(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
[電子写真用トナー]
本発明の電子写真用トナーは、非晶質樹脂A、非晶質樹脂B、結晶性樹脂C、ワックスX、及びワックスYを含有する。
本発明の電子写真用トナーでは、
前記非晶質樹脂Aは、軟化点が115℃以上150℃以下であり、アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合させて得られる重縮合系樹脂A1を少なくとも一部に含む樹脂であり、
前記非晶質樹脂Bは、軟化点が80℃以上115℃未満であり、芳香族ポリオール化合物を含有するアルコール成分と、芳香族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを重縮合させて得られる重縮合系樹脂成分B1とスチレン系樹脂成分B2を含む複合樹脂B
hであり、
前記結晶性樹脂Cは、炭素数9以上14以下の脂肪族ジオールを含有するアルコール成分と、炭素数9以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを重縮合させて得られる重縮合系樹脂成分C1とスチレン系樹脂成分C2を含む複合樹脂C
hであり、
前記ワックスXは、炭化水素ワックスであり、
前記ワックスYは、酸価1mgKOH/g以上50mgKOH/g以下のカルボン酸変性炭化水素ワックスである。
本発明によれば、低温定着性と耐久性が良好な電子写真用トナーを提供することができる。
【0009】
本発明の電子写真用トナーは、高軟化点の非晶質樹脂A、低軟化点の非晶質樹脂B、結晶性樹脂C、炭化水素ワックス、カルボン酸変性炭化水素ワックスを使用することで、結晶性樹脂Cを微分散させることができ、低温定着性と耐久性が良好な電子写真用トナーが得られたものと考えられる。
このような効果を奏する理由は次のように考えられる。非晶質樹脂Bを特定の重縮合系樹脂成分とスチレン系樹脂成分とを含む複合樹脂B
hにすることで、スチレン系樹脂成分と結晶性樹脂Cの相溶性が高くなり、分散性が良好になる。その結果、定着性と保存性が向上するが、複合樹脂B
hは、ポリエステル樹脂に比べて割れやすいこと、またトナー中に含まれるワックスと相溶しにくくなるため分散性が悪化し、耐久性が低下する。
本発明の電子写真用トナーでは、酸価1〜50mgKOH/gのカルボン酸変性炭化水素ワックスYを含有することによって、カルボン酸変性部分は結晶性樹脂Cの重縮合系樹脂成分と、カルボン酸変性炭化水素ワックスYは炭化水素ワックスXと相溶しやすくなり、炭化水素ワックスXの分散性が良好になる。その結果、定着性、耐久性に優れたトナーを提供できると考えられる。
【0010】
本発明において、各用語の意味は以下のとおりである。
「結晶性樹脂」とは、示差走査熱量計(DSC)による吸熱の最高ピーク温度(℃)に対する軟化点(℃)の比、すなわち[(軟化点)/(吸熱の最高ピーク温度)]で定義される結晶性指数の値が0.6以上、好ましくは0.8以上であり、そして、1.4未満、好ましくは1.2以下である樹脂をいう。
「非晶質樹脂」とは、前記結晶性指数の値が1.4以上、又は0.6未満の樹脂をいう。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、実施例に記載する測定方法の条件下で観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば結晶性樹脂の融点とし、軟化点との差が20℃を超えるピークは非晶質ポリエステルのガラス転移に起因するピークとする。
「結着樹脂」とは、非晶質樹脂A、非晶質樹脂B、結晶性樹脂Cの総称であり、含有量等において「結着樹脂に対して」とは、非晶質樹脂A、非晶質樹脂B、結晶性樹脂Cの合計量に対する数値を意味する。
【0011】
<非晶質樹脂A>
非晶質樹脂Aは、低温定着性及び耐久性の観点から、軟化点が115℃以上150℃以下である。
非晶質樹脂Aの軟化点は、低温定着性及び耐久性の観点から、好ましくは120℃以上、より好ましくは125℃以上、更に好ましくは130℃以上であり、そして、好ましくは150℃以下、より好ましくは145℃以下、更に好ましくは140℃以下である。
本発明の軟化点の測定方法は、実施例に記載の方法による。
【0012】
非晶質樹脂Aは、好ましくは、アルコール成分と、カルボン酸成分とを重縮合させて得られる重縮合系樹脂A1を少なくとも一部に含む樹脂である。
非晶質樹脂Aとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル、及びポリエステルからなる重合系樹脂成分を有する複合樹脂A
hが挙げられる。
【0013】
(アルコール成分)
アルコール成分としては、芳香族ポリオール化合物であっても、脂肪族ポリオール化合物であってもよい。
芳香族ポリオール化合物としては、低温定着性及び耐久性の観点から、好ましくは芳香族ジオールであり、より好ましくはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物であり、より好ましくは式(I):
【化1】
〔式中、RO及びORはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及びプロピレン基から選ばれる少なくとも1種であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上であり、好ましくは1.5以上であり、そして、16以下であり、好ましくは8以下、より好ましくは4以下である。〕で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物である。
【0014】
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのプロピレンオキサイド付加物、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を用いることができる。
【0015】
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上、更に好ましくは100モル%である。
【0016】
脂肪族ポリオール化合物としては、炭素数2以上20以下の脂肪族ジオール、グリセリン等の3価以上の脂肪族アルコール等が挙げられ、これらの中でも、上記脂肪族ジオールが好ましい。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を用いることができる。
【0017】
脂肪族ポリオール化合物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは50モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは15モル%以下、そして、0モル%以上である。
【0018】
(カルボン酸成分)
カルボン酸成分は、耐久性の観点から、芳香族ジカルボン酸化合物が好ましい。また、低温定着性の観点からは、脂肪族ジカルボン酸化合物が好ましい。
【0019】
芳香族ジカルボン酸化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸;それらの酸の無水物又はそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を用いることができる。これらの中では、テレフタル酸又はイソフタル酸がより好ましく、テレフタル酸が更に好ましい。
【0020】
