(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1に示された表示装置は、まだ改良の余地がある。タッチパネルには、シングルタッチパネルとマルチタッチパネルがある。単純なシングルタッチパネルは、同時に少なくとも2箇所のタッチ操作がなされると、それらの中間地点であってタッチ操作がなされていない1箇所を示す信号を出力する。マルチタッチパネルは、同時に少なくとも2箇所のタッチ操作がなされると、それら箇所を弁別して示す信号を出力する。特許文献1は、操作ボタンが同時に2つ以上押される可能性があることまで想定されていないため、マルチタッチパネルを採用する点については何ら示すところが無い。さらに特許文献1は、機械の動作に対する1つの操作に1つの操作キーが割り当てられている操作盤において、1つの操作キーによる機械の動作とそれ以外の操作キーによる機械の動作とを同時に動作させない場合がある点についても何ら示すところが無い。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、物理的スイッチを有する操作盤の代替えとしてタッチパネルを用いた実用的な機械の操作盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による機械の操作盤は、
機械の操作に関わる操作キーを画像信号に基づいて形成し、この操作キーを表示面に表示する画像表示パネルと、
タッチして所定の圧力で押すタッチ操作を受ける一表面を有し、
一表面上の領域が格子状に複数のセルに分けられ、複数のセルがそれぞれ1つの抵抗膜式のシングルタッチパネルとして構成され、タッチ操作が1
つのセルのみにおいてなされた際に
当該1つのセル上のタッチ箇所
のみを示す信号を出力し、タッチ操作が同時に少なくとも2
つの異なるセルにおいてなされた際にそれら
異なるセル上の
それぞれのタッチ箇所を弁別して示す信号を出力し、上記表示面の少なくとも一部に接する透光性の第1領域、および上記表示面と対面する位置から外れた位置にある第2領域を有する
抵抗膜式のマルチタッチパネルと、
機械の操作に関わる操作キーが記載されたキー記載面を有し、マルチタッチパネルの第2領域と重なる状態に配置されたキー記載シートと、
上記1
つのセル上のタッチ箇所のみを示すマルチタッチパネルの出力信号を受けて上記1
つのセル上のタッチ箇所のみを示す制御信号を出力し、上記少なくとも2
つの異なるセル上のそれぞれのタッチ箇所を弁別して示すマルチタッチパネルの出力信号を受けても上記少なくとも2
つの異なるセル上のそれぞれのタッチ箇所を
弁別して示す制御信号を
機械の制御装置に出力しない制御部と、
を備えたものである。
【0009】
なお、上記の制御部は、マルチタッチパネルの中に組み込まれてもよいし、あるいは、マルチタッチパネルとは別体にして設けられてもよい。また、上記の「タッチ操作が同時に少なくとも2箇所においてなされ」とは、タッチ操作の開始時点と終了時点が必ず一致しているという意味ではなく、少なくとも2個所においてなされるタッチ操作が、すくなくとも一時期において併行してなされているということを意味するものである。また、上記の「操作キー」とは、操作入力を受ける部分を示すものであって、大きさや形状は限定されず、例えば操作ボタンと称されるような形状であっても、矢印だけの形状であっても構わない。
【0010】
また、本発明による機械の操作盤において、
キー記載シートは、マルチタッチパネルのタッチ操作を受ける一表面とは反対側の表面と接する状態に配置され、
マルチタッチパネルの第2領域は透光性とされている、
ことが望ましい。
【0011】
また、本発明による機械の操作盤において、キー記載シートは、マルチタッチパネルのタッチ操作を受ける一表面と接する状態に配置されていてもよい。
【0012】
そのようにキー記載シートが、マルチタッチパネルのタッチ操作を受ける一表面と接する状態に配置されている場合、キー記載シートは、マルチタッチパネルに接する表面と反対側の表面、つまり作業者によってタッチされる表面に凹凸加工が施されていることが望ましい。
【0013】
また、本発明による機械の操作盤において、画像表示パネルとしては例えば液晶表示パネルが
好適に用いられ得る。ま
