(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ある歌唱者がある楽曲を歌唱した際に得られるメロディデータと当該楽曲のリファレンスデータとを比較し、少なくとも音程にズレがあるパターンが前記メロディデータ中にあるかどうかを特定する特定部と、
特定された前記音程にズレがあるパターンが所定数以上ある場合、当該パターンを前記ある歌唱者が苦手とする苦手パターンとして決定する決定部と、
前記苦手パターンを、当該苦手パターンに対応する前記リファレンスデータのパターンと関連付けて記憶する記憶部と、
前記ある歌唱者が所望の楽曲を検索するために音声入力部を介して入力した音声データ中に、前記苦手パターンが含まれるか否かを判断する判断部と、
前記音声データ中に前記苦手パターンと同一のパターンが含まれる場合、前記音声データのうち苦手パターンに対応する部分を、当該苦手パターンに対応する前記リファレンスデータのパターンに置換する置換部と、
前記音声データに基づく楽曲、及び前記苦手パターンに対応する部分が置換された置換済み音声データに基づく楽曲の検索を行う検索部と、
前記ある歌唱者が、検索結果の中から前記音声データに基づく楽曲を選択した場合、前記音声データ中に含まれていると判断された前記苦手パターンを前記記憶部から削除する削除部と、
を有することを特徴とする楽曲検索システム。
削除された前記苦手パターンと同じパターンが前記決定部により改めて苦手パターンとして決定された場合に、前記記憶部に当該苦手パターンを記憶させないよう制御する記憶制御部を有することを特徴とする請求項1記載の楽曲検索システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
図1〜
図6Bを参照して、第1実施形態に係る楽曲検索システム100について説明する。
【0016】
==楽曲検索システム==
図1は、本実施形態に係る楽曲検索システム100を示す。楽曲検索システム100は、カラオケ装置1、リモコン装置2及びサーバ3を含んで構成される。カラオケ装置1は、カラオケ店舗の各カラオケルーム等に設置される。カラオケ装置1及びサーバ3は、ネットワークNを介して通信可能となっている。ネットワークNは、たとえば公衆電話回線網やインターネット回線である。カラオケ装置1及びリモコン装置2は、有線又は無線により通信可能となっている。なお、
図1には複数のカラオケ装置1及びリモコン装置2を示しているが、楽曲検索システム100としてはカラオケ装置1及びリモコン装置2は少なくとも一つずつあればよい。
【0017】
==カラオケ装置==
カラオケ装置1は、カラオケ演奏及び歌唱者が歌唱を行うための装置である。
図2に示すように、カラオケ装置1は、カラオケ本体10、スピーカ20、表示装置30、及びマイク40を備える。
【0018】
スピーカ20はカラオケ本体10からの放音信号に基づいて放音するための構成である。表示装置30はカラオケ本体10からの信号に基づいて映像や画像を画面に表示するための構成である。マイク40は歌唱者の音声(歌唱音声)を音声信号に変換してカラオケ本体10に入力するための構成である。
【0019】
カラオケ本体10は、選択された楽曲の演奏制御、歌詞や背景映像等の表示制御、マイク40を通じて入力された歌唱音声信号の処理といった、カラオケ歌唱に関する各種の制御を行う。
図3に示すように、カラオケ本体10は、制御部11、記憶部12、音響処理部13、表示処理部14、操作部15、及び通信部16を備える。
【0020】
制御部11は、CPUおよびメモリを備える。CPUは、メモリに記憶された動作プログラムを実行することにより各種の制御機能を実現する。メモリは、CPUに実行されるプログラムを記憶したり、プログラムの実行時に各種情報を一時的に記憶したりする記憶装置である。
【0021】
