(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スロープ電圧生成部は、前記電圧電流変換回路の出力端から前記第1コンデンサに至る電流経路を導通/遮断する第1スイッチをさらに有する請求項4に記載のスイッチングレギュレータ。
前記スロープ電圧生成部は、前記第1コンデンサを放電させて前記第1コンデンサの充電電圧をリセットする第1リセット部を有する請求項4または請求項5に記載のスイッチングレギュレータ。
前記スロープ電圧生成部は、前記第2コンデンサを放電させて前記第2コンデンサの充電電圧をリセットする第2リセット部を有する請求項7に記載のスイッチングレギュレータ。
【背景技術】
【0002】
エンジンの再始動を何度も行うアイドリングストップ車ではエンジンを一時的に停止されている期間にAV機器や空調機器などの車載機器によってバッテリの電力が消費され続けるため、クランキング(エンジン始動)時のバッテリ電圧低下が従来よりも厳しくなる。入力電圧(バッテリ電圧)の低下時に出力電圧を保持する昇降圧型スイッチングレギュレータを用いることで、クランキング時にバッテリ電圧が大きく低下した場合でも車載機器を正常動作させることができる。
【0003】
このため、車載機器市場において、昇降圧型スイッチングレギュレータの需要が高まっている。
【0004】
ここで、一般的な昇降圧型スイッチングレギュレータの構成及び動作について説明する。
図15は一般的な昇降圧型スイッチングレギュレータの構成を示す図である。
【0005】
図15に示す昇降圧型スイッチングレギュレータは、降圧用スイッチであるMOSトランジスタQ11及びQ12と、インダクタL11と、昇圧用スイッチであるMOSトランジスタQ13及びQ14と、出力コンデンサC11と、抵抗R11〜R14と、制御部CNT11と、を備えている。
【0006】
制御部CNT11は、抵抗R11及びR12からなる分圧回路の出力によって出力電圧V
OUTを監視しており、抵抗R13及びR14からなる分圧回路の出力によって入力電圧であるバッテリ電圧V
BATを監視している。
【0007】
バッテリ電圧V
BATが第1の所定値A1よりも大きい場合、制御部CNT11は降圧モードを選択する(
図16参照)。降圧モードでは、制御部CNT11は、出力電圧V
OUTに応じてMOSトランジスタQ11及びQ12をオン/オフ制御し、MOSトランジスタQ13を常時オフにし、MOSトランジスタQ14を常時オンにする。これにより、MOSトランジスタQ11及びQ12の接続ノード電圧である第1のスイッチ電圧V
SW1と、MOSトランジスタQ13及びQ14の接続ノード電圧である第2のスイッチ電圧V
SW2とは
図17Aに示すようになる。
【0008】
バッテリ電圧V
BATが第1の所定値A1以下で第2の所定値A2よりも大きい場合、制御部CNT11は昇降圧モードを選択する(
図16参照)。昇降圧モードでは、制御部CNT11は、出力電圧V
OUTに応じてMOSトランジスタQ11及びQ12をオン/オフ制御し、出力電圧V
OUTに応じてMOSトランジスタQ11及びQ12をオン/オフ制御する。これにより、MOSトランジスタQ11及びQ12の接続ノード電圧である第1のスイッチ電圧V
SW1と、MOSトランジスタQ13及びQ14の接続ノード電圧である第2のスイッチ電圧V
SW2とは
図17Bに示すようになる。
【0009】
バッテリ電圧V
BATが第2の所定値A2以下である場合、制御部CNT11は昇圧モードを選択する(
図16参照)。昇圧モードでは、制御部CNT11は、MOSトランジスタQ11を常時オンにし、MOSトランジスタQ12を常時オフにし、出力電圧V
OUTに応じてMOSトランジスタQ13及びQ14をオン/オフ制御する。これにより、MOSトランジスタQ11及びQ12の接続ノード電圧である第1のスイッチ電圧V
SW1と、MOSトランジスタQ13及びQ14の接続ノード電圧である第2のスイッチ電圧V
SW2とは
図17Cに示すようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
昇降圧モード及び昇圧モードにおけるインダクタL11の平均電流は、降圧モードにおけるインダクタL11の平均電流よりも大きくなる。このため、昇降圧モード及び昇圧モードでは、降圧モードよりも発熱が大きくなり効率が悪くなる。したがって、バッテリ電圧V
BATが低下しても出来る限り降圧モードから昇降圧モードに移行しないことが望ましい。すなわち、所望の出力電圧V
OUTが得られる範囲で第1の所定値A1は出来る限り小さいことが望ましい。
【0012】
しかしながら、
図15に示す昇降圧型スイッチングレギュレータは、降圧モードにおいて、MOSトランジスタQ11及びQ12のスイッチング周波数が一定値であるため、当該一定値によってMOSトランジスタQ11の最大オンデューティが制限されていた。そして、その制限された最大オンデューティのせいで第1の所定値A1を十分に下げることができなかった。
【0013】
特許文献1で開示されているDC−DCコンバータも
図15に示す昇降圧型スイッチングレギュレータと同様に上記の問題を有している。
【0014】
