特許第6593902号(P6593902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6593902
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】フレキシブル基板の剥離方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/10 20060101AFI20191010BHJP
   C25B 1/04 20060101ALI20191010BHJP
   C25B 11/03 20060101ALI20191010BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20191010BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20191010BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20191010BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   H05B33/10
   C25B1/04
   C25B11/03
   H05B33/14 A
   H05B33/02
   H01L27/32
   G09F9/30 365
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-543364(P2018-543364)
(86)(22)【出願日】2016年5月13日
(65)【公表番号】特表2019-513280(P2019-513280A)
(43)【公表日】2019年5月23日
(86)【国際出願番号】CN2016081968
(87)【国際公開番号】WO2017177499
(87)【国際公開日】20171019
【審査請求日】2018年8月16日
(31)【優先権主張番号】201610225895.8
(32)【優先日】2016年4月12日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517264292
【氏名又は名称】武漢華星光電技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】WUHAN CHINA STAR OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100080252
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 征四郎
(72)【発明者】
【氏名】方宏
【審査官】 井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−331120(JP,A)
【文献】 特開2016−150269(JP,A)
【文献】 特表2017−507044(JP,A)
【文献】 特開2010−165673(JP,A)
【文献】 特開平10−125929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/10
C25B 1/04
C25B 11/03
H01L 27/32
H01L 51/50
H05B 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の手順からなるフレキシブル基板の剥離方法であって、前記手順は、
多孔金属基板を提供し、前記多孔金属基板は、内部に複数の穴を備えた金属板であり、前記多孔金属基板上にバッファ層を形成する手順1と、
前記バッファ層上にフレキシブル基板を形成する手順2と、
電解装置を提供し、前記電解装置は、電解槽と、電解槽内に設けられる陽極を備える手順3と、
前記電解装置の電解槽内に電解液を加える手順4と、からなり、
前記手順2で製造された、フレキシブル基板と、バッファ層と、多孔金属基板を含む多層板を、多孔金属基板を下に向けて前記電解槽に入れ、多孔金属基板と電解液が互いに接触するようにし、それによって、前記多孔金属基板は陰極となり、前記多孔金属基板と陽極の間に電源を接続し、電解液の中の水を電気分解し、前記多孔金属基板の近くに位置する水及び前記多孔金属基板の内部の穴の中に進入した水が電気分解されると水素が発生し、前記水素が前記バッファ層に作用し、前記バッファ層を前記多孔金属基板から剥離することで、底部にバッファ層が残ったフレキシブル基板を取得する
ことを特徴とする、フレキシブル基板の剥離方法。
【請求項2】
前記多孔金属基板の材料は、鉄、ニッケル、または、銅である
ことを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブル基板の剥離方法。
