(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
標的遺伝子の増幅遺伝子部分の両端を特異的に結合できる2種類のDNAプライマーと逆転写酵素およびRNAポリメラーゼを用いるRNA増幅法によりヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)のゲノムの一部のRNAを増幅する方法であって、HIV−1 RNase H RNA(配列番号:1の1198−1683に対応する486ヌクレオチド)の一部を標的とし、
フォワードプライマーとして下記(a)〜(c):
(a)配列番号:2の配列、
(b)配列番号:3の配列、
(c)配列番号:4の配列、
のいずれかを、
プロモーターリバースプライマーとして下記(d)〜(f):
(d)配列番号:5の配列
(e)配列番号:6の配列、
(f)配列番号:7の配列、
のいずれかを用い、
その組み合わせが、前記(a)と前記(d)、前記(b)と前記(d)〜(f)のいずれか及び前記(c)と前記(d)〜(f)のいずれかの組み合わせのいずれかであることを特徴とするRNA増幅法。
【背景技術】
【0002】
HIVは、ヒト後天性免疫不全症候群(AIDS:Acquired Immunodeficiency Syndrome)の病原体であり、RNAを遺伝子として持つ病原体である。HIVには、全世界で広まっているHIV−1と、アフリカ西海岸を中心に広まっているHIV−2が知られている。HIV−2感染の臨床症状は軽症である。一方、HIV−1感染の臨床症状は重篤である。
HIV−1感染の診断およびエイズ治療のためのHIV−1量のモニタリングには主に、HIV−1のゲノムRNAを標的とした核酸増幅法が用いられている。しかし、HIV−1の逆転写酵素の正確性が低いために、HIV−1のゲノムRNAは変異を起こしやすく、HIV−1のゲノムRNAを標的とした核酸増幅法の大きな問題点となっている。具体的には、HIV−1の診断方法を開発し提供しても、ゲノムRNAが変異して、開発した診断方法により変異したHIV−1が検出できなくなり、感染のリスクが拡大する問題である。
【0003】
核酸増幅法はサンプル中にごく微量にしか存在しない標的DNAあるいはRNAを、酵素を用いて10
6倍程度にまで増幅させる方法である。標的DNAは、PCR法と呼ばれるDNAポリメラーゼを用いた方法で増幅されるが、そのためには、サーマルサイクラーと呼ばれる2あるいは3段階の温度を一定時間維持することを繰り返すための装置が必要である。標的RNAでは、逆転写酵素を用いて一旦、DNAに変換したあとに、DNAポリメラーゼを用いて、増幅することが行われる。このためにも、サーマルサイクラーが必要である。
【0004】
一方、標的RNAをRNAとして増幅させるRNA増幅法としては、特許文献1に示されているように、HIV−1を標的遺伝子として、標的遺伝子の増幅遺伝子部分の両端を特異的に結合できる2種類のDNAプライマーと逆転写酵素およびRNAポリメラーゼを用いる方法が開示されており、一定温度維持でRNAの増幅が可能であるので、サーマルサイクラーを必要としない。
【0005】
RNA増幅法では、鋳型となる1本鎖のRNAの分子鎖が、その分子鎖途中で二次構造(部分的な2重らせん形状などの複雑な構造)をとり、その部分でのRNA伸長反応の反応効率が低くなり、反応効率の低下につながることが問題となる。
上記の変異が起きやすいHIV−1を対象として、変異が起きた場合でも、検出できるように増幅対象の遺伝子部分を選定できたとしても、二次構造がその増幅、すなわち、検出を妨げる可能性がある。
【0006】
この問題に対しては、反応温度を上げることで、RNAの二次構造が解消され、RNA伸長反応への悪影響を抑制することが考えられる。
反応温度を上げて、逆転写反応を行うために、逆転写酵素の遺伝子改変を行うことで耐熱化する技術(特許文献2)や、DNAポリメラーゼにRNA認識活性を付与する遺伝子改変を行う技術(特許文献3)が開示されている。
これらの方法は、RNA増幅反応の反応温度を41℃よりも高温に設定する必要がある。
【0007】
しかし、温度維持の装置の観点からは、より保温温度が低く、より室温に近い温度に設定する装置が、より簡便であると考えられる。
