【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に従って選択された態様は、発光ダイオード(LED)の使用である。この選択は、例えば、特許出願、国際公開第2004/062908号パンフレット、欧州特許第1437215号明細書および欧州特許第1979160号明細書において、以前提案されたものである。これらの出願では、ダイオードは、合わせガラスユニットの、2枚のガラスシートすなわちガラス板を接合させる可塑性中間層に配置されている。問題の適用に応じて、LEDは、細い導線(欧州特許第1979160号明細書)、または透明な導電層(欧州特許第1437215号明細書)のいずれかによって、電力が供給される。
【0013】
光源としてLEDを使用する原理とは別に、従来技術は、これらの製品を製造業者の条件に適合できるようにする特定の技術、かつこれらの技術を実際に問題の積層構造に一体化できる/組み込むかどうか/その方法に関する、答えられていない問題が残されている。それゆえ、発明人らは、これらの質問の解決法を提案する。
【0014】
問題の動作態様に関連付けられる1つの条件は、特に読書灯を形成する場合には、十分な出力が提供されることである。
【0015】
発光形態で情報を表示するためにLEDを使用することは、既に想定されている。情報の表示は、ディスプレイが、車両の外部からの光に曝されるガラスユニットに配置されているときでも、すなわち、換言すると、ディスプレイが逆光であるときでも、比較的低い出力のみを必要とする。LEDが放射した光は非常に狭い領域に集中するため、出力が限られていても、外光に対して高コントラストが得られる。「照明」の適用例では同じことは言えない。ある程度は、点光源は不都合でさえあり得る。これらの非常に明るい点光源を直接見る場合、眩しさのリスクがあり、このリスクは、送達される電力が増えるにつれて、高まる。
【0016】
ガラスルーフの光透過率は、一方では「プライバシー」の側面に適し得るものを提供するために、および他方では、可視領域にある波長から分離できないエネルギー移動を制限するために、系統的に制限されている。少なくともこれら2つの理由のために、ガラスルーフの光透過率は、通常、入射光の50%未満であり、それよりも遥かに低いことが多く、例えば約15〜20%またはそれよりも低い。問題の透過率は、下記で説明する様々な方法で、特に入射光の一部を吸収するシートを使用するだけでなく、透過率を制御可能に変化させることができる手段によっても、調整し得る。
【0017】
所与の照明レベルを提供するために必要なルミナスパワーを決定するときには、ダイオードによって放射された光を弱める要素を、および特に問題のガラスユニットに依存して、放射された光束が辿る経路に配置されたシート状のガラス、中間層、および任意の要素に比較的大量の光が吸収されることを考慮する必要がある。
【0018】
本発明による照明によって必要とされるルミナスパワーは、有利には、複数のダイオード間で分配され得る。複数のダイオードを使用することは、いくつもの利点を有する。第1の利点は、例えば、個々の出力が低いダイオードを使用し得ることである。市販のダイオードの出力がかなり高くなっても、単に安価であるという理由で、依然として中程度の出力のものが有利である。最も強力なダイオードの発光効率が最良ではない場合にも、有利である。それゆえ、最良の有効性に対応する出力範囲からダイオードを選択することが好ましい。このような手順はまた、ダイオードが使用される熱的条件に関連するマイナスの結果を制限するための必要性に対処し、これに関し、下記でより詳しく説明する。
【0019】
ダイオードのエネルギー変換効率はまた、長い時間をかけて著しく改善されてきた。所与の出力に関し、最近の製品で生成される熱の量は、少なくなる傾向を有する。それにもかかわらず、最高のエネルギー変換効率−すなわち光に変換される電力の割合−は、一般的に、30%以下であり、通常、約15〜20%である。それゆえ、かなりの量の熱が、ジュール加熱によって生成される。
【0020】
積層品中でのダイオードの位置は、動作中に生成された熱を簡単に除去しない。高い動作出力のために、ダイオードは局所的な加熱を生じ、これは、最終的には、ダイオード自体、電力供給回路へのはんだ接続部、またはダイオードに接触するまたはそのすぐ近くにある積層ルーフに存在する要素を劣化させ得る。ガラス板は、損傷なく、温度上昇に耐え得るが、積層品を接合する熱可塑性シートを含む他の構成要素は、温度を、比較的厳しい範囲内(ほとんどの場合100℃未満、および80℃未満であることも多い)に保つ必要がある。このため、本発明によれば、必要な全出力を複数のダイオードに分配することが好ましく、複数のダイオードのそれぞれは、この全出力のほんの一部分を提供し、これらのダイオードは、互いに少し離れて配置されている。