【請求項3】
前記バッファ層の材料は、酸化シリコン層、窒化シリコン層、または、酸化シリコン層と窒化シリコン層が重なり合ってなる複合層である
ことを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブル基板の剥離方法。
【請求項4】
前記手順1は、化学気相堆積方法を採用して前記バッファ層を形成する
ことを特徴とする、請求項3に記載のフレキシブル基板の剥離方法。
【請求項5】
前記フレキシブル基板の材料は、有機ポリマーである
ことを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブル基板の剥離方法。
【請求項6】
前記有機ポリマーは、ポリイミドである
ことを特徴とする、請求項5に記載のフレキシブル基板の剥離方法。
【請求項7】
前記手順2は、さらに、前記フレキシブル基板上にデバイスを製造する手順を含む
ことを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブル基板の剥離方法。
【請求項8】
前記電解装置の陽極の材料は、炭素、白金、または、金である
ことを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブル基板の剥離方法。
【請求項9】
前記手順4において、前記多孔金属基板上における前記フレキシブル基板から離れた側は、電解液に浸り、前記フレキシブル基板に近い側は、電解液の外に露出する
ことを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブル基板の剥離方法。
【請求項10】
前記手順4において、前記電解液は、硫酸溶液、水酸化ナトリウム溶液、硫酸ナトリウム溶液、硝酸カリウム溶液、または、水である
ことを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブル基板の剥離方法。
【請求項11】
以下の手順からなるフレキシブル基板の剥離方法であって、前記手順は、
多孔金属基板を提供し、前記多孔金属基板は、内部に複数の穴を備えた金属板であり、前記多孔金属基板上にバッファ層を形成する手順1と、
前記バッファ層上にフレキシブル基板を形成する手順2と、
電解装置を提供し、前記電解装置は、電解槽と、電解槽内に設けられる陽極を備える手順3と、
前記電解装置の電解槽内に電解液を加える手順4と、からなり
前記手順2で製造された、フレキシブル基板と、バッファ層と、多孔金属基板を含む多層板を、多孔金属基板を下に向けて前記電解槽に入れ、多孔金属基板と電解液が互いに接触するようにし、それによって、前記多孔金属基板は陰極となり、前記多孔金属基板と陽極の間に電源を接続し、電解液の中の水を電気分解し、前記多孔金属基板の近くに位置する水及び前記多孔金属基板の内部の穴の中に進入した水が電気分解されると水素が発生し、前記水素が前記バッファ層に作用し、前記バッファ層を前記多孔金属基板から剥離することで、底部にバッファ層が残ったフレキシブル基板を取得し、
そのうち、前記多孔金属基板の材料は、鉄、ニッケル、または、銅であり、
そのうち、前記バッファ層の材料は、酸化シリコン層、窒化シリコン層、または、酸化シリコン層と窒化シリコン層が重なり合ってなる複合層であり、
そのうち、前記手順1は、化学気相堆積方法を採用して前記バッファ層を形成し、
そのうち、前記フレキシブル基板の材料は、有機ポリマーである
ことを特徴とする、フレキシブル基板の剥離方法。
【請求項12】
前記有機ポリマーは、ポリイミドである
ことを特徴とする、請求項11に記載のフレキシブル基板の剥離方法。
【請求項13】
前記手順2は、さらに、前記フレキシブル基板上にデバイスを製造する手順を備える
ことを特徴とする、請求項11に記載のフレキシブル基板の剥離方法。
【請求項14】
前記電解装置の陽極の材料は、炭素、白金、または、金である
ことを特徴とする、請求項11に記載のフレキシブル基板の剥離方法。
【請求項15】
前記手順4において、前記多孔金属基板上における前記フレキシブル基板から離れた側は、電解液に浸り、前記フレキシブル基板に近い側は、電解液の外に露出する
ことを特徴とする、請求項11に記載のフレキシブル基板の剥離方法。
【請求項16】
前記手順4において、前記電解液は、硫酸溶液、水酸化ナトリウム溶液、硫酸ナトリウム溶液、硝酸カリウム溶液、または、水である
