリカ粒子の白色粉末を得た。評価結果を表2に示す。
【0066】
実施例25
液Bの投入位置を底部に変更した以外は、実施例24と同様にして中空シリカ粒子の白色粉末を得た。評価結果を表2に示す。
【0067】
比較例1
18LのSUS304製のジャケット付反応槽に水8000gを入れて15℃とし、これをA液とした。18LのSUS304製のジャケット付反応槽にメタノール(和光純薬工業株式会社製、一級)2670.0g、ヘキサン(和光純薬工業株式会社製、一級)160.0g、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド25質量%水溶液(セイケムアジア株式会社製)61.0g、カチオーゲンTML(第一工業製薬株式会社製、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド30質量%水溶液)184.5gを入れて、7℃にしてB液を調製した。攪拌しながらB液にA液を添加し、さらに20秒間攪拌後、テトラメトキシシラン(多摩化学工業株式会社製)を340g加え、10分間攪拌を行った。得られた白濁水溶液を、5Cのろ紙を用いてろ別し、100℃で乾燥機にて乾燥することにより、粒子内部にヘキサンを内包した複合シリカ粒子の白色粉末を得た。得られた複合シリカ粒子の白色粉末を、焼成炉(株式会社モトヤマ製、スーパーバーン)にて1100℃まで11時間で昇温し、その後1100℃で1時間保持することで内部のヘキサンを完全に除去し、中空シリカ粒子の白色粉末を得た。評価結果を表2に示す。
【0068】
比較例2
ヘキサンの量を実施例6と同様にした以外は、比較例1と同様にして中空シリカ粒子の白色粉末を得た。評価結果を表2に示す。
【0069】
【表1-1】
【0070】
【表1-2】
【0071】
【表1-3】
【0072】
【表1-4】
【0073】
【表2】
【0074】
表2中の記号の意味は以下のとおりである。
S1−1:テトラメトキシシラン
S1−2:テトラエトキシシラン