(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態に係る危険通知システム1について、
図1〜
図14を参照しながら説明する。
【0015】
(危険通知システムの全体構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る危険通知システムの全体構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の危険通知システム1は、インターネット等のネットワークNWを介して通信可能に接続されたプローブデータ収集部10と、交通状況指標生成部20と、交通状況データベース30と、危険通知装置40と、を備えている。
なお、プローブデータ収集部10、交通状況指標生成部20、交通状況データベース30及び危険通知装置40は、LAN(Local Area Network)等の専用線で通信可能に接続されていてもよい。
【0016】
プローブデータ収集部10は、所定時間ごと(例えば1秒ごと)に、車両に搭載された車載器A及び歩行者が携帯する携帯端末Tから送信されるプローブデータ(車載器プローブデータ及び携帯端末プローブデータ)を収集する。
具体的には、プローブデータ収集部10は、複数の車両のそれぞれに搭載された車載器A(車載器A1〜An)からネットワークNWを介して送信された車載器プローブデータを収集する。また、プローブデータ収集部10は、複数の歩行者がそれぞれ携帯する携帯端末T(携帯端末T1〜Tn)から、ネットワークNWを介して送信された携帯端末プローブデータを収集する。なお、歩行者が携帯する携帯端末Tには、携帯端末プローブデータを送信し、危険通知装置40から「交通事故が発生する危険度が高い」ことを示すアラート情報を受信するためのアプリケーションが予めインストールされている。
車載器プローブデータには、「送信日時」、「機器種別」、「機器ID」、「位置情報」、「移動速度」、「アラート設定」等が含まれている。また、携帯端末プローブデータには、「機器種別」、「機器ID」、「位置情報」、「アラート設定」等が含まれている。
「送信日時」は、プローブデータが車載器A又は携帯端末Tから送信された日時を示す情報である。「機器種別」は、プローブデータの送信元が車載器Aであるか携帯端末Tであるかを特定するための情報である。「機器ID」は、プローブデータの送信元である車載器A又は携帯端末Tを特定可能な情報である。「位置情報」は、プローブデータが送信された日時における、車載器Aが搭載された車両又は携帯端末Tを携帯する歩行者が位置する地点(緯度、経度等)を示す情報である。「移動速度」は、プローブデータが送信された日時における、車載器Aが搭載された車両の走行速度(m/s)を示す情報である。「アラート設定」は、車載器A及び携帯端末Tがアラート情報を受信するか否か(「ON」又は「OFF」)を示す情報である。車両の運転者は、車載器Aを通じてアラート情報を受信するか否かを任意で切り替えることができる。また、歩行者は、携帯端末Tにインストールされたアプリケーションを通じて、アラート情報を受信するか否かを任意で切り替えることができる。
【0017】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る道路区間の例を示す図である。
交通状況指標生成部20は、プローブデータ収集部10が収集したプローブデータ(車載器プローブデータ及び携帯端末プローブデータ)に基づいて、所定時間ごと(例えば1秒ごと)に、道路区間別の交通状況指標を生成する。なお、本実施形態において、交通状況指標生成部20は、車両の交通状況を示す「車両交通状況指標」と、歩行者の交通状況を示す「歩行者交通状況指標」とを、それぞれ道路区間別に生成する。
道路区間とは、
図2に示すように、道路上の複数の交通結節点(交差点等)のそれぞれに設定されたノードのうち、隣接する二点のノード間の領域を示す。各道路区間には、道路区間を特定可能な「リンクID」が付されている。例えば、
図2に示すように、二つのノード(交差点)間の領域であって、一方へ向かう車線を示す道路区間にはリンクID「B20a」が付されており、他方へ向かう車線を示す道路区間にはリンクID「B20b」が付されている。なお、交通結節点間の距離が所定距離(例えば100メートル)よりも長い場合は、更に所定距離ごとにノードを設定するようにしてもよい。本実施形態では、交通状況指標生成部20は、「リンクID」と、道路区間の位置(例えば、道路区間の始点及び終点の緯度及び経度)を示す「道路区間位置情報」と、「道路区間の長さ」とが関連付られた地図データを予め有している。
交通状況指標(車両交通状況指標及び歩行者交通状況指標)とは、道路区間内における車両及び歩行者の交通状況を示す情報である。本実施形態では、交通状況指標には、「交通量」、「交通密度」、及び「平均速度」が含まれている。「交通量」は、道路区間内における1秒あたりの車両の通行台数(台/秒)又は歩行者の通行人数(人/秒)を示す。「交通密度」は、道路区間内における1メートルあたりの車両台数(台/m)又は歩行者人数(人/m)を示す。「平均速度」は、道路区間内を走行中の車両又は通行中の歩行者の平均移動速度(m/s)を示す。
また、交通状況指標生成部20は、交通状況指標を演算する際に用いたプローブデータに基づいて、道路区間(リンクID)と、当該道路区間に位置する車載器A及び携帯端末Tの情報(プローブデータの一部)とが関連付けられたデータを、交通状況データベース30の交通状況テーブルD10(
図4)に追加して更新する。交通状況テーブルD10の詳細については後述する。
【0018】
交通状況データベース30には、交通状況指標生成部20が生成した交通状況指標(車両交通状況指標及び歩行者交通状況指標)と、
図4に示す交通状況テーブルD10とが蓄積されている。
【0019】
危険通知装置40は、交通状況データベース30に記録された道路区間別の交通状況指標に基づいて、各道路区間における交通事故の発生確率を示す危険度を予測する。また、危険通知装置40は、ある道路区間の「危険度が高い」と判断した場合、当該道路区間に位置する車載器A及び携帯端末Tの少なくとも一方へ、「危険度が高い」ことを示すアラート情報を送信する。
【0020】
(交通状況指標生成部の機能)
図3は、本発明の第1の実施形態に係る交通状況指標生成部の機能を示す図である。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る交通状況テーブルの例を示す図である。
以下、本実施形態の交通状況指標生成部20の機能について、
図3〜
図4を参照して説明する。
図3に示すように、交通状況指標生成部20は、まず、プローブデータ収集部10からプローブデータを取得する。そして、交通状況指標生成部20は、既知のビッグデータ分散処理技術、ストリームデータ処理技術等を用いて、複数の車載器A及び携帯端末Tから収集したプローブデータに基づく道路区間別の交通状況指標を生成する。交通状況指標生成部20は、交通状況指標を生成すると、当該交通状況指標を道路区間別に交通状況データベース30へ記録する。これにより、交通状況指標生成部20は、現実の道路区間別の状況に応じた交通状況指標をリアルタイムに生成することが可能である。
【0021】