【0021】
実験によって、合わせガラスルーフに対応するものなどの環境における、所与の出力のダイオードの温度変化の評価を可能にする。この評価は、ダイオードに関して、実質的にそれと接触する材料による伝導によって、熱が散逸されることを考慮する。PVBなどの材料で作製された熱可塑性中間層も、有機またはミネラルガラス板も、良好な導体ではない。それゆえ、使用されるダイオードの出力を制限するために、注意を要する必要がある。実験は、入手可能なダイオードのエネルギー変換効率での想定した使用条件に関して、電力は、好ましくは2W以下である必要があり、ほとんどの場合1W以下、またはさらには0.5Wである必要があることを示した。予想通り、より良好なエネルギー変換効率の方へ技術進歩する場合、すなわち換言すると、ほんのわずかな出力が熱の形態で消散される場合、出力は、リスクを伴わずに増加し得る。継続的な進歩によって、4Wまでの、またはさらには5Wの出力を有するダイオードの使用へと進展し得る。
【0022】
所与の電力に関し、ダイオード光束はかなりの程度変化し得る。不要にダイオードの必要数を増加させ、かつ積層品へのそれらの組み込みを複雑にすることがないようにするために、使用されるダイオードの出力は、15lm/W以上、好ましくは40lm/W以上、および特に好ましい方法では、75lm/W以上である。対照的に、それらの寿命および/または積層品の構成要素の劣化に害を及ぼす加熱のリスクを伴わないようにするために、それらの出力を過度に増大させないことが好ましい。ダイオードの個々の出力は、電気ワット当たり100ルーメン未満のままであることが有利である。
【0023】
必要なルミナスパワーは、実質的に車両および問題の使用(読書灯、周囲照明、またはカーテシ照明(courtesy lighting))に応じて変化し得る。
【0024】
説明として、読書灯に関し、必要な照度は約20〜100ルクスであり、すなわち照明される物体上の光束は、車両の乗員室の構成に依存して、1lm以上、好ましくは2lm以上であり、および50lm以上もの高さとし得る。乗員室の周囲照明に関し、ルミナスパワーは、通常、少し低い。照度は、通常、1ルクス以上であり、かつ10ルクス以上の高さとし得る。これらの条件下で、乗員室全体の周囲照明の光束は、2〜60ルーメンの範囲とし得る。
【0025】
照度に影響を及ぼす別の要因は、光束の向きに関する。通常のダイオードは、ダイオードの前方の空間全体に放射する。このために、ダイオードは、光束を片側のみに方向付ける反射素子を含む。ダイオードは、放射光束を集中させかつ方向付ける光学的手段を備えてもよいが、これらの手段は、同様の屈折率の媒体によって囲まれているときには効果がないことに留意されたい。エポキシ樹脂などの合成材料で作製されたこれらのレンズは、積層品の中間層の熱可塑性物質、例えばポリビニルブチラールと、十分な屈折率の差がない。それゆえ、追加的な手段を使用して、ビームの方向を制御することが有利である。例示的な実施形態を下記で提示する。
【0026】
実際には、読書灯の適用例では、ダイオードの出力は、ガラスユニットの構成要素の吸収を考慮して選択され、各ダイオードによって、ガラスユニットに垂直な立体角40°でガラスユニットから放射される光強度が、10cd以上、好ましくは15cd以上となるようにする。
【0027】
入手可能な最も適切なダイオードによって放射された光束のために、読書灯は、有利には、2〜20個のダイオード、好ましくは6〜15個のダイオードを含む。より強力なダイオードでは、十分に効率が良ければ、ダイオード1つのみでも十分である。乗員室の一般的な照明では、ダイオードの数は乗員室のサイズに依存し、前述の場合よりも遥かに多いとし得る。ルーフに分配されるダイオードの数は、ルーフの領域によって分割され、有利には、約6〜40個/m
2、ほとんどの場合10〜30個/m
2とし得る。
【0028】
読書灯の問題であれ周囲照明の問題であれ、ダイオードを互いに一定の距離に保ち、ダイオードが生成する熱の分散を容易にすることが好ましい。各ダイオード間は少なくとも10mmの間隔が好ましく、有利には少なくとも20mmである。
【0029】
上記で強調したように、ガラスルーフの光透過率は、必然的に制限される。この吸収は、従来、使用されるシート状のガラスおよび中間層によって得られる。この吸収はまた、シートに存在する吸収層、または様々な透過状態を選択可能にするデバイスの使用、またはさらには複数のこれらの手段の組み合わせが原因とし得る。
【0030】
シート状のガラスおよび中間層によって全体的におよび/または個別に吸収性が得られるとき、これらの要素は非常に吸収性が高い。しかしながら、このタイプの高吸収性はまた、光の透過およびエネルギーの伝達をさらに低下させるおよび/または例えばガラスユニットの色を制御するために、選択した透過および伝達を可能にする要素を含むルーフにおいて有利とし得る。
