(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態に基づき、本発明を以下に説明する。
本実施形態に係る多剤式毛髪処理剤は、第1剤と第2剤を備えるものである。
【0012】
(第1剤)
本実施形態の第1剤は、高級アルコール(I)、カチオン界面活性剤(I)、及びアミノ変性シリコーンが水に配合されたクリーム状のものである(水の配合量は、例えば70質量%以上)。また、本実施形態の第1剤には、公知の洗い流すトリートメント用原料が任意原料として更に配合されていても良い。
【0013】
高級アルコール(I)は、粘度調整や毛髪の感触改善のために、本実施形態の第1剤に配合される。また、高級アルコール(I)をカチオン界面活性剤(I)と併用することで、第1剤の剤型をクリーム状にできる。
【0014】
高級アルコール(I)は、公知の高級アルコールであり、炭素数数16以上22以下のものが良い。高級アルコール(I)としては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコールなどの直鎖状飽和アルコール;オレイルアルコールなどの直鎖状不飽和アルコール;ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコールなどの分岐状飽和アルコール;が挙げられる。これらの高級アルコール(I)の中でも、第1剤における油滴の分散安定性の観点から、炭素数16以上22以下の直鎖状飽和アルコールが良く、セチルアルコール及びステアリルアルコールが好ましい。毛先の纏まりや保湿感を向上させるには、セチルアルコールが好ましい。
【0015】
高級アルコール(I)から選ばれた一種又は二種以上を、本実施形態の第1剤に配合すると良い。本実施形態の第1剤における高級アルコール(I)の配合量は、例えば3質量%以上10質量%以下であり、4質量%以上8質量%以下が良い。3質量%以上にすることで、粘度が高くなり、10質量%以下にすることで、油性感の抑制に好ましい。
【0016】
カチオン界面活性剤(I)は、髪質改善、油滴の分散のために本実施形態の第1剤に配合される。
【0017】
上記のカチオン界面活性剤(I)は、公知のカチオン界面活性剤である。カチオン界面活性剤(I)としては、例えば、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム等のモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩;塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム等のジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウム等の長鎖アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩;ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノプロピルアミド等の脂肪酸アミドアミン;が挙げられる。なお、上記「長鎖アルキル」とは、炭素数が8以上の直鎖状又は分枝状のアルキル基を意味し、その炭素数が16以上22以下であると皮膚への刺激の抑制や毛髪に付与する感触の観点から好ましい。
【0018】
本実施形態の第1剤におけるカチオン界面活性剤(I)の配合量は、適宜設定されるべきものであるが、例えば1質量%以上5質量%以下であり、2質量%以上4質量%以下が良い。1質量%以上にすることで、毛髪の感触改善に好ましく、5質量%以下にすることで、皮膚刺激の抑制に好ましい。
【0019】
アミノ変性シリコーンは、毛先の纏まりと毛髪の保湿感を高めるために本実施形態の第1剤に配合される。
【0020】
上記アミノ変性シリコーンとして、シリコーン骨格に直接あるいは置換基を介して末端にアミノ基を有する公知のアミノ変性シリコーンを選定すると良い。当該アミノ変性シリコーンとしては、例えば、下記一般式(1)で示されるもの、下記一般式(2)で示されるもの、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体が挙げられる。
【0021】
【化1】
[上記一般式(1)中、x及びyは1〜5の整数を示し、m及びnは分子量に依存する整数を示す。]
【0022】
上記一般式(1)に示すものとしては、例えば、x=3及びy=2であるアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体が挙げられる。
【0023】
【化2】
[上記一般式(2)中、v及びwは1〜5の整数を示し、p及びqは分子量に依存する整数を示す。]
【0024】
上記一般式(2)に示すものとしては、例えば、v=3及びw=2であるアミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体が挙げられる。
【0025】
第1剤に配合するアミノ変性シリコーンのアミノ含量(アミノ変性シリコーン中の窒素の含有量)は、例えば、0.2質量%以上3.0質量%以下であり、通常、0.7質量%以上2.2質量%以下のものを使用する。
【0026】
本実施形態の第1剤におけるアミノ変性シリコーンの配合量は、適宜設定されるべきものであるが、1質量%以上8質量%以下が良く、3質量%以上6質量%以下が好ましい。1質量%以上8質量%以下にすることで、毛先の纏まりと毛髪の保湿感に好ましい。
