(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
図1〜
図7を参照して、第1実施形態に係るカラオケ装置1について説明する。
【0014】
==カラオケ装置==
(ハードウェア構成)
カラオケ装置1は、カラオケ演奏及び歌唱者が歌唱を行うための装置である。
図1に示すように、カラオケ装置1は、カラオケ本体10、スピーカ20、表示装置30、マイク40、及びリモコン装置50を備える。カラオケ装置1は、通信回線を介してサーバ(図示なし)と通信可能に接続され、カラオケシステムを構築する。
【0015】
スピーカ20はカラオケ本体10からの放音信号に基づいて放音するための構成である。表示装置30はカラオケ本体10からの信号に基づいて映像や画像を画面に表示するための構成である。マイク40は歌唱者の音声(歌唱音声)をアナログの音声信号に変換してカラオケ本体10に入力するための構成である。リモコン装置50は、カラオケ本体10に対する各種操作をおこなうための装置である。歌唱者はリモコン装置50を用いてカラオケ装置1の起動、楽曲の予約等を行うことができる。
【0016】
カラオケ本体10は、選択された楽曲の演奏制御、歌詞および背景映像の表示制御、マイク40を通じて入力された歌唱音声信号の処理といった、カラオケ歌唱に関する各種の制御を行う。
図2はカラオケ本体10のハードウェア構成例を示す図である。カラオケ本体10は、制御部11、通信部12、記憶部13、音響処理部14、表示処理部15及び操作部16を備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0017】
制御部11は、CPU11aおよびメモリ11bを備える。CPU11aは、メモリ11bに記憶された動作プログラムを実行することにより各種の制御機能を実現する。メモリ11bは、CPU11aに実行されるプログラムを記憶したり、プログラムの実行時に各種情報を一時的に記憶したりする記憶装置である。
【0018】
通信部12は、ルーター(図示なし)を介してカラオケ本体10を通信回線に接続するためのインタフェースを提供する。
【0019】
記憶部13は、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置であり、たとえばハードディスクドライブなどである。
【0020】
記憶部13は、複数の楽曲データを記憶する。楽曲データは、カラオケ装置1によりカラオケ演奏を行うためのデータである。カラオケ装置1が楽曲データに基づいて楽曲を演奏することにより、歌唱者はカラオケの歌唱が可能となる。楽曲データは、楽曲毎に所定のID(楽曲ID)が付与されている。
【0021】
楽曲データは、MIDIデータ、歌詞データ、リファレンスデータ等が含まれる。MIDIデータは、電子楽器の音源を自動演奏させるためのカラオケ演奏データであり、時系列のノート情報によって構成される。ノート情報は、たとえば発音や消音のタイミング、キーの押圧力、音の高さ、再生ピッチ等を制御する各種の命令によって構成される。歌詞データは、カラオケ楽曲における歌詞テロップを表示装置30に表示させるための文字列データである。歌詞データは、楽曲毎に予め設定されている。リファレンスデータは、利用者によるカラオケ歌唱を採点する際の基準となるデータであり、ヴォーカルの音高を表す時系列の音高情報によって構成されている。
【0022】
ここで、それぞれの楽曲データには、属性情報が含まれている。属性情報は、当該楽曲の区分を示すものであり、たとえば、歌手名、楽曲のジャンル(ポップス、ロック、演歌、アニメ等)、歌唱者性別(男性、女性、デュエット)、年代(70年代、80年代・・・・2010年代)等である。一の楽曲データには少なくとも一の属性情報が含まれている。
【0023】
また、記憶部13は、カラオケ演奏時に表示装置30に表示される背景画像やキャラクタ等の映像データを記憶する。
【0024】
なお、本実施形態に係るカラオケ装置1において使用される楽曲データや映像データは、記憶部13に記憶されているものではなく、サーバ(図示なし)から直接取得したデータであってもよい。
【0025】
