(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の吐出器では、液受皿の押下時に内容物が吐出されるので、例えば液受皿を指先で押下した場合には、指先に内容物が付着し易いうえ、内容物が勢いよく液受皿に流れ込んで液受皿から零れ易かった。従って、使い難く改善の余地があった。
なお、パフ等の塗布用具を液受皿にセットした状態で液受皿を押下した場合には、内容物が液受皿から零れ難いものの、ステムからの内容物を塗布用具で直接吸収することになってしまう。そのため、任意の量の内容物を塗布用具に吸収させることが難しく、やはり使い難かった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、指先に内容物が付着することを抑制しながら、ステムからの内容物を皿体に零すことなく安定に吐出することができる吐出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る吐出器は、内容物が収容される容器本体の口部に、上方付勢状態で下方移動可能に配設されるステムと、前記ステムを上下動可能に収容すると共に前記ステム内に連通する貯留シリンダと、前記ステムの下方移動に伴い前記ステム内から前記貯留シリンダ内に内容物を供給する吐出機構と、前記ステムに連係して上下動すると共に、前記貯留シリンダ内に上下摺動可能に配設された吐出ピストンと、前記ステムの上端部に連結されると共に前記ステム内に連通する吐出筒部と、前記吐出筒部の上端部に配設された皿体と、前記吐出筒部内に配設され、前記貯留シリンダに対する前記ステムの下方移動時に前記吐出筒部内と前記ステム内との連通を遮断し、且つ上方への前記ステムの復元移動時に前記吐出筒部内と前記ステム内とを連通させる弁体と、を備え、前記皿体は、上面に前記吐出筒部内に連通する連通孔が開口する皿本体を備える。
【0008】
本発明によれば、貯留シリンダに対してステムを下方移動させることで、吐出ピストンを貯留シリンダ内で下方移動させることができる。このとき、ステムの下方移動に伴って弁体が吐出筒部内とステム内との連通を遮断する。従って、ステムからの内容物を貯留シリンダ内に確実に供給でき、貯留シリンダ内に一旦貯留することができる。
その後、ステムの下方移動を解除すると、ステムは上方付勢力によって上方に復元移動する。そのため、吐出ピストンは、ステムの復元移動に伴って貯留シリンダ内を上方移動し、貯留シリンダ内に貯留された内容物を貯留シリンダ内から押し出す。一方、これと同時に、上方へのステムの復元移動に伴って弁体が吐出筒部内とステム内とを連通させる。
これらのことから、貯留シリンダ内から押し出された内容物を、ステム内、吐出筒部内及び連通孔内を通じて皿本体の上面に吐出することができる。
【0009】
このように、貯留シリンダ内に内容物を一旦貯留できるので、ステムを下方移動させたときに内容物が皿本体に吐出されることを防止でき、その後、ステムを上方に復元移動させたときに内容物を皿本体に吐出させることができる。
従って、例えば指先を離した後に、内容物を皿本体に吐出させることができるので、指先に内容物が付着し難い。また、貯留シリンダ内に一旦貯留した内容物を皿本体に吐出するので、ステムから吐出された内容物を直接的に皿本体に吐出する場合に比べて、内容物の勢いを抑制し易い。従って、内容物を零し難く、皿本体に内容物を安定に吐出することができる。
さらに、皿本体に内容物を安定に吐出できるので、例えば内容物を任意の量だけ掬い取って使用することができる。従って、従来では困難であった使い方ができ、非常に使い易く、利便性を向上することができる。
【0010】
(2)前記弁体は、前記吐出筒部内に上下動自在に配設されると共に、前記皿本体よりも上方に突出する操作片が上端部に形成され、且つ下方移動時に前記吐出筒部の下端開口部を閉塞する閉塞部が下端部に形成された弁本体と、前記弁本体の下方移動時に、前記弁本体を上方に向けて復元変位自在に支持する弾性支持部と、を備えても良い。
【0011】
この場合には、皿本体よりも上方に突出した操作片を例えば指先で押下げ操作することで、吐出筒部に対して弁本体を下方移動させることができる。そして、弁本体が下方移動することで、閉塞部が吐出筒部の下端開口部を閉塞し、吐出筒部内とステム内との連通を遮断すると共に、操作片が皿本体に対して上方から接触する。従って、これ以降、操作片の押下げ操作に伴って、弁本体を介して吐出筒部及びステムを下方移動させることができる。このように、ステムの下方移動に伴って弁本体の閉塞部が吐出筒部内とステム内との連通を遮断するので、内容物を貯留シリンダ内に一旦貯留することができる。
