(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
調理油を貯留する油槽(14)と、前記油槽(14)に隣接する燃焼室(CR)に配置されて該油槽(14)を加熱するガスバーナー(24)と、前記油槽(14)の周りを囲み、前記燃焼室(CR)に連通する燃焼ガスの流通空間(S)を画成する外装筐(28)と、前記流通空間(S)に連通接続されて、燃焼ガスをキャビネット本体(12)の上方へ案内する排気ダクト(18)と、前記キャビネット本体(12)の背面に設けられて上方へ延在し、前記排気ダクト(18)の後方に位置する背面パネル(52)と、前記排気ダクト(18)の排気口(18a)を上方から覆う排気口カバー(54)とを備えるガスフライヤーにおいて、
前記背面パネル(52)と、該背面パネル(52)の前側に組み合わされる前側包囲部(62)とで、前記排気ダクト(18)を収容するダクト収容部(15)が構成され、
前記ダクト収容部(15)の上面に開口部(15a)が形成され、
前記背面パネル(52)の左右両端から個別に正面側へ延出し、前記排気口カバー(54)の左右両端部を支持するブラケット(56)が、前記ダクト収容部(15)の内側に位置するよう設けられ、
前記排気口カバー(54)は、前記開口部(15a)に挿入されて前記ブラケット(56)により下方から支持され、前記排気ダクト(18)の上端面に対し上方へ離間すると共に、前記背面パネル(52)に対し前方へ離間した状態で、前記開口部(15a)の内側に位置している
ことを特徴とするガスフライヤー。
前記排気ダクト(18)の背面に上下に延在する隔離部材(58a)を設け、該隔離部材(58a)を前記背面パネル(52)に接触させて、該排気ダクト(18)を支持するようにした請求項1記載のガスフライヤー。
前記排気口カバー(54)の前面に下方へ延出する延長部(54e)を設けると共に、前記背面パネル(52)の左右両端から延出する前記各ブラケット(56)に、前記延長部(54e)の左右端部の挿入を許容する切欠(56f)を設け、前記排気口カバー(54)を前記ブラケット(56)で支持した際に、前記延長部(54e)が前記切欠(56f)に挿入されて安定するようにした請求項1または2記載のガスフライヤー。
前記排気口カバー(54)の背面に、上方へ延出した後に斜め上方へ屈曲して、該排気口カバー(54)の上方を離間的に覆う庇部(60)を設けた請求項1〜3の何れか一項に記載のガスフライヤー。
前記排気ダクト(18)は、前記背面パネル(52)の前面側に配設されるフード(64)および該背面パネル(52)により囲まれ、前記背面パネル(52)に設けた第1係合部(71)に前記フード(64)に設けた第2係合部(72)を係合させることで、前記フード(64)を該背面パネル(52)の前面側から脱着し得るようにした請求項1〜4の何れか一項に記載のガスフライヤー。
前記第1係合部(71)は、前記背面パネル(52)に設けられて前方へ突出する係合ピン(71a)であって、該係合ピン(71a)の端部に大径頭部(71b)が形成され、
前記第2係合部(72)は、前記フード(64)の背面に縦に形成された開口溝であって、下方に位置して前記係合ピン(71a)における大径頭部(71b)の挿通を許容する大径溝(72b)と、前記大径溝(72b)に連通して上方へ延在し、前記係合ピン(71a)の通過は許容するが前記大径頭部(71b)の通過は許容しない長溝(72a)とからなり、
前記フード(64)を前記背面パネル(52)に前面側から取り付ける際は、前記フード(64)の大径溝(72b)を前記背面パネル(52)における前記大径頭部(71b)に挿入させた後に、前記フード(64)を下へ移動させて該フード(64)の前記長溝(72a)を前記係合ピン(71a)に係合させる請求項5記載のガスフライヤー。
【背景技術】
【0002】
各種外食産業の厨房では、業務用フライヤーが広く使用されている。本発明は、調理油を貯留する油槽の加熱手段としてガスバーナーを用いるガスフライヤ―に関するものであるので、このガスフライヤーの基本構造を先に説明する。
図7は、ガスフライヤー10の要部を縦断した側面図であり、
図8は、ガスフライヤー10を
図7のX−X線で横断した平面図である。
図9は、ガスフライヤー10におけるキャビネット本体12の上部を背面から観察した要部斜視図であって、背面パネル52を取り外した状態で示している。
【0003】
図7に示すように、ガスフライヤー10のキャビネット本体12には、揚げ調理用の食材(図示せず)を上から投入するための油槽14が設けられ、この油槽14の下方にはガスバーナー24が配設されている。前記油槽14は、
図8に示すように、前記キャビネット本体12の内部に配設した外装筐28により前後および左右が覆われて、該外装筐28と油槽14との間に流通空間Sが画成されている。前記流通空間Sにおける前記油槽14の前方は、前記ガスバーナー24を収容する燃焼室CRとして機能している。そして、前記ガスバーナー24の燃焼により生じた高温の燃焼ガスは、前記流通空間Sを流通して前記油槽14をその全周から加熱し得るようになっている。
【0004】
図8に示す如く、前記外装筐28の後部、すなわち前記油槽14の後方には、該流通空間Sを流通した高温の燃焼ガスを外部へ排出するための開口部28aが形成されている。この開口部28aは、
図7に示すように、前記外装筐28の背面に立設されて上方へ延在する排気ダクト18に連通して、前記油槽14を加熱した後の燃焼ガスを該排気ダクト18を通じて外部上方へ排出する。なお、
図7および
図8に示すように、前記キャビネット本体12の背面には背面パネル52が設けられ、該背面パネル52は前記排気ダクト18の高さを越えて上方へ延在している。また、前記排気ダクト18の手前には前側包囲部62が設けられ、該前側包囲部62と背面パネル52とによって該排気ダクト18を所要の空間を保持して囲繞している。この排気ダクトを内部に備えたガスフライヤーは、例えば特許文献1に開示されている。
【0005】
