(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図2に本発明におけるコイルの製造装置20を示す。この製造装置20は、線材14をコア11に螺旋状に旋回させて、その線材14をコア11に巻回するものである。ここで、コア11は閉磁路を形成するものを意味し、その閉磁路が円環状を成すリングコアや、その閉磁路が方形状を成すロ字状閉磁路コアを含むものとする。即ち、本発明におけるコイルの製造装置20は、閉磁路を形成するコア11に線材14を螺旋状に巻回させたコイル12(
図17)を自動的に製造するものである。
【0023】
この実施の形態では、
図3に示すように、コア11がフェライトの焼結体等からなるロ字状閉磁路コア11である場合を示し、このロ字状閉磁路コア11は、線材14が巻回される互いに平行な一対の巻線辺11a,11bと、その一対の巻線辺11a,11bの両端部をそれぞれ連結する連結辺11c,11dとを備えるものとする。そして、本発明の製造装置は、
図17に示すように、一対の巻線辺11a,11bにそれぞれ線材14を巻回し、コア11とその一対の巻線辺11a,11bに巻回された線材14からなるコイル12を製造する場合を説明する。
【0024】
一方、そのロ字状閉磁路コア11に巻回される線材14は、折曲げられるとその形状を維持できるようないわゆる太線が用いられる。この実施の形態では、表面に絶縁皮膜が形成された断面矩形のいわゆる平角線からなる線材14が用いられる場合を示す。線材14を平角線とすれば、コイル12における線材14の占積率を高めること、及び線材14からの放熱性を高めることが期待できる。けれども、この線材14は平角線に限らず、コイル12等の仕様等に応じて、断面円形の丸線を用いても良い。
【0025】
図2に示すように、線材14はリール17に巻回され、このリール17が線材14の供給源となる。このリール17は製造装置20と別な場所の例えば装置20後方の床の上等に置かれる。ここで、互いに直交するX、Y、Zの3軸を設定し、X軸が水平前後方向、Y軸が水平横方向、Z軸が垂直方向に延びるものとして本発明のコイルの製造装置20について説明する。
【0026】
先ず、コイルの製造装置20は、線材14を繰出す線材操出部31を備える。この線材操出部31は、線材14を挟持し回転することにより線材14を繰出す複数対の線材14送りローラ33,34を備える。
【0027】
図2及び
図4に示すように、基台20aにはX軸方向に伸びる取付板36が立設される。複数対の線材14送りローラ33,34は、供給源となるリール17から巻解かれてX軸方向に伸びる線材14を上下から挟むものであって、この実施の形態では4対のローラ33,34が設けられる場合を示す。
【0028】
4対のローラ33,34はそれぞれ同一構造であるので、その内の1つを代表して説明すると、
図4に示すように、線材14の下側には、外周がその線材14に下側から接触する下ローラ33が取付板36に枢支される。下ローラ33よりZ軸方向上方の取付板36にはスライダ38aがZ軸方向に移動可能な線材送り用アクチュエータ38が取付けられ、そのスライダ38aに支持板39が取付けられる。下ローラ33とともに線材14を挟む上ローラ34はこの支持板39の下部に枢支され、その上ローラ34を回転させる送り用サーボモータ41がこの支持板39に取付けられる。
【0029】
この実施の形態における線材送り用アクチュエータ38は、圧縮エア等の流体が給排されることによりスライダ38aを移動可能に構成された流体圧シリンダである場合を示す。この線材送り用アクチュエータ38の上縁に接触する補助板40が取付板36に固定され、支持板39の上縁に下端が接触可能なボルト40aが補助板40に螺合される。そして、ボルト40aを緩めて支持板39の上縁からそのボルト40aを離間させ、その状態で線材送り用アクチュエータ38によりスライダ38aを上昇させることにより上ローラ34が上昇し、線材14の自由移動が可能に構成される。その一方、線材送り用アクチュエータ38によりスライダ38aを下降させることにより上ローラ34は下ローラ33とともに線材14を挟み、この状態で送り用サーボモータ41を駆動させると上ローラ34が回転し、上下の線材14送りローラ33,34により挟まれた線材14をその長手方向に順次繰出すことができるよう構成される。
【0030】
なお、
図2における符号20cは、供給源であるリール17から繰出された線材14を真直ぐに伸ばす癖取り装置であり、複数の小ローラ20dによりその線材14を周囲から順次挟持し、その線材14を真っ直ぐに伸ばすように構成される。また、
図2における符号35は、1対のローラ33,34とそれに隣接する1対のローラ33,34との間の線材14を支持してその線材14が湾曲することを防止するガイド材である。
【0031】
