(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の土嚢が並べて積み上げ施工された積み上げ土嚢構造体であって、多数の土嚢を列設した土嚢群が多列に集まってなり、下土嚢群とその上に配設された上土嚢群とにおいて、下土嚢群を構成する各土嚢と上土嚢群を構成する各土嚢とが結束ベルトにより上下交互に水平方向に結束されており、
土嚢は土嚢用袋体と 該土嚢用袋体の側面及び底面に一部が縫着部を介して縫着された吊りベルトとよりなるものであり、
結束ベルトは、下土嚢群を構成する各土嚢の吊りベルトに巻回されており、上土嚢群を構成する各土嚢の吊りベルトには結び付けられていることを特徴とする積み上げ土嚢構造体。
複数の土嚢が並べて積み上げ施工された積み上げ土嚢構造体であって、多数の土嚢を列設した土嚢群が多列に集まってなり、下土嚢群とその上に配設された上土嚢群とにおいて、下土嚢群を構成する各土嚢と上土嚢群を構成する各土嚢とが結束ベルトにより上下交互に水平方向に結束されており、
土嚢群における複数の土嚢よりなる第11複数土嚢グループと、土嚢群における複数の土嚢よりなる第2複数土嚢グループとが、それぞれ個別に水平用結束ベルトで周囲を結束されており、しかも第1複数土嚢グループの一部の土嚢と第2複数土嚢グループの一部の土嚢とが共通に結束されていることを特徴とする積み上げ土嚢構造体。
【背景技術】
【0002】
従来、海岸、河川、湖、池等での土木工事の施工において各所で土嚢が多く用いられている。
かかる土嚢は、一般に、土嚢用の袋体の中に、小石、砂利等の中詰め材が充填されてできており、重量もある。
【0003】
このような土嚢用の袋体としては、中詰め材が投入される基布袋体と、該基布袋体に取り付けられた吊上げのための吊りベルトとを有し、少なくとも1年の経時後の紫外線による強度劣化に相当する分の強度を、前もって余分に与えてある土木用土嚢が知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
ところが、これらの土木用土嚢は、工事施工後、背面からの土砂や水による圧力(背面土圧、背面水圧)を受けて、個々の土嚢が前方に転倒する場合がある。
そうすると、土砂や水が漏れるばかりか、場合によっては積み上げた土嚢全体が崩れる恐れがある。
【0005】
このようなことから、土嚢を連結して一体化する技術が開発されている。
その例として、基布袋体に吊りベルトが縫着され、吊りベルトが連結ロープを取り付けるためのループ状の連結部を有し、該連結部に連結ロープが挿通された土木用土嚢がある(例えば、特許文献2参照)。
この場合、積み上げた土嚢において、連結ロープが上下方向、或いは水平方向に渡されて多数の土嚢が一体化されている。
また、他の例として、複数個の土嚢用袋体が一本の結束ベルトにより、吊りベルトの部分を介して横方向に結束されている立体土嚢集合体もある(例えば、特許文献3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献2に記載の土木用土嚢は、連結ロープが連結部に挿通されているので、背面土圧や背面水圧による土嚢の転倒は抑制されるものの、何かの原因で、連結ロープが切断された場合、全体の拘束が断たれ、個々の土嚢に崩れが生じ易い。
上下方向には各土嚢が連結部を介して連結ロープの挿通により上下に連結しているので、前方への滑りが生じ易い。
特に、上下方向に直線的に連結しているところから前方への滑りが大きくなる欠点がある。
この前方への滑りについては、上記特許文献3に土嚢用袋体においても同様なことがいえる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、背面土圧や背面水圧による転倒及び前方への滑動を十分に防止することができる積み上げ土嚢構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、結束ベルトで上下の複数の土嚢を上下交互に水平方向に結束していくことにより、上記の問題点を解決できることを見出し、この知見により、本発明を完成させるに至った。