図7に一点鎖線で囲んだ円Aで拡大して示すように、前記排気ダクト18の排気口18aには、外部からの異物の侵入を防止するための排気口カバー54が配置されている。すなわち、この排気口カバー54は下方に開口する箱体として構成され、前記排気口18aと対向する面に多数の排出孔Hがスリット状に形成されている。前記排気口カバー54における排出孔Hの夫々は、或る程度の大きさの異物の通過を阻止する開口寸法に設定されると共に、前記排気口18aから排出される燃焼ガスの流れに大きな抵抗を与えない程度の寸法に設定されている。そして、前記排気ダクト18の内部を上昇した燃焼ガスは、前記排気口カバー54に形成した複数の前記排出孔Hを介して上方に排出される。
【0006】
ここで、前記外装筐28の背後に立ち上がっている前記排気ダクト18を安定的に支持する手段として、
図9に示すように、棚板状の支持金具48が用いられている。この支持金具48は、前記前側包囲部62および前記背面パネル52の内側に取り付けられて水平に延在すると共に、前記排気ダクト18の外周形状に合わせた矩形状の貫通穴48aが形成されている。そして、前記排気ダクト18の上端部を前記支持金具48の貫通穴48aに下から挿入することで、該排気ダクト18の位置決め支持がなされる。また、前記排気口カバー54を前記排気ダクト18の上から被せて、その底部を前記支持金具48の貫通穴48aの外周に載せることで、該排気口カバー54が該排気ダクト18の排気口18aに着脱自在に配置される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、
図9で説明した従来の構成、すなわち前記棚板状の支持金具48の貫通穴48aに前記排気ダクト18を挿通させ、該支持金具48に前記排気口カバー54を載置する構成では、前記背面パネル52が極めて高温になることがあった。このように背面パネル52が高温になる原因としては、次の理由が考えられる。前記棚板状の支持金具48を用いる場合、該支持金具48の一部が排気ダクト18と背面パネル52との間で水平に延在しているので、前記排気ダクト18の熱が該支持金具48から該背面パネル52へ直接伝達される。また、前記支持金具48は、前記排気ダクト18の周囲の空間を上から塞ぐため、該排気ダクト18の周囲で上方への逃げ道を失った空気が温度上昇し、前記背面パネル52に大量の輻射熱を伝達する。このように、背面パネル52の温度が過度に上昇すると、該背面パネル52に隣接する壁や各種設置物等が過熱して極めて危険である。
【0009】
本発明の目的は、前述した従来のガスフライヤーに内在する課題に鑑み、これを解決するべく提案されたものであって、排気ダクトの温度上昇に起因して背面パネルが極めて高温になるのを防止し得る排気ダクトの支持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係るガスフライヤーは、
調理油を貯留する油槽と、前記油槽に隣接する燃焼室に配置されて該油槽を加熱するガスバーナーと、前記油槽の周りを囲み、前記燃焼室に連通する燃焼ガスの流通空間を画成する外装筐と、前記流通空間に連通接続されて、燃焼ガスをキャビネット本体の上方へ案内する排気ダクトと、前記キャビネット本体の背面に設けられて上方へ延在し、前記排気ダクトの後方に位置する背面パネルと、前記排気ダクトの排気口を上方から覆う排気口カバーとを備えるガスフライヤーにおいて、
前記背面パネルと、該背面パネルの前側に組み合わされる前側包囲部とで、前記排気ダクトを収容するダクト収容部が構成され、
前記ダクト収容部の上面に開口部が形成され、
前記背面パネルの左右両端から個別に正面側へ延出し、前記排気口カバーの左右両端部を支持するブラケット
が、前記ダクト収容部の内側に位置するよう設け
られ、
前記排気口カバーは、前記開口部に挿入されて前記ブラケットにより下方から支持され、前記排気ダクトの上端面に対し上方へ離間すると共に、前記背面パネルに対し前方へ離間した状態で、前記開口部の内側に位置していることを要旨とする。
【0011】
請求項1に係る発明によれば、排気口カバーを支持するブラケットを、排気ダクトと接触させないように設けることができる。従って、排気ダクトからブラケットを介して伝わる熱により背面パネルの温度が過剰に高まることがない。また、前記排気口カバーを支持するブラケットは、背面パネルの左右両端に存在しているだけであるから、排気ダクトからの熱で温度上昇した空気を流通抵抗の少ない状態で自由に上昇させることができる。すなわち、排気ダクトから放射される熱が背面パネルへ伝達されるのを極力抑制して、該背面パネルの温度が極めて高くなるのを防ぐことができる。
【0012】
請求項2に係る発明では、前記排気ダクトの背面に上下に延在する隔離部材を設け、該隔離部材を前記背面パネルに接触させて、該排気ダクトを支持するようにしたことを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、隔離部材を排気ダクトの背面側に上下に延在させて設けることで、該排気ダクトを背面パネルで支持することができる。また、排気ダクトからの熱で温度上昇した空気を流通抵抗の少ない状態で自由に上昇させることができる。
【0013】
請求項3に係る発明では、前記排気口カバーの前面に下方へ延出する延長部を設けると共に、前記背面パネルの左右両端から延出する前記各ブラケットに、前記延長部の左右端部の挿入を許容する切欠を設け、前記排気口カバーを前記ブラケットで支持した際に、前記延長部が前記切欠に挿入されて安定するようにしたことを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、排気口カバーの延長部がブラケットの切欠と係合して、該排気口カバーが背面パネルに近づく方向へ変位するのを防止することができる。これにより、排気ダクトを通過する燃焼ガスと熱交換して高温になった排気口カバーが、背面パネル側へずれることがなく、排気口カバーと背面パネルとの間の空間を確実に保持することができる。
【0014】
