(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594096
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】補聴器を用いた会話支援システム
(51)【国際特許分類】
H04R 25/00 20060101AFI20191010BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20191010BHJP
A61F 11/00 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
H04R25/00 N
H04R3/00 320
A61F11/00 310
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-160084(P2015-160084)
(22)【出願日】2015年8月14日
(65)【公開番号】特開2017-38331(P2017-38331A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2018年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】393011038
【氏名又は名称】リョーエイ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】515223536
【氏名又は名称】小松 高廣
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 高廣
(72)【発明者】
【氏名】西川 昌司
(72)【発明者】
【氏名】平野 卓哉
【審査官】
渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−100023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/00− 7/74
A61F 9/00−11/14
A61G 1/00− 5/14
A61G 9/00−15/12
A61G 99/00
B60N 2/00− 2/90
H04R 3/00− 3/14
H04R 25/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発話者が話す音声を採取して音信号に変換するマイクと、
前記マイクからの音信号を増幅する増幅器と、
前記増幅器が増幅した音信号に対応する交番磁界を発生させる磁気誘導ループとを備え、
聴取者が装着する補聴器が前記交番磁界の変動により電磁誘導される音信号を出力することで、前記発話者の音声を前記聴取者に伝音する会話支援システムであって、
磁気誘導ループが、前記聴取者が座るクッションシートに埋設されている会話支援システム。
【請求項2】
前記クッションシートが、前記聴取者が利用する車椅子の座部に着脱可能に備えられる、請求項1に記載の会話支援システム。
【請求項3】
前記クッションシートが、前記聴取者が利用する歩行支援装置の背もたれ部に着脱可能に備えられる、請求項1に記載の会話支援システム。
【請求項4】
前記クッションシートが可搬型である、請求項1〜3の何れか1項に記載の会話支援システム。
【請求項5】
第一利用者が話す音声を採取して音信号に変換する第一マイクと、
第二利用者が話す音声を採取して音信号に変換する第二マイクと、
前記第一マイクおよび前記第二マイクからの音信号をそれぞれ増幅する増幅器と、
前記増幅器により駆動される磁気誘導ループとを備え、この磁気誘導ループが、前記第二利用者が座るクッションシートに埋設されており、
前記増幅器が、
前記第一マイクからの音信号に対応する交番磁界を前記磁気誘導ループに発生させることで、前記第二利用者が装着する補聴器に当該交番磁界に基づく電磁誘導による音声変換出力を行うとともに、
前記第二マイクからの音信号を前記第一利用者が装着する音声出力部に出力する会話支援システム。
【請求項6】
前記増幅器が、前記第二マイクからの音信号を前記第一利用者が装着する音声出力部に無線通信を介して出力する、請求項5に記載の会話支援システム。
【請求項7】
前記増幅器が、前記第二マイクからの音信号を前記第一利用者が装着するヘッドセットに出力する、請求項5に記載の会話支援システム。
【請求項8】
前記第一マイクが前記第一利用者が装着するヘッドセットに備えられる、請求項5に記載の会話支援システム。
【請求項9】
前記第二マイクが前記増幅器に着脱可能に取り付けられる、請求項5に記載の会話支援システム。
【請求項10】
前記第一利用者が装着する音声出力部が前記増幅器に着脱可能に取り付けられる、請求項5に記載の会話支援システム。
