(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記設置架台では、第1挟着部材及び第2挟着部材よりも上側にソーラーパネルを配置するために、締め付け手段よりも上方に、レール受け部材や、このレール受け部材で受けられたレールを配置し、このレールの上面にソーラーパネルを載置固定している。このように構成されている設置架台によると、レール受け部材やレールが締め付け手段よりも上方に配置されるため、屋根からのソーラーパネルの設置高さが高くなる。
【0005】
本発明の目的は、屋根からの屋根上設置物の設置高さを低くすることができて、屋根上設置物を屋根に安定させて設置することができるようになる屋根上設置物の設置架台を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る屋根上設置物の設置架台は、上向き突条部を有する屋根の上に屋根上設置物を設置するための屋根上設置物の設置架台であって、前記上向き突条部を挟着するための第1挟着部材及び第2挟着部材と、これらの第1挟着部材及び第2挟着部材を締め付けることにより、前記第1挟着部材及び前記第2挟着部材に前記上向き突条部を挟着させるための締め付け手段と、を含んで構成される屋根上設置物の設置架台において、前記第1挟着部材及び前記第2挟着部材と、これらの第1挟着部材及び第2挟着部材よりも上側に配置される前記屋根上設置物との間に介設され、前記第1挟着部材及び前記第2挟着部材に前記屋根上設置物を連結するための連結手段を有し、この連結手段の底部についての前記第1挟着部材及び前記第2挟着部材における高さ位置が、前記締め付け手段と同じ位置又はこれよりも低い位置となっていることを特徴とするものである。
【0007】
この屋根上設置物の設置架台は、第1挟着部材及び第2挟着部材に屋根設置物を連結するための連結手段を有しており、この連結手段の底部についての第1挟着部材及び第2挟着部材における高さ位置が、締め付け手段と同じ位置又はこれよりも低い位置となっているため、この分だけ屋根からの屋根上設置物の設置高さを低くすることができ、これにより、屋根上設置物を屋根に安定させて設置できるようになる。
【0008】
なお、本発明において、上述のように締め付け手段により第1挟着部材及び第2挟着部材を締め付けることによってこれらの第1挟着部材及び第2挟着部材に屋根の上向き突条部を挟着させるための構造は、第1挟着部材と第2挟着部材のうち、一方の挟着部材に支点軸を設けるとともに、他方にこの支点軸を受けるための支点軸受け部を設け、締め付け手段を、第1挟着部材と第2挟着部材に貫通させたボルトと、このボルトに螺合させたナットとを含むものとし、このナットを回転させることにより、一方の挟着部材と他方の挟着部材が支点軸を中心に互いに近づく方向に揺動し、これにより、これらの挟着部材が屋根の上向き突条部を挟着するようになっている構造でもよく、あるいは、第1挟着部材と第2挟着部材を互いに平行にして対面配置し、締め付け手段を、これらの第1挟着部材と第2挟着部材に貫通させたボルトと、このボルトに螺合させたナットとを含むものとし、このナットを回転させることにより、第1挟着部材と第2挟着部材のうち、一方の挟着部材がガイド部材に案内されて他方の挟着部材の側へ平行移動して、これらの挟着部材が屋根の上向き突条部を挟着するようになっている構造でもよい。
【0009】
また、第1挟着部材及び第2挟着部材と、これらの第1挟着部材及び第2挟着部材よりも上側に配置される屋根上設置物との間に介設されて、第1挟着部材及び第2挟着部材に屋根上設置物を連結するための連結手段は、1個の部材によるものでもよく、2個以上の部材の組み合せにより構成されるものでもよく、さらに、第1挟着部材及び第2挟着部材に屋根上設置物を連結するための構造は、この連結を行えるものであれば、任意の構造でよい。
【0010】
また、上述のように連結手段の底部についての第1挟着部材及び第2挟着部材における高さ位置を、締め付け手段と同じ位置又はこれよりも低い位置とするためには、例えば、第1挟着部材及び第2挟着部材に凹部を設け、これらの凹部に連結手段を配置することにより、この連結手段の底部についての第1挟着部材及び第2挟着部材における高さ位置を、締め付け手段と同じ位置又はこれよりも低い位置としてもよい。
【0011】
