特許第6594076号(P6594076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594076
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/70 20060101AFI20191010BHJP
   E06B 9/17 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   E06B9/70
   E06B9/17 W
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-145069(P2015-145069)
(22)【出願日】2015年7月22日
(65)【公開番号】特開2017-25583(P2017-25583A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】重村 正和
(72)【発明者】
【氏名】和田 寿一
(72)【発明者】
【氏名】小林 正典
(72)【発明者】
【氏名】村上 勝彦
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−81494(JP,A)
【文献】 特開平1−294178(JP,A)
【文献】 実開昭48−92996(JP,U)
【文献】 特開2004−92438(JP,A)
【文献】 特開2005−127107(JP,A)
【文献】 特開2006−207789(JP,A)
【文献】 特開2000−192757(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0255689(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00−15/79
E06B 7/28
E06B 9/00
E06B 9/02
E06B 9/06−9/18
E06B 9/40−9/50
E06B 9/56−9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部の上縁近傍に設けられる開閉体収容部に内設され、前記建物開口部を開閉する開閉体を巻き取り繰り出し駆動するモータ部と、
前記モータ部の上方に配置され、前記モータ部と制御配線を介して接続されて前記モータ部の駆動を制御する制御部と、
前記モータ部と前記制御部とに亘って設けられ、前記制御部を前記モータ部と上下に重なる位置と前記制御部を前記開閉体の巻き取り中心軸に沿う方向へオフセットさせて前記制御部の下面の一部を下向きに露出させた位置とに配置する連結手段と、
を具備し
前記制御部は、前記オフセットされた位置で前記モータ部から外れた前記下面の一部に、被作業面を備えることを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉装置であって、
前記連結手段は、前記巻き取り中心軸に沿う方向に貫通する配線収容部を備え、前記配線収容部には少なくとも前記制御配線が収容されることを特徴とする開閉装置。
【請求項3】
請求項記載の開閉装置であって、
前記連結手段は、前記配線収容部の外面に現場施工配線を保持する配線保持部を有することを特徴とする開閉装置。
【請求項4】
請求項1または2または3記載の開閉装置であって、
前記連結手段は、前記巻き取り中心軸に沿う方向をスライド方向として延在するレール溝と、前記レール溝に係合する係合片と、を有することを特徴とする開閉装置。
【請求項5】
請求項4記載の開閉装置であって、
前記連結手段は、底板の長辺縁部から一対の側板部が起立し上方が開放されて形成される連結具を有し、連結具の一対の側板部の上端には、前記巻き取り中心軸に沿う方向をスライド方向として延在する前記レール溝を有し、前記制御部の下面における前記被作業面を挟む両側には前記レール溝に係合する前記係合片を有することを特徴とする開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッターカーテン等の開閉体を開閉駆動する開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャッター装置やオーバーヘッドドア等において、制御部等に対するメンテナンス性を向上させた開閉装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この開閉装置は、開閉機が、駆動軸側を巻取体の一端部の近傍に配置する。