特許第6593973号(P6593973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6593973
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】搬送台車
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20191010BHJP
【FI】
   B65G1/04 521
   B65G1/04 531B
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-259666(P2013-259666)
(22)【出願日】2013年12月16日
(65)【公開番号】特開2015-117077(P2015-117077A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年11月14日
【審判番号】不服2019-6087(P2019-6087/J1)
【審判請求日】2019年5月10日
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【弁理士】
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】山下 佳一
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 健士
(72)【発明者】
【氏名】吉仲 武貢
【合議体】
【審判長】 大町 真義
【審判官】 田村 嘉章
【審判官】 小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】 特許第3138983(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0320010(US,A1)
【文献】 実開昭57−126405(JP,U)
【文献】 実開昭53−53777(JP,U)
【文献】 特開2006−213216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00 - 1/133
B65G 1/14 - 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体が備える走行駆動部の車輪により走行レールを走行可能な車体と、該車体に配置された一つの昇降駆動部により該車体に対して昇降可能に配置された物品載置部材とを備える搬送台車であって、
前記車体は、前記一つの昇降駆動部の駆動力によりそれぞれ回転運動が与えられて回転する回転体を前後に有し、前記前後の回転体は前記車輪の軸が貫通しない態様であり、前記前後の回転体には、前記物品載置部材の下面を支持し回動を伴って上下方向に移動できる偏心作用部がそれぞれ設けられており、前記偏心作用部は前後の回転体にそれぞれの位相差をもって配置されており、前記一つの昇降駆動部による一連の動作により、前記前後の回転体の偏心作用部が前記物品載置部材の下面に対して前後で位相差をもって作用することにより、前記物品載置部材の前方側と後方側とをずれたタイミングで前記車体から離すように上方に押し上げることを特徴とする搬送台車。
【請求項2】
前記前後の回転体は、全て同周期の回転運動が与えられていることを特徴とする請求項1に記載の搬送台車。
【請求項3】
前記偏心作用部は、前記回転体から該回転体の中心軸と平行に突出する突起片であることを特徴とする請求項1または2に記載の搬送台車。
【請求項4】
前記回転体は、前後にそれぞれ複数配置されており、前方の回転体の突起片と後方の回転体の突起片とは、90度近傍の有効位相差が設定されていることを特徴とする請求項3に記載の搬送台車。
【請求項5】
前記車体は、前記物品載置部材を最下収納位置で支持するように、所定個所にストッパー部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の搬送台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を運搬する搬送台車に関する。
【背景技術】
【0002】
