(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6593809
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】シェルター冷却装置
(51)【国際特許分類】
F24F 5/00 20060101AFI20191010BHJP
E04H 9/14 20060101ALI20191010BHJP
F25B 27/00 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
F24F5/00 L
E04H9/14 B
F25B27/00 Q
F24F5/00 K
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-227787(P2017-227787)
(22)【出願日】2017年11月28日
(65)【公開番号】特開2019-100549(P2019-100549A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2019年4月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517357826
【氏名又は名称】株式会社シェルタージャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】矢野 昭彦
【審査官】
浅野 弘一郎
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭48−094051(JP,U)
【文献】
米国特許第02100474(US,A)
【文献】
特開昭60−050327(JP,A)
【文献】
実公昭40−023906(JP,Y1)
【文献】
特開2003−120218(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0257880(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 5/00
E04H 9/14
F25B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体冷媒と、前記液体冷媒が気化した加圧状態の気化気体とを貯留するタンクと、
前記タンクに接続する減圧弁と、
シェルターの内部空間に設けられて、前記減圧弁に接続する熱交換装置と、
シェルターの外部空間に設けられて、前記熱交換装置に接続する排出管と、を備え、
前記熱交換装置は、外壁の前記シェルターの内部空間側に配設されている熱交換チューブを有し、
前記外壁を外部空間側から取り囲むとともに、前記外壁と協働して断熱空間を形成する防護壁と、
前記防護壁の上端部に設けられた排気弁と、をさらに備え、
前記排出管は、前記断熱空間に設けられることを特徴とするシェルター冷却装置。
【請求項2】
所定の方向に延びる複数の突起板が、前記外壁に向かって突出した状態で前記防護壁に設けられることを特徴とする請求項1に記載のシェルター冷却装置。
【請求項3】
前記排出管は、前記断熱空間の下端部に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のシェルター冷却装置。
【請求項4】
前記断熱空間に水が充填されており、
前記排出管は、前記熱交換装置への水の逆流を防止するための逆止弁が設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシェルター冷却装置。
【請求項5】
前記排出管は、複数の穴が形成される分散管を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシェルター冷却装置。
【請求項6】
前記気化気体は、前記減圧弁から噴射されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のシェルター冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シェルターの内部空間を冷却する冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、地震により各地で建物の倒壊・火災が相次いだ。全壊棟数は8473棟に及び、172件の火災が同時多発に発生した。過去に起きた関東大震災、及び阪神淡路大震災と同様、電気配線・暖房器具(電気・ガス・石油)・調理器具から出火し、倒壊した家屋等に燃え移ったことが、地震火災発生の主な原因である。内閣府の被害想定によれば、今後発生が予想される首都直下地震では15万棟が全壊、南海トラフ巨大地震の被害想定では134.6万棟が全壊する事態が報告されている。これらの大量の家屋倒壊によって、同時多発に数多くの地震火災の発生が予想される。
