(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記演算回路部は、前記接触検知センサにより前記人体との接触が検知された場合は、前記特定機能部の前記特定の機能を実行するように制御することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
前記特定機能部は、前記特定の機能として、前記使用者の活動量の計測、前記使用者の移動距離の計測、前記使用者の移動速度の計測、前記使用者の心拍数の計測、前記使用者の脈拍数の計測、前記使用者に対する情報の表示、及び、外部の機器との通信、の少なくとも何れかを実行することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子機器。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る電子機器及びその制御方法、制御プログラムについて、実施形態を示して詳しく説明する。ここでは、説明を簡明化するために、電子機器の一例としてリストバンド型や腕時計型の外観形状を有するウェアラブル機器を示して説明する。
<第1の実施形態>
(電子機器)
図1は、本発明に係る電子機器の第1の実施形態を示す概略構成図である。ここで、
図1(a)、(b)は、本実施形態に係る電子機器の外観構成の一例を示す概略斜視図であり、
図1(c)は、本実施形態に係る電子機器の、人体への装着例を示す概略図である。
図2は、本実施形態に係る電子機器に適用される接触検知センサの配置例を示す概略図である。ここで、
図2(a)、(c)は、接触検知センサの配置を説明するために、便宜的に、機器ケースを形成する部材を平面的に延ばして、内周面側から見た概略図であり、
図2(b)、(d)は、電子機器を側面方向(
図1(a)中、IA方向)から見た概略図である。また、
図3は、本実施形態に係る電子機器の機能構成の一例を示す概略ブロック図である。なお、本実施形態においては、図示を明瞭にするために、接触検知センサに便宜的にハッチングを施して示す。
【0014】
第1の実施形態に係る電子機器100は、例えば
図1(a)、(b)に示すように、略帯状の部材からなる機器ケース102が長手方向(延在方向)に沿って湾曲し、図中IA方向から矢視した側面形状が円環状又は円弧状に形成された、リストバンド型や腕時計型の外観形状を有している。また、機器ケース102の長手方向の両端部は、例えば
図1(a)に示すように、互いに巻き込むように変形して重なり合ったり、例えば
図1(b)に示すように、互いに近接したり、あるいは、図示を省略したバックルやアタッチメント等により接続されたりするように形成されている。このような構造により、機器ケース102の内周側の空間(装着空間)104が円柱状に確定されて、
図1(c)に示すように、機器ケース102の内周面(装着空間104側の面)がユーザの手首UShや腕等に少なくとも一部が接触又は密着した状態で電子機器100が装着される。ここで、機器ケース102を形成する部材は、ユーザが電子機器100を手首USh等に装着する際、及び、装着して使用する際に、ある程度の変形を許容しつつ、装着空間104の形状を保持できる程度の剛性や強度を備えるとともに、人体(肌)に接触しても違和感を持たない程度の質感を有していることが好ましい。
【0015】
また、本実施形態に係る電子機器100は、例えば
図1(a)、(b)及び
図2(a)、(c)に示すように、機器ケース102の内周面に、1乃至複数の接触検知センサ112が、例えば露出して配置されている。具体的には、接触検知センサ112は、例えば
図2(a)に示すように、機器ケース102の内周面となる帯状の部材の一面側に、唯一つのみ配置されている。この場合、
図1(c)に示したように、ユーザが電子機器100を手首USh等に装着した状態で、接触検知センサ112は、
図2(b)に示すように、人体(手首USh)に必ず接触、又は、密着する位置に配置される。また、接触検知センサ112は、例えば
図2(c)に示すように、機器ケース102の内周面となる帯状の部材の一面側に、所定の間隔で複数個(図では4個)配置されている。この場合、ユーザが電子機器100を手首USh等に装着した状態で、
図2(d)に示すように、少なくとも、複数の接触検知センサ112のうちのいずれか一つ、又は、所定の個数が人体(手首USh)に必ず接触、又は、密着する位置に配置される。このように、本実施形態に適用される接触検知センサ112は、ユーザが電子機器100に対して特別な操作をすることなく、電子機器100を人体の所定の部位に装着することにより、必然的に人体に直接接触する位置又は領域に配置される。
【0016】
このような接触検知センサ112は、例えばタッチパネルとして多用されている静電容量方式や抵抗膜方式のタッチセンサを良好に適用することができる。また、接触検知センサ112は、例えば圧電素子や、押しボタン等の機構式のスイッチ等を適用するものであってもよい。また、後述するように、電子機器100が特定機能部140として例えば心拍数の計測処理を行うための心拍センサを備えている場合には、心拍センサに適用される一対の検出用電極を、接触検知センサ112として適用するものであってもよいし、例えば脈拍数の計測処理を行うための脈拍センサを備えている場合には、脈拍センサに適用される光源部(発光素子)と受光部(受光素子)の組み合わせを、接触検知センサ112として適用するものであってもよい。なお、機器ケース102に配置される接触検知センサ112の個数や形状、大きさについては特に限定するものではなく、任意に設定するものであってもよい。
【0017】
本実施形態に係る電子機器100は、例えば
図3に示すように、大別して、接触検知部110と、副演算回路部(第1の演算回路部)120と、主演算回路部(演算回路部、第2の演算回路部)130と、特定機能部140と、電源供給部150と、を有している。ここで、副演算回路部120は、本発明に係る第1の演算回路部に対応し、主演算回路部130は、本発明に係る演算回路部、又は、第2の演算回路部に対応する。
【0018】
接触検知部110は、上述した接触検知センサ112を1乃至複数個備え、ユーザが電子機器100を手首USh等に装着した際の、人体との接触状態を検知して、その接触検知信号を副演算回路部120に出力する。
【0019】
