(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来より、配送物を配送する場合、配送物の配送元及び配送先の住所や氏名あるいは名称等の配送情報が記入された配送伝票が用いられ、配送情報が記入された配送伝票が配送物に貼付され、配送伝票に記入された配送情報に従って配送物が配送先に配送されている。
【0003】
このような配送伝票においては、配送物が配送先に配送された後に配送業者が持ち帰る配達票が分離可能に構成されたものが用いられている。この配送伝票を用いた場合、配送物が配送先に配送されると、配達票に受領印が押下され、配達票が配送伝票から分離されて配送業者によって持ち帰られることにより、配送物が配送先に配送されたことが管理される。
【0004】
上述したように配達票を分離して持ち帰ることができる配送伝票としては、例えば、裏面の全面に粘着剤が塗布されたベースシートの表面に、配送物が配送先に配送された後でも配送物に貼付されたままの状態とする貼付票を剥離困難に接着するとともに、上述した配達票を剥離可能に接着したものが用いられている。この配送伝票は、ベースシートの裏面に塗布された粘着剤によって配送物に貼付される。そして、配送物が配送先に配送されると、配達票に受領印が押下され、配達票がベースシートから剥離されることにより、配達票を配送伝票から分離することができる。
【0005】
ここで、配達票は、ベースシートから不用意に剥離しないようにある程度の接着力でベースシートに接着されている必要がある。特に、近年においては、配送伝票に対する配送情報の記入が、プリンタにおける印字によって行われる場合が多く、その場合、配送伝票がプリンタ内を搬送される際に、配達票がベースシートから剥離してしまう虞があるため、一定以上の接着力が必要となる。
【0006】
ところが、配達票をベースシートから剥離するためには、配達票のベースシートへの接着力を超えた力が必要となるため、配達票とベースシートとの接着力を大きくした場合、配達票の剥離領域に大きな応力が集中し、それにより、ベースシートから剥離した配達票に大きなカールが生じてしまう。
【0007】
そこで、本願出願人は、上シートと下シートとが重ね合わされて剥離可能に接着されたシート体において、上シートと下シートとが、上シートと下シートとの間に島状に設けられた複数の擬似接着構造によって剥離可能に接着された技術を考え出した。
【0008】
この技術においては、上シートと下シートとが全面にて接着されているのではなく、上シートと下シートとの間に島状に設けられた複数の擬似接着構造によって接着されているため、上シートと下シートとを小さな力で剥離することができ、それにより、上シートと下シートとの剥離領域に大きな応力が集中することがなくなり、上シートと下シートとを剥離した際のカールを抑制することができる(例えば、特許文献1参照)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明のシート体の第1の実施の形態を模式的に示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0019】
本形態は
図1に示すように、上シート5と下シート6とが重ね合わされ、接着層8a,8bによって接着されたシート体である。
【0020】
上シート5にはスリット7が形成されており、スリット7に囲まれた剥離可能領域2が上シート5から分離可能に構成されている。接着層8aは、下シート6の上シート5との重ね合わせ面に接着剤が島状に塗布されることにより、剥離可能領域2において、上シート5と下シート6とが接着された接着部と、上シート5と下シート6とが接着されていない非接着部とが混在した部分接着領域2aを構成している。接着層8bは、下シート6の上シート5との重ね合わせ面の全面に接着剤が塗布されることにより、剥離可能領域2以外の接着領域3において上シート5と下シート6とを全面接着する。また、接着層8bは、上シート5及び下シート6の端辺から対向する端辺まで一定の幅を有して剥離可能領域2を貫通して延びた貼付領域1においても、上シート5と下シート6とを全面接着している。
【0021】
以下に、上記のように構成されたシート体の具体例について説明する。
【0022】
図2は、
図1に示したシート体の具体例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(a)に示したB−B’断面図、(d)は(a)に示したC−C’断面図である。
図3は、
図2に示した上シート10の下シート20との重ね合わせ面の構成を示す図である。
図4は、
図2に示した下シート20の上シート10との重ね合わせ面の構成を示す図であり、(a)はメジウム層50の塗布領域を示す図、(b)は接着層71,72の塗布領域を示す図である。
図5は、
図4に示した接着層72の構成を示す図である。
【0023】
本例は
