(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6593940
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】無人飛行体を用いた無人搬送システム
(51)【国際特許分類】
B64C 27/08 20060101AFI20191010BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20191010BHJP
B64D 47/08 20060101ALI20191010BHJP
B64C 13/18 20060101ALI20191010BHJP
B61B 7/00 20060101ALI20191010BHJP
B61B 13/00 20060101ALI20191010BHJP
B64D 47/02 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
B64C27/08
B64C39/02
B64D47/08
B64C13/18 Z
B61B7/00 A
B61B13/00 V
B64D47/02
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-144646(P2018-144646)
(22)【出願日】2018年8月1日
【審査請求日】2018年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 絢介
【審査官】
長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2018−111340(JP,A)
【文献】
特開平04−047306(JP,A)
【文献】
特開昭61−072309(JP,A)
【文献】
特開昭64−015812(JP,A)
【文献】
特開2014−031118(JP,A)
【文献】
特開昭61−168024(JP,A)
【文献】
特開2018−084955(JP,A)
【文献】
特開2011−043947(JP,A)
【文献】
国際公開第2017/138049(WO,A1)
【文献】
特開平02−090212(JP,A)
【文献】
特開2017−173966(JP,A)
【文献】
特開2017−076084(JP,A)
【文献】
特開2017−132377(JP,A)
【文献】
特開2001−252883(JP,A)
【文献】
特開2017−089211(JP,A)
【文献】
特開2017−081246(JP,A)
【文献】
特開平07−210246(JP,A)
【文献】
特開平06−119036(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2018/0186472(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2018/0008797(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 27/08
B61B 7/00
B61B 13/00
B64C 13/18
B64C 39/02
B64D 47/02
B64D 47/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自機の位置を検出する自機位置検出部と、
前記自機の飛行を制御するフライトコントロール部と、
誘導経路に沿って走行する無人搬送車のためのライン光を投射する投射部と、を備えるホバリング可能な無人飛行体と、
前記投射部によって投射された前記ライン光を検出する左右一対の光センサと、
前記左右の光センサのいずれが前記ライン光を検出したか否かに基づいてステアリング制御するステアリング制御部と、を備える前記無人搬送車と、
前記無人搬送車の予め定められた走行経路を記憶している走行経路記憶部と、
前記自機位置検出部によって検出された前記自機の位置に対応する前記走行経路の一部を前記誘導経路として抽出する誘導経路抽出部と、を含み、
前記投射部は、前記誘導経路抽出部が抽出した前記誘導経路を前記ライン光として投射する
ことを特徴とする無人搬送システム。
【請求項2】
前記投射部は、前記無人搬送車の上面に前記ライン光を投射し、
前記光センサは、前記無人搬送車の上面に配置され、前記無人搬送車に投射された前記ライン光を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の無人搬送システム。
【請求項3】
前記無人飛行体は、
前記自機の上方を撮像する撮像部と、
予め撮像された前記自機の上方の画像を位置情報と関連付けて記憶している上方画像記憶部と、をさらに備え、