副演算回路部120は、CPU(中央演算処理装置)やMPU(マイクロプロセッサ)等の演算処理装置であって、所定のプログラムを実行することにより、接触検知部110におけるセンシング動作を制御するとともに、主演算回路部130との間で各種の信号を送受信することにより主演算回路部130における動作を制御する。特に、副演算回路部120は、接触検知部110から出力される接触検知信号に基づいて、主演算回路部130に所定の通知信号(装着通知信号)を送信することにより、主演算回路部130を休止状態から起動して駆動状態にするように制御したり、駆動状態から休止状態にするように制御したりする。ここで、副演算回路部120は、少なくとも、接触検知部110からの接触検知信号を受けて、主演算回路部130に通知信号を送信する機能を実行することができる程度の処理能力を有していればよく、比較的処理能力が低い(ローパフォーマンス)演算処理装置を適用することができる。そして、このような演算処理装置は、一般に低い動作周波数で各種の処理動作を実行するため消費電力が比較的小さなもの(ロ―パワー)となる。
【0020】
主演算回路部130は、上述した副演算回路部120と同様に、CPUやMPU等の演算装置であって、所定のプログラムを実行することにより、電子機器100全体の動作を制御する。特に、主演算回路部130は、副演算回路部120から送信される通知信号に基づいて制御されて、休止状態から起動されて駆動状態にされたり、駆動状態から休止状態にされたりする。また、主演算回路部130は、上記の通知信号に基づいて、特定機能部140における特定の機能の実行を制御するものであってもよい。ここで、主演算回路部130は、少なくとも、特定機能部140における比較的高度な機能(例えば、活動量の計測処理、移動距離の計測処理、心拍の計測処理等)を実行制御することができる程度の処理能力を有している必要があり、比較的処理能力が高い(ハイパフォーマンス)演算処理装置が適用される。そして、このような演算処理装置は、一般に高い動作周波数で各種の処理動作を実行するため消費電力が比較的大きなもの(ハイパワー)となる 。
【0021】
特定機能部140は、上述した主演算回路部130からの指示に従って、特定の機能を実行する。具体的には、特定機能部140は例えばユーザの活動量や移動距離、移動速度、心拍数、脈拍数等を計測したり、ユーザに提供する任意の情報を表示したり、電子機器100の外部の機器と通信をしたりする機能を有している。
【0022】
電源供給部150は、電子機器100内部の各構成に駆動用の電力を供給する。電源供給部150は、例えば市販のボタン型電池等の一次電池や、リチウムイオン電池等の二次電池、あるいは、振動や光、熱、電磁波等のエネルギーにより発電する環境発電技術による電源等を、単独で、あるいは、併用して適用することができる。
【0023】
なお、本実施形態に係る電子機器100は、上記の各構成に加え、各種の情報の設定や特定機能部140を操作するための入力操作部や、副演算回路部120や主演算回路部130、接触検知部110、特定機能部140において生成(算出)されたり、取得されたりしたデータ等を保存するためのメモリ部等を備えているものであってもよい。
【0024】
(電子機器の制御方法)
次に、本実施形態に係る電子機器の制御方法について、図面を参照して説明する。ここでは、ユーザが電子機器を装着する際と、取り外した際の各制御方法について個別に説明する。ここで、以下に示す一連の処理動作は、上述した主演算回路部130及び副演算回路部120において所定の制御プログラムを実行することにより実現される。
【0025】
図4は、本実施形態に係る電子機器における制御方法の一例を示すフローチャートである。また、
図5は、本実施形態に係る電子機器における作用効果の優位性を説明するための説明図である。
【0026】
まず、本実施形態においては、電子機器100の電源供給部150に一次電池や二次電池等のバッテリ電源が取り付けられたり、電子機器100に内蔵されたバッテリ電源が充電されたりすると、副演算回路部120が起動して、接触検知部110において接触検知センサ112によるスキャン動作を開始するとともに、主演算回路部130が休止(スリープ)状態等の低消費電力状態で動作し、特定機能部140において特定の機能が実行されない状態にされる(以下、この状態を「初期状態」と記す)。この初期状態においては、実質的に電源供給部150から主演算回路部130への駆動電力の供給が最小レベルに抑制されるとともに、副演算回路部120には所定の駆動電力が供給されるので、電子機器100は、低消費電力モードで動作することになる。ここで、接触検知センサ112によるスキャン動作は、電子機器100の人体への装着又は非装着の状態に関わらず、例えば1〜2秒程度の間隔で継続して実行される。
【0027】
ユーザが電子機器100を装着する際の制御方法は、
図4(a)に示すように、まず、上述したように初期状態に設定された電子機器100が人体に非装着の状態においては、接触検知センサ112により所定の周期でスキャン動作が継続して実行されている(ステップS102)。そして、副演算回路部120は接触検知部110から送信される接触検知信号に基づいて、接触検知センサ112が人体に接触したか否かを判定する(ステップS104)。接触検知部110から接触検知信号が送信された場合(ステップS104のYes)には、副演算回路部120は、接触検知センサ112が人体に接触して電子機器100が人体に装着された状態(装着状態)にあるものと判定し、主演算回路部130に対して装着通知信号を送信する。一方、接触検知部110から接触検知信号が送信されない場合(ステップS104のNo)には、副演算回路部120は接触検知センサ112が人体に接触していない状態(非装着状態)にあるものと判定し、ステップS102に戻って、接触検知センサ112におけるスキャン動作を継続する。
【0028】
ここで、電子機器100が人体に装着されたか否かの判定は、周期的にスキャン動作を行う接触検知センサ112が人体との接触状態を継続して検知した回数や、検知した接触検知センサ112の数に基づいて判定される。例えば、接触検知センサ112により継続して複数回検知した場合や、複数の接触検知センサ112が同時に又は略同時期に一定時間以上検知した場合には、副演算回路部120は、電子機器100が人体に装着された装着状態にあると判定する。これにより、ユーザや周囲の物品が短期的又は部分的に接触検知センサ112に接触しただけの状態を装着状態と誤判定することを防止することができる。
【0029】
次いで、主演算回路部130は、副演算回路部120から装着通知信号を受信することにより、休止(スリープ)状態等の低消費電力状態から復起、又は、起動されて、特定機能部140における特定の機能(例えば、活動量や移動距離、心拍等の計測処理)を実行する(ステップS106)。ここで、この主演算回路部130の復起、又は、起動に対応するように、電源供給部150から主演算回路部130に対して通常の駆動電力が供給される。
【0030】
次に、ユーザが電子機器100を取り外した際の制御方法は、