【0010】
本発明は、(1)、複数の土嚢1が並べて積み上げ施工された積み上げ土嚢構造体Aであって、多数の土嚢1を列設した土嚢群が多列に集まってなり、下土嚢群A1とその上に配設された上土嚢1群A1とにおいて、下土嚢群A1を構成する各土嚢1と上土嚢群A1を構成する各土嚢1とが結束ベルト2により上下交互に水平方向に結束されて
おり、土嚢1は土嚢用袋体10と 該土嚢用袋体10の側面10A及び底面10Bに一部が縫着部11Aを介して縫着された吊りベルト11とよりなるものであり、結束ベルト2は、下土嚢群A1を構成する各土嚢1の吊りベルト11に巻回されており、上土嚢群A1を構成する各土嚢1の吊りベルト11には結び付けられている積み上げ土嚢構造体Aに存する。
【0013】
本発明は、(
2)、結束ベルト2は、下土嚢群A1の土嚢1の1つに対して、上土嚢群A1の土嚢1の二つに結束されている上記(
1)記載の積み上げ土嚢構造体Aに存する。
【0014】
本発明は、(
3)、
複数の土嚢1が並べて積み上げ施工された積み上げ土嚢構造体Aであって、多数の土嚢1を列設した土嚢群A1が多列に集まってなり、下土嚢群A1とその上に配設された上土嚢1群A1とにおいて、下土嚢群A1を構成する各土嚢1と上土嚢群A1を構成する各土嚢1とが結束ベルト2により上下交互に水平方向に結束されており、群A1における複数の土嚢1よりなる第1複数土嚢グループX1と、土嚢群A1における複数の土嚢1よりなる第2複数土嚢グループX2とが、それぞれ個別に水平用結束ベルト2Aで周囲を結束されており、しかも第1土嚢グループX1の一部の土嚢1と第2複数土嚢グループX2の一部の土嚢1とが共通に結束されてい
る積み上げ土嚢構造体Aに存する。
【0015】
本発明は、(
4)、一部の土嚢1が一個の土嚢1である上記(
3)記載の積み上げ土嚢構造体Aに存する。
【0016】
本発明は、(
5)、結束ベルト2は、下土嚢群A1を構成する各土嚢1の水平用結束ベルト2Aに巻回されており、上土嚢群A1を構成する各土嚢1の吊りベルト11には結び付けられている上記(
3)記載の積み上げ土嚢構造体Aに存する。
【発明の効果】
【0017】
1)本発明の積み上げ土嚢構造体Aは、複数の土嚢1が並べて積み上げ施工された積み上げ土嚢構造体Aであって、多数の土嚢1を列設した土嚢群A1が多列に集まってなり、下土嚢群A1とその上に配設された上土嚢1群A1とにおいて、下土嚢群A1を構成する各土嚢1と上土嚢群A1を構成する各土嚢1とが結束ベルト2により交互に水平方向に結束されているので、背面土圧や背面水圧による転倒及び前方への滑動を十分に防止することができる。
【0018】
2)土嚢1は土嚢用袋体10と 該土嚢用袋体10の側面10A及び底面10Bに一部が縫着部11Aを介して縫着された吊りベルト11とよりなるものであるので、この吊りベルト11を介して結束ベルト2により土嚢同士を容易に結束することができる。
【0019】
3)結束ベルト2は、下土嚢群A1を構成する各土嚢1の吊りベルト11に巻回されており、上土嚢群A1を構成する各土嚢1の吊りベルト11には結び付けられているので、上下の土嚢1をより強固に結束することができる。
【0020】
4)結束ベルト2は、下土嚢群A1の土嚢1の一つに対して、上土嚢群A1の土嚢1の二つに結束されているので、上土嚢1群A1のズレによる応力が下土嚢1群A1に分散される。
【0021】