また、交通状況指標生成部20は、交通状況指標を演算する際に用いたプローブデータに基づいて、道路区間(リンクID)と、当該道路区間に位置する車載器A及び携帯端末Tの情報(プローブデータの一部)とが関連付けられた交通状況データを、交通状況データベース30の交通状況テーブルD10に追加して更新する。
図4に示すように、交通状況テーブルD10には、各プローブデータの「送信日時」と、各プローブデータの送信元である車載器A及び携帯端末Tの「機器種別」、「機器ID」、「位置情報」、及び「アラート設定」と、車載器Aが搭載された車両及び携帯端末Tを携帯する歩行者が位置する道路区間の「リンクID」と、が関連付けられて記録されている。
【0022】
(交通状況指標生成部の処理フロー)
図5は、本発明の第1の実施形態に係る交通状況指標生成部の処理フローを示す第1の図である。
以下、本実施形態の交通状況指標生成部20の処理の流れについて、
図5を参照して説明する。
【0023】
図5に示すように、交通状況指標生成部20は、プローブデータ収集部10が収集したプローブデータ(車載器プローブデータ及び携帯端末プローブデータ)を取得する(ステップS200)。
【0024】
次に、交通状況指標生成部20は、プローブデータ(車載器プローブデータ及び携帯端末プローブデータ)に基づいて、道路区間別の交通状況指標(車両交通状況指標及び歩行者交通状況指標)を生成するとともに、交通状況テーブルD10を更新する(ステップS201)。交通状況指標の生成処理及び交通状況テーブルD10の更新処理の詳細については後述する。
【0025】
次に、交通状況指標生成部20は、交通状況指標を演算する度に、生成した道路区間別の交通状況指標と交通状況テーブルD10とを、交通状況データベース30へ記録して蓄積する(ステップS202)。
このように、交通状況指標生成部20は、プローブデータを取得する度に、上記処理を繰り返し実行する。
【0026】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る交通状況指標生成部の処理フローを示す第2の図である。
図7は、本発明の第1の実施形態に係る交通状況指標生成部の処理フローを示す第3の図である。
以下、交通状況指標生成部20が交通状況指標を生成する処理、及び、交通状況テーブルD10を更新する処理について、
図6〜
図7を参照して説明する。
【0027】
交通状況指標生成部20は、まず、
図6に示すように、各プローブデータの送信元である車載器Aが搭載された車両が位置する道路区間(以下、車両が位置する道路区間)、及び、携帯端末Tを携帯する歩行者が位置する道路区間(以下、歩行者が位置する道路区間)を特定する処理P21を行う。
処理P21において、まず、交通状況指標生成部20は、各プローブデータ(車載器プローブデータ及び携帯端末プローブデータ)から「位置情報」を読み出す(ステップS210)。
【0028】
次に、交通状況指標生成部20は、各プローブデータの「位置情報」に基づいて、各車両及び各歩行者が位置する道路区間を特定する(ステップS211)。
具体的には、交通状況指標生成部20は、プローブデータの「位置情報」(緯度及び経度)を含む「道路区間位置情報」を有する道路区間を、地図データから検索して特定する。
【0029】
次に、交通状況指標生成部20は、各プローブデータに、特定した道路区間の「リンクID」を追加する(ステップS212)。
【0030】
次に、交通状況指標生成部20は、各プローブデータの「送信日時」、「機器種別」、「機器ID」及び「アラート設定」と、ステップS212において追加された道路区間の「リンクID」とが関連付けられた交通状況データを、交通状況データベース30に記録された交通状況テーブルD10(
図4)に追加して更新する(ステップS213)。
このように、交通状況指標生成部20は、プローブデータを取得する度に、上記処理P21を繰り返し実行する。
【0031】
また、
図7に示すように、交通状況指標生成部20は、上記処理P21により「リンクID」が追加された複数のプローブデータ(車載器プローブデータ及び携帯端末プローブデータ)に基づいて、各道路区間の各時刻における交通状況指標を演算する処理P22を行う。
処理P22において、まず、交通状況指標生成部20は、複数のプローブデータのうち、演算の対象となる対象プローブデータを抽出する(ステップS220)。
本実施形態では、交通状況指標生成部20は、各プローブデータの「送信日時」及び「リンクID」に基づいて、任意の対象時刻において任意の対象道路区間に存在することを示すプローブデータを、演算処理の対象プローブデータとして抽出する。具体的には、交通状況指標生成部20は、任意の対象時刻から所定時間(例えば1秒間)以内の「送信日時」を有するプローブデータであって、任意の対象道路区間のリンクIDと同一の「リンクID」を有するプローブデータを、演算処理の対象プローブデータとして抽出する。
【0032】
次に、交通状況指標生成部20は、対象プローブデータに含まれる各車載器Aが搭載された車両の「移動速度」(以下、車両の「移動速度」)、及び、各携帯端末Tを携帯する歩行者の「移動速度」(以下、歩行者の「移動速度」)を取得する(ステップS221)。
具体的には、交通状況指標生成部20は、まず、対象プローブデータに含まれる各プローブデータの「機器種別」に基づいて、各プローブデータの送信元が車載器Aであるか、携帯端末Tであるかを判断する。
プローブデータの「機器種別」が車載器Aである場合、当該プローブデータ(車載器プローブデータ)には車両の「移動速度」が含まれている。このため、交通状況指標生成部20は、プローブデータに含まれる車両の「移動速度」を読み出して取得する。なお、本実施形態においては、車載器プローブデータの「移動速度」はメートル毎秒(m/s)で記録されている例について説明するが、他の実施形態においては、キロメートル毎時(km/h)等、他の単位で記録されていてもよい。「移動速度」が他の単位で記録されている場合、交通状況指標生成部20は、「移動速度」をメートル毎秒(m/s)に変換して取得するようにしてもよい。
一方、プローブデータの「機器種別」が携帯端末Tである場合、当該プローブデータ(携帯端末プローブデータ)には歩行者の「移動速度」が含まれていない。このため、交通状況指標生成部20は、当該プローブデータに基づいて歩行者の「移動速度」をメートル毎秒(m/s)の単位で算出して取得する。例えば、交通状況指標生成部20は、当該プローブデータの「送信日時」の所定時間前(例えば10秒前)の「送信日時」を有するプローブデータのうち、当該プローブデータの「機器ID」と同一の「機器ID」を有するプローブデータを検索して参照プローブデータとして抽出する。そして、交通状況指標生成部20は、参照プローブデータの「位置情報」が示す地点から当該プローブデータの「位置情報」が示す地点までの距離と、参照プローブデータ及び当該プローブデータの「送信日時」の時間差(10秒間)とに基づいて、当該プローブデータに関連する歩行者の「移動速度」を算出して取得する。
このように、交通状況指標生成部20は、対象プローブデータに含まれる各プローブデータから、車両及び歩行者の「移動速度」を取得すると、次のステップへ進む。
【0033】
