特許第6593952号(P6593952)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6593952
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】免震装置の取付け方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 23/02 20060101AFI20191010BHJP
   F16F 15/04 20060101ALI20191010BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   E04G23/02 C
   F16F15/04 P
   E04H9/02 331A
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-205123(P2015-205123)
(22)【出願日】2015年10月16日
(65)【公開番号】特開2017-75512(P2017-75512A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2018年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】502143319
【氏名又は名称】株式会社あけぼの産業
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(72)【発明者】
【氏名】石田 俊久
(72)【発明者】
【氏名】近藤 睦
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−105014(JP,A)
【文献】 特開2001−027282(JP,A)
【文献】 特開2001−164518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 23/02
E04H 9/02
F16F 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部躯体と上部躯体との間に免震装置を取り付ける免震装置の取付け方法であって、
当該免震装置は、積層ゴムと、当該積層ゴムの下に設けられてボルト挿通孔が形成された下フランジと、前記積層ゴムの上に設けられてボルト挿通孔が形成された上フランジと、を備え、
前記下部躯体と前記上部躯体との間に前記免震装置を配置して、前記下フランジを前記下部躯体に対向配置し、前記上フランジを前記上部躯体に対向配置する工程と、
前記下フランジおよび上フランジのうちの一方を、当該一方のフランジが対向する躯体に固定する工程と、
移動装置および脱落防止部材を取り付けて、当該移動装置により、前記下部躯体および前記上部躯体に反力をとって、前記下フランジおよび前記上フランジのうちの他方を水平移動して位置を調整する工程と、
前記他方のフランジを当該他方のフランジが対向する躯体に固定する工程と、を備え
前記移動装置は、前記下部躯体および前記上部躯体に取り付けられる躯体側治具と、前記他方のフランジに取り付けられるフランジ側治具と、当該フランジ側治具を前記躯体側治具に対して水平方向に相対移動させるジャッキと、を備え、前記フランジ側治具には、当該他方のフランジのボルト挿通孔に挿入されるピンが設けられ、
前記一方のフランジが対向する躯体には、雌ねじ部が形成され、
前記脱落防止部材は、一端側が前記一方のフランジのボルト挿通孔に挿通されて前記雌ねじ部に螺合し、他端側が前記フランジ側治具まで延びることを特徴とする免震装置の取付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免震装置の取付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建物などの上部躯体を、免震装置を介して基礎などの下部躯体で支持する免震構造が知られている。この免震装置は、積層ゴムと、この積層ゴムの下に設けられた下フランジと、積層ゴムの上に設けられた上フランジと、を備える。下フランジは、下部躯体に打ち込まれた下部プレートにボルトで固定され、上フランジは、上部躯体に打ち込まれた上部プレートにボルトで固定される。
【0003】
このような免震装置を交換する場合、例えば、以下のような方法が提案されている。
第1の方法では、免震装置の周囲に仮受支柱を設置し、この仮受支柱により上部躯体をジャッキアップすることで、上部躯体を仮受支柱で仮支持し、免震装置にかかる荷重を解除する。次に、積層ゴムを冷却して収縮させることで、積層ゴムの高さ寸法を小さくして、積層ゴムと上部躯体との間に隙間を生じさせる。この状態で、積層ゴムを交換する(特許文献1、2参照)。
【0004】
第2の方法では、予め、積層ゴムと上部躯体あるいは下部躯体との間にプレートを介装しておく。積層ゴムを交換する際には、免震装置の周囲に仮受支柱を設置し、この仮受支柱により上部躯体をジャッキアップすることで、上部躯体を仮受支柱で仮支持し、免震装置にかかる荷重を解除する。次に、プレートを水平方向にずらして取り外すことで、積層ゴムと躯体との間に、このプレートの厚み分の隙間を生じさせる。この状態で、積層ゴムを交換する(特許文献3、4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−221921号公報
