特許第6594108号(P6594108)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6594108ラベル、および、当該ラベルを用いた加工物の生産を管理する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594108
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】ラベル、および、当該ラベルを用いた加工物の生産を管理する方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/00 20060101AFI20191010BHJP
   G09F 3/02 20060101ALI20191010BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20191010BHJP
   B65B 57/00 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   G09F3/00 M
   G09F3/00 Q
   G09F3/02 A
   G09F3/10 A
   B65B57/00 A
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-165424(P2015-165424)
(22)【出願日】2015年8月25日
(65)【公開番号】特開2017-44767(P2017-44767A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】本田 悟
【審査官】 中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−067574(JP,A)
【文献】 特開2015−114654(JP,A)
【文献】 特開2013−213250(JP,A)
【文献】 特開2000−070865(JP,A)
【文献】 実開平06−055164(JP,U)
【文献】 実開昭51−110046(JP,U)
【文献】 米国特許第5328738(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/00
G09F 3/02
G09F 3/10
B65B 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弱粘着層と、前記弱粘着層に積層された金属箔と、前記金属箔に積層された合成紙と、を備えたラベルを用いて、加工物の生産を管理する方法であって、
プリンタが、前記加工物の生産に必要な複数の作業に関する作業情報を、それぞれ、複数のラベルに印字する工程と、
前記加工物に金属が混入しているか否かを検査するための金属探知機が、前記加工物を収容する容器に前記ラベルが貼付されているか否かを検査する工程と、を含む、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記情報が印字された複数のラベルを前記容器に貼付する工程と、
前記容器内の物品に対して前記複数の作業のそれぞれを実行する工程と、
終了した作業に関する作業情報が印字されたラベルを前記容器から剥離する工程と、をさらに含み、
前記検査する工程は、前記複数の作業のうち最後の作業が終了した後に実行される、
方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記容器には、終了した作業に関する情報が印字されたラベルが貼付されており、
前記ラベルを前記容器から剥離する工程と、
前記容器内の物品に対して前記複数の作業のそれぞれを実行する工程と、
終了した作業に関する作業情報が印字されたラベルを前記容器に貼付する工程と、をさらに含み、
前記検査する工程は、前記複数の作業のうち最後の作業が終了した後に実行される、
方法。
【請求項4】
前記容器から剥離したラベルを所定の台帳に貼付する工程をさらに含む、
請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
第1ラベル片および第2ラベル片から構成され、
前記第1ラベル片および前記第2ラベル片は、弱粘着層と、前記弱粘着層に積層された金属箔と、前記金属箔に積層された合成紙と、を備え、
前記第1ラベル片の弱粘着層は、前記第2ラベル片の弱粘着層の両面のうち、前記第2ラベル片の前記金属箔が積層されていない面に積層される、
ラベル。
【請求項6】
前記第1ラベル片および前記第2ラベル片の弱粘着層の表面には、粘着剤を含む第1領域と、前記粘着剤を含まない第2領域と、が設けられており、
前記第1ラベル片の前記第1領域および前記第2領域は、それぞれ、前記第1ラベル片と前記第2ラベル片との境界線を基準として、前記第2ラベル片の前記第2領域および前記第1領域に対応する位置に設けられている、