開閉機は、反駆動軸側を巻取体の他端方向へ向けて固定される。収納部の下面には、点検口と、該点検口を開放可能に閉鎖する閉鎖部材とが設けられる。制御部は、制御のための信号線接続部を少なくとも有する被作業面を、反駆動軸側へ向けて、開閉機の上部または下部に固定される。収納部内には、制御部の被作業面よりも反駆動軸側に、被作業面に対する作業を行うための作業空間が確保される。点検口は、開閉機及び作業空間を含む範囲に開口されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−81494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の開閉装置は、制御部が開閉機(モータ部)に固定されているため、設置後を考えて大きくすると、運搬や施工がしにくくなり、逆に小さくすると、使い勝手が悪くなる問題があった。通常、シャッター装置の施工やメンテナンスは、建物開口上部である開閉体収容部の下面に設けられた点検口から行う。制御部の被作業面は、下から点検口を通じての作業であるのに対し、横面(垂直面)が操作面となっており、且つ点検口からは奥方向(上方向)に位置しているため、作業性がとても悪い問題があった。
また、モータ部と制御部とを接続する配線や制御部に接続される各種配線が、明確な収納スペースや束ね方がなく、現場での施工の熟練度に頼っており、品質が悪いと、開閉体などに引っ掛かることでの断線や、雨水による漏電などが発生する虞があった。また、束ね方も施工時に任されることでそれぞれであり、粘着テープなどを使用すると作業が煩雑な上、メンテナンスもし難い問題があった。
【0005】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、梱包、運搬、設置時に各作業等において作業をし易くでき、また、設置時及び設置後においての作業性、メンテナンス性など使いやすくできる開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の開閉装置11は、建物開口部15の上縁近傍に設けられる開閉体収容部19に内設され、前記建物開口部15を開閉する開閉体17を巻き取り繰り出し駆動するモータ部37と、
前記モータ部37の上方に配置され、前記モータ部37と制御配線53を介して接続されて前記モータ部37の駆動を制御する制御部39と、
前記モータ部37と前記制御部39とに亘って設けられ、前記制御部39を前記モータ部37と上下に重なる位置と前記制御部39を前記開閉体17の巻き取り中心軸に沿う方向へオフセットさせて前記制御部39の下面の一部を下向きに露出させた位置とに配置する連結手段と、
を具備する。
【0007】
この開閉装置11では、制御部39が、梱包、運搬、設置時に、モータ部37と上下に重なる位置で配置され、巻き取り中心軸に沿う方向の寸法が小さくなる。開閉装置11は、開閉体収容部19へ搬入し、モータ部37が固定された後には、制御部39が開閉体17の巻き取り中心軸に沿う方向へ移動してモータ部37に対しオフセットした位置に配置される。制御部39は、このオフセットした位置で、下面の一部がモータ部37からはみ出した位置となり、下方からのアクセスが可能となる。
【0008】
本発明の請求項記載の開閉装置11は、上記の開閉装置11であって、
前記連結手段は、前記巻き取り中心軸に沿う方向をスライド方向として延在するレール溝93と、前記レール溝93に係合する係合片91と、を有することを特徴とする。
本発明の請求項5記載の開閉装置は、上記連結手段は、底板の長辺縁部から一対の側板部が起立し上方が開放されて形成される連結具を有し、連結具の一対の側板部の上端には、前記巻き取り中心軸に沿う方向をスライド方向として延在する前記レール溝を有し、前記制御部の下面における前記被作業面を挟む両側には前記レール溝に係合する前記係合片を有することを特徴とする。
【0009】
この開閉装置11では、モータ部37と制御部39の何れか一方にレール溝93が設けられ、このレール溝93に係合する係合片91が、モータ部37と制御部39の何れか他方に設けられる。制御部39は、これらレール溝93と係合片91とが摺動することで、スライド自在となってモータ部37とともに巻き取り中心軸に沿う方向に伸び縮みが可能となる。レール溝93は、例えば板金材からなる連結手段の側板にコ字形状の折り曲げ部を形成することで容易に得ることができる。係合片91は、例えば制御部39の下面におけるレール溝93に対応する平行な縁部に形成される鍔状部として容易に得ることができる。