【特許文献2】特開平10−88824号公報
【特許文献3】特開平11−141179号公報
【特許文献4】特開2005−220947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、下部躯体と上部躯体とで躯体の収縮が異なったり、地震後に残留変形が生じたりして、下部躯体と上部躯体とが水平方向に位置ずれする場合がある。この場合、従来の方法では、既存の免震装置を躯体から取り外すことはできるが、新規の免震装置を取り付けることは困難となる。つまり、新規の免震装置を取り付ける際、新規の免震装置の上下のフランジのうち、一方のフランジを躯体に固定すると、他方のフランジが躯体に対して位置ずれしてしまう。
【0007】
本発明は、下部躯体と上部躯体とが水平方向に位置ずれしている場合であっても、免震装置を下部躯体と上部躯体との間に容易に取り付けることができる、免震装置の取付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の免震装置の取付け方法は、下部躯体(例えば、後述の下部躯体3)と上部躯体(例えば、後述の上部躯体4)との間に免震装置(例えば、後述の新規の免震装置10)を取り付ける免震装置の取付け方法であって、当該免震装置は、積層ゴム(例えば、後述の積層ゴム11)と、当該積層ゴムの下に設けられた下フランジ(例えば、後述の下フランジ12)と、前記積層ゴムの上に設けられた上フランジ(例えば、後述の上フランジ13)と、を備え、前記下部躯体と前記上部躯体との間に前記免震装置を配置して、前記下フランジを前記下部躯体に対向配置し、前記上フランジを前記上部躯体に対向配置する工程(例えば、後述のステップS2)と、前記下フランジおよび上フランジのうちの一方を、当該一方のフランジが対向する躯体に固定する工程(例えば、後述のステップS4)と、移動装置(例えば、後述の移動装置50)により、前記下部躯体および前記上部躯体に反力をとって、前記下フランジおよび前記上フランジのうちの他方を水平移動して位置を調整する工程(例えば、後述のステップS5〜S7)と、前記他方のフランジを当該他方のフランジが対向する躯体に固定する工程(例えば、後述のステップS8)と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、上下のフランジの一方を躯体に固定しておき、この状態で、ジャッキにより、固定していない他方のフランジを水平移動して位置を調整した。したがって、固定していない他方のフランジを、躯体の位置に容易に合わせることができるので、下部躯体と上部躯体とが水平方向に位置ずれしている場合であっても、免震装置を下部躯体と上部躯体との間に容易に取り付けることができる。
【0010】
請求項に記載の免震装置の取付け方法は、前記移動装置は、前記下部躯体および前記上部躯体に取り付けられる躯体側治具(例えば、後述の躯体側治具51)と、前記他方のフランジに取り付けられるフランジ側治具(例えば、後述のフランジ側治具52)と、当該フランジ側治具を前記躯体側治具に対して水平方向に相対移動させるジャッキ(例えば、後述のセンターホールジャッキ53)と、を備え、前記他方のフランジには、ボルト挿通孔(例えば、後述のボルト挿通孔121)が形成され、前記フランジ側治具には、当該ボルト挿通孔に挿入されるピン(例えば、後述のピン55)が設けられることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、フランジ側治具にピンを設けて、このピンをボルト挿通孔に挿入して係止したので、ジャッキを駆動することにより、固定していない他方のフランジを容易に水平移動できる。
【0012】
請求項に記載の免震装置の取付け方法は、前記一方のフランジには、ボルト挿通孔(例えば、後述のボルト挿通孔131)が形成され、当該一方のフランジが対向する躯体には、雌ねじ部(例えば、後述の雌ねじ部31)が形成され、一端側が前記一方のフランジのボルト挿通孔に挿通されて前記雌ねじ部に螺合し、他端側が前記フランジ側治具まで延びる脱落防止部材(例えば、後述の浮き上がり防止部材60)が設けられることを特徴とする。
【0013】
フランジ側治具のピンの差し込み深さは、ボルト挿通孔の深さつまりフランジの厚み分しか確保できない。したがって、移動装置によりフランジ側治具を移動させると、ピンがフランジから外れてしまうおそれがある。
そこで、この発明によれば、固定するフランジに脱落防止部材を取り付けて、この脱落防止部材の他端側を、固定していないフランジに取り付けたフランジ側治具まで延ばした。よって、この脱落防止部材がフランジ側治具のばたつきを抑えて、フランジ側治具のピンがボルト挿通孔から外れるのを防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、下部躯体と上部躯体とが水平方向に位置ずれしている場合であっても、免震装置を下部躯体と上部躯体との間に容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る免震装置の取付け方法の適用対象となる既存の免震装置の断面図である。
図2】前記実施形態に係る免震装置を交換する手順のフローチャートである。