請求項4に係る発明では、前記排気口カバーの背面に、上方へ延出した後に斜め上方へ屈曲して、該排気口カバーの上方を離間的に覆う庇部を設けたことを要旨とする。
請求項4に係る発明によれば、排気口の上方を覆う庇部を上方へ延出した後に斜め上方へ延在するように設けたので、排気口から排出される燃焼ガスが後方へ向かうのを防止することができる。また、庇部を排気口カバーに設けたことで、燃焼ガスを背面パネルの上端部に設けた庇で直接的に受ける構成と比較して、背面パネルの温度上昇を抑制することができる。また、庇部が排気口カバーの上方を離間的に覆うことで、作業者が雑巾等を排気口カバーの上に置いたとしても排気口が完全に塞がれることはない。従って、排気口が閉塞されることに起因して燃焼室で不完全燃焼が生じる危険を未然に防止することができる。
【0015】
請求項5に係る発明では、前記排気ダクトは、前記背面パネルの前面側に配設されるフードおよび該背面パネルにより囲まれ、前記背面パネルに設けた第1係合部に前記フードに設けた第2係合部を係合させることで、前記フードを該背面パネルの前面側から脱着し得るようにしたことを要旨とする。
請求項5に係る発明によれば、背面パネルとの間で排気ダクトを囲むフードを、背面パネルに前面側から取り付け得るようにしたので、フードを着脱する際にガスフライヤーの背面側に向かって作業を行う必要がなく、排気ダクトの点検や清掃等を簡易に行うことができる。
【0016】
請求項6に係る発明では、前記第1係合部は、前記背面パネルに設けられて前方へ突出する係合ピンであって、該係合ピンの端部に大径頭部が形成され、
前記第2係合部は、前記フードの背面に縦に形成された開口溝であって、下方に位置して前記係合ピンにおける大径頭部の挿通を許容する大径溝と、前記大径溝に連通して上方へ延在し、前記係合ピンの通過は許容するが前記大径頭部の通過は許容しない長溝とからなり、
前記フードを前記背面パネルに前面側から取り付ける際は、前記フードの大径溝を前記背面パネルにおける前記大径頭部に挿入させた後に、前記フードを下へ移動させて該フードの前記長溝を前記係合ピンに係合させることを要旨とする。
請求項6に係る発明によれば、背面パネルの前面にフードを位置合わせして下方に変位させるだけの簡単な動作により、フードを背面パネルに保持させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るガスフライヤーによれば、排気ダクトの温度上昇に起因して背面パネルが極めて高温になるのを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明に係るガスフライヤーにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。実施例で説明するガスフライヤー10は、基本的に
図7〜
図9で説明した構造のものである。従って、以下の説明では、既出の部材については同じ参照符号で示し、詳細な説明を省略する。
【0020】
実施例のガスフライヤー10は、
図1および
図2に示す如く、上方に開口する油槽14と、この油槽14の周囲を覆う外装筐28とがキャビネット本体12の内部に設けられ、該外装筐28と該油槽14との間には流通空間Sが画成されている。前記流通空間Sの一部は燃焼室CRとなり、該燃焼室CRにガスバーナー24が設けられている。前記ガスバーナー24を燃焼させると、高温の燃焼ガスが前記燃焼室CRから流通空間Sを流通して、前記油槽14を周囲から加熱する。そして、流通空間Sを流通した燃焼ガスは、
図2に示す外装筐28の後部に開設した開口部28aから排気ダクト18へ流入し、この排気ダクト18の内部を上昇して、該排気ダクト18の上端部に形成した排気口18aから外部へ排出される。なお、前記排気ダクト18の上端部には、
図1および
図2に示すように、排気口18aから異物が侵入するのを防ぐための排気口カバー54(後述)が、該排気口18aを上方から覆うように配設されている。
【0021】
図1に示す如く、前記キャビネット本体12の前面には、前記油槽14および前記外装筐28の前方を覆う正面パネル16が配設されている。この正面パネル16には、ガスフライヤー10の電源をオン・オフするための図示しないメインスイッチや、調理油の油温や加熱時間等を設定するための図示しない操作ボタン等が設けられている。
【0022】
図2および
図3に示す如く、前記キャビネット本体12の背面には、上方へ延在する背面パネル52が配設されている。この背面パネル52は矩形の板状体であって、前記排気ダクト18を後方から覆うようになっている。また、
図1および
図3に示すように、前記キャビネット本体12は、前記背面パネル52の前面側で、かつ前記油槽14の後縁部から上方に立ち上がる前側包囲部62を備えている。この前側包囲部62は、後方に開口する矩形箱状をなしており、前記排気ダクト18を前方および左右側方から覆うように構成されている。そして、前記背面パネル52の前面に、前記前側包囲部62の後方開口が整合するよう背面パネル52および前側包囲部62が組み合わされて、前記排気ダクト18を内部に収容するダクト収容部15が構成される。このダクト収容部15の上端部には、上方へ開口する上方開口部15aが形成されている。なお、実施例のダクト収容部15は、
図3に示すように、前記前側包囲部62の上半部と下半部とが別体として構成され、該前側包囲部62の上半部を構成する部材が、前記背面パネル52に着脱自在に取り付けられている。そこで以下の説明では、前記背面パネル52に対して着脱自在な前側包囲部62の上半部を構成する部材を、「フード64」と称することがある。
【0023】
前記ダクト収容部15は、
図2、
図3および
図5から明らかなように、前記排気ダクト18との間に所定の余剰スペースを保持した状態で、当該排気ダクト18を囲繞するように構成されている。このダクト収容部15の左右寸法は、前記油槽14が設けられたキャビネット本体12の前部の左右寸法と等しく設定されており、キャビネット本体12の左右外側に出っ張らない範囲で最大限の寸法が確保されている。一方、前記ダクト収容部15の前後寸法は、ガスフライヤー10を前後にコンパクトに構成し得るように左右寸法よりも小さな寸法に設定されている。これにより、ダクト収容部15の内側に画成される内部空間は、