請求項5に記載のラベル。
【請求項7】
前記金属箔は、アルミ箔である、
請求項5又は6に記載のラベル。
【請求項8】
前記弱粘着層は、エマルジョン粘着剤を含む、
請求項5〜7のいずれかに記載のラベル。
【請求項9】
前記金属箔は、凹凸を有する、
請求項5〜8のいずれかに記載のラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の容器に貼付可能なラベル、および、当該ラベルを用いた加工物の生産を管理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加工物を生産する工場(例えば、加工食品を生産する食品工場)では、加工物の生産に必要な作業が実行されたか否かを管理するために、原材料や、各作業において得られた生成物等の物品の容器(例えば、番重)に、作業に関する情報(例えば、作業内容および作業者の氏名)やバーコードが印字されたラベル(例えば、特許文献1を参照)を貼付している。例えば、作業を実行した後に、当該作業に関する情報が印字されたラベルを容器から剥離する場合、容器に貼付されたラベルの有無によって、上記作業が実行されたか否かを管理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−141775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、容器に貼付されたラベルの有無は、目視で確認する必要がある。したがって、確認の手間が発生し、かつ、ラベルを見落とすリスクもある。
【0005】
本発明の目的は、容器に貼付されたラベルの有無を確認する手間、および、ラベルを見落とすリスクの両方を低減可能なラベル、および、当該ラベルを用いた加工物の生産を管理する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様は、
物品の容器に貼付可能なラベルであって、
弱粘着層と、
前記弱粘着層に積層された金属箔と、
前記金属箔に積層された合成紙と、
を備えるラベルである。
【0007】
前記金属泊は、アルミ箔であってもよい。
【0008】
前記弱粘着層は、エマルジョン粘着剤を含んでもよい。
【0009】
前記金属箔は、凹凸を有してもよい。
【0010】
第1ラベル片および第2ラベル片から構成され、
前記第1ラベル片および前記第2ラベル片は、前記弱粘着層と、前記金属箔と、前記合成紙と、を備え、
前記第1ラベル片の弱粘着層は、前記第2ラベル片の弱粘着層の両面のうち、前記第2ラベル片の前記金属箔が積層されていない面に積層されてもよい。
【0011】
前記第1ラベル片および前記第2ラベル片の弱粘着層の表面には、粘着剤を含む第1領域と、前記粘着剤を含まない第2領域と、が設けられており、
前記第1ラベル片の前記第1領域および前記第2領域は、それぞれ、前記第1ラベル片と前記第2ラベル片との境界線を基準として、前記第2ラベル片の前記第2領域および前記第1領域に対応する位置に設けられてもよい。
【0012】
本発明の第2態様は、上記ラベルを用いて、加工物の生産を管理する方法であって、
プリンタが、前記加工物の生産に必要な複数の作業に関する作業情報を、それぞれ、複数のラベルに印字する工程と、
前記加工物に金属が混入しているか否かを検査するための金属探知機が、前記加工物を収容する容器に前記ラベルが貼付されているか否かを検査する工程と、を含む、
方法である。
【0013】
上記方法は、
前記情報が印字された複数のラベルを前記容器に貼付する工程と、
前記容器内の物品に対して前記複数の作業のそれぞれを実行する工程と、
終了した作業に関する情報が印字されたラベルを前記容器から剥離する工程と、をさらに含み、
前記検査する工程は、最後の作業が終了した後に実行されてもよい。
【0014】
上記方法は、
前記容器には、終了した作業に関する情報が印字されたラベルが貼付されており、
前記ラベルを前記容器から剥離する工程と、
前記容器内の物品に対して前記複数の作業のそれぞれを実行する工程と、
終了した作業に関する情報が印字されたラベルを前記容器に貼付する工程と、をさらに含み、
前記検査する工程は、最後の作業が終了した後に実行されてもよい。
【0015】
上記方法は、前記容器から剥離したラベルを所定の台帳に貼付する工程をさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、容器に貼付されたラベルの有無を確認する手間、および、ラベルを見落とすリスクの両方を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態のラベルの断面図。
図2図1のラベルの印字面に印字された情報の一例を示す図。