前記自機位置検出部は、
前記撮像部によって撮像された前記自機の現在の上方の画像と、前記上方画像記憶部に記憶されている前記自機の前記上方の画像とを照合する照合部と、
前記照合部が照合した結果に基づいて前記自機の位置を特定する自機位置特定部と、を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の無人搬送システム。
【請求項4】
前記上方画像記憶部は、天井に天井マーカが設けられた屋内において、予め撮像された前記天井マーカを含む前記天井の画像を位置情報と関連付けて記憶しており、
前記照合部は、前記撮像部によって撮像された前記天井の画像と、前記上方画像記憶部に記憶されている前記天井の画像とを照合する
ことを特徴とする請求項3に記載の無人搬送システム。
【請求項5】
前記天井マーカは、再帰性反射材であり、
前記無人飛行体は、
前記天井マーカに赤外線を照射する赤外線照射部をさらに備え、
前記撮像部は、赤外線カメラであり、前記赤外線で照射された前記天井マーカを含む前記天井の画像を撮像する
ことを特徴とする請求項4に記載の無人搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人飛行体を用いた無人搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫では、搬送作業において自律走行可能な無人搬送車が利用されている。この種の無人搬送車には、多種多様な無人搬送システムが利用されている。例えば、特許文献1に開示の無人搬送システムは、誘導ラインに沿って走行する無人搬送システムが用いられている。具体的には、無人搬送車が、撮像部を備えており、撮像部を使用して路面に敷設された誘導ラインを撮像し、撮像された誘導ラインの位置に基づいて誘導ライン上を走行する。
【0003】
上記誘導ラインは、路面に貼付されたテープや路面に塗布された塗料などからなり、路面とは明確に異なる色彩が着色されている。しかしながら、このような誘導ラインは、路面に敷設されていることから、汚れの付着や剥がれが発生しやすい。そのため、無人搬送車は、このような誘導ラインの汚れの付着および剥がれによって誘導ラインを認識できず、走行を停止するという問題があった。
【0004】
そこで、例えば、汚れの付着や剥がれの影響を受けにくい電磁誘導による無人搬送システムがある(特許文献2参照)。この無人搬送システムによると、無人搬送車は、走行経路に沿って床に敷設されたトウパスワイヤの誘起磁界を車体に設けられたピックアップコイルによって検出し、検出された誘起磁界に基づいてステアリングモータを制御することにより、走行経路に沿って移動する。
【0005】
しかしながら、トウパスワイヤを床に敷設することは、面倒である。また、この無人搬送システムでは、工場や倉庫内のレイアウト変更のたびに、トウパスワイヤを改めて床に敷設しなければならないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−210246号公報
【特許文献2】特開平6−119036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、誘導ラインを敷設する必要がない無人搬送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る無人搬送システムは、
自機の位置を検出する自機位置検出部と、
自機の飛行を制御するフライトコントロール部と、
誘導経路に沿って走行する無人搬送車のためのライン光を投射する投射部と、を備えるホバリング可能な無人飛行体と、
投射部によって投射されたライン光を検出する左右一対の光センサと、
左右の光センサのいずれがライン光を検出したか否かに基づいてステアリング制御するステアリング制御部と、を備える無人搬送車と、
無人搬送車の予め定められた走行経路を記憶している走行経路記憶部と、
自機位置検出部によって検出された自機の位置に対応する走行経路の一部を誘導経路として抽出する誘導経路抽出部と、を含み、
投射部は、誘導経路抽出部が抽出した誘導経路をライン光として投射する
ことを特徴とする。
【0009】
上記無人搬送システムは、
好ましくは、
投射部が、無人搬送車の上面に前記ライン光を投射し、
光センサが、前記無人搬送車の上面に配置され、無人搬送車に投射されたライン光を検出する。
【0010】
上記無人搬送システムは、
好ましくは、
無人飛行体が、
自機の上方を撮像する撮像部と、
予め撮像された自機の上方の画像を位置情報と関連付けて記憶している上方画像記憶部と、をさらに備え、
自機位置検出部が、
撮像部によって撮像された自機の現在の上方の画像と、上方画像記憶部に記憶されている自機の上方の画像とを照合する照合部と、