芳香族ジカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは10モル%以上、より好ましくは30モル%以上、更に好ましくは50モル%以上であり、そして、100モル%以下である。
【0021】
脂肪族ジカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;それらの酸の無水物又はそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を用いることができる。これらの中でもフマル酸が好ましい。
【0022】
脂肪族ジカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上であり、そして、耐久性の観点から、好ましくは90モル%以下、より好ましくは80モル%以下である。
【0023】
また、カルボン酸成分は、生産性の観点から、3価以上のカルボン酸化合物を含有していることが好ましい。
【0024】
3価以上のカルボン酸化合物としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸又はこれらの酸無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、これらの中では、トリメリット酸及びその無水物(以下、トリメリット酸及びその無水物を総称して、単に「トリメリット酸等」ともいう。)が好ましい。
【0025】
3価以上のカルボン酸化合物の含有量、好ましくはトリメリット酸等の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは15モル%以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは50モル%以下、より好ましくは40モル%以下、より好ましくは35モル%以下、更に好ましくは30モル%以下である。
【0026】
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸が、分子量調整の観点から、適宜含有されていてもよい。
【0027】
カルボン酸成分とアルコール成分との当量比(COOH基/OH基)は、末端基を調整する観点から、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.2以下である。
【0028】
アルコール成分とカルボン酸成分の重縮合は、例えば、不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じて、エステル化触媒、重合禁止剤等の存在下、180℃以上250℃以下程度の温度で行うことができる。エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられる。エステル化触媒とともに用い得るエステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.6質量部以下である。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
【0029】
〔複合樹脂A
h〕
複合樹脂A
hは、好ましくは重縮合系樹脂成分A1及びスチレン系樹脂成分A2を有する。
重縮合系樹脂成分A1は、上述の重縮合系樹脂A1と同様のものが好ましい例として挙げられる。
【0030】
(スチレン系樹脂成分A2)
スチレン系樹脂成分A2としては、スチレン化合物を含む原料モノマーの付加重合により得られるものが好ましい。
スチレン化合物としては、少なくとも、スチレン、又はα−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体が用いられる。
【0031】
スチレン化合物の含有量は、スチレン系樹脂成分の原料モノマー中、耐久性の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、更に好ましく75質量%以上であり、低温定着性の観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは87質量%以下である。
【0032】
スチレン化合物以外に用いられるスチレン系樹脂成分の原料モノマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;エチレン、プロピレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等のジオレフィン類;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等のエチレン性モノカルボン酸エステル;ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のビニリデンハロゲン化物;N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物類等が挙げられる。
【0033】
スチレン化合物以外に用いられるスチレン系樹脂成分の原料モノマーは、単独又は2種以上を使用することができる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種を意味する。
【0034】
スチレン化合物以外に用いられるスチレン系樹脂成分の原料モノマーの中では、トナーの低温定着性を向上させる観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおけるアルキル基の炭素数は、上記の観点から好ましくは1以上、より好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、そして、好ましくは22以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは12以下、更に好ましくは8以下である。なお、該アルキルエステルの炭素数は、エステルを構成するアルコール成分由来の炭素数をいう。
【0035】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、「(イソ又はターシャリー)」、「(イソ)」は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を含むことを意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルであることを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの双方の場合を含むことを示す。
【0036】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、スチレン系樹脂成分A2の原料モノマー中、低温定着性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは13質量%以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
【0037】
なお、スチレン化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを含む原料モノマーを付加重合させて得られる樹脂をスチレン−(メタ)アクリル樹脂ともいう。
【0038】
スチレン系樹脂成分A2の原料モノマーの付加重合反応は、例えば、ジクミルパーオキサイド等の重合開始剤、架橋剤等の存在下、有機溶媒存在下又は無溶媒下で、常法により行うことができるが、温度条件としては、好ましくは110℃以上、より好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは235℃以下、より好ましくは220℃以下である。