このように第1挟着部材及び第2挟着部材に凹部を設け、これらの凹部に連結手段を配置することにより、この連結手段の底部についての第1挟着部材及び第2挟着部材における高さ位置を、締め付け手段と同じ位置又はこれよりも低い位置とする場合であって、締め付け手段が間隔をあけて複数個設けられている場合には、これらの締め付け手段の間に、第1挟着部材及び第2挟着部材の凹部を設けるようにしてもよい。
【0012】
そして、上述のように連結手段の底部についての第1挟着部材及び第2挟着部材における高さ位置を、締め付け手段と同じ位置又はこれよりも低い位置とするためには、例えば、第1挟着部材と第2挟着部材のうち、一方の側部又は両方の側部に連結手段を取り付け可能とし、これにより、この連結手段の底部の位置を締め付け手段と同じ位置又はこれよりも低い位置としてもよい。
【0013】
本発明において、連結手段を、第1挟着部材及び第2挟着部材に対して屋根の上向き突条部の長さ方向にスライド可能とするとともに、第1挟着部材及び第2挟着部材に固定可能とすることが好ましい。
【0014】
これによると、第1挟着部材及び第2挟着部材に連結手段を介して屋根上設置物を連結する際に、連結手段を、第1挟着部材及び第2挟着部材に対して屋根の上向き突条部の長さ方向にスライドさせた後に、第1挟着部材及び第2挟着部材に固定するという作業を行うことができるため、第1挟着部材及び第2挟着部材における連結手段の位置を、屋根上設置物についての上向き突条部の長さ方向の寸法等に応じて調整できることになり、このため、第1挟着部材及び第2挟着部材に連結手段を介して屋根上設置物を連結する作業を容易かつ確実に行えるようになる。
【0015】
また、本発明において、第1挟着部材及び第2挟着部材と、これらの第1挟着部材及び第2挟着部材よりも上側に配置される屋根上設置物との間に連結手段を介設し、この連結手段により、第1挟着部材及び第2挟着部材に屋根上設置物を連結するためには、連結手段に、屋根上設置物を受けるための受け部材を接続してもよく、あるいは、連結手段に直接的に屋根上設置物を取り付けるようにしてもよい。
【0016】
前者のように、連結手段に、屋根上設置物を受けるための受け部材を接続する場合には、この受け部材に、屋根上設置物を載置するための載置部と、屋根上設置物の上面を上から押えるための押え部とを設け、これらの載置部と押え部とにより屋根上設置物を上下に不動状態にして、受け部材により屋根上設置物を受けるようにしてもよい。
【0017】
また、連結手段に、屋根上設置物を受けるための受け部材を接続する場合には、連結手段が受け部材の下端部を第1挟着部材及び第2挟着部材に押圧することにより、連結手段に受け部材を接続するようにしてもよい。
【0018】
さらに、本発明において、受け部材の上端の高さ位置を屋根上設置物の上面と同じ又はこれより低い位置としてもよいが、受け部材に、屋根上設置物の上面よりも上方へ突出した雪止め部を設けることが好ましい。
【0019】
これによると、屋根上設置物を受けるための受け部材が雪止め部材を兼ねることになるため、屋根上設置物の上に積もった雪が屋根上設置物の上面に沿って滑り落ちることを受け部材により防止できるようになる。
【0020】
そして、このように受け部材に、屋根上設置物の上面よりも上方へ突出した雪止め部を設ける場合には、屋根上設置物の上向き突条部と直交する方向が長さ方向となっている受け部材の全長に渡って雪止め部を設けてもよいが、受け部材の長さ寸法よりも雪止め部の長さ寸法を短くすることが好ましい。
【0021】
これによると、受け部材の全長に渡って雪止め部が設けられないことになり、受け部材には、雪止め部が設けられていない箇所が存在することになるため、雪が溶解して生じた水がこの箇所を通過することができ、これにより、水が受け部材よりも屋根勾配方向の下側へ流下できるようになる。
【0022】
以上説明した本発明は、上向き突条部が設けられている屋根の上に設置される任意の屋根上設置物について適用することができ、この屋根上設置物は、太陽光発電のためのソーラーパネルでもよく、太陽熱温水器でもよく、屋根緑化装置等でもよい。
【0023】
また、屋根の上向き突条部は、折板屋根のハゼ部でもよく、屋根下地材を覆う屋根仕上げ材となっている金属板材の折り曲げによって形成されたものでもよく、要するに本発明は、屋根に上向き突条部が設けられていれば、任意の形態や構造の屋根について適用することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、屋根からの屋根上設置物の設置高さを低くすることができて、屋根上設置物を屋根に安定させて設置できるようになるという効果を得られる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る屋根上設置物は、太陽光発電のために用いられるソーラーパネルであり、