照合部が照合した結果に基づいて自機の位置を特定する自機位置特定部と、を有する。
【0011】
上記無人搬送システムは、
好ましくは、
上方画像記憶部が、天井に天井マーカが設けられた屋内において、予め撮像された天井マーカを含む天井の画像を位置情報と関連付けて記憶しており、
照合部が、撮像部によって撮像された天井の画像と、上方画像記憶部に記憶されている天井の画像とを照合する。
【0012】
上記無人搬送システムは、
好ましくは、
天井マーカが、再帰性反射材であり、
無人飛行体が、
天井マーカに赤外線を照射する赤外線照射部をさらに備え、
撮像部が、赤外線カメラであり、赤外線で照射された前記天井マーカを含む天井の画像を撮像する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、誘導ラインを敷設する必要がない無人搬送システムを提供することができる。また、例えば、屋内に設けられた移動棚が移動するなど、屋内のレイアウトが変更されても、投射部は、無人飛行体1が移動することによりライン光を適切に投射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る無人搬送システムの概要図である。
【
図2】
図1の天井に設けられた天井マーカを示す図である。
【
図3】(a)は、
図1の無人飛行体の構成を示す斜め下から見た斜視図であり、(b)は、斜め上から見た斜視図である。
【
図4】
図3の無人飛行体の上部ユニットの構成を示す斜視図である。
【
図5】(a)は、
図3の無人飛行体のジンバルおよび下部ユニットの構成を示す斜め下から見た斜視図であり、(b)は、斜め上からみた斜視図である。
【
図6】
図3の無人飛行体の本体が備える各構成の機能ブロック図である。
【
図7】は、投射されたライン光と、無人搬送車とを示す上面図である。
【
図8】本発明に係る無人搬送システムの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明に係る無人飛行体および無人飛行体を用いた無人搬送システムの一実施形態について説明する。前後、左右および上下の方向X、Y、Zは、添付図面に記載のとおり、無人搬送車の走行方向を基準にしている。
【0016】
<無人搬送システムSの概要>
図1は、本発明に係る無人飛行体1を用いた無人搬送システムSの概要図である。この無人搬送システムSでは、無人飛行体1は、天井Cを撮像し、撮像した画像を解析することにより自機位置を検出するとともに、無人搬送車30を誘導するためのライン光Lを路面Rに向けて投射する。無人搬送車30は、無人フォークリフトであって、無人飛行体1が投射したライン光Lに沿って誘導されることにより、予め定められた走行経路を走行する。
【0017】
<天井の構成>
図2に示すように、天井C全体には、無人飛行体1が自機位置を検出するために用いるための、長方形状の天井マーカ200が複数設けられている。天井マーカ200は、再帰性反射材であって、同縦列または同横列において等間隔に整列して配置されている。言い換えると、天井マーカ200は、列ごとに異なる間隔で天井Cに配置されている。例えば、
図2の最下段の横列の間隔P3の長さは、すべて同じである。一方、1段目、2段目および3段目の横列の間隔P1、P2、P3の長さは、それぞれ異なっている。また、1段目、2段目および3段目間の間隔P4、P5の長さも、それぞれ異なっている。
【0018】
<無人飛行体>
まず、無人飛行体1の各部の構成について簡単に説明する。
図3に示すように、無人飛行体1は、本体20と、本体20の上面から地面と平行に4方に延びる4本のアーム12と、4本のアーム12のそれぞれの先端側に設けられたモータ13と、モータ13に設けられた回転翼14と、4本のアーム12の基部の上側に立設された略八角柱状の上部ユニット15と、本体20の下側に設けられたジンバル16と、ジンバル16に支持されている下部ユニット17と、本体20の周囲かつアーム12の下側に設けられた4本のスキッド18と、を備えている。
【0019】
図4に示すように、上部ユニット15は、上部ユニット本体151と、赤外線カメラ152と、4つの赤外線照射部153と、を有する。赤外線カメラ152は、本発明の「撮像部」に相当し、上部ユニット本体151の上面の中央に上方を向いて配置されている。4つの赤外線照射部153は、それぞれ赤外線カメラ152の周囲の上下および左右に上方を向いて配置されている。赤外線照射部153は、例えば、赤外LEDでもよい。4つの赤外線照射部153は、天井Cに向けて赤外線を照射し、赤外線カメラ152は、赤外線で照射された天井マーカ200を含む天井Cの画像を撮像して天井画像を生成する。