【0010】
本発明の請求項記載の開閉装置11は、上記の開閉装置11であって、
前記制御部39は、前記オフセットされた位置で前記モータ部37から外れた前記下面の一部に、被作業面63を備えることを特徴とする。
【0011】
この開閉装置11では、制御部39がモータ部37に対して開閉体17の巻き取り中心軸に沿う方向へオフセットされた位置とされ、モータ部37から外れた下面の一部に、制御部39の被作業面63が配置される。すなわち、被作業面63は、梱包、運搬、設置時には、モータ部37に重ねられた状態に覆われて保護される。一方、被作業面63は、モータ部37が固定された後には、モータ部37に対してスライドするなど開閉体17の巻き取り中心軸に沿う方向へオフセットされた位置に配置されることで露出して操作が可能となる。開閉装置11は、開閉体収容部19の下板45近傍に配置されることから、この下板45に設けられた点検口57からアクセスされる。この際、被作業面63は、下面に配置されているので、点検口57に向くこととなり、この点検口57の入口近傍でアクセスが容易に可能となる。従来装置のように、垂直面に設けられることにより、点検口57の奥まで頭や手を入れて操作する必要がなく、施工時の設定や、運用後の調整、メンテナンス等が容易に行えるようになる。
【0012】
本発明の請求項記載の開閉装置11は、上記の開閉装置11であって、
前記連結手段は、前記巻き取り中心軸に沿う方向に貫通する配線収容部115を備え、前記配線収容部115には少なくとも前記制御配線53が収容されることを特徴とする。
【0013】
この開閉装置11では、制御部39がモータ部37に対して、開閉体17の巻き取り中心軸に沿う方向へオフセットされた位置となる。この制御部39とモータ部37とに亘って配置される連結手段には、巻き取り中心軸に沿う方向に貫通する配線収容部115が設けられる。制御部39とモータ部37とは、制御配線53によって接続される。この制御配線53は、配線収容部115に収容される。制御配線53は、余長を有して配索されることで、制御部39のオフセット位置への移動を阻害することがない。これにより、制御配線53は、連結手段の内方に収容されて、開閉体17などに引っ掛かることでの断線や、雨水による漏電などが発生しなくなる。
【0014】
本発明の請求項記載の開閉装置11は、上記の開閉装置11であって、
前記連結手段は、前記配線収容部115の外面に現場施工配線29を保持する配線保持部121を有することを特徴とする。
【0015】
この開閉装置11では、現場にて配索される現場施工配線29が、連結手段の外面に設けられた配線保持部121によって保持される。つまり、工場で結線する配線スペースと、現場で結線する配線スペースとを分けることができる。これにより、工場で予め結線する制御配線53は連結手段の内部側、現場にて結線する現場施工配線29は連結手段の外部側にそれぞれ収納、保持できる。これにより、配線をし易く、分かりやすくし、作業性、メンテナンス性の向上を図れ、且つ開閉体17などに引っ掛かることでの断線や、雨水による漏電などが発生しなくなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る請求項1記載の開閉装置によれば、モータ部と制御部とを上下に重なる位置に配置する形態と、モータ部と制御部とを巻き取り中心軸に沿う方向へ制御部がモータ部に対してオフセットした位置とする形態との2形態にできることで、開閉装置として全体を伸び縮みするような形状にでき、これにより、梱包、運搬、設置時にはコンパクトにしてこれら作業をし易くでき、また、設置後には必要な面である制御部下面の一部を大きく露出させて使いやすくできる。
【0017】
本発明に係る請求項4または5記載の開閉装置によれば、レール溝と係合片とのスライド構造によって、開閉装置全体を簡素且つ安価な構造で巻き取り中心軸に沿う方向で伸び縮み可能とすることができる。
【0018】
本発明に係る請求項記載の開閉装置によれば、設置時及び設置後に、制御部の被作業面がモータ部から外れた下面の一部に配置され、これにより、被作業面は露出して操作が可能となり、そして、この被作業面は、下面に配置されているので、開閉体収容部の点検口に向くこととなり、この点検口の入口近傍でアクセスが容易に可能となり、制御部への設定作業や、メンテナンス時における制御値などの調整を行いやすくできる。また、被作業面は、梱包、運搬、設置時には、モータ部に重ねられた状態に覆われることになり、すなわち保護されることとなる。