【0003】
地震火災は、建物の倒壊や道路の損壊による通行阻害、水道管の破裂による消火用水の不足、大量の自動車通行による交通渋滞などの要因が複合して消火活動が大きく阻害される。そのため、広範囲で、長時間にわたる火災となりやすい性質がある。
【0004】
また、安全な場所に避難しようとしても、上述したように建物の倒壊や道路の損壊によって、避難場所までの交通手段が確保できない事態が生じる。
【0005】
このような状況下、地震・地震火災対策に対する意識は近年益々高まっており、地震時に身近に避難できるシェルターに強い関心が集まっている。地震火災時に避難するためのシェルターについては、耐火性能を具備するとともに、火炎熱等に起因するシェルター内部の温度上昇を抑制する冷却機能を具備することが求められる。
【0006】
特許文献1では、断熱層を有する天井壁、側壁、床壁よりなる構造体を、長時間の火災に耐えられるように、安価なコストで内部温度の上昇を抑制するためのシェルターが開示されている。具体的には、天井壁の上面に水槽を設け、火災発生時等の周囲温度が上昇したときに、水槽内の水をシェルターの構造体に流して、シェルターの内部温度の上昇を未然に防止するものである。
【0007】
特許文献2では、軽量気泡コンクリート製のパネルを組み立てたシェルターの基礎モルタル内部にパイプを配設した冷却装置が開示されている。ファンを利用してシェルター内部の暖められた空気をパイプの取り込み口から取り込み、比較的温度の低い基礎モルタル内に配設されたパイプに流すことで冷却し、冷却された空気をシェルター内に再度還流することによってシェルター内を冷却する装置である。
【0008】
【特許文献1】特開2011−084883号公報
【特許文献2】特開平10−237958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1で開示された装置は、天井壁の上面に水槽が設けられており、この水槽内の水の温度は、火災に伴い上昇する。水温が上昇した水をシェルターの構造体に流したとしても、その冷却効果はわずかなものであり、シェルター内部の温度上昇を十分に抑制することはできない。長期間に渡り、大きな温度抑制効果を持たせるためには、巨大な水槽が必要となり、装置自体を安価なコストとすることは難しい。特許文献2に開示された装置は、シェルター内の空気を基礎モルタル内に配設されたパイプを通過させるのみであり、その冷却効果は限定的である。また、長期間にわたる火災では、基礎モルタル自体の温度が上昇し、冷却効果は期待できない。
【0010】
本発明の課題は、シェルターの内部空間を、長時間に渡り安定して冷却することができる安価で簡便な冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、シェルター冷却装置であって、液体冷媒と、前記液体冷媒が気化した加圧状態の気化気体とを貯留するタンクと、タンクに接続する減圧弁と、シェルターの内部空間に設けられて、減圧弁に接続する熱交換装置と、シェルターの外部空間に設けられて、熱交換装置に接続する排出管を備え
、熱交換装置は、外壁の前記シェルターの内部空間側に配設されている熱交換チューブを有し、外壁を外部空間側から取り囲むとともに、外壁と協働して断熱空間を形成する防護壁と、防護壁の上端部に設けられた排気弁と、をさらに備え、排出管は、断熱空間に設けられることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、減圧弁を開くと、液体冷媒は気化し、さらに気化気体は減圧されて膨張する。このとき、吸熱効果及び断熱膨張効果で気化気体の温度は低下し、シェルターの内部空間に設けられた熱交換装置を通過する。このとき、熱交換装置の周辺に存在する空気等と熱交換する。これにより、シェルターの内部空間は冷却される。また、熱交換された気化気体は温度の上昇を伴いながら排出管を経由して外部空間に排出される。このため、内部空間内に気化気体が充満することはない。これにより、簡単な構成で、シェルター内部を、快適な状態に保ちつつ冷却することができる。