次に、交通状況指標生成部20は、対象プローブデータに含まれる各プローブデータに基づいて、対象道路区間に位置する車載器Aが搭載された車両の台数を示す「車両台数」を算出するとともに、対象道路区間に位置する携帯端末Tを携帯する歩行者の人数を示す「歩行者人数」を算出する(ステップS222)。
【0034】
次に、交通状況指標生成部20は、対象道路区間の「リンクID」を検索キーとして、「対象道路区間の長さ」を地図データから検索して取得する(ステップS223)。
【0035】
次に、交通状況指標生成部20は、対象道路区間の対象時刻における車両の交通量と、歩行者の交通量とを、それぞれ算出する(ステップS224)。
具体的には、まず、交通状況指標生成部20は、ステップS222で算出した「車両台数」をN、ステップS221で取得した各車両の「移動速度」をv
i(i=1〜N)、ステップS223で取得した「対象道路区間の長さ」をKとし、以下の数式(1)を用いて車両の交通量q(台/秒)を求める。
【0037】
また、同様に、交通状況指標生成部20は、ステップS222で算出した「歩行者人数」をN、ステップS221で取得した各歩行者の「移動速度」をv
i(i=1〜N)、ステップS223で取得した「対象道路区間の長さ」をKとし、上記数式(1)を用いて歩行者の交通量q(人/秒)を求める。
【0038】
次に、交通状況指標生成部20は、対象道路区間の対象時刻における車両の交通密度と、歩行者の交通密度とを、それぞれ算出する(ステップS225)。
具体的には、交通状況指標生成部20は、ステップS222で算出した「車両台数」をN、ステップS223で取得した「対象道路区間の長さ」をKとし、以下の数式(2)を用いて車両の交通密度k(台/m)を求める。
【0040】
また、同様に、交通状況指標生成部20は、ステップS222で算出した「歩行者人数」をN、ステップS223で取得した「対象道路区間の長さ」をKとし、上記数式(2)を用いて歩行者の交通密度k(人/m)を求める。
【0041】
次に、交通状況指標生成部20は、対象道路区間の対象時刻における車両の平均速度と、歩行者の平均速度とを、それぞれ算出する(ステップS226)。
具体的には、交通状況指標生成部20は、ステップS222で算出した「車両台数」をN、ステップS221で取得した各車両の「移動速度」をv
i(i=1〜N)とし、以下の数式(3)を用いて車両の平均速度v
s(m/s)を求める。
【0043】
また、同様に、交通状況指標生成部20は、ステップS222で算出した「歩行者人数」をN、ステップS221で取得した各歩行者の「移動速度」をv
i(i=1〜N)とし、上記数式(3)を用いて歩行者の平均速度v
s(m/s)を求める。
【0044】
このように、交通状況指標生成部20は、プローブデータを取得する度に、上記処理P22を繰り返し実行することにより、各道路区間の各時刻における交通状況指標(車両交通状況指標及び歩行者交通状況指標)を演算する。
【0045】
(危険通知装置の機能構成)
図8は、本発明の第1の実施形態に係る危険通知装置の機能構成を示す図である。
図9は、本発明の第1の実施形態に係る危険度相関データの例を示す図である。
図10は、本発明の第1の実施形態に係るアラート情報の例を示す第1の図である。
図11は、本発明の第1の実施形態に係るアラート情報の例を示す第2の図である。
以下、本実施形態の危険通知装置40の機能構成について、
図8〜
図11を参照して説明する。
図8に示すように、危険通知装置40は、交通状況指標取得部410と、危険予測部420と、携帯端末データ抽出部430と、車載器データ抽出部440と、アラート情報送信部450と、記録媒体460と、を備えている。
【0046】
交通状況指標取得部410は、道路区間別の交通状況指標を、ネットワークNWを介して交通状況データベース30から取得する。本実施形態では、交通状況指標取得部410は、交通状況データベース30に記録された交通状況指標のうち、車両交通状況指標のみを取得する。
【0047】
危険予測部420は、交通状況指標取得部410が取得した道路区間別の車両交通状況指標と、記録媒体460に予め記録された道路区間別の危険度相関データD20(
図9)とに基づいて、各道路区間の交通事故の発生確率を示す危険度を予測する。
なお、危険予測部420は、記録媒体460に予め記録された地図データを参照し、専用歩道を有する道路区間、専用自動車道のみを有する道路区間等、車両と歩行者とが衝突する可能性が低い道路区間については、危険度の予測を行わないようにしてもよい。このようにすることで、危険予測部420が危険度の予測を行う処理を減らすことができるとともに、アラート情報送信部450(後述)が不要なアラートを送信することを抑制することができる。
【0048】
危険度相関データD20は、車両の交通量、交通密度及び平均速度のそれぞれと、交通事故の発生確率を示す危険度との相関を道路区間別に示すデータである。各危険度相関データD20は、
図9に示すように、「交通量−危険度相関データD20a」、「交通密度−危険度相関データD20b」及び「平均速度−危険度相関データD20c」を有している。
「交通量−危険度相関データD20a」は、横軸が車両の交通量(台/秒)、縦軸が車両の交通量に対する危険度(%)を示している。車両の交通量に対する危険度は、過去の各道路区間における車両交通指標のうち、交通量に対する交通事故の発生件数等を統計して、車両の交通量に対する交通事故の発生確率(%)として表したデータである。
「交通密度−危険度相関データD20b」は、横軸が車両の交通密度(台/m)、縦軸が車両の交通密度に対する危険度(%)を示している。車両の交通密度に対する危険度は、過去の各道路区間における車両交通指標のうち、交通密度に対する交通事故の発生件数等を統計して、車両の交通密度に対する交通事故の発生確率(%)として表したデータである。
「平均速度−危険度相関データD20c」は、横軸が車両の平均速度(m/s)、縦軸が車両の平均速度に対する危険度(%)を示している。車両の平均速度に対する危険度は、過去の各道路区間における車両交通指標のうち、平均速度に対する交通事故の発生件数等を統計して、車両の平均速度に対する交通事故の発生確率(%)として表したデータである。
【0049】
本実施形態では、危険予測部420は、危険度相関データD20の危険度が所定の基準値r1以上となった場合、「危険度が高い」と判断する。具体的には、
図9に示すように、リンクIDが「B10a」である道路区間B10aでは、基準値r1は、例えば10%に設定されている。この場合、危険予測部420は、道路区間B10aの車両交通状況指標の交通量、交通密度及び平均速度が、何れも危険度が基準値r1(10%)以上となる値を有している場合、「危険度が高い」と判断する。また、危険予測部420は、道路区間B10aの車両交通状況指標の交通量、交通密度及び平均速度の少なくとも一つが危険度が基準値r1(10%)未満となる値を有している場合、「危険度が低い」と判断する。
なお、所定の基準値r1は、複数の道路区間に対して同じ値が設定されていてもよいし、道路区間別に異なる値が設定されていてもよい。また、所定の基準値r1は、交通量−危険度相関データD20a」、「交通密度−危険度相関データD20b」及び「平均速度−危険度相関データD20c」のそれぞれに対して異なる値が設定されていてもよい。