【0019】
本発明に係る請求項記載の開閉装置によれば、連結手段に備えられる配線収容部に、制御部とモータ部とを接続する制御配線を収容することができ、これにより、制御配線は、開閉体などに引っ掛かることでの断線などが発生しなくなり、また、制御配線の判別を容易にして、メンテナンス性を向上させることができる。
【0020】
本発明に係る請求項記載の開閉装置によれば、連結手段の配線収容部の外面に配線保持部を備えることで、現場施工配線を保持させることができ、すなわち、工場で結線する配線スペースと、現場で結線する配線スペースとを分けることができる。これにより、工場で予め結線する制御配線は連結手段の内部側、現場にて結線する現場施工配線は連結手段の外部側にそれぞれ収納、保持でき、各種配線をし易く、分かりやすくし、施工品質を一定に保つことができるとともに、作業性、メンテナンス性の向上を図れ、且つ開閉体などに引っ掛かることでの断線などが発生しなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る開閉装置を備えるシャッター装置の正面図である。
図2図1に示した開閉装置の正面図である。
図3】開閉体収容部に設けられた開閉装置の斜視図である。
図4】制御部の下面図である。
図5】連結手段を構成する連結具の斜視図である。
図6】開閉装置の側面図である。
図7】梱包時における開閉装置の斜視図である。
図8】施工時における開閉装置の側面図である。
図9】現場施工配線の接続時を表す開閉装置の下面図である。
図10】変形例に係る配線保持部を備えた連結具の斜視図である。
図11】他の変形例に係る配線保持部を備えた連結具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係る開閉装置11を備えるシャッター装置13の正面図である。
本実施形態に係る開閉装置11は、住宅やビル、倉庫、工場、商業施設などの建物開口部15に設置されるシャッター装置13に好適に用いることができる。開閉装置11は、この他、車両の荷台などに設けられる開閉体にも適用可能なものである。
【0023】
シャッター装置13は、建物開口部15を開閉する開閉体としてのシャッターカーテン17が、建物躯体に配設された開閉体収容部19に対し、巻き取り・繰り出される。開閉体収容部19は、建物開口部15の上縁近傍、例えばまぐさに沿って設けられる。建物開口部15を昇降するシャッターカーテン17は、左右(図1の左右)の壁部21に固定されたガイドレール23によってガイドされて昇降する。開閉体収容部19は、一対のブラケット25によって左右両側部が建物躯体に固定されるとともに、巻取シャフト27、開閉装置11を有している。開閉装置11には、現場施工配線29である電源配線、複数のセンサ用配線31、操作スイッチ用配線33などが現場施工により接続される。電源配線は、建物分電盤からの商用電源と接続される。センサ用配線31は、例えば上下限リミットスイッチ、急降下停止用スイッチ、ビームセンサなどと接続される。操作スイッチ用配線33は、壁部21に取り付けられる操作スイッチパネル35と接続される。
【0024】
図2図1に示した開閉装置11の正面図である。
本実施形態に係る開閉装置11は、モータ部37と、制御部39と、連結手段と、を主要な構成として有する。開閉装置11は、左右勝手により一対のブラケット25の何れか一方に固定される。開閉装置11は、開閉体収容部19の開閉体収容部外側板43や開閉体収容部下板45などによって覆われる。
【0025】
モータ部37は、軸線方向がシャッターカーテン17の巻き取り中心軸に沿う方向となった略円柱形状となる。巻取シャフト27の一端側(図2の右端側)にはシャフトスプロケット47(図3参照)が固定される。モータ部37の一端側には、駆動軸が突出する。駆動軸には、駆動ギア49(図2参照)が固定される。駆動ギア49とシャフトスプロケット47とには、駆動力伝達チェーン51が掛け渡される。これにより、巻取シャフト27は、モータ部37からの回転駆動力が伝達されることで正逆回転される。すなわち、モータ部37は、開閉体収容部19に内設され、建物開口部15を開閉するシャッターカーテン17を、巻取シャフト27の回転によって、巻き取り繰り出し駆動する。
【0026】