図5に示すように、前記排気ダクト18よりも僅かに大きい程度の前後寸法とされる一方で、左右方向に充分の余裕をもって形成されている。そして、前記排気ダクト18は、第1および第2隔離部材58a,58b(後述)を介してダクト収容部15の内周面に支持されることで、該ダクト収容部15の内面から離間状態に保持されている。
【0024】
ここで、
図4(a)に示すように、前記排気ダクト18の後面には、該排気ダクト18を前記背面パネル52の前面から離間させるための第1隔離部材58aが設けられている。この第1隔離部材58aは、前記排気ダクト18の後面に上下に延在するよう固定されている。この第1隔離部材58aは、金属板により形成されて、後方へ延出するよう屈曲形成された板部の板面が左右を向くように設けられている。そして、排気ダクト18は、第1隔離部材58aの後端面が前記背面パネル52の前面に当接することで、該背面パネル52の前面から前方に離間した位置(
図2および
図5参照)に支持されるようになっている。このように、前記排気ダクト18が前記背面パネル52の前面から離間した状態で前記ダクト収容部15に収容されることにより、前記排気ダクト18からの輻射熱が前記背面パネル52に近い位置から放射されるのを防いでいる。また、前記第1隔離部材58aを上下に延在させて設けることにより、前記排気ダクト18からの熱で温度上昇した空気を流通抵抗の少ない状態で自由に上昇させ得るようになっている。なお、実施例では、第1隔離部材58aの後端面を前記背面パネル52の前面に当接させるように構成したが、背面パネル52の前面に熱遮蔽板を設けて、この熱遮蔽板に前記第1隔離部材58aの後端面を当接させるようにしてもよい。
【0025】
(背面パネル52について)
前記背面パネル52は、
図2から明らかなように、前記排気ダクト18の高さを越えて上方へ延在している。この背面パネル52は、
図3に示すように、長手を上下に向けた矩形板状のパネル本体部52aを構成しており、当該パネル本体部52aが前記前側包囲部62の後方開口を塞ぐようになっている。すなわち、前記背面パネル52のパネル本体部52aは、前記ダクト収容部15の後壁を構成している。
【0026】
図1〜
図4に示すように、前記パネル本体部52aの上端部には、前記排気ダクト18の周囲を上昇して前記上方開口部15aから放出される空気を整流する整流庇52bが設けられている。具体的に前記整流庇52bは、前記排気ダクト18の上端部の高さ位置を越えて上方に垂直に延出した後に前上方へ斜めに延在するよう設けられている。そして、当該前上方へ斜めに延在する部分が、前記ダクト収容部15の上方開口部15aから上方へ離間した位置で当該上方開口部15aを覆うようになっている。すなわち、前記整流庇52bは、前記ダクト収容部15の内部(より詳しくは、排気ダクト18の周囲)で熱されて高温となった空気が上方開口部15aから上方へ放出される際に、この高温の空気を前上方に案内して前記背面パネル52より後方へは極力向かわせないようにしている。なお、前記上方開口部15aは、
図3および
図4(a)に示すように、開口後縁部が前記背面パネル52の前面により形成されている。このようにすることで、前記ダクト収容部15の内部空間を前記背面パネル52の前面に沿って上昇した空気は、前記上方開口部15aを通過して前記整流庇52bの傾斜に沿いながら速やかに前上方へ流れるようになる。
【0027】
図3に示すように、前記パネル本体部52aの左右の側縁部には、上下に延在する左右一対の位置決め板52cが設けられている。この位置決め板52cは、前記パネル本体部52aに対して垂直に前方へ延出するよう設けられている。また、前記位置決め板52cの延出端部は、前記背面パネル52の左右方向中央側へ向けて屈曲するよう形成されて、板面が前後に向くよう設けられている。そして、この位置決め板52cの延出端部には、前記フード64に設けられた後述する第2係合部72と係合する第1係合部71が、上下に離間して複数(実施例では2つ)設けられている。ここで、前記第1係合部71は、
図6に示すように、前記位置決め板52cの前述した延出端部から前方へ突出する係合ピン71aと、この係合ピン71aの端部に形成した大径頭部71bとにより構成されている。そして、係合ピン71aが溝状の第2係合部72に対して係合すると共に、該第2係合部72に係合した係合ピン71aを大径頭部71bが抜け止めし得るようになっている。
【0028】
(ブラケット56について)
図3〜
図5に示すように、前記一対の位置決め板52cの上側には、前記フード64や前記排気口カバー54を支持する支持具として、左右一対のブラケット56が配設されている。このブラケット56は、金属板を曲げ加工して構成されており、前記背面パネル52の左右両端に夫々固定されて個別に前方へ延出するよう設けられている。具体的に、前記ブラケット56は、前記パネル本体部52aの正面側へ延出して板面が左右を向く延出片56aの後縁に、左右方向に延出する固定片56bが設けられており、該固定片56bが前記パネル本体部52aの前面に固定されるようになっている。
図3および
図4(b)に示すように、前記延出片56aは、上縁が前方へ向けて下方傾斜すると共に下縁が前後水平に延在するよう設けられている。また、前記ブラケット56は、前記延出片56aの上縁に第1支持片56cが垂直に屈曲形成されて、前方へ下方傾斜するよう設けられると共に、前記延出片56aの下縁で垂直に屈曲形成された第2支持片56dが、前記背面パネル52の左右方向中央側へ向けて水平に延在するよう設けられている。
【0029】