大型の倉庫等には、上下左右に物品を複数収容できる収容棚が複数配置されており、その指定された物品を収容棚に対して搬入もしくは搬出を行う際に物品にアクセス可能な走行レールを敷設し、この走行レールを自走可能な搬送台車を利用することで、収容棚に対する荷物の搬出入の自動化し、作業の効率化を図った搬送設備が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1のような搬送設備は、自走可能な搬送台車と、搬送台車の走行車輪が走行する走行レールと、走行レールの上方に配置され物品を載置可能とする棚部と、を備えている。搬送台車は、ボックス型の筐体内に、載置台の底部に当接する複数の偏心カム(偏心作用部)と、複数の偏心カムを同期回転駆動させる昇降用の電動モータと、左右両端に駆動車輪を備える前後一対の駆動軸と、駆動軸を回転させる走行用の電動モータと、が備えられている。載置台を降下状態とした搬送台車は、棚部上の物品に干渉しないように走行可能となっており、載置台の上昇により指定された物品底部を棚部から所定高さ浮かせて運搬できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3138983号公報(第4頁、第10図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1の搬送台車にあっては、載置台の上昇作動時にモータを駆動し、前後左右の同一形状の偏心カムをチェーン連動により回転させ、各偏心カムで同時に載置台の下面を押し上げ、物品を物品支持部より所定高さ浮かせて運搬するといった構造を採用している。そのため、物品載置台及びその上に載置された物品の荷重が各偏心カムに同時に懸ることになり、大きな出力のモータが必要となり、駆動部の大型化および高コスト化が避けられなかった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、小型の駆動部で物品載置部材を上昇させることを可能とし、低コスト、かつコンパクトな搬送台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の搬送台車は、
車体が備える走行駆動部の車輪により走行レールを走行可能な車体と、該車体に配置された一つの昇降駆動部により該車体に対して昇降可能に配置された物品載置部材とを備える搬送台車であって、
前記車体は、前記一つの昇降駆動部の駆動力によりそれぞれ回転運動が与えられて回転する回転体を前後に有し、前記前後の回転体は前記車輪の軸が貫通しない態様であり、前記前後の回転体には、前記物品載置部材の下面を支持し回動を伴って上下方向に移動できる偏心作用部がそれぞれ設けられており、前記偏心作用部は前後の回転体にそれぞれの位相差をもって配置されており、前記一つの昇降駆動部による一連の動作により、前記前後の回転体の偏心作用部が前記物品載置部材の下面に対して前後で位相差をもって作用することにより、前記物品載置部材の前方側と後方側とをずれたタイミングで前記車体から離すように上方に押し上げることを特徴としている。
この特徴によれば、先ず先行する偏心作用部が物品載置部材の下面を押し上げ、その後、後続の偏心作用部が載置部材の下面を押し上げるように、各偏心作用部による物品載置部材の上昇態様がそれぞれ異なっている。これにより、一つの昇降駆動部による一連の動作で前記前後の回転体の偏心作用部は物品載置部材の下面を前後でずれたタイミングで押し上げて物品載置部材を上昇させるために必要な仕事量が時間帯で分散されることとなり、小型の昇降駆動部で物品載置部材を上昇させることが可能となる。
【0008】
前記前後の回転体は、全て同周期の回転運動が与えられていることを特徴としている。
この特徴によれば物品載置部材の上昇運動に関与する前後の回転体に、全て同周期の回転運動が与えられているため、物品載置部材を上昇させるために必要な仕事量を常に一定の時間帯に分散することが可能となり、簡単な機構を用いて安定した制御が行えることになる。
【0009】
前記偏心作用部は、前記回転体から該回転体の中心軸と平行に突出する突起片であることを特徴としている。
この特徴によれば、各偏心作用部が物品載置部材の上昇運動に関与する角度を容易に設定、もしくは調整できることになる。
【0010】
前記回転体は、前後にそれぞれ複数配置されており、前方の回転体の突起片と後方の回転体の突起片とは、90度近傍の有効位相差が設定されていることを特徴としている。
この特徴によれば、物品載置部材の上昇時における前後の回転体に懸かる最大負荷の重複を避けることができ、駆動部の最大負荷を軽減できる。
【0011】
前記車体は、前記物品載置部材を最下収納位置で支持するように、所定個所にストッパー部が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、物品載置部材が最下収納位置で支持されており、偏心作用部が物品載置部材の下面に当接しない状態の位置関係を一時的に確保でき、この当接の無い間は回転体に負荷がかからない状態となり、駆動部の負荷をより軽減できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1における搬送台車が収容棚の走行レールを走行した状態を示す側面図である。