図1には、本発明の一実施形態に係る設置架台10により建物の屋根1の上に設置されたソーラーパネル50が示されており、この
図1において、建物の桁行方向と直交する方向における棟側から軒側へ下りの水勾配を有している屋根1の上に、2個のソーラーパネル50A,50Bが棟と軒の間に配置されている状態が示されているが、ソーラーパネル50は、棟と軒の間には3個以上、桁行方向には複数個配置されるため、
図1には、設置架台10の一部が示されている。
【0027】
屋根1には上向き突条部2が形成されており、この上向き突条部2は、桁行方向に間隔をあけて複数個設けられている。
図2は、
図1のS2−S2線断面図であり、この
図2のS3−S3線断面図である
図3には、上向き突条部2の断面図が示されている。この
図3に示されているように、屋根1は、屋根下地材3の上に屋根仕上げ材となっている複数の金属板材4,5を、これらの金属板材4,5の一部同士を上下に重ね合せて桁行方向に並設することにより形成されており、金属板材4,5のうち、上下に重ね合せられている箇所は折り曲げられて上方へ突出した突出部4A,5Aとなっており、これらの突出部4A,5Aが、屋根1の桁行方向と直交して棟から軒まで延びる上向き突条部2となっている。本実施形態の上向き突条部2には、この上向き突条部2の桁行方向両側の側面において、桁行方向内側へ窪んだ窪み部6が形成されている。
【0028】
図1に示されているように、屋根1に桁行方向の間隔をあけて多数設けられている上向き突条部2のうち、ソーラーパネル50の桁行方向の寸法等に基づいて選択された複数の上向き突条部2には、設置台11が取り付けられており、この設置台11は、設置台11が取り付けられる上向き突条部2に、桁行方向と直交する方向の間隔をあけて複数個取り付けられている。そして、水勾配を有する屋根1における同じ高さ位置において、桁行方向に並べられた状態で複数の上向き突条部2に取り付けられている複数個の設置台11には、受け部材12,13が架け渡されており、これらの受け部材12,13は、後述の説明で分かるように、ソーラーパネル50を受けるための部材となっている。
【0029】
図1に示されている本実施形態に係る設置架台10は、以上説明した設置台11と受け部材12,13とを含んで構成されたものとなっており、受け部材12,13のうち、受け部材12は、屋根1の軒に近い低位置の箇所に配置され、受け部材13は、受け部材12よりも棟側となっている高位置の複数箇所に配置されている。
【0030】
図4には、設置台11が示されており、
図5は、この設置台11の分解斜視図である。これらの
図4及び
図5に示されているように、設置台11は、桁行方向である左右方向に互いに対向して配置された第1挟着部材14及び第2挟着部材15と、スライド部材16と、押え込み部材17とを含んで構成されている。第1挟着部材14と第2挟着部材15は、上向き突条部2の長さ方向へ延びる長さを有しており、それぞれの挟着部材14,15の上部には、これらの挟着部材14,15の長さ方向の両端部において、凸部14A,15Aが形成されており、第1挟着部材14の2個の凸部14Aの間は、凹部18となっており、第2挟着部材15の2個の凸部15Aの間は、凹部19となっている。第1挟着部材14の2個の凸部14Aには、支点軸20が第2挟着部材15側へ突出した状態で形成されており、第2挟着部材15の2個の凸部15Aには、これらの支点軸20を回動自在に受けるための支点軸受け部21が形成されている。
【0031】
また、それぞれの挟着部材14,15の凸部14A,15Aには、締付ボルト22の軸部を挿通させるための孔14B,15Bが設けられ、これらの締付ボルト22の軸部の端部には、ナット23が螺合されている。
図3に示されているように、第1挟着部材14と第2挟着部材15を上向き突条部2に上から被せた後に、ナット23を回転させて締め付けると、第1挟着部材14と第2挟着部材15は、支点軸20を中心に互いに近づく方向へ揺動して上向き突条部2を挟着するため、設置台11は、上向き突条部2に取り付けられることになる。
【0032】
なお、本実施形態に係るそれぞれの挟着部材14,15の下先端部には、上向き突条部2の前述した窪み部6に食い込む突起部14C,15Cが形成されているため、これらの挟着部材14,15による上向き突条部2の挟着を強固に行えるようになっている。