【請求項11】
前記ヘッドセットが前記増幅器に着脱可能に取り付けられる、請求項7または8に記載の会話支援システム。
【請求項12】
前記補聴器が、Tモード機能を利用して前記磁気誘導ループが発生する磁界の変動を捕捉するものである、請求項1〜11の何れか1項に記載の会話支援システム。
【請求項13】
発話者が話す音声を採取して音信号に変換するマイクと、
前記マイクからの音信号を増幅する増幅器と、
前記増幅器が増幅した音信号に対応する交番磁界を発生させる磁気誘導ループとを備え、
前記交番磁界の変動により電磁誘導される音信号を、聴取者の体内に埋め込まれた人工聴覚臓器に出力することで、前記発話者の音声を前記聴取者に知覚させる会話支援システムであって、
磁気誘導ループが、前記聴取者が座るクッションシートに埋設されている会話支援システム。
【請求項14】
前記人工聴覚臓器が人工内耳である、請求項13に記載の会話支援システム。
【請求項15】
前記人工聴覚臓器が骨伝導を利用した人工中耳である、請求項13に記載の会話支援システム。
【請求項16】
前記人工聴覚臓器が聴性脳幹インプラントである、請求項13に記載の会話支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補聴器を用いた会話支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
難聴者との健常者との間の会話によるコミュニケーションは、難聴者が補聴器を装着することにより一定程度改善される。しかし、周囲の騒音が大きいときには、そのような会話以外の騒音も補聴器により増幅されてしまい、発話者の発話内容を難聴者が明瞭に聴き取ることができない場合がある。
【0003】
従来、一部の電話器や公共施設などにおいては、補聴器を利用する難聴者向けに、Tモード磁気誘導ループ(ループアンテナ)を設置しているエリアがある。ここで「Tモード」とは、電磁誘導による音声変換モードをいう。補聴器のTモードを機能させることで、発話者から届く音声の伝達経路が一部磁気に置き換えられ、外部の雑音等の影響を極力排除することができる。
【0004】
例えば特許文献1には、役所や図書館などの公共施設のTモード利用エリアに合わせてループアンテナの設置を容易にするため、窓口カウンターなどの卓上面にループアンテナを埋設した補聴器支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−238098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、磁気誘導ループを利用できるエリアは、現状では一部の公共施設や展示場などに限られており、外出先で常にTモードを利用できるわけではない。また、従来のものは発話者と聴取者とが、ループアンテナを備えたカウンターを挟んで対面する形式を前提としており、例えば難聴者が車椅子を利用する場合など、発話者(この場合、介助者)と聴取者(この場合、車椅子の利用者)とが対面しない位置関係では利用することができない。
【0007】
そこで、本発明は、例えば補聴器を装着する聴取者と発話者との間の会話支援を、場所を問わず簡便に受けることができる等の会話支援システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、発話者が話す音声を採取して音信号に変換するマイクと、前記マイクからの音信号を増幅する増幅器と、前記増幅器が増幅した音信号に対応する交番磁界を発生させる磁気誘導ループとを備え、聴取者が装着する補聴器が前記交番磁界の変動により電磁誘導される音信号を出力することで、前記発話者の音声を前記聴取者に伝音する会話支援システムであって、磁気誘導ループが、前記聴取者が座るクッションシートに埋設されている会話支援システムである。
【0009】
上記構成において、前記クッションシートが、前記聴取者が利用する車椅子の座部に着脱可能に備えられるものでもよい。
【0010】
また、前記クッションシートが、前記聴取者が利用する歩行支援装置の背もたれ部に着脱可能に備えられるものでもよい。
【0011】
また、前記クッションシートが可搬型であることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、第一利用者が話す音声を採取して音信号に変換する第一マイクと、第二利用者が話す音声を採取して音信号に変換する第二マイクと、前記第一マイクおよび前記第二マイクからの音信号をそれぞれ増幅する増幅器と、前記増幅器により駆動される磁気誘導ループとを備え、この磁気誘導ループが、