記憶部12は、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置である。記憶部12は、カラオケ装置1によりカラオケ演奏を行うための楽曲データ、カラオケ楽曲に対応する歌詞テロップを表示装置30等に表示させるための歌詞データ、及びカラオケ演奏時に表示装置30に表示される背景画像等の映像データを記憶する。カラオケ装置1が楽曲データに基づいて楽曲を演奏することにより、歌唱者はカラオケの歌唱が可能となる。楽曲データは、楽曲毎に所定のID(楽曲ID)が付与されている。楽曲データは、MIDIデータ、リファレンスデータ、歌詞データ等が含まれる。リファレンスデータは、利用者によるカラオケ歌唱を採点する際の基準となるデータであり、各音符の音高及び音長を表す時系列の情報によって構成されている。
【0022】
音響処理部13は、制御部11の制御に基づき、カラオケ楽曲に対する演奏の制御およびマイク40を通じて入力された音声信号の処理を行う。表示処理部14は、制御部11の制御に基づき、表示装置30等における各種表示に関する処理を行う。操作部15は、パネルスイッチおよびリモコン受信回路等を含み、歌唱者によるカラオケ装置1のパネルスイッチ或いはリモコン装置2の操作に応じて予約信号、演奏中止信号などの操作信号を制御部11に対して出力する。通信部16は、リモコン装置2及びサーバ3と接続するためのインタフェースを提供する。
【0023】
本実施形態において制御部11は、特定部11a及び決定部11bとして機能する。
【0024】
特定部11aは、ある歌唱者がある楽曲を歌唱した際に得られるメロディデータと当該楽曲のリファレンスデータとを比較し、少なくとも音程にズレがあるパターンがメロディデータ中にあるかどうかを特定する。
【0025】
決定部11bは、特定部11aで特定されたパターン(音程にズレがあるパターン)が所定数以上ある場合、当該パターンをある歌唱者が苦手とする苦手パターンとして決定する。
【0026】
通常、音程にズレが生じるケースは、たとえば「8分音符が4つ連続するとともに音高が半音ずつ下降するパターンの場合に、1、2、3音目まで同じ音高で歌唱してしまう」、「二つの音符の音高差が2音半あり上昇するパターンの場合に、2音目が半音低い」といったように歌唱者によって特徴がある。そこで、これらのパターンを当該歌唱者が苦手なパターンとして特定することが可能である。
【0027】
具体例として、カラオケ装置1に自己の歌唱者IDでログインした状態において、歌唱者Xが楽曲Aを歌唱したとする。この場合、マイク40を介して歌唱者Xの歌唱したメロディデータが得られる。
【0028】
この場合、特定部11aは、得られたメロディデータを音符毎の音高データに変換する。特定部11aは、メロディデータを構成する各音符の音高データと、記憶部12に記憶されている楽曲Aのリファレンスデータに含まれる音高データとを比較し、音高がずれている音符を認識する。音高がずれている音符があった場合、特定部11aは、その音符の前後の音符(たとえば、前後1音符分)を含めて「音程にズレがあるパターンP」として特定する。なお、特定部11aは、音高データ及び音長データに対して比較を行うことでもよい。
【0029】
決定部11bは、特定部11aで特定された「音程にズレのあるパターンP」が、得られたメロディデータ中にいくつ含まれるかを抽出する。
【0030】
ここで、一の楽曲中で音程のズレがあるパターンPが複数存在する場合、歌唱者XはパターンPを歌唱することが得意では無いと考えられる。そこで、決定部11bは、一の楽曲中でパターンPが所定数以上抽出された場合には、パターンPを歌唱者Xが苦手とする苦手パターンWPとして決定する。所定数は、予め適当な値(たとえば、3回)を設定しておくことができる。
【0031】
決定部11bは、把握された苦手パターンWP(たとえば、音符n
1〜n
3からなる音程のパターン)を、苦手パターンWPに対応するリファレンスデータのパターンRP(たとえば、音符n´
1〜n´