た例えば抵抗膜方式のタッチパネル
は、第1X方向電極基板と、前記第1X方向電極基板に各々接続してX方向に並設された複数の第1X方向分割電極と、前記第1X方向電極基板および前記第1X方向分割電極と離して配置された第2X方向電極基板と、前記第1X方向電極基板および前記第1X方向分割電極と離して配置されるともに前記第2X方向電極基板に各々接続してX方向に並設された複数の第2X方向分割電極と、互いに対向して配置されている1つの前記第1X方向分割電極と1つの前記第2X方向分割電極との間でY方向に延びるY方向短冊状透明導電膜を複数、互いにX方向に分離した状態で並設するX方向分割透明導電膜とを有するX方向検出パネルと、第1Y方向電極基板と、前記第1Y方向電極基板に各々接続してY方向に並設された複数の第1Y方向分割電極と、前記第1Y方向電極基板および前記第1Y方向分割電極と離して配置された第2Y方向電極基板と、前記第1Y方向電極基板および前記第1Y方向分割電極と離して配置されるとともに前記第2Y方向電極基板に各々接続してY方向に並設された複数の第2Y方向分割電極と、対向して配置されている1つの前記第1Y方向分割電極と1つの前記第2Y方向分割電極との間でX方向に延びるX方向短冊状透明導電膜を複数、互いにY方向に分離した状態に並設するY方向分割透明導電膜とを有するY方向検出パネルとを備え、1つの前記セルは、前記X方向分割透明導電膜の1つの前記Y方向短冊状透明導電膜と前記Y方向分割透明導電膜の1つのX方向短冊状透明導電膜とが対向している部分であり、該マルチタッチパネルは、前記タッチ操作によって前記所定の圧力で押されると、押された部分の前記X方向分割透明導電膜と前記Y方向分割透明導電膜とが接触するように構成されている、とよい。
【0014】
また、本発明による機械の操作盤において、キー記載シートとしては例えばプリントシートが好適に用いられ得る。
【発明の効果】
【0015】
本発明による機械の操作盤においては、マルチタッチパネルと、1つのタッチ箇所を示すマルチタッチパネルの出力信号を受けて当該1箇所を示す制御信号を出力し、少なくとも2つのタッチ箇所を弁別して示すマルチタッチパネルの出力信号を受けても少なくとも2箇所を示す制御信号を出力しない制御部とが設けられていることによって、総じて実用的な機械の操作盤を実現することができる。
【0016】
また、本発明による機械の操作盤は、印刷フィルム等からなるキー記載シートとタッチパネルとの組合わせから入力部を構成した場合に本来得られる効果、すなわち、物理的スイッチを使用する場合と比べてより簡単、小型に形成できる、機械の仕様が変わってもキー記載シートの記載内容を変えることで対応できる、といった効果も得られるものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による機械の操作盤(以下、単に操作盤という)1の概略全体形状を示しており、また
図2はこの操作盤1を分解して示している。以下、これらの
図1および
図2を参照して説明する。図示のようにこの操作盤1は、板金10と、板金10に保持された液晶表示パネル11と、一部が上記液晶表示パネル11の表示面11aを覆うように配置されたマルチタッチパネル12と、このマルチタッチパネル12および板金10の間に配置されたプリントシート13とを有している。
【0019】
板金10は、液晶表示パネル11、マルチタッチパネル12およびプリントシート13を支持する支持体として機能する。すなわち、液晶表示パネル11は板金10の一部に設けられた開口部10a内に収容、固定されている。プリントシート13は、上記開口部10aから外れた位置において、板金10の一表面10b上に固定されている。そしてマルチタッチパネル12は、
図2中でハッチングを付して示す第1領域R1が液晶表示パネル11の表示面11aの全面と対面し、第1領域R1以外の第2領域R2(表示面11aと対面する位置から外れた位置にある領域)がプリントシート13の前表面13aの全面と対面する状態にして、板金10に支持されている。
【0020】
画像表示パネルである液晶表示パネル11は、図示外の駆動回路に接続され、所定の画像信号に基づいて形成した操作キーや、設定された状態や数値等を表示面11aに表示する。なお、この表示面11aにおける表示内容については後に詳述する。