【0020】
通常、屋内の天井Cには電灯が設けられているが、天井Cに設けられた天井マーカ200には電灯の光が届きにくい。また、天井Cに設けられた天井マーカ200を撮像する場合、電灯による逆光が撮像の妨げになる。そこで、赤外線照射部153が天井Cに赤外線を照射することにより、赤外線カメラ152は、天井マーカ200を含む天井Cを適切に撮像することができる。また、天井マーカ200が再帰性反射材であることにより、天井マーカ200に照射された赤外線の入射角が大きくても、赤外線カメラ152は、適切に天井マーカ200を撮像することができる。
【0021】
図5に示すように、ジンバル16は、本体20に回転可能に連結された第1の回転軸161と、第1の回転軸161に連結された円板状の回転台162と、回転台162から下方に延びる左右一対の支持柱163と、支持柱163の内側中央に回転可能に連結された左右一対の第2の回転軸164と、を有する。
【0022】
下部ユニット17は、プロジェクタ171を有するとともに、第2の回転軸164に支持されている。プロジェクタ171は、本発明の「投射部」に相当する。プロジェクタ171は、ジンバル16によって任意の方向に向くことができる。なお、プロジェクタ171は、単なる一例であって、投射部は、例えば、レーザであってもよい。
【0023】
図6に示すように、本体20は、制御部21と、自機位置検出部23と、記憶部24と、を有する。
【0024】
制御部21は、フライトコントロール部211と、誘導経路抽出部212と、を有し、無人飛行体1の飛行およびプロジェクタ171によるライン光Lの投射を制御する。
【0025】
記憶部24は、飛行経路記憶部241と、上方画像記憶部242と、走行経路記憶部243と、を有している。
【0026】
自機位置検出部23は、GPSセンサ、ジャイロセンサ、超音波センサ、レーザセンサ、気圧センサ、コンパス、加速度センサといった各種センサ(図示しない)を有しており、無人飛行体1の位置を検出するのに利用することができる。しかしながら、GPSセンサは、屋内においてはGPS信号を適切に検出することができない。そこで、自機位置検出部23は、後で詳述するように、屋内においては、赤外線カメラ152によって撮像された天井画像と、上方画像記憶部242に記憶されている天井画像とを照合することにより、無人飛行体1の位置を検出する。
【0027】
次に、フライトコントロール部211による無人飛行体1の飛行制御について説明する。フライトコントロール部211は、各モータ13の回転数を制御することにより、無人飛行体1のホバリングを可能にするとともに、無人飛行体1の飛行速度、飛行方向、飛行高度を制御する。また、フライトコントロール部211は、無人飛行体1の自律飛行時には、自機位置検出部23によって検出された無人飛行体1の位置を参照しながら、飛行経路記憶部241に記憶された飛行経路に沿って無人飛行体1を飛行させる。
【0028】
次に、自機位置検出部23による自機位置検出方法について説明する。自機位置検出部23は、照合部231と、自機位置特定部232と、を有する。上方画像記憶部242には、天井C全体の天井全体画像が位置情報と関連付けて記憶されている。赤外線カメラ152は、無人飛行体1の自律飛行時には、随時、無人飛行体1の上方を撮像して上方画像を生成し、照合部231に出力する。照合部231は、入力された上方画像と、上方画像記憶部242に記憶されている天井全体画像とを照合し、天井全体画像の中のどの位置に上方画像が存在するのかを探索するテンプレートマッチングを行う。テンプレートマッチングには、例えば、SSD(「Sum of Squared Difference」)またはSAD(「Sum of Absolute Difference」)を類似度の計算手法として用いてもよい。自機位置特定部232は、照合部231のテンプレートマッチングの結果に基づいて無人飛行体1の位置を特定する。なお、自機位置検出部23は、無人飛行体1の高度に関しては、超音波センサ、レーザセンサ等により検出する。
【0029】
次に、ライン光Lを投射する方法について説明する。誘導経路抽出部212は、自機位置検出部23によって検出された無人飛行体1の位置に基づいて、路面Rに向けて投射する誘導経路を決定する。具体的には、走行経路記憶部243は、無人搬送車30の予め定められた走行経路を記憶しており、誘導経路抽出部212は、検出された無人飛行体1の位置に対応する走行経路の一部を誘導経路として抽出する。抽出された誘導経路は、プロジェクタ171に出力される。なお、誘導経路の長さは、特に限定されない。
【0030】