更に、補助板40に螺合されたボルト40aは、それを締め付けて下降させ、その下端を支持板39の上縁に押し付けることにより、上ローラ34と下ローラ33の線材14を挟む力を増強させるものである。けれども、線材送り用アクチュエータ38によりスライダ38aを下降させることにより生じる上ローラ34と下ローラ33の線材14を挟む力が十分である場合には、このボルト40aは必ずしも必要ではなく、このボルト40aは設けなくても良い。
【0032】
また、コイルの製造装置20はロ字状閉磁路コア11の底面が着座する置き台43と、そのロ字状閉磁路コア11の上部を把持する把持具44と、その把持具44に把持されたロ字状閉磁路コア11を置き台43に押しつけるように把持具44を移動可能な把持具移動手段45を備える。
【0033】
置き台43は、水平な上面を有し、ロ字状閉磁路コア11の底面である連結辺11d(
図3)がその上面に着座する台本体43aと、その台本体43aが先端に設けられてX軸方向に延びる支持部43bを有する。台本体43aの上面には、コア11の下側における連結片11dのX軸方向の位置を決定する凸条43cが線材操出部31側の端部にY軸方向に延びて形成される。そして、その連結片11dの線材操出部31側面をその凸条43cに接触させた状態で台本体43aの上面にその連結片11dの底面を着座させることによりコア11をX軸方向に位置決めし、X軸方向に位置が決められたコア11の巻線される一対の巻線辺11a,11bの近傍に線材操出部31から真っ直ぐに線材14が繰出されるように(
図11及び
図13)、支持部43bの基端が取付板36に固定される。
【0034】
図3に詳しく示すように、この実施の形態における把持具44は、流体圧の供給の有無により一対の挟持片44a,44bを接離させる流体圧シリンダ44であって、一対の挟持片44a,44bの先端の互いに向かい合う内側にコア11の連結辺11cの端部が進入する切り欠き44c,44dがそれぞれ形成される。このため、一対の挟持片44a,44bを互いに離間させ、それらの切り欠き44c,44dの間にコア11の連結辺11cの両端部を進入させ、その状態で一対の挟持片44a,44bを互いに接近させる事により、この把持具44はロ字状閉磁路コア11を保持可能に構成される。
【0035】
図2及び
図3に示すように、このような把持具44を移動可能なこの実施の形態における把持具移動手段45は、X軸、Y軸、及びZ軸方向伸縮アクチュエータ46〜48の組み合わせにより構成される。この把持具移動手段45を構成する各伸縮アクチュエータ46〜48は、細長い箱形ハウジング46d〜48dと、そのハウジング46d〜48d内部に長手方向に伸びて設けられサーボモータ46a〜48aによって回動駆動されるボールネジ46b〜48bと、このボールネジ46b〜48bに螺合して平行移動する従動子46c〜48c等によって構成される。そして、これらの各伸縮アクチュエータ46〜48は、サーボモータ46a〜48aが駆動してボールネジ46b〜48bが回転すると、このボールネジ46b〜48bに螺合する従動子46c〜48cがハウジング46d〜48dの長手方向に沿って移動可能に構成される。
【0036】
この実施の形態では、X軸方向に延びるX軸方向伸縮アクチュエータ46をY軸方向に移動可能に、X軸方向伸縮アクチュエータ46のハウジング46dがY軸方向伸縮アクチュエータ47の従動子47cに取付けられる。また、そのX軸及びY軸方向伸縮アクチュエータ46,47をZ軸方向に移動可能に、そのY軸方向伸縮アクチュエータ47のハウジング47dがZ軸方向伸縮アクチュエータ48の従動子48cに取付けられる。そして、Z軸方向伸縮アクチュエータ48のハウジング48dが基台20aに固定される。それらの各伸縮アクチュエータ46〜48における各サーボモータ46a〜48aは、これらを制御する図示しないコントローラの制御出力に接続される。
【0037】
そして、把持具44はX軸方向伸縮アクチュエータ46の従動子46cに回転モータ49を介して取付けられる。具体的に、X軸方向伸縮アクチュエータ46は、その従動子46cがハウジング46dの下面においてX軸方向に移動可能に取付けられ、
図3に詳しく示すように、回転モータ49は、回転軸49aを下方に向けてその従動子46cに本体49bが取付けられる。把持具44は、一対の挟持片44a,44bを下方に向けた状態でその本体44eが回転モータ49の回転軸49aに取付けられ、回転軸49aが回転する事により、把持具44は一対の挟持片44a,44bが挟持するコア11をZ軸回りに回転可能に構成される。
【0038】
図2に戻って、本発明のコイルの製造装置20は、置き台43に設置されたコア11に、線材操出部31から送出される線材14を案内する線材案内部32を備える。この実施の形態における線材案内部32は、供給源17から延びて上下の線材送りローラ33,34により挟まれてX軸方向に送出された線材14が挿通可能な真直ぐなノズル32であって、先端がコア11に臨むようにその基端が線材送りローラ33,34近傍の取付板36に取付けられる。
【0039】