更に、本実施形態では、危険予測部420は、車両の交通量、交通密度及び平均速度の全てが基準値r1以上の危険度となる値を有している道路区間が存在する場合、当該道路区間は「危険度が高い」と判断する例について説明するが、これに限られることはない。他の実施形態においては、危険予測部420は、車両の交通量、交通密度及び平均速度のうち少なくとも一つが基準値r1以上の危険度となる値を有している道路区間が存在する場合、当該道路区間は「危険度が高い」と判断するようにしてもよい。
【0050】
なお、記録媒体460には、更に月別、曜日別、時間帯別に異なる危険度相関データD20が予め記録されていてもよい。この場合、危険予測部420が危険度の予測を行う月、曜日、時間帯に基づいて、危険度相関データD20を参照する。これにより、例えば昼間と夜間とでは危険度が異なる道路区間であっても、危険予測部420が危険度の予測を行う時間帯に基づいて異なる危険度相関データD20を参照することにより、危険度を予測する精度を向上させることができる。
また、本実施形態では、過去の各道路区間における車両の交通量、交通密度及び平均速度のそれぞれに対する交通事故の発生件数等を統計して、危険度を求める例について説明したが、これに限られることはない。交通事故の発生件数(実際の交通事故件数)に加えて、交通事故が発生しそうになった件数(例えば、車載器プローブデータの「移動速度」が短時間で大幅に減少している等の急制動を示すデータを取得した件数)を統計して、危険度が設定されていてもよい。
【0051】
そして、危険予測部420は、「危険度が高い」と判断した道路区間を危険道路区間として、携帯端末データ抽出部430へ出力する。具体的には、危険予測部420は、危険道路区間の「リンクID」を携帯端末データ抽出部430及び車載器データ抽出部440へ出力する。
【0052】
携帯端末データ抽出部430は、危険道路区間を通行中の歩行者が携帯する携帯端末Tのデータを、交通状況データベース30の交通状況テーブルD10から抽出する。
具体的には、携帯端末データ抽出部430は、危険道路区間の「リンクID」を有する携帯端末Tのデータ(「機器種別」が「携帯端末」であるデータ)を抽出する。また、携帯端末データ抽出部430は、抽出した携帯端末Tのデータのうち、「アラート設定」が「ON」である携帯端末Tのデータを更に抽出する。
携帯端末データ抽出部430は、当該危険道路区間の「リンクID」を有し、且つ、「アラート設定」が「ON」である携帯端末Tのデータを一つ以上抽出した場合、抽出した携帯端末Tのデータを、危険道路区間別にアラート情報送信部450へ出力する。
【0053】
車載器データ抽出部440は、歩行者が存在する危険道路区間を走行中の車両に搭載された車載器Aのデータを、交通状況データベース30の交通状況テーブルD10から抽出する。
具体的には、車載器データ抽出部440は、まず、危険予測部420から出力された危険道路区間のうち、歩行者が存在する危険道路区間を特定する。例えば、車載器データ抽出部440は、携帯端末データ抽出部430から、携帯端末Tの「アラート設定」を「ON」にしている歩行者(携帯端末Tのデータ)が存在する危険道路区間の「リンクID」を取得することにより、このような危険道路区間を特定する。そして、車載器データ抽出部440は、特定した危険道路区間の「リンクID」と同一の「リンクID」を有する車載器Aのデータ(「機器種別」が「車載器」であるデータ)を抽出する。また、車載器データ抽出部440は、抽出した車載器Aのデータのうち、「アラート設定」が「ON」である車載器Aのデータを更に抽出する。
車載器データ抽出部440は、このように、歩行者が存在する危険道路区間の「リンクID」を有し、且つ、「アラート設定」が「ON」である車載器Aのデータを一つ以上抽出した場合、抽出した車載器Aのデータを、危険道路区間別にアラート情報送信部450へ出力する。
【0054】
アラート情報送信部450は、携帯端末データ抽出部430及び車載器データ抽出部440が抽出した携帯端末T及び車載器Aのデータに基づいて、携帯端末T及び車載器Aの少なくとも一方へ、ネットワークNWを介してアラート情報を送信する。
アラート情報には、交通事故が発生する危険度が高いことを示すテキスト、画像、音声等のうち少なくとも一つが含まれている。また、アラート情報には、携帯端末T及び車載器Aの「位置情報」が含まれていてもよい。
なお、アラート情報送信部450は、携帯端末T及び車載器が有する機能に応じて、携帯端末Tと車載器Aとで異なるアラート情報を送信するようにしてもよい。例えば、アラート情報送信部450は、バイブレーション機能を有する携帯端末Tには、バイブレーションを動作させる命令をアラート情報として送信してもよい。また、アラート情報送信部450は、携帯端末Tが音楽等の音声を出力中である場合は、当該音声を中断させてアラート情報用の音声を出力させる命令をアラート情報として送信してもよい。
【0055】
具体的には、アラート情報送信部450は、携帯端末データ抽出部430が抽出した携帯端末Tのデータに含まれる「機器ID」に基づいて、当該「機器ID」と同一の「機器ID」を有する携帯端末Tへアラート情報を送信する。
携帯端末Tは、アラート情報を受信すると、例えば
図10に示すように、当該アラート情報をテキスト、画像等の視覚情報として出力する。また、携帯端末Tは、スピーカから音声情報としてアラート情報を出力するようにしてもよいし、バイブレーション等によりアラート情報を受信したことを歩行者へ通知するようにしてもよい。更に、アラート情報に車載器Aの「位置情報」が含まれている場合は、当該車載器Aの位置を画像、地図、音声等で示してもよい。このような通知を行うことにより、当該携帯端末Tを携帯する歩行者に、現在歩行者が通行している道路区間の「危険度が高い」ことを認識させることができる。
また、アラート情報送信部450は、車載器データ抽出部440が抽出した車載器Aのデータに含まれる「機器ID」に基づいて、当該「機器ID」と同一の「機器ID」を有する車載器Aへアラート情報を送信する。
車載器Aは、アラート情報を受信すると、例えば
図11に示すように当該アラート情報をテキスト、画像等の視覚情報として出力する。また、車載器Aは、スピーカから音声情報としてアラート情報を出力するようにしてもよい。更に、アラート情報に携帯端末Tの「位置情報」が含まれている場合は、当該携帯端末Tの位置を画像、地図、音声等で示してもよい。このような通知を行うことにより、当該車載器Aが搭載された車両の運転者等に、現在走行している道路区間の「危険度が高い」こと、及び、現在走行している道路区間に「アラート設定」を「ON」に設定している歩行者が存在することを通知する。
なお、本実施形態においては、アラート情報送信部450が携帯端末T及び車載器Aにアラート情報を送信する例について説明したが、これに限られることはない。アラート情報送信部450は、携帯端末Tのみにアラート情報を送信するようにしてもよいし、車載器Aのみにアラート情報を送信するようにしてもよい。
【0056】
記録媒体460には、危険度相関データD20及び地図データが予め記録されている。
【0057】
(危険通知装置の処理フロー)
図12は、本発明の第1の実施形態に係る危険通知装置の処理フローを示す第1の図である。