【0031】
下記でより説明する、透過および伝達を制御可能に変更する手段を含むルーフでは、ガラス板、および任意選択的に中間層による吸収は少ないとし得る。それらの「透明」な構成では、電気的に制御されたシステムは、吸収に貢献し、これは、通常50%以下である。電気的に制御されたシステムのこの状態において所望の透過および伝達が不足しているとみなされる場合、シート状のガラスおよび中間層は、透過および伝達を著しく低下させる必要がある。この場合、吸収は、依然として非常に大きいとし得る。好ましくは、少なくとも25%、および40%以上もの高さとし得る。問題の吸収は、デバイスが、その透明状態または暗状態にあるかどうかを制御する。透明状態では、デバイスは、エネルギーの伝達および光の透過を低下させるのに貢献し、および場合により、ガラスユニットに含まれる要素のマスキングに関与する。
【0032】
積層品を形成するために使用されるガラス板は、同じ構成、および場合によっては同じ厚さを有してもよく、これにより、ガラス板を事前に付形することを簡単にし、2枚のガラス板は、例えば同時に曲げられ得る。ほとんどの場合、ガラス板は、異なる構成および/または厚さを有し、およびこの場合、それらは好ましくは別個に付形される。
【0033】
ガラス板は、好ましくは、透過光がちょうど反射光のように、可能な限り無彩色であるように、選択される。概して、ガラスユニットは、灰色、またはわずかに青みがかった色を有する。
【0034】
色の付いた中間層が存在する可能性は、光の吸収に関与する。これらの色付きの中間層の存在は、エネルギーの伝達を著しく低下させない。それらの使用は、ガラスユニットにおいては想定されており、そのガラス板は全体的に十分な吸収性があるわけではない。この解決法は、例えば、ガラスユニットに光起電力素子を組み込むために、少なくとも外ガラス板が吸収性の劣るガラス板、またはさらには必要以上に透明なガラス板であるときに、生じ得る。この特定の場合を除いて、ほとんどの場合、外ガラス板はまた吸収性ガラス板であるため、色付き中間層は必要ではない。
【0035】
乗員室の方へ向けられたガラス板はまた、特別に、透明なガラスで作製され得る。ほとんどの場合、吸収性があり、かつエネルギー伝達の総体的な低下に貢献する。その透過および伝達が制限されるとき、ガラスユニットに存在する透明性のない要素が、少なくとも部分的に乗員の視界からマスキングされるようにできる。これは、例えば、ダイオードが作動されていないときのダイオード自体の場合であるが、上述の光起電力素子の、またはガラスユニットに組み込まれる任意の要素の問題ともし得る。
【0036】
好ましくは、2枚のガラス板は色が付けられ、およびダイオードによって放射される光は、部分的に、乗員室の方へ向けられたガラス板によって、およびダイオードが挿入される中間層によって、吸収される。ダイオードによって放射される光を減少させすぎないようにするために、乗員室の方へ向けられたガラス板は、好ましくは、この光の40%以下、好ましくは30%以下を吸収する。
【0037】
透過および反射における色はまた、シート状のガラスおよび中間層の選択において重要である。乗員室の方へ向けられたガラス板に関し、ダイオードによって生成された光束の色への入射のために、透過において特に無彩色なガラスが望ましい。
【0038】
読書灯を形成するために、光は、好ましくは白色であるか、または極めてわずかに薄い色がついている。照明を特徴付け、一方では、ダイオードの放射を考慮し、他方では、中間層および乗員室の方へ向けられたガラス板の透過率を考慮するCIE 1931における(x、y)色座標は、有利には、座標点:(0.2600;0.3450)、(0.4000;0.4000)、(0.4500;0.4000)、(0.3150;0.2900)、(0.2350;0.2500)によって規定された、冷色光および温色光と称されるものを双方とも含む境界すなわち軌跡(perimeter)に、および好ましくは、座標点(0.2650;0.3350)、(0.3200;0.3200)、(0.3100;0.3000)、(0.2350;0.2500)によって規定される、より正確には極めてわずかに色が付いた光に関連する境界すなわち軌跡にあるようにされている。
【0039】
前述の通り、太陽放射に曝されるガラスルーフのエネルギー伝達は、その構成要素のガラスの好適な選択によって、かつまた、必要があれば、選択的に赤外線を反射する薄いフィルムの使用によって、制限される。ガラスルーフが存在することはまた、乗員に、「冷え」とみなされる感覚を経験させる可能性があり、この感覚は、外部の温度が快適な室温よりも低いときの乗員室からの熱損失に起因する。