5)土嚢群A1における複数の土嚢1よりなる第1複数土嚢1グループX1と、土嚢群A1における複数の土嚢1よりなる第2複数土嚢1グループX2とが、それぞれ別々に水平用結束ベルト2Aで周囲を結束されており、しかも第1土嚢グループX1の一部の土嚢1と第2複数土嚢グループX2の一部の土嚢1とが共通に結束されているので単独の土嚢1同士がズレ難く、また結束ベルト2が切断しても、グループX内の土嚢1に影響が及ぶだけであり、他のグループ内の土嚢1には影響が全く波及しない。
そして、周囲が結束されているので、布地の一部に応力が集中することが、極力、回避される。
【0022】
6)一部の土嚢1が一個の土嚢1であるので、結束ベルト2の長さを極力短くすることができる。
【0023】
7)結束ベルト2は、下土嚢群A1を構成する各土嚢1の水平用結束ベルト2Aに巻回されており、上土嚢群A1を構成する各土嚢1の吊りベルト11には結び付けられているので、背面土圧や背面水圧による転倒及び前方への滑動を十分に防止することができる。
更に単独の土嚢1同士がズレ難く、また、結束ベルト2が切断しても、グループX内の土嚢1に影響が及ぶだけであり、他のグループ内の土嚢1には影響が全く波及しない利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0026】
(第1の実施の形態)
本実施形態に係る積み上げ土嚢構造体Aは、複数の土嚢1を並べて積み上げ施工された積み上げ土嚢構造体Aである。
そして、この積み上げ土嚢構造体Aは、多数の土嚢1を列設した土嚢群A1が多列に集まってなり、下土嚢群A1とその上に配設された上土嚢群A1とにおいて、下土嚢群A1を構成する各土嚢1と上土嚢群A1を構成する各土嚢1とが結束ベルト2により上下交互に水平方向に結束されている。
積み上げ土嚢構造体自体は、通常、袋詰め玉石工(パワフルユニット)による基礎工事の上に、積み上げ施工されてなるものであり、主として河川、海岸、山法面等の堰堤(えんてい)として形成される。
そして、積み上げ土嚢構造体Aを構成する個々の土嚢1は、土嚢用袋体10の内部に一定量の中詰め材が充填されてなる。
ここで、中詰め材としては例えば、土砂、砂利、石材、コンクリート片等の公知のものが用いられる。
【0027】
本発明の積み上げ土嚢構造体Aは、土嚢用袋体10に中詰め材が充填された土嚢1が多数積み上げられて構築されているので、最初に、この積み上げ土嚢構造体Aを構成する単位である単独の土嚢1について述べる。
【0028】
(単独の土嚢)
図1は、単独の土嚢1を示した概略図であり、(A)は斜視図、(B)は平面図、及び(C)は底面図である。
図に示すように、本土嚢1は、土嚢用袋体10に中詰め材(図示略)を充填したものであり、このように中詰め材を充填した状態では円筒状となっている。
【0029】
この土嚢用袋体10は布製で、その周囲に吊りベルト11が取り付けられており、この吊りベルト11は、その一部が土嚢用袋体10を構成する布地に縫着部11A(縫着部11Aを覆うように縫着部カバー12が取り付けられている)を介して縫着されている。
詳しくは、吊りベルト11は土嚢用袋体10の側面10Aにおいては、縫着部カバー12の内側が縫着部11Aとなっており、それ以外の部分は土嚢用袋体10に縫着されない非縫着部である。
なお、土嚢用袋体10の周囲において90度の間隔で吊りベルト11が備わっているが、この吊りベルト11は、取り付けた状態ではエンドレス状となっている。
【0030】
そして縫着されていない部分(すなわち非縫着部)においては、袋体の布地と離隔しているため,吊りベルトはフリーであり自由に動くことができる。
また、土嚢用袋体10の底部10Bにおいても吊りベルト2の一部が縫着されている。
詳しくは吊りベルト11は、土嚢用袋体10の底部10Bにおいて、十字状の吊りベルトの外周寄りが土嚢用袋体10に縫着された縫着部11A(ここでは4カ所)となっており、それ以外の部分は非縫着部となっている。
【0031】