図2】搬送台車の物品載置部材が物品を持ち上げた状態を示す正面図である。
図3】搬送台車の構造を示す分解斜視図である。
図4】車体に物品載置部材が支持された状態を示す斜視図である。
図5】(a)は、実施例1における物品載置部材が最下収納位置にある状態を示す概要図であり、(b)は、各突起片が、その初期位置から時計回りに40度同期回転した状態を示す概要図である。
図6】(a)は、実施例1における各突起片が、その初期位置から時計回りに95度同期回転した状態を示す概要図であり、(b)は、実施例1における各突起片が、その初期位置から時計回りに140度同期回転した状態を示す概要図である。
図7】実施例1における物品載置部材が上昇完了位置にある状態を示す概要図である。
図8】(a)は、実施例2における搬送台車の物品載置部材が最下収納位置にある状態を示す概要図であり、(b)は、実施例2における各突起片が、その初期位置から時計回りに50度同期回転した状態を示す概要図である。
図9】(a)は、実施例2における各突起片が、その初期位置から時計回りに140度同期回転した状態を示す概要図であり、(b)は、実施例2における物品載置部材が上昇完了位置にある状態を示す概要図である。
図10】(a)は、実施例2における各突起片が、その初期位置から時計回りに230度同期回転した状態を示す概要図であり、(b)は、各突起片が、その初期位置から時計回りに230度同期回転した状態を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る搬送台車を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0014】
実施例1に係る搬送台車につき、図1から図7を参照して説明する。以下、図3及び図4の画面左側を搬送台車の正面側(前方側)とし、図5ないし図7の画面左側を搬送台車の正面側(前方側)として説明する。
【0015】
図1及び図2に示されるように、搬送台車1は、複数の収容部2aを上下左右に備えた収容棚2が複数配置された大型倉庫等において、指定された物品3を収容棚2の所定の収容部2aに対して搬入もしくは搬出を行う際に用いられる。収容棚2の各収容部2aの底面2bには、正面視L字状、逆L字状で一対に対向する走行レール4が敷設されており、走行レール4の上端面4aには、物品3が載置された複数のパレット5が支持されている。
【0016】
図2及び図3に示されるように、搬送台車1は、走行レール4の走行面4bを走行可能な車体6と、車体6に昇降可能に設けられた物品載置部材7と、を主に備えており、物品載置部材7がパレット5の下面から離間する最下降状態で走行レール4の走行面4bを走行してパレット5の下方に進入した後、物品載置部材7を上昇させることでパレット5ごと物品3を持ち上げ、パレット5及び物品3を走行レール4の上端面4aから所定高さ浮かせて運搬するようになっている。
【0017】
図2に示されるように、搬送台車1の底面には、凹部26,26を備えた付属部材27が取付けられており、付属部材27の凹部26,26と搬送台車1の底面とにより空間30,30が形成されている。搬送台車1は、前記空間30,30に図示しないフォークリフトの爪が挿入されて保持されるようになっており、前記フォークリフトにより搬送台車1を走行レール4に配置及び撤去できるようになっている。尚、搬送台車1を走行レール4に対して配置及び撤去する手段としては、フォークリフトに限られず、例えば周知のスタッカークレーンなどを利用してもよい。
【0018】
図3に示されるように、搬送台車1の車体6は、物品載置部材7の昇降用の昇降装置8と、走行用の走行駆動部12を収容する筐体9を備えている。筐体9は、金属板の前後を屈曲して断面コ字状に形成された底板部10aと前後の側板部10b,10cを有する基部材10と、基部材10の左右に取付けられる側板11,11と、を備え、側板11,11は、図示しないボルト・ナット等により基部材10に対して着脱可能に固定されている。
【0019】
走行駆動部12,12は、駆動モータ12a,12aと走行車輪13,13により主に構成され、駆動モータ12a,12aが図示しないケーブルにより制御部34と接続されており、制御部34から送信される回転方向や回転数等の情報に基づき回転駆動するようになっている。
【0020】