【0040】
実際には、乗員の快適度を回復させるために、製造業者は、ガラスユニットの内部表面全体を覆うことができるようにするスクリーンを実質的に使用する。しかしながら、スクリーンが存在することは、閉鎖されているとき、ルーフに組み込まれた1つまたは複数の灯の恩恵を受けることを不可能にする。
【0041】
スクリーンを使用する必要をなくすことを可能にするために、本発明は、熱損失が最小にされるが、光透過率を過度に低下させないルーフを提供する。この結果を達成するために、本発明は、乗員室の方へ向けられたガラスユニットの面に、low−E層(低放射層)を適用することを提案する。合わせガラスユニットの面を指定するために使用された従来の命名を保つときには、位置4の問題である。これら面は、外部雰囲気に曝される面から始まって符号が付される。問題の層は、内部から外部への可視領域の光線の透過を著しく妨害するものを形成せずに、乗員室によって放射された赤外線を選択的に反射するフィルターとして機能する。
【0042】
これらの層の利点は、これら層が、どのような場合でも、本発明による照明機能の能力を決して制限しないことである。
【0043】
位置4においては、層は劣化、特に機械的劣化から保護されないということにもかかわらず、この位置に薄い層を配置することを選択する。機械的および化学的に十分に抵抗性のあるlow−E層を選択することが可能である。
【0044】
赤外線フィルターの機能は、多かれ少なかれ「選択的」とし得る。選択性は、可視透過率(TL)対日射透過率(solar factor)(SF)の比率として定義され、日射透過率は、標準的なEN 410で定義されるように、直接伝達されたエネルギーと、吸収されてから内部に再放射されたエネルギーとの和である。
【0045】
「硬質」層と称される、良好な機械抵抗を備えるコーティングを得ることがどれほど重要であるかのために、例えばPECVD、CVDまたは熱分解技術によって生成される層が選択されることが有利である。しかしながら、得られるシステムが、十分に抵抗性を有する層で構成されるという条件で、low−Eシステムはまた、真空スパッタリング技術を使用して生成され得る。
【0046】
本発明によれば、low−E層のシステムを使用することが好ましく、その放射率は、0.3未満、好ましくは0.2未満、特に好ましい方法では0.1未満である。
【0047】
一般的に、本発明によるルーフの生成に関して、ガラスユニットを付形しかつ組み立てるために使用される処理に耐える構成要素の能力を心に留めておくことを勧める。基本的要素:ガラス板、中間層、ダイオードの電力供給回路、ダイオード自体、およびlow−E層から始めて、処理は、必然的に、層の形成、シートの曲げ、および最後にこれらの様々な要素の組み立てを含む。
【0048】
車両のルーフは、概して、おそらくこれらのガラスユニットの縁部の曲率を除いて、比較的強くならない曲率を有する。ミネラルガラス板の付形は、少なくともそれらの1つに関して、高温(650〜700℃)に曝すことを必要とする処理を含み、この処理はガラスを軟化させる。ダイオード、およびそれらと関連付けられるいくつかの要素は、問題の温度に耐えることができない。それゆえ、ダイオードは、必然的に、ガラスユニットが曲げられた後でガラスユニットに挿入される必要がある。ダイオードの組み込みは、ガラス板と熱可塑性の中間層シートとの組み立ての影響を受ける。
【0049】
ダイオードの挿入条件は、高温および機械的応力の双方に対するそれらの相対的な脆弱性を考慮する必要がある。シートは、通常、約120〜130℃の温度で、かつ圧力下で、オートクレーブにおいて組み立てられる。
【0050】
非常に長い期間適用しないこと、および/または攻撃的な化学的環境条件下で適用されないことを条件として、ダイオードの性質は、通常、問題の温度に耐えることができるようにする。それにもかかわらず、問題の温度は、ダイオードとそれらの電力供給回路との間の接続を形成するために使用される材料の選択に関して、いくつかの予防策を講じる必要がある。この接続は、導電接着剤によって形成されるとき、特に加熱に対して敏感である。はんだ付けを使用することにより、必要があれば、より高い温度に耐えることができるようにする。
【0051】
機械的応力は、主に、組み立てから生じる圧力の結果である。これらの圧力の効果を最小にするために、過度の力を用いずに、中間層の材料にダイオードを挿入するようにダイオードを配置する必要がある。
【0052】
第1の条件は、中間層が、ダイオードを挿入できるような十分な厚みがあるようにすることを保証することである。
【0053】