ことを特徴とする、請求項11に記載のフレキシブル基板の剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイの技術分野に関し、特に、フレキシブル基板の剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術が絶えず更新され発展するのに伴い、フレキシブル基板を採用して製造された湾曲するフレキシブルデバイスは、次世代光電子機器の主流デバイスとして期待されており、表示装置、チップ、回路、電源、センター等のフレキシブルデバイスは、従来の光電子機器には、実現不可能な機能を実現することができ、コストとユーザーエクスペリエンスにおいても比較的大きな利点を備える。例として、フレキシブルディスプレイは、可撓性材料からなる基板の表面にデバイスを製造する方法であり、例えば、フレキシブルアクティブマトリクス有機発光ダイオード(Active−matrix organic light emitting diode、AMOLED)は、剛性基板の表面にまずフレキシブル基板を製造または吸着し、続いてデバイスを製造し、最後にさらに、フレキシブル基板を剛性基板から剥離する。従って、フレキシブル基板と剛性基板をいかに効率よく剥離するかがフレキシブルデバイスの生産の鍵となる技術の1つである。
【0003】
現在主流となっているフレキシブル表示装置の剥離方法は、レーザーアブレーション方式を採用して行われる、つまり、ポリマーフレキシブル基板と剛性ガラス基板の界面に高強度レーザーを照射し、界面層のポリマーを融蝕することにより、フレキシブル基板と剛性基板の剥離を実現する。この方法は、大量生産を実現することができるが、レーザーのスキャンサイズによって大量生産の速度率が直接制限され、さらに、生じた熱がフレキシブルディスプレイのフィルムに比較的大きな損傷を与える可能性がある。従って、この方法を、大きいサイズのフレキシブル表示装置の製造に適用するのは困難である。重要な点として、レーザーアブレーションのデバイスは、操作が複雑な上、デバイスは高額で、コスト面でも負担がかかる。製品の収量を向上させ、コストを低減するため、穏便で操作が容易であるとともに、コストが低い方法の開発が差し迫って必要である。
【0004】
現段階において、ディスプレイ業界における複数の会社と研究機関がこの技術に関して異なる解決案を提供している。例えば、LGは、ステンレス基板を化学エッチングする方法を採用してフレキシブル基板と剛性基板の剥離を実現しているが、ステンレスをエッチングする化学薬液は、フレキシブルデバイスに対してエッチング作用を有し、フレキシブル表示装置の寿命を大幅に短縮する。サムスン電子は、抵抗加熱分離技術を採用し、加熱する方法を使用して基板とガラスを分離するが、温度が高すぎると発光デバイスを保護する製造プロセスを増やす必要があるため、良率とコストがどちらも保証されない。TCL華星光電は、フレキシブル基板と剛性基板の間に第2剛性基板を嵌め込む方法を採用し、第2剛性基板の面積は、剛性基板とフレキシブル基板より小さいことが保証され、さらに、第2剛性基板に沿って切断することで、穏便且つ効果的にフレキシブル基板と剛性基板の剥離を実現する。前記方法は、フレキシブル基板と剛性基板の分離を実現するが、フレキシブル基板と第2剛性基板の剥離において同樣の剥離問題に直面するとともに、フレキシブル基板の損傷を引き起こしやすい。
【0005】
従って、フレキシブル基板の剥離方法を提供して上述の問題を解決する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、高効率で、損傷を与えず、フレキシブル基板の生産良率を向上させるとともに、生産コストを低減できるフレキシブル基板の剥離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を実現するため、本発明が提供するフレキシブル基板の剥離方法は、以下の手順からなる。
【0008】
手順1は、多孔金属基板を提供する。前記多孔金属基板は、内部に複数の穴を備えた金属板であり、前記多孔金属基板上に、バッファ層を形成する。
【0009】
手順2は、前記バッファ層上にフレキシブル基板を形成する。
【0010】
手順3は、電解装置を提供する。前記電解装置は、電解槽と、電解槽内に設けられる陽極を備える。
【0011】
手順4は、前記電解装置の電解槽内に、電解液を加える。
【0012】
前記手順2で製造された、フレキシブル基板と、バッファ層と、多孔金属基板を含む多層板を、多孔金属基板を下に向けて前記電解槽に入れ、多孔金属基板と電解液が互いに接触するようにし、それによって、前記多孔金属基板は陰極となる。前記多孔金属基板と陽極の間に電源を接続し、電解液の中の水を電気分解する。前記多孔金属基板の近くに位置する水及び前記多孔金属基板の内部の穴の中に進入した水が電気分解されると水素が発生し、前記水素は、前記バッファ層に作用し、前記バッファ層を前記多孔金属基板から剥離することで、底部にバッファ層が残ったフレキシブル基板を取得する。
【0013】
前記多孔金属基板の材料は、鉄、ニッケル、または、銅である。
【0014】
前記バッファ層の材料は、酸化シリコン層、窒化シリコン層、または、酸化シリコン層と窒化シリコン層が重なり合ってなる複合層である。