このノズル32は断面矩形の平角線からなる線材14が挿通可能な真直ぐな角筒状のものであって、この実施の形態におけるノズル32は、
図4の拡大図に示すように、その線材14を収容可能な凹溝32aが形成された長尺状の棒状部材32bに対してその凹溝32aを塞ぐ蓋板32cをねじ32dにより固定することにより作られたものを示す。
【0040】
ノズル32はこの取付板36に取付具37を介して取付けられ、この取付板36に取付けられた状態でノズル32はX軸方向に延び、このノズル32に挿通する線材14は前述した置き台43に載置されたロ字状閉磁路コア11の外周近傍、この実施の形態では、ロ字状閉磁路コア11の中心軸に線材14が平行であって、その中心軸からY軸方向にずれたロ字状閉磁路コア11の外周近傍(
図11及び
図13)を通過するように基台20aの上方空間に固定される。
【0041】
図1及び
図2に示す様に、コイルの製造装置20は、線材操出部31から線材案内部32であるノズルを介して繰出される線材14を湾曲させるコイル形成部51を備える。この実施の形態では、コイル形成部51に線材案内部32であるノズルから案内される線材14が圧接される変形面51a(
図1)が形成されるものとする。
【0042】
図1に詳しく示すように、このコイル形成部は水平に設けられる平板51であって、ノズル32に臨む側のY軸方向の両側に円弧状の切込み51bが形成され、その両側の切込み51bに平角線14の幅広方向の側部が進入可能な凹溝が変形面51aとして円弧状にそれぞれ形成されるものとする。これらの凹溝から成る変形面51aは、平角線である線材14が幅広方向に湾曲されてコア11の巻線辺に巻回された場合の外径に相当する曲率半径に形成される。
【0043】
そして、このコイル形成部51は、
図11及び
図13に示すように、凹溝からなる変形面51aで、線材繰出部31から線材案内部32を介して繰出される線材14を圧接することにより、線材繰出部31から送出される線材14の進行方向をコア11側に変更させて送出される線材14を湾曲させながらコア11に巻きつけるように構成される。
【0044】
ここで、円弧状の凹溝51aは、置き台43に設置されたコア11の一対の巻線辺11a,11bに対して螺旋を描くように形成され、その変形面51aである凹溝により、線材繰出部31から送出されて湾曲させられた線材14は、その後螺旋を描いてコア11の巻線辺11a,11bにそれぞれ巻回されるように構成される(
図12及び
図14)。
【0045】
図1及び
図2に示すように、製造装置20の基台20a(
図2)には、コイル形成部51を水平面内で移動させる移動手段52が設けられる。この形成部移動手段52はY軸方向に伸びてコイル形成部51をY軸方向に移動させるY軸移動アクチュエータ53と、そのY軸移動アクチュエータ53をコイル形成部51と共にX軸方向に移動させるX軸移動アクチュエータ54を備える。
【0046】
このX及びY軸移動アクチュエータ53,54は前述した伸縮アクチュエータと同一構造であって、
図1に示す様に、X軸移動アクチュエータ54のハウジング54dがX軸方向に延びて基台20aに固定され、その従動子54cにY軸移動アクチュエータ53のハウジング53dがY軸方向に延びて取付けられる。コイル形成部51は、切り欠き51bが形成された側がノズル32に臨み、かつ凹溝51aが線材操出部31から繰出される線材14のZ軸方向の高さと同一になるように、Y軸移動アクチュエータ53の従動子53cに支持具55を介して取付けられる。
【0047】
図1に示すように、形成部移動手段52のY軸方向の一方の片側には、線材案内部32から繰出される線材14に切込みを入れる切込み装置56が設けられる。
【0048】
図1,
図5及び
図6に示すように、この実施の形態における切込み装置56は、平角線14の上面に楔状の切込み14bを入れる上刃57と、平角線14の下面に楔状の切込み14bを入れる下刃58と、その上刃57と下刃58をかみ合わせる切込み駆動装置59と、平角線14を上刃57と下刃58をかみ合わせた際に平角線14が切断されることを防止するストッパ60とを備える。
【0049】
図5及び
図6に示すように、駆動装置59は、流体圧の供給の有無により上刃57と下刃58を接離させる流体圧シリンダであって、上刃57と下刃58は、それぞれ断面が方形の互いに平行な棒状部材である。これら棒状部材の対向面には、断面が三角形であって先端が鋭角の凸条57a,58aが長手方向に連続してそれぞれ形成され、駆動装置59は、上刃57と下刃58を接近させると、それらの凸条57a,58aの先端が接触するように上刃57と下刃58を離接可能に支持するものとする。
【0050】
ストッパ60は上刃57に螺合されたネジであって、上刃57と下刃58を接近させた場合に、ネジ60の先端が下刃58に接触して、上刃57と下刃58がそれ以上接近することを防止することにより、それらの凸条57a,58aの間に所定の隙間t(