本発明は、上記の状況に鑑み、入力電圧が低下したときに降圧モードから昇降圧モードに移行することを極力抑えることができる昇降圧型スイッチングレギュレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本明細書中に開示されているスイッチングレギュレータは、入力電圧から出力電圧を生成するスイッチングレギュレータであって、第1端が前記入力電圧の印加される第1印加端に接続された第1スイッチと、第1端が前記第1スイッチの第2端に接続されて第2端が前記入力電圧よりも低い所定電圧の印加される第2印加端に接続された第2スイッチと、前記第2スイッチを流れる電流を検出する電流検出部と、第1端が前記第1スイッチと前記第2スイッチの接続ノードに接続されたインダクタと、第1端が前記インダクタの第2端に接続されて第2端が前記所定電圧の印加される第3印加端に接続された第3スイッチと、第1端が前記インダクタと前記第3スイッチの接続ノードに接続されて第2端が前記出力電圧の印加される第4印加端に接続された第4スイッチと、前記出力電圧に応じて前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを相補的にオン/オフさせるための降圧用制御信号を生成する第1制御回路と、昇降圧モード時に前記第3スイッチのオンデューティD(0≦D≦1)を固定値D’(0<D’<1)に固定して前記第3スイッチ及び前記第4スイッチを相補的にオン/オフさせるための昇圧用制御信号を生成する第2制御回路と、を有し、前記第1制御回路は、スロープ電圧を生成するスロープ電圧生成部を有し、前記スロープ電圧に応じて前記降圧用制御信号を生成し、前記スロープ電圧生成部は、前記電流検出部によって検出された電流の情報を蓄積して、蓄積された電流の情報に第1ランプ電圧を合成して前記スロープ電圧を生成する第1の動作と、前記電流検出部によって検出された電流の情報を蓄積して、蓄積された電流の情報に前記第1ランプ電圧に加えて又は前記第1ランプ電圧に代えて前記第1ランプ電圧よりも傾きの小さい第2ランプ電圧を合成して前記スロープ電圧を生成する第2の動作と、を切り替える構成(第1の構成)である。
【0016】
また上記第1の構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記第1制御回路は、前記スイッチングレギュレータの出力電圧に応じた電圧と基準電圧との差分に応じた誤差信号を生成するエラーアンプと、前記スロープ電圧と前記誤差信号を比較して比較信号であるリセット信号を生成するコンパレータと、所定周波数のクロック信号であるセット信号を生成するオシレータと、前記セット信号と前記リセット信号に応じて前記降圧用制御信号を生成するタイミング制御回路と、を有する構成(第2の構成)にしてもよい。
【0017】
また上記第2の構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記セット信号がハイレベルからローレベルに切り替わる時に、前記降圧用制御信号によって前記第1スイッチがオフ状態からオン状態に切り替わり、前記セット信号がローレベルからハイレベルに切り替わる時の前記降圧用制御信号の状態に応じて、前記スロープ電圧生成部が前記第1の動作及び前記第2の動作のいずれかを選択する構成(第3の構成)にしてもよい。
【0018】
また上記第1〜第3いずれかの構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記電流検出部は、前記第2スイッチを流れる電流に応じた電圧を電流に変換する電圧電流変換回路であって、前記スロープ電圧生成部は、前記電圧電流変換回路の出力電流を充電する第1コンデンサを有する構成(第4の構成)にしてもよい。
【0019】
また上記第4の構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記スロープ電圧生成部は、前記電圧電流変換回路の出力端から前記第1コンデンサに至る電流経路を導通/遮断する第1スイッチをさらに有する構成(第5の構成)にしてもよい。
【0020】
また上記第4又は第5の構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記スロープ電圧生成部は、前記第1コンデンサを放電させて前記第1コンデンサの充電電圧をリセットする第1リセット部を有する構成(第6の構成)にしてもよい。
【0021】
また上記第4〜第6いずれかの構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記スロープ電圧生成部は、第1定電流源と、前記第1定電流源の出力電流を充電する第2コンデンサと、を有する構成(第7の構成)にしてもよい。
【0022】
また上記第7の構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記スロープ電圧生成部は、前記第2コンデンサを放電させて前記第2コンデンサの充電電圧をリセットする第2リセット部を有する構成(第8の構成)にしてもよい。
【0023】
また上記第7又は第8の構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記スロープ電圧生成部は、前記第1コンデンサの充電電圧によってオン抵抗が制御される可変抵抗部を有し、前記第2コンデンサに前記可変抵抗部が直列接続される構成(第9の構成)にしてもよい。
【0024】