そして、前記第1支持片56cの上面すなわち前記ブラケット56の上面には、前記フード64の後述する上板部64bが固定ネジによって固定されるようになっている。このため、前記第1支持片56cには、固定ネジを螺挿可能なネジ孔56eが形成されている。また、前記第2支持片56dの上面には、前記排気口カバー54が前記ダクト収容部15の前記上方開口部15aに挿入されて載置されるようになっている。すなわち、前記第2支持片56dは、前記排気口カバー54の左右端部を下方から支持するように設けられている。
図3に示すように、前記第2支持片56dの前端部には切欠56fが形成され、前記排気口カバー54に設けた後述する延長部54eが挿入されるようになっている。
【0030】
このように、前記ブラケット56は、前記背面パネル52の左右両端に個別に設けられて、各ブラケット56の前記第1支持片56cが前記フード64の左右両端を支持すると共に、各ブラケット56の前記第2支持片56dが後述する排気口カバー54の左右両端を支持するようになっている。なお、実施例では、第1支持片56cおよび第2支持片56dを同じブラケット56に設けて前記フード64や前記排気口カバー54を支持するようにしたが、前記フード64を支持するための第1支持片56cについては、第2支持片56dを有するブラケット56とは別の部材に設けるようにしてもよい。
【0031】
(フード64について)
図3および
図4(a)に示す如く、前記フード64は、前記排気ダクト18の前方を覆う矩形板状のフード本体部64aを備えている。このフード本体部64aの左右の側縁部には、後方へ向けて延出する左右一対の側板64cが設けられて、当該側板64cが前記排気ダクト18の左右側方を覆うように構成される。すなわち、前記フード64は、前記フード本体部64aが前記ダクト収容部15の前壁を構成すると共に、前記左右の側板64cが前記ダクト収容部15の側壁を構成している。
【0032】
また、前記フード64には、
図2および
図3に示す如く、前記フード本体部64aの上縁部から後上方に延出する上板部64bが設けられており、当該上板部64bが前記ダクト収容部15の上壁を構成している。前記上板部64bは、後方へ上方傾斜するように設けられて、前記背面パネル52に配設された前記ブラケット56の上面に対して平行に延在している。そして、前記上板部64bの左右端部には、前記ブラケット56の上面に開口するネジ孔56eに対応したネジ挿通口64dが夫々形成されている。前記上板部64bは、左右のネジ挿通口64dの間の部分が後縁部から前縁部へ向けて大きく切り欠いた形状となっており、この切欠き状の縁部によって前記背面パネル52との間に上方開口部15aを画成するようになっている。なお、前記上方開口部15aは、前記排気口カバー54を内側に挿入し得る前後寸法および左右寸法に設けられている。
【0033】
図3に破線で示すように、前記フード本体部64aの後面には、前記ダクト収容部15の内側で前記排気ダクト18の前面を支持する第2隔離部材58bが、左右に延在するよう配設されている。この第2隔離部材58bは、金属板からなり、前記フード本体部64aに固定される左右の端部を除いた中央部分が、後方にコ字状に屈曲するよう設けられている。これにより前記第2隔離部材58bは、前記排気ダクト18を前記フード部材62の後方に離間した位置で支持するようになっている。このように、前記第2隔離部材58bは、前記排気ダクト18の前面をコ字状の屈曲部分で支持することで、当該屈曲部分と前記フード本体部64aとの間に上下に開放された空間を形成している。すなわち、前記第2隔離部材58bは、前記フード64および前記排気ダクト18の間を流通して該排気ダクト18からの輻射熱により熱された空気が上昇するのを極力妨げないように構成されている。
【0034】
また、
図3に破線で示すように、前記左右の側板64cの内側面には、金属板からなる係合板66が上下に延在するよう配設されている。前記係合板66は、横断平面が略L字状となるよう屈曲形成されている。そして、前記係合板66は、後側の板部を前記側板64cに固定した状態で、前側の板部が前記フード64の左右方向中央へ向け延出するよう設けられている。この前側の板部には、前記背面パネル52の前述した第1係合部71と係合する第2係合部72が、上下に離間して複数(実施例では2つ)貫通形成されている。
【0035】
前記第2係合部72は、
図3および
図6に示すように、前記係合板66の前側の板部を前後に貫通すると共に上下に延在する長溝72aに形成されて、下端部が幅広に形成されている。この第2係合部72の下端部は、丸孔状に形成され、前記背面パネル52に設けた前記第1係合部71の大径頭部71bよりも大径の大径溝72bとされている。また、前記第2係合部72の下端部を除く長溝72aの横幅寸法は、前記第1係合部71の前記係合ピン71aよりも大きく、かつ前記大径頭部71bよりも小さな寸法とされている。すなわち、前記第2係合部72は、その下方に位置して前記係合ピン71aにおける大径頭部71bの挿通を許容する大径溝72bと、この大径溝72bに連通して上方へ延在し、前記係合ピン71aは通過するが前記大径頭部71bは通過できない長溝72aとにより構成されている。すなわち、前記第1係合部71の大径頭部71bによって前記長溝72aに対する前記係合ピン71aの抜け止めがなされ、前記フード64が前記背面パネル52に位置決めされる。
【0036】
(排気口カバー54について)
図1、
図2および
図4に示す如く、前記排気口カバー54は、前記排気ダクト18の排気口18aに配設されて、該排気口18aへ外部から異物が侵入するのを防止する役割を果たしている。この排気口カバー54は、前面を形成する前面板54aと、背面を形成する背面板54bと、左右の側面を形成する側面板54cと、上面を形成する上面板54dとを備えており、下方へ開口する箱体に構成されている。この排気口カバー54の上面板54dには、