3からなるパターン)と関連付けて、歌唱者Xの歌唱者IDと併せてサーバ3に送信する。サーバ3の記憶部32(後述)は、苦手パターンWPを、苦手パターンWPに対応するリファレンスデータのパターンRPと関連付けて記憶する。
【0032】
なお、特定部11a及び決定部11bによる処理は、歌唱者が歌唱する度に自動で行われてもよいし、歌唱者がリモコン装置2等を介して指定した場合にのみ行われることでもよい。
【0033】
また、上記の例では一の楽曲中で音程にズレのあるパターンが所定数以上ある場合について述べたが、これに限られない。たとえば、個々の歌唱者が苦手とするパターンは共通である場合が多いため、音程にズレのあるパターンは、一の楽曲に限らず他の楽曲においても含まれている可能性が高い。
【0034】
そこで、たとえば歌唱者Xが楽曲A〜楽曲Eの5曲を歌唱している場合、特定部11aは、楽曲A〜楽曲Eそれぞれを歌唱した際に得られるメロディデータと楽曲A〜楽曲Eそれぞれのリファレンスデータとを比較し、音程にズレがあるパターンPが各メロディデータ中にあるかどうかを特定する。そして、決定部11bは、特定部11aで特定されたパターンPが楽曲A〜楽曲E全体でいくつあるかをカウントし、合計した値が所定数以上の場合、パターンPをある歌唱者が苦手とする苦手パターンWPとして決定することも可能である。
【0035】
==リモコン装置==
リモコン装置2は、カラオケ装置1に対する各種操作をおこなうための装置である。歌唱者はリモコン装置2を用いてカラオケ装置1の起動、楽曲の予約等を行うことができる。
図4に示すように、リモコン装置2は、制御部21、記憶部22、音声入力部23、表示部24、及び通信部25を備える。制御部21は、CPUおよびメモリを備える。CPUは、メモリに記憶された動作プログラムを実行することにより各種の制御機能を実現する。メモリは、CPUに実行されるプログラムを記憶したり、プログラムの実行時に各種情報を一時的に記憶したりする記憶装置である。記憶部22は、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置である。音声入力部23は、マイク等、歌唱者が音声を入力するための装置である。表示部24は、楽曲検索画面や楽曲選択画面等が表示されるディスプレイである。表示部24は、タッチパネル式のGUIを含んでもよい。通信部25は、カラオケ装置1と接続するためのインタフェースを提供する。
【0036】
本実施形態において制御部21は、判断部21a及び置換部21bとして機能する。
【0037】
判断部21aは、ある歌唱者が所望の楽曲を検索するために音声入力部23を介して入力した音声データ中に、苦手パターンが含まれるか否かを判断する。
【0038】
置換部21bは、音声データ中に苦手パターンと同一のパターンが含まれる場合、音声データのうち苦手パターンに対応する部分を、当該苦手パターンに対応するリファレンスデータのパターンに置換する。
【0039】
具体例として、歌唱者Xの苦手パターンWPが、対応するリファレンスデータのパターンRPと共にサーバ3の記憶部32に記憶されているとする。
【0040】
歌唱者Xが歌唱者IDに基づきカラオケ装置1にログインした場合、リモコン装置2は、歌唱者Xの苦手パターンWP及び対応するリファレンスデータのパターンRPをサーバ3から予めダウンロードする。なお、このダウンロードはリモコン装置2等を介して歌唱者が指定した場合に行うこととしてもよい。
【0041】
ここで、曲名や歌手名等は分からないが楽曲の一部のメロディ(たとえばサビ)だけ知っている楽曲を、歌唱者Xが歌唱したいと考えたとする。この場合、歌唱者Xは、音声入力部23を介して一部のメロディを歌唱入力することで楽曲の検索が可能となる「メロディ歌唱検索」をリモコン装置2で選択することができる。
【0042】
歌唱者Xが所望の楽曲を検索するために音声入力部23を介して音声データを入力した場合、判断部21aは、当該音声データをリアルタイムでデジタルデータに変換し、苦手パターンWPと比較することにより、音声データ中に苦手パターンWPが含まれるか否かを判断する。たとえば、音声データが音符N