また上記第7〜第9いずれかの構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記スロープ電圧生成部は、第2定電流源と、前記第2定電流源の出力端から前記第1コンデンサに至る電流経路を導通/遮断する第2スイッチと、を有し、前記第2定電流源の出力電流は前記第1定電流源の出力電流より小さい構成(第10の構成)にしてもよい。
【0025】
本明細書中に開示されているスイッチングレギュレータは、入力電圧から出力電圧を生成するスイッチングレギュレータであって、第1端が前記入力電圧の印加される第1印加端に接続された第1スイッチと、第1端が前記第1スイッチの第2端に接続されて第2端が前記入力電圧よりも低い所定電圧の印加される第2印加端に接続された第2スイッチと、前記第2スイッチを流れる電流を検出する電流検出部と、第1端が前記第1スイッチと前記第2スイッチの接続ノードに接続されたインダクタと、第1端が前記インダクタの第2端に接続されて第2端が前記所定電圧の印加される第3印加端に接続された第3スイッチと、第1端が前記インダクタと前記第3スイッチの接続ノードに接続されて第2端が前記出力電圧の印加される第4印加端に接続された第4スイッチと、前記出力電圧に応じて前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを相補的にオン/オフさせるための降圧用制御信号を生成する第1制御回路と、昇降圧モード時に前記第3スイッチのオンデューティを前記出力電圧及び前記入力電圧それぞれと独立して設定して前記第3スイッチ及び前記第4スイッチを相補的にオン/オフさせるための昇圧用制御信号を生成する第2制御回路と、を有し、前記第1制御回路は、スロープ電圧を生成するスロープ電圧生成部を有し、前記スロープ電圧に応じて前記降圧用制御信号を生成し、前記スロープ電圧生成部は、前記電流検出部によって検出された電流の情報を蓄積して、蓄積された電流の情報に第1ランプ電圧を合成して前記スロープ電圧を生成する第1の動作と、前記電流検出部によって検出された電流の情報を蓄積して、蓄積された電流の情報に前記第1ランプ電圧に加えて又は前記第1ランプ電圧に代えて前記第1ランプ電圧よりも傾きの小さい第2ランプ電圧を合成して前記スロープ電圧を生成する第2の動作と、を切り替える構成(第11の構成)である
【0026】
本明細書中に開示されている車両は、上記第1〜第11いずれかの構成のスイッチングレギュレータと、前記スイッチングレギュレータに電力を供給するバッテリと、を備える構成(第12の構成)である。
【発明の効果】
【0027】
本明細書中に開示されているスイッチングレギュレータによれば、入力電圧が低下したときに降圧モードから昇降圧モードに移行することを極力抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<全体構成>
図1は、スイッチングレギュレータの全体構成例を示す図である。本構成例のスイッチングレギュレータ101は、昇降圧型スイッチングレギュレータであって、降圧用制御回路1と、MOSトランジスタQ1〜Q4と、インダクタL1と、出力コンデンサC1と、出力抵抗R0と、分圧抵抗R1及びR2と、電流検出回路2と、ANDゲート3と、固定デューティ回路4と、NOTゲート5と、を備える。
【0030】
MOSトランジスタQ1は、Nチャネル型MOSトランジスタであって、入力電圧であるバッテリ電圧V
BATが印加されている入力電圧印加端からインダクタL1の一端に至る電流経路を導通/遮断するスイッチの一例である。MOSトランジスタQ1のドレインは、バッテリ電圧V
BATが印加されている入力電圧印加端に接続されている。MOSトランジスタQ1のソースは、インダクタL1の一端及びMOSトランジスタQ2のドレインに接続されている。
【0031】
MOSトランジスタQ2は、Nチャネル型MOSトランジスタであって、接地端からインダクタL1の一端に至る電流経路を導通/遮断するスイッチの一例である。MOSトランジスタQ2のドレインは、上述の通りインダクタL1の一端及びMOSトランジスタQ1のソースに接続されている。MOSトランジスタQ2のソースは、接地端に接続されている。なお、MOSトランジスタQ2の代わりにダイオードを用いることもできる。
【0032】
MOSトランジスタQ3は、Nチャネル型MOSトランジスタであって、インダクタL1の他端から接地端に至る電流経路を導通/遮断するスイッチの一例である。MOSトランジスタQ3のドレインはインダクタL1の他端に接続されている。MOSトランジスタQ3のソースは、接地端に接続されている。
【0033】
MOSトランジスタQ4は、Nチャネル型MOSトランジスタであって、インダクタL1の他端から出力電圧V
OUTが印加されている出力電圧印加端に至る電流経路を導通/遮断するスイッチの一例である。MOSトランジスタQ4のドレインはインダクタL1の他端及びMOSトランジスタQ3のドレインに接続されている。MOSトランジスタQ4のソースは、出力コンデンサC1の一端及び出力電圧V
OUTが印加されている出力電圧印加端に接続されている。出力コンデンサC1の他端は接地されている。なお、MOSトランジスタQ4の代わりにダイオードを用いることもできる。
【0034】
出力コンデンサC1は出力電圧V
OUTのリップルを低減するための平滑コンデンサである。また出力電圧V
OUTは、出力コンデンサC1と出力抵抗R0によって構成される位相補償回路によって位相補償される。
【0035】