図4(b)に示すように、前記排気口18aを通過した燃焼ガスを上方へ排出するためのスリット状の排出孔Hが複数形成されている。この複数の排出孔Hは、前後に延在して左右方向に等間隔で並列するよう形成されている。各排出孔Hは、前記上面板54dを越えて前記前面板54aおよび前記背面板54bに至るよう形成されている。すなわち、前記排出孔Hの前端側は、前記前面板54aを前後に貫通して下方へ延在するよう設けられており、後端側は、前記背面板54bを前後に貫通して下方へ延在するよう設けられている。
【0037】
図2に示す如く、前記排気口カバー54は、前記ダクト収容部15の前記上方開口部15aに挿入されて、前記背面パネル52の左右両端から個別に正面側へ延出する前記ブラケット56によって左右端部が支持される。更に詳しく説明すると、前記排気口カバー54は、前記排気ダクト18の上端部に被さるように前記ダクト収容部15の上方から上方開口部15aに挿入され、
図4(b)および
図5に示すようにして、左右のブラケット56に設けた前記第2支持片56dの上に載せられる。これにより、前記排気口カバー54は、
図1に示すように、前記ダクト収容部15の上端部に着脱自在に配設される。なお、前記排気口カバー54の左右への移動は、前記左右のブラケット56の前記延出片56aにより規制される。また、前記排気口カバー54の前方への移動は、前記ダクト収容部15における前記上方開口部15aの開口前縁部(上板部64b)によって規制されるようになっている。
【0038】
ここで、前記排気口カバー54の前記前面板54aには、
図2および
図4に示す如く、下方へ延長された延長部54eが形成されている。そして、前記排気口カバー54が前記ブラケット56の前記第2支持片56dに載置される場合に、前記排気口カバー54の延長部54eが前記ブラケット56の切欠56fに挿入されて、前記排気口カバー54の後方への移動が規制された状態となることで、前記排気口カバー54が前記第2支持片56dの上に安定的に支持されるようになっている。そして、前記排気口カバー54は、前記ブラケット56の切欠56fによって後方への移動が規制された場合には、前記上方開口部15aの開口内側で前記排気口カバー54が前側に偏倚した状態で保持される。これにより、
図2に拡大図で示すように、前記排気口カバー54の前記背面板54bと、前記背面パネル52の前面との間に間隙が生じるように構成されている。
【0039】
図2および
図4(b)に示す如く、前記排気口カバー54には、当該排気口カバー54の上方を離間的に覆う庇部60が設けられている。この庇部60は、
図2に示すように、前記排気口カバー54の背面(背面板54b)から上方へ延出した後に前上方へ斜めに屈曲するよう設けられており、当該排気口カバー54の上面板54dの上方に位置して、複数の排出孔Hを上方から離間的に覆うように構成されている。すなわち、前記庇部60は、前記排気ダクト18の内部を上昇して排気口18aを通過する高温の燃焼ガスが、前記排気口カバー54の前記排出孔Hから排出される際に、この高温の燃焼ガスを前上方に案内して前記背面パネル52より後方に向かわせないようにしている。なお、前記庇部60は、前記背面パネル52の前記整流庇52bとは別に、前記排気口カバー54に設けられている。すなわち、この庇部60によって前記排気ダクト18内を上昇した燃焼ガスを前上方に案内するようにしたことで、前記背面パネル52の一部をなす整流庇52bが燃焼ガスと接触しないようにすることができ、これにより前記背面パネル52の温度上昇を抑制できるようになっている。また、前記庇部60が当該排気口カバー54から上方へ離間した位置で傾斜するよう設けられることで、作業者が雑巾等を前記排気口カバー54の上に置くことがなくなり、また仮に置いたとしても前記排気口18a(または、排気口カバー54の排出孔H)が完全に塞がれないようになっている。
【0040】
(実施例の作用)
次に、前述のように構成された実施例のガスフライヤー10の作用について説明する。
【0041】
(背面パネル52に対するフード64の取り付けについて)
実施例のガスフライヤー10は、ダクト収容部15を構成する前側包囲部62のうち上半部を構成するフード64が、背面パネル52に対して脱着自在に構成されている。そして、背面パネル52に対してフード64を取り付ける場合には、背面パネル52の前側から作業を行う。先ず、背面パネル52に対してフード64を位置合わせしつつ前側から近づけていき(
図6に示す矢印a)、該フード64に設けた第2係合部72の大径溝72bに、背面パネル52の前面側に設けた第1係合部71の大径頭部71bを挿入する(
図6に示す矢印b)。この場合に、大径頭部71bに続いて第1係合部71の係合ピン71aが大径溝72bに係合する。そして次に、フード64を下へ移動させて(
図6に示す矢印c)、第2係合部72の長溝72aに係合ピン71aを係合させる。そして、係合ピン71aを第2係合部72の長溝72aの上端に当接させると、フード64の自重による下方への移動が規制されて、フード64が取付位置に位置決めされる。この状態では、フード64をその自重に逆らって持ち上げれば、フード64は背面パネル52に対し相対変位するが、フード64の下方および左右方向への移動は、長溝72aと係合ピン71aとの係合によって規制されており、また、長溝72aの周囲に大径頭部71bが前側から当接することでフード64の前方への脱落が規制されるようになっている。このようにフード64を取付位置に位置決めすると、フード64の上板部64bがブラケット56の第1支持片56cに載った状態となる。この状態で、上板部64bに設けたネジ挿通口64dに挿通させた固定ネジを第1支持片56cのネジ孔56eに螺挿すれば、背面パネル52の前面にフード64が固定される。
【0042】
また、フード64は、背面パネル52に取り付ける場合とは逆の手順により、背面パネル52から前側に取り外すことができる。すなわち、ブラケット56のネジ孔56eと上板部64bのネジ挿通口64dとを固定している固定ネジを取り外してフード64を上方に持ち上げることで、係合ピン71aを長溝72aの上端部から大径溝72bに移動させる。そして、大径溝72bに係合ピン71aが位置する状態で、フード64を背面パネル52の前方に移動させて取り外す。これにより、ダクト収容部15の内部が露出されて、排気ダクト18等の点検や清掃ができるようになる。