1〜N
21からなり、苦手パターンWPが音符n
1〜n
3を含むパターンであるとする。この場合、判断部21aは、音符n
1〜n
3の苦手パターンWPを音符N
1〜N
3、音符N
2〜N
4、音符N
3〜N
5・・・音符N
19〜N
21というように順次比較することにより、苦手パターンWPの有無を判断する。
【0043】
ここで、たとえば、音符N
3〜N
5及び音符N
15〜N
17が苦手パターンWP(音符n
1〜n
3)に相当すると判断された場合、置換部21bは、音声データのうち苦手パターンWPに対応する部分(音符N
3〜N
5及び音符N
15〜N
17)それぞれを、当該苦手パターンに対応するリファレンスデータのパターン(音符n´
1〜n´
3)に置換する。置換部21bは、カラオケ装置1を介して苦手パターンWPに対応する部分が置換された音声データ(置換済み音声データ)をサーバ3に送信する。併せて、置換部21bは、カラオケ装置1を介し、入力されたままの音声データ(苦手パターンWPに対応する部分が置換されていない音声データ)をサーバ3に送信する。なお、苦手パターンWPに対応する部分が含まれていない場合、置換部21bは、カラオケ装置1を介し、入力されたままの音声データのみをサーバ3に送信する。この場合、従来と同様の音声入力に応じた楽曲検索が可能となる。
【0044】
==サーバ==
サーバ3は、歌唱者やカラオケ店等に配置されているカラオケ装置1毎のデータ等、各種情報を蓄積して管理するコンピュータである。
図5に示すようにサーバ3は、制御部31、記憶部32及び通信部33を備える。
【0045】
制御部31は、CPUおよびメモリを備える。CPUは、メモリに記憶された動作プログラムを実行することにより各種の制御機能を実現する。メモリは、CPUに実行されるプログラムを記憶したり、プログラムの実行時に各種情報を一時的に記憶したりする記憶装置である。記憶部32は、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置である。記憶部32には、歌唱者ID毎に歌唱者に関する個人情報や歌唱者の歌唱履歴、楽曲データ等が記憶されている。また、記憶部32は、リモコン装置2から送信された苦手パターン、及び当該苦手パターンに対応するリファレンスデータのパターンを記憶する。通信部33は、カラオケ装置1と接続するためのインタフェースを提供する。なお、リモコン装置2とサーバ3とがカラオケ装置1を介さず直接通信可能となっていてもよい。
【0046】
本実施形態において制御部31は、検索部31a及び削除部31bとして機能する。
【0047】
検索部31aは、音声データに基づく楽曲、及び苦手パターンに対応する部分が置換された置換済み音声データに基づいて楽曲の検索を行う。楽曲の検索処理は特に限定されるものではなく公知の手法を用いることが可能である(たとえば、特許文献1の手法)。
【0048】
具体例として、リモコン装置2は、入力されたままの音声データ、及び苦手パターンWPに対応する部分が置換された置換済み音声データをサーバ3に送信する。この場合、検索部31aは、それぞれの音声データに基づいて、当該音声データに対応する楽曲の検索を行う。検索部31aは、検索結果に対応する楽曲の楽曲IDを通信部33からカラオケ装置1を介してリモコン装置2に送信する。なお、検索結果に対応する楽曲が複数ある場合、検索部31aは、複数の楽曲それぞれの楽曲IDをリモコン装置2に送信する。
【0049】
リモコン装置2(制御部21)は、送信された楽曲IDに対応する楽曲名を表示部24に表示させる。歌唱者Xは、表示された楽曲を選択することにより、所望の楽曲を歌唱することが可能となる。リモコン装置2は、選択された楽曲の楽曲IDをサーバ3に送信する。
【0050】