【0039】
付加重合反応の際に有機溶媒を使用する場合、キシレン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等を用いることができる。有機溶媒の使用量は、スチレン系樹脂成分の原料モノマー100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下程度が好ましい。
【0040】
(両反応性モノマー)
複合樹脂A
hは、低温定着性及び耐久性の観点から、重縮合系樹脂成分A1の原料モノマーとスチレン系樹脂成分A2の原料モノマーに加えて、更に重縮合系樹脂成分A1の原料モノマー及びスチレン系樹脂成分A2の原料モノマーのいずれとも反応し得る、両反応性モノマーを用いて得られる複合樹脂であることが好ましい。したがって、重縮合系樹脂成分A1の原料モノマー及びスチレン系樹脂成分A2の原料モノマーを重合させて複合樹脂A
hを得る際に、重縮合反応及び/又は付加重合反応は、両反応性モノマーの存在下で行うことが好ましい。これにより、複合樹脂A
hは、両反応性モノマー由来の構成単位を介して重縮合系樹脂成分A1とスチレン系樹脂成分A2とが結合した複合樹脂A
hとなり、重縮合系樹脂成分A1とスチレン系樹脂成分A2とがより微細に、かつ均一に分散したものとなる。
【0041】
即ち、複合樹脂A
hは、トナーの耐久性及び低温定着性を向上させる観点から、(i)式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有するアルコール成分と、芳香族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを含む、重縮合系樹脂成分A1の原料モノマー、(ii)スチレン系樹脂成分A2の原料モノマー、及び(iii)重縮合系樹脂成分A1の原料モノマー及びスチレン系樹脂成分A2の原料モノマーのいずれとも反応し得る両反応性モノマーを重合させることにより得られる樹脂であることが好ましい。
【0042】
両反応性モノマーとしては、分子内に、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基から選ばれる少なくとも1種の官能基、好ましくは水酸基及びカルボキシ基から選ばれる少なくとも1種の官能基、より好ましくはカルボキシ基とエチレン性不飽和結合とを有する化合物が好ましく、このような両反応性モノマーを用いることにより、分散相となる樹脂の分散性をより向上させることができる。両反応性モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸から選ばれる少なくとも1種であることが好ましいが、重縮合反応及び付加重合反応の反応性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸又はフマル酸がより好ましい。但し、重合禁止剤と共に用いた場合は、フマル酸等のエチレン性不飽和結合を有する多価カルボン酸は、重縮合系樹脂成分の原料モノマーとして機能する。この場合、フマル酸等は両反応性モノマーではなく、重合系樹脂成分の原料モノマーである。
【0043】
両反応性モノマーの使用量は、低温定着性の観点から、重縮合系樹脂成分A1のアルコール成分の合計100モルに対して、好ましくは1モル以上、より好ましくは2モル以上、更に好ましくは3モル以上であり、そして、耐久性の観点から、好ましくは20モル以下、より好ましくは10モル以下、更に好ましくは7モル以下である。
【0044】
複合樹脂A
hにおける重縮合系樹脂成分A1とスチレン系樹脂成分A2との質量比(重縮合系樹脂成分A1/スチレン系樹脂成分A2)は、低温定着性の観点から、好ましくは60/40以上、より好ましくは70/30以上、更に好ましくは75/25以上であり、そして、耐久性の観点から、好ましくは95/5以下、より好ましくは90/10以下、更に好ましくは85/15以下である。なお、上記の計算において、重縮合系樹脂成分A1の質量は、用いられる重縮合系樹脂成分の原料モノマーの質量から、重縮合反応により脱水される反応水の量(計算値)を除いた量であり、両反応性モノマーの量は、重縮合系樹脂成分A1の原料モノマー量に含める。また、スチレン系樹脂成分A2の量は、スチレン系樹脂成分A2の原料モノマー量であるが、重合開始剤の量はスチレン系樹脂成分A2の原料モノマー量に含める。
【0045】
〔非晶質樹脂Aの物性〕
非晶質樹脂Aのガラス転移温度は、耐久性を向上させる観点から、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上であり、そして、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは65℃以下である。
【0046】
非晶質樹脂Aの酸価は、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは20mgKOH/g以下であり、そして、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは2mgKOH/g以上である。
【0047】
〔非晶質樹脂Aの含有量〕
非晶質樹脂Aの含有量は、結着樹脂の合計量に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
【0048】
<非晶質樹脂B>
非晶質樹脂Bは、低温定着性及び耐久性の観点から、軟化点が80℃以上115℃未満である。
非晶質樹脂Bの軟化点は、低温定着性及び耐久性の観点から、好ましくは90℃以上、より好ましくは95℃以上、更に好ましくは100℃以上であり、そして、好ましくは113℃以下、より好ましくは110℃以下である。
本発明の軟化点の測定方法は、実施例に記載の方法による。
【0049】
非晶質樹脂Bは、低温定着性及び耐久性の観点から、芳香族ポリオール化合物を含有するアルコール成分と、芳香族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを重縮合させて得られる重縮合系樹脂成分B1とスチレン系樹脂成分B2を含む複合樹脂B
hである。
【0050】
〔重合系樹脂成分B1〕
芳香族ポリオール化合物としては、非晶質樹脂Aで例示した芳香族ポリオール化合物と同様のものが好適な例として挙げられ、その含有量も非晶質樹脂Aの場合と同様の範囲が好ましい。
アルコール成分として、芳香族ポリオール化合物の他に、脂肪族ポリオール化合物が含まれていてもよく、脂肪族ポリオール化合物は、非晶質樹脂Aで例示したもの及び含有量の範囲が好ましい。
【0051】
芳香族ジカルボン酸化合物としては、非晶質樹脂Aで例示した芳香族ジカルボン酸化合物と同様のものが好適な例として挙げられ、その含有量も非晶質樹脂Aの場合と同様の範囲が好ましい。
カルボン酸成分として、芳香族ジカルボン酸化合物の他に、脂肪族ジカルボン酸化合物、3価以上のカルボン酸化合物等が含まれていてもよく、脂肪族ジカルボン酸化合物、3価以上のカルボン酸化合物は、非晶質樹脂Aで例示したもの及び含有量の範囲が好ましい。
【0052】
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸が、分子量調整の観点から、適宜含有されていてもよい。
【0053】
カルボン酸成分とアルコール成分との当量比(COOH基/OH基)は、末端基を調整する観点から、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.0以下、更に好ましくは0.9以下である。
【0054】
アルコール成分とカルボン酸成分の重縮合の好適な条件は、非晶質樹脂Aで例示した条件と同様である。