前記第二利用者が座るクッションシートに埋設されており、前記増幅器が、前記第一マイクからの音信号に対応する交番磁界を前記磁気誘導ループに発生させることで、前記第二利用者が装着する補聴器に当該交番磁界に基づく電磁誘導による音声変換出力を行うとともに、前記第二マイクからの音信号を前記第一利用者が装着する音声出力部に出力する会話支援システムである。
【0013】
上記構成において、前記増幅器が、前記第二マイクからの音信号を前記第一利用者が装着する音声出力部に無線通信を介して出力するものでもよい。
【0014】
また、前記増幅器が、前記第二マイクからの音信号を前記第一利用者が装着するヘッドセットに出力するものでもよい。
【0015】
また、前記第一マイクが前記ヘッドセットに備えられるものでもよい。
【0016】
また、前記第二マイクが前記増幅器に着脱可能に取り付けられることが好ましい。
【0017】
また、前記第一利用者が装着する音声出力部が前記増幅器に着脱可能に取り付けられることが好ましい。
【0018】
また、前記ヘッドセットが前記増幅器に着脱可能に取り付けられることが好ましい。
【0019】
また、前記補聴器が、Tモード機能を利用して前記磁気誘導ループが発生する磁界の変動を捕捉するものであることが好ましい。
【0020】
また、本発明は、発話者が話す音声を採取して音信号に変換するマイクと、前記マイクからの音信号を増幅する増幅器と、前記増幅器が増幅した音信号に対応する交番磁界を発生させる磁気誘導ループとを備え、前記交番磁界の変動により電磁誘導される音信号を、聴取者の体内に埋め込まれた人工聴覚臓器に出力することで、前記発話者の音声を前記聴取者に知覚させる会話支援システムであって、磁気誘導ループが、前記聴取者が座るクッションシートに埋設されている会話支援システムである。
【0021】
上記構成において、前記人工聴覚臓器が人工内耳であってもよい。
【0022】
また、前記人工聴覚臓器が骨伝導を利用した人工中耳であってもよい。
【0023】
また、前記人工聴覚臓器が聴性脳幹インプラントであってもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る会話支援システムによれば、例えば補聴器を装着する聴取者と発話者との間の会話支援を、場所を問わず簡便に受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第一実施形態による会話支援システムの構成を示す回路ブロック図である。
【
図2】本発明の第二実施形態による会話支援システムの構成を示す回路ブロック図である。
【
図3】本発明の第三実施形態による会話支援システムの構成を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係る会話支援システムの実施形態をいくつか説明する。本会話支援システムでは、第一利用者(発話者)から第二利用者(聴取者)への発話内容の伝音のために、一つのオプションとして、聴取者が装着する補聴器の「Tモード」を利用している。ここで「Tモード」とは、電磁誘導による音声変換モードをいう。補聴器のTモードを機能させることで、発話者から届く音声の伝達経路が一部磁気に置き換えられるため、外部の雑音等の影響を極力排除することができる。
【0027】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態による会話支援システムの構成を示す回路ブロック図である。制御アンプ40の入力端子CN3には、第一のマイク33からの音信号が入力される。マイク33は、指向性マイクであることが好ましい。第一利用者(発話者)が発話した音声は、マイク33により採取され、電気的な音信号に変換される。
【0028】
マイク33と制御アンプ40とは着脱可能に接続される。例えば、マイク33のケーブル先端のプラグが、制御アンプ40の入力端子CN3に接続される。また、マイク33と制御アンプ40とは、bluetooth(登録商標)などの適宜の近距離無線通信を利用して、無線接続されてもよい。
【0029】
制御アンプ40の出力端子CN1、CN6には、磁気誘導ループ42が接続される。磁気誘導ループ42は、例えば必要なときに持ち運びができる可搬型のクッションシート10に埋設される。図面では、制御アンプ40がクッションシート10に外付けされるユニットとして記載されているが、小型化した制御アンプ40をクッションシート10に埋め込んだ実施態様でもよい。
【0030】
制御アンプ40は、マイク33からの音信号を、磁気誘導ループ42を駆動するのに十分な電流に増幅する。制御アンプ40により増幅された音信号は、磁気誘導ループ42に出力され、これにより音信号に対応した交番磁界が、磁気誘導ループ42に直交する方向、すなわちクッションシート10に対して垂直方向に発生する。
【0031】
(オプション1)