音響処理部14は、制御部11の制御に基づき、カラオケ楽曲に対する演奏の制御およびマイク40を通じて入力された音声信号の処理を行う。音響処理部14は、たとえばMIDI音源、ミキサ、アンプ(いずれも図示なし)を含む。MIDI音源は、楽曲データに基づいて楽音信号を生成する。ミキサは、当該音楽信号およびマイク40から出力される音声信号を適当な比率でミキシングしてアンプに出力する。アンプは、ミキサからのミキシング信号を増幅し、放音信号としてスピーカ20へ出力する。これにより、スピーカ20からは放音信号に基づくカラオケ演奏音およびマイク40からの歌唱音声が放音される。
【0026】
表示処理部15は、制御部11の制御に基づき、表示装置30における各種表示に関する処理を行う。たとえば、表示処理部15は、カラオケ演奏時における背景映像に歌詞テロップが重ねられた映像を表示装置30に表示させる制御を行う。また、本実施形態に係る表示処理部15は、制御部11の制御に基づき、所定のアイコンを表示装置30やリモコン装置50のディスプレイに表示させる(詳細は後述)。表示装置30やリモコン装置50のディスプレイは「表示部」の一例である。
【0027】
操作部16は、パネルスイッチおよびリモコン受信回路などからなり、歌唱者によるカラオケ装置1のパネルスイッチあるいはリモコン装置50の操作に応じて予約信号、中止信号などの操作信号を制御部11に対して出力する。制御部11は、操作部16からの操作信号を検出し、対応する処理を実行する。
【0028】
(ソフトウェア構成)
図3はカラオケ本体10のソフトウェア構成例を示す図である。カラオケ本体10は、
属性情報抽出部100と、比較部200と、アイコン制御部300と、モード制御部400とを備える。
【0029】
制御部11は、所定のプログラムを実行することにより、属性情報抽出部100、比較部200、アイコン制御部300、及びモード制御部400として機能する。
【0030】
属性情報抽出部100は、所定期間に演奏された複数の楽曲から、共通する属性情報を抽出する。所定期間は任意の値(たとえば、カラオケ開始から30分間、或いはカラオケ開始から5曲演奏される期間)とすることができる。所定期間は、カラオケ装置1毎に予め設定されていてもよいし、リモコン装置50等を介して都度設定することでもよい。
【0031】
具体例として、各歌唱者が、楽曲A(属性情報:アニメ)、楽曲B(属性情報:演歌)、楽曲C(属性情報:ロック)、楽曲D(属性情報:アニメ)、楽曲E(属性情報:アニメ)、楽曲F(属性情報:ポップス)、楽曲G(属性情報:ポップス)、楽曲H(属性情報:アニメ)、楽曲I(属性情報:演歌)、楽曲J(属性情報:ロック)の順で選曲を行ったとする。また、所定期間として「カラオケ開始から30分間」と設定されていたとする。
【0032】
カラオケ装置1により演奏された楽曲の楽曲データは、メモリ11b等に一時的に記憶される。
【0033】
カラオケ開始から30分が経過した場合、属性情報抽出部100は、その時点でメモリ11bに記憶された楽曲(この例では楽曲A〜楽曲Eまで歌唱されたとする)から共通する属性情報「アニメ」を抽出する。共通する属性情報は、所定期間に演奏された全ての楽曲が有している必要はない。少なくとも2つの楽曲が同じ属性情報を有する場合、当該属性情報は、共通する属性情報として抽出の対象となる。
【0034】
なお、共通する属性情報が複数種ある場合、属性情報抽出部100は、それぞれの属性情報を別々に抽出してもよいし、複数の属性情報を紐づけて一の属性情報として抽出してもよい。たとえば、楽曲K(属性情報:アニメ、80年代)、楽曲L(属性情報:演歌、90年代)、楽曲M(属性情報:ロック、90年代)、楽曲N(属性情報:アニメ、80年代)、楽曲O(属性情報:アニメ、2000年代)の場合、属性情報抽出部100は、「アニメ」、「80年代」、「90年代」それぞれを個別の属性情報として抽出する。或いは、属性情報抽出部100は、「アニメ」と「80年代」を紐づけて一つの属性情報(「アニメ+80年代」)として抽出する。
【0035】
比較部200は、抽出された属性情報の割合と閾値とを比較する。
【0036】