【0033】
そして、本実施形態では、締付ボルト22及びナット23により、第1挟着部材14及び第2挟着部材15を締め付けて、この締め付けによりこれらの挟着部材14,15に上向き突条部2を挟着させるための締め付け手段24が構成されている。
【0034】
図5で示されているスライド部材16は、桁行方向の中央部が突部16Aとなった空洞の凸形状となっているものであり、突部16Aの桁行方向両側は、互いに向かい合う側が開口した横向き凹形状の2個の被ガイド部16Bとなっている。これらの被ガイド部16Bは、
図3に示されているように、第1挟着部材14及び第2挟着部材15の側面に桁行方向の外側へ延出して形成されているガイド部14D,15Dに外側から嵌合されるものであり、それぞれガイド部14D,15Dは、挟着部材14,15の全長に渡る長さを有しているため、
図3に示されているように、締め付け手段24により第1挟着部材14と第2挟着部材15を締め付けて、これらの挟着部材14,15が上向き突条部2を挟着したときに、スライド部材16をガイド部14D,15Dに沿って案内させることができ、このスライド部材16を、挟着部材14,15の長さ方向となっている上向き突条部2の長さ方向へスライドさせることができる。
【0035】
図4及び
図5で示されている押え込み部材17は、スライド部材16の上側に配置されたベース部17Aと、このベース部17Aにおける上向き突条部2の長さ方向両側から下方へ延びている2個の脚部17B,17Cとを有する逆凹形状となっており、スライド部材16と、このスライド部材16に上から被せられた押え込み部材17とが、第1挟着部材14の凹部18と第2挟着部材15の凹部19に配置される。スライド部材16の2個の被ガイド部16Bの間は開口しており、スライド部材16と押え込み部材17が凹部18,19に配置される以前において、この開口部から上向きとされた押え込みボルト25の軸部25Bと頭部25Aが下側から挿入され、軸部25Bは、スライド部材16の突部16Aに形成されている孔26と、押え込み部材17のベース部17Aに形成されている孔27とに挿通され、軸部25Bの先端にナット28が螺合され、また、頭部25Aは、スライド部材16の中空となっている突部16Aの内部に収納される。
【0036】
このようにスライド部材16の突部16Aの内部に押え込みボルト25の頭部25Aを収納した後に、スライド部材16と押え込み部材17が第1挟着部材14と第2挟着部材15の凹部18,19に配置されて、スライド部材16の2個の被ガイド部16Bが第1挟着部材14と第2挟着部材15のガイド部14D,15Dに外側から嵌合されるとともに、締め付け手段24の締め付けにより、これらの挟着部材14,15に上向き突条部2を挟着させることが行われる。
【0037】
押え込みボルト25の軸部25Bに螺合しているナット28を緩めているときには、スライド部材16及び押え込み部材17を、スライド部材16の被ガイド部16Bが外側から嵌合しているガイド部14D,15Dによって案内させることにより、第1挟着部材14及び第2挟着部材15の凹部18,19において、上向き突条部2の長さ方向へこれらの挟着部材14,15に対してスライドさせることができ、このスライドは、押え込み部材17の2個の脚部17B,17Cのうち、脚部17Cよりも下方への延び寸法が大きくなっている脚部17Bの下面が、第1挟着部材14と第2挟着部材15の凹部18,19の底部18A,19Aに接触して行われる。また、ナット28を回転させて締め付けると、押え込みボルト25の頭部25Aがスライド部材16を押し上げるため、スライド部材16の2個の被ガイド部16Bの下部が第1挟着部材14及び第2挟着部材15のガイド部14D,15Dを下側から上側へ強く押圧するため、ナット28の締め付けを行うことにより、スライド部材16及び押え込み部材17を、第1挟着部材14及び第2挟着部材15の凹部18,19において、これらの挟着部材14,15にスライド不能に固定することができる。
【0038】
図6には、
図1及び