【0043】
すなわち、実施例のガスフライヤー10は、背面パネル52の前面側に配設される前側包囲部62(フード64を含む)および該背面パネル52によって排気ダクト18を囲む構成をなしており、背面パネル52に設けた第1係合部71に対して、フード64に設けた第2係合部72を係合させることで、フード64を背面パネル52に取り付け得ると共に、第1係合部71に対する第2係合部72の係合を解除することで、フード64を背面パネル52から取り外し得るように構成されている。すなわち、フード64を背面パネル52に取り付ける際および背面パネル52から取り外す際に、ガスフライヤー10の背面側に向かって作業する必要がなく、排気ダクト18の点検や清掃等を簡易に行うことができる。
【0044】
また、背面パネル52に設けた第1係合部71は、前方へ突出する係合ピン71aと、係合ピン71aの端部に形成した大径頭部71bとにより構成されている。一方、フード64に設けた第2係合部72は、該フード64の係合板66に縦に形成されて、その下方に位置して係合ピン71aにおける大径頭部71bの挿通を許容する大径溝72bと、この大径溝72bに連通して上方へ延在し、係合ピン71aは通過するが大径溝72bは通過できない長溝72aとにより構成されている。このように構成することで、背面パネル52の前面にフード64を位置合わせして下方に変位するだけの簡単な動作により、フード64を背面パネル52に保持させることができる。
【0045】
(排気ダクト18の支持について)
実施例のガスフライヤー10は、ガスバーナー24の燃焼により生じた燃焼ガスが、流通空間Sに流通して油槽14を加熱した後に、外装筐28の開口部28aから排気ダクト18の内部に導かれる。排気ダクト18の内部に導かれた燃焼ガスは、当該排気ダクト18に沿って上昇して、該排気ダクト18の上端に開口する排気口18aを上方へ向けて通過する。排気口18aを通過した燃焼ガスは、排気口カバー54に形成された排出孔Hから上方へ排出される。燃焼ガスは、この排出孔Hから排出される際に、排気口カバー54に設けられた庇部60によって前上方へと誘導される。ところで、流通空間Sにおいて油槽14の加熱を終えた燃焼ガスは、排気ダクト18を介して外部に排出される際には未だ高温となっている。従って、この燃焼ガスの通過により、排気ダクト18の温度は極めて高くなる。そして、高温となった排気ダクト18は、輻射熱を周囲に放射する。ここで、排気ダクト18は、背面パネル52および前側包囲部62からなるダクト収容部15によって周囲が囲まれて、上端部には、排気口18aを覆うように排気口カバー54が配設されている。従って、背面パネル52、前側包囲部62および排気口カバー54は、何れも排気ダクト18からの輻射熱の影響で極めて高い温度となり得る。
【0046】
ここで、ガスフライヤー10の背面を構成する背面パネル52が極めて高温になると、背面パネル52に隣接する壁や各種設置物等が過熱して危険である。これに対し、実施例では、排気ダクト18の背面に上下に延在する第1隔離部材58aを設けて該第1隔離部材58aを背面パネル52に接触させて該排気ダクト18を支持するようにしたことで、排気ダクト18からの熱で温度上昇した空気がダクト収容部15の内部空間を上方へ向けて移動する際に、第1隔離部材58aが妨げにならない。すなわち、排気ダクト18からの熱で温度上昇した空気を流通抵抗のない状態で自由に上昇させることができるから、背面パネル52の温度が極めて高くなるのを防ぐことができる。なお、実施例の第2隔離部材58bも同様に、ダクト収容部15の内部に流通する空気が上昇する際の妨げになり難い状態で設けられている。
【0047】
(排気口カバー54の支持について)
排気ダクト18の排気口18aを覆うように排気口カバー54を配設する場合には、該排気口カバー54をダクト収容部15の上方開口部15aから挿入して排気ダクト18の上端部に被せるようにし、背面パネル52の左右両端から個別に正面側に延在するブラケット56により当該排気口カバー54における左右両端の底部を支持する。ここで、ブラケット56は、背面パネル52の前面の左右両端部に固定されており、前方へ延出された延出片56aの下縁から左右方向中央へ向けて水平に延在する第2支持片56dが設けられている。従って、ダクト収容部15の上方開口部15aに排気口カバー54を挿入して排気ダクト18の上端部を覆うことに伴い、当該排気口カバー54の左右両端部を左右のブラケット56の第2支持片56dによって下方から支持することができる。
【0048】
このように、実施例のガスフライヤー10は、背面パネル52の左右両端から個別に正面側へ延出して排気口カバー54の左右両端部を支持するブラケット56を備えている。このブラケット56は、排気ダクト18を支持する第1隔離部材58aや第2隔離部材58bとは別の部材であり、また当該排気ダクト18から左右に離間した位置に設けられている。すなわち、排気口カバー54を支持するブラケット56を排気ダクト18と接触させないことで、該ブラケット56が排気ダクト18から背面パネル52への熱伝導手段として機能しないよう構成できるから、排気ダクト18からブラケット56を介して伝わる熱により背面パネル52の温度が高まることがない。また、排気口カバー54を支持するブラケット56は、背面パネル52の左右両端に存在しているだけであるから、排気ダクト18からの熱で温度上昇した空気を流通抵抗の少ない状態で自由に上昇させることができる。すなわち、排気ダクト18から放射される熱が背面パネル52へ伝達されるのを極力抑制して、背面パネル52の温度が極めて高くなるのを防ぐことができる。
【0049】
また、排気口カバー54をブラケット56で支持する場合には、該ブラケット56における第2支持片56dの前端部に形成した切欠56fに、排気口カバー54の前面板54aを下方に延長させて設けた延長部54eが挿入される。このように切欠56fに延長部54eが挿入された状態では、延長部54eが切欠56fの前側からブラケット56に当接して排気口カバー54の後方への移動が規制される。