具体的には、RNA増幅法の反応温度を41℃以下に下げることが望ましいが、RNAの二次構造が、41℃より高温の温度条件よりも形成されやすくなり、RNA伸長反応の効率は、低下することが懸念される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のHIV−1のゲノムの一部のRNA増幅方法は、標的遺伝子の増幅遺伝子部分の両端を特異的に結合できる2種類のDNAプライマーと逆転写酵素およびRNAポリメラーゼを用いるRNA増幅法であって、HIV−1逆転写酵素RNase H
RNA(配列番号:1の1198−1683に対応する486ヌクレオチド)の全部あるいは一部を標的とすることを特徴とする。
【0015】
本発明のHIV−1逆転写酵素RNase HのRNAを標的としたRNA増幅法は、配列番号:1の配列の全部または一部を標的とするものであれば特に制限はない。
【0016】
本発明は、上記配列番号の配列の全部または一部を標的RNAとすることによって、HIV−1ゲノムの変異の影響を、より受けにくくすることができる。
【0017】
また、本発明のHIV−1 RNAの増幅方法は、RNA増幅のために、フォワードプライマーとして下記(a)〜(c):
(a)配列番号:2の配列、
(b)配列番号:3の配列、
(c)配列番号:4の配列、
のいずれかを、
プロモーターリバースプライマーとして下記(d)〜(f):
(d)配列番号:5の配列
(e)配列番号:6の配列、
(f)配列番号:7の配列、
のいずれかを用いることを特徴とする。
【0018】
HIV−1などのRNAウイルスは、ゲノムRNAの遺伝子配列が変異し易いが、ウイルスの増殖過程に必須の酵素であるRNase Hの機能を担う遺伝子部分は変異を起こしにくい。本発明のプライマーは、このRNase Hの遺伝子の配列を増幅対象として設計したものであり、特に、RNase Hの酵素活性を発揮するために必要なアミノ酸配列情報をコードした遺伝子配列情報に基づいて、前記フォワードプライマーおよび前記プロモーターリバースプライマーが設計されている。ウイルス増殖に必須の酵素である前記 HIV−1逆転写酵素RNase Hの
RNAの 酵素反応を発揮するための必須アミノ酸配列情報に対応する遺伝子部分を、フォワードプライマーまたは プロモーターリバースプライマーとして設計しているので、多様なウイルスゲノム遺伝子の変異があっても、その遺伝子部分は変異を受けず、確実に、RNA増幅が行える。
【0019】
前記フォワードプライマーは、RNA増幅対象部分の端の塩基配列を基に有機合成した核酸鎖であり、前記プロモーターリバースプライマーは、RNA増幅対象部分の前記フォワードプライマー側とは反対の端の塩基配列を基に、前記フォワードプライマーで伸長される核酸鎖に対する相補鎖の塩基配列を基に有機合成した核酸鎖である。
【0020】
上記のプライマーの組み合わせは、どのようなものであっても構わないが、その中でも(c)のフォワードプライマーと(e)のプロモーターリバースプライマーの組み合わせが、特に好ましい例として挙げることができる。
【0021】
本発明のRNA増幅方法は、RNAを鋳型として、最終増幅産物がRNAである増幅法であれば、増幅法として制限されない。すなわち、前記基質試薬、標的遺伝子の増幅遺伝子部分の両端を特異的に結合できるDNAを含む2種類のプライマー試薬及び逆転写酵素とRNAポリメラーゼが含まれた酵素試薬を含む反応試薬に、標的のRNAを加える反応条件のRNA増幅法でよく、NASBA法であってもよく、TMA法でもよく、TRC法であってもよい。
【0022】
前記基質試薬は、通常、Tris−HClなどのpH緩衝効果のある成分と、塩化マグネシウム、RNA分解酵素の阻害剤、DTTなどの還元剤、デオキシATP、デオキシGTP、デオキシCTP、デオキシTTP、ATP、GTP、CTP、TTP、ITPを含む水溶液である。
【0023】
反応試薬を構成する基質試薬、2種類のプライマー試薬及び酵素試薬を混合する順番は特に限定されるものではない。