従来のダイオードは、それらのパッケージングと共に、通常、高さが1.5mm未満であり、ほとんどの場合1mm未満、またはさらには高さが0.7mm未満である。問題の高さは、使用される従来の中間層の厚さに完全に適合する。説明として、厚さが0.76mmおよび0.38mmのPVBシートが市販されている。さらに、これらの合わせガラスユニットでは、必要があれば複数の中間層と関連付けることが通常である。本発明によれば、それゆえ、中間層の厚さは、ダイオードの高さに少なくとも等しい。追加的な予防策として、ダイオードを囲むことを意図した中間層の厚さは、ダイオードの高さよりも厚くなるように、例えばこの高さの1.5倍以上となるように選択する一方、ガラスユニットの厚さ全体を不必要に厚くしないように、必要とされる厚さ以下である。
【0054】
ダイオードの機械抵抗、および電力供給回路へのそれらの接続はさらに、組み立て中に、ダイオードを中間層の材料に挿入できるようにする必要がある。従来のセラミックパッケージングは、高い抵抗性を示す。中間層材料は、通例、オートクレーブでの焼成中に十分に軟化され、単に圧力を加えることによってダイオードを挿入できるようにする。
【0055】
様々な要素を適所においたら、上述のプロセスは、硬化さる前に室温において流体形状で適用される材料から中間層が形成されるより珍しい処理によって、例えば架橋によって、置き換え得る。
【0056】
ダイオードの電力供給回路は様々な方法で形成し得る。それらのうちの1つは、欧州特許第1979160号明細書に説明されているように、有利にはダイオードを備える中間層に挿入される細いワイヤを使用することにある。これらの非常に細いワイヤの存在は、ガラスユニットが体系的に低い光透過率を有する場合、実質的に知覚できない。この実施形態の主な問題は、中間層にダイオードを配置することである。
【0057】
本発明によれば、電力供給回路およびダイオードを、中間層とは別個の支持体に配置することが好ましい。積層品のガラス板の1つが、曲げに使用されたタイプの熱処理を受ける必要がないことを条件として、このガラス板の問題とし得る。前へ進む1つの方法は、例えば、導電層で被覆されたガラス板を曲げることからなる。この層では、電力供給回路は、曲げの実施前または実施後に形成される。ガラス板を曲げたら、電力供給回路の適切な個所にダイオードを配置する。しかしながら、湾曲した基板にダイオードを取り付けることは、自動化することが困難な作業である。
【0058】
1つの代替例は、比較的厚い湾曲したシートと、厚みのあるシートの曲率に機械的に密接に従うようにされたより薄い平坦なシートとを関連付けることによって、合わせガラスユニットを形成することにある。必要な曲率が、特にガラス板が絶えることができる応力ゆえに、比較的小さいままである場合に限り、この技術を実施することを想定する。このタイプの組み立ては、例えば特許出願BE2011/0415号明細書(2011年7月4日出願)に、またはさらには特許出願BE2012/0036号明細書(2012年1月16日出願)に説明されているようなものである。このタイプの組み立ての場合、電力供給回路およびダイオードは平坦なシートに配置され、およびそれらが曝される温度上昇は、オートクレーブでの焼成の温度のみである。
【0059】
この組み立て態様では、平坦なガラス板は、化学的に強化されたガラス板であることが有利である。
【0060】
上述の方法で組み立てられた積層品では、外部へ向かう方または内部へ向かう方のいずれかへ、平坦なシートを配置することが可能である。石の破片の衝撃に関連したリスクを最小にするために、回路およびダイオードを載置するおそらくは薄いシートを、内側の方へ配置することが好ましいとし得る。この位置において、ダイオードおよび電力供給回路を載置するシートの面が凸状側にあることにより、引張応力を生成する。これは、特定の問題をなんら生じない。なぜなら、曲率は小さいままであり、かつ応力は限定されているためである。それにもかかわらず、1つの特異点は、使用されるダイオードのタイプの結果である。具体的には、光束を、ダイオードの支持体に対応する側、すなわちガラス板から離れるように方向付けることが必要である。この場合、使用されるダイオードは、必然的に、「逆ガルウィング」ダイオードである。
【0061】
上述の組み立て態様では、電力供給回路が形成される導電層は、薄いシートに形成される。問題のガラス板の厚さが非常に薄いとき(例えば厚さが0.8mm、またはさらには約0.4mm)、層を適用することは簡単ではない。これらの層を形成するために従来使用された技術は、特に層の適用段階でのシートの平面性の制御が困難であるため、欠陥を誘発する。
【0062】