制御部39は、モータ部37の上方に配置される。制御部39は、モータ部37と制御配線53を介して接続されて、モータ部37の駆動を制御する。制御部39とモータ部37とは、後述する連結具41の内部に挿通された制御配線53によって結線される。また、制御部39には、電源配線、センサ用配線、操作スイッチ用配線などの現場施工配線29がコネクタによって接続される。
【0027】
図3は開閉体収容部19に設けられた開閉装置11の斜視図である。
開閉装置11には、停電時の手動巻き上げ具としてのチェーン55を備える。このチェーン55は、開閉体収容部下板45に設けられる点検口57の近傍に設置された掛金具を介して常備状態で保管される。
【0028】
図4は制御部39の下面図である。
制御部39は、略直方体形状に形成される。この制御部39は、長手方向がモータ部37の軸線に沿う方向となって、モータ部37の上方に配置される。すなわち、モータ部37、制御部39は、長手方向がシャッターカーテン17の巻き取り中心軸に沿うようにして配置される。制御部39は、他端側(図4の左端側)に、電源入力ブレーカ59のブレーカスイッチ61が配置されている。
【0029】
制御部39は、モータ部37に対してオフセットされた位置(図2に示す位置)で、モータ部37から外れた下面の一部に、被作業面63を備える。被作業面63は、操作部65とコネクタ接続部67と、からなる。操作部65には、状態表示部69、設定スイッチ71、ディップスイッチ73などの各種スイッチ類が設けられている。コネクタ接続部67には、ビームセンサ入力コネクタ75、エマーゼンシスイッチ入力コネクタ77、急降下停止装置入力コネクタ79などの各種コネクタ類が設けられている。また、コネクタ接続部67には、モータ接続部81が隣接して配設される。このモータ接続部81は、制御部39がオフセットされた位置となってもモータ部37から外れた位置とはならず、露出しない。モータ接続部81には、モータ出力コネクタ83、サーマル入力コネクタ85、ブレーキ出力コネクタ87などの各種コネクタ類が設けられている。このモータ接続部81は、モータ部37からの制御配線53がコネクタ接続される。また、制御部39の下面には、モータ接続部81を挟んで被作業面63の反対側に、アース端子89が設けられている。このアース端子89は、モータ部37のアース配線が予め工場にて接続される。
【0030】
また、制御部39の下面には、被作業面63を挟む両側に、一対の係合片91が突条状に形成され設けられている。これら係合片91は、後述のレール溝93とともに連結手段を構成し、このレール溝93に係合する。また、この係合片91は、途中が複数箇所で切欠によって切り欠かれている。
【0031】
図5は連結手段を構成する連結具の斜視図である。
連結手段は、本実施形態では、制御部39に設けられる一対の係合片91と、この係合片91に係合するレール溝93とからなるとともに、このレール溝93を具備する連結具41とからなる。
連結具41は、モータ部37と制御部39とに亘って設けられる。この連結具41は、レール溝93と係合片91とで、制御部39を、モータ部37と上下に重なる位置と、制御部39をシャッターカーテン17の巻き取り中心軸に沿う方向へオフセットさせて制御部39の下面の一部である被作業面63を下向きに露出させた位置と、に配置する。
【0032】
連結具41は、長手方向の寸法が、制御部39の長手方向の寸法の略半分で形成されている(図6参照)。連結具41は、制御部39のスライド方向に延在する一対のレール溝93を上縁に有する。このレール溝93は、上記の制御部39に設けられた一対の係合片91とスライド自在に係合する。なお、本明細書中、スライド方向の前側とは、オフセット側を言う。連結具41は、底板95の長辺縁部から一対の側板部97が起立し、上方が開放されて形成される。連結具41は、例えば金属板を板金加工して形成される。この他、連結具41は、樹脂材を成形したものであってもよい。レール溝93は、一対の側板部97の上端を、双方の開口側を対向させたコ字状の溝として形成されている。底板95には、一対のモータ固定板99が突出して設けられている。モータ固定板99は、モータ部37にビスによって締結固定される。
【0033】
このモータ固定板99には、一対のビス固定穴101が穿設される。このビス固定穴101は、モータ部37に形成される連結具固定穴(図示略)にモータ固定ビス103(図6参照)によって固定される。連結具固定穴は、他の形状・仕様のモータ部においても、共通位置で設けられている。したがって、連結具41は、モータ部37の規格が異なる構成の場合であっても、共通の部材として全てのモータ部に固定でき、制御部39をスライド自在に取り付けできる。つまり、連結具41は、汎用性を有している。