図4(b)に示すように、まず、電子機器100が人体に装着された状態においては、上述したように、接触検知センサ112によるスキャン動作が継続して実行され(ステップS122)、人体との接触を示す接触検知信号が周期的に副演算回路部120に送信されている。そして、副演算回路部120はこの接触検知信号に基づいて、接触検知センサ112が人体に接触した状態にあるか否かを判定する(ステップS124)。接触検知部110から接触検知信号が送信されなくなった場合(ステップS124のNo)には、副演算回路部120は、接触検知センサ112が人体に接触しておらず電子機器100が人体から取り外された状態(非装着状態)にあるものと判定し、主演算回路部130に対して非装着通知信号を送信する。一方、接触検知部110から接触検知信号が送信されている場合(ステップS124のYes)には、副演算回路部120は接触検知センサ112が人体に接触した状態(装着状態)にあるものと判定し、ステップS122に戻って、接触検知センサ112におけるスキャン動作を継続する。
【0031】
ここで、電子機器100が人体から取り外されたか否かの判定は、上述した装着判定処置と同様に、周期的にスキャン動作を行う接触検知センサ112が人体との接触状態を継続して検知しなくなった回数や、検知しなくなった接触検知センサ112の数に基づいて判定される。例えば、接触検知センサ112により継続して複数回検知しなくなった場合や、複数の接触検知センサ112が同時に又は略同時期に一定時間以上検知しなくなった場合には、副演算回路部120は、電子機器100が人体から取り外された非装着状態にあると判定する。これにより、ユーザが電子機器100を装着した状態で、激しい動作や特殊な姿勢等をすることにより瞬間的に非接触になった状態を非装着状態と誤判定することを防止することができる。
【0032】
次いで、主演算回路部130は、副演算回路部120から非装着通知信号を受信することにより、特定機能部140において特定の機能を実行させる通常の駆動状態から休止(スリープ)状態等の低消費電力状態に移行する(ステップS126)。また、この主演算回路部130の休止状態への移行に対応するように、電源供給部150から主演算回路部130への駆動電力が最小レベルに抑制される。これにより、電子機器100は、上述した初期状態と同様に、低消費電力モードで動作することになる。
【0033】
このように、本実施形態においては、ユーザが電子機器100を装着する際に、人体と接触する機器ケース102の表面(内周面)に1乃至複数の接触検知センサ112を設け、人体との接触状態を検知した場合にのみ、電子機器100を起動させることができ、一方、人体に対して非接触状態においては、電子機器100を低消費電力状態で動作させることができる。具体的には、背景技術に記載したように、機器ケースの外面に露出するようにタッチパネルや機構式のスイッチ等が設けられた電子機器においては、例えば
図5(a)、(b)に示すように、バッグ210の中に収納したり、机220の上に載置したりした際に、周辺の物品との接触や近接によりスイッチがオン動作して電子機器の誤動作や誤起動を生じる場合がある。すなわち、静電容量式のタッチパネルを備えた電子機器においては、
図5(a)に示すように、同じバッグ210内に収納されたスマートフォン等の電界を発生する他の機器等や、
図5(b)に示すように、金属製や導電性の机等に近接したり接触したりすると、これらの物品とタッチパネルとの間に静電容量が生じてスイッチが電気的にオン状態になり、電子機器の誤動作や誤起動を生じる場合がある。また、抵抗膜式のタッチパネルや機構式のスイッチを備えた電子機器においても、
図5(a)、(b)に示すように、同じバッグ210内に収納された他の物品や机等の表面に接触したり当接したりすると、スイッチが物理的に押圧されてオン状態になり、電子機器の誤動作や誤起動を生じる場合がある。
【0034】
これに対して、本実施形態においては、電子機器100を人体に装着した場合に、必然的に人体が接触する位置に接触検知センサ112が配置されている。したがって、機器ケースの外面に露出して設けられた起動制御用のタッチパネルや機構式のスイッチに替えて、本実施形態に係る接触検知センサ112による接触検知信号を起動制御に用いることにより、周辺の物品との接触等によりユーザの意図に反してスイッチが誤操作されることがなく、電子機器100の誤動作や誤起動の発生を防止して、電力の浪費を抑制することができる。
【0035】
<変形例>
上述した実施形態においては、接触検知部110に設けられる接触検知センサ112の検知感度については、特に限定しなかったが、電子機器100の装着、非装着の状態に応じて、検知感度を変更する(又は切り替える)ようにしてもよい。すなわち、接触検知センサ112として静電容量式のタッチパネルを適用した場合、
図5(a)、(b)に示したように、周辺に電界を生じる物品や、金属製や導電性の物品が存在すると、上記の背景技術の構成と同様に、接触検知センサ112との間に静電容量が生じてスイッチが電気的にオン状態になり、ユーザの意図に反して電子機器の誤動作や誤起動を生じる場合が考えられる。本実施形態においては、接触検知センサ112を機器ケース102の内面側に設け、かつ、その配置や形状を工夫することにより、ユーザの意図に反する誤動作や誤起動の発生を抑制することができる。さらに、本実施形態においては、変形例として、接触検知部110における接触検知センサ112の検知感度(スレッシュホールド)を、装着時に比較して非装着時には低く設定することにより、電子機器の誤動作や誤起動をより確実に防止することができる。具体的には、一般に静電容量式のタッチパネルにおける接触検知は、人体等の間に静電容量を生じる電極に生じる微小な電圧を差動増幅器により増幅して検知電圧として用いる回路構成(例えば、直列容量分圧比例方式に適用される検知回路)が多様されているが、変形例においては、非装着状態における差動増幅器の増幅率を、装着時よりも低く設定して検知感度を下げる。これにより、周辺物品の影響を受けにくくなり、ユーザの意図に反する誤動作や誤起動の発生を抑制することができる。
【0036】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る電子機器の第2の実施形態について説明する。ここで、上述した第1の実施形態と同等の構成及び処理動作については説明を簡略化する。
【0037】
上述した第1の実施形態においては、ユーザが電子機器100を装着する際に、必然的に接触する位置に1乃至複数の接触検知センサ112を配置して、人体との接触状態を検知した場合にのみ、電子機器100を起動させる場合について説明した。第2の実施形態においては、機器ケース102の内周面に設けられた1乃至複数の接触検知センサ112による接触状態の検知に加え、外周面に設けられたタッチパネルや機構式スイッチ等に対するユーザの意図的な操作に基づいて、電子機器100を起動させることを特徴としている。
【0038】
(電子機器)
図6は、本発明に係る電子機器の第2の実施形態を示す概略構成図である。また、