図2に示すように、上シート10と下シート20とが重ね合わされて接着され、さらに、下シート20の上シート10とは反対側の面に剥離台紙30が重ね合わされて剥離可能に接着されて構成されている。
【0024】
上シート10は、控え片11、貼付票12、配達票13、のし片14、売上票15及びマージナル部16が互いに分離可能に配置されて構成されている。なお、配達票13には、受領印を押下するための押印欄13aが設けられている。貼付票12と配達票13とのし片14とは、この順で並んで配置され、スリット18b,18cによって互いに分離可能となっている。売上票15は、貼付票12、配達票13及びのし片14の並び方向と直交する方向の一方の側にマイクロミシン17bを介して分離可能に配置されている。なお、スリット18bの売上票15側の一部には、切り込み方向が配達票13側に斜めに向かったジッパー部19が設けられている。貼付票12の配達票13とは反対側には、貼付票12及び売上票15に渡ってマージナル部16がスリット18aを介して分離可能に配置されている。貼付票12、配達票13及びのし片14の売上票15とは反対側には、これら貼付票12、配達票13及びのし片14とマージナル部16に渡って控え片11がマイクロミシン17aを介して分離可能に配置されている。
【0025】
上シート10の下シート20との重ね合わせ面には、
図3に示すように、配達票13及び売上票15となる領域と、貼付票12のうちマージナル部16に沿う一部を除く領域に、紫外線硬化型等の一般的な剥離ニスが塗布されることによって剥離ニス層40が積層されている。それにより、上シート10と下シート20とは、貼付票12、配達票13及び売上票15となる領域において剥離可能に構成されている。
【0026】
下シート20の上シート10との重ね合わせ面には、まず、
図4(a)に示すように、貼付票12、配達票13及び売上票15となる領域に、酸化チタン等を含有する一般的なメジウムによって構成されるメジウム層50が積層されている。そして、メジウム層50が積層された下シート20上に、
図4(b)に示すように接着層71,72が積層されている。接着層72は、配達票13のうちその周縁部を除く領域に積層されているとともに、売上票15のうち周縁部とマイクロミシン17bが延びる方向に一定の幅を有する領域とを除いた2つの領域に積層されている。接着層71は、下シート20の接着層72が積層されていない領域のうち、配達票13の貼付票12及び売上票15と隣接する角部を除く領域と、売上票15のマイクロミシン17bとは反対側の端辺に沿う領域のうちマージナル部16に隣接する領域を除く領域とに積層されており、配達票13の貼付票12及び売上票15と隣接する角部と、売上票15のマイクロミシン17bとは反対側の端辺に沿う領域のうちマージナル部16に隣接する領域は、それぞれ接着層71,72が積層されていないことで上シート10と下シート20とが接着されていない非接着領域21,22となっている。
【0027】
下シート20の剥離台紙30との重ね合わせ面には、その全面に粘着剤が塗布されることで粘着層60が積層されており、下シート20は粘着層60によって剥離台紙30に剥離可能に接着されている。
【0028】
スリット18aのうち貼付票12とマージナル部16との連接部分とスリット18cはそれぞれ、上シート10から下シート20まで形成されており、また、スリット18aのうち売上票15とマージナル部16との連接部分とスリット18bとジッパー部19はそれぞれ、上シート10のみに形成されている。マイクロミシン17a,17bは、上シート10、下シート20及び剥離台紙30に渡って形成されている。
【0029】
接着層71は、メジウム層50が積層された下シート20上に水性エマルジョン接着剤が塗布されることによって積層されており、接着層71が積層された領域においては、上シート10と下シート20とが全面接着されている。
【0030】
接着層72は、
図5に示すように、水性エマルジョン接着剤が塗布された接着部72aが、接着剤が塗布されていない非接着部72b内に島状に設けられて構成されている。接着部72aは、長方形の形状を具備しており、配達票13や売上票15の下シート20からの剥離方向に対して、長辺が第1の角度を有する方向に延び、かつ、第2の角度を有する方向に並んで構成されている。なお、接着部72aの形状は長方形に限らず、三角形や楕円等であってもよく、さらにはストライプ状であってもよい。また、接着層72は、水性エマルジョン接着剤が塗布された接着部内に、接着剤が塗布されていない非接着部が島状に設けられている構成としてもよい。それにより、上シート10と下シート20とは、接着層72が積層された領域においては、上シート10と下シート20とが接着された接着部と上シートと下シートとが接着されていない非接着部とがストライプ状または島状に混在していることとなる。
【0031】
上記のように構成されたシート体においては、売上票15の接着層72が積層された2つの領域がそれぞれ