クッションシート10に座る第二利用者(聴取者)が、Tモード機能付きの補聴器50を装着している場合には、補聴器50をTモードに切り換えて、第一利用者(発話者)の発話内容を明瞭に聞くことができる。すなわち、磁気誘導ループ42が発生する磁界内に聴取者が装着する補聴器50があるとき、補聴器50のピックアップコイルには、発話者の発話内容に対応した音信号が電磁誘導される。このように、Tモード機能付きの補聴器50が、磁気誘導ループ42が発生する交番磁界の変動を捕捉することにより、外部の雑音等の影響を受けることなく、第一利用者(発話者)の発話内容を、クッションシート10に座る第二利用者(聴取者)に明瞭に伝音することができる。
【0032】
(オプション2)
第二利用者(聴取者)は、制御アンプ40の出力端子CN5に接続したイヤホン52を装着することでも、第一利用者(発話者)の発話内容を明瞭に聞くことができる。この場合、第一利用者(発話者)が発話し、マイク33で変換された音信号は、制御アンプ40により増幅されてイヤホン52から出力される。これにより、外部の雑音等の影響を受けることなく、第一利用者(発話者)の発話内容を、第二利用者(聴取者)に明瞭に伝音することができる。
【0033】
(オプション3)
クッションシート10に座る第二利用者(聴取者)が、Tモード機能付きの受信機51を携帯している場合には、その受信機51のイヤホンで第一利用者(発話者)の発話内容を明瞭に聞くことができる。この場合、磁気誘導ループ42が発生する交番磁界の変動を、受信機51内のピックアップコイルが捕捉し、発話者の発話内容に対応した音信号を再生することができる。これにより、外部の雑音等の影響を受けることなく、第一利用者(発話者)の発話内容を、クッションシート10に座る第二利用者(聴取者)に明瞭に伝音することができる。
【0034】
(オプション4)
本会話支援システムは、第二利用者(聴取者)の体内に埋め込んだ人工聴覚臓器にも用いることができる。人工聴覚臓器の代表例としては、人工内耳、人工中耳および聴性脳幹インプラントがあり、これら何れの人工聴覚臓器においても本システムの有効性が認められている。
【0035】
人工内耳は、第二利用者(聴取者)の内耳(「蝸牛」とも呼ばれる。)に電極54bを埋め込み、体外装置54aからの電磁信号で電極54bに電気パルスを発生させるものである。電気パルスが周囲の聴神経を刺激することで、利用者にはそれが音として知覚される。体外装置54aは、音信号を電磁信号に変換するスピーチプロセッサであり、近年では補聴器同様の耳掛け式の小型プロセッサも開発されている。
【0036】
人工中耳(埋込型補聴器)は、難聴側の耳の後ろの頭蓋骨に振動端子を埋め込み、体外装置が発生する振動を、骨伝導を利用して内耳に伝え、聞こえをよくするものである。
【0037】
聴性脳幹インプラントは、人工内耳とほぼ同様の構成であるが、蝸牛よりも中枢の脳幹の表面に電極が埋め込まれる。脳幹の深いところにある蝸牛神経核を電気パルスで刺激することで、聴神経に障害があっても蝸牛神経核を通じて知覚を生じさせることができる。
【0038】
このような人工聴覚臓器の体外装置にTモードのピックアップコイルを内蔵して、第一利用者(発話者)の発話内容を第二利用者(聴取者)に伝えることができる。また、上述したTモード機能付きの受信機51の音声出力を体外装置の音声入力端子に接続して用いることもできる。
【0039】
また、本実施形態の会話支援システムでは、発話者と聴取者とが対面した位置関係でなくても十分な会話コミュニケーションを図ることができる。例えば一つの適用例として、聴取者が利用する車椅子の座部にクッションシート10を着脱可能に備えてもよい。この場合、利用者が車椅子で外出した先でも、周囲の騒音等の影響を受けずに、車椅子に背後に居る介助者(発話者)の発話内容を、車椅子のクッションシート10に座る難聴者(聴取者)に明瞭に伝音することができる。
【0040】
また、車椅子の座部でなくても、例えばリハビリのための歩行訓練に使われる歩行支援装置の背もたれ部にクッションシート10を着脱可能に備えてもよい。すなわち、磁気誘導ループ42が発生する交番磁界のエリアに補聴器50等が存在すれば、第一利用者(発話者)から第二利用者(聴取者)へ発話内容を伝音することができる。
【0041】
更に磁気誘導ループ42を埋設したクッションシート10を可搬型とすることで、利用者はクッションシート10を持ち運んだ外出先でも簡便に会話支援を受けることができる。例えば、車両内の後部座席にクッションシート10を置いて、それに座る聴取者と、助手席または運転席に座る発話者との間の会話支援にも利用することができる。
【0042】