図7は、本実施形態に係る電子機器の機能構成の一例を示す概略ブロック図である。なお、本実施形態(後述する
図8を含む)においては、図示を明瞭にするために、接触検知センサ及びタッチパネルに便宜的にハッチングを施して示す。
【0039】
第2の実施形態に係る電子機器100は、例えば
図6に示すように、円環状又は円弧状に形成された機器ケース102の内周面に1乃至複数の接触検知センサ112が設けられ、さらに、機器ケース102の外周面に、タッチパネル182が前面(視野側)に配置された表示パネル172、及び、押しボタン等の機構式のスイッチ184が設けられている。
【0040】
本実施形態に係る電子機器100は、例えば
図7に示すように、大別して、上述した第1の実施形態に示した接触検知部110と、副演算回路部120と、主演算回路部130と、電源供給部150に加え、メモリ部160と、特定機能部140としての表示部170と、入力操作部180と、を有している。ここで、接触検知部110及び電源供給部150は、上述した第1の実施形態と同等であるのでその説明を省略する。
【0041】
副演算回路部120は、所定のプログラムを実行することにより、接触検知部110からの接触検知信号に基づいて、主演算回路部130に所定の通知信号(装着通知信号)を送信するとともに、ユーザが入力操作部180を操作することにより発生する操作信号に基づいて、主演算回路部130に所定の制御信号を送信する。
【0042】
主演算回路部130は、所定のプログラムを実行することにより、副演算回路部120からの通知信号及び制御信号に基づいて、休止状態と駆動状態間の移行を制御するとともに、入力操作部180における入力操作に応じた各種の処理動作や、表示部170における表示動作、メモリ部160への書込み読出し動作等を制御する。
【0043】
メモリ部160は、主演算回路部130において実行される処理動作により生成される各種のデータや、表示部170に表示する各種のデータを所定の記憶領域に保存する。なお、メモリ部160は、その一部又は全部が、例えばメモリカード等のリムーバブル記憶媒体としての形態を有し、電子機器100に対して着脱可能に構成されているものであってもよい。
【0044】
表示部170は、
図6に示すように、機器ケース102の外周面に、機器ケース102の長手方向に沿って湾曲して設けられた表示パネル172を有し、主演算回路部130からの制御により表示パネル172に、例えば現在時刻やユーザが所望する各種の情報を表示する。ここで、表示パネル172は、機器ケース102の形状に沿って湾曲する表示デバイスであれば、例えば液晶方式や有機EL等の発光素子方式、電子ペーパー方式等の各種の表示パネルを適用することができる。
【0045】
入力操作部180は、
図6に示すように、機器ケース102の外周面に沿って設けられたタッチパネル182や、機器ケース102の側面等から突出して設けられた押しボタン等の機構式スイッチ184を有している。ここで、タッチパネル182は、機器ケース102の外周面に設けられた表示パネル172の前面(視野側)に、表示パネル172と同程度の平面的な広がりを有して配置されている。入力操作部180は、各種の情報を設定したり、表示パネル172に表示された情報に基づいて所望の機能を実行させたりする操作に用いられ、ユーザによる入力操作に応じて操作信号が副演算回路部120に出力される。なお、
図6においては、入力操作部180として、表示パネル172の前面に配置されたタッチパネル182と、押しボタン等の機構式スイッチ184との両方が設けられた構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、いずれか一方のみを有しているものであってもよいし、他の方式の入力手段を有しているものであってもよい。
【0046】
ここで、本実施形態に適用される表示部170及び入力操作部180の基板構造について具体例を示して説明する。
図8は、本実施形態に係る電子機器に適用される基板構造の一例を示す概略図である。
【0047】
本実施形態に適用される表示部170及び入力操作部180が搭載される内部基板は、例えば
図8に示すように、帯状の長手方向を一致させて平行に配列した基板174aと基板174bが、対向する特定の側面部分において連結部174cにより連結した構造を有している。これらの基板174a、174b及び連結部174cは、フレキシブル基板により一体的に形成されている。基板174aの一面側(紙面表面側)には、表示部170の表示パネル172が基板174aの長手方向に沿って設けられ、その上層に入力操作部180のタッチパネル182が表示パネル172と同程度の平面的な広がりを有して設けられている。タッチパネル182は基板174aの端部に配置されたコネクタ176を介して、基板174aの他面側(紙面裏面側)に設けられた入力検知用のコントロールIC178に電気的に接続されている。また、基板174bの一面側(紙面表面側)には、接触検知部110の接触検知センサ112が1乃至複数設けられ、配線LNを介して、基板174aの他面側に設けられたコントロールIC178に電気的に接続されている。
【0048】
このような内部基板を、
図8に示すように、基板174a、174b間を連結する連結部174cにおいて基準線CLで2つ折り(
図8では山折り)にし、基板174a、174bの他面側同士を対向するように配置する。そして、機器ケース102の湾曲形状に対応させて変形させて、機器ケース102内に収納することにより、機器ケース102の外周面に表示パネル172とタッチパネル182が配置され、内周面に1乃至複数の接触検知センサ112が配置された、
図6に示した電子機器100の構成が得られる。
【0049】
このような内部基板の構造によれば、接触検知センサ112としてタッチパネル182と同様の静電容量方式や抵抗膜方式を適用することにより、基板174aの一面側に設けられるタッチパネル182と、基板174bの一面側に設けられる接触検知センサ112とを同一の製造工程で製造することができるので、生産効率を向上させることができる。
【0050】
なお、
図8においては、基板174a、174bを連結部174cにおいて2つ折りにした構造を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、連結部174cを用いることなく、帯状の基板174aに表示パネル172及びタッチパネル182を形成し、帯状の基板174bに接触検知センサ112形成した後、基板174a、174bを積層し、コネクタ等により電気的に接続した多層基板構造を適用するものであってもよい。また、単一の帯状のフレキシブル基板の一面側に表示パネル172及びタッチパネル182を形成し、他面側に接触検知センサ112を形成した両面実装構造を適用するものであってもよい。このような基板構造によれば、高密度実装により内部基板の厚みを薄くして、電子機器100の薄型化や小型化に寄与することができる。