分圧抵抗R1及びR2は、出力電圧V
OUTを分圧して帰還電圧V
FBを生成し、帰還電圧V
FBを降圧用制御回路1に供給する。
【0036】
降圧用制御回路1は、帰還電圧V
FBに応じてMOSトランジスタQ1及びQ2を相補的にオン/オフさせるためのMOSトランジスタQ1のゲート信号G1及びMOSトランジスタQ2のゲート信号G2を生成し、ゲート信号G1及びG2をMOSトランジスタQ1及びQ2の各ゲートに供給する。なお、MOSトランジスタQ1とMOSトランジスタQ2のオン/オフ切り替わり時には、MOSトランジスタQ1とMOSトランジスタQ2の双方がオフになるデッドタイムを設けることが好ましい。
【0037】
電流検出回路2は、MOSトランジスタQ2のオン状態におけるドレイン−ソース間電圧すなわちMOSトランジスタQ2のオン抵抗の両端電圧に基づいて、MOSトランジスタQ2を流れる電流を検出し、その検出結果を降圧用制御回路1に出力する。
【0038】
ANDゲート3は、モード指定信号S1と、固定デューティ回路4から出力されるオンデューティが固定されたパルス信号S2との論理積である信号S3を出力する。モード指定信号S1はローレベルのときに降圧モードを指定する信号となりハイレベルのときに昇降圧モードを指定する信号となる。スイッチングレギュレータ101がモード指定信号S1を生成する回路(不図示)を内蔵する構成であってもよく、スイッチングレギュレータ101が外部からモード指定信号S1を受け取る構成であってもよい。
【0039】
ANDゲート3の出力信号S3は、MOSトランジスタQ3のゲートに供給されるとともに、NOTゲート5によって論理反転された後にMOSトランジスタQ4のゲートに供給される。なお、NOTゲート5の代わりにデッドタイム生成回路を用い、MOSトランジスタQ3とMOSトランジスタQ4のオン/オフ切り替わり時には、MOSトランジスタQ3とMOSトランジスタQ4の双方がオフになるデッドタイムを設けることが好ましい。
【0040】
<降圧用制御回路の構成例>
図2Aは、降圧用制御回路1の一構成例を示す図である。
図2Aに示す例において降圧用制御回路1は、エラーアンプ11と、基準電圧源12と、抵抗R3と、コンデンサC2と、スロープ回路13と、コンパレータ14と、発振器15と、タイミング制御回路16とによって構成される。
【0041】
エラーアンプ11は、帰還電圧V
FBと、基準電圧源3から出力される基準電圧V
REFとの差分に応じた誤差信号を生成する。誤差信号は、抵抗R3とコンデンサC2によって構成される位相補償回路によって位相補償される。
【0042】
スロープ回路13は、発振器15から出力される所定周波数のクロック信号に基づき制御され、電流検出回路2(
図1参照)の出力を受け取ることでインダクタL1の電流情報を有しており、インダクタL1の電流情報が反映されたスロープ電圧を生成して出力する。これにより、スイッチングレギュレータ101はいわゆる電流モード制御型スイッチングレギュレータとなっている。
【0043】
コンパレータ14は、位相補償された誤差信号とスロープ回路13の出力電圧とを比較して比較信号であるリセット信号を生成する。スロープ回路13によって生成されるスロープ電圧が固定周期であるため、リセット信号はPWM信号となる。
【0044】
発振器15は、上述の通り所定周波数のクロック信号をスロープ回路13に出力するとともに、所定周波数のクロック信号としてタイミング制御回路16に出力する。
【0045】
タイミング制御回路16は、セット信号(発振器15から出力されるクロック信号)のハイレベルからローレベルへの切り替わり時にゲート信号G1をローレベルからハイレベルに切り替え、リセット信号のローレベルからハイレベルへの切り替わり時にゲート信号G1をハイレベルからローレベルに切り替える。
【0046】
図2Bは、降圧用制御回路1の他の構成例を示す図である。
図2Bに示す例において発振器15は、所定周波数のクロック信号をスロープ回路13及びタイミング制御回路16の他に固定デューティ回路4にも出力する。この場合、固定デューティ回路4は、発振器15から出力される所定周波数のクロック信号に基づいてパルス信号S2を生成する。これに対して、上述した
図2Aに示す例では、固定デューティ回路4は降圧用制御回路1とは別の発振器を有する構成となる。
【0047】
<スロープ電圧の生成例>
図3は、電流検出回路2及びスロープ回路13の一構成例を示す図である。
図3に示す例において電流検出回路2は、電圧電流変換回路2Aによって構成される。また
図3に示す例においてスロープ回路13は、スイッチ13A〜13Dと、コンデンサ13E及び13Fと、定電流源13G及び13Hと、NMOSトランジスタ13Iによって構成される。NMOSトランジスタ13Iのゲート・ソース間電圧はコンデンサ13Eの両端電圧であり、NMOSトランジスタ13Iのドレインはスイッチ13B及びコンデンサ13Fによって構成される並列回路に接続される。なお、定電流源13D及び13Hから出力される各定電流の値はそれぞれ調整可能であることが望ましい。
【0048】
電圧電流変換回路2A並びに定電流源13G及び13Hは、IC[integrated circuit]である降圧用制御回路1内部で生成される内部電源電圧V
CCによって駆動する回路である。
【0049】