【0050】
このように、実施例のガスフライヤー10は、排気口カバー54の前面(前面板54a)に下方へ延出する延長部54eを設けると共に、背面パネル52の左右両端から延出するブラケット56に、延長部54eの左右端部の挿入を許容する切欠56fを設けることで、排気口カバー54をブラケット56で支持した際に、延長部54eが切欠56fに挿入されて安定するように構成されている。すなわち、排気口カバー54の延長部54eがブラケット56の切欠56fと係合して、該排気口カバー54が背面パネル52に近づく方向へ変位するのを防止することができる。これにより、排気ダクト18を通過する燃焼ガスと熱交換して高温になった排気口カバー54が、背面パネル52側へずれることがなく、背面パネル52の排気口カバー54に対する離間寸法を略一定に保持することができるから、排気口カバー54から放射される輻射熱の影響で背面パネル52の温度が極めて高くなるのを防ぐことができる。
【0051】
しかも、実施例のガスフライヤー10は、ダクト収容部15の上端部(キャビネット本体12の上端部)に開口する上方開口部15aの開口後縁部を背面パネル52の前面で画成するよう構成されている。そして、延長部54eおよび切欠56fの係合によって排気口カバー54の後方への移動を規制することで、該排気口カバー54が上方開口部15aの前側に偏倚した位置に保持されて、排気口カバー54の背面板54bと、背面パネル52の前面との間に間隙が生じるように構成されている。このように構成することで、ダクト収容部15の内部で排気ダクト18により熱された空気は、背面パネル52の前面に沿ってダクト収容部15の内部空間を上昇する際に、上方への移動が排気口カバー54に妨げられることなく上方開口部15aを通過して、背面パネル52の整流庇52bによってダクト収容部15の前上方へ向けて速やかに案内される。すなわち、排気ダクト18の周囲で熱された空気を速やかに上昇させて外部に放出させることができるから、排気口カバー54を配設した状態であっても、排気ダクト18の周囲で空気の温度が上昇するのを極力抑制することができ、背面パネル52の温度が極めて高くなるのを防ぐことができる。また、排気ダクト18の周囲で高温となった空気を背面パネル52の整流庇52bで整流して前上方に案内することにより、高温の空気が背面パネル52の後方へ向かうのを防ぐことができる。
【0052】
(排気口カバー54の庇部60について)
実施例のガスフライヤー10は、排気口カバー54の背面に、上方へ延出した後に斜め上方へ屈曲する庇部60が設けられている。この庇部60は、排気口18aを覆う排気口カバー54の上面板54dを、上方に離間した位置で覆うように設けられている。そして、排気ダクト18の内部を上昇して排気口18aを通過すると共に排出孔Hから排出された燃焼ガスが、排気口カバー54の背面板54bに設けた庇部60によって排気口カバー54の前上方へ案内されるようになっている。すなわち、排気口カバー54の背面に、上方へ延出した後に斜め上方へ屈曲して、該排気口カバー54の上方を離間的に覆う庇部60を設けたことにより、排気口18aから排出される燃焼ガスが背面パネル52の後方へ向かうのを防止することができる。また、庇部60を排気口カバー54に設けたことで、燃焼ガスを整流庇52bで直接的に受ける構成と比較して、背面パネル52の温度上昇を抑制することができる。また、庇部60が排気口カバー54の上方を離間的に覆うことで、作業者が雑巾等を排気口カバー54の上に置いたとしても排気口18aが完全に塞がれることはない。従って、排気口18aが閉塞されることに起因して燃焼室CRで不完全燃焼が生じる危険を未然に防止することができる。
【0053】
(変更例)
本発明は、前述の実施例の構成に限定されるものではなく、以下の如く変更することも可能である。
(1) 実施例では、背面パネルの左右両端に設けた各ブラケットが排気口カバーの左右両端における底部を支持するように構成したが、排気口カバーの左右の側面板から左右外方へ延出する突片を夫々設けて、この突片をブラケットで支持するように構成してもよい。
(2) 実施例では、背面パネルに個別に固定される左右のブラケットの夫々に第2支持片を設け、各第2支持片によって排気口カバーの左右両端を支持するよう構成したが、1つのブラケットに設けた複数の第2支持片を背面パネルの左右両端に離間させることも可能である。この場合には例えば、背面パネルに固定される固定片を背面パネルの左右両端に亘って延在するよう設けて、該固定片の左右両端から第2支持片が個別に正面側へ延出するよう構成する。このようにしても、固定片の板面を背面パネルに沿わせて固定するようにすれば、排気ダクトからの熱で温度上昇した空気を流通抵抗の少ない状態で自由に上昇させることができる。
(3) 実施例では、排気ダクトの背面に上下に延在するよう設けた隔離部材を背面パネルに接触させることで、排気ダクトを背面パネルから前方へ離間させて保持したが、背面パネルに設けた隔離部材を排気ダクトに接触させることで、該排気ダクトを背面パネルから前方へ離間させて保持するようにしてもよい。
(4) 実施例では、排気口カバーの前面板に下方へ延出する延長部を設けて、該延長部をブラケットの切欠に挿入させることで、排気口カバーが安定するよう構成したが、延長部や切欠を設けないようにしてもよい。また、排気口カバーの側面板に延長部を設けてブラケットの切欠に挿入させるよう構成してもよい。
(5) 実施例では、背面パネルに設けた第1係合部に対して、フードに設けた第2係合部を前側から係合させると共に、背面パネル(ブラケット)に設けたネジ孔に対して、フードに設けたネジ挿通口を前側から固定させるように構成することで、フードを背面パネルに対してガスフライヤーの前面側から脱着し得るようにしたが、フードを背面パネルに対して該背面パネルの背面側から固定または係合させるよう構成してもよい。