図6)を生じさせるように構成される。このネジ60のネジ部60aには、ナット60bが螺合され、ネジ60の先端が下刃58に接触した場合に、上刃57と下刃58の凸条57a,58a間に生じる隙間tが所望のものとなる状態でナット60bを上刃57に締め付け固定する事により、上刃57に螺合されたネジ60の回転を禁止し、凸条57a,58a間に生じる所望の隙間tが変動する事を防止するように構成される。
【0051】
そして、このネジからなるストッパ60は、
図6の拡大図に示すように、平角線14を上刃57と下刃58の間に挿入させた状態で双方を接近させてかみ合わせた際に、その間の平角線14に両側から凸条57a,58aにより切込み14bを入れるけれども、その凸条57a,58a同士が接触する事に起因する線材14が切断されることを防止するように構成される。
【0052】
図1に示すように、基台20aには、この切込み装置56を三軸方向に移動させる切込み移動手段61を備える。この切込み移動手段61は、X軸、Y軸、及びZ軸方向伸縮アクチュエータ62〜64の組み合わせにより構成され、上述した把持具移動手段45と同一構造であるので、繰り返しての説明を省略する。
【0053】
また、形成部移動手段52のY軸方向の他方の片側には、コア11に巻線された線材14の余長先端部14aを把持して引き出す余線先端部把持引出し装置70が設けられる。
【0054】
この余線先端部把持引出し装置70は、コア11に巻回された線材14の余長先端部14a(
図15)を把持する把持部71と、その把持部71に把持した線材14の余長先端部14aを引き出す線材引出し部72とを備える。
【0055】
図7及び
図8に示すように、把持部71は、流体圧の供給の有無により一対の把持片71a,71bを接離させる流体圧シリンダであって、一対の把持片71a,71bを接近させると、それらの先端の間に存在する線材14を把持可能に構成される。
【0056】
図1に示すように、線材引出し部72は、この把持部71を三軸方向に移動させるものであって、X軸、Y軸、及びZ軸方向伸縮アクチュエータ73〜75の組み合わせにより構成される。この線材引出し部72は、上述した把持具移動手段45と同一構造であるので、繰り返しての説明を省略する。
【0057】
そして、線材引出し部72は、線材14の余長先端部14aを把持した把持部71を、コア11から遠ざけるように移動させる事により、把持部71に把持した余長先端部14aを引き出すことができることになり、この線材引出し部72は、前述した線材操出部31が線材14を繰出しながら同期して余長先端部14aを引き出すことが可能になるように配置される。
【0058】
次に、このようなコイルの製造装置を用いてコイルを製造する本発明のコイルの製造方法について説明する。
【0059】
本発明のコイルの製造方法は、線材操出部31から繰出される線材14の余長先端部14aを螺旋状に旋回させながらその線材14をコア11に巻回させる線材巻回工程と、巻回後の線材14の余長先端部14aを把持し線材操出部31から線材14を繰出しながら同期して余長先端部14aを引き出す先端部引出し工程とを有することを特徴とする。
【0060】
図17に示すように、この実施の形態におけるコア11は、線材14が巻回される互いに平行な一対の巻線辺11a,11bと、その一対の巻線辺11a,11bの両端部をそれぞれ連結する連結辺11c,11dとを備えるロ字状閉磁路コア11であり、そのロ字状閉磁路コア11と、そのロ字状閉磁路コア11の一対の巻線辺11a,11bにそれぞれ巻回された線材14から成るコイル12を製造するものとする。
【0061】
図11及び
図13に示すように、線材巻回工程にあっては、ロ字状閉磁路コア11の一対の巻線辺11a,11bに対して交差する方向から線材14をそれぞれ繰出してその一対の巻線辺11a,11bにそれぞれ線材14を巻回させるものとする。このため、線材巻回工程は、一方の巻線辺11aに線材14を巻回させる第一線材巻回工程と、他方の巻線辺11bに線材14を巻回させる第二線材巻回工程を含むものとする。
【0062】
そして、それら一対の巻線辺11a,11bに巻回される線材14は平角線であり、第一及び第二線材巻回工程のそれぞれにおいて、平角線14の短辺が内径面となるように平角線をコア11の一対の巻線辺11a,11bにエッジワイズ巻きでそれぞれ巻きつける場合を示すものとする。
【0063】
一方、この実施の形態では、第一及び第二線材巻回工程以前に、平角線14を巻き終わり切断位置まで繰出す線材操出工程と、平角線14の上面及び下面に同時に楔状の切込み14bを入れる切込み工程と、切込み14bを入れた平角線14を引き戻す引き戻し工程がそれぞれ行われ、線材巻回工程又は先端部引出し工程の後にコア11を移動させて平角線14を切込み14bで切断する切断工程がそれぞれ行われるものとする。
【0064】
このコイル12の製造に際しては、