また、標的RNAを含むRNAは溶液の状態で反応試薬と混合して反応溶液として増幅反応させる。標的RNA溶液と反応試薬の混合は、標的RNA溶液を基質試薬、2種類のプライマー試薬及び酵素試薬を含む反応試薬と混合しても良いし、標的RNA溶液を反応試薬を構成する基質試薬、2種類のプライマー試薬及び酵素試薬のいずれかに予め混合しておいても良い。
【0024】
反応時間は、一定温度で、RNAが増幅するために要する時間を保持すればよく、数分から数時間でよい。
【0025】
本発明の好ましい形態は、反応溶液中に有機溶媒を加え、41℃以下の反応温度で、RNA増幅を行うことである。
【0026】
有機溶媒の添加により、有機溶媒が反応液の誘電率を下げ、プライマーどうしの非特異的な核酸対を形成することによる結合を減少させることができる。プライマーどうしが核酸対を形成してしまうと、本来、RNA増幅の開始起点であるプライマーが不足することとなり、増幅対象であるRNAは増幅作用を受けにくくなり、RNA増幅の効率が著しく減少してしまう。
【0027】
RNAの増幅効率を著しく下げる原因として、プライマーが増幅対象とするRNAに、設計目的通りの核酸対の形成が起きないことがあげられる。目的とした核酸対形成を阻害する大きな要因として、増幅対象のRNAが分子内で核酸対を形成して立体形状化する2次構造形成が起き、プライマーと核酸対を形成する塩基配列部分が隠れて、結果として、プライマーと増幅対象のRNAの核酸対の形成が起きず、RNA増幅の効率が下がる。
【0028】
有機溶媒を加えることにより、反応溶液中の誘電率を下げて、RNAの分子内での2次構造化を起こさないようにして、上記のRNAの2次構造の問題でRNA増幅が妨害される可能性に対して、41℃以下の温度条件でも2次構造を解消することができる。
【0029】
本発明で用いるRNA増幅反応に添加する有機溶媒としては、RNAの2次構造をほぐす効果を有し、増幅対象のRNAとプライマーとが相補的に核酸対を形成することによりプライマーからの核酸伸長が確実としてRNA増幅操作の効率の低下を防止する効果を有するものであれば特に制限はないが、ホルムアミドを好ましい例として挙げることができる。
【0030】
有機溶媒は、増幅対象RNAとプライマーが塩基対を形成することができるように添加すればよく、プライマー試薬溶液に添加して用いてもよいし、増幅対象のRNAとプライマーが混合された後に、添加してもよい。
【0031】
有機溶媒の濃度は、反応溶液全量中に1〜10%になるように有機溶媒を添加する。
有機溶媒としてホルムアミドを用いる場合の濃度は反応溶液全量中の濃度が1〜5%であることが好ましく、3%が特に好ましい。
【0032】
また、本発明の好ましい形態は、逆転写酵素として、耐熱性逆転写酵素を用いることである。耐熱性の酵素を添加することにより、有機溶媒中でも酵素反応を良好に進行させることができる。
耐熱性逆転写酵素が有機溶媒に耐性であることにより、有機溶媒と耐熱性逆転写酵素を用いることにより低温で、RNase HのRNAを標的としたRNA増幅反応が行うことが可能である。
【0033】
本発明で用いる耐熱性逆転写酵素としてはRNAを鋳型としてDNA鎖を伸長できる酵素活性を有することで、増幅対象のRNAに相補的なDNAを形成できる効果を有するものであれば特に制限はないが、耐熱性を有するMMLV RTと耐熱性を有するトリ骨髄芽球症状ウイルス逆転写酵素(AMV RT)を好ましい例として挙げることができる。
【0034】
RNA増幅法に必要な基質試薬とプライマー試薬と酵素試薬とを別々に揃えて、キットとして提供してもよく、あるいは、それらを混合して利用可能な反応試薬として提供して、対象とする生物の検出キットとしてもよい。
【0035】
次に、本発明は、前記したRNA増幅法を用いることにより、HIV−1感染診断方法を提供することができる。
【0036】
本発明のRNA増幅法のHIV−1感染診断方法への適用は、人から採取した血液を通常行われているRNA増幅法と同じように前処理し、取り出した検体に前記した本発明のRNA増幅法によって行うことができる。
【0037】
検体を取り出す方法の一例を示すと、まず、人から血液を採取し、その血液から血清または血漿を分離し検体とすることができる。より望ましくは、血清または血漿を、RNA分解酵素の阻害処理を行って、タンパク質除去操作を行い核酸溶液を得る。核酸溶液を得るためには、東ソー社製のEXTRAGEN IIや、QIAGEN社製の RNeasy Mini kitなどの試薬キットを用いてもよい。