左右側板11,11には、走行駆動部12と複数個の従動車輪14,14,…とが取り付けられている。この走行駆動部12は、走行駆動モータ12a,12aが左右側板11,11の内側に配置されており、図示しない駆動モータ12a,12aの回転軸が左右側板11,11を貫通して枢支されており、前記回転軸の端部に走行車輪13,13が固定されている。また、複数個の従動車輪14,14,…は、左右側板11,11に回転自在に固定された図示しない回転軸により、走行車輪13,13と同じ高さでそれぞれ回動自在に枢支されている。駆動モータ12a,12aにより駆動した走行車輪13,13が、図1及び図2に示す走行レール4の走行面4b,4bを走行することにより、従動車輪14,14,…が従動して車体6が安定的に走行するようになっている。
【0021】
また、基部材10の前後の側板部10b,10cには、それぞれの左右端部から外側に張り出す水平ローラ28,28,…が設けられている。さらに、左右側板11,11には、その前後方向の中央部近傍に水平ローラ29,29がそれぞれ設けられている。これら水平ローラ28,28,…及び水平ローラ29,29が走行レール4の側面に当接することにより、車体6が走行レール4に沿って走行するようになっている。
【0022】
図3に示されるように、昇降装置8は、前後方向端部側にそれぞれ配置される軸部材15,16と、軸部材15を回動させる昇降駆動部17(駆動部)と、昇降駆動部17の動力を軸部材16に伝えるチェーン18とを有している。軸部材15,16には、対向する位置にギア19,20が固着されており、このギア19,20にそれぞれチェーン18が嵌合して架け渡されることにより、軸部材15と軸部材16とが同方向に同期回転するようになっている。
【0023】
軸部材15及び軸部材16は、基部材10の底板部10aの4つ角近傍に固定された台座33,33,…に対して回転可能に枢支されていることにより、底板部10aよりも所定高さ上方の位置で保持されている。また、昇降駆動部17は、図示しないケーブルにより制御部34と接続されており、制御部34から送信される回転方向や回転角度及び回転数等の情報に基づき回転駆動する。これら制御部34、走行駆動部12,12及び昇降駆動部17は、筐体9内に内蔵されたバッテリー21,21から供給される電力によりそれぞれ駆動可能となっている。
【0024】
軸部材15及び軸部材16の左右両端には、同一形状の回転体22,22及び回転体23,23がそれぞれ固定されており、回転体22,22及び回転体23,23には、円柱状の突起片24,24及び突起片25,25が軸部材15及び軸部材16と平行に突出するように設けられている(片方のみ図示)。突起片24,24及び突起片25,25は、回転体22,22及び回転体23,23の中心に位置する軸部材15及び軸部材16の軸心から外径方向にずれた位置に固定されている。回転体22,22及び回転体23,23は、それぞれ左右対称となっている。
【0025】
図3及び図4に示されるように、搬送台車1の物品載置部材7は、基部71aと、基部71aの周縁から垂直に延びる左右の立片71b,71b、及び前後の立片71c,71cとから形成される断面視コ字状の蓋材71を備えている。この蓋材71には、基部71aの下面側の四つ角近傍に垂直片72,72及び垂直片73,73が設けられている。さらに、基部71aの下面側には、立片71b,71bよりも内側に基部71aの左右の辺に沿って設けられる側片74,74が設けられている。この物品載置部材7は、垂直片72,72の下面72a,72a及び垂直片73,73の下面73a,73aが突起片24,24及び突起片25,25にそれぞれ当接することにより、車体6に載置されている。
【0026】
また、図3及び図4に示されるように、側片74,74には、上下に延びるガイド溝74a,74aがそれぞれ設けられている。このガイド溝74a,74aには、物品載置部材7が車体6に載置された状態において、筐体9の側板11,11にそれぞれ設けられた固定ボルト11a,11aが遊嵌されている。これにより、物品載置部材7が車体6に対して前後に移動することが防止され、上下の移動のみが許容されている。
【0027】
次に、昇降装置8により物品載置部材7を上昇させる上昇動作について説明する。尚、回転体22,22及び回転体23,23は、それぞれ左右対称となっているため、以後、車体6における左右一方側の回転体22と回転体23とを説明し、左右他方側の回転体22と回転体23との説明を省略する。
【0028】
図5(a)に示されるように、物品載置部材7は、最下降状態にあるときが最下収納位置と成っており、前記物品載置部材7の最下収納位置において、物品載置部材7の垂直片72の下面72aと垂直片73の下面73aとが、初期位置の突起片24及び突起片25に当接して支持されている。
【0029】
突起片24及び突起片25が初期位置の状態では、軸部材15の中心点及び突起片24の中心点を結ぶ仮想線Xと、軸部材16の中心点及び突起片25の中心点とを結ぶ仮想線Yとが、80度異なるように設定されている。また、回転体22と回転体23とは、突起片24及び突起片25の初期位置において、仮想線X及び仮想線Yが前後対称になるように設定されている。