【0055】
〔スチレン系樹脂成分B2〕
スチレン系樹脂成分B2としては、スチレン化合物を含む原料モノマーの付加重合により得られるものが好ましい。
スチレン化合物及びその含有量、スチレン化合物以外に用いられるスチレン系樹脂成分の原料モノマー及びその含有量、スチレン系樹脂成分の原料モノマーの付加重合反応条件、両反応性モノマー及びその使用量、複合樹脂における重縮合系樹脂成分とスチレン系樹脂成分との質量比の好適例は、非晶質樹脂Aで例示したものと同様である。
【0056】
〔非晶質樹脂Bの物性〕
非晶質樹脂Bのガラス転移温度は、耐久性を向上させる観点から、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上であり、そして、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは65℃以下である。
【0057】
非晶質樹脂Bの酸価は、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは20mgKOH/g以下であり、そして、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは2mgKOH/g以上である。
【0058】
〔非晶質樹脂Bの含有量〕
非晶質樹脂Bの含有量は、結着樹脂の合計量に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは40質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
【0059】
<結晶性樹脂C>
結晶性樹脂Cは、低温定着性及び耐久性の観点から、炭素数9以上14以下の脂肪族ジオールを含有するアルコール成分と、炭素数9以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを重縮合させて得られる重縮合系樹脂成分C1とスチレン系樹脂成分C2を含む複合樹脂C
hを少なくとも一部に含む樹脂である。
【0060】
〔重縮合系樹脂成分C1〕
(アルコール成分)
アルコール成分は、炭素数9以上14以下の脂肪族ジオールを含有する。
炭素数9以上14以下の脂肪族ジオールとしては、低温定着性及び耐久性の観点から、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール等が挙げられる。これらの中でも、1,10-デカンジオール、及び1,12-ドデカンジオールから選ばれる少なくとも1種が好ましく、1,12-ドデカンジオールがより好ましい。
炭素数9以上14以下の脂肪族ジオールの含有量は、低温定着性及び耐久性の観点から、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、より更に好ましくは95モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下、より好ましくは100モル%である。
【0061】
アルコール成分は、炭素数9以上14以下の脂肪族ジオール以外の他のアルコールを含有していてもよい。
他のアルコール成分としては、炭素数9以上14以下の脂肪族ジオール以外の脂肪族ジオール、芳香族ジオール、脂環式ジオール、3価以上の多価アルコール、又はそれらの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数1以上16以下)付加物等が挙げられる。
炭素数9以上14以下の脂肪族ジオール以外のアルコール成分としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,4-ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、2,3-ブタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2,3-ヘキサンジオール、3,4-ヘキサンジオール、2,4-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール等が挙げられる。
【0062】
(カルボン酸成分)
カルボン酸成分は、炭素数9以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有する。
炭素数9以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物としては、例えば、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、炭素数5以上10以下のアルキル基又は炭素数5以上10以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、低温定着性及び耐久性の観点から、セバシン酸、及びドデカン二酸から選ばれる少なくとも1種が好ましく、セバシン酸がより好ましい。
なお、脂肪族ジカルボン酸化合物の炭素数は、直鎖又は分岐鎖の炭化水素基の炭素数にカルボキシ基の炭素数を含めたものであり、アルキルエステルの炭素数は含めない。
【0063】
カルボン酸成分中の、炭素数9以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物の含有量は、低温定着性及び耐久性の観点から、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、より更に好ましくは95モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下、より好ましくは100モル%である。
【0064】
カルボン酸成分は炭素数9以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物以外の他のカルボン酸成分を含有していてもよい。
他のカルボン酸成分としては、炭素数9以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物以外のジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸、並びにそれらの無水物及びそれらの炭素数1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
カルボン酸成分には、遊離酸だけでなく、反応中に分解して酸を生成する無水物、及び各カルボン酸の炭素数1以上3以下のアルキルエステルも含まれる。
芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。
炭素数9以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物以外の脂肪族ジカルボン酸化合物としては、例えば、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、炭素数1以上4以下のアルキル基又は炭素数2以上4以下のアルケニル基で置換されたコハク酸、炭素数11以上20以下のアルキル基又は炭素数11以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等が挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸としては、トリメリット酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
これらは単独又は2種以上を用いることができる。
【0065】