【0014】
この構成によれば、熱交換装置は、熱交換チューブを有するので、熱交換装置の構造を簡略化することができる。
【0016】
この構成によれば、熱交換チューブは、外壁のシェルターの内部空間側に配設されているので、内部空間を阻害することなく、有効に活用することができる。また、熱交換チューブが外壁と熱交換されることにより外壁は冷却される。その輻射熱で内部空間全体を冷却することができる。
【0018】
直射日光を受けることにより、さらには火災による火炎熱等により、シェルターの内部空間の温度上昇が懸念される。しかし、この構成によれば、外壁を外部空間側から取り囲むとともに、外壁と協働して断熱空間を形成する防護壁が設けられているので、外部環境の変化によるシェルターの内部空間の温度上昇を抑制することができる。また、排出管は、断熱空間に設けられており、防護壁の上端部に排気弁を備えているので、液体冷媒が気化した気体は断熱空間に放出され、断熱空間に充填していた気体は、排気弁を経由して大気中に放出される。すなわち、断熱空間内を、断熱空間内に比べ温度の低い気化気体が流れる。これにより断熱空間内の温度上昇を抑制することができ、シェルターの内部空間の冷却効率を高めることができる。
【0019】
請求項
2に係る発明は、請求項
1に記載のシェルター冷却装置において、所定の方向に延びる複数の突起板が、外壁に向かって突出した状態で防護壁に設けられることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、所定の方向に延びる複数の突起板が、外壁に向かって突出した状態で防護壁に設けられるので、突起板に比べ温度の低い気化気体が突起板と熱交換することにより防護壁の温度上昇を抑制することができる。
【0021】
請求項
3に係る発明は、請求項
1または
2に記載のシェルター冷却装置において、排出管は、断熱空間の下端部に設けられることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、排出管は、断熱空間の下端部に設けられるので、断熱空間内に比べ温度の低い気化気体は、断熱空間の下端部から上昇しながら、防護壁の上端部に設けられた排気弁を経由して大気中に放出される。これにより、断熱空間全体を冷却することができる。
【0023】
請求項
4に係る発明は、請求項
1〜
3のいずれか1項に記載のシェルター冷却装置において、断熱空間に水が充填されており、排出管は、熱交換装置への水の逆流を防止するための逆止弁が設けられることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、空気に比べて熱容量の大きな水が断熱空間に充填されているので、直射日光、及び火炎熱等に起因するシェルターの内部空間の温度上昇を抑制することができる。また、排出管は、熱交換装置への水の逆流を防止するための逆止弁が設けられるので、熱交換装置の冷却効率を低下させることはなく、またシェルターの内部空間内に水が浸入することはない。
【0025】
請求項
5に係る発明は、請求項1〜
4のいずれか1項に記載のシェルター冷却装置において、排出管は、複数の穴が形成される分散管を有することを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、排出管は、複数の穴が形成される分散管を有するので、気化気体は分散管に形成された複数の穴を経由することで、分散して外部空間に放出することができる。
【0027】
請求項
6に係る発明は、請求項1〜
5のいずれか一項に記載のシェルター冷却装置において、気化気体は減圧弁から噴射されることを特徴とする。
【0028】
この構成によれば、気化気体は減圧弁から噴射されるので、気化気体を効率的に減圧膨張できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】シェルター冷却装置の設置状況を説明する内部空間側から外部空間側を視た正面図である。
【
図2】同、外部空間側から内部空間側を視た正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態におけるシェルター冷却装置1について、図面を参照し、説明する。
【0031】
図1に示す通りシェルターの内部空間A1にタンク2が配されている。タンク2の内部は、下部に液化二酸化炭素L(液体冷媒)が充填されており、上部に液化二酸化炭素Lが気化した炭酸ガスLA(気化気体)が加圧された状態で充填されている。