【0038】
取り出した検体に前記〔1〕〜〔5〕のRNA増幅法により、HIV−1逆転写酵素RNase H
RNA(配列番号:1の1198−1683に対応する486ヌクレオチド)の全部あるいは一部を標的としてRNAを増幅することによりHIV−1に感染しているか否かを診断することができる。
【0039】
次に、前記検体からHIV−1の増幅対象の遺伝子由来のRNAを増幅する方法の好ましい一例を示す。
【0040】
検体がウイルス感染陽性の患者由来の試料であれば、前記核酸溶液には、増幅対象のRNAが含まれる。その核酸溶液と前記基質試薬の溶液を混合する。その混合溶液に、塩化カリウムやDMSOを含む前記2種類のプライマー試薬の溶液を添加し、さらに、ホルムアミドなどのRNAの2次構造をほぐす効果を有する有機溶媒を添加する。その後、酵素試薬を添加して反応させる。
【0041】
有機溶媒の添加は、あらかじめ、プライマー溶液に2次構造をほぐす効果を有する有機溶媒を添加していてもよく、または、基質試薬の溶液にあらかじめ2次構造をほぐす効果を有する有機溶媒を添加していてもよく、酵素試薬を添加する前に、増幅対象のRNAとプライマーが塩基対を形成させるステップで有機溶媒が添加されていればよい。
【0042】
検体試料由来の核酸溶液と基質試薬とプライマー溶液と有機溶媒の混合試料を5分程度の一定時間、41℃などの一定温度で保持した後、酵素試薬を添加して、核酸伸長反応と増幅反応を開始させる。
一定温度で60分程度の一定時間保持すれば、検体にHIV−1が内在していれば、HIV−1の増幅対象の遺伝子由来のRNAを増幅することができる。
【0043】
増幅したRNAの確認は、アガロースゲル電気泳動などの方法で、設計通りの分子サイズのRNAが増幅されているかどうかを確認することができる。
リアルタイムPCRや塩基配列分析操作で用いられている核酸の蛍光標識試薬の技術を利用して、増幅RNA量が増加することによる蛍光信号強度の増加を検出することによっても、増幅したRNAの確認ができる。
あるいは、増幅RNAをメンブレンに転写固定して、ノーザンブロティングハイブリダイゼーションで検出確認してもよく、あるいは、核酸チップでのハイブリダイゼーションで検出してもよい。
【0044】
本発明のHIV−1感染診断方法は、本発明のRNA増幅法を用いるため、温度の上げ下げは不要で反応温度を41℃より低い温度で診断することができるため、簡易で安価な装置により実施できる。また、室温の高いところでは装置がなくても反応させることができ、現場で病原体等の検出が可能となる。
その結果、特に、新興国でのHIV−1感染症の診断に大きく役立つと考えられる。
【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0046】
(プラスミド(pET−HIVMRNaseHの作製)
HIV−1ゲノムのRNase H領域に相当する配列番号:8で示されるTM−F、配列番号:9で示されるTM−Bを用いて、また、配列番号:1で示されるHIV-1 RT(HIV−1逆転写酵素)
RNAを用いて、下記(a)〜(g)を混合した反応液を用いて、(h)で示す条件のPCRによりHIV−1 RT RNase HのDN
Aを増幅させた。
(a)水 17.5μL
(b)2x buffer 25μL
(c)dNTP 4μL
(d)10 μM TM−F 1μL
(e)10 μM TM−B 1μL
(f)HIV−1 RT RNA 1μL
(g)KOD DNA polymerase(東洋紡) 0.5μL
(h)95℃ 30秒、55℃ 30秒、72℃ 60秒、30サイクル
得られた増幅DNAをpET−22b(+)(クローンテック)を制限酵素XbaIとEcoRIで切断した。次に、これらの2種類の反応物を混合し、ライゲーション反応により目的のプラスミド(pET−HIVMRNaseHと命名)(
図4)を作製した。
【0047】
(実施例1)
下記の方法によりRNA増幅反応を行った。
【0048】
まず、下記(a)〜(d)の試薬を調製した。
(a)基質試薬
水:25.9μL
1M MgCl
2:5.6μL