【0021】
プリントシート13は、その前表面13aに、機械の操作に関わる各種操作キー14がプリントによって記載されたものである。ここで、「プリント」とは、いわゆる版を用いる印刷は勿論のこと、そのような印刷のみならず、インクジェットプリンターによる記載手法等、永久的あるいは半永久的に記載内容を残すことができるあらゆる記載手法を含む概念と定義する。また、本発明における「キー記載シート」は、上述のようなプリントによって操作キーが記載されたものに限らず、その他例えば、リソグラフィ等の手法によって操作キーが記載されたものであってもよい。
【0022】
プリントシート13の形状は特定の形状に限られるものではないが、本実施形態においてプリントシート13の形状は、略L字状とされている。そしてこのプリントシート13は、略L字状をなす2つの長方形状部分がそれぞれ、液晶表示パネル11の隣合う2辺の外側に位置する状態にして、板金10に固定されている。この固定は、例えばプリントシート13の後表面13bを、板金10の一表面10bに接着する等によってなされる。こうして板金10に固定されたプリントシート13は、マルチタッチパネル12のタッチ操作を受ける前表面12aとは反対側の表面である後表面12bと接する状態となる。
【0023】
なお、板金10の一表面10b上には複数のLED(発光ダイオード)15が取り付けられている。これらのLED15が発する光は、プリントシート13に設けられている孔13cを通過して、プリントシート13の前表面13a側から視認され得るようになっている。この光は、例えばプリントシート13に記載された操作キー14や、あるいは各操作キー14と対応付けてプリントシート13に記載された事項等を照明するために利用される。あるいは、ある操作キー14の中または近くでこの光が視認されるようにし、その操作キー14が指定した機械の動作が進行している間はこの光を点滅させて、動作進行中であることを作業者に知らせるようにしてもよい。
【0024】
マルチタッチパネル12は、
図3に分解斜視形状を示すように、互いに対面する状態に配置された
X方向検出パネル20および
Y方向検出パネル30を有する。
X方向検出パネル20は、
第1X方向電極基板21
と、第1X方向電極基板21に各々接続してX方向に並設された複数の
第1X方向分割電極22
と、
第1X方向電極基板21および
第1X方向分割電極22と離して配置された
第2X方向電極基板23
と、第1X方向電極基板21および
第1X方向分割電極22と離して配置されるともに第2X方向電極基板23に各々接続してX方向に並設された複数の第2X方向分割電極24
と、
第1X方向分割電極22
と第2X方向分割電極24
との間に配置されたX方向分割透明導電膜25
とを有している。X方向分割透明導電膜25は、例えばITO
(Indium Tin Oxide)のような透光性の導電材料からなる膜である。X方向分割透明導電膜25は、1つの
第1X方向分割電極22と、それに対向する1つの
第2X方向分割電極24との間においてY方向に延びる
Y方向短冊状透明導電膜が複数、互いにX方向に分離した状態に並設されてなる。上記
Y方向短冊状透明導電膜の各々には、
対応する第1および第2X方向分割電極22、24
を通して電圧が印加される。
【0025】
一方
Y方向検出パネル30は、
第1Y方向電極基板31
と、
第1Y方向電極基板31に各々接続してY方向に並設された複数の
第1Y方向分割電極32
と、
第1Y方向電極基板31および
第1Y方向分割電極32と離して配置された
第2Y方向電極基板33
と、第1Y方向電極基板31および
第1Y方向分割電極32と離して配置されるとともに第2Y方向電極基板33に各々接続してY方向に並設された複数の第2Y方向分割電極34
と、
第1Y方向分割電極32
と第2Y方向分割電極34
との間に配置されたY方向分割透明導電膜35
とを有している。Y方向分割透明導電膜35は、上記X方向分割透明導電膜25と同様に、透光性の導電材料からなる膜である。Y方向分割透明導電膜35は、1つの
第1Y方向分割電極32と、それに対向する1つの
第2Y方向分割電極34との間においてX方向に延びる
X方向短冊状透明導電膜が複数、互いにY方向に分離した状態に並設されてなる。上記