図13は、本発明の第1の実施形態に係る危険通知装置の処理フローを示す第2の図である。
以下、本実施形態の危険通知装置40の処理の流れについて、
図12〜
図13を参照して説明する。
【0058】
まず、危険通知装置40は、
図12に示すように、各道路区間の交通事故の発生確率を示す危険度を予測する処理P40を行う。
処理P40において、まず、交通状況指標取得部410は、危険度の予測を行う道路区間を「対象道路区間」として選択する(ステップS400)。
交通状況指標取得部410は、例えば、まず最も値の小さいリンクIDを有する道路区間を、対象道路区間として選択する。
図2の例では、交通状況指標取得部410は、複数のリンクIDのうち、最も値の小さい「B10a」を有する道路区間B10aを、対象道路区間として選択する。
【0059】
次に、交通状況指標取得部410は、対象道路区間の車両交通状況指標を、ネットワークNWを介して交通状況データベース30から取得する(ステップS401)。具体的には、交通状況指標取得部410は、複数の車両交通情報指標のうち、対象道路区間のリンクIDと同一のリンクIDを有する車両交通状況指標を、交通状況データベース30から検索して取得する。
【0060】
次に、危険予測部420は、対象道路区間の危険度相関データD20を、記録媒体460から取得する(ステップS402)。具体的には、危険予測部420は、対象道路区間の「リンクID」と同一の「リンクID」を有する危険度相関データD20を、記録媒体460に記録された複数の危険度相関データD20から検索して取得する。
【0061】
次に、危険予測部420は、対象道路区間の車両交通状況指標と、対象道路区間の危険度相関データD20とに基づいて、対象道路区間の「交通量に対する危険度」が基準値r1以上であるか否かを判断する(ステップS403)。
図9に示す危険度相関データD20(交通量−危険度相関データD20a)では、対象道路区間である道路区間B10aの「交通量に対する危険度」の基準値r1は、例えば10%に設定されている。また、危険度が基準値r1(10%)以上となる交通量の値の範囲は、「q1以上q2未満」である。
このため、道路区間B10aの車両交通状況指標の「交通量」が「q1以上q2未満」の範囲に含まれる場合、危険予測部420は、「道路区間B10aの交通量に対する危険度は基準値r1以上である」と判断し(ステップS403:YES)、次のステップS404へ進む。
一方、道路区間B10aにの車両交通状況指標に含まれる「交通量」が「q1以上q2未満」の範囲に含まれない場合、危険予測部420は、「道路区間B10aの交通量に対する危険度は基準値r1未満である」と判断し(ステップS403:NO)、ステップS407へ進む。
【0062】
次に、危険予測部420は、対象道路区間の車両交通状況指標と、対象道路区間の危険度相関データD20とに基づいて、対象道路区間の「交通密度に対する危険度」が基準値r1以上であるか否かを判断する(ステップS404)。
図9に示す危険度相関データD20(交通密度−危険度相関データD20b)では、対象道路区間である道路区間B10aの「交通密度に対する危険度」の基準値r1は、例えば10%に設定されている。また、危険度が基準値r1(10%)以上となる交通密度の値の範囲は、「k1以上k2未満」である。
このため、道路区間B10aの車両交通状況指標の「交通密度」が「k1以上k2未満」の範囲に含まれる場合、危険予測部420は、「道路区間B10aの交通密度に対する危険度は基準値r1以上である」と判断し(ステップS404:YES)、次のステップS405へ進む。
一方、道路区間B10aの車両交通状況指標の「交通密度」が「k1以上k2未満」の範囲に含まれない場合、危険予測部420は、「道路区間B10aの交通密度に対する危険度は基準値r1未満である」と判断し(ステップS404:NO)、ステップS407へ進む。
【0063】
次に、危険予測部420は、対象道路区間の車両交通状況指標と、対象道路区間の危険度相関データD20とに基づいて、対象道路区間の「平均速度に対する危険度」が基準値r1以上であるか否かを判断する(ステップS405)。
図9に示す危険度相関データD20(平均速度−危険度相関データD20c)では、対象道路区間である道路区間B10aの「平均速度に対する危険度」の基準値r1は、例えば10%に設定されている。また、危険度が基準値r1(10%)以上となる平均速度の値の範囲は、「v1以上」である。
このため、道路区間B10aの車両交通状況指標の「平均速度」が「v1以上」の範囲に含まれる場合、危険予測部420は、「道路区間B10aの平均速度に対する危険度は基準値r1以上である」と判断し(ステップS405:YES)、次のステップS406へ進む。
一方、道路区間B10aの車両交通状況指標の「平均速度」が「v1以上」の範囲に含まれない場合、危険予測部420は、「道路区間B10aの平均速度に対する危険度は基準値r1未満である」と判断し(ステップS405:NO)、ステップS407へ進む。
【0064】
危険予測部420は、対象道路区間の車両の「交通量」、「交通密度」及び「平均速度」のそれぞれに対する危険度が基準値r1以上である場合(ステップS403:YES、ステップS404:YES、且つ、ステップS405:YES)、当該対象道路区間は「危険度が高い」と判断する(ステップS406)。そして、危険予測部420は、「危険度が高い」と判断した道路区間を危険道路区間として、携帯端末データ抽出部430へ出力する。具体的には、危険予測部420は、危険道路区間の「リンクID」を携帯端末データ抽出部430へ出力する。
【0065】
また、危険予測部420は、対象道路区間の車両の「交通量」、「交通密度」及び「平均速度」の何れかに対する危険度が基準値r1未満である場合(ステップS403:NO、ステップS404:NO、又は、ステップS405:NO)、当該対象道路区間は「危険度が高くない」と判断する(ステップS407)。
このように、危険通知装置40は、上記処理P40を全ての道路区間に対して実行する。
【0066】
また、危険通知装置40は、
図13に示すように、上記処理P40において危険予測部420が「危険度が高い」と判断した各危険道路区間に位置する携帯端末T及び車載器Aの少なくとも一方に、アラート情報を送信する処理P41を行う。
処理P41において、まず、携帯端末データ抽出部430は、危険道路区間に位置する携帯端末Tのデータを交通状況データベース30の交通状況テーブルD10から抽出する(ステップS410)。具体的には、携帯端末データ抽出部430は、危険道路区間の「リンクID」を有する携帯端末Tのデータ(「機器種別」が「携帯端末」であるデータ)を抽出する。また、携帯端末データ抽出部430は、抽出した携帯端末Tのデータのうち、「アラート設定」が「ON」である携帯端末Tのデータを更に抽出する。
携帯端末データ抽出部430は、当該危険道路区間の「リンクID」を有し、且つ、「アラート設定」が「ON」である携帯端末Tのデータを一つ以上抽出した場合、抽出した携帯端末Tのデータをアラート情報送信部450へ出力する。
【0067】
次に、車載器データ抽出部440は、危険道路区間に位置する車載器Aのデータを交通状況データベース30の交通状況テーブルD10から抽出する(ステップS411)。