【0034】
一対のレール溝93には、一対の係合片91のそれぞれが挿入される。制御部39は、このモータ部37に固定された連結具41を介して、モータ部37に対し、レール溝93に沿う方向でスライド自在となる。レール溝93には、スライド規制ネジ用穴105が設けられている。制御部39の一対の係合片91には、図4に示すように、電源入力ブレーカ側から、梱包時固定用切欠107、使用時固定用切欠109が設けられている。
【0035】
制御部39は、梱包時に、モータ部37と重ねられた状態で、スライド規制ネジ用穴105に螺合されたスライド規制ネジ111(図6参照)が、梱包時固定用切欠107に係合して、スライドが規制される。制御部39は、使用時に、モータ部37とオフセットされた状態で、スライド規制ネジ用穴105に螺合されたスライド規制ネジ111(図8参照)が、使用時固定用切欠109に係合して、スライドが規制される。
【0036】
制御部39には、係合片91のスライド方向両端に、スライドストッパ片113(図6参照)が設けられている。制御部39は、オフセット位置よりもさらに前側へスライドされると、一方(スライド方向後端)のスライドストッパ片113がレール溝端部に当接してそれ以上のスライドが規制される(図8の状態参照)。また、制御部39は、モータ部37と重ねられた位置からさらにオフセット位置と反対側にスライドされると、他方のスライドストッパ片113(スライド方向前端)がレール溝端部に当接してそれ以上のスライドが規制される(図6の状態参照)。
【0037】
本実施形態において、連結具41は、巻き取り中心軸に沿う方向に貫通する配線収容部115を備える。この配線収容部115には、少なくとも制御部39とモータ部37とを接続する制御配線53が収容される。この制御配線53は、現場への出荷前に予め工場で配索される。この制御配線53は、余長を有することで、オフセット位置となる制御部39のスライドを許容する。連結具41には、制御部39の進出方向側の端部に、アース線接続用穴117が設けられる。アース線接続用穴117には、アース端子用ビス119(図6参照)が螺合される。なお、本発明に係る連結手段は、この配線収容部115を備えないものであってもよい。
【0038】
連結具41は、配線収容部115の外面となる側板部97の外面に現場施工配線29を保持する複数の配線保持部121を有する。配線保持部121は、例えば結束バンド116用の複数の挿通穴123として穿設される。配線保持部121は、結束バンド116によって束ねた電線が固定されるクリップ(図示略)の装着穴であってもよい。この種のクリップには、被取付板に固定するための弾性係止片を有する脚部が設けられる。配線保持部121は、この脚部が係止する丸穴125であってもよい。
【0039】
配線は、制御部39とモータ部37とを接続する制御配線53、制御部39と各種センサとを接続する現場施工配線29など、多数あるが、従来では現場での作業者任せであった。また、多数の配線をそれぞれを施工現場で組み合わせて結線することは、高所作業でもあり、煩雑であった。そのため、施工品質の安定化が課題となっていた。そこで、本発明の開閉装置11では、連結具41に、これら配線を区別して収容するための機能を付加している。すなわち、連結具41は、内方に制御配線53を収容する配線収容部115を備え、外方に現場施工配線29を保持する配線保持部121を備えている。
【0040】
図6は開閉装置11の側面図である。
開閉装置11は、制御部39とモータ部37とが制御配線53によって接続された状態で、工場より梱包されて出荷される。開閉装置11は、梱包時、図6に示すように、モータ部37と制御部39とが上下に重ねられた状態に配置される。モータ部37と制御部39とは、単体での長手方向の寸法がほぼ同じとなる。開閉装置11は、梱包時、単体での長手方向の寸法と同じとなるように、コンパクトに縮められる。これにより、縦横の長さ方向で大きく突出するような外形状とならず、略矩形状の最小の梱包材127によってコンパクトに収容することができる。
【0041】
図7は梱包時における開閉装置11の斜視図である。