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸が、分子量調整の観点から、適宜含有されていてもよいが、カルボン酸成分が1価のカルボン酸を含有することが好ましい。
1価のカルボン酸としては、好ましくは炭素数8以上25以下の脂肪族モノカルボン酸である。
脂肪族モノカルボン酸の炭素数は、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは14以上であり、そして、好ましくは23以下、より好ましくは20以下、より好ましくは18以下である。
脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、オクタデカン酸等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を用いることができる。
【0066】
1価のカルボン酸の含有量は、カルボン酸成分に対して、分子量制御の観点から、好ましくは1モル%以上、より好ましくは3モル%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
【0067】
〔スチレン系樹脂成分C2〕
スチレン系樹脂成分C2としては、スチレン化合物を含む原料モノマーの付加重合により得られるものが好ましい。
スチレン化合物としては、少なくとも、スチレン、又はα−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体が用いられる。
【0068】
スチレン化合物の含有量は、スチレン系樹脂成分C2の原料モノマー中、低温定着性及び耐久性の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、更に好ましく75質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、そして、更に好ましくは100質量%である。
これらの中でも、低温定着性及び耐久性の観点から、スチレンが好ましい。
スチレンの含有量は、低温定着性及び耐久性の観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、そして、更に好ましくは100質量%である。
【0069】
(両反応性モノマー)
両反応性モノマーとしては、上述の非晶質樹脂Aで挙げた両反応性モノマーと同様のものが挙げられ、好ましい化合物の種類及び使用量も同様である。
【0070】
複合樹脂C
hにおける重縮合系樹脂成分C1とスチレン系樹脂成分C2との質量比(重縮合系樹脂成分C1/スチレン系樹脂成分C2)は、低温定着性の観点から、好ましくは60/40以上、より好ましくは70/30以上、更に好ましくは75/25以上であり、そして、耐久性の観点から、好ましくは95/5以下、より好ましくは90/10以下、更に好ましくは85/15以下である。なお、上記の計算において、重縮合系樹脂成分C1の質量は、用いられる重縮合系樹脂成分C1の原料モノマーの質量から、重縮合反応により脱水される反応水の量(計算値)を除いた量であり、両反応性モノマーの量は、重縮合系樹脂成分C1の原料モノマー量に含める。また、スチレン系樹脂成分C2の量は、スチレン系樹脂成分C2の原料モノマー量であるが、重合開始剤の量はスチレン系樹脂成分C2の原料モノマー量に含める。
【0071】
スチレン系樹脂成分C2の原料モノマーの付加重合反応条件、両反応性モノマー及びその使用量は、非晶質樹脂Aで例示したものと同様である。
【0072】
〔結晶性樹脂Cの物性〕
結晶性樹脂Cの軟化点は、低温定着性及び耐久性の観点から、好ましくは55℃以上、より好ましくは65℃以上、更に好ましくは78℃以上であり、そして、好ましくは120℃以下、より好ましくは105℃以下、更に好ましくは95℃以下である。
結晶性樹脂Cの酸価は、低温定着性及び耐久性の観点から、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは20mgKOH/g以下であり、そして、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは2mgKOH/g以上である。
結晶性樹脂Cの軟化点、及び酸価は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。
結晶性樹脂Cの軟化点、及び酸価は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0073】
結晶性樹脂Cの含有量は、低温定着性及び耐久性の観点から、結着樹脂の合計量に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
【0074】
<ワックスX>
電子写真用トナーは、炭化水素ワックスであるワックスX(以下、単に「ワックスX」ともいう)を含有する。なお、ワックスXには、ワックスYは含まれず、好ましくは酸価1mgKOH/g未満、より好ましくは酸価0mgKOH/gの炭化水素ワックスである。
ワックスXの融点は、低温定着性及び耐久性の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは75℃以上、更に好ましくは80℃以上、更に好ましくは90℃以上であり、そして、低温定着性を高める観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下である。
なお、測定方法の詳細は、後述する実施例で説明する。
【0075】
ワックスXとしては、好ましくは未変性の炭化水素ワックスであり、具体的には、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス;マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素ワックスが挙げられる。これらは単独又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、パラフィンワックス、及びフィッシャートロプシュワックスから選ばれる少なくも1種が好ましい。パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの市販品としては、日本精蝋株式会社製の「HNP-11」、「HNP-9」、「HNP-10」、「FT-0070」、「HNP-51」、「FNP-0090」、「SX-105」等が挙げられる。
【0076】
ワックスXの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、低温定着性及び耐久性の観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
【0077】
<ワックスY>
電子写真用トナーは、酸価1mgKOH/g以上50mgKOH/g以下のカルボン酸変性炭化水素ワックスであるワックスY(以下、単に「ワックスY」ともいう)を含有する。
ワックスYの酸価は、低温定着性及び耐久性の観点から、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは5mgKOH/g以上、更に好ましくは10mgKOH/g以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは40mgKOH/g以下、更に好ましくは30mgKOH/g以下である。
ワックスYの融点は、低温定着性及び耐久性の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上であり、そして、低温定着性を高める観点から、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下、より好ましくは100℃以下である。