【0032】
熱交換チューブ4は、減圧弁3を介してタンク2に接続した状態で、外壁7の内部空間側の壁面に設けられている。外壁7は壁板71の内部空間A1側に断熱層72が設けられた2層構造である。減圧弁3は、タンク2から熱交換チューブ4へ噴射される炭酸ガスLAの噴射圧力・噴射量を調整するためのものである。なお、減圧弁3が閉じた状態では、炭酸ガスLAが熱交換チューブ4に噴射されることはない。減圧弁3は、手動、電動のいずれであってもよい。また、遠隔操作可能なものであってもよい。
【0033】
減圧弁3を開くと、タンク2に加圧された状態で充填されている炭酸ガスLAは、熱交換チューブ4に向かって噴射される。このとき炭酸ガスLAは減圧され膨張し、断熱膨張効果により温度が低下する。
【0034】
熱交換チューブ4は、断熱膨張効果により温度が低下した炭酸ガスLAを周辺の空気と熱交換し、シェルターの内部空間A1を冷却するためのものである。熱交換チューブ4は、連続した1本のチューブであり、縦チューブ41、下チューブ42、及び上チューブ43を有しており、隣接する縦チューブ41の下端は下チューブ42に接続され、隣接する縦チューブ41の上端は上チューブ43に接続されている。また、端部は接続管5を介して排出管6に接続している。このように、広い範囲に熱交換チューブ4を配設することにより冷却効果を高めることができる。また、外壁7の内部空間A1側の壁面に設けられているので、内部空間A1を阻害することはなく、内部空間A1全体を有効に活用することができる。熱交換チューブ4は、耐久性があり、かつ熱伝導率が高い素材、例えば銅製等の金属製であることが好ましい。また、鋼製であってもよい。
【0035】
図3に示す通り、接続管5は、熱交換チューブ4と、排出管6を接続するためのものであり、外壁7に埋設されるとともに、内部空間A1側、及び断熱空間A3側に突出した状態で、外壁7の下端部に設けられている。内部空間A1側の突設部に熱交換チューブ4が接続され、断熱空間A3側の突設部に排出管6が接続されている。
【0036】
図2に示す通り、排出管6は、水Wが充填されている断熱空間A3の下端部に水没した状態で設けられており、接続管5に接続する本管61、分散管63、並びに本管61及び分散管63を接続する逆止弁62で構成されている。本管61は、分散管63を所定の位置に配設するためのものであり、逆止弁62は熱交換チューブ4への水の逆流を防止するためのものである。したがって、断熱空間A3内に水を充填しない場合には、逆止弁62を省略し、本管61と分散管63を直結してもよい。
【0037】
分散管63は、減圧弁3から噴射した炭酸ガスLAを断熱空間A3に分散して放出するためのものである。
図4に示す通り、軸方向に沿って複数の穴63aが形成されており、また、端部は閉止板64で閉塞されている。複数の穴63aにより、排出総面積を大きくできるとともに、放出箇所を分散することができる。
【0038】
図3に示す通り、外壁7の外部空間A2側に防護壁8が設けられている。防護壁8は、矩形の外板81、及び外板81の周縁から垂直に延びる側板82を有しており、側板82の端部は外壁7に固定されている。これにより、水密な断熱空間A3を形成することができる。
【0039】
上下方向に延びる複数の突起板83が、外壁7に向かって突出した状態で、外板81に固定されている。突起板83は外板81に固定されているため、結果として、外板81の放熱面積を大きくしている。そのため、火災による火炎熱で外板81の温度が上昇したとき、突起板83から放熱することができるので、外板81の温度上昇を抑制することができる。また、外板81の耐荷力を増大させることができる。
【0040】
外板81の上端部に排気弁84が設けられている。排気弁84は、排出管6から断熱空間A3に放出された炭酸ガスLAを外部空間A2に排出するためのものである。これにより、断熱空間A3内の圧力上昇を防ぎ、断熱空間A3内を一定の圧力に保つことができる。
【0041】
炭酸ガスLAの通過経路、及びそれに伴う冷却メカニズムについて説明する。
【0042】
タンク2に液化二酸化炭素Lが貯留されており、その上部に液化二酸化炭素Lが気化した炭酸ガスLAが加圧された状態で充填されている。減圧弁3を開くと、加圧された炭酸ガスLAは、熱交換チューブ4に噴射される。炭酸ガスLAの噴射によって、タンク2内に充填された炭酸ガスLAの圧力は一時的に減少するが、この圧力の減少に伴い、液化二酸化炭素Lが気化し、炭酸ガスLA内に供給される。これにより、タンク2の上部に充填された炭酸ガスLAの圧力は減少することなく、ほぼ一定の加圧状態が保たれる。