図3に示すように、ロ字状閉磁路コア11の一対の巻線辺11a,11bをZ軸方向にして、それらを連結する上側の水平な連結片11cの両端部を把持具44における一対の挟持片44a,44bにより把持し、その把持具44をコア11と共に待機位置に待機させる。この状態から、本発明におけるコイルの製造方法が開始されるものとし、以下に本発明の製造方法における各工程を詳説する。
【0065】
<第一線材操出工程>
この工程では、
図9の実線矢印で示すように、平角線14を巻き終わり切断位置まで繰出す。線材14の繰出しは、
図2に示す線材操出部31により行われ、下ローラ33とともに線材14を挟んだ上ローラ34を送り用サーボモータ41を駆動させて回転させ、上下の線材送りローラ33,34により挟まれた線材14を順次繰出す。線材14の繰出し長さは、コア11における一方の巻線辺11aに巻回する長さであって、この長さは予め巻線辺11aの外径及び巻回しようとする回数により求められる。
【0066】
<第一切込み工程>
この工程では、繰出された平角線14のノズル32近傍における上面及び下面に同時に楔状の切込み14bを入れる。この切込み14bは、切込み装置56により入れられ、駆動装置59を
図1に示す切込み移動手段61により移動させて、ノズル32近傍における平角線14を上刃57と下刃58の間に挿入させ、
図5及び
図6に示すように、その状態で駆動装置59を駆動させて上刃57と下刃58の双方を接近させてかみ合わせる。この噛み合わせは、上刃57に螺合されたストッパであるネジ60の先端が下刃58に接触するまで行われ、
図6の拡大図に示すように、上刃57と下刃58の間の平角線14に両側からそれらの凸条57a,58aにより切込み14bを入れる。
【0067】
このように線材14が切断されない程度に、平角線14のノズル32近傍における上面及び下面に切込み14bを入れた後には、駆動装置59を再び駆動させて上刃57と下刃58を相互に離間させ、それらの噛み合わせを解消させた状態で、切込み移動手段61により駆動装置59を再び待機位置にまで移動させておく。
【0068】
<第一引き戻し工程>
この工程では、
図9の破線矢印で示すように、切込み14bを入れた平角線14を引き戻す。この線材14の引き戻しは、
図2に示す線材操出部31により行われ、下ローラ33とともに線材14を挟んだ上ローラ34を送り用サーボモータ41を駆動させて逆方向に回転させ、上下の線材送りローラ33,34により挟まれた線材14を線材案内部32であるノズル32側に引き戻す。線材14の引き戻し長さは、先の線材操出工程で繰出した長さと等しく、再び繰出したならば、コア11における一方の巻線辺11aに線材14の巻回が完了した状態で、切込み14bがノズル32の先端近傍に位置し又はその先端縁から突出する長さである。
【0069】
<第一線材巻回工程>
この工程では、線材操出部31から繰出される線材14の余長先端部14aを螺旋状に旋回させながら、その線材14をコア11の一方の巻線辺11aに巻回させる。
【0070】
このため、
図12(a)に示すように、把持具44に把持された状態で待機位置にあるコア11をその把持具44と共に移動させて、ロ字状閉磁路コア11の底面である連結辺11dの線材操出部31側面を凸条43cに接触させた状態で、台本体43aの上面にその連結片11dの底面を着座させる。
【0071】
この実施の形態では、コア11の一対の巻線辺11a,11bにそれぞれ巻線を施す場合を示すので、線材巻回工程は、一対の巻線辺11a,11bに片側毎に行われる。この第一線材巻回工程は、その一方の巻線辺11aに線材14を巻回させるものであり、
図11(a)に示すように、ノズル32から真っ直ぐに繰出される線材14がその一方の巻線辺11aの外側近傍を通過するように、ロ字状閉磁路コア11を台本体43aの上面に着座させる。そして、線材14を繰出し、その線材14が一方の巻線辺11aの外側近傍を通過した段階でその繰出しを一旦停止させる。
【0072】
この状態で、コイル形成部51を形成部移動手段52により移動させて、
図11(b)及び
図12(b)に示すように、その一方の変形面51aを一方の巻線辺11aの外側近傍を通過した線材14に側方から押し当てて、その線材14を一方の巻線辺11a側に湾曲させつつ、その変形面51aがノズル32の延長線上にあって、その線材14が繰出される位置にまで移動させる。
【0073】
これにより、繰出されてロ字状閉磁路コア11の外周近傍を通過した線材14はロ字状閉磁路コア11の中央に向けて折曲がることになり、その折り曲が部位より先端側の直線部が余長先端部14aとなる。
【0074】
ここで、このコア11の一方の巻線辺11aへの巻回にあっては、まだ他方の巻線辺11bへの巻線は成されていないので、余長先端部14aの長さL1(
図12)が一対の巻線辺11a,11bの間の隙間Dより小さければ、その余長先端部14aは一方の巻線辺11aの周囲に螺旋状に移動可能となり、比較的長い余長先端部14aとすることができる。
【0075】
そこで、
図11(b)及び
図12(b)に示す状態から、線材操出部31による線材14の繰出しを再開する。即ち、