削除部31bは、ある歌唱者が、検索結果の中から入力されたままの音声データに基づく楽曲を選択した場合、音声データ中に含まれていると判断された苦手パターンWPを記憶部32から削除する。
【0051】
入力されたままの音声データに基づいて検索された楽曲が選ばれた場合、置換済み音声データに基づいて検索された楽曲は、メロディ歌唱検索機能を使った歌唱者Xにとっては所望の楽曲ではないこととなる。すなわち、歌唱者Xは、メロディ歌唱検索においては、所望の楽曲に合った正しいメロディを歌唱できていると考えられる。このような場合、記憶されている苦手パターンWPは、歌唱者Xがメロディ歌唱検索を行う際には正しく歌唱できるパターン(疑似苦手パターン)として処理することが妥当である。そこで、削除部31bは、そのような苦手パターンを記憶部32から削除する。
【0052】
具体例として、削除部31bは、リモコン装置2から送信される歌唱者Xが選択した楽曲の楽曲IDに基づいて、検索結果のうち、いずれの楽曲が選択されたのかを判断する。ここで、音声データに基づく楽曲が選択されていた場合、削除部31bは、音声データ中に含まれていると判断された苦手パターンWPを記憶部32から削除する。
【0053】
このような処理により、以降の歌唱者Xによるメロディ歌唱検索に対しては削除したパターンとリファレンスデータとの置換は行われないため、所望の楽曲を正確に検索することが可能となる。
【0054】
なお、上記では、歌唱者Xが音声データに基づく楽曲を1回選択した際に苦手パターンWPを記憶部32から削除する例について述べたがこれに限られない。削除部31bは、苦手パターンWPが置換された音声データに基づいて検索された楽曲が所定回数、選択されなかった場合に記憶部32から苦手パターンWPを削除することでもよい。所定回数は、たとえば予め一定の値(3回、5回等)が設定されている。
【0055】
==楽曲検索システムの動作について==
次に、
図6A及び
図6Bを参照して本実施形態に係る楽曲検索システム100の動作の具体例について述べる。
図6A及び
図6Bは、楽曲検索システム100の動作例を示すフローチャートである。
【0056】
<苦手パターンの決定>
まず、
図6Aを参照して苦手パターンの決定処理について説明する。
【0057】
歌唱者Xは、リモコン装置2を介し楽曲Aを選択する(楽曲の選択。ステップ10)。リモコン装置2は、選択された楽曲Aに対応する楽曲IDをカラオケ本体10に送信する。カラオケ装置1は、選択された楽曲Aの演奏を行う。歌唱者Xは演奏に合わせてカラオケ歌唱を行う(楽曲の歌唱。ステップ11)。
【0058】
カラオケ装置1において、特定部11aは、歌唱者Xが楽曲Aを歌唱した際に得られるメロディデータと、記憶部12に記憶されている楽曲Aのリファレンスデータとを比較する。そして、特定部11aは、音程にズレがあるパターンがメロディデータ中にあるかどうかを特定する(ズレのあるパターンの特定。ステップ12)。
【0059】
カラオケ装置1において、決定部11bは、ステップ12で特定された音程にズレがあるパターンの数をカウントする。音程にズレがあるパターンの数が所定数以上の場合(ステップ13でYの場合)、決定部11bは、当該パターンを歌唱者Xが苦手とする苦手パターンとして決定する(苦手パターンの決定。ステップ14)。決定部11bは、ステップ14で決定された苦手パターンを当該苦手パターンに対応するリファレンスデータのパターンと関連付け、歌唱者Xの歌唱者IDと併せてサーバ3に送信する(苦手パターンの送信。ステップ15)。一方、音程にズレがあるパターンの数が所定数より少ない場合(ステップ13でNの場合)には、決定部11bは、苦手パターン決定の処理を行わない。
【0060】
サーバ3において、記憶部32は、ステップ15で送信された苦手パターン及び苦手パターンに対応するリファレンスデータのパターンを関連付けて記憶する(苦手パターンの記憶。ステップ16)。
【0061】
<音声入力による楽曲検索>
次に、
図6Bを参照して音声入力による楽曲検索処理について説明する。