具体的には、車載器データ抽出部440は、まず、危険予測部420から出力された危険道路区間のうち、歩行者が存在する危険道路区間を特定する。例えば、車載器データ抽出部440は、携帯端末データ抽出部430から、携帯端末Tの「アラート設定」を「ON」にしている歩行者(携帯端末Tのデータ)が存在する危険道路区間の「リンクID」を取得することにより、このような危険道路区間を特定する。そして、車載器データ抽出部440は、特定した危険道路区間の「リンクID」と同一の「リンクID」を有する車載器Aのデータ(「機器種別」が「車載器」であるデータ)を抽出する。また、車載器データ抽出部440は、抽出した車載器Aのデータのうち、「アラート設定」が「ON」である車載器Aのデータを更に抽出する。
車載器データ抽出部440は、このように、歩行者が存在する危険道路区間の「リンクID」を有し、且つ、「アラート設定」が「ON」である車載器Aのデータを一つ以上抽出した場合、抽出した車載器Aのデータをアラート情報送信部450へ出力する。
【0068】
次に、アラート情報送信部450は、携帯端末データ抽出部430及び車載器データ抽出部440が抽出した携帯端末T及び車載器Aのデータに基づいて、携帯端末T及び車載器Aの少なくとも一方へ、ネットワークNWを介してアラート情報を送信する(ステップS412)。
アラート情報送信部450が各携帯端末T及び各車載器Aへアラート情報の送信を完了すると、危険通知装置40は対象道路区間(道路区間B10a)に対する処理を終了する。
このように、危険通知装置40は、上記処理P41を全ての危険道路区間に対して実行する。
【0069】
(危険通知装置のハードウェア構成)
図14は、本発明の第1の実施形態に係る危険通知装置のハードウェア構成の例を示す図である。
以下、本実施形態の危険通知装置40のハードウェア構成の例について、
図14を参照して説明する。
【0070】
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。
上述の危険通知装置40は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記録媒体460に対応する記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。なお、コンピュータ900は、入出力インタフェース904を介して、外部記憶装置910と接続されており、記録媒体460に対応する記憶領域は外部記憶装置910に確保されてもよい。また、コンピュータ900は、通信インタフェース905を介して、外部記憶装置920と接続されており、記録媒体460に対応する記憶領域は外部記憶装置920に確保されてもよい。
【0071】
なお、少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、入出力インタフェース904を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。
【0072】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0073】
また、危険通知装置40は、1台のコンピュータ900で構成されていても良いし、通信可能に接続された複数のコンピュータで構成されていてもよい。例えば、危険通知装置40の各機能は、交通状況指標生成部20が備えていてもよい。
【0074】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る危険通知装置40は、道路区間別の車両交通状況指標を交通状況データベース30から取得する交通状況指標取得部410と、車両交通状況指標に基づいて、各道路区間における交通事故の発生確率を示す危険度を予測する危険予測部420と、危険予測部が道路区間の危険度が所定の基準値r1以上となると判断した場合、当該道路区間に位置する車両に搭載された車載器A及び歩行者が携帯する携帯端末Tの少なくとも一方へアラート情報を送信するアラート情報送信部450と、を備える。
道路区間の危険度は、当該道路区間の実際の車両の交通量、交通密度及び平均速度に応じて異なる可能性がある。例えば、道路区間B10a(
図2)において速度が速い車両が多数走行している場合、即ち、道路区間B10aにおける車両の交通量、交通密度、及び平均速度のそれぞれに対する危険度が所定の基準値r1以上である場合、当該道路区間B10aにおいて交通事故の発生確率が上昇する可能性がある。一方、道路区間B10aにおいて渋滞等により速度が遅い車両が多数走行している場合、即ち、車両の交通量及び交通密度に対する危険度が所定の基準値r1以上であるが、車両の平均速度に対する危険度が所定の基準値r1未満である場合、交通事故の発生確率が低下する可能性がある。
しかしながら、このように道路区間の実際の状況に応じて危険度が異なる場合であっても、本実施形態の危険予測部420は、道路区間別の車両交通状況指標に応じて危険度の予測を行うため、各道路区間の危険度の予測精度を向上させることができる。また、アラート情報送信部450は、危険予測部420が「危険度が高い」と判断した危険道路区間に位置する車載器A及び携帯端末Tの少なくとも一方へアラート情報を送信して注意喚起を行うことができるとともに、危険予測部420が「危険度が低い」と判断した道路区間に位置する車載器A及び携帯端末Tに対しては、不要なアラート情報の送信を抑制することができる。
【0075】
また、危険予測部420は、交通状況指標取得部410が取得した車両交通状況指標と、過去の車両交通状況指標における交通量、交通密度及び平均速度のそれぞれに対する交通事故の発生確率を道路区間別に関連付けた危険度相関データD20と、に基づいて危険度を予測する。
このようにすることで、危険予測部420は、交通状況指標取得部410が取得した現在の車両交通状況指標と、過去の車両交通状況指標に対する交通事故の発生確率を示す危険度相関データD20との双方を参照することにより、危険度の予測精度を更に向上させることができる。
【0076】
また、アラート情報送信部450は、危険予測部420が道路区間の危険度が所定の基準値r1以上となると判断した場合、且つ、当該道路区間に歩行者が存在する場合、当該道路区間を走行中の車両に搭載された車載器Aへアラート情報を送信する。
具体的には、危険予測部420が道路区間の危険度が所定の基準値r1以上となると判断した場合、当該道路区間を「危険度が高い」危険道路区間として車載器データ抽出部440へ出力する。車載器データ抽出部440は、歩行者が存在する危険道路区間を走行中の車両に搭載された車載器Aのデータを抽出する。そして、アラート情報送信部450は、車載器データ抽出部440が抽出した車載器Aのデータに基づいて、当該車載器Aへアラート情報を送信する。
このようにすることで、アラート情報送信部450は、危険度が高く、且つ、歩行者が存在する道路区間を走行中の車両に対し、車載器Aへアラート情報を送信して注意喚起を行うことができるとともに、危険度が高いものの歩行者が存在しない道路区間に位置する車載器Aに対しては、不要なアラート情報の送信を抑制することができる。
【0077】