【0030】
次いで、図5(b)に示されるように、前記した制御部34から送信された情報により昇降駆動部17が作動することで、突起片24と突起片25とが、その初期位置から時計回りに40度同期回転した際には、回転方向に先行する回転体23の突起片25が、物品載置部材7の前方側を押し上げるとともに、後続の回転体22の突起片24が、その回転軌道の最下点に位置される。そのため、回転体22は、物品載置部材7の後方側を支持しているものの、物品載置部材7を上昇させる負荷が掛からない状態となっており、昇降駆動部17の動力が先行する回転体23に集中する。
【0031】
次に、図6(a)に示されるように、突起片24と突起片25とが、その初期位置から時計回りに95度回転した際には、回転体23の突起片25が物品載置部材7の前方側をさらに押し上げるとともに、後続の回転体22の突起片24が回転体23の突起片25に追従して物品載置部材7の後方側を押し上げ始める。このように、突起片24が回転軌道の最下点を越えてから物品載置部材7の後方側を押し上げ始めるため、後続の回転体22には、突起片24が回転軌道の最下点を越えた時点から物品載置部材7の後方側を上昇させる負荷が掛かるようになる。
【0032】
このとき、物品載置部材7は、突起片24と突起片25の回転運動により、後方側に押されるようになるが、物品載置部材7のガイド溝74a,74aの側面が側板11の固定ボルト11a,11aに当接して、物品載置部材7の後方側への移動が防止されるため、物品載置部材7が上方にのみ動作される。
【0033】
続いて、図6(b)に示されるように、突起片24と突起片25とが、その初期位置から時計回りに140度回転した際には、先行する回転体23の突起片25が、その回転軌道の最頂点に位置される。そのため、回転体23は、物品載置部材7の前方側を支持しているものの、物品載置部材7を上昇させる負荷が掛からない状態となり、昇降駆動部17の動力が後続の回転体22に集中する。
【0034】
そして、図7に示されるように、突起片24と突起片25とがその初期位置から時計回りに180度回転した際に、前記した制御部34が昇降駆動部17の動作を停止させる。突起片24と突起片25とが、その初期位置から時計回りに180度回転した際には、突起片24と突起片25とが同一の高さ位置となり、物品載置部材7の上面が水平状態に保たれ、物品載置部材7の上昇完了位置となる。
【0035】
このように、突起片24の外周面と突起片25の外周面とは、その外周面の一部が物品載置部材7の垂直片72の下面72aと垂直片73の下面73aとに当接しており、当該当接箇所は、回転体22及び回転体23の回転により突起片24の外周面及び突起片25の外周面の周方向に変化する。したがって、回転体22及び回転体23の1周期の回転の中で、前記当接箇所と軸部材15及び軸部材16との距離が変化するようになり、これにより、物品載置部材7が上昇完了位置に変位される。したがって、突起片24の外周面及び突起片25の外周面は、物品載置部材7を上昇完了位置に変位させる偏心作用部として機能している。
【0036】
上述したように、物品載置部材7の上昇態様は、回転体22と回転体23との一連の同期回転の中で、先ず先行する突起片25が物品載置部材7の前方側を押し上げ、その後、後続の突起片24が物品載置部材7の後方側を押し上げることにより、物品載置部材7の前方側及び後方側がずれたタイミングで上昇するようになっている。そのため、突起片24及び突起片25が物品載置部材7の前方側及び後方側を押し上げるタイミングに応じて回転体22または回転体23に昇降駆動部17の動力を振り分けて集中させることができ、物品載置部材7及びその上に載置された物品3の荷重を上昇させるために必要な仕事量が一定の時間帯に分散される。したがって、必要な仕事量を一気に発揮する大型の昇降駆動部を必要とせず、小さな昇降駆動部17で物品載置部材7を上昇させることが可能となるため、搬送台車1の生産コストを抑えることができるばかりか、搬送台車1の大きさを小型化することができる。
【0037】
また、回転体22及び回転体23は、同一形状のものを使用しており、且つ昇降駆動部17により同一の回転運動が与えられていることから、回転を開始して終了するまでの1周期が同一となっており、突起片24と突起片25との角度の差異が、常に80度を保った状態となり、物品載置部材7の前後を押し上げる又は下降させる周期が常に一定となる。そのため、物品載置部材7を上昇させるために必要な仕事量を常に一定の時間帯に分散することが可能となり、安定した上昇及び下降制御が行えるばかりか、昇降装置8の構造が簡素化されて製造コストを抑えることができる。
【0038】