なお、測定方法の詳細は、後述する実施例で説明する。
【0078】
ワックスYとして用いられる、カルボン酸変性炭化水素ワックスは、炭化水素ワックスに、カルボキシ基を導入することで得ることできる。
カルボン酸変性の方法としては、炭化水素ワックスを空気等の酸素を含むガスと接触させ加熱する方法が挙げられる。この場合、加熱温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは150℃以上であり、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、更に好ましくは180℃以下である。
その他のカルボン酸変性の方法としては、例えば、特開2006−328388号公報、特開2007−84787号公報等に記載の方法が挙げられる。具体的には、炭化水素ワックスの溶融物に、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化化合物(反応開始剤)とカルボン酸化合物を添加して反応させることで、カルボキシ基を導入することができる。原料の炭化水素ワックスとしては、上述のワックスXで挙げた例が好ましい。
ワックスYの市販品としては、例えば、「ハイワックス1105A」(無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、三井化学株式会社製)等が挙げられる。
【0079】
ワックスYの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、低温定着性及び耐久性の観点から、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
【0080】
ワックスXとワックスYの質量比(ワックスX/ワックスY)は、低温定着性及び耐久性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上であり、そして、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは8以下である。
【0081】
<荷電制御剤>
本発明の電子写真用トナーは、荷電制御剤を含有する。
荷電制御剤は、特に限定されず、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-04」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-09」、「ボントロンN-11」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリヱント化学工業株式会社製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP-B」(オリヱント化学工業株式会社製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成工業株式会社製)等;スチレン−アクリル系樹脂、例えば「FCA-701PT」(藤倉化成株式会社製)等が挙げられる。
【0082】
また、負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS-31」、「ボントロンS-32」、「ボントロンS-34」、「ボントロンS-36」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」、「T-77」(保土谷化学工業株式会社製)等;ベンジル酸化合物の金属化合物、例えば、「LR-147」、「LR-297」(以上、日本カーリット株式会社製)等;サリチル酸化合物の金属化合物、例えば、「ボントロンE-81」、「ボントロンE-84」、「ボントロンE-88」、「ボントロンE-304」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)、「TN-105」(保土谷化学工業株式会社製)等;銅フタロシアニン染料;4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(クラリアント社製)、ニトロイミダゾール誘導体等;有機金属化合物等が挙げられる。
荷電制御剤の中でも、負帯電性荷電制御剤が好ましく、サリチル酸化合物の金属化合物がより好ましい。
【0083】
荷電制御剤の含有量は、低温定着性及び耐久性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、更に好ましくは0.1質量部以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
【0084】
<着色剤>
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
【0085】
着色剤の含有量は、低温定着性及び耐久性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
【0086】
原料には、更に、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が適宜用いられていてもよい。
【0087】
本発明の電子写真用トナーの体積中位粒径(D
50)は、トナーの低温定着性と耐オフセット性の観点及び結着樹脂中への分散性の観点から、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。
体積中位粒径(D
50)の測定方法は、実施例に記載の方法による。
【0088】
[電子写真用トナーの製造方法]
本発明の電子写真用トナーの製造方法としては、
(1)結着樹脂、ワックスX及びワックスYを含むトナー用原料混合物を溶融混練し、得られた溶融混練物を粉砕してトナーを製造する方法、
(2)結着樹脂、ワックスX及びワックスYを水溶性媒体中に分散させた分散液を含むトナー用原料混合物中で、結着樹脂粒子を凝集及び融着させてトナー粒子を得ることによりトナーを製造する方法、
(3)結着樹脂、ワックスX及びワックスYを水溶性媒体中に分散させた分散液とトナー用原料を高速撹拌させてトナー粒子を得ることによりトナーを製造する方法
等が挙げられる。
【0089】
前記のいずれの方法でトナーを製造する場合においても、結着樹脂の使用量は、トナー中、低温定着性及び耐久性の観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、より好ましくは99質量%以下である。
【0090】
(1)結着樹脂、ワックスX及びワックスYを含むトナー用原料混合物を溶融混練し、得られた溶融混練物を粉砕してトナーを製造する方法(溶融混練法)
(1)の方法は、好ましくは下記工程1及び工程2を含む。
工程1:結着樹脂、ワックスX及びワックスYを含むトナー用原料混合物を溶融混練する工程
工程2:工程1で得られた溶融混練物を粉砕し、分級する工程
【0091】
また、工程1では、着色剤、荷電制御剤等の添加剤も、ともに溶融混練することが好ましい。
溶融混練には、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができる。混練の繰り返しや分散助剤の使用をしなくても、トナー中に着色剤、荷電制御剤、離型剤等の添加剤を効率よく高分散させる観点から、オープンロール型混練機を用いることが好ましく、該オープンロール型混練機には、ロールの軸方向に沿って供給口と混練物排出口が設けられていることが好ましい。
【0092】