図3】前記実施形態に係る免震装置を交換する手順の説明図(その1)である。
図4】前記実施形態に係る免震装置の交換に用いられる移動装置および脱落防止部材の側面図である。
図5】前記実施形態に係る移動装置の平面図である。
図6図5のA−A断面図である。
図7】前記実施形態に係る移動装置の変形例である。
図8】前記実施形態に係る免震装置を交換する手順の説明図(その2)である。
図9】前記実施形態に係る免震装置を交換する手順の説明図(その3)である。
図10】前記実施形態に係る免震装置を交換する手順の説明図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る免震装置の取付け方法の適用対象となる既存の免震装置10の断面図である。
【0017】
既存建物1の地下躯体には、平面矩形状の既存柱2が設けられており、既存柱2の中間高さには、既存の免震装置10が設置されている。この免震装置10よりも下側の部分を下部躯体3とし、免震装置10よりも上側の部分を上部躯体4とする。免震装置10は、下部躯体3に支持されて、上部躯体4を免震化するものである。
【0018】
下部躯体3の上面には、下側ベースプレート20が打ち込まれる。この下側ベースプレート20には、複数の雌ねじ部21が円環状に配置されている。
上部躯体4の下面には、上側ベースプレート30が打ち込まれる。この上側ベースプレート30には、複数の雌ねじ部31が円環状に配置されている。
【0019】
免震装置10は、積層ゴム11と、この積層ゴム11の下に設けられた下フランジ12と、積層ゴム11の上に設けられた上フランジ13と、を備える。
積層ゴム11は、ゴムと鋼板とを交互に積層したものであり、弾性変形可能となっている。
【0020】
下フランジ12には、円環状に配置されたボルト挿通孔121が形成されている。固定ボルト22をこのボルト挿通孔121に挿通し、下側ベースプレート20の雌ねじ部21に螺合することで、下フランジ12は、下側ベースプレート20に固定される。
上フランジ13は、円環状に配置されたボルト挿通孔131が形成されている。固定ボルト32をこのボルト挿通孔131に挿通し、上側ベースプレート30の雌ねじ部31に螺合することで、上フランジ13は、上側ベースプレート30に固定される。
【0021】
ここで、下部躯体3と上部躯体4とで躯体の収縮が異なったり、地震後に残留変形が生じたりして、下部躯体3と上部躯体4とは、水平方向に位置ずれしている。
【0022】
以下、免震装置10を交換する手順について、図2のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS1では、免震装置10が設置された既存柱2の周囲に、図示しない仮受支柱を設置する。この仮受支柱は、下部躯体3と上部躯体4との間に設置される。この仮受支柱で上部躯体4をジャッキアップして、免震装置10に作用する鉛直荷重を解除する。
【0023】
ステップS2では、図3に示すように、既存の免震装置10を取り外して、下部躯体3と上部躯体4との間に、新規の免震装置10を配置する。これにより、新規の免震装置10の下フランジ12を下部躯体3の下側ベースプレート20に対向配置し、上フランジ13を上部躯体4の上側ベースプレート30に対向配置する。
このとき、新規の免震装置10の上フランジ13のボルト挿通孔131の位置を、上側ベースプレート30の雌ねじ部31に合わせておく。したがって、この状態では、下フランジ12は、下部躯体3に対して水平方向に位置ずれしている。
【0024】
次に、一対の移動装置50および脱落防止部材としての浮き上がり防止部材60を既存柱2に取り付ける。
図4は、移動装置50および浮き上がり防止部材60の側面図である。図5は、移動装置50の平面図である。図6は、図5のA−A断面図である。
【0025】
一対の移動装置50は、既存柱2の互いに隣り合う側面のそれぞれに設けられている。
各移動装置50は、下部躯体3および上部躯体4に取り付けられる躯体側治具51と、下フランジ12に取り付けられるフランジ側治具52と、躯体側治具51に設けられてフランジ側治具52を移動させるセンターホールジャッキ53と、を備える。
【0026】
躯体側治具51は、H形鋼であり、下部躯体3および上部躯体4の側面に当接して、これら下部躯体3および上部躯体4に跨がって配置されている。
フランジ側治具52は、下フランジ12の表面に沿って配置された略平行な一対の溝形鋼54と、この溝形鋼54に設けられて下フランジ12のボルト挿通孔121に挿入される丸鋼からなるピン55と、溝形鋼54の上面に取り付けられて表面が平滑な滑動プレート56と、一対の溝形鋼54同士を連結する山形鋼である連結部材57と、を備える。
【0027】
センターホールジャッキ53は、既存柱2の側面に略垂直となるように配置され、フランジ側治具52の連結部材57の略中央に連結されたPC鋼棒58を備えており、このPC鋼棒58を引っ張るものである。
【0028】
浮き上がり防止部材60は、一端側(上端側)に雄ねじ部が形成されており、この雄ねじ部は、上フランジ13のボルト挿通孔131に挿通されて、上部躯体4の雌ねじ部31に螺合している。また、浮き上がり防止部材60の他端側(下端側)は、フランジ側治具52の溝形鋼54の内部まで延びて、滑動プレート56に当接している。