【0027】
本実施形態の第1剤に配合される任意原料は、公知の洗い流すトリートメント用原料から選ばれたものである。この任意原料は、両性界面活性剤、低級アルコール、多価アルコール、糖類、エステル油、油脂、脂肪酸、炭化水素、ロウ、シリコーン、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤などである。
【0028】
本実施形態の第1剤のpHは、4.0以上6.5以下であり、5.0以上6.0以下が好ましい。
【0029】
本実施形態に係る第1剤の剤型は、クリーム状である。当該クリーム状第1剤の粘度は、B型粘度計を使用して25℃、12rpmで計測した60秒後の値が例えば10000mPa・s以上30000mPa・s以下である。
【0030】
(第2剤)
本実施形態の第2剤は、高級アルコール(II)、カチオン界面活性剤(II)、及び高重合メチルポリシロキサンが水に配合されたクリーム状のものである(水の配合量は、例えば60質量%以上)。また、本実施形態の第2剤には、公知の洗い流すトリートメント用原料が任意原料として更に配合されていても良い。
【0031】
高級アルコール(II)は、粘度調整や毛髪の感触改善のために、本実施形態の第2剤に配合される。また、高級アルコール(II)をカチオン界面活性剤(II)と併用することで、第2剤の剤型をクリーム状にできる。
【0032】
高級アルコール(II)は、公知の高級アルコールであり、炭素数数16以上22以下のものが良い。高級アルコール(II)としては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコールなどの直鎖状飽和アルコール;オレイルアルコールなどの直鎖状不飽和アルコール;ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコールなどの分岐状飽和アルコール;が挙げられる。これらの高級アルコール(II)の中でも、第2剤における油滴の分散安定性の観点から、炭素数16以上22以下の直鎖状飽和アルコールが良く、セチルアルコール及びステアリルアルコールが好ましい。毛先の纏まりや保湿感を向上させるには、セチルアルコールが好ましい。
【0033】
高級アルコール(II)から選ばれた一種又は二種以上を、本実施形態の第2剤に配合すると良い。本実施形態の第2剤における高級アルコール(II)の配合量は、例えば3質量%以上10質量%以下であり、4質量%以上8質量%以下が良い。3質量%以上にすることで、粘度が高くなり、10質量%以下にすることで、油性感の抑制に好ましい。
【0034】
カチオン界面活性剤(II)は、髪質改善、油滴の分散のために本実施形態の第2剤に配合される。
【0035】
上記のカチオン界面活性剤(II)は、公知のカチオン界面活性剤である。カチオン界面活性剤(II)としては、例えば、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム等のモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩;塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム等のジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウム等の長鎖アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩;ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノプロピルアミド等の脂肪酸アミドアミン;が挙げられる。なお、上記「長鎖アルキル」とは、炭素数が8以上の直鎖状又は分枝状のアルキル基を意味し、その炭素数が16以上22以下であると皮膚への刺激の抑制や毛髪に付与する感触の観点から好ましい。
【0036】
本実施形態の第2剤におけるカチオン界面活性剤(II)の配合量は、適宜設定されるべきものであるが、例えば1質量%以上5質量%以下であり、2質量%以上4質量%以下が良い。1質量%以上にすることで、毛髪の感触改善に好ましく、5質量%以下にすることで、皮膚刺激の抑制に好ましい。
【0037】
高重合メチルポリシロキサンは、毛先の纏まりと毛髪の保湿感を高めるために本実施形態の第2剤に配合される。
【0038】
高重合メチルポリシロキサンは、下記一般式(3)で表される直鎖状のものである。
【化3】
[上記一般式(3)において、rは、平均重合度が650以上であることを表す。]
【0039】
上記高重合メチルポリシロキサンは、例えば、デカメチルシクロペンタシロキサンに15質量%含ませたときの粘度が4000mPa・s以上10000mPa・s以下になるものを使用する(その粘度は、B型粘度計を使用し、25℃、ローターNo.4、ローター回転数60rpm、計測開始から60秒後の値を採用する。)。そのような粘度範囲となる高重合メチルポリシロキサンを15質量%含有するデカメチルシクロペンタシロキサン混合物として市販のものとしては、信越化学工業株式会社製の「KF−9014」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製の「XF49−601」及び「XF49−A3818」等が挙げられる。