結着樹脂、ワックス、着色剤、荷電制御剤等のトナー原料は、あらかじめヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機で混合した後、混練機に供給することが好ましい。
【0093】
オープンロール型混練機とは、混練部が密閉されておらず解放されているものをいい、混練の際に発生する混練熱を容易に放熱することができる。また、連続式オープンロール型混練機は、少なくとも2本のロールを備えた混練機であることが好ましく、本発明に用いられる連続式オープンロール型混練機は、周速度の異なる2本のロール、即ち、周速度の高い高回転側ロールと周速度の低い低回転側ロールとの2本のロールを備えた混練機である。本発明においては、着色剤、荷電制御剤、離型剤等の添加剤のトナー中での分散性を向上させる観点、溶融混練時の機械力を低減し、発熱を抑制する観点、及び溶融混練時の温度を低減させる観点から、高回転側ロールは加熱ロール、低回転側ロールは冷却ロールであることが好ましい。
【0094】
ロールの温度は、例えば、ロール内部に通す熱媒体の温度により調整することができる。
ロール内の加熱温度は、添加剤の分散性の観点から、好ましくは20℃以上、より好ましくは30℃以上であり、そして、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下である。
【0095】
高回転側ロールのロール回転周速度は、ワックス、着色剤、荷電制御剤等の添加剤のトナー中での分散性を向上させる観点、溶融混練時の機械力を低減し、発熱を抑制する観点から、好ましくは20m/min以上、より好ましくは25m/min以上、より好ましくは30m/min以上であり、そして、好ましくは50m/min以下、より好ましくは45m/min以下、より好ましくは40m/min以下である。
低回転側ロールのロール回転周速度は、同様の観点から、好ましくは10m/min以上、より好ましくは15m/min以上、より好ましくは20m/min以上であり、そして、好ましくは40m/min以下、より好ましくは35m/min以下、より好ましくは30m/min以下である。
【0096】
ロールの構造、大きさ、材料等は特に限定されず、ロール表面も、平滑、波型、凸凹型等のいずれであってもよいが、混練シェアを高め、着色剤、荷電制御剤、離型剤等の添加剤のトナー中での分散性を向上させる観点、溶融混練時の機械力を低減し、発熱を抑制する観点から、各ロールの表面には複数の螺旋状の溝を有することが好ましい。
【0097】
工程1で得られた溶融混練物を、粉砕が可能な程度に冷却した後、続く工程2に供する。
【0098】
工程2では、工程1で得られた溶融混練物を粉砕し、分級する。
【0099】
粉砕工程は、多段階に分けて行ってもよい。例えば、溶融混練物を硬化させて得られた樹脂混練物を、1〜5mm程度に粗粉砕した後、更に所望の粒径に微粉砕してもよい。
【0100】
粉砕工程に用いられる粉砕機は特に限定されないが、例えば、粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、ハンマーミル、アトマイザー、ロートプレックス等が挙げられる。また、微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、流動層式ジェットミル、衝突板式ジェットミル、回転型機械式ミル等が挙げられる。粉砕効率の観点から、流動層式ジェットミル、及び衝突板式ジェットミルを用いることが好ましく、流動層式ジェットミルを用いることがより好ましい。
【0101】
分級工程に用いられる分級機としては、ロータ式分級機、気流式分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられる。分級工程の際、粉砕が不十分で除去された粉砕物は再度粉砕工程に供してもよく、必要に応じて粉砕工程と分級工程を繰り返してもよい。
【0102】
(1)の方法の場合、更に下記工程3を含んでいてもよい。
工程3:分級し得られた粉体と外添剤を混合する工程
外添剤としては、疎水性シリカ、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子及びポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等が挙げられ、これらの中でも、疎水性シリカが好ましい。
外添剤を用いてトナー粒子の表面処理を行う場合、外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
【実施例】
【0103】
樹脂等の各物性値等については次の方法により測定、評価した。
【0104】
[測定方法]
〔炭化水素ワックスの融点(Mp)〕
示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/minで昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点とした。
【0105】
〔炭化水素ワックスの酸価〕
JIS K0070の方法に基づき測定した。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、クロロホルムに変更した。
【0106】
〔樹脂の酸価〕
樹脂の酸価は、JIS K0070の方法に基づき測定した。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
【0107】
〔樹脂の軟化点、吸熱の最大ピーク温度、及びガラス転移温度〕
(1)軟化点
フローテスター「CFT-500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
(2)吸熱の最大ピーク温度
示差走査熱量計「Q-100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、室温(20℃)から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料をそのままの温度で1分間維持し、その後、昇温速度10℃/分で180℃まで昇温しながら測定した。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最大ピーク温度とした。
(3)ガラス転移温度
示差走査熱量計「Q-100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した。次に昇温速度10℃/分で150℃まで昇温しながら測定した。吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
【0108】
〔体積中位粒径(D
50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5%電解液
分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D
50)を求めた。
【0109】
[評価方法]
〔低温定着性〕
未定着画像を取れる様に改造した、プリンター「OKI MICROLINE 5400」(株式会社沖データ製)にトナーを充填し、3×4cm角のベタ画像の未定着画像を印刷した。「OKI MICROLINE 3010」(株式会社沖データ製)を改造した外部定着装置を使用して、定着ロールの回転速度120mm/secにて、定着ロールの温度を100℃から200℃まで5℃ずつ上昇させながら、各温度でこの未定着画像の定着処理を行い、定着画像を得た。各定着温度で得られた画像を500gの荷重がかかるように重りでテープに圧力をかけた後、テープを剥離し、擦り前後の画像濃度を測定した。擦り前後の画像濃度は、画像濃度測定器「GREGSPM50」(Gretag社製)を用いて測定し、擦り前後の画像濃度比率([擦り後の画像濃度/擦り前の画像濃度]×100)が最初に90%を超える温度を最低定着温度とし、低温定着性の指標とした。値が小さいほど低温定着性に優れる。