浮き上がり防止部材60は、上フランジ13のボルト挿通孔131のうち、躯体側治具51の溝形鋼54の直上に位置するものを適宜選択して、取り付けられている。
【0029】
以上の移動装置50によれば、センターホールジャッキ53を駆動することにより、躯体側治具51を介して下部躯体3および上部躯体4に反力をとって、フランジ側治具52つまり下フランジ12を引っ張る。これにより、フランジ側治具52つまり下フランジ12が、下部躯体3および上部躯体4に対して相対移動する。
【0030】
このとき、浮き上がり防止部材60により、フランジ側治具52の浮き上がりを押さえるとともに、この浮き上がり防止部材60が平滑な滑動プレート56上を摺動して、浮き上がり防止部材60とフランジ側治具52との摩擦抵抗を軽減する。
【0031】
なお、図7に示すように、躯体側治具51と下部躯体3および上部躯体4との間にテーパプレート59を挟み込むことで、センターホールジャッキ53を、既存柱2の側面に対して傾斜して配置してもよい。
【0032】
ステップS3では、下フランジ12の上フランジ13に対する位置ずれを計測し、この位置ずれに基づいて、移動装置50および浮き上がり防止部材60の配置を決定する。
つまり、センターホールジャッキ53は下フランジ12を引っ張るものであるので、この下フランジの引っ張り方向を決定し、この下フランジの引っ張り方向に基づいて、下フランジ12上のフランジ側治具52の取付け位置、センターホールジャッキ53の取付け位置および取付け方向、上フランジ13上の浮き上がり防止部材60の取付け位置を決定する。
【0033】
ステップS4では、図8に示すように、上フランジ13の浮き上がり防止部材60を取り付けないボルト挿通孔131に、固定ボルト32を取り付けて、上フランジ13をこの上フランジ13が対向する上側ベースプレート30つまり上部躯体4に固定する。
【0034】
ステップS5では、図8に示すように、上フランジ13の所定のボルト挿通孔131に、浮き上がり防止部材60を取り付けるとともに、下フランジ12にフランジ側治具52を取り付ける。
このとき、下フランジ12の位置ずれを修正する方向に合わせて、フランジ側治具52の滑動プレート56の位置を調整しておく。
【0035】
ステップS6では、図9に示すように、センターホールジャッキ53および躯体側治具51を取り付ける。
ステップS7では、図10に示すように、各センターホールジャッキ53を駆動して、下フランジ12を下部躯体3および上部躯体4に対して水平移動して位置を調整し、免震装置10の下フランジ12のボルト挿通孔121の位置を下側ベースプレート20の雌ねじ部21に合わせる。
【0036】
ステップS8では、下フランジ12のフランジ側治具52を取り付けていないボルト挿通孔121に、固定ボルト22を取り付けて、下フランジ12を、この下フランジ12が対向する下側ベースプレート20つまり下部躯体3に固定する。
ステップS9では、浮き上がり防止部材60、移動装置50、および仮受支柱を取り外す。
ステップS10では、上フランジ13の浮き上がり防止部材60を取り付けていたボルト挿通孔131に固定ボルト32を取り付けるとともに、下フランジ12のフランジ側治具52を取り付けていたボルト挿通孔121に固定ボルト22を取り付ける。
【0037】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)上フランジ13を上部躯体4に固定しておき、この状態で、移動装置50により、固定していない下フランジ12を水平移動して位置を調整した。したがって、固定していない下フランジ12を、下部躯体3の位置に容易に合わせることができるので、下部躯体3と上部躯体4とが水平方向に位置ずれしている場合であっても、免震装置10をこれら下部躯体3と上部躯体4との間に容易に取り付けることができる。
【0038】
(2)フランジ側治具52にピン55を設けて、このピン55を下フランジ12のボルト挿通孔121に挿入して係止したので、センターホールジャッキ53を駆動することにより、固定していない下フランジ12を容易に水平移動できる。
【0039】
(3)固定する上フランジ13に浮き上がり防止部材60を取り付けて、この浮き上がり防止部材60の下端側を、固定していない下フランジ12に取り付けたフランジ側治具52まで延ばした。よって、この浮き上がり防止部材60がフランジ側治具52のばたつきを抑えて、フランジ側治具52のピン55がボルト挿通孔121から外れるのを防止できる。
【0040】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0041】
1…既存建物 2…既存柱 3…下部躯体 4…上部躯体
10…免震装置 11…積層ゴム 12…下フランジ 13…上フランジ
20…下側ベースプレート 21…雌ねじ部 22…固定ボルト 30…上側ベースプレート
31…雌ねじ部 32…固定ボルト
50…移動装置 51…躯体側治具 52…フランジ側治具 53…センターホールジャッキ
54…溝形鋼 55…ピン 56…滑動プレート 57…連結部材 58…PC鋼棒 59…テーパプレート
60…浮き上がり防止部材(脱落防止部材)
121、131…ボルト挿通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10