また、物品載置部材7の前方側及び後方側を押し上げるように作用する突起片24及び突起片25は、回転体22及び回転体23に対して軸部材15及び軸部材16と平行に突出するように設けられていることから、軸部材15及び軸部材16に対する突起片24及び突起片25の位置を把握しやすいため、搬送台車1の組み立て時に、突起片24及び突起片25の角度設定、もしくは角度調整を行い易い。この角度設定もしくは角度調整を行うことにより、回転体22及び回転体23にかかる負荷や、物品載置部材7の最下収納位置及び上昇完了位置の態様を適宜選択して設定することができる。
【0039】
さらに、この突起片24及び突起片25には、物品載置部材7が載置されており、突起片24及び突起片25が回転することにより、物品載置部材7の高さ位置が変位するようになっているため、回転体22及び回転体23が収容される筐体9の所定のスペースで効率的に物品載置部材7の高さ上昇幅を稼ぐことができる。
【グラフ1】
【0040】
【0041】
上記グラフ1は、突起片24及び突起片25が、その初期位置から時計回りに回転した回転角度に対する物品載置部材7及びその上に載置された物品3を上昇させるために必要な昇降駆動部17のトルクを表している。尚、グラフ1は、物品載置部材7及びその上に載置された物品3及びパレット5の総重量が1250kgであることを想定して表している。
【0042】
上記グラフ1に示されるように、突起片25は、最下収納位置から5度回転した地点と、最下収納位置から95度回転した地点との間の区間の昇降駆動部17のトルクが、その他の区間と比べて高くなっている。一方、突起片24は、最下収納位置から85度回転した地点と、最下収納位置から175度回転した地点との間の区間の昇降駆動部17のトルクが、その他の区間と比べて高くなっている。
【0043】
前述したように回転体22の突起片24と回転体23の突起片25とは、80度の角度の差異を有する。そのため、先ず、回転体23の突起片25が、前記昇降駆動部17のトルクを比較的必要としている90度の区間内を80度回転して物品載置部材7の前方側を押し上げ、その後、回転体22の突起片24が前記昇降駆動部17のトルクを比較的必要としている90度の区間内を80度回転して物品載置部材7の後方側を押し上げるようになる。つまり、回転体22の突起片24と回転体23の突起片25とが、昇降駆動部17を押し上げるトルクを必要とするピークの時間帯をずらし、それぞれ前記昇降駆動部17のトルクを比較的必要とする90度の区間の中において、物品載置部材7を上昇させる動作を同時に行う時間帯が10度分のみの短い区間となる。
【0044】
これにより、前記昇降駆動部17のトルクを最も必要としている90度の区間には、昇降駆動部17の動力が、先ず回転体23に振り分けられて集中した後、回転体22に振り分けられて集中することとなり、昇降駆動部17の動力が最大出力となる時間帯を抑えて、物品載置部材7及びその上に載置された物品3の荷重を上昇させるために必要な仕事量を回転体22または回転体23に対して効率的に分散できる。
【0045】
さらに、グラフ1に示されるように、突起片25が、その初期位置から時計回りに140度以上回転すると、先行する回転体23には、マイナスの負荷が掛かるようになっている。これは、突起片25が、その回転軌道の最頂点を越えた時点から、物品載置部材7及びその上に載置された物品3及びパレット5の荷重が突起片25の回転方向に付勢するように働くことにより発生する。したがって、突起片25が、その初期位置から時計回りに140度以上回転すると、突起片24が物品載置部材7を押し上げる動作を助けるようになり、後続の回転体22にかかる負荷が軽減されるようになる。
【0046】
また、搬送台車1は、物品載置部材7の最下収納位置において、物品載置部材7の上面の高さがパレット5よりも下方に位置するように設定されており、物品載置部材7が最下収納位置の状態で走行レール4を走行することにより、物品3を載置したパレット5の下方に進入可能となっている。また、物品載置部材7の上昇完了位置において、物品載置部材7の上面の高さが、走行レール4の上端面4aよりも上方に位置するように設定されており、物品載置部材7を上昇完了位置とすることにより、物品載置部材7が物品3を載置したパレット5を走行レール4の上端面4aから浮かせるようになっている。したがって、物品載置部材7が最下収納位置から上昇完了位置まで上昇する高さ上昇幅が所定距離必要である(図1図2参照)。
【グラフ2】
【0047】
【0048】