図2で示した受け部材13が示されている。この受け部材13は、2個以上の上向き突条部2に跨る桁行方向の長さを有しており、また、この受け部材13は、桁行方向と直交する方向(上向き突条部2の長さ方向)が幅方向となっている底部13Aと、この底部13Aから桁行方向と直交する方向の間隔をあけて立設された2個の立上り部13B,13Cと、これらの立上り部13B,13Cの上端同士を繋いでいる繋ぎ部13Dとを有する。また、受け部材13は、それぞれの立上り部13B,13Cの上端部から桁行方向と直交する方向の外側へ延出した載置部13E,13Fと、繋ぎ部13Dにおける桁行方向と直交する方向の中央部から上方へ起立した起立部13Gと、この起立部13Gの上端部から桁行方向と直交する方向の両側へ延出した2個の押え部13H,13Iと、これらの押え部13H,13Iのうち、一方の押え部13Hの下面から下向きに突出したストップ部13Jとを有している。
【0039】
なお、載置部13E,13Fについての桁行方向と直交する方向への延出長さは、押え部13H,13Iについての桁行方向と直交する方向への延出長さよりも長くなっている。
【0040】
また、底部13Aは、2個の立上り部13B,13Cの外側へ突出する幅寸法を有しており、この底部13Aの幅方向両端部のうち、一方の端部には、突起状の被押え込み部30が形成されている。また、起立部13Gには、この起立部13Gの高さ方向の途中部において、桁行方向と直交する方向のうち、一方の側へ窪んだ窪み部31が形成されている。さらに、押え部13H,13I同士の接続部分からは、上方へ延出した雪止め部32が形成されている。
【0041】
以上の受け部材13は、アルミ又はアルミ合金製の押し出し成形品又は引き抜き成形品であるため、底部13Aと、立上り部13B,13Cと、繋ぎ部13Dと、載置部13E,13Fと、起立部13Gと、押え部13H,13Iと、ストップ部13Jと、被押え込み部30と、窪み部31は、桁行方向の長さを有している受け部材13の全長に渡って連続して設けられているが、雪止め部32は、
図6に示されているように、受け部材13の長さ方向両端部の所定長さを除く箇所だけに設けられており、このため、受け部材13の長さ方向両端部の所定長さの箇所は、雪止め部32が存在しない雪止め部不存在箇所33となっている。
【0042】
したがって、受け部材13と雪止め部32は、上向き突条部2と直交する桁行方向の長さを有するものとなっているが、雪止め部32の長さ寸法は、受け部材13の長さ寸法よりも短くなっている。
【0043】
なお、上述の雪止め部不存在箇所33は、アルミ又はアルミ合金の押し出し又は引き抜きにより形成された受け部材13の素材について、雪止め部不存在箇所33に相当する箇所の雪止め部切除作業を行うことにより形成することができる。
【0044】
また、
図4及び
図5に示されているように、押え込み部材17の2個の脚部17B,17Cのうち、脚部17Bよりも下方への延び寸法が小さくなっている脚部17Cの下面には、上向きの凹形状に窪んだ押え込み部34が形成されており、この押え込み部34は、受け部材13の底部13Aに形成されている被押え込み部30に上側から嵌合できるようになっている。
【0045】
図1に示されているように、受け部材13よりも屋根1の軒側に配置される受け部材12には、
図2に示されているように、受け部材13の載置部13F、押え部13Iに相当する載置部12F、押え部12Iが設けられているとともに、受け部材13の被押え込み部30、雪止め部32に相当する被押え込み部40、雪止め部42も設けられており、この雪止め部42も、受け部材12の長さ方向両端部の所定長さを除く箇所だけに設けられているため、受け部材12の長さ方向両端部の所定長さの箇所は、雪止め部42が存在しない雪止め部不存在箇所となっている。
【0046】
次に、本実施形態に係る設置架台10により、屋根1の上にソーラーパネル50を設置するための作業について説明する。
【0047】
作業者は、屋根1に桁行方向の間隔をあけて多数設けられている上向き突条部2のうち、ソーラーパネル50の桁行方向の寸法等に基づいて選択された複数の上向き突条部2に設置台11を前述したように取り付けるとともに、設置台11が取り付けられるこれらの上向き突条部2のそれぞれに、ソーラーパネル50についての桁行方向と直交する方向の寸法に基づく間隔をあけて複数個の設置台11を取り付ける。そして、水勾配を有する屋根1における同じ高さ位置において、作業者は、桁行方向に並べられた状態で複数の上向き突条部2に取り付けられた複数個の設置台11に受け部材12,13を架け渡す作業を行う。
【0048】
これを具体的に説明すると、