【0040】
本実施形態の第2剤における高重合メチルポリシロキサンの配合量は、適宜設定されるべきものであるが、1質量%以上4質量%以下が良く、2質量%以上3質量%以下が好ましい。1質量%以上4質量%以下にすることで、毛先の纏まりと毛髪の保湿感に好ましい。
【0041】
本実施形態の第2剤に配合される任意原料は、公知の洗い流すトリートメント用原料から選ばれたものである。この任意原料は、両性界面活性剤、低級アルコール、多価アルコール、糖類、エステル油、油脂、脂肪酸、炭化水素、ロウ、シリコーン、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤などである。
【0042】
本実施形態の第2剤のpHは、4.0以上6.5以下であり、5.0以上6.0以下が好ましい。
【0043】
本実施形態に係る第2剤の剤型は、クリーム状である。当該クリーム状第2剤の粘度は、B型粘度計を使用して25℃、12rpmで計測した60秒後の値が例えば10000mPa・s以上30000mPa・s以下が良い。
【0044】
(多剤式毛髪処理剤)
本実施形態の多剤式毛髪処理剤は、第1剤を毛髪に塗布し、洗い流すことなく、続けて第2剤を塗布してから、洗い流すものである。本実施形態の多剤式毛髪処理剤は、一種又は二種以上の剤を更に備えていても良い。例えば、毛髪に第1剤を塗布する前に使用するものであって、毛髪を洗浄するためのシャンプー(当該シャンプーにおけるアニオン界面活性剤の配合量は3質量%以上)、頭皮や頭髪の状態を改善するためのトリートメントなどの前処理剤が挙げられる。
【0045】
上記前処理剤としてより具体的なものとしては、二酸化炭素を含有する泡状組成物が挙げられる。当該組成物は、アニオン界面活性剤が無配合又は2質量%以下(好ましくは1質量%以下)であり、原液と二酸化炭素が耐圧容器に充填された発泡性エアゾール製品から吐出されるものが典型例である。そして、当該組成物は、原液が低粘度であったとしても、泡状であるから、頭髪及び頭皮全体に塗布し易いものとなる。また、二酸化炭素を含有するので、頭髪量が多いとの印象を与えるための毛髪の根元の立ち上がりが向上する。
【0046】
上記発泡性エアゾール製品の原液は、脂肪酸アミドアミン及び高級アルコールを水と配合したものが良い(水の配合量は、例えば80質量%以上)。また、その原液には、公知の洗い流すトリートメント用原料が任意原料として更に配合されていても良い。
【0047】
上記原液に配合される脂肪酸アミドアミンは、毛髪の感触を向上させるだけではなく、4級アンモニウム塩に比して金属製耐圧容器の腐食の原因となり難い。当該脂肪酸アミドアミンは、公知の脂肪酸アミドアミンから選ばれるものであり、下記式(4)で表される脂肪酸アミドアミンが良い。
R
1−CO−NH−(CH)
S−NR
2R
3 (4)
[上記一般式(4)において、R
1、s、R
2、及びR
3は、以下の通りである。R
1は、炭素数11以上25以下(炭素数15以上21以下でもよい。)の炭化水素基又はヒドロキシ炭化水素基を表す。このR
1は、飽和又は不飽和のものであり、また、直鎖状又は分岐鎖状のものである。sは、1以上4以下(2以上3以下でもよい。)の整数を表す。R
2は、炭素数3以下(炭素数2以下でもよい。)のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を表す。このR
2は、直鎖状又は分岐鎖状のものである。R
3は、炭素数3以下(炭素数2以下でも良い。)のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を表す。このR
3は、直鎖状又は分岐鎖状のものである。]
【0048】
上記一般式(4)で表される脂肪酸アミドアミンとしては、例えば、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド、イソステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、リノール酸ジメチルアミノプロピルアミド、リシノレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ヒドロキシステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸N,N−ジヒドロキシメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノエチルアミド、オレイン酸ジエチルアミノエチルアミド、リノール酸ジエチルアミノエチルアミド、リシノレイン酸ジエチルアミノエチルアミド、イソステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ヒドロキシステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸N,N−ジヒドロキシエチルアミノエチルアミド、ラウリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジエチルアミノプロピルアミド、リノール酸ジエチルアミノプロピルアミド、リシノレイン酸ジエチルアミノプロピルアミド、イソステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ヒドロキシステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸N,N−ジヒドロキシエチルアミノプロピルアミドが挙げられる。