【0051】
(電子機器の制御方法)
次に、本実施形態に係る電子機器の制御方法について、図面を参照して説明する。ここでも、上述した第1の実施形態と同様に、ユーザが電子機器を装着する際と、取り外した際の各制御方法について個別に説明する。
図9は、本実施形態に係る電子機器における制御方法の一例を示すフローチャートである。ここで、上述した第1の実施形態と同等の処理については、説明を簡略化する。
【0052】
ユーザが電子機器100を装着する際の制御方法は、
図9(a)に示すように、まず、上述した第1の実施形態と同様に、初期状態に設定された電子機器100が人体に非装着の状態においては、接触検知センサ112によるスキャン動作が継続して実行される(ステップS202)。そして、副演算回路部120は、接触検知センサ112から送信される接触検知信号に基づいて、接触検知センサ112が人体に接触したと判定した場合(ステップS204のYes)には、主演算回路部130に対して装着通知信号を送信する。主演算回路部130は、副演算回路部120から装着通知信号を受信することにより、休止(スリープ)状態等の低消費電力状態から復起、又は、起動するための待機(スタンバイ)状態に移行する。一方、接触検知部110から接触検知信号が送信されない場合(ステップS204のNo)には、ステップS202に戻って、接触検知センサ112におけるスキャン動作が継続される。
【0053】
次いで、副演算回路部120は、入力操作部180から送信される操作信号に基づいて、ユーザにより電子機器100を起動するための所定のスイッチ操作が実行されたか否かを判定する(ステップS206)。入力操作部180から操作信号が送信された場合(ステップS206のYes)には、副演算回路部120は、ユーザにより所定のスイッチ操作が実行されたものと判定し、主演算回路部130に対して起動制御信号を送信する。一方、入力操作部180から操作信号が送信されない場合(ステップS206のNo)には、ステップS202に戻って、接触検知センサ112におけるスキャン動作が継続される。
【0054】
ここで、ユーザによる電子機器100を起動するためのスイッチ操作としては、タッチパネル182により特定の領域をタッチしたり、機構式スイッチ184を長押ししたりする操作や、予め設定したパスワードや暗証番号を入力する操作等によるロック解除操作を適用することができる。これにより、ユーザが電子機器100を使用する意図を持って操作した場合のみ、電子機器100を起動制御することができ、単に人体に装着しただけの状態での起動を防止することができる。
【0055】
次いで、主演算回路部130は、副演算回路部120から起動制御信号を受信することにより、待機(スタンバイ)状態から起動して、表示部170における通常の表示動作を実行する(ステップS208)。ここで、この主演算回路部130の起動に対応するように、電源供給部150から主演算回路部130に対して通常の駆動電力が供給される。
【0056】
なお、本実施形態においては、接触検知センサ112により人体に接触した(人体に装着された)と判定された場合に、主演算回路部130を待機状態に移行させ、さらに、入力操作部180によりユーザによる所定のスイッチ操作が実行された場合に、主演算回路部130を起動等させる制御方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、電子機器100が、図示を省略した特定の機能(例えば、活動量や移動距離、心拍等の計測処理)を有している場合等には、接触検知センサ112により人体に接触した(人体に装着された)と判定された場合に、主演算回路部130を起動等して、例えば上記の特定機能の実行を開始してもよい。そして、入力操作部180によりユーザによる所定のスイッチ操作が実行された場合に、上記の特定機能に関わる情報等を表示部170に表示するようにしてもよい。これにより、ユーザが電子機器100を装着した状態にあれば、ユーザがスイッチ操作を行うことにより特定機能に関わる情報等を迅速に提供することができる。
【0057】
次に、ユーザが電子機器100を取り外した際の制御方法は、
図9(b)に示すように、まず、上述した第1の実施形態と同様に、電子機器100が人体に装着された状態においては、接触検知センサ112によるスキャン動作が継続して実行される(ステップS222)。そして、副演算回路部120は、接触検知部110から送信される接触検知信号に基づいて、接触検知センサ112が人体に接触した状態にあるか否かを判定する(ステップS224)。副演算回路部120は、接触検知部110から接触検知信号が一定時間以上送信されなくなった場合(ステップS224のNo)には、電子機器100が非装着状態にあるものと判定して、主演算回路部130に対して非装着通知信号を送信する。一方、副演算回路部120は、接触検知部110から接触検知信号が送信されている場合(ステップS224のYes)には、電子機器100が装着状態にあるものと判定して、ステップS222に戻って、接触検知センサ112におけるスキャン動作を継続する。
【0058】
また、副演算回路部120は、ステップS224における人体との接触検知の判定処理に並行して、入力操作部180から送信される操作信号に基づいて、ユーザにより電子機器100を使用するためのスイッチ操作が実行されているか否かを判定する(ステップS226)。副演算回路部120は、入力操作部180から操作信号が一定時間以上送信されなくなった場合(ステップS226のNo)には、ユーザが電子機器100を使用していない状態にあるものと判定して、主演算回路部130に対して休止制御信号を送信する。一方、副演算回路部120は、入力操作部180から操作信号が継続して送信されている場合(ステップS226のYes)には、ユーザが電子機器100を使用している状態にあるものと判定して、ステップS222に戻って、接触検知センサ112におけるスキャン動作を継続する。
【0059】
次いで、主演算回路部130は、副演算回路部120から非装着通知信号又は休止制御信号を受信することにより、通常の駆動状態から休止(スリープ)状態等の低消費電力状態に移行する(ステップS228)。また、この主演算回路部130の休止状態への移行に対応するように、電源供給部150から主演算回路部130への駆動電力が最小レベルに抑制され、これにより、電子機器100は、初期状態に示した低消費電力モードで動作することになる。
【0060】