上記グラフ2は、本実施例の態様において、突起片24及び突起片25が、その初期位置から時計回りに回転した回転角度に対する物品載置部材7の高さの変位を表している。上記グラフ2に示されるように、突起片25は、その初期位置から5度回転した地点と、初期位置から95度回転した地点との間の区間が最も物品載置部材7の高さ上昇幅を最も稼げるようになっている。一方、突起片24は、その初期位置から85度回転した地点と、初期位置から175度回転した地点との間の区間が物品載置部材7の高さ上昇幅を最も稼げるようになっている。
【0049】
図7で説明したように、突起片24は、物品載置部材7の上昇完了位置において、初期位置から85度回転した地点と、初期位置から175度回転した地点との間の物品載置部材7の高さ上昇幅を最も稼げる区間を越えた位置であり、且つ、その回転軌道の最頂点まで達しない位置に配置される。そのため、物品載置部材7が上昇する高さ上昇幅を十分に確保することができる。
【0050】
また、車体6の走行機構としての走行車輪13,13及び従動車輪14,14,…は、筐体9から着脱可能な左右側板11,11に取付けられていることから、走行駆動部12や従動車輪14,14,…に故障や不具合が生じた場合に、筐体9から側板11,11のみを取外して走行車輪13,13やその駆動モータ12aまたは従動車輪14,14,…に対してアクセスすることができるため、搬送台車1のメンテナンス作業が簡便である。
【0051】
また、物品載置部材7は、前方側に配置される左右一対の回転体22,22の突起片24,24と、後方側に配置される左右一対の回転体23,23の突起片25,25と、により、4つ角近傍を支持されているため、物品載置部材7の上昇及び下降動作を安定して行え、且つ物品載置部材7の最下収納位置及び上昇完了位置における物品載置部材7の安定性が増す。
【0052】
尚、本実施例にあっては、回転体22の突起片24と回転体23の突起片25との角度差を80度に設定することにより、物品載置部材7の最下収納位置から上昇完了位置までの上昇高さ幅を十分に確保しつつ、効率的に必要な仕事量を分散する態様について説明したが、例えば、物品載置部材7を上昇させるのに必要な仕事量を分散させることを重視する態様として、前後の突起片が略90度以上の位相差を有するように設定し、前方の回転体が比較的大きな負荷が係る略90度の区間の回転を終えた後、後方の回転体が前記略90度の区間の回転を行うようにして、昇降駆動部17のトルクを比較的必要とする90度の区間の中において、前後の突起片が物品載置部材7を上昇させる動作を同時に行う時間帯を無くすようにしてもよい。
【0053】
また、本実施例では、突起片24と突起片25とが、回転体22及び回転体23の回転により、物品載置部材7の下面に当接して上昇完了位置まで押し上げるように作用する偏心作用部として説明したが、本発明の偏心作用部は、これに限らず、例えば特に図示しないが、一定曲率の円形外周面と、前記円形外周面から外径方向に突出する突出外周面と、を有する偏心した回転体のうち前記突出外周面であってもよい。
この回転体の連続した外周面の一部が、物品載置部材の下面に当接した状態で回転軸を中心に回転した場合、その1周期の中で、前記円形外周面に物品載置部材の下面が当接した地点と、前記突出外周面に物品載置部材の下面が当接した地点とでは、回転軸との距離がそれぞれ異なることとなる。そのため、回転体の連続した外周面の内、ある時点で物品載置部材の下面に当接している部位が、前記円形外周面であるか、前記突出外周面であるかによって、物品載置部材の高さ位置が変位し、前記突出外周面により物品載置部材が上昇完了位置に配置される。
【0054】
尚、前記突出外周面を複数有した回転体である場合、回転体の外周面のうち、最も大きな外径を有する突出外周面が、載置部材を上昇完了位置に変位させる偏心作用部となる。
【実施例2】
【0055】
次に、実施例2に係る搬送台車につき、図8から図10を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成の説明を省略する。
【0056】
図8(a)に示されるように、物品載置部材7は、その最下収納位置において、基部材101の側板部101bの上端面101dと、側板部101cの上端面101eと、側板111,111 の各上端面111bと、に基部71aの下面が当接して支持されているとともに、突起片24と突起片25とが、物品載置部材7の垂直片72の下面72aと垂直片73の下面73aに当接しないようになっている。この基部材101の側板部101bの上端面101dと、側板部101cの上端面101eと、側板111,111の上端面111bとは、物品載置部材7を最下収納位置で支持するストッパー部として機能している。
【0057】