また、携帯端末データ抽出部430及び車載器データ抽出部440は、「アラート設定」が「ON」である携帯端末T及び車載器Aのデータを抽出する。これにより、アラート情報送信部450は、「アラート設定」が「ON」である携帯端末T及び車載器Aに対してアラート情報を送信することにより、アラート情報の受信を希望する歩行者及び車両の運転者等にのみ注意喚起を行うことができる。また、アラート情報の受信を希望しない携帯端末T及び車載器Aに対しては、不要なアラート情報の送信を抑制することができる。
例えば、視聴覚障がい者等、車両の接近に気付かない可能性のある歩行者は、携帯端末Tの「アラート設定」を「ON」に設定することにより、通行中の道路区間の危険度が高いことを、携帯端末Tに送信されたアラート情報を介して認識することができる。
また、車載器データ抽出部440は、携帯端末Tの「アラート設定」を「ON」にしている歩行者が存在する危険道路区間に位置する車載器Aのデータを抽出する。このため、アラート情報送信部450は、携帯端末Tの「アラート設定」を「ON」にしている歩行者、即ち、視聴覚障がい者等、車両の接近に気付かない可能性のある歩行者が同一道路区間を通行中であることを、アラート情報を送信することにより、車載器Aが搭載された車両に対して注意喚起を行うことができる。
【0078】
また、本実施形態に係る危険通知システム1は、上述の危険通知装置40と、複数の車両のそれぞれに搭載された車載器Aの位置情報を含む車載器プローブデータと、複数の歩行者がそれぞれ携帯する携帯端末Tの位置情報を含む携帯端末プローブデータと、を収集するプローブデータ収集部10と、車載器プローブデータと、携帯端末プローブデータとに基づいて、道路区間別の交通状況指標を生成して交通状況データベース30に記録する交通状況指標生成部20と、を備える。
このようにすることで、交通状況指標生成部20は、プローブデータ収集部10が逐次収集する車載器プローブデータ及び携帯端末プローブデータに基づいて現実の道路区間の状況に応じた交通状況指標を生成することができる。このため、交通状況指標生成部20は、交通状況指標の精度を高めることができる。また、危険通知装置40は、このように精度の高い交通状況指標に基づいて、各道路区間の危険度の予測精度を向上させることができる。
【0079】
<第1の実施形態の変形例>
次に、本発明の第1の実施形態の変形例に係る危険通知システム1について、
図15〜
図16を参照しながら説明する。
第1の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
第1の実施形態では、危険通知装置40の危険予測部420が、「車両交通状況指標」と、「危険度相関データ」とに基づいて危険度の予測を行う態様について説明した。本変形例では、危険通知装置40の危険予測部420が、「車両交通状況指標」及び「歩行者交通状況指標」と、「危険度相関データ」とに基づいて危険度の予測を行う点において、第1の実施形態と異なっている。
【0080】
(危険通知装置の処理フロー)
図15は、本発明の第1の実施形態の変形例に係る危険通知装置の処理フローを示す図である。
図16は、本発明の第1の実施形態の変形例に係る危険度相関データの例を示す図である。
本変形例に係る危険通知装置40は、第1の実施形態の処理P40(
図12)に代えて、
図15に示すように、各道路区間の交通事故の発生確率を示す危険度を予測する処理P42を行う。
【0081】
処理P42において、まず、交通状況指標取得部410は、危険度の予測を行う道路区間を「対象道路区間」として選択する(ステップS420)。
交通状況指標取得部410は、例えば、まず最も値の小さいリンクIDを有する道路区間を、対象道路区間として選択する。
図2の例では、交通状況指標取得部410は、複数の「リンクID」のうち、最も値の小さい「B10a」を有する道路区間B10aを、対象道路区間として選択する。
【0082】
次に、交通状況指標取得部410は、対象道路区間の車両交通状況指標及び歩行者交通状況指標を、ネットワークNWを介して交通状況データベース30から取得する(ステップS421)。具体的には、交通状況指標取得部410は、複数の車両交通状況指標のうち、対象道路区間の「リンクID」と同一の「リンクID」を有する車両交通状況指標を交通状況データベース30から検索して取得する。また、交通状況指標取得部410は、複数の歩行者交通状況指標のうち、対象道路区間の「リンクID」と同一の「リンクID」を有する歩行者交通状況指標を交通状況データベース30から検索して取得する。
【0083】
次に、危険予測部420は、対象道路区間の危険度相関データD21(
図16)を、記録媒体460から取得する(ステップS422)。具体的には、危険予測部420は、対象道路区間の「リンクID」と同一の「リンクID」を有する危険度相関データD21を、記録媒体460に記録された複数の危険度相関データD21から検索して取得する。
【0084】
危険度相関データD21は、車両及び歩行者の交通量、交通密度及び平均速度のそれぞれと、交通事故の発生確率を示す危険度との相関を道路区間別に示すデータである。各危険度相関データD21は、
図16に示すように、「交通量−危険度相関データD21a」、「交通密度−危険度相関データD21b」及び「平均速度−危険度相関データD21c」を有している。
「交通量−危険度相関データD21a」は、横軸が車両の交通量(台/秒)及び歩行者の交通量(人/秒)、縦軸が車両の交通量に対する危険度(%)及び歩行者の交通量に対する危険度(%)を示している。実線は車両の交通量に対する危険度を示し、破線は歩行者の交通量に対する危険度を示している。車両の交通量に対する危険度は、第1の実施形態と同様である。また、歩行者の交通量に対する危険度は、過去の各道路区間における歩行者の交通量に対する交通事故の発生件数等を統計して、歩行者の交通量に対する交通事故の発生確率(%)として表したデータである。
「交通密度−危険度相関データD21b」は、横軸が車両の交通密度(台/m)及び歩行者の交通密度(人/m)、縦軸が車両の交通密度に対する危険度(%)及び歩行者の交通密度に対する危険度(%)を示している。実線は車両の交通密度に対する危険度を示し、破線は歩行者の交通密度に対する危険度を示している。車両の交通密度に対する危険度は、第1の実施形態と同様である。また、歩行者の交通密度に対する危険度は、過去の各道路区間における歩行者の交通密度に対する交通事故の発生件数等を統計して、歩行者の交通密度に対する交通事故の発生確率(%)として表したデータである。
「平均速度−危険度相関データD21c」は、横軸が車両の平均速度(m/s)及び歩行者の平均速度(m/s)、縦軸が車両の平均速度に対する危険度(%)及び歩行者の平均速度に対する危険度(%)を示している。実線は車両の平均速度に対する危険度を示し、破線は歩行者の平均速度に対する危険度を示している。車両の平均速度に対する危険度は、第1の実施形態と同様である。また、歩行者の平均速度に対する危険度は、過去の各道路区間における歩行者の平均速度に対する交通事故の発生件数等を統計して、歩行者の平均速度に対する交通事故の発生確率(%)として表したデータである。
【0085】
次に、危険予測部420は、対象道路区間の車両交通状況指標及び歩行者交通状況指標と、対象道路区間の危険度相関データD21とに基づいて、対象道路区間の「車両の交通量に対する危険度」が基準値r1以上、且つ、「歩行者の交通量に対する危険度」が基準値r1以上であるか否かを判断する(ステップS423)。