図1に示した部分接着領域2aとなるとともに、この2つの領域とこれに挟まれた領域とから
図1に示した剥離可能領域2が構成され、売上票15の接着層71が積層された領域のうち、2つの部分接着領域2a間の領域と、その領域から売上票15のマイクロミシン17bに直交する端辺まで延びた領域とから
図1に示した貼付領域1が構成されることとなる。
【0032】
以下に、上記のように構成されたシート体による作用について説明する。
【0033】
図6は、
図2〜
図5に示したシート体に情報が印字される際の作用を説明するための図である。
【0034】
図2〜
図5に示したシート体に情報を印字する場合、シート体はプリンタ内を搬送されて情報が印字されることになるが、プリンタにおいては、シートが複数枚重なった状態で搬送されてきた場合に、例えば超音波等を用いてその重送を検知する仕組みを有するものが利用されている。このようなプリンタは、シートの搬送方向に直交する方向に一定の幅を有してライン状に検知動作を行い、シートが複数枚重なった状態で搬送されてきたと判断した場合に、エラー出力や搬送停止等を実行する。
【0035】
図2〜
図5に示したシート体においては、上シート10と下シート20とが接着層71,72によって非接着領域21,22を除く略全面にて接着されているため、プリンタにおいては本来1枚のシートとして検知されなければならないが、接着層72が積層された領域において、上シート10と下シート20とが接着された接着部72aと上シート10と下シート20とが接着されていない非接着部72bとが混在しているため、非接着部72bの存在によって、複数枚のシートが重なった状態で搬送されてきたと誤検知され、エラー出力や搬送停止が実行されてしまう場合がある。
【0036】
ところで、
図2〜
図5に示したシート体においては、売上票15となる領域において、上シート10と下シート20とが接着された接着部72aと、上シート10と下シート20とが接着されていない非接着部72bとが混在しているものの、マイクロミシン17bに直交する2つの端辺間を一定の幅を有してその混在する領域を貫通した領域が、接着層71によって上シート10と下シート20とが全面接着されている。これは、
図6に示すように、
図2〜
図5に示したシート体がプリンタ内を搬送される際、重送検知領域80となる部分においては、上シート10と下シート20とが全面接着したものとするためである。
【0037】
このように、プリンタ内を搬送される際に重送検知領域80となる部分に、上シート10と下シート20とが接着された接着部72aと上シート10と下シート20とが接着されていない非接着部72bとが混在した領域が存在する場合であっても、実際に重送検知領域80となる部分において、シート体の搬送方向上流側の端辺から下流側の端辺まで重送検知領域80に合わせた幅で上シート10と下シート20とが全面接着された構成とすることで、上シート10と下シート20が接着されて1枚のシートとして検知されなければならないところ、複数枚のシートが重なった状態であると誤検知されることが回避されることとなる。
【0038】
以下に、上述したシート体の使用方法について説明する。
【0039】
図7〜
図10は、
図2〜
図5に示したシート体の使用方法を説明するための図である。
【0040】
図2〜
図5に示したシート体においては、まず、上記のようにしてプリンタによって、控え片11、貼付票12、配達票13及び売上票15のそれぞれに配送情報等の情報が印字される。その際、上述したようにプリンタにおいて、上シート10と下シート20が接着されて1枚のシートとして検知されなければならないところ、複数枚のシートが重なった状態であると誤検知されることが回避される。
【0041】
控え片11、貼付票12、配達票13及び売上票15のそれぞれに配送情報等の情報が印字された後、
図7に示すように、マイクロミシン17aを破断することにより、控え片11を、貼付票12、配達票13、のし片14及びマージナル部16から分離し、また、マイクロミシン17bを破断することにより、売上票15を、貼付票12、配達票13及びのし片14から分離するとともに、マージナル部16を、貼付票12との連接部分と売上票15との連接部分とに分離する。マイクロミシン17a,17bは、上シート10、下シート20及び剥離台紙30に渡って形成されているので、マイクロミシン17a,17bを破断することで、これらを上シート10、下シート20及び剥離台紙30が互いに接着された状態で分離することができる。
【0042】
次に、貼付票12、配達票13及びのし片14を配送物に貼付する。まず、