X方向短冊状透明導電膜の各々には、
対応する第1および第2Y方向分割電極32、34
を通して電圧が印加される。
【0026】
上記の
X方向検出パネル20と
Y方向検出パネル30は、
第1および第2X方向分割電極22、24の並び方向と
第1および第2Y方向分割電極32、34の並び方向とが互いに直交する向きにして、そしてX方向分割透明導電膜25とY方向分割透明導電膜35とが微小間隔を置いて対面する状態に配置される。なお本実施形態では、一例として、X方向分割透明導電膜25が存在する側のパネル前表面12aが、タッチ操作を受ける面とされている。
【0027】
上記構成のマルチタッチパネル12において、パネル前表面12aのある箇所がタッチ操作を受けると、その箇所においてX方向分割透明導電膜25とY方向分割透明導電膜35とが導通し、それにより、上述のようにX方向およびY方向に印加されていた電圧が低下する。この電圧の変化は、X方向分割透明導電膜25の1つの短冊状導電膜と、Y方向分割透明導電膜35の1つの短冊状導電膜とが対向している部分(セル:
図2中においてCで示す)毎に検出され、この検出電圧信号を制御部100で処理することにより、タッチ箇所のX方向座標およびY方向座標を知ることができる。
【0028】
このようなタッチ箇所の検出方式によれば、マルチタッチパネル12のパネル前表面12aにおいてタッチされている1つの箇所も、また同時にタッチされている少なくとも2つの箇所も検出して、後述される制御部100にタッチ箇所を示す信号を出力可能である。例えば、同時にタッチされている少なくとも2箇所は、同時にタッチされている状態が継続している期間において、所定の短い時間間隔で時系列に1箇所ずつ順にそれぞれのタッチ箇所を示す信号を出力信号として制御部100に繰り返し出力されてもよい。例えば、2箇所が同時にタッチされている状態が継続している間は、所定の短い時間間隔で時系列に2つのタッチ箇所をそれぞれ示す2つの信号を交互に出力信号として制御部100に繰り返し出力されてもよい。なお、マルチタッチパネル12には、いわゆる4線方式や5線方式等の従来公知の配線方式を採用可能であるが、
図3では詳しい配線状態は省略している。
【0029】
本発明の操作盤の制御部100は、マルチタッチパネル12のパネル前表面12aにおいてタッチされている1つの箇所を示す出力信号を受けたときのみ、その1つの箇所を示すX,Y座標の制御信号Soを出力し、タッチされている少なくとも2つの箇所を弁別して示す出力信号を受けても、少なくとも2箇所を示すそれぞれのX,Y座標の制御信号Soを出力しない。
【0030】
制御部100は、例えば、マルチタッチパネル12が所定の短い時間間隔で時系列に出力する出力信号が前後で同じであれば、マルチタッチパネル12のパネル前表面12aの1箇所のみがタッされている状態と判定して、当該1箇所を示す出力信号に基づき当該1箇所を示すX,Y座標の制御信号Soを出力し、それら出力信号が前後で異なるのであれば、マルチタッチパネル12のパネル前表面12aの少なくとも2箇所が同時にタッチされていると判定して、制御信号Soを出力しないようにしてもよい。
【0031】
また、制御部100は、例えば、マルチタッチパネル12のパネル前表面12aにおいて1箇所のみがタッチされている状態で別の1箇所がタッチされることで、途中から2箇所が同時にタッチされている状態に切り替わる場合には、1つ目の箇所を示すX,Y座標の制御信号Soを出力している状態から、2つ目の箇所がタッチされた時点で2つの箇所を示すX,Y座標の制御信号Soが出力されない上に、1つ目の箇所を示すX,Y座標の制御信号Soも出力されなくなり、すべての制御信号Soの出力が停止する。
【0032】
また、例えば、制御部100は、マルチタッチパネル12のパネル前表面12aにおいて2箇所が同時にタッチされていて、どちらのX,Y座標の制御信号Soも出力されていない状態で、途中からどちらか1つの箇所がタッチされなくなって残る1つの箇所のみがタッチされている状態に切り替わ場合には、継続してタッチされている1つの箇所を示すX,Y座標の制御信号Soの出力が開始されるようにしてもよい。
【0033】
次に、本実施形態の操作盤1の作用について説明する。まず、マルチタッチパネル12において、タッチ箇所が1つだけ検出される場合について説明する。