土嚢用袋体10の布地は、合成繊維からなり、立体的に広がると有底円筒状となるように縫製される。
そして、上述したように、土嚢用袋体10の内部に中詰め材が充填され、その口部を封じることにより図に示すような円筒状の土嚢1となる。
なお、口部を封じる方法としては、特に限定されないが、例えば、口縛りロープを用いて縛る方法が挙げられる。
【0032】
土嚢用袋体10の布地の材質としては、特に限定されないが、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド等が用いられる。
これらの中でも、耐久性及びリサイクルのし易さの観点から、ポリプロピレンであることが好ましい。
【0033】
土嚢用袋体10においては、反射剤又は紫外線吸収剤が含まれていることが好ましい。この場合、紫外線による土嚢用袋体10の劣化を抑制することができる。
なお、反射剤としては、カーボンブラック、酸化鉄、酸化クロム、酸化鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられ、紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート系、ヒドロキシベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の吸収剤が挙げられる。
【0034】
土嚢用袋体10において、JIS−L1096に準じた引張強度が240N/cm以上であり、且つJIS−A1218に準じた透水性が1.0×10
−2cm/s以上であることが好ましい。
この場合、背面土圧又は背面水圧により、基布袋体1が破れることを十分抑制でき、且つ中詰め材からの応力にも耐えることが可能となる。
【0035】
一方、吊りベルト11の材質としては、特に限定されないが、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド等が用いられる。
これらの中でも、吊りベルト11の材質は、耐久性及びリサイクルのし易さの観点から、ポリプロピレンであることが好ましい。
【0036】
吊りベルト11においては、反射剤又は紫外線吸収剤が含まれていることが好ましく、この場合、紫外線による吊りベルト2の劣化を抑制することができる。
【0037】
(積み上げ土嚢構造体A)
上述したような構成の土嚢1が多数個積み上げられて且つ結束され、積み上げ土嚢構造体Aが形成されているが、次に、この積み上げ土嚢構造体Aについて述べる。
【0038】
図2は、本実施形態の積み上げ土嚢構造体Aを示す概略斜視図である。
積み上げ土嚢構造体Aは、図では3段に積み上げられており、積み上げのベースである第1段目には、7個の土嚢1よりなる土嚢群A1が前後方向に4列に配設されている。
ここで土嚢群A1は、土嚢1が列設された、すなわち土嚢1が列状に配設されたものをいう。
第1段目の上の第2段目には、同じく7個の土嚢1よりなる土嚢群A1が前後方向(図でいう手前側が前)に3列に載置されている。
すなわち下土嚢群A1(第1段目の土嚢1個数28よりなる)の上に上土嚢群A1(第2段目の土嚢1個数21よりなる)が積み上げられている。
【0039】
また、第2段目の上の第3段目には、同じく7個の土嚢1よりなる土嚢群A1が前後方向に2列に載置されている。
すなわち下土嚢群A1(第2段目の土嚢1個数21よりなる)の上に上土嚢群A1(第3段目の土嚢個数14よりなる)が積み上げられている。
【0040】
以上により、全体(第1段目の土嚢1個数28、第2段目の土嚢1個数21、第3段目の土嚢1個数14)で計63個の土嚢1が配設されて積み上げ土嚢構造体Aが形成されている。