このように、本実施形態においては、機器ケース102の外周面や側面にタッチパネル182や機構式スイッチ184を備えた電子機器100の内周面に、1乃至複数の接触検知センサ112を設け、接触検知センサ112により人体との接触状態を検知し、かつ、タッチパネル182や機構式スイッチ184によりユーザの意図的なスイッチ操作を検出した場合にのみ、電子機器100を起動させることができる。一方、人体に対して非接触状態やユーザによる意図的なスイッチ操作がない状態では、電子機器100を低消費電力状態で動作させることができる。具体的には、背景技術に記載したように、機器ケースの外面や側面にタッチパネルや機構式のスイッチ等が設けられた電子機器においては、
図5(a)、(b)に示したように非装着状態であっても、また、例えば
図5(c)に示すように装着状態であっても、周辺の物品や机等との接触や近接によりスイッチが電気的又は物理的にオン状態になり、電子機器の誤動作や誤起動を生じる場合がある。
【0061】
これに対して、本実施形態においては、電子機器100を人体に装着した状態に加え、ユーザにより意図的にスイッチ操作が行われた場合にのみ、電子機器100が起動するように制御される。したがって、電子機器100を装着していない状態や、ユーザが電子機器100を装着しただけで特定の機能の使用の意図がない状態では、周辺の物品との接触等によりユーザの意図に反して電子機器100が誤動作や誤起動することがなく、電力の浪費を抑制することができる。
【0062】
なお、本実施形態においても、上述した第1の実施形態の変形例と同様に、電子機器100の装着時に比較して非装着時における、接触検知センサ112の検知感度を低く設定することにより、周辺物品の影響を受けにくくなり、ユーザの意図に反する電子機器の誤動作や誤起動をより確実に防止することができる。
【0063】
<第3の実施形態>
次に、本発明に係る電子機器の第3の実施形態について説明する。ここで、上述した第1及び第2の実施形態と同等の構成及び処理動作については説明を簡略化する。
【0064】
上述した第1及び第2の実施形態においては、電子機器100をユーザが装着した状態、又は、電子機器100を装着した状態で、さらに、所定のスイッチ操作を行った状態を検知して、電子機器100を起動させる場合について説明した。第3の実施形態においては、電子機器100の動きを検出するモーションセンサを備え、電子機器100の状態変化又は装着状態と、スイッチ操作の有無に基づいて、電子機器100を起動させることを特徴としている。
【0065】
(電子機器)
図10は、本発明に係る電子機器の第3の実施形態の機能構成の一例を示す概略ブロック図である。
第3の実施形態に係る電子機器100は、上述した第2の実施形態(
図6参照)と同様に、機器ケース102の内周面に接触検知センサ112が設けられ、機器ケース102の外周面に表示パネル172やタッチパネル182、機構式のスイッチ184が設けられている。
【0066】
本実施形態に係る電子機器100は、例えば
図10に示すように、大別して、上述した第2の実施形態(
図7参照)に示した各構成に加え、モーションセンサ190を有している。ここで、副演算回路部120、及び、主演算回路部130、モーションセンサ190以外の構成は、上述した第2の実施形態と同等であるのでその説明を省略する。
【0067】
副演算回路部120は、所定のプログラムを実行することにより、モーションセンサ190からの状態検出信号に基づいて、電子機器100の状態変化(静止状態か否か)を判定するとともに、その判定結果に基づいて、接触検知センサ112によるスキャン動作の周期を制御する。副演算回路部120は、電子機器100の状態変化の判定結果、及び、接触検知部110からの接触検知信号に基づいて、主演算回路部130に所定の通知信号(装着通知信号)を送信するとともに、入力操作部180からの操作信号に基づいて、主演算回路部130に所定の制御信号を送信する。
【0068】
主演算回路部130は、第2の実施形態と同様に、所定のプログラムを実行することにより、副演算回路部120からの通知信号及び制御信号に基づいて、主演算回路部130の休止状態と駆動状態間の移行を制御するとともに、入力操作部180における入力操作に応じた各種の処理動作や、表示部170における表示動作、メモリ部160への書込み読出し動作等を制御する。
【0069】
モーションセンサ190は、加速度センサや角速度センサ(ジャイロセンサ)、地磁気センサ等のうち一つ以上を有し、少なくともユーザの動作に伴う電子機器100の動きの状態(動きの方向や傾きの変化、動きの速度等)を検出して、副演算回路部120に状態検出信号を送信する。この状態検出信号は、上述した副演算回路部120において電子機器100が静止状態にあるか否かを判定する際に使用される。また、モーションセンサ190は、上記の各種センサから出力されるセンサデータに基づいて、例えば活動量や移動距離、移動速度、心拍数、脈拍数等のユーザの運動状態を計測する際に使用されるものであってもよい。
【0070】
(電子機器の制御方法)
次に、本実施形態に係る電子機器の制御方法について、図面を参照して説明する。ここでも、上述した第1及び第2の実施形態と同様に、ユーザが電子機器を装着する際と、取り外した際の各制御方法について個別に説明する。
図11、
図12は、本実施形態に係る電子機器における制御方法の一例を示すフローチャートである。ここで、上述した第1又は第2の実施形態と同等の処理については、説明を簡略化する。
【0071】
まず、本実施形態の初期状態においては、電子機器100の電源供給部150から駆動電力が供給されることにより、副演算回路部120が起動して、接触検知部110において接触検知センサ112によるスキャン動作を開始するとともに、モーションセンサ190においてもスキャン動作を開始し、主演算回路部130が休止(スリープ)状態等の低消費電力状態で動作する。ここで、接触検知センサ112によるスキャン動作、及び、モーションセンサ190によるスキャン動作は、電子機器100の人体への装着又は非装着の状態に関わらず、例えば1〜2秒程度の間隔で継続して実行される。
【0072】
ユーザが電子機器100を装着する際の制御方法は、
図11に示すように、まず、初期状態に設定された電子機器100が人体に非装着の状態においては、接触検知センサ112によるスキャン動作、及び、モーションセンサ190によるスキャン動作が継続して実行される(ステップS302)。そして、副演算回路部120は、モーションセンサ190から送信される状態検出信号に基づいて、電子機器100が状態変化したか、静止状態にあるかを判定する(ステップS304)。モーションセンサ190から状態検出信号が送信されない場合(ステップS304のNo)には、副演算回路部120は、電子機器100が静止状態にあるか、ユーザが電子機器100を使用する意図を持って動かしていない状態にあるものと判定する。
【0073】