【0110】
〔耐久性〕
現像ローラを目視で見ることができるように改造した株式会社沖データ製のIDカートリッジ「ML-5400用、イメージドラム」にトナーを実装し、温度30℃、湿度50%の条件下で、70r/min(36 ppm(枚数/分)相当)で空回し運転を行い、現像ローラフィルミングを目視にて観察した。フィルミング発生までの時間を耐久性の指標とした。耐久性は現像ローラフィルミング発生までの時間が長いほど、耐久性に優れることを示す。
【0111】
[樹脂製造例]
製造例A1,B2:樹脂A-1及びB-2
表に示すフマル酸及び無水トリメリット酸以外のポリエステルの原料モノマー、2-エチルヘキサン酸錫(II)40g及び没食子酸1gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃にて8時間反応を行った。反応後、8.3kPaにて1時間反応させた。
さらに、210℃に降温して、無水トリメリット酸、及びフマル酸を添加し、樹脂A-1及びB-2(非晶質ポリエステル樹脂)を得た。
【0112】
製造例A2,B1:樹脂A-2及びB-1
表に示す無水トリメリット酸以外の重縮合系樹脂成分の原料モノマー、エステル化触媒を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃にて12時間反応を行った後、8.3kPaにて1時間反応させた。
160℃に降温し、スチレン系樹脂成分の原料モノマー、両反応性モノマー及びジクミルパーオキサイドを滴下ロートにより1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間付加重合反応を熟成させた後、210℃に昇温し、8.3kPaにて1時間スチレン系樹脂成分の原料モノマーの除去を行った。
さらに、210℃にて、無水トリメリット酸を添加し、所望の軟化点に達するまで反応させて、樹脂A-2及びB-1(非晶質複合樹脂)を得た。
【0113】
【表1】
【0114】
製造例C1,C2:樹脂C-1及びC-2
表に示すセバシン酸以外のポリエステルの原料モノマーを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、120℃に加熱した。120℃にて、表2に示すセバシン酸のうち1.5kgを添加し、さらに160℃まで加熱し、6時間反応させた。その後、表2に示すスチレン系樹脂成分の原料モノマー及び両反応性モノマーを滴下ロートにより1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間付加重合反応を熟成させた後、8.3kPaにて1時間スチレン系樹脂成分の原料モノマーの除去を行った。さらに、残りのセバシン酸を添加し、200℃まで8時間かけて昇温、8.3kPaにて30分反応させた。さらに、2-エチルヘキサン酸錫(II)20g及び没食子酸2gを添加し、200℃にて1時間反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させて、樹脂C-1及びC-2(結晶性ハイブリッド樹脂)を得た。
【0115】
【表2】
【0116】
[変性ワックスの製造]
製造例Y1:カルボン酸変性ワックスの製造方法
パラフィンワックス「SX-105」(日本精蝋株式会社製)1200gをガラス製の円筒反応器に入れ、空気を少量吹き込みながら170℃まで昇温し、170℃にて空気(22リットル/分)を吹き込みながら無触媒にて120分反応を行い、カルボン酸変性ワックスを得た。カルボン酸変性ワックスの酸価は21mgKOH/gであった。融点は100℃であった。
【0117】
[電子写真用トナーの製造]
実施例1〜6
表に示す所定量の結着樹脂と、着色剤「ECB-301」(大日精化工業株式会社製、フタロシアニンブルー(P.B.15:3))4質量部、荷電制御剤「ボントロンE-304」(オリヱント化学工業株式会社製)0.5質量部、及びワックスX 5質量部、ワックスY 1質量部をヘンシェルミキサーにて混合後、以下に示す条件で溶融混練した。表中で使用したワックスXは、酸価が0mgKOH/gである。
得られた原料混合物をテーブルフィーダーにて、連続式オープンロール型混練機「ニーデックス」(三井鉱山株式会社製)に供給して混練を行い、混練物を得た。この際に使用した連続式オープンロール型混練機は、ロール外径が0.14m、有効ロール長が0.8mのものであり、運転条件は、高回転側ロール(前ロール)の回転数が75r/min(周速度33m/min)、低回転側ロール(後ロール)の回転数が50r/min(周速度22m/min)、2本のロールの周速度の比(低回転側ロール/高回転側ロール)が0.67、ロール間隙が0.1mmであった。ロール内の加熱及び冷却媒体温度は、高回転ロールの原料投入側の温度を150℃、混練物排出側の温度を100℃、低回転ロールの原料投入側の温度を75℃及び混練物排出側の温度を30℃に設定した。また、原料混合物の供給速度は10kg/h、平均滞留時間は約5分間であった。
得られた混練物を冷却し、粉砕機「ロートプレックス」(東亜機械工業株式会社製)により粗粉砕し、目開きが2mmのふるいを用いて粒径が2mm以下の粗粉砕物を得た。ターボミル「RS400」(フロイント・ターボ株式会社製)にて微粉砕・上限分級(粗粉除去)を行った。さらに、分級機「TTSP」(ホソカワアルピネ社製)にて下限分級(微粉除去)を行い、体積中位粒径が7.0μmのトナー粒子を得た。トナー円形度の調整は、ターボミルによる微粉砕時の原料供給量およびターボミルによる微粉砕回数を変更することにより調整した。
得られたトナー粒子100質量部と、外添剤として、疎水性シリカ「R972」(日本アエロジル株式会社製、疎水化処理剤:DMDS、平均粒径:16nm)1.0質量部、及び疎水性シリカ「RY-50」(日本アエロジル株式会社製、疎水化処理剤:シリコーンオイル、平均粒径:40nm)1.0質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)にて3000r/min(周速度32m/sec)で3分間混合して、トナーを得た。評価を行った結果を表3に示す。
【0118】
比較例1〜7
表に示す所定量の結着樹脂と、着色剤「ECB-301」(大日精化工業株式会社製、フタロシアニンブルー(P.B.15:3))4質量部、荷電制御剤「ボントロンE-304」(オリヱント化学工業株式会社製)0.5質量部、及びワックスX等 5質量部、ワックスY 1質量部をヘンシェルミキサーにて混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
上記溶融混練後は、実施例1と同様の方法でトナーを得た。評価を行った結果を表3に示す。
【0119】
表中、使用した材料は以下のとおりである。
ワックスX
X-1:パラフィンワックス「SX-105」(日本精蝋株式会社製、融点:102℃)
X-2:パラフィンワックス「HNP-9」(日本精蝋株式会社製、融点:78℃)
比較用ワックス
C-1:カルナウバワックス「C2」(株式会社加藤洋行製、融点:85℃)
ワックスY
Y-1:製造例Y1で得られたカルボン酸変性ワックス
【0120】
【表3】
【0121】
上記実施例1〜6の電子写真用トナーと、比較例1〜7のトナーとを対比することで、本発明の電子写真用トナーによれば、優れた低温定着性と、優れた耐久性とを両立できる電子写真用トナーが得られることが理解できる。