【0043】
なお、液化二酸化炭素Lの気化に伴う吸熱効果により、タンク2、及びタンク内の炭酸ガスLAは冷却される。これにより、炭酸ガスLAは、冷却された状態で減圧弁3から噴射される。
【0044】
また、加圧された状態で減圧弁3から噴射された炭酸ガスLAは、減圧されて膨張し、熱交換チューブ4内を通過する。このときの断熱膨張効果により炭酸ガスLAの温度はさらに低下する。すなわち、極めて低い温度の炭酸ガスLAが熱交換チューブ4を通過する。この通過過程での熱交換により、内部空間A1内の空気、及び外壁7の温度は低下し、炭酸ガスLAの温度は上昇する。これにより、内部空間A1を冷却することができる。
【0045】
本実施形態では、熱交換チューブ4が内部空間A1側の外壁面に直接配設されているが、輻射板(図示略)を介してシェルターの内部空間A1側の外壁面に配設してもよい。輻射板が熱交換され冷却されることにより、より一層冷却効果を高めることができる。
【0046】
なお、減圧弁3から炭酸ガスLAが噴射されたとき、断熱膨張効果で、減圧弁3が冷却され凍結することが予測される場合は、減圧弁3に凍結防止用のヒーターを設けてもよい。ヒーターはバッテリーで動作するものが好ましい。
【0047】
熱交換によって温度が上昇した炭酸ガスLAは、接続管5、及び排出管6を経由して断熱空間A3に放出される。断熱空間A3には水Wが充填されており、炭酸ガスLAは水W中を上昇し、外板81の上端部に設けられた排気弁84を経由して外部空間A2に放出される。
【0048】
外板81は、直射日光、及び火災による火炎熱等によって加熱され温度が高い状態となっている。これにより、断熱空間A3の温度は上昇し、結果として内部空間A1の温度上昇が生じる。本実施形態では、断熱空間内に熱容量の大きな水Wを充填することによって、内部空間A1の温度上昇を抑制している。
【0049】
水Wは、外板81の温度上昇に伴い、水温が上昇する。水W内を、水Wよりも温度の低い炭酸ガスLAを上昇させることで水温の上昇を抑制することができる。
【0050】
なお、本実施形態では断熱空間内に水Wを充填したが、空気のみが充填された状態としてもよい。この場合、断熱空間A3は空気で満たされた断熱層として機能する。外部空間A2の気温よりも温度の低い炭酸ガスLAを排出管6から放出し、断熱空間A3の下部から上部に向かって上昇させ、排気弁84から外部空間A2に放出することにより、断熱空間A3は外部空間A2よりも温度の低い状態を保つことができる。また、炭酸ガスLAの上昇過程で、突起板83と熱交換をすることにより、外板81自体の温度上昇を抑制することができる。
【0051】
上述した実施形態は、本発明の実施のための好ましい実施形態の例示である。本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において各所の改変をなしても、本発明の技術的範囲に属することは勿論である。
【0052】
例えば、本実施形態では、減圧弁3から炭酸ガスLAが噴射されるが、液化二酸化炭素を噴出する構成としてもよい。
【0053】
液体冷媒として液化二酸化炭素Lを用いているが、これに限らず、気化熱及び断熱膨張効果で冷却可能なもの例えば、液化窒素を用いてもよい。
【0054】
熱交換装置については、熱交換チューブ4を有する構成としたが、複数のフィンが取り付けられたパイプを有する構成として、内部空間内に設置してもよい。
【0055】
また、複数個のシェルター用冷却装置をシェルターに設けてもよい。さらに、取り付け位置の限定はなく、天井、側壁、床等のあらゆる箇所に設置してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 :シェルター冷却装置
2 :タンク
3 :減圧弁
4 :熱交換チューブ
5 :接続管
6 :排出管
7 :外壁
8 :防護壁
41 :縦チューブ
42 :下チューブ
43 :上チューブ
61 :本管
62 :逆止弁
63 :分散管
63a :穴
64 :閉止板
71 :壁板
72 :断熱層
81 :外板
82 :側板
83 :突起板
84 :排気弁
A1 :内部空間
A2 :外部空間
A3 :断熱空間
L :液化二酸化炭素
LA :炭酸ガス(気化気体)
W :水