【0049】
原液には、一種又は二種以上の脂肪酸アミドアミンが配合される。また、原液における脂肪酸アミドアミンの配合量は、1質量%以上8質量%以下が良く、2質量%以上5質量%以下が好ましく、3質量%以上4質量%以下がより好ましい。1質量%以上であると、毛髪の感触向上に適し、8質量%以下であると、原液の低粘度化に適する。
【0050】
上記原液に配合される高級アルコールは、公知の高級アルコールであり、炭素数数16以上22以下のものが良い。この高級アルコールとしては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコールなどの直鎖状飽和アルコール;オレイルアルコールなどの直鎖状不飽和アルコール;ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、イソセチルアルコール、イソステアリルアルコールなどの分岐状飽和アルコール;が挙げられる。原液における油滴の分散安定性の観点から、炭素数16以上22以下の直鎖状飽和アルコールが良く、セチルアルコール及びステアリルアルコールが好ましい。また、原液の低粘度化のためには、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、ドデシルヘキサデカノールなどの特定の分岐アルコールの配合が適する。
【0051】
原液には、一種又は二種以上の高級アルコールが配合される。また、原液における高級アルコールの配合量は、1質量%以上10質量%以下が良く、2質量%以上8質量%以下が好ましく、4質量%以上6質量%以下がより好ましい。1質量%以上にすることで、原液粘度が適度に高まり、10質量%以下にすることで、原液粘度の過度な高まりが抑えられる。
【0052】
上記原液に配合される任意原料は、公知の洗い流すトリートメント用原料から選ばれたものである。この任意原料は、低級アルコール、多価アルコール、糖類、エステル油、油脂、脂肪酸、炭化水素、ロウ、シリコーン、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤などである。カチオン界面活性剤を配合しても良いが、金属製耐圧容器の腐食防止のため、1質量%以下が良く、0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。また、前処理剤を泡状にするには、ポリグリセリン−4ラウリルエーテルなどのノニオン界面活性剤の配合が適する。
【0053】
原液のpHは、5.0以上6.5以下が良い。5.0以上であれば、金属製の耐圧容器の腐食を抑制でき、6.5以下であれば、脂肪酸アミドアミンによる毛髪感触の向上を図れる。
【0054】
原液の粘度は、耐圧容器からの噴射を容易にする観点から、5000mPa・s以下が良い。ここで、粘度は、B型粘度計において粘度に応じて選定したロータを使用して、25℃で計測した60秒後の値を採用する。測定する際のロータ回転速度は、12rpmである。
【0055】
上記発泡性エアゾール製品において耐圧容器に充填される二酸化炭素は、その容器から原液を吐出させる。この二酸化炭素の耐圧容器における充填量は、例えば原液100質量部に対して0.5質量部以上1.0質量部以下である。
【0056】
また、耐圧容器には、当該容器から吐出される泡質を向上させるために、二酸化炭素と共に液化石油ガスを充填しても良い。液化石油ガスは、プロパンと、n−ブタン及び/又はi−ブタンとを含む。上記液化石油ガスの圧力は、適宜設定すべきであるが、20℃において0.15MPa以上0.35MPa以下が良く、0.15MPa以上0.30MPa以下が好ましく、0.15MPa以上0.25MPa以下がより好ましい。その圧力を0.15MPa以上にすることで、前処理剤の発泡性が良好となり、0.35MPa以下にすることで、形成した泡の持続性が良好となる。液化石油ガスの耐圧容器における充填量は、例えば原液100質量部に対して4質量部以上8質量部以下である。
【0057】
原液及び炭酸ガスが充填される上記耐圧容器として、発泡性エアゾール製品に用いられる公知の耐圧容器を採用でき、当該耐圧容器は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ブリキ、鋼などの金属等で形成されている。なお、この耐圧容器は、内面に樹脂層が積層されているもの、内部に内袋を有するものであってもよい。
【0058】
(使用方法)
本実施形態の多剤式毛髪処理剤は、上記の通り、毛髪に第1剤を塗布してから馴染ませ、その第1剤が塗布された状態の毛髪に第2剤を塗布してから馴染ませ、その後、第1剤及び第2剤を温水で毛髪から洗い流すと良い。このように使用すると、毛先の纏まりや毛髪の厚みが良好となる。
【0059】
また、上記二酸化炭素を含有する泡状前処理剤を使用する場合には、毛髪にその泡状前処理剤を塗布してから馴染ませ、毛髪を温水で洗浄した後に、第1剤及び第2剤を毛髪に塗布すると良い。このように使用すると、毛先の纏まりや毛髪の厚みが良好となる。
【実施例】
【0060】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0061】
(前処理剤)