このように、積み上げ土嚢構造体Aは、多数の土嚢1を列設した土嚢群A1が多列に集まってなるものであるが、下土嚢群A1とその上に配設された上土嚢1群A1とにおいて、下土嚢1群A1を構成する各土嚢1と上土嚢群A1を構成する各土嚢1とが結束ベルト2により上下交互に水平方向に結束されているところが大きな特徴である。
【0041】
ここで結束ベルト2(例えば幅10cm)は、一定の長さにカットされて両側が自由端となっており、吊りベルト11に対し巻回や結び付けが容易に行える。
例えば、第1段目の第4番目(図でいう手前左側からの番目で示し、以下同様)の土嚢1に着目すると、その土嚢1の吊りベルト11に巻回した結束ベルト2は、その後上方にある第2段目の第3番目の土嚢1の吊りベルト11に結ばれている。
また、この結束ベルト2は、その後上方にある第2段目の第4番目の土嚢1の吊りベルト11にも結ばれている。
このように、結束ベルト2は、V字状に結束された状態、すなわち下土嚢群A1の土嚢1の一つに対して、上土嚢群A1の土嚢1の二つに結束されていることになり、下土嚢群A1のズレ止めの応力が上土嚢群A1に分散される。
【0042】
ここで結束ベルト2の長さは、少なくともこのV字状に結束するだけの単位長さが必要である。
次に、第1段目の第5番目の土嚢1に着目すると、その吊りベルト11に巻回した結束ベルト2は、その後上方にある第2段目の第4番目の土嚢1の吊りベルト11に結ばれている。
また、結束ベルト2は、その後上方にある第2段目の第5番目の土嚢1の吊りベルト11にも結ばれている。
この場合も、結束ベルト2はV字状に結束された状態となる。
【0043】
以下、第1段目と第2段目の土嚢1とは、同様に上下交互に水平方向に結束ベルト2により結束されており、ジグザグ状に延びた状態となっているのが図から理解できよう。
また、第2段目と第3段目の土嚢1も、上述した第1段目と第2段目の土嚢1の場合と同様に結束ベルト2により結束されている。
このような結束は、土嚢1を積み上げた状態において行うこともできるが、積み上げの途中の作業中に行うこともできる。
本発明の積み上げ土嚢構造体Aは、このように、上下にある土嚢1が上下交互に水平方向に結束されているので、上下で結束された土嚢群A1は、前方に移動するのを極力阻止されることとなる。
【0044】
(土嚢グループ)
ところで、上述した積み上げ土嚢構造体Aにおいて、個々の土嚢間での移動を少なくするために土嚢群A1をグループに分けて結束しておくことが有効である。
すなわち土嚢群A1を構成する土嚢1の内、複数個の土嚢1をグループ化し、そのグループ化した土嚢グループX(第1複数土嚢グループX1と第2複数土嚢1グループX2)同士を一体化するのである。
以下、この土嚢グループXについて説明する。
【0045】
図3は、本実施形態の積み上げ土嚢構造体Aの土嚢群A1を構成する複数土嚢グループXを示す概略斜視図である。
複数の土嚢1が水平用結束ベルト2Aより一つのグループXとなって一体に結束されている。
この複数の土嚢1を水平に並べた複数土嚢グループXが列状に一体に結束され、それが繰り返しの基本単位となっている。
この図の例では、4個の土嚢1が水平に並べられて周囲を結束されて一体化され、一つの複数土嚢グループXが形成されている。
そして、水平用結束ベルト2Aは各土嚢1の吊りベルト11に巻回されながらグループの周囲を一体に結束している。
従って、土嚢同士のズレが生じにくく、グループとして一体に強く結束された状態となる。
【0046】
図4は、本実施形態の積み上げ土嚢構造体Aにおける一体化された状態の第1複数土嚢グループX1と同様な状態の第2複数土嚢グループX2とを示す概略斜視図である。
複数土嚢グループX1は、別の複数土嚢グループX2と結束されている。
具体的には、例えば、第1複数土嚢グループX1と第2複数土嚢グループX2とを用意して、この第1複数土嚢グループX1及び第2複数土嚢グループX2を構成する土嚢1が共通となるように水平用結束ベルト2Aで周囲を結束する。