プロジェクタ171は、入力された誘導経路をライン光Lとして路面Rに向けて投射する。無人飛行体1がフライトコントロール部211によって安定してホバリングすることができ、プロジェクタ171がジンバル16によって安定して一定の方向を向くことができるので、プロジェクタ171は、ライン光Lを適切な方向に安定して投射することができる。
【0031】
図7に示すように、ライン光Lは、所定の幅に規定されながら無人搬送車30の車体31の上面に投射され、無人搬送車30が誘導される方向を指している。このライン光Lの色は、後で述べる光センサ32によって検出することができれば、特に限定されない。
【0032】
<無人搬送車>
再び
図1を参照して、無人搬送車30の構成について説明する。無人搬送車30は、車体31と、左右一対の光センサ32と、左右一対の前輪33と、左右一対の後輪34と、前輪33および後輪34のいずれか一方または両方をステアリング制御するステアリング制御部35と、左右一対のフォーク36と、左右一対のマスト37と、を備える。
【0033】
図7を参照して、光センサ32は、車体31の上面に配置されており、プロジェクタ171によって車体31の上面に投射されたライン光Lを検出する。これにより、光センサ32は、車体31が影になりライン光Lを検出できないといった不都合を回避することができる。また、本実施形態では、路面Rに投射されたライン光Lの反射光を光センサ32が検出する方式ではないことにより、光センサ32は、色や凹凸の有無といった路面Rの状態に関わらず適切にライン光Lを検出することができる。なお、光センサ32の位置は、光センサ32がライン光Lを検出することができれば特に限定されず、例えば、左右のマスト37の上面にわたって覆うように設けられた上部フレームの上面でもよい。
【0034】
ライン光Lは、左右の光センサ32の間に収まる幅に規定されながらプロジェクタ171によって投射される。光センサ32は、ライン光Lを検出すると電気信号をステアリング制御部35に出力する。
【0035】
ステアリング制御部35は、左右の光センサ32のいずれかによって電気信号が入力されると、ステアリング制御を開始し、左右の光センサ32のいずれからも電気信号が入力されなくなると、ステアリング制御を停止する。すなわち、ステアリング制御部35は、左右の光センサ32の間にライン光Lが配置されるように、車輪33、34の操舵角をフィードバック制御する。これにより、無人搬送車30は、無人飛行体1が投射したライン光Lに沿って誘導され、予め定められた走行経路を走行することができる。
【0036】
無人搬送システムSによれば、プロジェクタ171がライン光Lを投射するので、無人搬送車30を誘導するのに別途誘導ラインを敷設する必要がない。また、光センサ32が車体31の上面に配置されているので、路面Rの状態に関わらず、ライン光Lが確実に検出され、車輪33、34が適切にステアリング制御され、無人搬送車30が適切に誘導経路に沿って走行することができる。また、屋内に設けられた移動棚が移動するといった屋内のレイアウトの変更に対しても、無人飛行体1が移動することにより、プロジェクタ171がライン光Lを適切な位置に投射することができる。
【0037】
以上、本発明に係る無人搬送車30を誘導するシステムの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0038】
(1)無人搬送車30は、例えば、有人無人兼用の搬送車またはフォークリフトであってもよい。
【0039】
(2)無人飛行体1が自機位置を検出する方法は、特に限定されない。例えば、SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)技術によって、無人飛行体1の位置を検出してもよい。
【0040】
(3)自機位置検出部23が撮像部の撮像した天井画像から天井マーカ200を認識できるのであれば、赤外線照射部153は、無人飛行体1に設けられていなくてもよい。また、自機位置検出部23が撮像部の撮像した天井画像から天井マーカ200を認識することができるのであれば、撮像部は、赤外線カメラ152に限定されない。
【0041】
(4)天井マーカ200には、例えば、2次元バーコードが付されており、この2次元バーコードに位置情報が含まれていてもよい。これにより、自機位置検出部23は、天井画像から天井マーカ200を認識することにより無人飛行体1の位置を直接認識することができる。
【0042】
(5)無人飛行体1は、アーム12の上面にジンバルが設けられ、このジンバルに上部ユニット15が接続される構成であってもよい。これにより、赤外線カメラ152は、無人飛行体1の姿勢に関わらず、常に一定の角度で天井Cを撮像することができる。
【0043】