次いで、副演算回路部120は接触検知部110から送信される接触検知信号に基づいて、接触検知センサ112が人体に接触したか否かを判定する(ステップS306)。接触検知部110から接触検知信号が送信されない場合(ステップS306のNo)には、副演算回路部120は電子機器100が非装着状態にあるものと判定して、接触検知部110における接触検知センサ112のスキャン動作の周期を長く設定する(スキャン間隔を延ばす)ように制御した後(ステップS308)、ステップS302に戻って、接触検知センサ112及びモーションセンサ190におけるスキャン動作を継続する。
【0074】
一方、ステップS304において、モーションセンサ190から状態検出信号が送信された場合(ステップS304のYes)には、副演算回路部120は、ユーザが電子機器100を使用する意図を持って、持ち上げたり傾けたりすることにより、その状態が変化したものと判定する。また、ステップS306において、接触検知センサ112から接触検知信号が送信された場合(ステップS306のYes)には、副演算回路部120は、電子機器100が装着状態にあるものと判定する。副演算回路部120は、これらの判定をした場合には主演算回路部130に対して装着通知信号を送信する。そして、上述した第2の実施形態と同様に、主演算回路部130は、副演算回路部120から装着通知信号を受信することにより、休止(スリープ)状態等の低消費電力状態から復起、又は、起動するための待機(スタンバイ)状態に移行する。
【0075】
次いで、副演算回路部120は、入力操作部180から送信される操作信号に基づいて、ユーザにより所定のスイッチ操作が実行されたか否かを判定する(ステップS310)。入力操作部180から操作信号が送信された場合(ステップS310のYes)には、副演算回路部120は、ユーザにより所定のスイッチ操作が実行されたものと判定し、主演算回路部130に対して起動制御信号を送信する。一方、入力操作部180から操作信号が送信されない場合(ステップS310のNo)には、ステップS302に戻って、接触検知センサ112及びモーションセンサ190におけるスキャン動作を継続する。
【0076】
次いで、主演算回路部130は、副演算回路部120から起動制御信号を受信することにより、待機(スタンバイ)状態から起動して、表示部170における通常の表示動作や他の特定機能を実行する(ステップS312)。ここで、この主演算回路部130の起動に対応するように、電源供給部150から主演算回路部130に対して通常の駆動電力が供給される。
【0077】
次に、ユーザが電子機器100を取り外した際の制御方法は、
図12に示すように、まず、上述した第1及び第2の実施形態と同様に、電子機器100が人体に装着された状態においては、接触検知センサ112及びモーションセンサ190によるスキャン動作が継続して実行される(ステップS322)。そして、副演算回路部120は、モーションセンサ190から送信される状態検出信号に基づいて、電子機器100が静止状態にあるか否かを判定する(ステップS324)。副演算回路部120は、モーションセンサ190から状態検出信号が一定時間以上送信されなくなった場合(ステップS324のNo)には、電子機器100が静止状態にあるか、ユーザが電子機器100を使用する意図を持って動かしていない状態にあるものと判定して、主演算回路部130に対して休止制御信号を送信する。一方、副演算回路部120は、モーションセンサ190から状態検出信号が送信されている場合(ステップS324のYes)には、電子機器100が静止状態にないか、ユーザが電子機器100を使用する意図を持って動かしている状態にあるものと判定して、ステップS322に戻って、接触検知センサ112及びモーションセンサ190におけるスキャン動作を継続する。
【0078】
また、副演算回路部120は、ステップS324における電子機器100の静止状態の判定処理に並行して、接触検知部110から送信される接触検知信号に基づいて、接触検知センサ112が人体に接触した状態にあるか否かを判定する(ステップS326)。副演算回路部120は、接触検知部110から接触検知信号が一定時間以上送信されなくなった場合(ステップS326のNo)には、電子機器100が非装着状態にあるものと判定して、主演算回路部130に対して非装着通知信号を送信する。一方、副演算回路部120は、接触検知部110から接触検知信号が送信されている場合(ステップS326のYes)には、電子機器100が装着状態にあるものと判定して、ステップS322に戻って、接触検知センサ112及びモーションセンサ190におけるスキャン動作を継続する。
【0079】
また、副演算回路部120は、ステップS324における電子機器100の静止状態の判定処理、及び、ステップS326における人体との接触検知の判定処理に並行して、入力操作部180から送信される操作信号に基づいて、ユーザにより電子機器100を使用するためのスイッチ操作が実行されているか否かを判定する(ステップS328)。副演算回路部120は、入力操作部180から操作信号が一定時間以上送信されなくなった場合(ステップS328のNo)には、ユーザが電子機器100を使用していない状態にあるものと判定して、主演算回路部130に対して休止制御信号を送信する。一方、副演算回路部120は、入力操作部180から操作信号が継続して送信されている場合(ステップS328のYes)には、ユーザが電子機器100を使用している状態にあるものと判定して、ステップS322に戻って、接触検知センサ112及びモーションセンサ190におけるスキャン動作を継続する。
【0080】
次いで、主演算回路部130は、副演算回路部120から非装着通知信号又は休止制御信号を受信することにより、通常の駆動状態から休止(スリープ)状態等の低消費電力状態に移行する(ステップS330)。また、この主演算回路部130の休止状態への移行に対応するように、電源供給部150から主演算回路部130への駆動電力が最小レベルに抑制され、これにより、電子機器100は、初期状態に示した低消費電力モードで動作することになる。
【0081】
このように、本実施形態においては、モーションセンサ190により電子機器100の状態変化を検知し、かつ、ユーザの意図的なスイッチ操作を検出した場合、又は、接触検知センサ112により人体との接触状態を検知し、かつ、ユーザの意図的なスイッチ操作を検出した場合に、電子機器100を起動させることができる。一方、電子機器100が静止状態にある場合や、人体に対して非接触状態にある場合には、電子機器100を休止状態に移行させたり、接触検知センサ112のスキャン動作の周期を長く設定したりすることにより、電子機器100の消費電力を削減することができる。具体的には、背景技術に記載したように、機器ケースの外面や側面にタッチパネルや機構式のスイッチ等が設けられた電子機器においては、
図5(a)〜(c)に示したように装着、非装着の状態に関わらず、周辺の物品や机等との接触や近接によりスイッチが電気的又は物理的にオン状態になり、電子機器の誤動作や誤起動を生じる場合がある。