図8(a)に示すように、上シート10と下シート20の貼付票12及び配達票13となる領域を剥離台紙30から剥離するとともに、上シート10と下シート20ののし片14となる領域を剥離台紙30から剥離する。ここで、スリット18aのうち貼付票12とマージナル部16との連接部分とスリット18cは、それぞれ上シート10から下シート20まで形成されているため、上シート10及び下シート20を剥離台紙30から剥離すると、貼付票12とマージナル部16とを分離することができるとともに、配達票13とのし片14とを分離することができる。また、スリット18b及びジッパー部19は上シート10のみに形成されているため、上シート10及び下シート20を剥離台紙30から剥離しても貼付票12と配達票13とは分離されない。
【0043】
そして、剥離台紙30から剥離された貼付票12、配達票13及びのし片14の裏面には、下シート20の全面に粘着層60が積層されているため、
図8(b)に示すように、この粘着層60によって、貼付票12、配達票13及びのし片14をそれぞれ配送物4に貼付することができる。この際、貼付票12と配達票13とは、上述したように分離しない状態で配送物4に貼付されることになる。
【0044】
一方、売上票15においては、
図9(a)に示すように、上シート10の下シート20との重ね合わせ面に積層された剥離ニス層40によって上シート10と下シート20とが剥離可能となっているため、上シート10と下シート20とを剥離することができる。ここで、売上票15とマージナル部16との連接部分には、上シート10にスリット18aが形成されているため、売上票15をマージナル部16から分離して上シート10と下シート20とを剥離することができる。この際、売上票15の角部が、上シート10と下シート20とが接着されていない非接着領域22となっているため、この角部をきっかけとして上シート10と下シート20とを剥離することができる。
【0045】
売上票15は、
図9(b)に示すようにマージナル部16から分離して下シート20から剥離されるが、下シート20の売上票15となる領域は、売上票15のうち周縁部とマイクロミシン17bが延びる方向に一定の幅を有する領域を除いた領域に、水性エマルジョン接着剤が塗布された接着部72aが、接着剤が塗布されていない非接着部72b内に島状に設けられて構成された接着層72が積層されており、この接着層72と、他の領域に積層された接着層71とによって上シート10と下シート20とが剥離可能に接着されているため、接着層72が積層された領域においては、上シート10と下シート20とを剥離する際に剥離領域に大きな応力が集中することがなくなり、下シート20が剥離した状態においてカールが生じることが抑制されることとなる。また、下シート20が剥離した売上票15においては、裏面がその全面に剥離ニス層40が表出したものとなるため、べたつくことがなく、さらに、上シート10と下シート20とが接着されたものに対して、その厚さが薄いものとなり、保管しやすくなる。
【0046】
貼付票12、配達票13及びのし片14が貼付された配送物4は、貼付票12や配達票13に印字された配送情報に従って配送先に配送されていく。そして、配送物4が配送先に届けられると、
図10(a)に示すように、配達票13に設けられた押印領域13aに受領印13bが押下され、配達票13が下シート20から剥離されていく。配達票13となる領域は、上シート10の下シート20との重ね合わせ面に積層された剥離ニス層40によって上シート10と下シート20とが剥離可能となっているため、上シート10と下シート20とを剥離することができる。ここで、配達票13と貼付票12との連接部分には、上シート10にスリット18bが形成されているため、配達票13を貼付票12から分離して上シート10と下シート20とを剥離することができる。この際、配達票13の貼付票12と隣接する角部が、上シート10と下シート20とが接着されていない非接着領域21となっているため、この角部をきっかけとして上シート10と下シート20とを剥離することができる。また、スリット18bの非接着領域21側には、切り込み方向が配達票13側に斜めに向かったジッパー部19が設けられているため、配達票13を貼付票12から分離させる力が貼付票12とは反対側に向かったとしても、分離領域がスリット18bから外れていってしまうことが回避される。
【0047】
このようにして配達票13が下シート20から剥離されて貼付票12から分離することになるが、配達票13となる領域においては、下シート20の配達票13のうちその周縁部を除く領域に、水性エマルジョン接着剤が塗布された接着部72aが、接着剤が塗布されていない非接着部72b内に島状に設けられて構成された接着層72が積層されており、この接着層72を用いて上シート10と下シート20とが剥離可能に接着されているため、上シート10と下シート20とを剥離する際に剥離領域に大きな応力が集中することがなくなり、それにより、下シート20が剥離した配達票13にカールが生じることが抑制されることとなる。また、下シート20が剥離した配達票13においては、裏面がその全面に剥離ニス層40が表出したものとなるため、べたつくことがない。
【0048】