図2に示す線材操出部31における送り用サーボモータ41を再び駆動して上ローラ34を回転させ、上下のローラ33,34により挟まれた線材14を順次繰出す。
【0076】
このとき、線材送り用アクチュエータ38によるスライダ38aを下降させる力が十分でなく、上ローラ34と下ローラ33が線材14を挟む力が不足する場合には、補助板40に螺合されたボルト40aを締め付けて下降させ、その下端を支持板39の上縁に押し付けることにより上ローラ34と下ローラ33が線材14を挟む力を増強させることができる。
【0077】
ロ字状閉磁路コア11の外周近傍に線材案内具であるノズル32から真っ直ぐに連続的に繰出される線材14は、ロ字状閉磁路コア11の外周近傍を通過し、コイル形成部51の変形面51aによりロ字状閉磁路コア11の中央に向かうように案内されて、そのコア11の一方の巻線辺11aにおける断面形状に沿うように順次湾曲することになる。
【0078】
コイル形成部51の変形面51aによりロ字状閉磁路コア11の中央に向けて順次湾曲する線材14は、その後ロ字状閉磁路コア11の中央孔13cに常時挿通されることになる。ここで、コイル形成部51の変形面51aは、コア11の一方の巻線辺11aに対して螺旋を描くように形成されているので、コイル形成部51の変形面51aにより案内されてロ字状閉磁路コア11の中央孔13cに挿通された線材14の端部は、コア11の一方の巻線辺11aに螺旋状に巻回されることになる。
【0079】
これにより、ロ字状閉磁路コア11の一方の巻線辺11aに巻回する線材14が線材操出部31により繰出される真っ直ぐな線材14と干渉することは回避され、その線材14の余長先端部14aはロ字状閉磁路コア11の一方の巻線辺11aに螺旋状に案内される。
【0080】
即ち、継続して繰出される線材14はロ字状閉磁路コア11の外周近傍を通過した後、コイル形成部51の変形面51aによりロ字状閉磁路コア11の中央に向けて順次湾曲し、ロ字状閉磁路コア11の一対の巻線辺11a,11bの間の中央孔11eを通過する。そして、湾曲して中央孔11eを通過する線材14は、
図11(c)及び
図12(c)に示すように、螺旋状に周回することになり、その線材14はロ字状閉磁路コア11の一方の巻線辺11aに巻回される。このように線材14が一方の巻線辺11aに螺旋状に周回されて、その一方の巻線辺11aに巻回する線材14が所定の回数巻回されると、
図11(c)に示すように、切込み工程により入れられた切込み14bがノズル32の先端近傍に位置し又はそのノズル32から突出することに成り、この状態で線材14の繰出しを停止してこの第一線材巻回工程を終了させる。
【0081】
<第一切断工程>
一方の巻線辺11aへの巻回工程を終了させた後には、コイル形成部51を形成部移動手段52により移動させて待機位置にまで戻し、
図10に示すように、コア11をコア11移動手段によりノズル32から遠ざけるように移動させて、切込み工程により入れられた切込み14bをノズル32から突出させる。
【0082】
ここで、コア11をノズル32から遠ざけて切込み14bをノズル32から突出させる際に、線材操出部31により線材14を同量繰出す。このようにして、コア11から切込み14bまでの長さを長くする事により、線材14の巻終わり部分14cの直線状の部位における長さを十分に確保する事ができ、その部位を端子として、そのまま使用する事が可能となる。
【0083】
切込み14bをノズル32から突出させた後には、その状態でコア11を線材14の幅方向に更に移動させる。すると、切込み14bは線材案内部32であるノズル32の先端から突出してノズル32とコア11の間に位置するので、線材14の幅方向へのコア11の移動により平角線14からなる線材14は、ノズル32とコア11の間に形成された切込み14bにより切断される。これにより一方の巻線辺11aにおける巻線は完了する事になる。
【0084】
<第二線材操出工程、第二切込み工程、第二引き戻し工程>
これらの工程では、コア11における他の巻線辺11bに巻回される平角線14を、その巻き終わり切断位置まで線材案内部であるノズル32から繰出し、その巻終わり予定位置の上面及び下面に同時に楔状の切込み14bを入れ、切込み14bを入れた平角線14を引き戻すことが行われる。これらの工程の詳細は、前述した第一線材操出工程、第一切込み工程及び第一引き戻し工程と同一であるので繰り返しての説明を省略する。
【0085】
但し、線材14の繰出し長さは、コア11における他方の巻線辺11bに巻回する長さであって、この長さは予め巻線辺11bの外径及び巻回しようとする回数により求められる。そして、線材14の引き戻し長さは、この第二線材操出工程で繰出した長さと等しく、再び繰出したならば、コア11における他方の巻線辺11bに線材14の巻回が完了した状態で、切込み14bがノズル32の先端縁近傍に位置し又はその先端縁から突出する長さである。
【0086】
<第二線材巻回工程>