図3図1のラベルを用いて、加工物の生産を管理する方法の第1例のフローチャート。
図4図3のフローチャートの説明図。
図5図1のラベルを用いて、加工物の生産を管理する方法の第2例のフローチャート。
図6図5のフローチャートの説明図。
図7】第2実施形態のラベルの断面図。
図8】第3実施形態のラベルの断面図。
図9図8のラベルの使用方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0019】
(1)第1実施形態
本発明の第1実施形態について説明する。
【0020】
(1.1)ラベルの構成
本実施形態のラベルの構成について説明する。図1は、第1実施形態のラベルの断面図である。図2は、図1のラベルの印字面に印字された情報の一例を示す図である。
【0021】
図1に示すように、ラベル10は、感熱層12と、合成紙14と、金属箔16と、弱粘着層18と、を備える。
【0022】
感熱層12は、合成紙14に積層されている。感熱層12の両面のうち、ラベル10の表側(図1のF側)の面(以下「表面」という)は、ラベル10の印字面10aに相当する。感熱層12は、所定の温度になると特定の色(例えば、黒色)に発色する。感熱層12の厚さは、10〜25(例えば、18)μmである。
ラベル10は、サーマルヘッドを備えるプリンタに使用される。感熱層12は、サーマルヘッドによって加熱されると、発色する。これにより、図2に示すように、ラベル10の印字面に情報(例えば、テキストTXおよびバーコードBC)が印字される。
【0023】
合成紙14は、金属箔16に積層されている。合成紙14は、合成高分子材料(例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、または、ポリエステル)のフィルムに顔料(例えば、白色顔料)が混ぜられたものである。合成紙14の厚さは、70〜90(例えば、80)μmである。合成紙14は、耐久性および耐水性に優れ、かつ、弾性変形する性質を有する。
【0024】
金属箔16は、弱粘着層18に積層されている。「金属箔」とは、1〜50(例えば、7)μmの厚さを有する金属製の部材である。金属箔16は、例えば、アルミ箔、銅箔、鉄箔、または、それらの合金である。
金属箔16は、例えば、接着剤によって、合成紙14および弱粘着層18と接合される。
【0025】
弱粘着層18は、JIS Z1538およびZ0237によって規定された「ステンレス試験板に対する180°引きはがし粘着力」が、50〜700gf/25mmであることが好ましい。弱粘着層18の厚さは、10〜25(例えば、17)μmである。
弱粘着層18の両面のうち、ラベル10の裏側(図1のB側)の面には、粘着剤が塗工されている。弱粘着層18の両面のうち、ラベル10の裏側(図1のB側)の面は、ラベル10の粘着面10bに相当する。粘着剤は、例えば、エマルジョン粘着剤、ソルベント粘着剤、または、ホットメルト粘着剤である。特に、エマルジョン粘着剤は、環境に悪影響を及ぼす物質(例えば、トルエン、シンナー等)を含まず、かつ、安価である。したがって、弱粘着層18には、エマルジョン粘着剤が塗工されることが好ましい。
【0026】
(1.2)加工物の生産を管理する方法
本実施形態のラベルを用いて、加工物の生産を管理する方法について説明する。
なお、以下では、原材料(物品の一例)を加工することによって加工食品(加工物の一例)を生産する場合の管理方法について説明する。
【0027】
(1.2.1)加工物の生産を管理する方法の第1例
加工物の生産を管理する方法の第1例について説明する。図3は、図1のラベルを用いて、加工物の生産を管理する方法の第1例のフローチャートである。図4は、図3のフローチャートの説明図である。
【0028】
図3および図4に示すように、はじめに、プリンタPRTが、加工食品PRの生産に必要な複数の作業に関する情報(以下「作業情報」という)を、それぞれ、複数のラベル10に印字する(S100)。
具体的には、プリンタPRTにラベル10がセットされると、プリンタPRTは、セットされたラベル10を搬送する。搬送されたラベル10がサーマルヘッドによって加熱されると、ラベル10の印字面10aに作業情報が印字される。作業情報は、例えば、作業者の氏名、作業の内容の説明、または、それらの組合せを示すテキストTX、および、バーコードBCである。
【0029】
次に、作業者が、作業情報が印字されたすべてのラベル10を容器PAに貼付する(S102)。容器PAは、例えば、プラスチック製の番重である。
ラベル10の貼付が終了すると、作業者は、加工食品PRの原材料MAを容器PAに収容する。
原材料MAの収容が終了すると、作業者は、容器PAをベルトコンベアに載せる。これにより、複数のラベル10が貼付され、かつ、原材料MAが収容された容器PAが、S104の作業者の作業エリアに搬送される。