ダイオードが事前に固定される大きなサイズの比較的薄いシートの取り扱いが困難であることを考えると、異なる方法で進めることが可能である。実際のガラス板および中間層とは無関係な要素の、積層品への挿入が問題である。この態様では、回路およびダイオードは、積層品に挿入される薄い支持要素に配置される。この支持要素のサイズは、ルーフの領域に対して比較的小さいとし得る。支持要素のサイズは、ダイオードを適切に配置するために必要とされるサイズに制限されることが有利である。読書灯に関して、例えば支持体の領域は、数平方デシメータ以下に制限され得る。
【0063】
支持体は、可撓性ポリマーシートによって形成されることが有利である。問題のシートの変形に対する抵抗性は、中間層材料へのダイオードの挿入中にダイオードの向きを維持するように、十分に高いことが有利である。シートは、複数の重ね合わせた層で構成され得る。特に、ポリエチレングリコールテレフタレート(PET)、または導電回路の支持体として機能する同様のシートを含み得る。導電層のシステムで被覆されたこのタイプのシートは、市販されている。これらのポリマー素子と共に、ダイオードは、問題の材料の脆弱性ゆえに、温度の目立った上昇がないときにのみ、適所に固定される。ダイオードは、例えば、導電接着剤によって適所に固定される。PETシートは、伸縮に対して高い抵抗性を有するが、非常に可撓性がある。それゆえ、PETシートは、ダイオードを簡単に正しく位置決めするために、簡単に屈曲して変形しない材料で作製されたシートに関連付けられることが有利である。
【0064】
回路およびダイオードを保持する支持要素はまた、有利には、薄いガラス条片から形成し得る。そのサイズが制限され得るゆえに、条片は特に薄く、例えば約0.1mmの厚さとし得る。そのような厚さの薄いシートは、積層ルーフの曲率に適合するように、簡単に変形可能であるという利点を有する。これらの曲げ強度を高めるために、これらのシートは、先の場合のように、化学的に強化されることが有利である。さらに、ガラス製の要素は、ダイオードを回路に固定するためのはんだの使用に適合する温度に耐えることができる。
【0065】
上述の問題の挿入された支持体は、実質的に透明な材料である。それらは、実質的にルーフの光の透過性を修正しない。これらの支持体はサイズがあまり大きくないために、および透明性のない部位分を容認できると仮定すると、プリント回路基板(PCB)において従来使用された材料を使用することが可能であり、これらの製品は、非常に安価であるという利点を有する。
【0066】
ダイオード支持体の挿入は、好ましくは、1つ以上の中間層シートに設置することによって、容易にされる。この態様は、従来、様々な要素、特に太陽電池を、合わせガラスユニットに、およびさらにはルーフに挿入するために使用されている(欧州特許第1171294号明細書にあるように)。また、光透過率を変化させるために使用されることを意図したSPDタイプのアセンブリに関し、国際公開第2005/102688号パンフレットにおいて提案されている態様である。
【0067】
電力供給回路の構成は、複数の条件を満たす必要がある。第1に、透明性を可能な限り均一にするために好ましいので、透明なダイオード支持体が使用される場合には、電力供給回路自体が、好ましくは、光透過率を実質的に修正しないようにする、または、より正確には、その存在が実質的に視覚的に気づきにくいままであるようにする。この場合、回路は、例えば実質的に透明の導電被覆からなる。しかしながら、非常に細いワイヤも使用してもよい。
【0068】
TCO(薄膜導電性酸化物)と称される薄い導電層のタイプ、または少なくとも1つの金属層を含むシステムは、有利には、透明な回路に使用される。これらの導電層は非常に薄く、かつ多くの分野、特に太陽電池の分野で使用される。そのような酸化物層の導電度は、金属層の導電度よりも低く、これは通常、厚さが実質的に厚い必要があることを意味する。いずれの場合も、数十ナノメートルの厚さでも、光透過率に対する限定的な影響は、ガラスユニット自体の全体的な透過率が非常に低いゆえに、問題ではない。
【0069】
導電層の選択はまた、それらの電気特性を考慮する必要がある。導電性酸化物層は、通常、比較的低い導電度、すなわち換言すると、無視できない抵抗を有する。導電性酸化物層は、例えば、約10Ω/□以上の抵抗を有する。金属層を含むシステムは、より低い抵抗、約1〜5Ω/□を有するが、ある程度の脆弱さを有し、それゆえ、それらの品質にもかかわらず、導電性酸化物層が依然として好ましい。
【0070】
実際には、過度のジュール加熱を防止するために、層の抵抗性を十分に低いレベルに保つことは重要である。ダイオードに関しては、比例的に抵抗を高める追加的な加熱は、これが、導電層が占める領域全体にわたって生成された熱を分配することを意味する場合でも、避ける必要がある。
【0071】