次に、図8(b)に示されるように、突起片24と突起片25とが、その初期位置から時計回りに50度同期回転した際には、回転方向に先行する回転体23の突起片25が、物品載置部材7の前方側の垂直片73の下面73aに当接する。このように、突起片25が、物品載置部材7を最下収納位置から物品載置部材7の前方側の垂直片73の下面73aに当接するまでの間は、回転体22,23に負荷がかからない状態となり、昇降駆動部17に負荷が掛からない時間帯が一時的に確保される。
【0058】
次いで、図9(a)に示されるように、突起片24と突起片25とが、その初期位置から時計回りに140度同期回転した際には、先行する回転体23の突起片25が、その回転軌道の最頂点に位置されるとともに、後続の回転体22の突起片24が、物品載置部材7の後方側の垂直片72の下面72aに当接する。このとき、物品載置部材7は、基部71aの下面と、基部材101の後方側の側板部101cの上端面101eとの当接箇所を支点として物品載置部材7の前方側が押し上げられるため、突起片24が後方側の垂直片72の下面72aに当接するまでの距離が稼がれる。
【0059】
そして、図9(a)に示されるように、突起片24と突起片25とが、その初期位置から時計回りに180度同期回転した際に、物品載置部材7の上昇完了位置となる。
【グラフ3】
【0060】
【0061】
グラフ3には、本実施例の態様において、突起片24及び突起片25が、その初期位置から時計回りに回転した回転角度に対する物品載置部材7及びその上に載置された物品3を上昇させるために必要な昇降駆動部17のトルクを表している。
【0062】
グラフ3に示されるように、先行する回転体23の突起片25が、その回転軌道の最頂点に位置されるまで、昇降駆動部17の動力が先行する回転体23に集中している。そして、回転体23の突起片25が、その回転軌道の最頂点を越えてから後続の回転体22に昇降駆動部17の動力が集中している。
【0063】
このように、回転体23の突起片25が、その回転軌道の最頂点を越えてから後続の回転体22の突起片24が、物品載置部材7を押し上げ始めるため、突起片24及び突起片25が、同時に物品載置部材7を上昇させる動作を行うタイミングを無くして極めて効率よく物品載置部材7を上昇させるのに必要な仕事量を回転体22及び回転体23に分散できる。
【0064】
図10(a)に示されるように、突起片24と突起片25とが、その初期位置から時計回りに230度同期回転した際には、物品載置部材7の前方側が基部材101の前方側の側板部101bの上端面101dに当接して支持される。さらに、図10(b)に示されるように、突起片24と突起片25とが、その初期位置から時計回りに310度同期回転した際には、物品載置部材7の後方側が基部材101の後方側の側板部101cの上端面101eに当接して支持される。
【0065】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0066】
例えば、前記実施例では、回転体22,22と回転体23,23とが同一形状を成していたが、例えば、各突起片が異なるタイミングで物品支持部を上昇完了位置まで上昇させるものであれば、前後の回転体が異なる形状のものを利用し、各突起片が同周期で回転しない態様であってもよい。また、前後の回転体の形状が異なる場合、垂直片の高さ等を適宜設定することにより、各突起片が同周期で回転するようにできる。
【0067】
また、前後の回転体22及び回転体23は、同一の方向に同期回転するようになっていたが、例えば、各突起片が異なるタイミングで物品支持部を上昇完了位置まで上昇させるものであれば、前後の回転体の回転方向が互いに逆になるようになっていてもよい。
【0068】
また、前記実施例では、左右一対の回転体22,22と回転体23,23とが前後に配置されていたが、これに限られず、例えば、前後に1つずつ設けられるものでもよいし、車体の複数個所に設けられていてもよい。
【0069】
また、搬送台車1は、走行レール4を走行することのみに限られず、床面を走行するようになっていてもよい。搬送台車が床面を走行する場合、物品載置部材が最下収納位置の状態で物品を運搬するようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 搬送台車
2 収容棚
3 物品
4 走行レール
4a 走行レールの上端面
4b 走行面
6 車体
7 物品載置部材
9 筐体
10 基部材
11a 固定ボルト
15,16 軸部材
17 昇降駆動部
22 後続の回転体
23 先行する回転体
24,25 突起片
72a 垂直片の下面
73a 垂直片の下面
74a,74a ガイド溝
101 基部材
101d 前側板部の上端面(ストッパー部)
101e 後側板部の上端面(ストッパー部)
111b 側板の上端面(ストッパー部)
X,Y 仮想線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10