【0015】
前記手順1は、化学気相堆積方法を採用して前記バッファ層を形成する。
【0016】
前記フレキシブル基板の材料は、有機ポリマーである。
【0017】
前記有機ポリマーは、ポリイミドである。
【0018】
前記手順2は、さらに、前記フレキシブル基板上にデバイスを製造する手順を備える。
【0019】
前記電解装置の陽極の材料は、炭素、白金、または、金である。
【0020】
前記手順4において、前記多孔金属基板上における前記フレキシブル基板から離れた側は、電解液に浸り、前記フレキシブル基板に近い側は、電解液の外に露出する。
【0021】
前記手順4において、前記電解液は、硫酸溶液、水酸化ナトリウム溶液、硫酸ナトリウム溶液、硝酸カリウム溶液、または、水である。
【0022】
本発明は、さらに、以下の手順からなるフレキシブル基板の剥離方法を提供する。
【0023】
手順1は、多孔金属基板を提供する。前記多孔金属基板は、内部に複数の穴を備えた金属板であり、前記多孔金属基板上にバッファ層を形成する。
【0024】
手順2は、前記バッファ層上にフレキシブル基板を形成する。
【0025】
手順3は、電解装置を提供する。前記電解装置は、電解槽と、電解槽内に設けられる陽極を備える。
【0026】
手順4は、前記電解装置の電解槽内に電解液を加える。
【0027】
前記手順2で製造された、フレキシブル基板と、バッファ層と、多孔金属基板を含む多層板を、多孔金属基板を下に向けて前記電解槽に入れ、多孔金属基板と電解液が互いに接触するようにし、それによって、前記多孔金属基板は陰極となる。前記多孔金属基板と陽極の間に電源を接続し、電解液の中の水を電気分解する。前記多孔金属基板の近くに位置する水及び前記多孔金属基板の内部の穴の中に進入した水が電気分解されると水素が発生し、前記水素は、前記バッファ層に作用し、前記バッファ層を前記多孔金属基板から剥離することで、底部にバッファ層が残ったフレキシブル基板を取得する。
【0028】
そのうち、前記多孔金属基板の材料は、鉄、ニッケル、または、銅である。
【0029】
そのうち、前記バッファ層の材料は、酸化シリコン層、窒化シリコン層、または、酸化シリコン層と窒化シリコン層が重なり合ってなる複合層である。
【0030】
そのうち、前記手順1は、化学気相堆積方法を採用して前記バッファ層を形成する。
【0031】
そのうち、前記フレキシブル基板の材料は、有機ポリマーである。
【発明の効果】
【0032】
本発明が提供するフレキシブル基板の剥離方法は、以下の手順からなる。多孔金属基板を提供する。多孔金属基板上にバッファ層を形成する。前記バッファ層上にフレキシブル基板を形成する。フレキシブル基板を電解槽の中に入れ、多孔金属基板の一部が電解液に浸るようにし、それによって、多孔金属基板は陰極となる。通電させ、電解液の中の水を電気分解することで、多孔金属基板上に水素が放出され、水素の作用によってフレキシブル基板とバッファ層が多孔金属基板から剥離され、底部にバッファ層が残ったフレキシブル基板を取得する。前記方法は、高効率で、損傷を与えず、フレキシブル基板の生産良率を向上させることができる。フレキシブル基板を剥離する速度は比較的速く、フレキシブル基板上のデバイスが剥離の過程において影響を受けないことが保証される。さらに、多孔金属基板は、繰り返し使用することができることで、生産コストが低減される。
【0033】
本発明の特徴及び技術内容をさらに分かりやすくするため、以下に本発明に関する詳しい説明と図を参照する。しかしながら、図は参考と説明のためにのみ提供するものであって、本発明に制限を加えるためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
以下に図と組み合わせて、本発明の具体的な実施方法を詳述することによって、本発明の技術案及びその他の有利な効果を明らかにする。
図1】本発明におけるフレキシブル基板の剥離方法を示したフローチャートである。
図2】本発明におけるフレキシブル基板の剥離方法の手順1を示した図である。
図3】本発明におけるフレキシブル基板の剥離方法の手順2を示した図である。
図4】本発明におけるフレキシブル基板の剥離方法の手順3を示した図である。
図5】本発明におけるフレキシブル基板の剥離方法の手順4を示した図である。
図6】本発明におけるフレキシブル基板の剥離方法の手順4を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明が採用した技術手段及びその効果をさらに詳しく説明するため、以下に本発明の好ましい実施例及び図を添えて詳述する。
【0036】
図1を参照する。本発明が提供するフレキシブル基板の剥離方法は、以下の手順からなる。
【0037】
手順1は、図2に示す通り、多孔金属基板10を提供する。前記多孔金属基板10は、内部に複数の小さな穴を備える金属板であり、前記多孔金属基板10上にバッファ層20を形成する。