図1に示されているように、屋根1の水勾配方向のうち、軒に最も近い位置において桁行方向に並べられている複数個の設置台11には、受け部材12を架け渡し、これらの設置台11よりも屋根1の高位置において桁行方向に並べられている複数個の設置台11には、受け部材13を架け渡し、さらに、これらの設置台11よりも屋根1の高位置において桁行方向に並べられている複数個の設置台11にも、受け部材13を架け渡し、このような受け部材13についての架け渡し作業を、屋根1の棟に近い位置に配置されている設置台11まで行う。
【0049】
そして、このように受け部材12,13の架け渡し作業を行うときに、
図2に示されているように、受け部材12,13の被押え込み部40,30に、それぞれの設置台11の第1挟着部材14と第2挟着部材15の凹部18,19に配置されている押え込み部材17の押え込み部34を上側から嵌合し、前述した押え込みボルト25のナット28を締め付けることにより、被押え込み部40,30を押え込み部34によって下側へ押え込み、これにより、被押え込み部40,30が設けられている受け部材12,13の下端部を、第1挟着部材14と第2挟着部材15の凹部18,19の底部18A,19Aに上側から押圧する。
【0050】
なお、このように受け部材12,13の下端部を、第1挟着部材14と第2挟着部材15の凹部18,19の底部18A,19Aに上側から押圧する作業は、受け部材12については、前述したスライド部材16と押え込み部材17のスライドにより、この受け部材12を移動させることができる第1挟着部材14と第2挟着部材15の凹部18,19の範囲のうち、
図1に示されているように、屋根1の軒側の位置に受け部材12を配置して行い、また、受け部材13については、
図7に示されているように、この受け部材13を移動させることができる第1挟着部材14と第2挟着部材15の凹部18,19の範囲のうち、屋根1の棟側の位置に受け部材13を配置して行う。受け部材13は、後述するように、凹部18,19の範囲のうち、屋根1の棟側から軒側へ移動されるため、
図2には、受け部材13が、凹部18,19の範囲のうち、屋根1の軒側へ移動した後の状態が示されている。
【0051】
以上の作業を行った後に、作業者は、
図1で示されているソーラーパネル50A,50Bのうち、ソーラーパネル50Bの軒側の端部が屋根1に近づいた位置であって、棟側の端部が屋根1から離れた位置となるように、このソーラーパネル50Bを屋根1に対して傾けながら、ソーラーパネル50Bの軒側の端部を受け部材12に設けられている
図2の載置部12Fと押え部12Iとの間に挿入し、この後に、ソーラーパネル50Bを屋根1と平行の姿勢にし、これにより、ソーラーパネル50Bの軒側の端部を載置部12Fの上に載置するとともに、この端部の上面を押え部12Iにより上から押える。そして、このソーラーパネル50Bの棟側の端部を、
図7に示されている設置台11に配置された受け部材13の押え部13Hに当接させることなく、この受け部材13に設けられている載置部13Eの上に載置する。
【0052】
これを一層具体的に説明すると、
図7に示されている設置台11に配置されているときの受け部材13は、第1挟着部材14と第2挟着部材15の凹部18,19のうち、ソーラーパネル50Bとは反対側となっている屋根1の棟側の位置に配置されているため、ソーラーパネル50Bを屋根1と平行の姿勢にしたときに、このソーラーパネル50Bの棟側の端部を、載置部13Eよりも桁行方向と直交する方向の延出長さが短くなっている押え部13Hに当接させることなく、載置部13Eに載置することができる。
【0053】
次いで、作業者は、
図7に示されている設置台11の押え込みボルト25のナット28を緩め、これにより、この設置台11のスライド部材16と、押え込み部材17と、この押え込み部材17の押え込み部34により被押え込み部30が下側へ押え込まれている受け部材13とを、第1挟着部材14と第2挟着部材15の凹部18,19に対して上向き突条部2の長さ方向へスライド自在とし、これらのスライド部材16と押え込み部材17と受け部材13とを、
図8に示されているように、凹部18,19における屋根1の棟側から軒側へスライドさせ、ソーラーパネル50Bの棟側の端部の側面に受け部材13のストップ部13Jを当接させた後に、ナット28を回転させて締め付ける。
【0054】
これにより、被押え込み部30が設けられている受け部材13の下端部は、
図7及び
図8で示されている設置台11の第1挟着部材14及び第2挟着部材15に固定され、また、受け部材13に載置部13Eよりも桁行方向と直交する方向の延出長さが短くなって設けられている押え部13Hは、ソーラーパネル50Bの棟側の端部の上面を上から押えることになり、また、第1挟着部材14と第2挟着部材15の凹部18,19における受け部材13の位置は、ストップ部13Jにより位置決めされることになる。