開閉装置11は、施工現場に到着の後、梱包材127から開梱される。開閉装置11は、図7に示すそのままの状態で、開閉体収容部19の内方へ搬入される。これにより、開閉装置11は、コンパクトな状態のままで、高所での作業が容易となる。この状態で、開閉装置11は、モータ部37の固定基板129が、ブラケット25にボルト固定される。
【0042】
図8は施工時における開閉装置11の側面図である。
開閉装置11は、モータ部37が固定され、ブラケット25を介して建物躯体側への支持が完了後、スライド規制ネジ111が螺合解除される。制御部39は、スライド規制ネジ111が外されることで、連結具41を介しモータ部37に対してスライド範囲Sでのスライドが自在となる。制御部39は、現場にてスライドされることで、下面の被作業面63がモータ部37からオフセットされて露出される。この状態で、制御部39は、再びスライド規制ネジ用穴105に螺合されたスライド規制ネジ111が、使用時固定用切欠109に係合することで、オフセット位置である制御部39が引き出された位置に固定される。
【0043】
図9は現場施工配線29の接続時を表す開閉装置11の下面図である。
制御部39は、モータ部37に対しオフセットされることで、点検口近傍の直上に配置される。被作業面63の近傍には、配線保持部121に結束バンド116によって保持された各種の現場施工配線29が配置される。したがって、開閉装置11では、従来の開閉装置のように、点検口57の奥まで進入して結線作業を行う必要がなく、点検口57の近傍において容易な結線、すなわち、制御部39のコネクタ類と現場施工配線29のコネクタとの結合作業が可能となる。
【0044】
次に、上記した構成の作用を説明する。
本実施形態に係る開閉装置11では、制御部39が、梱包、運搬、設置時に、モータ部37と上下に重なる位置で配置され、巻き取り中心軸に沿う方向の寸法が小さくなる。開閉装置11は、開閉体収容部19へ搬入し、モータ部37が固定された後には、制御部39がシャッターカーテン17の巻き取り中心軸に沿う方向へ移動してモータ部37に対しオフセットした位置に配置される。制御部39は、このオフセットした位置で、下面の一部である被作業面63がモータ部37からはみ出した位置となり、下方からの操作や結線等のアクセスが可能となる。
【0045】
また、この開閉装置11では、モータ部37と制御部39の何れか一方にレール溝93が設けられ、このレール溝93に係合する係合片91が、モータ部37と制御部39の何れか他方に設けられる。本実施形態では、レール溝93がモータ部37に固定される連結具41に設けられ、係合片91が制御部39に設けられている。制御部39は、これらレール溝93と係合片91とが摺動することで、モータ部37に対してスライド自在となって巻き取り中心軸に沿う方向で伸び縮みが可能となる。レール溝93は、例えば板金材からなる連結具41の側板にコ字形状の折り曲げ部を形成することで容易に得ることができる。係合片91は、例えば制御部39の下面におけるレール溝93に対応する一対の平行な縁部に形成される鍔状部として容易に得ることができる。その結果、開閉装置11は、スライド構造によって、開閉装置全体を簡素且つ安価な構造で伸び縮み可能とすることができる。
【0046】
また、開閉装置11では、制御部39がモータ部37に対してスライドされ、モータ部37から外れた下面の一部に、制御部39の被作業面63が配置される。すなわち、被作業面63は、梱包、運搬、設置時には、モータ部37に重ねられた状態に覆われて保護される。一方、被作業面63は、モータ部37がブラケット25に固定された後には、モータ部37に対してスライドされることで露出して、被作業面63の操作が可能となる。開閉装置11は、開閉体収容部19の下板45に沿って配置されることから、この開閉体収容部下板45に設けられた点検口57からアクセスされる。この際、被作業面63は、下面に配置されているので、点検口57の入口近傍でアクセスが容易に可能となる。従来装置のように、垂直面に設けられることにより、点検口57の奥まで頭を入れて操作する必要がなく、施工時の設定や、運用後の調整が極めて容易に行えるようになる。その結果、開閉装置11は、設置時における制御部39への設定作業や、メンテナンス時における制御値などの調整を行いやすくできる。なお、モータ接続部81は、制御部39がオフセットされた位置となってもモータ部37から外れた位置とはならず、露出しない。すなわち、工場で予め結線されている箇所であるモータ接続部81は、現場施工時に露出しないこととなる。
【0047】