【0062】
歌唱者Xがリモコン装置2の音声入力部23を介して所望の楽曲のメロディ(音声データ)を入力したとする(音声データの入力。ステップ17)。なお、歌唱者Xが歌唱者IDに基づきカラオケ装置1にログインしている場合、リモコン装置2は、歌唱者Xの苦手パターン及び対応するリファレンスデータのパターンをサーバ3の記憶部32から予めダウンロードしておく。
【0063】
この場合、リモコン装置2において、判断部21aは、ステップ17で入力された音声データ中に、ステップ14で決定された苦手パターンが含まれるか否かを判断する(苦手パターン有無の判断。ステップ18)。音声データ中に苦手パターンと同一のパターンが含まれる場合、置換部21bは、音声データのうち苦手パターンに対応する部分を、当該苦手パターンに対応するリファレンスデータのパターンに置換する(苦手パターンの置換。ステップ19)。置換部21bは、ステップ17で入力されたままの音声データ、及び苦手パターンに対応する部分が置換された置換済み音声データをサーバ3に送信する(音声データ及び置換済み音声データの送信。ステップ20)。
【0064】
検索部31aは、入力されたままの音声データ、及び置換済み音声データに基づいて、それぞれに対応する楽曲の検索を行う(楽曲の検索。ステップ21)。なお、音声データ中に苦手パターンと同一のパターンが含まれない場合、置換部21bは、ステップ17で入力されたままの音声データのみをサーバ3に送信する。検索部31aは、当該音声データに基づいて楽曲の検索を行う。
【0065】
検索部31aは、検索された楽曲の楽曲IDをリモコン装置2に送信する(検索結果の送信。ステップ22)。リモコン装置2は、ステップ22で送信された楽曲IDに対応する楽曲名を表示部24に表示させる。歌唱者Xは、表示された楽曲の中から所望の楽曲を選択することにより、カラオケ歌唱を行うことができる。
【0066】
ここで、リモコン装置2は、歌唱者Xによって選択された楽曲の楽曲IDをサーバ3に送信する(選択された楽曲の送信。ステップ23)。
【0067】
削除部31bは、ステップ23で送信された楽曲IDに基づいて、選択された楽曲が音声データに基づく楽曲なのか、置換済み音声データに基づく楽曲なのかを判断する。
【0068】
検索結果の中から歌唱者Xが音声データに基づく楽曲を選択した場合(ステップ24でYの場合)、削除部31bは、音声データ中に含まれていると判断された苦手パターンを記憶部32に記憶されている歌唱者Xに関するデータから削除する(苦手パターンの削除。ステップ25)。一方、検索結果の中から歌唱者Xが置換済み音声データに基づく楽曲を選択した場合(ステップ24でNの場合)、削除部31bは特段の処理を行わない。
【0069】
このように、本実施形態に係る楽曲検索システム100によれば、歌唱レベルが低い歌唱者であっても、音声入力に基づいて所望の楽曲を検索することができる。すなわち、音声入力により楽曲検索を行う場合において、歌唱者が苦手なパターンについては対応するリファレンスデータのパターン(すなわち、正確な音程のパターン)に置き換えて検索を行うことができる。よって、精度の高い検索が可能となる。一方で、本実施形態に係る楽曲検索システム100によれば、カラオケ演奏に合わせて歌うことは苦手であるがアカペラは上手く歌唱できるような歌唱者であっても、音声入力に基づいて所望の楽曲を検索することが可能となる。更に、アカペラでは正しく歌唱できるパターン(疑似苦手パターン)を記憶部32から削除することにより、以降の音声入力に対しては、当該パターンとリファレンスデータとの置換は行われないため、歌唱者が所望する楽曲をより正確に検索することができる。すなわち、本実施形態に係る楽曲検索システム100によれば、歌唱者の特性(歌唱の上手い・下手、アカペラの場合のみ上手く唄える等の特殊な事情等)に関わらず、音声入力に基づいて所望の楽曲を検索可能とすることができる。
【0070】