ダイオードに電力供給するために使用される電気回路が、従来の方法で導電層に形成される。薄いガラス条片からなる支持体に関し、従来の態様は、例えば、支持体を均一に覆う層を事前にパターン化することにある。このパターン化は、レーザアブレーションによって実施されることが有利である。PETフィルムなどの薄いフィルムで構成される支持体に関し、回路は、好ましくは印刷技術を使用して形成される。
【0072】
従来のパッケージングと共に、ダイオードによって放射された光束は、大きなビーム角のビームを形成し、その角度は、180°もの大きさとしてもよく、および使用されるパッケージに依存して、少なくとも120°である。この特異点は、ダイオードがルーフ上で均一に分配されるとき、周囲照明またはカーテシ照明にうまく適する。
【0073】
光ビームが大きなビーム角を有する場合、その強度は、全方向において均一なわけではない。その強度は、ダイオードの半導体の平面に垂直な方向において最大であり、および最大ビーム角に達するまで、低下する。この分布は、例としておよび関連の図面によって、下記で詳細に説明する。
【0074】
強度が、ルーフにダイオードを好適に配置することによって選択され得る一方向において強くても、この本質的に部分的な「指向性」は十分でない可能性がある。小さなビーム角のビームを得るために、光束を方向付けることが好ましいとし得る。
【0075】
1つ以上のダイオードから生じる光ビームのビーム角を小さくするために、それらに対面する収束レンズが形成されることが有利である。このレンズが、積層品において効果的なままであるために、その屈折率は、ダイオードに装着される場合、挿入される中間層材料の屈折率とは異なる必要がある。最も一般的な製品はエポキシ樹脂レンズを有し、その屈折率は、従来の中間層材料の屈折率と実質的に異ならない。この状況では、必要な収束を得るために、レンズを、ダイオードにではなく、乗員室の方へ向けられたガラスユニットの面に、すなわち位置4に配置する。原理上は、問題のレンズは、ガラス板自体の表面を修正することによって形成されてもよいため、その一体部分とし得る。それにもかかわらず、実装コストのために、レンズが、ダイオードに対面して配置される追加的な部分の形態を取ることが有利である。問題の部分は、ガラスとし得る透明材料で作製されるだけでなく、必要があれば、十分に透明で抵抗性のあるポリマーでも作製される。
【0076】
乗員室へのこの追加されたレンズの突出を最小にするためには、フレネルレンズが好ましい。そのようなレンズを使用すると、照明することが望ましいゾーンのサイズに最も良く対応するビームのビーム角を選択することが可能になる。読書灯に関しては、15〜40°のビーム角によって、光源をこの読書ゾーンから離す距離を考慮して、照度ゾーンのサイズを調整できる。
【0077】
固定された指向性照明に関し、レンズは、乗員室の方へ向けられたガラス板の内側面に配置され、かつこの面に修正不可能に接着接合される。例えばガラス板の面にわたってレンズを平行移動させることによって、方向を修正し得る、方向付け可能なビームを想定することも可能である。そのような手段は、ガラス板の表面に必然的に突起を追加するデバイスが存在することを必要とする。
【0078】
光ビームは、例えば各ダイオードに関連付けられるある種のダイアフラムによって、前述の通り限定され得る。この手順の方法は、光学素子に反して、放射された光束の限られた部分のみを送達できるようにする。前述したように、ダイアフラムおよびレンズの使用を組み合わせることも可能である。
【0079】
車両にガラスルーフを配置することは、少なくとも一部は、機能性と同等に本来美的である目的を達成することを目標としている。このため、これらのルーフに関連付けられた手段は全て、この目的を達成することに貢献することが好ましい。ルーフに含まれた照明手段が存在することは、必然的に、特定の電力供給装置、およびこれらの手段の制御装置を伴う必要がある。
【0080】
ダイオードは特定の電圧を必要とする。前述の通り、この電圧は、約数ボルトである(ほとんどの場合2〜4V)。ダイオードの電力供給装置は、必然的に、車両の他のシステムに電力供給するために使用される、電圧を調整する手段を含む必要があり、これらは、約12〜14Vの自動車の問題または約48Vの大型のパネル・バンの問題であるかどうかに依存する。小型であったとしても、電圧を変圧する手段は、ガラスユニットの積層品に組み込むことはできない。機能性に貢献する全ての要素をすぐ近くに保つ必要性に関して、必要な1つまたは複数の変圧器は、ガラスユニットの近くに配置され得る。有利には、変圧器は、ガラスユニットの縁部をマスキングするエナメルゾーンの下側に配置される。
【0081】
照明は、単純なスイッチによって制御可能とし得る。従来の照明モードでは、スイッチは、照明手段のすぐ近くに配置されて、複雑な回路の必要性を回避し、かつ作動手段を簡単に識別できるようにする。従来のスイッチは、ガラスルーフの選択の理由である透明性の要求を満たさない。