泡状前処理剤を吐出する発泡性エアゾール製品を、原液:液化石油ガス(20℃の圧力が0.25MPa):二酸化炭素=100:6:0.8の質量比で耐圧容器に充填して製造した。充填した原液については、水と原料を配合し、pHを調整して製造した。その原料と配合濃度は、テトラグリセリンラウリルエーテル1質量%、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド2質量%、セタノール1質量%、ステアリルアルコール1質量%、オクチルドデカノール質量1%、マカデミアナッツ油1質量%、マカデミアナッツ脂肪酸エチル1質量%、ソルビトール0.9質量%、ラウリン酸スクロース0.1質量%、エタノール0.1質量%、フェノキシエタノール0.3質量%とした。また、原液のpHについては、乳酸を使用して5.7とした。
【0062】
(第1剤)
水と原料を配合することにより、実施例及び比較例のクリーム状第1剤(比較例3の第1剤のみジェル状)を製造した。このとき配合した原料と配合濃度は、下記表1〜5の通りである。また、これら第1剤のpHについては、乳酸、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、又はアルギニンを使用して4.5以上6.5以下の範囲内に調整した。
【0063】
(第2剤)
水と原料を配合することにより、実施例及び比較例のクリーム状第2剤を製造した。このとき配合した原料と配合濃度は、下記表1〜5の通りである。また、これら第2剤のpHについては、乳酸、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、又はアルギニンを使用して4.5以上6.5以下の範囲内に調整した。
【0064】
(毛髪処理)
事前にシャンプーで洗浄した日本人女性の頭髪に泡状前処理剤を塗布してから馴染ませ、毛髪を温水で洗浄した。その後、水が滴り落ちない程度にした毛髪に第1剤を塗布してから馴染ませ、その第1剤が塗布された状態の毛髪に第2剤を塗布してから馴染ませ、次いで、第1剤及び第2剤を温水で毛髪から洗い流した。その後に、毛髪を温風で乾燥させた。
【0065】
(評価)
毛髪処理後の乾燥させた毛髪について、3名以上の評価者により評価した。評価は、下記表1〜5毎に行ったものであり、同表に記載の基準と比べた優劣を評価者の総意によるものとした。下記表における評価の意義は、以下の通りである。
○:基準より優れる
―:基準と同等
×:基準より劣る
【0066】
下記表1には、目視して確認した「毛先の纏まり」と、保湿されているような感触である「保湿感」の評価結果を示す。下記表1での評価は、実施例1と比較例1aとの対比、実施例1と比較例1bとの対比を行ったものである。表1では、pHが6.5以下の範囲では、評価結果が優れていたことを確認できる
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
【表5】
【0072】
以下の通り、表1〜5の第1剤及び第2剤とは別に、第1剤及び第2剤を製造した。
【0073】
(第1剤)
水と原料を配合することにより、pH6.0、粘度が14000mPa・s程度のクリーム状第1剤を製造した。その原料と配合濃度は、セタノール6質量%、臭化セチルトリメチルアンモニウム3質量%、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体4質量%、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体0.8質量%、デカメチルシクロペンタシロキサン3質量%、フェノキシエタノール0.2質量%とした。pHについては、乳酸、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、又はアルギニンを使用して調整した。
【0074】
(第2剤)
水と原料を配合することにより、pH5.2、粘度が20000mPa・s程度のクリーム状第2剤を製造した。その原料と配合濃度は、セタノール8質量%、臭化セチルトリメチルアンモニウム3質量%、高重合メチルポリシロキサン3質量%、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体0.7質量%、デカメチルシクロペンタシロキサン10質量%、フェノキシエタノール0.2質量%とした。pHについては、乳酸、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、又はアルギニンを使用して調整した。
【0075】
実施例1で使用した前処理剤と、上記別途製造した第1剤及び第2剤を使用して、毛髪処理及び評価を行った。
【0076】
下記表6は、実施例1と同様に行った実施例6aの評価と、前処理剤の使用を省略した実施例6bの評価を示すものである。表6の通り、前処理剤の使用により、頭髪量が多いとの印象を与えるための毛髪の「根元の立ち上がり」の向上を確認できる。
【0077】
【表6】
【0078】
下記表7は、実施例1と同様に行った実施例7の評価と、前処理剤から第2剤塗布の間の温水洗浄を第1剤の塗布と第2剤の塗布の間に変更した比較例7の評価を示すものである。表7の通り、第1剤と第2剤の連続塗布が「毛先の纏まり」と、毛髪全体がコーティングされているような感触である「毛髪の厚み」に優れていたことを確認できる。
【0079】
【表7】