電圧電流変換回路2AはMOSトランジスタQ2のドレイン−ソース間電圧を電流に変換して出力する。コンデンサ13Eは、スイッチ13Cがオンのとき電圧電流変換回路2Aの出力電流によって充電され、スイッチ13Dがオンのとき定電流源13Hの出力電流によって充電され、スイッチ13Aがオンのときリフレッシュされる。コンデンサ13Fは、スイッチ13BがオフであってNNOSトランジスタ13Iがオンであるとき定電流源13Gの出力電流によって充電され、スイッチ13Bがオンのときリフレッシュされる。コンデンサ13Fと定電流源13Gの接続ノード電圧がスロープ電圧V
SLPとなる。
【0050】
図4は、電圧電流変換回路2Aの一構成例を示す図である。
図4に示す電圧電流変換回路では、電流源2Bが、Nチャネル型MOSトランジスタ2C及び2Dからなるカレントミラー回路に電流を供給する。Nチャネル型MOSトランジスタ2C及び2Dからなるカレントミラー回路のミラー比が1:1であれば、抵抗2Fを流れる電流は第1のスイッチ電圧V
SW1を抵抗2Eの抵抗値R
2Eと抵抗2Fの抵抗値R
2Fの差(R
2E−R
2F)で除した値となる。そして、Pチャネル型MOSトランジスタ2G及び2Hからなるカレントミラー回路によって、抵抗2Fを流れる電流に応じた電流(電圧電流変換回路2Aの入力電圧である第1のスイッチ電圧V
SW1に応じた電流)が電圧電流変換回路2Aの出力電流として掃き出される。
【0051】
図5は、入力電圧であるバッテリ電圧V
BATが高い場合の降圧モードにおける
図1のスイッチングレギュレータの一動作例を示すタイムチャートである。
図6は、入力電圧であるバッテリ電圧V
BATが低い場合の降圧モードにおける
図1のスイッチングレギュレータの一動作例を示すタイムチャートである。
図7は、昇降圧モードにおける
図1のスイッチングレギュレータの一動作例を示すタイムチャートである。
【0052】
図5〜
図7に示す例では、タイミング制御回路16は、セット信号SETのハイレベルからローレベルへの切り替わり時にゲート信号G1をローレベルからハイレベルに切り替え、リセット信号RESETのローレベルからハイレベルへの切り替わり時にゲート信号G1をハイレベルからローレベルに切り替える。
【0053】
また、タイミング制御回路16は、セット信号SETに基づいて、セット信号SETのローレベルからハイレベルへの切り替わり時にローレベルからハイレベルへ切り替わり、セット信号SETのハイレベル期間より短いハイレベル期間を有する内部クロック信号CLKを内部で生成する。
【0054】
スロープ回路13は、タイミング制御回路16からの指示に従って、スイッチ13A〜13Dのオン/オフを切り替える。タイミング制御回路16は、セット信号SETのローレベルからハイレベルへの切り替わり時のゲート信号G1のレベルに応じてスロープ回路13への指示内容を変えている。
【0055】
まず、セット信号SETのローレベルからハイレベルへの切り替わり時にゲート信号G1がローレベルである場合について
図5を参照して説明する。
【0056】
内部クロック信号CLKのハイレベルからローハイレベルへの切り替わり時に(t1のタイミングで)、スロープ回路13は、スイッチ13A及び13Bをオフ状態からオン状態に切り替え、スイッチ13C及び13Dのオフ状態を維持する。これにより、コンデンサ13E及び13Fがリフレッシュされてスロープ電圧V
SLPが0になる。
【0057】
そしてt1のタイミングから一定時間が経過した時に(t2のタイミングで)、スロープ回路13は、スイッチ13A及び13Bをオン状態からオフ状態に切り替え、スイッチ13Cをオフ状態からオン状態に切り替える。
【0058】
次に、t2のタイミングから一定時間が経過した時に(t3のタイミングで)、スロープ回路13はスイッチ13Cをオン状態からオフ状態に切り替える。
【0059】
t2のタイミングからt3のタイミングまでの期間、MOSトランジスタQ2を流れる電流の情報がコンデンサ13Eの充電電圧の形で蓄積され、コンデンサ13Eの充電電圧の増加に応じてスロープ電圧V
SLPも増加する。
【0060】
また、t2のタイミング以降、定電流源13Gの出力電流によってコンデンサ13Gが充電される。これにより、t2のタイミング以降、定電流源13Gの出力電流に応じた一定の増加率(定電流源13Gの出力電流に応じた一定の傾き)で増加する第1ランプ(RAMP)電圧成分がスロープ電圧V
SLPに含まれる。
【0061】
そして、スロープ電圧V
SLPが誤差信号V
ERRに達した時に(t4のタイミングで)、リセット信号RESETがローレベルからハイレベルに切り替わるので、第1スイッチ電圧VSW1がハイレベルからローレベルに切り替わる。
【0062】
上記の動作において、入力電圧であるバッテリ電圧V
BATが低くなると、スロープ電圧V
SLPが誤差信号V
ERRに達することなく(すなわちリセット信号RESETがローレベルからハイレベルに切り替わることなく)、次回のセット信号SETのローレベルからハイレベルへの切り替わりが起こる(
図6に示すt5のタイミング)。
【0063】
t5のタイミングでは、セット信号SETのローレベルからハイレベルへの切り替わり時にゲート信号G1がハイレベルになっている。したがって、t5のタイミング以降、上記の動作とは別の動作となる。
図6を参照して、セット信号SETのローレベルからハイレベルへの切り替わり時にゲート信号G1がハイレベルである場合について説明する。
【0064】