すなわち、第1複数土嚢グループX1の一部の土嚢1と第2複数土嚢グループX2の一部の土嚢1とを共通に結束するのである。
この図の例では、4個の土嚢1よりなる第1複数土嚢グループX1の右端部に位置する1個の土嚢1と、同じく4個の土嚢1よりなる第2複数土嚢グループX2の左端部に位置する1個の土嚢1とを共通に結束する。
【0047】
図5は、本実施形態の積み上げ土嚢構造体Aにおける2つの複数土嚢グループXを模式的に示す平面図である。
この図の場合は、複数土嚢グループXを構成する土嚢1が4つで、共通する土嚢1が1つの場合を示す例である。
第1複数土嚢グループX1を構成する土嚢1は4つであり、第2複数土嚢グループX2を構成する土嚢1も4つである。
そして、第1複数土嚢グループX1を構成する土嚢1のうち右端部に位置する土嚢1と、第2複数土嚢グループX2を構成する土嚢1のうち左端部に位置する土嚢1を共通にするように水平用結束ベルト2Aで結束する。
【0048】
具体的には、例えば、第1複数土嚢グループX1を構成する4つの土嚢1を列状に配置し結束し、その後、その延長方向に第2複数土嚢グループX2を構成する4つの土嚢1を列状に配置し、真ん中に位置する一つの土嚢1(斜線で表示)を共通するように結束する。
ここで、水平用結束ベルト2Aの長さLは、連結固定する土嚢1の数によって異なるが、土嚢用袋体10の直径D(例えば1.1m)、土嚢1の個数N(例えば4個)とすると、L=(N−1)×D+Dπ+αとなる。
尚、αは吊りベルトに固定するために使用する長さである。
【0049】
図6は、複数土嚢グループXを構成する土嚢1が5つで、共通する土嚢1が1つの場合を模式的に示す例である。
この場合、第1複数土嚢グループX1構成する土嚢1は5つであり、第2複数土嚢1グループX2を構成する土嚢1も5つである。
そして、第1複数土嚢グループX1を構成する土嚢1のうち右端部に位置する土嚢1と、第2複数土嚢グループX2を構成する土嚢1のうち左端部に位置する土嚢1を共通にするように水平用結束ベルト2Aで結束する。
具体的には、例えば、第1複数土嚢グループX1を構成する土嚢1を列状に配置し結束し、その後、その延長方向に第2複数土嚢グループX2を構成する土嚢1を列状に配置し、中央に位置する一つの土嚢1(斜線で表示)を共通するように結束する。
【0050】
図7は、各複数土嚢グループX1を構成する土嚢1が4つと5つで、共通する土嚢1が2つの場合を模式的に示す例である。
この場合、第1複数土嚢グループX1を構成する土嚢1は4つであり、第2複数土嚢グループX2を構成する土嚢1は5つである。
そして、第1複数土嚢グループX1を構成する土嚢1のうち右端部に位置する土嚢1とその左に位置する土嚢1と、第2複数土嚢グループX2を構成する土嚢1のうち左端部に位置する土嚢1とその右に位置する土嚢1とを共通にするように水平用結束ベルト2Aで結束する。
具体的には、例えば、第1複数土嚢グループX1を構成する土嚢1を列状に配置し結束し、その後、その延長方向に第2複数土嚢グループX2を構成する土嚢1を列状に配置し、2つの土嚢1(斜線で表示)を共通するように結束する。
【0051】
図8は、各複数土嚢グループXを構成する土嚢1が5つと5つで、共通する土嚢1が2つの場合を模式的に示す例である。
この場合、第1複数土嚢グループX1を構成する土嚢1は5つであり、第2複数土嚢グループX2を構成する土嚢1は5つである。
そして、第1複数土嚢グループX1を構成する土嚢1のうち右端部に位置する土嚢1とその左に位置する土嚢1と、第2複数土嚢グループX1を構成する土嚢1のうち左端部に位置する土嚢1とその右に位置する土嚢1とを共通にするように水平用結束ベルト2Aで結束する。