図10(b)に示すように配達票13が剥離された後、配送物4の梱包物を廃棄する場合、貼付票12が貼付された状態では、貼付票12に印字された配送情報が漏えいしてしまう虞がある。
【0049】
そこで、
図10(c)に示すように、貼付票12を下シート20から剥離する。貼付票12となる領域は、上シート10の下シート20との重ね合わせ面に積層された剥離ニス層40によって上シート10と下シート20とが剥離可能となっているため、上シート10と下シート20とを剥離することができる。なお、貼付票12のうちマージナル部16に沿う一部の領域には、剥離ニス層40が積層されていない。これは、配送物4の配送途中等において貼付票12が不用意に下シート20から剥離して脱落してしまうことを回避するためのものであるが、剥離ニス層40が積層されていない領域が、貼付票12のマージナル部16に沿う一部の領域であるため、人の手によって貼付票12を下シート20から剥離することができる。
【0050】
貼付票12が下シート20から剥離すると、
図10(d)に示すように、配送物4には貼付票12も配達票13も貼付されていない状態となるため、配送物4の梱包物を廃棄したとしても、貼付票12や配達票13に印字された配送情報が漏えいしてしまうことがない。
【0051】
(第2の実施の形態)
図11は、本発明のシート体の第2の実施の形態を模式的に示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0052】
本形態は
図11に示すように、上シート105と下シート106とが重ね合わされ、接着層108及び剥離層109a,109bによって剥離可能に接着されたシート体である。
【0053】
上シート105にはスリット107が形成されており、スリット107に囲まれた剥離可能領域102が上シート105から分離可能に構成されている。接着層108は、下シート106の上シート105との重ね合わせ面の全面に接着剤が塗布されることで積層されている。剥離層109aは、上シート105の下シート106との重ね合わせ面のうち、剥離可能領域102において剥離力が島状に異なるように構成されて積層され、強弱接着領域102aを構成している。剥離層109bは、上シート105の下シート106との重ね合わせ面のうち、剥離領域102以外の接着領域103に積層されている。それにより、上シート105と下シート106とが、上シート105及び下シート106の端辺から対向する端辺まで剥離可能領域102を一定の幅を有して貫通して延びた貼付領域101を含んでその全面にて剥離可能に接着されている。
【0054】
以下に、上記のように構成されたシート体の具体例について説明する。
【0055】
図12は、
図11に示したシート体の具体例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(a)に示したB−B’断面図、(d)は(a)に示したC−C’断面図である。
図13は、
図12に示した上シート110の下シート120との重ね合わせ面の構成を示す図であり、(a)は全体の構成を示す図、(b)は剥離ニス層142の構成を示す図、(c)は(b)に示したA−A’断面図である。
図14は、
図12に示した下シート120の上シート110との重ね合わせ面の構成を示す図であり、(a)はメジウム層150の塗布領域を示す図、(b)は接着層170の塗布領域を示す図である。
【0056】
本例は
図12に示すように、上シート110と下シート120とが重ね合わされて接着され、さらに、下シート120の上シート110とは反対側の面に剥離台紙130が重ね合わされて剥離可能に接着されて構成されている。
【0057】
上シート110は、控え片111、貼付票112、配達票113、のし片114、売上票115及びマージナル部116が互いに分離可能に配置されて構成されている。なお、配達票113には、受領印を押下するための押印欄113aが設けられている。貼付票112と配達票113とのし片114とは、この順で並んで配置され、スリット118b,118cによって互いに分離可能となっている。売上票115は、貼付票112、配達票113及びのし片114の並び方向と直交する方向の一方の側にマイクロミシン117bを介して分離可能に配置されている。なお、スリット118bの売上票115側の一部には、切り込み方向が配達票113側に斜めに向かったジッパー部119が設けられている。貼付票112の配達票113とは反対側には、貼付票112及び売上票115に渡ってマージナル部116がスリット118aを介して分離可能に配置されている。貼付票112、配達票113及びのし片114の売上票115とは反対側には、これら貼付票112、配達票113及びのし片114とマージナル部116に渡って控え片111がマイクロミシン117aを介して分離可能に配置されている。
【0058】
上シート110の下シート120との重ね合わせ面には、