(6)プロジェクタ171は、複数のプロジェクタから構成されていてもよい。この場合、複数のプロジェクタによって複数のライン光Lを同時に投射することにより、複数の無人搬送車30を同時に誘導してもよい。また、複数のプロジェクタによって同時に複数のライン光Lを投射することにより広範囲の誘導経路を示してもよい。
【0044】
(7)誘導経路抽出部212は、無人飛行体1の位置に加えて、無人搬送車30の位置に基づいて、ライン光Lを決定してもよい。この場合、無人飛行体1は、下方を撮像する下カメラをさらに備え、誘導経路抽出部212は、下カメラの撮像する画像に基づいて、無人搬送車30の位置を検出する。
【0045】
(8)無人飛行体1は、無人搬送車30に追従しながらライン光Lを投射してもよいし、または所定の位置からライン光Lを投射してもよい。
【0046】
(9)
図13に示すように、無人飛行体1と互いに通信可能なサーバ400を備えた無人搬送システムS1でもよい。この場合、無人搬送システムS1は、無人飛行体1と、サーバ400と、無人搬送車30を含む。無人飛行体1は、自機位置検出部23と、プロジェクタ171とを備える。サーバ400は、走行経路記憶部401と、誘導経路抽出部402と、を備える。無人搬送車30は、左右一対の光センサ32と、左右一対の前輪33と、左右一対の後輪34と、ステアリング制御部35と、を備える。
【0047】
無人搬送システムS1では、走行経路記憶部401が無人搬送車30の予め定められた走行経路を記憶しており、誘導経路抽出部402が通信により受信した前記無人飛行体1の位置に対応する走行経路の一部を誘導経路として抽出する。プロジェクタ171は、サーバ400から受信した誘導経路をライン光Lとして路面Rに向けて投射する。無人搬送車30は、無人搬送システムSと同様の手法で、無人飛行体1が投射した誘導経路に沿って誘導され、予め定められた走行経路を走行することができる。この無人搬送システムS1によれば、無人飛行体1は、走行経路記憶部243および誘導経路抽出部212を備える必要がない。
【0048】
(10)ステアリング制御部35は、光センサ32のいずれかがライン光Lを検知しないときにステアリング制御するとしてもよい。この場合、プロジェクタ171は、左右の光センサ32のいずれにも同時にライン光Lを投射できるようライン光Lの幅を拡大してライン光Lを投射し、光センサ32は、ライン光Lが検出されないときにステアリング制御部35に電気信号を出力する。ステアリング制御部35は、電気信号が入力されるとステアリング制御する。すなわち、左右の光センサ32のいずれにもライン光Lが投射されている場合には、無人搬送車30は、直進し、左右の光センサ32のいずれかにのみライン光Lが投射されているときには、無人搬送車30は、左右いずれかに曲がる。また、この場合、無人搬送車30は、左右の光センサ32のいずれもがライン光Lを検出すると進行し、左右の光センサ32のいずれもがライン光Lを検出しないときには、進行を停止するとしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 無人飛行体
12 アーム
13 モータ
14 回転翼
15 上部ユニット
151 上部ユニット本体
152 赤外線カメラ(撮像部)
153 赤外線照射部
16 ジンバル
161 第1の回転軸
162 回転台
163 支持柱
164 第2の回転軸
17 下部ユニット
171 プロジェクタ(投射部)
18 スキッド
20 本体
21 制御部
211 フライトコントロール部
212 誘導経路抽出部
23 自機位置検出部
231 照合部
232 自機位置特定部
24 記憶部
30 無人搬送車
31 車体
32 光センサ
33 前輪
34 後輪
35 ステアリング制御部
200 天井マーカ
400 サーバ
401 走行経路記憶部
402 誘導経路抽出部
S、S1 無人搬送システム
C 天井
R 路面
L ライン光
【要約】
【課題】誘導ラインを設置する必要がない無人搬送システムを提供する。
【解決手段】無人搬送システムSは、自機の位置を検出する自機位置検出部と、自機の飛行を制御するフライトコントロール部と、誘導経路に沿って走行する無人搬送車30のためのライン光を路面Rに向けて投射する投射部と、を備えるホバリング可能な無人飛行体1と、投射部によって投射されたライン光を検出する左右一対の光センサ32と、左右の光センサ32のいずれかがライン光を検出したか否かに基づいてステアリング制御するステアリング制御部35と、を備える無人搬送車30と、無人搬送車30の予め定められた走行経路を記憶している走行経路記憶部と、自機位置検出部によって検出された自機の位置に対応する走行経路の一部を誘導経路として抽出する誘導経路抽出部と、を含む。投射部は、誘導経路抽出部が抽出した誘導経路をライン光として投射する。
【選択図】
図1