「属性情報の割合」とは、所定期間に演奏された全楽曲のうち、共通する属性情報を含む楽曲の占める率である。「閾値」は、縛りモードに移行するかどうかの基準となる値である。閾値は、カラオケ装置1毎に予め設定されていてもよいし、リモコン装置50等を介して都度設定することでもよい。「縛りモード」は、リモコン装置50等で楽曲検索を行う場合に、所定の属性情報を含む楽曲のみを選曲可能とするモードである。縛りモードを選択することにより、歌唱者は所定の属性情報に対応する楽曲しか選曲できなくなるため、容易に縛りカラオケを行うことが可能となる。
【0037】
具体的には、比較部200は、抽出された属性情報の割合(たとえば、アニメを含む楽曲が70%)と閾値とを比較し、その結果をアイコン制御部300に送信する。抽出された属性情報が複数種ある場合、比較部200は、属性情報毎に閾値との比較を行う。この場合の閾値は、属性情報毎に設定されていてもよいし(たとえば、ジャンルの場合は80%、年代の場合は50%)、一の閾値を共通で用いてもよい。
【0038】
アイコン制御部300は、抽出された属性情報の割合が閾値以上の場合、表示処理部15を制御し、当該属性情報を含む楽曲のみを選曲可能とする縛りモードに移行するためのアイコンをリモコン装置50のディスプレイに表示させる。アイコン制御部300及び表示処理部15は、「表示制御部」の一例である。
【0039】
図4及び
図5は、リモコン装置50のディスプレイを示す図である。図では、ディスプレイ上に表示される各種アイコン等のうち、発明の説明に必要なものを中心に示している。またアイコン等のレイアウトは、図の例に限られない。
【0040】
抽出された属性情報の割合が閾値以上の場合、表示処理部15は、アイコン制御部300の指示に基づき、歌唱者に縛りモードへの移行を行うためのアイコンXをリモコン装置50のディスプレイに表示させる(
図4参照)。表示処理部15は、表示画面には縛りモードへの移行を提案するメッセージを表示させてもよい(
図4参照)。歌唱者がリモコン装置50等を介してアイコンXを選択することにより、縛りモードに移行する。アイコンXには、縛りに適用する属性情報(
図4では「アニメ」)が表示される。このように、縛りに適用する属性情報を表示させることにより、歌唱者はどのようなテーマの縛りモードに移行するのかを把握できる。操作部16及びリモコン装置50は、「入力部」の一例である。
【0041】
閾値以上の属性情報が複数種ある場合には、縛りモード移行用のアイコンを複数表示させることも可能である(
図5に示すアイコンY、アイコンZ)。また、ここでは、アイコンをリモコン装置50のディスプレイに表示させる例について述べたが、表示装置30のディスプレイに表示させることも可能であるし、両方のディスプレイに同じ表示を行うことも可能である。
【0042】
所定期間において属性情報が共通している楽曲の歌唱が行われている場合、意図せず縛りカラオケと似た状況が生じていることとなる。従って、縛りモードへの移行を視覚的に歌唱者に報知することで歌唱者が縛りカラオケを行うきっかけを提供できる。また、歌唱者にとっては、当該アイコンを選択するだけで、場の雰囲気に合った縛りカラオケを簡単に行うことができる。すなわち、口頭で縛りカラオケのテーマ設定等を行う必要がないため、気軽に縛りカラオケを行うことができる。また面識のない者同士でカラオケを行う場合(たとえば、カラオケ喫茶)にも、歌唱者同士の共通のジャンル等を把握できるため、それをきっかけに場の雰囲気を盛り上げることも可能となる。
【0043】
モード制御部400は、縛りモードにおける各種制御を行う。
図6A〜
図6Cは、リモコン装置50のディスプレイを示す図である。図では、ディスプレイ上に表示される各種アイコン等のうち、発明の説明に必要なものを中心に示している。またアイコン等のレイアウトは、図の例に限られない。
【0044】
図5において、アイコンXが選択された場合、モード制御部400は、表示処理部15を制御し、ディスプレイ上に縛りモード中である旨の表示αを行う(
図6A参照)。表示αがあることにより、歌唱者は現在どのような縛りモードにあるのかを容易に把握することができる。
【0045】