【0055】
以上により、ソーラーパネル50Bの軒側の端部は、ソーラーパネルを受けるための部材となっている受け部材12,13のうち、受け部材12の載置部12Fと押え部12Iとにより上下に不動状態となるとともに、ソーラーパネル50Bの棟側の端部は、受け部材13の載置部13Eと押え部13Hとにより上下に不動状態となる。また、
図2に示されているように、ソーラーパネル50Bの軒側の端部の側面は、受け部材12の載置部12Fと押え部12Iの間に設けられている起立部12Gに当接しているため、このソーラーパネル50Bは、桁行方向と直交する方向にも不動状態となる。
【0056】
以上の作業を行った後に、作業者は、
図8に示されているテックスビスであるアースビス45を、受け部材13の起立部13Gに形成されている窪み部31において、受け部材13側からソーラーパネル50B側へ回転させながら打ち込む作業を行う。それぞれのソーラーパネル50は、
図3に示されているソーラーパネル50Bから分かるように、外周部に金属製のフレーム46が設けられたものとなっているため、このフレーム46に達するアースビス45により、ソーラーパネル50Bと受け部材13とが電気的に確実に接続され、これにより、ソーラーパネル50Bから漏電する電気を地上等に逃がすためのアース回路を形成することができる。
【0057】
次に、作業者は、
図1で示されているソーラーパネル50A,50Bのうち、
図8の実線で示されているように、ソーラーパネル50Aの軒側の端部が屋根1に近づいた位置であって、棟側の端部が屋根1から離れた位置となるように、このソーラーパネル50Aを屋根1に対して傾けながら、ソーラーパネル50Aの軒側の端部を受け部材13の載置部13Fと押え部13Iとの間に挿入し、この後に、
図8の二点鎖線で示すように、ソーラーパネル50Aを屋根1と平行の姿勢にし、これにより、ソーラーパネル50Aの軒側の端部を載置部13Fの上に載置するとともに、この端部の上面を押え部13Iにより上から押える。そして、このソーラーパネル50Aの棟側の端部を、
図8に示されている設置台11よりもさらに屋根1の棟側に配置されている設置台11に配置されたる受け部材13の載置部13Eの上に載置する。
【0058】
なお、
図8に示されている設置台11に配置されている受け部材13と、
図8に示されている設置台11よりもさらに屋根1の棟側に配置されている設置台11に配置されている受け部材13との間に、ソーラーパネル50Aを屋根1と平行の姿勢にして配置しても、前述したアースビス45の頭部45Aは、受け部材13の起立部13Gに形成されている窪み部31に収納されているため、この頭部45Aがソーラーパネル50Aと干渉することはない。
【0059】
この後に、作業者は、前述した作業と同様に、
図8に示されている設置台11よりもさらに屋根1の棟側に配置されている設置台11の押え込みボルト25のナット28を緩め、この設置台11のスライド部材16と押え込み部材17と受け部材13とを、第1挟着部材14と第2挟着部材15の凹部18,19において、屋根1の棟側から軒側へスライドさせ、ソーラーパネル50Aの棟側の端部の側面に受け部材13のストップ部13Jを当接させた後に、ナット28を締め付ける。また、作業者は、ソーラーパネル50Aと受け部材13とを電気的に接続するため、
図8に示されている設置台11よりもさらに屋根1の棟側に配置されている設置台11の受け部材13に設けられている窪み部31にアースビス45を回転させながら打ち込む等の前述した作業と同様の作業を行う。
【0060】
以上により、
図1で示されている2個のソーラーパネル50A,50Bが、屋根1の軒側と棟側との間に本実施形態に係る設置架台10により設置されたことになり、ソーラーパネル50Aよりもさらに屋根1の棟側にソーラーパネルを設置するためには、以上と同じ作業を繰り返して行い、また、屋根1の桁行方向にもソーラーパネル50A,50Bと隣接してソーラーパネルを設置するためにも、以上と同じ作業を行う。
【0061】
また、ソーラーパネル50A,50Bを受けるための部材となっている受け部材12,13は、受け部材12ごとに、受け部材13ごとに、屋根1の桁行方向に複数本が直線的に並べられて配置され、これらの受け部材12,13に、屋根1の桁行方向に配置された複数のソーラーパネルのうち、桁行方向の両端部に配置されたソーラーパネルの左右端部の側面に当接するカバー部材等の当接部材を取り付けることにより、これらのソーラーパネルを屋根1の桁行方向にも位置決めして本実施形態に係る設置架台10により屋根1の上に配置することができる。