この工程では、線材操出部31から繰出される線材14の余長先端部14aを螺旋状に旋回させながら、その線材14をコア11の他方の巻線辺11bに巻回させる。
【0087】
このため、先の第一線材巻回工程において一方の巻線辺11aに既に線材14が巻回されて把持具44に把持されたコア11をその把持具44と共に移動させて、
図13(a)及び
図14(a)に示すように、ノズル32から真っ直ぐに繰出される線材14が他方の巻線辺11bの外側近傍を通過するようにY軸方向の位置決めを行い、連結片11dの線材操出部31側面を凸条43cに接触させてX軸方向の位置決めを行う。この状態でロ字状閉磁路コア11の連結片11dの底面を台本体43aの上面に着座させる。そして、線材14を繰出し、その線材14が他方の巻線辺11bの外側近傍を通過した段階でその繰出しを一旦停止させる。
【0088】
次に、この状態で、コイル形成部51を形成部移動手段52により移動させて、
図13(b)及び
図14(b)に示すように、その他方の変形面51aを他方の巻線辺11bの外側近傍を通過した線材14に側方から押し当てて、その線材14を巻線辺11b側に湾曲させつつ、その変形面51aがノズル32の延長線上にあって、線材14が繰出される位置にまで移動させる。
【0089】
これにより、繰出されてロ字状閉磁路コア11の外周近傍を通過した線材14はロ字状閉磁路コア11の中央孔11eに向かって折曲がることになり、その折り曲がり部位より先端側の直線部が余長先端部14aとなる。
【0090】
ここで、このコア11の他方の巻線辺11bへの巻回にあっては、
図14(b)に示すように、既に一方の巻線辺11aへの巻線が完了しているので、余長先端部14aの長さL2(
図14)は、一方の巻線辺11aへ巻線された線材14と干渉しない程度とされるため、この余長先端部14aの長さL2を長くする事はできない。
【0091】
この
図13(b)及び
図14(b)に示す状態から、線材操出部31による線材14の繰出しを再開する。即ち、線材操出部31(
図2)における送り用サーボモータ41を再び駆動して上ローラ34を回転させ、上下のローラ33,34により挟まれた線材14を順次繰出す。
【0092】
ロ字状閉磁路コア11の外周近傍に真っ直ぐに連続的に繰出された線材14はコイル形成部51の変形面51aによりロ字状閉磁路コア11の中央に向かうように案内されて、そのコア11の巻線辺における断面形状に沿うように順次湾曲することになる。
【0093】
繰出されてコイル形成部51の変形面51aによりロ字状閉磁路コア11の中央に向けて順次湾曲する線材14はその後ロ字状閉磁路コア11の中央孔11eに常時挿通されることになる。ここで、コイル形成部51の変形面51aは、コア11の巻線辺に対して螺旋を描くように形成されているので、コイル形成部51の変形面51aにより案内されてロ字状閉磁路コア11の中央孔11eに挿通された線材14の余長先端部14aは、コア11の他方の巻線辺11bに螺旋状に巻回されることになる。
【0094】
これにより、ロ字状閉磁路コア11の巻線辺に巻回する線材14が線材操出部31により繰出される真っ直ぐな線材14と干渉することは回避され、その線材14の端部はロ字状閉磁路コア11の他方の巻線辺11bに螺旋状に案内される。
【0095】
即ち、継続して繰出される線材14はロ字状閉磁路コア11の外周近傍を通過した後、コイル形成部51の変形面51aによりロ字状閉磁路コア11の中央に向けて順次湾曲し、ロ字状閉磁路コア11の中央孔11eを通過する。そして、湾曲して中央孔11eを通過する線材14は、
図13(c)及び
図14(c)に示すように、螺旋状に周回することになり、その線材14はロ字状閉磁路コア11の他方の巻線辺11bに巻回される。そして、その他方の巻線辺11bに線材14が所定の回数巻回された状態で線材14の繰出しは停止されて、この第二線材巻回工程を終了させる。
【0096】
<先端部引出し工程>
この工程では、他方の巻線辺11bへの巻回後の線材14の余長先端部14aを把持し、線材操出部であるノズル31から線材14を繰出しながら同期してその余長先端部14aを引き出す。この余長先端部14aの引出しは、
図1に示す余長先端部把持引出し装置70により行われる。
【0097】
具体的には、待機位置にあるその把持部71を線材引出し部72により三軸方向に移動させて、
図7及び
図8に示すように、その互いに離間した一対の把持片71a,71bの間に余長先端部14aを進入させる。その後、一対の把持片71a,71bを互いに接近させ、それらにより余長先端部14aを挟持する。
【0098】
そして、線材引出し部72は、
図15(a)に示すように、線材14の余長先端部14aを把持した把持部71を、
図15(b)に示すように、線材引出し部72がコア11から遠ざけるように移動させる。これにより、把持部71に把持した線材14の余長先端部14aを引き出すことができることになり、この時、
図2に示す線材引出し部72は、線材操出部31が線材14を繰出しながら同期して余長先端部14aを引き出す。