t5のタイミングで、スロープ回路13は、スイッチ13Dをオフ状態からオン状態に切り替え、スイッチ13A〜13Cのオフ状態を維持する。る。これにより、t5のタイミング以降、定電流源13Hの出力電流に応じた一定の増加率(定電流源13Hの出力電流に応じた一定の傾き)で増加する第2ランプ(RAMP)電圧成分がスロープ電圧V
SLPに含まれる。なお、定電流源13Hの出力電流は定電流源13Gの出力電流よりも小さく設定される。したがって、第2ランプ(RAMP)電圧の傾きは第1ランプ(RAMP)電圧の傾きより小さくなる。
【0065】
その後、内部クロック信号CLKのハイレベルからローハイレベルへの切り替わり時に(t6のタイミングで)、スロープ回路13は、スイッチ13Bをオフ状態からオン状態に切り替え、スイッチ13A及び13Cのオフ状態を維持し、スイッチ13Dのオン状態を維持する。これにより、コンデンサ13Fのみがリフレッシュされ、コンデンサ13Eの充電電圧の形で蓄積されているMOSトランジスタQ2を流れる電流の情報は保持される。
【0066】
そしてt6のタイミングから一定時間が経過した時に(t7のタイミングで)、スロープ回路13は、スイッチ13Bをオン状態からオフ状態に切り替え、スイッチ13A及び13Cのオフ状態を維持し、スイッチ13Dのオン状態を維持する。
【0067】
t7のタイミング以降、スロープ電圧V
SLPは、コンデンサ13Eで保持されているMOSトランジスタQ2を流れる電流の情報に対応するオフセット電圧成分、第1ランプ(RAMP)電圧成分、及び第2ランプ(RAMP)電圧成分を合成した電圧となる。
【0068】
スロープ電圧V
SLPに第2ランプ(RAMP)電圧成分を含めることにより、t7のタイミング以降におけるスロープ電圧V
SLPのピーク値を順次大きくすることができる(
図6において、t7のタイミング以降に最初に現れるピークP1の値よりも二番目に現れるピークP2の値の方が大きい)。これにより、スロープ電圧V
SLPをセット信号SETの周期毎に段階的に誤差信号V
ERRに近づけることができる。
【0069】
そして、スロープ電圧V
SLPが誤差信号V
ERRに達した時に(t8のタイミングで)、リセット信号RESETがローレベルからハイレベルに切り替わるので、第1スイッチ電圧VSW1がハイレベルからローレベルに切り替わる。
【0070】
リセット信号RESETがローレベルからハイレベルに切り替わった後、一回だけスイッチ13Aをスイッチ13Bに合わせてオン状態にする。すなわち、コンデンサ13E及び13Fをリフレッシュする。そして、リセット信号RESETがローレベルからハイレベルに切り替わった後、一回だけスイッチ13Cをスイッチ13Bがオン状態からオフ状態になると同時にオン状態にする。すなわち、MOSトランジスタQ2を流れる電流の情報をコンデンサ13Eの充電電圧の形で蓄積する。
【0071】
入力電圧であるバッテリ電圧V
BATがさらに低くなると、降圧モードから昇降圧モードに切り替わる。昇降圧モードは、セット信号SETのローレベルからハイレベルへの切り替わり時にゲート信号G1がハイレベルになるので、第2スイッチ電圧V
SW2が固定デューティでスイッチングする点を除いて
図6に示すタイミングチャートの場合と同様の動作を行う(
図7参照)。
【0072】
上述したスロープ電圧V
SLPの生成手法によると、降圧モードにおいて入力電圧であるバッテリ電圧V
BATが低くなった場合に第1スイッチ電圧V
SW1の周期をセット信号SETの周期よりも長くすることができる。これにより、第1スイッチ電圧V
SW1の周期がセット信号SETの周期と一致している場合に比べて第1スイッチ電圧V
SW1の最大オンデューティを大きく設定することができる。したがって、入力電圧であるバッテリ電圧V
BATが低下したときに降圧モードから昇降圧モードに移行することを抑えることができる。
【0073】
上述したスロープ電圧V
SLPの生成手法によると、インダクタL1の電流情報がスロープ電圧V
SLPのオフセット電圧に反映されるので、スロープ電圧V
SLPの傾きがインダクタL1の電流の傾きに依存しない。電流モード制御では、インダクタL1の平均電流に関する情報をフィードバックできればよいので、必ずしもインダクタL1の電流の傾きをフィードバックさせる必要は無い。したがって、上述したスロープ電圧V
SLPの生成手法によって、インダクタL1の電流の傾きにかかわらず、スロープ電圧V
SLPの傾きが線形性を保つことができ、電流モード制御が容易になる。
【0074】
上述したスロープ電圧V
SLPの生成手法によると、MOSトランジスタQ1がオフ状態からオン状態に切り替わるタイミング(第1のスイッチ電圧V
SW1がローレベルからハイレベルに切り替わるタイミング)と、MOSトランジスタQ3がオン状態からオフ状態に切り替わるタイミング(第2のスイッチ電圧V
SW2がローレベルからハイレベルに切り替わるタイミング)とを一致させている。これにより、インダクタL1の電流情報を取り込んでいる期間(t2のタイミングからt3のタイミングまでの期間)におけるインダクタL1の電流の傾きを平坦にすることできる。これにより、フィードバックしているインダクタL1の平均電流に関する情報がインダクタL1の電流の傾きに依存しなくなるので、より確実にインダクタL1の平均電流に関する情報をフィードバックすることができる。
【0075】