図13に示すように、配達票113及び売上票115となる領域のうち、その周縁部を除く領域に、紫外線硬化型等の一般的な剥離ニスが塗布されることによって剥離ニス層142が積層されているとともに、配達票113及び売上票115となる領域の周縁部と、貼付票112のうちマージナル部116に沿う一部を除く領域に、紫外線硬化型等の一般的な剥離ニスが塗布されることによって剥離ニス層141が積層されている。それにより、上シート110と下シート120とは、貼付票112、配達票113及び売上票115となる領域において剥離可能に構成されている。剥離ニス層141は、上シート110の下シート120との重ね合わせ面において剥離剤が一定の厚さで塗布されていることで、上シート110の下シート120との剥離力が一定となっている。これに対して剥離ニス層142は、
図13(b),(c)に示すように、剥離剤の塗布厚が薄い強剥離部142aが、剥離剤の塗布厚が厚い弱剥離部142b内に島状に設けられて構成されている。強剥離部142aは、長方形の形状を具備しており、配達票113や売上票115の下シート120からの剥離方向に対して、長辺が第1の角度を有する方向に延び、かつ、第2の角度を有する方向に並んで構成されている。なお、強剥離部142aの形状は長方形に限らず、三角形や楕円等であってもよく、さらにはストライプ状であってもよい。また、剥離ニス層142は、剥離剤の塗布厚が薄い強剥離部内に、剥離剤の塗布厚が厚い弱剥離部が島状に設けられている構成としてもよい。
【0059】
下シート120の上シート110との重ね合わせ面には、まず、
図14(a)に示すように、貼付票112、配達票113及び売上票115となる領域に、酸化チタン等を含有する一般的なメジウムによって構成されるメジウム層150が積層されている。そして、メジウム層150が積層された下シート120上に、
図14(b)に示すように、水性エマルジョン接着剤が塗布されることによって接着層170が積層されている。接着層170は、配達票113の貼付票112及び売上票115と隣接する角部を除く領域と、売上票115のマイクロミシン117とは反対側の端辺に沿う領域のうちマージナル部116に隣接する領域を除く領域の全面積層されており、配達票113の貼付票112及び売上票115と隣接する角部と、売上票115のマイクロミシン117とは反対側の端辺に沿う領域のうちマージナル部116に隣接する領域は、それぞれ接着層170が積層されていないことで上シート110と下シート120とが接着されていない非接着領域121,122となっている。このように、下シート120の上シート110との重ね合わせ面に接着層170が積層されていることにより、上シート110と下シート120とは、配達票113及び売上票115のそれぞれにおいてその接着力が島状に異なっていることとなる。
【0060】
下シート120の剥離台紙130との重ね合わせ面には、その全面に粘着剤が塗布されることで粘着層160が積層されており、下シート120は粘着層160によって剥離台紙30に剥離可能に接着されている。
【0061】
スリット118aのうち貼付票112とマージナル部116との連接部分とスリット118cはそれぞれ、上シート110から下シート120まで形成されており、また、スリット118aのうち売上票115とマージナル部116との連接部分とスリット118bとジッパー部119はそれぞれ、上シート110のみに形成されている。マイクロミシン117a,117bは、上シート110、下シート120及び剥離台紙130に渡って形成されている。
【0062】
上記のように構成されたシート体においては、売上票115が
図11に示した剥離可能領域102となり、売上票115の剥離ニス層142によって
図11に示した強弱接着領域102aが構成されるが、売上票115おいては、下シート120の上シート110との重ね合わせ面の全面に積層された接着層170によってその全面にて上シート110と下シート120とが接着されているため、
図11に示した貼付領域101が存在することとなる。
【0063】
本例におけるシート体においては、配達票113及び売上票115のそれぞれにおいて、剥離ニス層142によって上シート110と下シート120との接着力が島状に異なっていることにより、配達票113や売上票115を下シート120から剥離した場合に、その剥離領域に大きな応力が集中することがなくなり、それにより、下シート120が剥離した配達票113や売上票115にカールが生じることが抑制されることとなる。また、そのような構成としながらも、売上票115おいては、下シート120の上シート110との重ね合わせ面の全面に積層された接着層170によってその全面にて上シート110と下シート120とが接着されているため、シート体に情報を印字する場合に、上シート110と下シート120が接着されて1枚のシートとして検知されなければならないところ、複数枚のシートが重なった状態であると誤検知されることが回避されることとなる。