【0030】
次に、作業者が、作業を実行する(S104)。
具体的には、作業者は、調理器具CW(例えば、鍋)を用いて、容器PAに収容された原材料MAを調理する。
調理が終了すると、作業者は、調理器具CWの内容物(つまり、S104の作業により得られた生成物)を容器PAに収容する。
【0031】
次に、作業者は、S104において終了した作業に対応するラベルを容器PAから剥離する(S106)。
具体的には、作業者は、容器PAに貼付された複数のラベル10のうち、終了した作業に関する作業情報が印字されたラベル10を容器PAから剥離する。
【0032】
すべての作業が終了していない場合(S108−NO)、S104に戻る。
すべての作業が終了した場合(S108−YES)、容器PAには、加工食品PR(つまり、最後の作業(S104)において得られた生成物)が収容される。金属探知機MDは、容器PAに収容された加工食品PRを検査する(S110)。
食品工場では、加工食品PRに混入している金属(例えば、調理器具CWの破片)を探知するために、金属探知機MDが用いられている。S110では、この金属探知機MDを用いて、金属だけでなく、ラベル10も探知する。
具体的には、金属探知機MDは、搬送ベルトTBと、探知ユニットDUと、ディスプレイDSPと、を備える。ベルトコンベアによって搬送された容器PAは、搬送ベルトTBによって、探知ユニットDUの下方のトンネルに向かって搬送される。探知ユニットDUは、トンネル内の磁場の変化を検出するセンサを備えている。ラベル10は金属箔16を備えるため、剥離されていないラベル10が残っている容器PAがトンネルを通過すると、トンネル内の磁場が変化する。探知ユニットDUのセンサがこの磁場の変化を検出すると、探知ユニットDUは、容器PAから剥離されていないラベル10に含まれている金属箔16を探知する。
【0033】
なお、探知ユニットDUは、複数のセンサを備えていてもよい。複数のセンサは、それぞれ、複数の角度を向くように設けられてもよい。この場合、搬送ベルトTBに載せられた容器PAの向きにかかわらず、トンネル内の磁場の変化が検出され易くなる。したがって、金属探知機MDによるラベル10の探知の精度を向上させることができる。
【0034】
金属探知機MDは、金属を探知すると(S112:YES)、容器PAにラベル10が残っていることを警告する(S114)。
具体的には、探知ユニットDUは、ディスプレイDSP上に警告メッセージ(例えば、「ALARM」というテキストメッセージ)を表示する。作業者は、警告メッセージが表示されると、容器PAに残っているラベル10に印字された作業情報に基づいて、S106が実行されなかった作業を特定する。
【0035】
一方、金属探知機MDが金属を探知しなかった場合(S112:NO)、作業者は、容器PAに収容された加工食品PRを製品として出荷する(S116)。
【0036】
図3および図4の例では、複数の作業に関する作業情報が印字されたラベル10を容器PAに貼付した後、作業が終了する度に、終了した作業に関する作業情報が印字されたラベル10を容器PAから剥離する。
S114において、容器PAにラベル10が残っている場合、金属探知機MDがラベル10を探知する。この場合、容器PAに残っているラベル10に印字された作業情報から、正常に終了しなかった作業(例えば、実行されなかった作業、トラブルによってラベル10を剥離できなかった作業等)を容易に特定することができる。
【0037】
(1.2.2)加工物の生産を管理する方法の第2例
加工物の生産を管理する方法の第2例について説明する。図5は、図1のラベルを用いて、加工物の生産を管理する方法の第1例のフローチャートである。図6は、図5のフローチャートの説明図である。
なお、加工物の生産を管理する方法の第1例(図5)と同様のステップの説明は省略する。
【0038】
S100が終了した後、作業者が容器PAに貼付されたラベル10を剥離する(S120)。なお、S104が最初の作業である場合、S120の工程は実行されない。
具体的には、容器PAには、直前の作業によって得られた生成物、または、加工食品PRの原材料MAが収容されている。
また、容器PAには、作業情報が印字されたラベル10が貼付されている。例えば、直前の作業によって得られた生成物が容器PAに収容されている場合、後述するように、直前の作業に関する作業情報が印字されたラベル10が容器PAに貼付されている。原材料MAが容器PAに収容されている場合、原材料MAに関する情報が印字されたラベル10が容器PAに貼付されている。
作業者は、容器PAから、このラベル10を剥離する。
【0039】
第1実施形態と同様に作業を実行した後(S104)、作業者は、終了した作業に関する作業情報が印字されたラベル10を容器PAに貼付する(S122)。なお、S104が最後の作業(つまり、加工食品PRを得る作業)である場合、S122の工程は実行されない。