【0082】
本発明は、同様に実質的に透明であるダイオードを制御する手段を使用することを提案する。このようにするために、本発明は、スイッチの使用を提案し、スイッチの動作は、電気量に関連付けられるパルスによって作動されるリレーによってトリガされる。好ましくは、使用されるスイッチは容量性スイッチである。この態様は、ダイオードを備えるルーフに含まれた要素の実際の構造を、最適にできるようにする。
【0083】
説明として、容量センサーは、完全密着型センサー(direct contact sensor)とし得る。高感度素子は、例えば、乗員室の方へ向けられた面に配置されたlow−E層に規定されたゾーンである。low−E層は導電性であるため、これら層を、スイッチリレーを制御するためのセンサーとして使用し得る。完全密着型センサーの利点は、接触によって誘発された容量変化が比較的大きいため、スイッチが切り替わる閾値を、寄生トリガ(parasitic triggering)のリスクを全て防止するのに十分な高い値に設定し得ることである。
【0084】
センサーはまた、完全密着型センサーとし得る。この場合、センサーは、ガラスユニットの内側に配置される。有利には、センサーは、ダイオードの電力供給回路が形成される導電層に組み込まれる。このセンサーは、例えば、ダイオードの電力供給回路とは無関係な、規定されたゾーンからなる。その後、ガラスユニットの電極の位置の方へ手を動かすことによって誘発された電場変化により、容量変化が間接的に誘発される。ガラス板を差し挟むことによって、誘発された変化を制限し、およびその結果、検出閾値が低くなり、寄生トリガに対する感度が高くなり得る。
【0085】
感度レベルを設定するときに、スイッチがトリガする閾値が、例えば、外ガラス板に水が存在することに対応する閾値よりも確実に高くなるようにすることが、特に薦められる。接地された導電層を差し挟むことにより、寄生効果を防止できる。この導電層自体が透明とし得る。
【0086】
ダイオードに電力を供給する導電回路が、ルーフにおいてほとんど認知できないか、または認知できないことが好ましい。容量センサーが、前述の通り導電層に形成される場合、導電層はまた、簡単に認知できないようにする必要がある。使用者が、触覚による手段を使用して、この「スイッチ」を簡単に配置できるようにすることが可能である。特にフレネルレンズのような突出型光学的手段がルーフの内面の表面上に存在することは、その例であるが、単なる艶消しで十分とし得る。センサーの位置を、車両のイグニッションをまわすと永久的に電力供給される非常に低輝度のダイオードによって、または同様に、読書灯を非常に低い動作レベルでつけたままにすることによって、光学的に示すことも可能である。
【0087】
上述の本発明の実施形態は、一定の光透過およびエネルギー伝達レベルを設定できるようにするガラス板から形成されたルーフにおける照明手段の組み合わせに関する。本発明によるガラスユニットは、これらの透過および伝達、とりわけ光透過を自由自在に変化させることができる手段を含み得る。前述の通り、エレクトロクロミックデバイスは、特に、このようにするために使用される手段とし得る。これらの手段はまた、好ましくは、SPDシステムである。
【0088】
SPDによって光透過率が修正されるルーフは、制御信号に対するそれらの応答が非常に速いため、特に有利である。これらのSPDを用いて得られた光透過率における、2つの「透明」および「暗」状態間の変化は、選択されるシステムに依存する。従来のこのタイプの製品では、これら2つの状態間の透過率の変化は、40%以上に達することがあり、暗状態では、透過率は極めて低いとし得る。さらに、これらのシステムの存在はまた、それらが透明状態にあるかまたは暗状態にあるかとは無関係に、非常に低いエネルギー伝達を生じる。このエネルギー伝達の低下は、特に、これらのシステムの機能要素、すなわち方向付け可能な粒子が、大幅すぎる温度上昇に曝されないようにするためにとられる措置に関係する。エネルギーのかなりの部分が可視波長を伴うことにも関係する。可視における透過率の低下は、自動的に、エネルギー伝達の低下を生じる。
【0089】
SPD構成要素は、熱への暴露に比較的弱いため、ダイオードがすぐ近くに配置される場合、ダイオードの動作に関し、大幅すぎる温度上昇を生じないようにすることが特に重要である。ダイオードの出力、および互いに対する距離の配置の上述の選択によって、この条件を満足のいくものにできる。
【0090】
ダイオードがSPDフィルムと同じ境界内に配置される場合、ダイオードは、このフィルムの下側に、すなわち換言すると、より乗員室の方へ配置され、放射された光のかなりの量が、フィルムがその「暗」状態にあるかまたは「透明」状態にあるかに関わらず、吸収されないようにする。