【0099】
即ち、余長先端部14aの引き出しと線材操出部31による線材14の繰出しは、線材操出部31による線材14の繰出し速度と、余長先端部把持引出し装置70による余長先端部14a引出し速度を同一とさせる様に行われ、ノズル32からの線材14の繰出し量と、余長先端部把持引出し装置70による引出し量をそれぞれ一致させる。
【0100】
そして、
図15(b)に示すように、余長先端部14aを所望の長さ引出した後には、切込み工程により入れられた切込み14bがノズル32の先端近傍に位置し又はそのノズル32の先端から突出することになる。そして、この状態で余長先端部14aの引出しは停止される。
【0101】
余長先端部14aを所望の長さ引出した後には、把持部71において余長先端部14aを把持している一対の把持片71a,71bを互いに離間させて、その把持を解消させ、余長先端部14aの把持が解消された把持部71を線材引出し部72が待機位置まで移動させることにより、この先端部引出し工程を終了させる。
【0102】
<第二切断工程>
他方の巻線辺11bへ巻線された線材14の余長先端部14aが所定の長さ引き出された後には、コイル形成部51を形成部移動手段52により移動させて待機位置にまで戻し、コア11をコア移動手段によりノズル32の線材操出方向に移動させて、切込み工程により入れられた切込み14bをノズル32から突出させる。
【0103】
このコア11をノズル32から遠ざけて切込み14bをノズル32から突出させる際に、線材操出部31により線材14を同量繰出す。このようにして、コア11から切込み14bまでの長さを長くする事により、この巻終わり部分の線材14の直線状の部位における長さを十分に確保する事ができ、その部位を端子として、そのまま使用する事が可能となる。
【0104】
図16に示すように、切込み14bをノズル32から突出させた後には、そのコア11を更に線材14の幅方向に移動させる。切込み14bは線材案内部32であるノズル32の先端から突出させると、その切込み14bはノズル32とコア11の間に位置することになるので、線材14の幅方向へのコア11の移動により平角線14からなる線材14は、ノズル32とコア11の間に形成された切込み14bにより切断される。これにより他方の巻線辺11bにおける巻線は完了する事になる。
【0105】
これによりロ字状閉磁路コア11と、その一対の巻線辺11a,11bにそれぞれ螺旋状に巻線された線材14からなる
図17に示すコイル12を得る。
【0106】
ここで、
図16に示すように、コア11から切込み14bまでの長さを長くする事により、線材14の巻終わり部分14cの直線状の部位における長さを十分に確保する事ができ、その部位を端子として、そのまま使用する事が可能となる。
【0107】
従って、本発明のコイルの製造装置20及びその製造方法では、繰出されてロ字状閉磁路コア11の外周近傍を通過した線材14を順次湾曲させ、それにより螺旋状に周回する線材14をロ字状閉磁路コア11に直接巻回させることができる。
【0108】
けれども、線材巻回工程において、線材繰出部31から繰出されてコア11の外周近傍を通過した線材14をコイル形成部51により順次湾曲させて、螺旋状に周回する線材14をコア11に巻回するので、従来と同様に比較的長い余長先端部14aを形成する事はできない。
【0109】
しかし、本発明のコイルの製造装置及びその製造方法では、把持部71と線材引出し部72を有し、先端部引出し工程において余長先端部14aを引き出すので、比較的長い余長先端部14aを形成することできる。そして、その先端部引出し工程では、線材操出部31から線材14を繰出しながら同期して余長先端部14aを引き出すので、線材14のコア11に成された巻数や、巻回された線材14からなるコイルの外径を変化させる事無く、コア11に巻回された線材14の先端部をコア11の内径を超える長さとすることが可能となるのである。
【0110】
なお、上述した実施の形態では、線材14を繰出す4対の線材送りローラ33,34を備え、その内の上ローラ34を送り用サーボモータ41が回転させる線材操出部31を説明したけれども、線材送りローラ33,34は4対に限るものではなく、1対又は2対であっても良く、3対、5対、6対又は7対以上であっても良い。また、送り用サーボモータ41は上ローラ34に代えて下ローラ33を回転させるように構成しても良く、その送り用サーボモータ41は上ローラ34と下ローラ33の双方を回転させるように構成しても良い。
【0111】
また、上述した実施の形態では、コア11がロ字状閉磁路コア11であり、その一対の巻線辺11a,11bにそれぞれ線材巻回工程が行われるけれども、先端部引出し工程は他方の巻線辺11bに巻回された線材14に対してのみ行われる場合を説明した。けれども、コア11がロ字状閉磁路コア11である場合、先端部引出し工程を一対の巻線辺11a,11bの双方に巻回された線材14に対して行うようにしても良い。