これにより、S104において得られた生成物が収容された容器PAに、終了した作業に関する作業情報が印字されたラベル10が貼付される。
【0040】
すべての作業が終了していない場合(S108−NO)、S120に戻る。
すべての作業が終了した場合(S108−YES)、第1実施形態と同様に、S110〜S114の工程が実行される。
【0041】
図5および図6の例では、作業を実行する際に、前の作業に関する作業情報が印字されたラベル10を容器PAから剥離し、かつ、終了した作業に関する作業情報が印字されたラベル10を容器PAに貼付する。
S104またはS122が実行されなかった場合、容器PAにラベル10が残る。S110において、金属探知機MDは、容器PAに残っているラベル10を探知する。この場合、容器PAに残っているラベル10に印字された作業情報から、S120、S104、または、S122が実行されなかった作業を容易に特定することができる。
【0042】
(1.3)本実施形態の小括
本実施形態では、原材料MA(物品の一例)の容器PAに貼付可能なラベル10が、弱粘着層18と、弱粘着層18に積層された金属箔16と、金属箔16に積層された合成紙14と、を備える。
また、本実施形態では、金属箔16は、アルミ箔であってもよい。
このように、ラベル10が金属箔16(例えば、アルミ箔)を備えるので、容器PAからラベル10を剥離し忘れても、加工食品PR(加工物の一例)に含まれている金属を探知するための金属探知機MDを用いて、加工食品PRにラベル10が混入しているか否かを探知することができる。したがって、ラベル10が容器PAに貼付されたまま残っているか否かを目視で確認する必要がないので、当該確認の手間を低減することができる。また、容器PAに貼付されたラベル10を見落とすリスクも低減することができる。
【0043】
本実施形態では、弱粘着層18は、エマルジョン粘着剤を含むことが好ましい。
一般に、エマルジョン粘着剤は、他の粘着剤より安価である。一方、金属部材(例えば、アルミ層)の厚さが1μm未満である(つまり、金属部材の厚さが金属箔16より薄い)場合にエマルジョン粘着剤を使用すると、金属部材が半透明になる可能性がある。これは、ラベル10の美観を損なうため、好ましくない。しかし、本実施形態では、金属箔16の厚さが1μm以上であるので、美観を損なうことなく、安価なエマルジョン粘着剤を用いて弱粘着層18を実現することができる。
【0044】
本実施形態では、上記ラベル10を用いて、加工食品PRの生産を管理する方法が、プリンタPRTが、加工食品PRの生産に必要な複数の作業に関する作業情報を、それぞれ、複数のラベル10に印字する工程(S100)と、加工食品PRに金属が混入しているか否かを検査するための金属探知機MDが、加工食品PRを収容する容器PAにラベル10が貼付されているか否かを検査する工程(S110)と、を含む。
また、本実施形態では、上記方法が、情報が印字された複数のラベル10を容器PAに貼付する工程(S102)と、容器PA内の物品に対して複数の作業のそれぞれを実行する工程(S104)と、終了した作業に関する情報が印字されたラベル10を容器PAから剥離する工程(S106)と、をさらに含み、検査する工程(S110)は、最後の作業が終了した後に実行されてもよい。
また、本実施形態では、上記方法が、容器PAには、終了した作業に関する情報が印字されたラベル10が貼付されており、ラベル10を容器から剥離する工程(SS120)と、容器PA内の物品に対して前記複数の作業のそれぞれを実行する工程(S104)と、終了した作業に関する情報が印字されたラベル10を容器PAに貼付する工程と(S122)、をさらに含み、検査する工程(S110)は、最後の作業が終了した後に実行されてもよい。
したがって、金属探知機MDを用いて、容器PAにラベル10が残っているか否かを探知することができる。容器PAにラベル10が残っている場合、当該ラベル10に印字された作業情報から、実行されなかった作業を容易に特定することができる。
【0045】
(1.4)本実施形態の変形例
本実施形態では、容器PAに貼付される前のラベル10は、剥離紙に仮着されていてもよい。剥離紙は、例えば、グラシン紙である。剥離紙の厚さは、50〜60(例えば、55)μmである。
【0046】
本実施形態では、感熱層12は必須ではない。本実施形態は、感熱層12を有していないラベル(つまり、合成紙14の両面のうち、表側(図1のF側)の面がラベル10の印字面に相当する場合)にも適用可能である。この場合、情報の印字は、例えば、インクリボンを用いる熱転写方式のプリンタ、インクジェット方式のプリンタ、電子写真方式のプリンタ等によって行われる。
【0047】
本実施形態では、加工物が加工食品PRである例について説明したが、加工物はこれに限られない。例えば、加工物は、人間または動物が摂取する薬剤であってもよい。