具体的には、例えば、第1複数土嚢グループX1を構成する土嚢1を列状に配置し結束し、その後、その横に第2複数土嚢グループX2を構成する土嚢1を列状に配置し、中央に位置する2つの土嚢1(斜線で表示)を共通するように結束する。
次に積み上げ土嚢構造体Aについて述べる。
【0052】
図9は、本実施形態の別の例の積み上げ土嚢構造体Aを、模式的に示す概略斜視図である。
これは、
図2の場合と同じように上下の土嚢1が結束されているが、異なるところは、更に複数(4つ)の土嚢1を列設した状態で水平用結束ベルト2Aで一体に結束された複数土嚢1グループXとなっている。
そして、二つの複数土嚢グループXにおいて、それらを構成する4個の土嚢1の内、1個の土嚢1が共通になるように結束されている。
すなわち、第1複数土嚢グループX1の一部(1個)の土嚢1と第2複数土嚢グループXの一部(1個)の土嚢1とを共通に結束されている。
このようにすることで、列状に配設された個々の土嚢1同士の移動が起きにくくなり、且つ複数土嚢グループ同士もの離れることなく、全体が頑丈となる。
【0053】
第1の実施の形態のように、上下方向に連結することで、前方への崩れを防止することができ、更に、この実施の形態のように、複数土嚢1グループXとして列設した状態で結束することで、個々の土嚢1の動きの自由度をグループXごとに押さえることができる。
しかも第1複数土嚢グループX1の一部(1個)の土嚢1と第2複数土嚢グループX2の一部(1個)の土嚢1とが共通に結束されているので、このような結束を繰り返すことにより、土嚢1グループXが次々に連続して一体化され、その延長が容易に行われることとなる。
すなわち、土嚢群A1が長い場合は、第1複数土嚢グループX1と第2複数土嚢グループX2に加え、更に第3複数土嚢グループ・・・として逐次、延長されていくことになり、しかも全体が頑丈なものとなる。
【0054】
図10は、本実施形態の更に別の例の積み上げ土嚢構造体Aを模式的に示す概略斜視図である。
この積み上げ土嚢構造体Aも
図9の例と同じように、積み上げ土嚢構造体Aは、多数の土嚢1を列設した土嚢群A1が多列に集まってなるものであり、下土嚢群A1とその上に配設された上土嚢1群A1とにおいて、下土嚢1群A1を構成する各土嚢1と上土嚢群A1を構成する各土嚢1とが結束ベルト2により上下交互に水平方向に結束されているものである。
【0055】
この場合、結束ベルト2は、下段の土嚢1の縦方向の吊りベルト11ではなくて、水平方向の結束ベルト2Aに結束にされている(この場合、水平用結束ベルト2Aの略中間位置)。
なお、結束ベルト2は、上段の土嚢1には、縦方向の吊りベルト11に結束されている。
結束ベルト2は、縦方向の吊りベルト11や水平用結束ベルト2Aに結束にされる場合、結束としては、巻回する方法や、結び付ける方法等がある。
【0056】
ここで、図示しないが、結束ベルト2は、吊りベルト11と水平用結束ベルト2Aとの交差点(すなわち下段の土嚢1の縦方向の吊りベルト11と水平用結束ベルト2Aの交差点)に結束されていても当然良い。
【0057】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、積み上げの形態は、
図2や
図9で示した以外にも、種々の積み上げ方が可能であり、積み上げ土嚢構造体Aを構成する土嚢1の総数が63個の場合で説明したが、各段の土嚢1の数を増やして全体を大きくすることも当然、可能である。
【0058】
また、吊りベルト11や水平用結束ベルト2Aに結束ベルト2を巻回する場合、一巻でも或いは多数巻きでも可能であり、また、吊りベルト11に結束ベルト2を結ぶ場合、その結び方は容易に解けない限り、自由である。
また、結束ベルト2や水平用結束ベルト2Aは、2重、3重と多重にしても良い。
また、例えば本実施形態に係る土嚢用袋体10において側面10Aに取り付けられている吊りベルトは4本で示したが、これに限定されない。