【0062】
以上説明した本実施形態に係る設置架台10は、屋根1の上向き突条部2に取り付けられる設置台11と、ソーラーパネル50を受けるための受け部材12,13とを含んで構成されている。また、それぞれの設置台11は、第1挟着部材14及び第2挟着部材15と、スライド部材16と、押え込み部材17とを有するものとなっており、この押え込み部材17の押え込み部34が、押え込みボルト25のナット28を回転させて締め付けることにより、受け部材12,13の下端部に設けられている被押え込み部30,40を下側へ押え込んで第1挟着部材14及び第2挟着部材15の凹部18,19の底部18A,19Aに押圧し、これにより、第1挟着部材14及び第2挟着部材15と押え込み部材17とに受け部材12,13が接続されるため、スライド部材16及び押え込み部材17は、第1挟着部材14及び第2挟着部材15と、これらの第1挟着部材14及び第2挟着部材15よりも上側に配置されるソーラーパネル50との間に介設されていて、第1挟着部材14及び第2挟着部材15にソーラーパネル50を受け部材12,13を介して連結するための連結手段47を構成するものとなっている。
【0063】
そして、第1挟着部材14と第2挟着部材15に凹部18,19が設けられ、
図7及び
図8に示されているように、これらの凹部18,19に、スライド部材16と押え込み部材17で構成されている連結手段47を配置することにより、連結手段47の底部(本実施形態では、スライド部材16の下面)についての第1挟着部材14と第2挟着部材15における高さ位置が、これらの挟着部材14,15に屋根の上向き突条部2を挟着させために挟着部材14,15を締め付けるボルト22及びナット23によって構成されている前述の締め付け手段24よりも低い位置となっているため、凹部18,19の上下の深さ分だけ連結手段47の高さ位置を低くすることができて、屋根1からのソーラーパネル50の設置高さを低くできることになり、これにより、ソーラーパネル50を屋根1の上に安定させて設置することができるようになる。
【0064】
また、第1挟着部材14と第2挟着部材15の凹部18,19は、これらの挟着部材14,15に間隔をあけて2箇所に設けられる締め付け手段24の間に形成されているため、連結手段47を、これらの締め付け手段24と干渉させずに挟着部材14,15に配置することができる。
【0065】
また、それぞれの設置台11において、スライド部材16及び押え込み部材17によって構成されている連結手段47は、押え込みボルト25のナット28を緩めることにより、第1挟着部材14と第2挟着部材15の凹部18,19内で屋根1の上向き突条部2の長さ方向にスライド可能となり、また、ナット28を回転させて締め付けると、連結手段47を、凹部18,19内の任意の位置で第1挟着部材14と第2挟着部材15に固定することができるため、ソーラーパネル50を受けるための部材であって、ナット28の締め付けで連結手段47に接続される部材となっている受け部材12,13に、ソーラーパネル50を載置するための載置部12F,13E,13Fと、ソーラーパネル50の上面を上から押えるための押え部12I,13H,13Iとが設けられていても、連結手段47をスライドさせることにより、受け部材12,13の載置部12F,13E,13Fにソーラーパネル50を載置できて、ソーラーパネル50の上面を押え部12I,13H,13Iにより上から押えることができる。
【0066】
また、受け部材12,13には、
図2に示されているように、ソーラーパネル50の上面よりも上方へ突出している雪止め部32,42が設けられているため、ソーラーパネル50を受けるための受け部材12,13が雪止め部材を兼ねることになり、ソーラーパネル50の上に積もった雪がソーラーパネル50の上面に沿って滑り落ちることを防止できるようになる。
【0067】
そして、前述したように本実施形態では、受け部材12,13の全長に渡って雪止め部32,42が設けられておらず、受け部材12,13の長さ寸法よりも雪止め部32,42の長さ寸法は短いため、受け部材12,13には、雪止め部が設けられていない箇所が存在することになり、これにより、雪が溶解して生じた水がこの箇所を通過することができ、水が受け部材12,13よりも屋根1の水勾配方向の下側へ流下できるようになる。