なお、一の歌唱者が苦手とするパターンは複数種類あることもある。この場合、決定部11bは、特定された音程にズレがあるパターンの数をパターン毎にカウントし、複数の苦手パターンを決定する。記憶部32は、それぞれの苦手パターン及び当該苦手パターンに対応するそれぞれのリファレンスデータのパターンを関連付けて記憶する。判断部21aは、入力された音声データ中にそれぞれの苦手パターンが含まれるか否かを判断する。
【0071】
また、苦手パターンの一部が重複するケース(たとえば、音符n
1〜n
3を含むパターンWP1と音符n
3〜n
7を含むパターンWP2)において、判断部21aは、予め決定された判断条件(たとえば、より多くの音符を含む方を優先する。上記例ではパターンWP2)を優先して「苦手なパターン」とすることもできる。
【0072】
また、上記例ではカラオケ装置1、リモコン装置2及びサーバ3を含む楽曲検索システム100について説明を行ったが、これに限られない。たとえば、カラオケ装置1がサーバ3の検索部31a、削除部31b及び記憶部32を備えることにより、カラオケ装置1及びリモコン装置2のみで楽曲検索システム100を構成することができる。
【0073】
また、制御部21は、音声データに基づく楽曲と、置換済み音声データに基づく楽曲とで表示部24に表示する態様を変更させることも可能である。たとえば、制御部21は音声データに基づく楽曲名の表示色と置換済み音声データに基づく楽曲名の表示色とを異ならせることが可能である。或いは、制御部21は、置換済み音声データに基づく楽曲に対して「ひょっとしたらこちらの楽曲では?」といったメッセージを併せて表示させることも可能である。
【0074】
<第2実施形態>
図7を参照して、第2実施形態に楽曲検索システム100について説明する。第1実施形態の構成により歌唱者Xの苦手パターンを削除した場合であっても、新たなカラオケ歌唱の結果に基づいて同じパターンが再度、苦手パターンとして決定される場合がありうる。しかし、歌唱者Xにとって、当該苦手パターンは音声データに基づく楽曲検索の場合には正しく歌唱できるパターンといえる。本実施形態では、このようなパターンについては記憶部32への記憶を禁止する例の説明を行う。なお、第1実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0075】
図7は、本実施形態に係るサーバ3の制御部31のソフトウェア構成を示す図である。サーバ3の制御部31は、所定のプログラムに基づいて、検索部31a、削除部31b、及び記憶制御部31cとして機能する。
【0076】
記憶制御部31cは、削除部31bにより削除された苦手パターンと同じパターンが決定部11bにより改めて苦手パターンとして決定された場合に、記憶部32に当該苦手パターンを記憶させないよう制御する。
【0077】
具体例として、削除部31bは、苦手パターンWPを記憶部32から削除する場合に、当該パターンを歌唱者Xが音声データに基づく楽曲検索の場合に正しく歌唱できるパターン(疑似苦手パターン)として、歌唱者Xに関する個人情報データに関連付けて登録しておく。
【0078】
ここで歌唱者Xが別のタイミングでカラオケ歌唱(演奏に合わせた歌唱)を行い、決定部21bは、その結果に基づいて新たな苦手パターンを決定したとする。
【0079】
この場合、記憶制御部31cは、カラオケ装置1から送信された新たな苦手パターンが歌唱者Xに関する個人情報データに疑似苦手パターンとして登録されているかを確認し、同じパターンが登録されている場合には新たな苦手パターンを記憶部32に記憶させない。
【0080】
このような構成により、一旦苦手でないと判断されたパターンについては、その後のカラオケ歌唱結果によっても苦手パターンとして登録されることがないため、歌唱者の音声入力に基づいて所望の楽曲を正確に検索することが可能となる。
【0081】
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。