【0048】
図3のS106、または、図5のS120において剥離されたラベル10を、所定の台帳(例えば、加工食品PRの出荷状況が記載された出荷台帳)に貼付してもよい。
これにより、出荷された加工食品PR毎の作業の実行状況を容易に確認することができる。
【0049】
(2)第2実施形態
本発明の第2実施形態について説明する。
【0050】
(2.1)ラベルの構成
本実施形態のラベルの構成について説明する。図7は、第2実施形態のラベルの断面図である。
【0051】
図7に示すように、ラベル20の金属箔26の表側(図7のF側)の面26aおよび裏側(図7のB側)の面26b、ならびに、弱粘着層28の表側の面28aおよび裏側の面28bに凹凸を有する点において、第1実施形態の金属箔16および弱粘着層18(図4)と異なる。
金属箔26および弱粘着層28の凹凸は、曲面を有している。この曲面を有する凹凸は、エンボス加工によって形成される。
一方、感熱層12、および、合成紙14の両面は、平坦である。なお、感熱層12および合成紙14も、金属箔26および弱粘着層28と同様に、表側(図7のF側)の面および裏側(図7のB側)の面に凹凸を有してもよい。
【0052】
(2.2)本実施形態の小括
金属探知機MDによるラベル10の探知の精度は、容器PAに貼付されたラベル10の向きに依存する。しかし、容器PAに貼付されたラベル10の向きが一様になるとは限らない。これに対して、本実施形態では、金属箔26は、凹凸を有するので、当該ラベル10の向きにかかわらず、金属探知機MDによるラベル10の探知が可能になる。
【0053】
また、本実施形態では、弱粘着層28が凹凸を有するので、粘着面10bの粘着力が第1実施形態より弱い。したがって、第1実施形態と比べると、容器PAからラベル10を剥離し易い。これにより、図3のS106、および、図5のS120の工程における作業者の作業効率を第1実施形態より向上させることができる。
【0054】
(2.3)本実施形態の変形例
本実施形態では、粘着層として、凹凸を有する弱粘着層28を備えるラベル20の例について説明した。しかし、ラベル20は、弱粘着層28に代えて、凹凸を有する強粘着層を備えてもよい。強粘着層とは、JIS Z1538およびZ0237によって規定された「ステンレス試験板に対する180°引きはがし粘着力」が、5880mN/25mm以上である。
一般に、強粘着層は、弱粘着層より安価である。したがって、ラベル20の製造コストの点では、粘着層が強粘着層であることが好ましい。
【0055】
(3)第3実施形態
本発明の第3実施形態について説明する。
【0056】
(3.1)ラベルの構成
本実施形態のラベルの構成について説明する。図8は、第3実施形態のラベルの断面図である。
【0057】
図8に示すように、ラベル30は、1対のラベル片(第1ラベル片30aおよび第2ラベル片30b)から構成されている。ラベル30は、2つの印字面10a(第1ラベル片30aの印字面10aおよび第2ラベル片30bの印字面10a)を有する。
第1ラベル片30aは、感熱層12と、合成紙14と、金属箔16と、第1弱粘着層38aと、を備える。
第2ラベル片30bは、感熱層12と、合成紙14と、金属箔16と、第2弱粘着層38bと、を備える。
第1弱粘着層38aは、第2弱粘着層38bの両面のうち、第2ラベル片30bの金属箔16が積層されていない面に積層される。
第1ラベル片30aおよび第2ラベル片30bは、第1ラベル片30aと第2ラベル片30bとの境界線BLを基準として、印字面10aに直交する方向(Y方向)について対称である。
【0058】
第1弱粘着層38aは、複数の第1領域381aと、複数の第2領域382aと、を有する。複数の第1領域381aおよび複数の第2領域382aは、それぞれ、印字面10aに平行な方向(X方向)に沿って、交互に設けられている。
第2弱粘着層38bは、複数の第1領域381bと、複数の第2領域382bと、を有する。複数の第1領域381bおよび複数の第2領域382bは、それぞれ、X方向に沿って、交互に設けられている。
【0059】
第1領域381aおよび381bは、粘着剤を含む領域である。この粘着剤の粘着力は、第1実施形態の弱粘着層18と同様である。
第2領域382aおよび382bは、粘着剤を含まない領域である。第2領域382aおよび382bは、例えば、シリコーンである。
第1弱粘着層38aの各第1領域381aおよび第2弱粘着層38bの各第1領域381bは、それぞれ、境界線BLを基準として、第2弱粘着層38bの各第2領域382bおよび第1弱粘着層38aの各第2領域382aと対応する位置に設けられている。
つまり、第1領域381aおよび381bは、それぞれ、ラベル30の境界線BLを挟んで、第2領域382bおよび382aと対向する。
【0060】