ここで、楽曲名の検索領域SAにおいて、たとえば「あ」が選択された場合、モード制御部400は、「あ」から始まる楽曲名のうち、縛りモードに対応する楽曲のみ(「あ」から始まる曲名を持つ、アニメの楽曲のみ)を表示させる。
【0046】
更には、モード制御部400は、縛りモードに移行した後、リモコン装置50等を介して新たな属性情報の入力があった場合、抽出された属性情報を含む楽曲であって、且つ新たな属性情報を含む楽曲のみを選曲可能とする。
【0047】
たとえば、歌唱者が
図6Aにおける「アニメ」の縛りモードにおいて、縛り条件追加アイコンHIを選択したとする。この場合、ディスプレイには、縛り条件として追加できる項目が表示される(
図6B参照)。ここで、歌唱者が新たな属性情報として「80年代」を選択した場合、モード制御部400は、「アニメ」且つ「80年代」の楽曲のみが検索対象となるようカラオケ装置1を制御する。すなわち、上記例において、楽曲名「あ」が選択された場合、モード制御部400は、曲名が「あ」から始まる楽曲のうち、先の縛りモードに対応する楽曲(アニメ)、且つ新たな属性情報を含む楽曲(80年代)のみを表示させる。この場合、ディスプレイの表示αには、「アニメ+80年代」という縛り条件が表示される(
図6C参照)。なお、一度に複数の属性情報を追加することも可能である(たとえば、
図6Bにおいて、80年代+タイアップあり)。或いは、一端、新たな属性情報を選択した後、更に属性情報を追加、或いは先に選択した属性情報を削除することも可能である。
【0048】
なお、縛りモードの解除は、たとえば、リモコン装置50のディスプレイに表示される解除アイコンCIを選択することで可能となる。モード制御部400は、解除アイコンCIの選択信号に基づいて縛りモードを解除し、全ての楽曲の検索を可能とする。
【0049】
==カラオケ装置1の動作について==
次に、
図7を参照して本実施形態に係るカラオケ装置1の動作の具体例について述べる。
図7は、カラオケ装置1の動作例を示すフローチャートである。
【0050】
各歌唱者は、リモコン装置50を介し、楽曲を選択する。リモコン装置50は、選択された楽曲に対応する楽曲IDをカラオケ本体10に送信する。カラオケ装置1は、登録された順に楽曲の演奏を行う。歌唱者は演奏に合わせてカラオケ歌唱を行う(楽曲の選択・歌唱。ステップ10)。演奏された楽曲は、順次、メモリ11bに記憶される。
【0051】
所定期間が経過した後、属性情報抽出部100は、その間に演奏された複数の楽曲から、共通する属性情報を抽出する(共通する属性情報の抽出。ステップ11)。
【0052】
比較部200は、ステップ11で抽出された属性情報の割合と閾値とを比較する(閾値との比較。ステップ12)。
【0053】
抽出された属性情報の割合が閾値以上の場合(ステップ13でYの場合)、アイコン制御部300は、表示処理部15を制御し、当該属性情報を含む楽曲のみを選曲可能とする縛りモードに移行するためのアイコンをリモコン装置50に表示させる(アイコンの表示。ステップ14)。
【0054】
歌唱者が当該アイコンを選択することにより、モード制御部400は、縛りモードを実行する(縛りモードへの移行。ステップ15)。
【0055】
一方、抽出された属性情報の割合が閾値より少ない場合(ステップ13でNの場合)、カラオケ装置1は、引き続き選択された楽曲の演奏を行う。
【0056】
このように、本実施形態に係るカラオケ装置1によれば、所定期間に歌唱された楽曲が共通する属性情報を有する場合に縛りモードへの移行が可能となるアイコンを視覚的に提供できる。歌唱者は、当該アイコンを選択するだけで、テーマ設定等の面倒な作業を行うことなく縛りカラオケを行うことができる。また、この場合の縛りモードのテーマはその場で歌唱された楽曲の属性情報に基づくため、場の雰囲気を壊すことがない。すなわち、歌唱者の求める縛りカラオケを行うことが可能となる。なお、本実施形態に係る複数の楽曲を歌唱する歌唱者は、一人でも複数人でもよい。縛りカラオケ自体は一人でも複数人でも楽しむことが可能である。
【0057】
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。