図4は、この操作盤1のマルチタッチパネル12の部分を、タッチ操作を受ける前表面12a側から見た状態を示している。この状態下では、図示される通り、マルチタッチパネル12の透明導電膜25および35(
図3参照)越しに、液晶表示パネル11の表示面11aおよび、プリントシート13の前表面13aが観察可能となっている。つまり、上記表示面11aに画像信号に基づいて表示された操作キー11Bや条件表示部11C、並びにプリントシート13の前表面13aに記載されている操作キー14が観察され得る。
【0034】
図4に示す各操作キー14は、機械に指令する動作の内容を簡単に示す操作キーの名称(図示省略)または記号と一緒にプリントシート13に記載されている。
図4に示す各操作キー14には、例えば、20、21、22・・・60、61、62・・・のような操作キー番号が付与されていてもよい。そして、操作キー14の各番号の操作キー14が機械に指令する動作を示すリストが、マルチタッチパネル12とは別に用意されていてもよい。例えば機械の操作に不慣れな作業者はそのリストを参照して、各操作キー14をタッチして押したとき、何の動作の指令が機械に与えられるかを知ることができる。
【0035】
一例として、操作キー番号61の操作キー14は機械内のある電動操作部の電源オンを指令するキー、操作キー番号63の操作キー14は機械が有するヒータの電源オンを指令するキーそして操作キー番号65の操作キー14は機械が有するモータの電源オンを指令するキーである。
【0036】
操作盤1の操作を行う作業者は、プリントシート13の前表面13aに記載されている、ある操作キー14にタッチして押すことにより、その操作キー14に対応付けられている動作を機械に行わせることができる。なお、上記の「操作キー14にタッチして押す」とは、厳密に言えば、操作キー14と重なっている部分のマルチタッチパネル12にタッチして所定の圧力で押し、その部分においてX方向分割透明導電膜25とY方向分割透明導電膜35とを接触させるということであるが、説明の冗長化を避けるために、このように表現することにする(以下、同様)。
【0037】
単純に、1つの操作キー14に対応付けられている1つの動作を機械に行わせるためには、1つの操作キー14のマルチタッチパネル12上におけるX,Y座標(X1,Y1)と、1つの動作、例えば機械の動力立上のような機械の基本的な動作等とを対応付けて機械の制御装置に記憶させておく。そして、
図3に示す制御部100が出力する、タッチ箇所を示す制御信号Soが機械の制御装置に入力されたとき、例えば、この制御信号Soが示すX,Y座標が(X1,Y1)であるならば、このX,Y座標(X1,Y1)と対応付けられている1つの動作を機械に行わせるように、機械の制御装置を構成すればよい。
【0038】
なお、上記座標値X1およびY1は、それぞれ所定の数値幅を持つものであってもよい。また、操作キー14のマルチタッチパネル12上における少なくとも2つ(n>1)のX,Y座標(X11,Y11),(X12,Y12),〜(X1n,Y1n)で示される座標領域と、1つの動作、例えば機械の動力立上のような機械の基本的な動作等とを対応付けて機械の制御装置に記憶させておいてもよい。そして、
図3に示す制御部100が出力する、タッチ箇所を示すX,Y座標の制御信号Soが機械の制御装置に入力されたとき、例えば、制御信号Soが示すX,Y座標(X1,Y1)が、X11からX12までの間でかつY11からY12までの間であるならば、2つのX,Y座標(X11,Y11),(X12,Y12)で示される座標領域と予め対応付けられた1つの動作を機械に行わせるように、機械の制御装置を構成してもよい。そのようにすることは、特に操作キー14の記載サイズが比較的大きい場合において好ましい。
【0039】
上述したように、1つの操作キー14が押されたとき、その操作キー14に対応付けられている1つの動作を機械に行わせるための構成は、液晶表示パネル11の表示面11aに表示されている操作キー11Bが押されたとき、その操作キー11Bに対応付けられている1つの動作を機械に行わせるために適用されてもよい。
【0040】