また、本実施形態に係るクッションシート10を、例えば映画館や劇場の座席に設けることもできる。その場合、観客は、会話以外にも、難聴者用に拡声した台詞や吹き替えなどの副音声を、補聴器50(またはTモード機能付き受信機51等)を用いて聴取することができる。また、自分が所有する可搬型のクッションシート10を座席に持ち込んで使用してもよい。その場合、利用者は、施設が提供する副音声信号を制御ユニット40に入力して、クリアな副音声を楽しむことができる。更には、外国語で行われる国際会議、講演、会見等の場で提供される同時通訳の聴取手段としての利用にも供することができる。
【0043】
<第二実施形態>
図2は、本発明の第二実施形態による会話支援システムの構成を示す回路ブロック図である。第二実施形態による会話支援システムは、上述の第一実施形態に加えて、次に説明する回路構成を有している。なお、
図2において、第一実施形態と同一の構成要素には同一の符号が付され、その詳細な説明は第一実施形態の説明が参照される。
【0044】
制御アンプ40の入力端子CN4には、第二のマイク31からの音信号が入力される。マイク31は、指向性マイクであることが好ましい。第二利用者が発話した音声は、マイク31により採取され、電気的な音信号に変換されて制御アンプ40に入力される。
【0045】
マイク31と制御アンプ40とは、「必要に応じて」着脱可能に接続される。ここで「必要に応じて」とは、本会話支援システムを使わなくても、第二利用者の発話内容を第一利用者が十分明瞭に聴き取ることができるか否かに応じてという意味である。すなわち、本会話支援システムを使わなくても第二利用者の発話内容を第一利用者が明瞭に聴き取ることができる状況下であれば、マイク31を制御アンプ40から取り外しておいてもよい。また、マイク31と制御アンプ40とは、bluetooth(登録商標)などの適宜の近距離無線通信を利用して、無線接続されてもよい。
【0046】
制御アンプ40の出力端子CN2には、第一利用者が装着する音声出力部である例えばイヤホン35が接続される。第一利用者が必要に応じて装着するイヤホン35と制御アンプ40とはケーブルを介して接続される。ただし、bluetooth(登録商標)などの適宜の近距離無線通信を利用して、これらが無線接続されてもよい。
つまり、本会話支援システムを使わなくても第二利用者の発話内容を第一利用者が明瞭に聴き取ることができる状況下であれば、イヤホン35を制御アンプ40から外しておいてもよいし、制御アンプ40との無線接続を解除(無効化設定)してもよい。
【0047】
また、他の実施態様として、第一のマイク33とイヤホン35とを1つのヘッドセットに設け、ヘッドセットと制御アンプ40とを有線または無線で接続してもよい。また、第一利用者側の音声出力部は、小型の指向性スピーカであってもよい。更に、制御アンプ40のボックスにマイク入力端子とイヤホン出力端子とを設け、マイク33および/またはイヤホン35が、それぞれの端子に必要に応じて着脱可能に接続される構成でもよい。
【0048】
本実施形態による会話支援システムは、第一実施形態による第一利用者から第二利用者へのクリアな伝音に加え、第二利用者から第一利用者への伝音を可能とするものである。したがって、場所を問わずに、相互の会話コミュニケーションを円滑にすることができる。
【0049】
<第三実施形態>
図3は、本発明の第三実施形態による会話支援システムの構成を示す回路ブロック図である。第三実施形態による会話支援システムは、上述の第一および第二実施形態に加えて、次の回路構成を有している。なお、
図3において、第一および第二実施形態と同一の構成要素には同一の符号が付され、その詳細な説明は第一および第二実施形態の説明が参照される。
【0050】
本実施形態では、制御アンプ40のボックスに、外部オーディオ入力(AUX)端子が設けられる。例えば携帯音楽プレーヤ60をAUX入力端子に接続して、第一利用者の補聴器50等および第二利用者のイヤホン35等に音楽を同時に出力することができる。これにより、第一および第二利用者との間の会話に加え、同じ音源の音楽などを通じて相互の共感を誘うような心理的なコミュニケーションも深めることができる。
【0051】
また、制御アンプ40にUSB、bluetooth(登録商標)などの適宜の通信プロトコルを介してスマートフォン70を接続することもできる。この場合、マイク33、イヤホン35またはこれらを備えるヘッドセットを、第一利用者が通話するためのハンズフリー機器として利用してもよいし、マイク31および補聴器50等を第二利用者が通話するためのハンズフリー機器として利用してもよい。
【符号の説明】
【0052】
10 クッションシート
31、33 マイク
35 イヤホン
40 制御アンプ
42 磁気誘導ループ
50 補聴器
51 Tモード付きの受信機
52 イヤホン
54a 体外装置
54b 電極