また、開閉装置11では、制御部39とモータ部37との間に、巻き取り中心軸に沿う方向に貫通する配線収容部115が設けられている。制御部39とモータ部37とは、制御配線53によって接続される。この制御配線53は、配線収容部115に収容される。制御配線53は、余長を有して配索されることで、制御部39のオフセット位置への移動を阻害することがない。これにより、制御配線53は、連結具41の内方に収容されて、シャッターカーテン17などに引っ掛かることによる断線や、雨水による漏電などが発生しなくなる。その結果、開閉装置11は、制御配線53の判別を容易にして、メンテナンス性を向上させることができる。
【0048】
さらに、開閉装置11では、現場にて配索される現場施工配線29が、連結具41の側板部97外面に設けられた配線保持部121によって保持される。つまり、工場で結線する制御配線53の配線スペースと、現場で結線する現場施工配線29の配線スペースとを分けることができる。これにより、工場で予め結線する制御配線53は連結具41の内部側、現場にて結線する現場施工配線29は連結具41の外部側にそれぞれ収納できる。このように、開閉装置11では、配線をし易く、分かりやすくし、且つシャッターカーテン17などに引っ掛かることでの断線や、雨水による漏電などが発生しなくなる。その結果、開閉装置11は、現場施工配線29の品質を一定に保つことができ、施工品質、及び作業性、メンテナンス性を向上させることができる。
【0049】
次に、上記実施形態の変形例を説明する。
図10は変形例に係る配線保持部131を備えた連結具の斜視図である。
この変形例に係る連結具133は、側板部97に、上記と異なる配線保持部131を備える。配線保持部131は、複数の現場施工配線束ね片135を有する。現場施工配線束ね片135は、可撓性を有し、開いた状態で現場施工配線29を挟み込み、元の位置に戻すことで、現場施工配線29を側板部97に沿わせて保持することができる。すなわち、結束バンド等の別部材を使用しなくとも保持することができ、少ない部品点数で現場施工配線29を束ねることができる。
【0050】
図11は他の変形例に係る配線保持部137を備えた連結具の斜視図である。
この変形例に係る連結具139は、側板部97に、上記と異なる配線保持部137を備える。配線保持部137は、複数の結束バンド取付部141を有する。結束バンド取付部141は、側板部97に平行なスリットを入れ、この一対のスリットに挟まれた帯状部を外側にアーチ状に張り出させて形成される。この結束バンド取付部141は、側板部97との間に、上下に貫通する空間が形成されるので、現場施工配線29の外周に回した結束バンド116を容易に挿入して取り付けでき、作業性を高めることができる。
【0051】
なお、上述した実施形態では、制御部39とモータ部37とが、レール溝93及び係合片91によってスライドする構成を例に説明したが、本発明に係る開閉装置は、スライド構造以外の例えばリンク機構等によって、制御部39がオフセット位置に変位自在となってモータ部37に連結されるものであってもよい。
【0052】
また、上述した実施形態では、モータ部37がブラケット25に固定される構成を例に説明したが、本発明に係る開閉装置は、これとは逆に、制御部39がブラケット25に固定され、制御部39に対してモータ部37がオフセット位置にスライドされるものであってもよい。
【0053】
さらに、上述した実施形態では、制御部39が連結具41によってオフセット位置に移動される構成を例に説明したが、本発明に係る開閉装置は、連結具41を省略し、レール溝93及び係合片91を、制御部39とモータ部37とに直接設けることにより、制御部39がオフセット位置へスライド自在となる構成としてもよい。
【0054】
したがって、本実施形態に係る開閉装置11によれば、開閉装置全体を伸び縮み可能にすることで、梱包、運搬、設置時にはコンパクトにして作業をし易くでき、設置後には必要な面である制御部の一部を大きく露出させて使いやすくできる。
【符号の説明】
【0055】
11…開閉装置
15…建物開口部
17…開閉体(シャッターカーテン)
19…開閉体収容部
29…現場施工配線
37…モータ部
39…制御部
53…制御配線
63…被作業面
91…係合片
93…レール溝
115…配線収容部
121…配線保持部
図1
図2
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図6
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図11