ここで、比較例として、MOSトランジスタQ1を流れる電流を検出して電流モード制御を行う場合について説明する。
【0076】
図8は、降圧モードにおける比較例に係るスイッチングレギュレータの一動作例を示すタイムチャートである。
図9は、昇降圧モードにおいてバッテリ電圧V
BATが出力電圧V
OUTより小さい場合の比較例に係るスイッチングレギュレータの一動作例を示すタイムチャートである。
図10は、昇降圧モードにおいてバッテリ電圧V
BATが出力電圧V
OUTより大きい場合の比較例に係るスイッチングレギュレータの一動作例を示すタイムチャートである。
【0077】
比較例では、インダクタL1の電流の傾きがそのままスロープ電圧V
SLPの傾きに現れる。降圧モードにおいては、スロープ電圧V
SLPの傾きに線形性があるため、電流モード制御が困難になることはない。しかしながら、昇降圧モードにおいては、スロープ電圧V
SLPの傾きに線形性がないため、スロープ電圧V
SLPに基づいて所望のタイミングでリセット信号を立ち上げることが難しくなり、電流モード制御が困難になる。
【0078】
以上の説明から明らかな通り、スイッチングレギュレータ101は、上述した比較例に係るスイッチングレギュレータに比べて電流モード制御が容易である。
【0079】
<動作モード>
動作モードの切り替え例として、ここではMOSトランジスタQ1のオンデューティが閾値TH以上であるときにモード指定信号S1をハイレベルとし、MOSトランジスタQ1のオンデューティが閾値TH未満であるときにモード指定信号S1をローレベルとする場合について説明する。
【0080】
出力電圧V
OUTに対するバッテリ電圧V
BATの比が閾値THの逆数よりも大きい場合、スイッチングレギュレータ101は降圧モードで動作する(
図11参照)。降圧モードでは、降圧用制御回路1が帰還電圧V
FBに応じてMOSトランジスタQ1及びQ2をオン/オフ制御し、モード指定信号S1がローレベルであるためMOSトランジスタQ3がオフに保持され、MOSトランジスタQ4がオン状態に保持される。
【0081】
また降圧モードにおけるスイッチングレギュレータ101全体の伝達特性は下記(1)式で表される。
【数1】
【0082】
一方、出力電圧V
OUTに対するバッテリ電圧V
BATの比が閾値THの逆数以下である場合、スイッチングレギュレータ101は昇降圧モードで動作する(
図11参照)。昇降圧モードでは、降圧用制御回路1が帰還電圧V
FBに応じてMOSトランジスタQ1及びQ2をオン/オフ制御し、モード指定信号S1がハイレベルであるためMOSトランジスタQ3のオンデューティD(0≦D≦1)が固定値D’(0<D’<1)に固定された状態でMOSトランジスタQ3及びQ4が相補的にオン/オフする。なお、昇降圧モードでは、MOSトランジスタQ3のオンデューティは出力電圧V
OUT及びバッテリ電圧V
BATそれぞれと独立して設定されている。
【0083】
固定値D’は0.7以下に設定することが好ましい。これにより、昇降圧モードにおいて出力電圧V
OUTの変動を十分に抑えることができる。また、各種のばらつきを考慮して10%の余裕をみてバッテリ電圧V
BATが2[V]まで低下した場合でも出力電圧V
OUTが5[V]になることを保証することができる。すなわち、0.7は0.1+(5[V]−2[V])/5[V]から求まる数値である。
【0084】
また昇降圧モードにおけるスイッチングレギュレータ101全体の伝達特性は下記(2)式で表される。
【数2】
【0085】
降圧モードにおける上記の降圧動作及び昇降圧モードにおける上記の昇降圧動作により、MOSトランジスタQ1のオンデューティD
Q1及びMOSトランジスタQ3のオンデューティD
Q3は
図12に示すようになる。
【0086】
上記(1)式及び上記(2)式より、昇降圧モードにおけるスイッチングレギュレータ101全体の伝達特性は、(1−D’)と降圧モードにおけるスイッチングレギュレータ101全体の伝達特性との乗算と等しい。これにより、昇降圧モードにおけるスイッチングレギュレータ101の応答特性は降圧モードにおけるスイッチングレギュレータ101の応答特性と同様になる。したがって、昇降圧モードにおけるスイッチングレギュレータ101の伝達関数はright-half-plane-zero特性を有さない。このため、出力コンデンサC1を大容量にする必要がなくなり、出力コンデンサのコストを抑えることができる。
【0087】
またスイッチングレギュレータ101は、昇圧型スイッチングレギュレータ部と降圧型スイッチングレギュレータ部でそれぞれ別個のリアクタが必要となる構成ではないのでリアクタのコストが抑えることができる。また、上述した動作モードの切り替え例では、出力電圧V
OUTに対するバッテリ電圧V
BATの比が閾値THの逆数以下である否かで昇降圧モードと降圧モードとを切り換えている。これに対して、
図15に示す一般的な昇降圧型スイッチングレギュレータは、バッテリ電圧V
BATが第1の所定値A1以下である否かで昇降圧モードあるいは昇圧モードと降圧モードとを切り換えている。
図15に示す一般的な昇降圧型スイッチングレギュレータでは、第1の所定値A1の最適値が出力電圧V
OUTの設定によって変化してしまうという問題が生じるのに対して、スイッチングレギュレータ101では、出力電圧V
OUTの設定が変わっても閾値THの最適値は変わらないので、閾値THの設定を変える必要がない。