(3.2)ラベルの使用方法
本実施形態のラベルの使用方法について説明する。図9は、図8のラベルの使用方法を示す図である。
【0061】
図9のT1に示すように、はじめに、第1ラベル片30aおよび第2ラベル片30bは、境界線BLを基準として対向するように、互いに仮着している。具体的には、第1ラベル片30aの第1領域381aは第2ラベル片30bの第2領域382bに仮着し、かつ、第2ラベル片30bの第1領域381bは第1ラベル片30aの第2領域382aに仮着している。したがって、粘着面10bは露出しない。
次に、図9のT2に示すように、第1ラベル片30aおよび第2ラベル片30bに設けられた1対の取手31が互いに逆方向に引っ張られると、第1ラベル片30aおよび第2ラベル片30bは、互いに剥離する。その結果、粘着面10bが露出する。
次に、図9のT3に示すように、立方体形状の容器PAの一辺と境界線BLとが一致するようにラベル30が容器PAの2面に貼付されると、容器PAに貼付されたラベル30はL字形状となる。このとき、印字面10aは、容器PAの2面上に位置する。したがって、容器PAの2面のいずれの角度からも、印字面10aに印字された情報が視認可能になる。
【0062】
(3.3)本実施形態の小括
本実施形態のラベル30は、第1ラベル片30aおよび第2ラベル片30bから構成される。第1ラベル片30aは、第1弱粘着層38aと、金属箔16と、合成紙14と、を備える。第2ラベル片30bは、第2弱粘着層38bと、金属箔16と、合成紙14と、を備える。第1ラベル片30aの第1弱粘着層38aは、第2ラベル片30bの第2弱粘着層38bの両面のうち、第2ラベル片30bの金属箔16が積層されていない面に積層される。
したがって、容器PAにラベル30を貼付したときに、第1ラベル片30aの印字面10aおよび第2ラベル片30bの印字面10aが互いに異なる方向を向いた状態で、第1ラベル片30aの粘着面10bおよび第2ラベル片30bの粘着面10bが、それぞれ、容器PAの異なる面に接着する。その結果、ラベル30の印字面10aに印字された情報が複数の角度から視認可能になる。
【0063】
本実施形態の第1ラベル片30aの第1弱粘着層38aおよび第2ラベル片30bの第2弱粘着層38bの表面(つまり、粘着面10b)には、それぞれ、粘着剤を含む複数の第1領域381aおよび381bと、粘着剤を含まない複数の第2領域382aおよび382bと、が設けられている。第1ラベル片30aの第1領域381aおよび第2領域382aは、それぞれ、第1ラベル片30aと第2ラベル片30bとの境界線BLを基準として、第2ラベル片30bの第2領域382bおよび第1領域381bに対応する位置に設けられている。
好ましくは、本実施形態の複数の第1領域381aおよび複数の第2領域382aは、印字面10aに平行な方向(X方向)について交互に設けられ、かつ、複数の第1領域381bおよび複数の第2領域382bは、印字面10aに平行な方向(X方向)について交互に設けられる。
この場合、粘着面10bにおいて、粘着剤を含む第1領域381aおよび381bが広範囲に分散する。その結果、容器PAに添付されたラベル30が剥がれにくくなる。
【0064】
(3.4)本実施形態の変形例
上述の実施形態では、第1弱粘着層38aおよび第2弱粘着層38bの表面に、それぞれ、複数の第1領域381aおよび381bと、複数の第2領域382aおよび382bと、が交互に設けられる例を説明した。しかし、第1領域381aおよび381b、ならびに、第2領域382aおよび382bは、それぞれ、1つであってもよい。
例えば、第1弱粘着層38aにおいて、1つの第1領域381aが設けられ、かつ、第1領域381aが設けられていない部分に第2領域382aが設けられてもよい。この場合、第2弱粘着層38bにおいて、第1弱粘着層38aの第2領域382aの位置に対応する位置に第1領域381bが設けられ、かつ、第1領域381bが設けられていない部分(つまり、第1弱粘着層38aの第1領域381aの位置に対応する位置)に第2領域382bが設けられる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態および変形例は、組合せ可能である。
【符号の説明】
【0066】
10,20,30: ラベル
12 :感熱層
14 :合成紙
16,26 :金属箔
18,28,38a,38b: 弱粘着層
31 :取手
381a,381b :第1領域
382a,382b :第2領域
BC :バーコード
TX :テキスト
CW :調理器具
MA :原材料
PA :容器
PR :加工食品
PRT :プリンタ
MD :金属探知機
DSP :ディスプレイ
DU :探知ユニット
TB :搬送ベルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9