【0038】
具体的には、前記多孔金属基板10の材料は、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、または、銅(Cu)であることができる。
【0039】
具体的には、前記バッファ層20の材料は、酸化シリコン(SiO)層、窒化シリコン(SiN)層、または、酸化シリコン層と窒化シリコン層が重なり合ってなる複合層である。
【0040】
具体的には、前記手順1は、化学気相堆積方法を採用して前記バッファ層20を形成する。
【0041】
具体的には、前記手順1は、多孔金属基板10上にバッファ層20を形成することによって、後半の熱工程において多孔金属板10がフレキシブル基板底部の平坦度に影響を及ぼすのを防ぐことができる。
【0042】
手順2は、図3に示す通り、前記バッファ層20上にフレキシブル基板30を形成する。
【0043】
具体的には、前記フレキシブル基板30の材料は、ポリイミド(PI)といった有機ポリマーである。
【0044】
さらに、前記手順2は、前記フレキシブル基板30上にデバイス40を製造する手順を含む。
【0045】
具体的には、前記デバイス40は、従来のOLEDの構造における薄膜トランジスタ構造及び発光デバイス構造を備え、前記発光デバイス構造は、電極層、発光層等を備える。本実施例におけるデバイス40の内部構造は、従来技術の範囲内に属するため、ここで再び具体的に説明することはしない。
【0046】
手順3は、図4に示す通り、電解装置50を提供する。前記電解装置50は、電解槽51と、電解槽51内に設けられる陽極53を備える。
【0047】
具体的には、前記陽極53の材料は、金属酸化物、または、活性性能が前記多孔金属基板10の材料より低い金属、または、炭素元素であることができる。前記陽極53の材料は、炭素(C)、白金(Pt)、または金(Au)であることが好ましい。
【0048】
手順4は、前記電解装置50の電解槽51内に電解液を加える。
【0049】
前記手順2において製造された、フレキシブル基板30と、バッファ層20と、多孔金属基板10を含む多層板を、多孔金属基板10を下に向けて前記電解槽51の中に入れ、多孔金属基板10と電解液が互いに接触するようにし、それによって、前記多孔金属基板10は陰極となる。前記多孔金属基板10と陽極53の間に電源を接続し(未図示)、電解液中の水を電気分解する。前記多孔金属基板10の近くに位置する水及び前記多孔金属基板10の内部の穴の中に進入した水は、電気分解されると水素(H)が発生し、前記水素は、前記バッファ層20に作用して、前記バッファ層20を前記多孔金属基板10から剥離することで(図5に図示)、底部にバッファ層20が残ったフレキシブル基板30を取得する(図6に図示)。
【0050】
具体的には、前記手順4において、前記多孔金属基板10上の前記フレキシブル基板30から離れた側は、電解液に浸り、前記フレキシブル基板30に近い側は、電解液の外に露出する。
【0051】
具体的には、前記手順4において、前記電解液は、硫酸溶液、水酸化ナトリウム溶液、硫酸ナトリウム溶液、硝酸カリウム溶液、または、水である。
【0052】
具体的には、前記手順4において、電解水の反応式は、2HO=O↑+2H↑である。
【0053】
そのうち、陰極(つまり多孔金属基板10)の反応式は、2HO+2e=H↑+2OHである。
【0054】
陽極53の反応式は、2HO−4e=O↑+4Hである。
【0055】
要約すると、本発明が提供するフレキシブル基板の剥離方法は、以下の手順からなる。多孔金属基板を提供する。多孔金属基板上にバッファ層を形成する。前記バッファ層上にフレキシブル基板を形成する。フレキシブル基板を電解槽の中に入れ、多孔金属基板の一部が電解液に浸るようにし、それによって、多孔金属基板は陰極となる。通電させ、電解液の中の水を電気分解することで、多孔金属基板上に水素が放出され、水素の作用によってフレキシブル基板とバッファ層が多孔金属基板から剥離され、底部にバッファ層が残ったフレキシブル基板を取得する、前記方法は、高効率で、損傷を与えず、フレキシブル基板の生産良率を向上させることができる。フレキシブル基板を剥離する速度は比較的速く、フレキシブル基板上のデバイスが剥離の過程において影響を受けないことが保証される。さらに、多孔金属基板は、繰り返し使用することができることで、生産コストが低減される。
【0056】
上述は、本分野の一般の技術者からすると、本発明の技術案と技術構想に基づいてその他の各種対応する変化や変形を作り出すことができるため、これら全ての変化や変形は全て本発明の特許請求範囲に属するものとする。
【符号の説明】
【0057】
10 多孔金属基板
20 バッファ層
30 フレキシブル基板
40 デバイス
50 電解装置
51 電解槽
53 陽極
図1
図2
図3
図4
図5
図6