なお、例えば、第1実施形態において、液晶表示パネル11の表示面11aに表示されている操作キー11Bが押された際になされる1つの動作は、機械の稼働中になされる各種条件の設定動作である。つまりそのような設定動作は、例えば射出成形機においては、成形材料の加熱条件を設定した後、金型の開閉および型締条件を設定し、次いで、溶融樹脂を金型の中に射出する射出条件を設定する、といったように順を追ってなされることが多い。そしてそれらの設定は、例えば1つの操作キー11Bに付与されている表示が、例えば「樹脂材料の種類の選択」、「金型の種類の選択」、「射出速度の設定」等に順次変化するように、表示面11aの表示状態を遷移させながら行われることも多い。液晶表示パネル11は、表示面11aにおける表示内容を簡単に変更可能であるから、上記のような表示状態の遷移に容易に対応可能である。
【0041】
なお、
図4に示す表示面11aに表示される条件表示部11Cには、設定された条件、例えば上記射出速度等が表示される。この条件表示部11Cに表示される条件は、表示面11aに表示された操作キー11Bによって設定された条件に限らず、プリントシート13に記載されている操作キー14によって設定された条件であってもよい。
【0042】
次に、マルチタッチパネル12によって、複数のタッチ箇所が同時に検出される場合の作用について説明する。マルチタッチパネル12から少なくとも2つのタッチ箇所を示す信号が出力されると、
図3に示す制御部100は、それらタッチ箇所を示すX,Y座標の各制御信号Soを機械の制御装置に一切出力しない。例えば、1つの操作キー14とそれとは別の1つの操作キー14を同時に押したとしても、制御部100がそれら操作キー14に対応する操作信号Soを機械の制御装置に出力しないので、それらの操作キー14に対応する機械の操作が行われないことになる。
【0043】
なお、本例において制御部100は、「タッチ操作が1箇所においてなされた際に当該1箇所を示す前記マルチタッチパネルの出力信号を受けて当該1箇所を示す制御信号を出力し、タッチ操作が同時に少なくとも2箇所においてなされた際に当該少なくとも2箇所を弁別して示すマルチタッチパネルの出力信号を受けても当該少なくとも2箇所を示す制御信号を出力しない」という予め定められた規則に従って、上述の通りの制御信号Soを出力する。このような制御部100は、例えば予め定められたプログラムを実行するマイクロコンピューター等から構成することができる。
【0044】
以上詳しく説明した通り本実施形態の操作盤1においては、マルチタッチパネル12と、1つのタッチ箇所を示すマルチタッチパネル12の出力信号を受けて当該1箇所を示す制御信号Soを出力し、少なくとも2つのタッチ箇所を弁別して示すマルチタッチパネル12の出力信号を受けても少なくとも2箇所を示す制御信号を出力しない制御部100とが設けられているので、総じて実用的な機械の操作盤を実現し、物理的スイッチを有する操作盤との代替えが可能となっている。
【0045】
次に、本発明の第2の実施形態について、
図5を参照して説明する。
図5は、本発明の第2実施形態による操作盤2を分解して示している。この操作盤2は、
図2に示した第1実施形態の操作盤1と対比すると、マルチタッチパネル12とプリントシート13の積層の順序が逆である点で異なる。すなわち、この操作盤2ではプリントシート13が、マルチタッチパネル12のタッチ操作を受ける前表面13aと接する状態に配置されている。そしてプリントシート13は、該プリントシート13越しにマルチタッチパネル12にタッチ操作が伝わるように、十分薄くて柔らかい材料から形成されている。
【0046】
この操作盤2においては、プリントシート13のマルチタッチパネル12と接する後表面13bと反対側の表面である前表面13aに、エンボス加工等の凹凸加工が施されていることが望ましい。そのような加工は、操作キー14がプリントされている範囲だけに施されていることが、さらに望ましい。
【0047】
なお、本実施形態においては、プリントシート13と重なるマルチタッチパネル12の第2領域R2は、特に透光性である必要はない。
【0048】
上記構成の操作盤2においても、基本的に第1実施形態の操作盤1におけるのと同様の作用、効果が得られる。また、プリントシート13に上述のような凹凸加工が施されている場合、作業者は、マルチタッチパネル12をタッチ操作したという感覚をより得ることができる。