【0088】
またスイッチングレギュレータ101のボード線図に関するシミュレーション結果を
図13A及び
図13Bに示す。
図13Aはバッテリ電圧V
BATを12[V]とし、出力電圧V
OUTを5[V]とした場合すなわち降圧モードのボード線図であり、
図13Bはバッテリ電圧V
BATを4[V]とし、出力電圧V
OUTを5[V]とした場合すなわち昇降圧モードのボード線図である。降圧モード、昇降圧モードのいずれにおいても制御系が安定である。なお、1から固定値D’を引いた値と昇降圧モード時におけるエラーアンプ11のゲインとの乗算値を、降圧モード時におけるエラーアンプ11のゲインと同一にすることで、昇降圧モードのゲインを
図13Cのように改善することができる。
【0089】
<用途>
次に、先に説明したスイッチングレギュレータ101〜102の用途例について説明する。
図17は、車載機器を搭載した車両の一構成例を示す外観図である。本構成例の車両Xは、バッテリ(不図示)と、バッテリから供給される直流電圧を入力するプライマリスイッチングレギュレータ(不図示)と、プライマリスイッチングレギュレータから出力される直流電圧を入力するセカンダリスイッチングレギュレータ(不図示)と、車載機器X11〜X17と、を搭載している。先に説明したスイッチングレギュレータ101〜102はプライマリスイッチングレギュレータに適用することができる。
【0090】
車載機器X11〜X17はそれぞれプライマリスイッチングレギュレータの出力電圧及びセカンダリスイッチングレギュレータの出力電圧のいずれかを電源電圧として用いる。
【0091】
車載機器X11は、エンジンに関連する制御(インジェクション制御、電子スロットル制御、アイドリング制御、酸素センサヒータ制御、及び、オートクルーズ制御など)を行うエンジンコントロールユニットである。
【0092】
車載機器X12は、HID[high intensity discharged lamp]やDRL[daytime running lamp]などの点消灯制御を行うランプコントロールユニットである。
【0093】
車載機器X13は、トランスミッションに関連する制御を行うトランスミッションコントロールユニットである。
【0094】
車載機器X14は、車両Xの運動に関連する制御(ABS[anti-lock brake system]制御、EPS[electric power Steering]制御、電子サスペンション制御など)を行うボディコントロールユニットである。
【0095】
車載機器X15は、ドアロックや防犯アラームなどの駆動制御を行うセキュリティコントロールユニットである。
【0096】
車載機器X16は、ワイパー、電動ドアミラー、パワーウィンドウ、電動サンルーフ、電動シート、及び、エアコンなど、標準装備品やメーカーオプション品として、工場出荷段階で車両Xに組み込まれている電子機器である。
【0097】
車載機器X17は、車載A/V[audio/visual]機器、カーナビゲーションシステム、及び、ETC[Electronic Toll Collection System]など、ユーザの任意で車両Xに装着される電子機器である。
【0098】
<その他の変形例>
なお、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0099】
上述した実施形態では、セット信号SETのローレベルからハイレベルへの切り替わり時にゲート信号G1がハイレベルである場合も、セット信号SETのローレベルからハイレベルへの切り替わり時にゲート信号G1がローレベルである場合と同様に、第1ランプ(RAMP)電圧成分及び第2ランプ(RAMP)電圧成分が合成されている。これに対して、セット信号SETのローレベルからハイレベルへの切り替わり時にゲート信号G1がハイレベルである場合には、一度スイッチ13Bをオフ状態からオン状態に切り替えたら(
図6に示すt6のタイミング)、スイッチ13Bのオン状態をずっと維持するようにしてもよい。この場合、定電流源13Hの出力電流を上述した実施形態よりも大きく設定し、第2ランプ(RAMP)電圧の傾きを上述した実施形態よりも大きくすればよい。
【0100】
また上述した実施形態ではスイッチングレギュレータの入力電圧としてバッテリ電圧を用いたが、本発明はこれに限定されない。スイッチングレギュレータの入力電圧はバッテリ電圧以外の直流電圧であってもよい。
【0101】
また固定デューティ回路4によって設定されるオンデューティの固定値は単一であっても複数であってもよい。固定デューティ回路4によって設定されるオンデューティの固定値が複数ある場合は複数設定の中から任意に選択することができるようにする。この選択は、スイッチングレギュレータの内部において自動的に実施されてもよく、ユーザによる入力操作に基づいて実施されてもよい。ここで、上記選択がスイッチングレギュレータの内部において自動的に実施される例について説明する。この例では、昇降圧モードにおいて、MOSトランジスタQ1のオンデューティが第1閾値以上であると判定される毎に、前記固定値D’を一段階大きくする。また、昇降圧モードにおいて、MOSトランジスタQ1のオンデューティが第2閾値以下であると判定される毎に、固定値D’を一段階小さくする。
【0102】
このように、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。