図16に示す危険度相関データD21(交通量−危険度相関データD21a)では、対象道路区間である道路区間B10aの「交通量に対する危険度」の基準値r1は、例えば10%に設定されている。また、危険度が基準値r1(10%)以上となる車両の交通量の値の範囲は「q1以上q2未満」であり、歩行者の交通量の値の範囲は「q3以上q4未満」である。
このため、道路区間B10aの車両交通状況指標の「交通量」が「q1以上q2未満」の範囲に含まれる場合、且つ、歩行者交通状況指標の「交通量」が「q3以上q4未満」の範囲に含まれる場合、危険予測部420は、「道路区間B10aの交通量に対する危険度は基準値r1以上である」と判断し(ステップS423:YES)、次のステップS424へ進む。
一方、道路区間B10aの車両交通状況指標の「交通量」が「q1以上q2未満」の範囲に含まれない場合、又は、歩行者交通状況指標の「交通量」が「q3以上q4未満」の範囲に含まれていない場合、危険予測部420は、「道路区間B10aの交通量に対する危険度は基準値r1未満である」と判断し(ステップS423:NO)、ステップS427へ進む。
【0086】
次に、危険予測部420は、対象道路区間の車両交通状況指標及び歩行者交通状況指標と、対象道路区間の危険度相関データD21とに基づいて、対象道路区間の「車両の交通密度に対する危険度」が基準値r1以上、且つ、「歩行者の交通密度に対する危険度」が基準値r1以上であるか否かを判断する(ステップS424)。
図16に示す危険度相関データD21(交通密度−危険度相関データD21b)では、対象道路区間である道路区間B10aの「交通密度に対する危険度」の基準値r1は、例えば10%に設定されている。また、危険度が基準値r1(10%)以上となる車両の交通密度の値の範囲は「k1以上k2未満」であり、歩行者の交通密度の値の範囲は「k3以上k4未満」である。
このため、道路区間B10aの車両交通状況指標の「交通密度」が「k1以上k2未満」の範囲に含まれる場合、且つ、歩行者交通状況指標の「交通密度」が「k3以上k4未満」の範囲に含まれる場合、危険予測部420は、「道路区間B10aの交通密度に対する危険度は基準値r1以上である」と判断し(ステップS424:YES)、次のステップS425へ進む。
一方、道路区間B10aの車両交通状況指標の「交通密度」が「k1以上k2未満」の範囲に含まれない場合、又は、歩行者交通状況指標の「交通密度」が「k3以上k4未満」の範囲に含まれない場合、危険予測部420は、「道路区間B10aの交通密度に対する危険度は基準値r1未満である」と判断し(ステップS424:NO)、ステップS427へ進む。
【0087】
次に、危険予測部420は、対象道路区間の車両交通状況指標及び歩行者交通状況指標と、対象道路区間の危険度相関データD21とに基づいて、対象道路区間の「車両の平均速度に対する危険度」が基準値r1以上、且つ、「歩行者の平均速度に対する危険度」が基準値r1以上であるか否かを判断する(ステップS425)。
図16に示す危険度相関データD21(平均速度−危険度相関データD21c)では、対象道路区間である道路区間B10aの「平均速度に対する危険度」の基準値r1は、例えば10%に設定されている。また、危険度が基準値r1(10%)以上となる車両の平均速度の値の範囲は「v1以上」であり、歩行者の平均速度の値の範囲は「v2以上」である。
このため、道路区間B10aの車両交通状況指標の「平均速度」が「v1以上」の範囲に含まれる場合、且つ、歩行者交通状況指標の「平均速度」が「v2以上」の範囲に含まれる場合、危険予測部420は、「道路区間B10aの平均速度に対する危険度は基準値r1以上である」と判断し(ステップS425:YES)、次のステップS426へ進む。
一方、道路区間B10aの車両交通状況指標の「平均速度」が「v1以上」の範囲に含まれない場合、又は、歩行者交通状況指標の「平均速度」が「v2以上」の範囲に含まれない場合、危険予測部420は、「道路区間B10aの平均速度に対する危険度は基準値r1未満である」と判断し(ステップS425:NO)、ステップS427へ進む。
【0088】
危険予測部420は、対象道路区間の車両及び歩行者の「交通量」、「交通密度」及び「平均速度」のそれぞれに対する危険度が基準値r1以上である場合(ステップS423:YES、ステップS424:YES、且つ、ステップS425:YES)、当該対象道路区間は「危険度が高い」と判断する(ステップS426)。そして、危険予測部420は、「危険度が高い」と判断した道路区間を危険道路区間として、携帯端末データ抽出部430へ出力する。具体的には、危険予測部420は、危険道路区間の「リンクID」を携帯端末データ抽出部430へ出力する。
【0089】
また、危険予測部420は、対象道路区間の車両及び歩行者の「交通量」、「交通密度」及び「平均速度」の何れかに対する危険度が基準値r1未満である場合(ステップS423:NO、ステップS424:NO、又は、ステップS425:NO)、当該対象道路区間は「危険度が低い」と判断する(ステップS427)。
このように、危険通知装置40は、上記処理P42を全ての道路区間に対して実行する。
【0090】
(作用効果)
以上のように、本変形例に係る危険通知装置40において、交通状況指標取得部410は、道路区間別の車両交通状況指標及び歩行者交通状況指標を交通状況データベース30から取得する。危険予測部420は、道路区間別の車両交通状況指標と、歩行者交通状況指標とに基づいて、各道路区間における交通事故の発生確率を示す危険度を予測する。
道路区間の危険度は、当該道路区間の実際の車両の交通量、交通密度及び平均速度と、実際の歩行者の交通量、交通密度及び平均速度とに応じて異なる可能性がある。例えば、道路区間B10a(
図2)において速度が速い車両が多数走行している場合、即ち、道路区間B10aにおける車両の交通量、交通密度、及び平均速度のそれぞれに対する危険度が所定の基準値r1以上である場合であっても、歩行者の交通量又は交通密度が低い場合は、危険度が低くなる可能性がある。
しかしながら、このように道路区間の車両及び歩行者の状況に応じて危険度が異なる場合であっても、本実施形態の危険予測部420は、道路区間別の車両交通状況指標と、歩行者交通状況との双方に応じて危険度の予測を行うため、各道路区間の危険度の予測精度を向上させることができる。
【0091】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
例えば、実施形態において、携帯端末Tを歩行者が携帯している態様について説明したが、これに限られることはない。例えば、携帯端末Tは、自転車等の軽車両に取り付けられていてもよい。この場合、アラート情報送信部450は、危険道路区間を通行中の歩行者が携帯する携帯端末Tと、危険道路区間を走行中の車両に搭載された車載器Aのいずれか、あるいは、両方に、当該危険道路区間に軽車両が存在することを示すアラート情報を送信してもよい。また、アラート情報送信部450は、危険道路区間を通行中の軽車両に取り付けられた携帯端末Tへ、当該危険道路区間に歩行者及び車両が存在することを示すアラート情報を送信してもよい。