1.9M Tris−HCl(pH 8.6):19.8μL
40U/μL RNase Inhibitor(タカラバイオ)0.6μL
100mM ジチオトレイトール(DTT) 3.3μL
2.5mM dNTP 33.0μL
58mM NTP 17.1μL
250mM ITP 4.8μL
(b)プライマー試薬P1
水:32.5μL
2M KCl:21.5μL
50μM フォワードプライマー:6.6μL
50μM プロモータリバースプライマー:6.6μL
ジメチルスルホキシド(DMSO):42.9μL
(c)プライマー試薬P2
水:2.5μL
ホルムアミド:30μL
2M KCl:21.5μL
50μM フォワードプライマー:6.6μL
50μM プロモータリバースプライマー:6.6μL
DMSO:42.9μL
(d)酵素試薬
19.8μM 耐熱性MΜLV RT(MM4):4.3μL
10mg/μL bovine serum albumin:4.0μL
20,000units/μL AMV−007(Life Sciences Advanced Technologies, Inc.):4.4μL
60%ソルビトール:11.1μL
T7 RNA ポリメラーゼ:31.2μL
なお、MM4はMMLV RTの286位のグルタミン酸残基がアルギニン残基に、302位のグルタミン酸残基がリシン残基に、435位のロイシン残基がアルギニン残基に、および524位のアスパラギン残基がアラニン残基に置換されることにより耐熱化されたものである(Increase in thermal stability of Moloney murine leukaemia virus reverse transcriptase by site−directed mutagenesis」、ジャーナル・オブ・バイオテクノロジー(Journal of Biotechnology)、2010年発行、第150巻、pp.299−306)。
【0049】
HIV−1を標的RNAとして、RNA増幅反応を下記(1)〜(4)の手順で行った。
(1)1×10
10コピー/μLの標準RNA溶液(2.5μL)、基質試薬(5.0μL)、プライマー試薬(計5.0μLになるように混合)の混合物を各温度で5分間保温した。
(2)これに酵素試薬2.5μLを加え、各温度で60分間保温した。
(3)反応後、反応液にLoading Dye Solutionを加え、2%アガロース電気泳動にかけた(100Vで40分間、泳動バッファーはTAE)。
(4)ゲルを1μg/μLの臭化エチヂウムで染色した後、トランスイリミネータでバンドを解析した。
【0050】
ただし、標準RNAは、HIV−1ゲノムに相当するものとして、前記のように作製したプラスミド pET−HIVMRNaseH から500塩基のものをイン・ビトロ転写により作製して、RNA増幅反応には、1×10
10コピー/μLのものを使用し、プライマーは表1に示す組合せのものを使用し、ホルムアミド濃度は0%とし、反応温度は41℃、反応時間は60分間とした。
【0051】
【表1】
【0052】
結果を
図2に示す。組合せ番号1、4、5、6、7、8、9では表1に示す計算された塩基数を有するバンドが見られた。 一方、2ではバンドが見られなかった。また、3では計算された塩基数より短いバンドが見られた。最も濃いバンドが見られた5と8についてさらに検討を行った。
【0053】
(実施例2)
実施例1に記載する方法により、RNA増幅反応を行った。ただし、プライマーは表1の組合せ番号5と8を使用し、反応時間は0、10、20、30、40、50、60分間とした。結果を
図3に示す。組合せ番号5では20分でバンドが見られたが、10分では見られなかった。一方、組合せ番号8では10分でバンドが見られた。このことから、組合せ番号8が最適と考えられた。
【0054】
(実施例3)
実施例1に記載する方法により、RNA増幅反応を行った。ただし、プライマーは表1の組合せ番号8を使用し、MM4濃度(nM)は0、0.93、2.89.3、28、93、280、ホルムアミド濃度は3%、反応時間は60分間とした。結果を
図4に示す。MM4濃度が28nMあるいは93nMで濃いバンドが見られた。このことからMM4濃度は約50nMが最適と考えられた。