【0082】
これに対して、本実施形態においては、電子機器100の状態変化が検知された場合や人体に装着されている場合には、ユーザにより意図的にスイッチ操作が行われた場合にのみ、電子機器100が起動するように制御される。また、電子機器100が人体に装着されず、かつ、静止状態にある場合には、人体への装着状態を検知するためのスキャン動作の周期を長くするように設定される。したがって、電子機器100を装着していない状態や、ユーザが電子機器100を装着しただけで特定の機能の使用の意図がない状態では、周辺の物品との接触等によりユーザの意図に反して電子機器100が誤動作や誤起動することがなく、電力の浪費をさらに抑制することができる。
【0083】
なお、本実施形態においても、上述した第1の実施形態の変形例と同様の技術思想に基づいて、電子機器100の状態変化検知時に比較して静止状態における、接触検知センサ112の検知感度を低く設定することにより、周辺物品の影響を受けにくくなり、ユーザの意図に反する電子機器の誤動作や誤起動をより確実に防止することができる。
【0084】
なお、上述した各実施形態においては、リストバンド型や腕時計型の電子機器(
図1参照)を示して詳しく説明したが、本発明はこの形態の電子機器に限定されるものではない。例えば心拍数計測器として周知の、胸部にベルトにより装着する形態や、耳穴に挿入して装着する形態、頸部に装着する形態等を有する電子機器に良好に適用することができる。すなわち、これらの電子機器100においても、人体に直接接触又は密着する構造を有しているので、人体への装着時に必然的に接触する位置や領域に接触検知センサを配置して、その接触検知信号を起動制御に用いることにより、電子機器100の誤動作や誤起動の発生を防止することができる。
【0085】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0086】
(付記)
[1]
使用者の人体に装着される形態を有する機器ケースと、
前記機器ケースが前記人体に装着されたときに前記人体との接触を検知する少なくとも一つの接触検知センサと、
特定の機能を実行する機能を有する特定機能部と、
前記接触検知センサ及び前記特定機能部を制御する演算回路部と、
を備え、
前記演算回路部は、前記接触検知センサにより前記人体との接触が検知されず、前記機器ケースが非装着状態にあると判定したときに、前記特定機能部の前記特定の機能を実行しないように制御することを特徴とする電子機器。
【0087】
[2]
前記演算回路部は、前記接触検知センサにより前記人体との接触が検知されて、前記機器ケースが装着状態にあると判定したときに、前記特定機能部の前記特定の機能を実行するように制御することを特徴とする[1]に記載の電子機器。
【0088】
[3]
前記機器ケースの前記人体に接触しない側の面の一部に設けられ、前記使用者が操作する入力操作部を、さらに有し、
前記演算回路部は、前記接触検知センサにより前記人体との接触が検知されて前記機器ケースが装着状態にあると判定し、且つ、前記入力操作部に対して操作が行われたと判定されたときに、前記特定機能部の前記特定の機能を実行するように制御することを特徴とする[1]に記載の電子機器。
【0089】
[4]
前記機器ケースの動きの状態を検出するモーションセンサを、さらに有し、
前記演算回路部は、前記接触検知センサにより前記人体との接触が検知されて前記機器ケースが装着状態にあると判定し、且つ、前記モーションセンサにより前記機器ケースに動きが生じたと判定されたときに、前記特定機能部の前記特定の機能を実行するように制御することを特徴とする[1]に記載の電子機器。
【0090】
[5]
前記機器ケースの前記人体に接触しない側の面の一部に設けられ、前記使用者が操作する入力操作部を、さらに有し、
前記演算回路部は、前記機器ケースが前記装着状態にあると判定し、前記入力操作部に対して操作が行われたと判定され、前記モーションセンサにより前記機器ケースに動きが生じたと判定されたときに、前記特定機能部の前記特定の機能を実行するように制御することを特徴とする[4]に記載の電子機器。
【0091】
[6]
前記演算回路部は、前記機器ケースが前記非装着状態にあると判定したときに、前記接触検知センサの検知感度を、前記接触検知センサにより前記人体との接触が検知されて前記機器ケースが装着状態にあると判定したときの前記接触検知センサの検知感度より低く設定することを特徴とする[1]乃至[5]のいずれかに記載の電子機器。
【0092】
[7]
前記接触検知センサを複数有し、
前記演算回路部は、
前記複数の前記接触検知センサの各々を順次スキャンし、
前記機器ケースが前記非装着状態あると判定したときに、前記複数の接触検知センサをスキャンする動作の周期を、前記接触検知センサにより前記人体との接触が検知されて前記機器ケースが装着状態にあると判定したときに前記複数の接触検知センサをスキャンする動作の周期より長く設定することを特徴とする[1]乃至[6]のいずれかに記載の電子機器。
【0093】
[8]
前記特定機能部は、前記特定の機能として、前記使用者の活動量の計測、前記使用者の移動距離の計測、前記使用者の移動速度の計測、前記使用者の心拍数の計測、前記使用者の脈拍数の計測、前記使用者に対する情報の表示、及び、外部の機器との通信、の少なくとも何れかを実行することを特徴とする[1]乃至[7]のいずれかに記載の電子機器。
【0094】
[9]
電子機器の制御方法であって、
前記電子機器は、使用者の人体に装着される形態を有する機器ケースと、前記機器ケースが前記人体に装着されたときに前記人体との接触を検知する少なくとも一つの接触検知センサと、特定の機能を実行する機能を有する特定機能部と、を備え、
前記接触検知センサによる前記人体との接触の有無を検知し、
前記接触検知センサにより前記人体との接触が検知されないとき、前記機器ケースが非装着状態にあると判定し、
前記機器ケースが非装着状態にあると判定したとき、前記特定機能部の前記特定の機能を実行しないように制御する、
ことを特徴とする電子機器の制御方法。
【0095】
[10]
電子機器の制御プログラムであって、
前記電子機器は、使用者の人体に装着される形態を有する機器ケースと、前記機器ケースが前記人体に装着されたときに前記人体との接触を検知する少なくとも一つの接触検知センサと、特定の機能を実行する機能を有する特定機能部と、を備え、
前記接触検知センサにより前記人体との接触の有無を検知させ、
前記接触検知センサにより前記人体との接触が検知されないとき、前記機器ケースが非装着状態にあると判定させ、
前記機器ケースが非装着状態にあると判定されたとき、前記特定機能部の前記特定の機能を実行しないように制御させる、
ことを特徴とする電子機器の制御プログラム。