【0012】
その後、操作片の押下げ操作を解除することで、ステムを上方に復元移動させることができる。また、これと同時に弾性支持部が復元変位して弁本体を上方に向けて復元移動させるので、閉塞部が吐出筒部の下端開口部から離間し、吐出筒部内とステム内とを連通させる。従って、貯留シリンダ内から押し出された内容物を、ステム内、吐出筒部内及び連通孔内を通じて皿本体の上面に吐出することができる。
【0013】
特に、皿本体よりも上方に突出する操作片を利用して吐出操作を行えるので、より使い易い。また、閉塞部が吐出筒部の下端開口部を閉塞することで、吐出筒部内とステム内との連通を遮断するので、ステムの下方移動時に吐出筒部内に内容物が流入することを抑制でき、貯留シリンダ内に内容物をより積極的に供給させ易い。従って、貯留シリンダ内に速やかに内容物を貯留することができる。
【0014】
(3)前記操作片には、該操作片を上下に貫通し、内容物を流通させる通過孔が形成されても良い。
【0015】
この場合には、皿本体に内容物を吐出した際、通過孔を通じて操作片の上面側に内容物を移動させることができるので、操作片によって内容物の流れが変更され難い。従って、皿本体から内容物がさらに零れ難くなり、皿本体に広範囲に亘って内容物を安定して吐出させることができる。
【0016】
(4)前記吐出機構は、前記ステムに連係して上下動する液用ピストン及び空気用ピストンと、内部が前記ステム内に連通し、内部に前記液用ピストンが上下摺動可能に配設された液用シリンダと、内部が前記ステム内に連通し、内部に前記空気用ピストンが上下摺動可能に配設された空気用シリンダと、前記ステム内に配設され、前記液用シリンダからの内容物と、前記空気用シリンダからの空気と、を混合する気液混合室と、前記ステム内に配設され、前記気液混合室で混合された気液混合体を発泡させて内容物を発泡させる発泡部材と、を備えても良い。
【0017】
この場合には、貯留シリンダに対してステムを下方移動させると、ステムに連係して液用ピストンが液用シリンダ内を下方移動すると共に、空気用ピストンが空気用シリンダ内を下方移動する。これにより、液用シリンダ内の内容物を気液混合室に供給できると共に、空気用シリンダ内の空気を気液混合室に供給することができる。そのため、気液混合室で内容物と空気とを混合させて気液混合体にすることができると共に、気液混合体を発泡部材で発泡させて泡状にした状態で、貯留シリンダ内に貯留することができる。従って、その後にステムを上方に復元移動させることで、泡状の内容物を皿本体に吐出することができる。
特に、一度の吐出操作で吐出される泡状の内容物の吐出量を、液用シリンダの内容積及び空気用シリンダの内容積で規定し易く、例えば決まった量の泡状の内容物を吐出することが可能となる。
【0018】
(5)前記貯留シリンダの内容積のうち前記吐出ピストンの下方移動に伴って増加する増加容積は、前記空気用シリンダの内容積のうち前記空気用ピストンの下方移動に伴って減少する容積分以上の容積とされても良い。
【0019】
この場合には、ステムを下方移動させた際、貯留シリンダの内容積を超える量の空気が空気用シリンダから貯留シリンダ内に供給されることを防止することができる。従って、ステムの下方移動時に、貯留シリンダ内に泡状の内容物を確実に貯留でき、貯留シリンダ内から吐出筒部内に泡状の内容物がより流入し難くなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る吐出器によれば、指先に内容物が付着することを抑制しながら、ステムからの内容物を零すことなく皿体に安定に吐出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る吐出器の実施形態について図面を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態の吐出器1は、内容物が収容される容器本体Aの口部A1に装着される装着キャップ2と、容器本体Aの口部A1に上方付勢状態で下方移動可能に配設される筒状のステム3と、ステム3を上下動可能に収容すると共にステム3内に連通する貯留シリンダ11と、ステム3の下方移動に伴いステム3内から貯留シリンダ11内に泡状の内容物を供給するポンプ(吐出機構)4と、ステム3に連係して上下動すると共に貯留シリンダ11内に上下摺動可能に配設された吐出ピストン12と、ステム3の上端部に連結されると共にステム3内に連通する吐出筒部5と、吐出筒部5の上端部に配設された皿体6と、を備えている。
【0023】
なお、本実施形態では、吐出器1が装着される容器本体Aにおける横断面の中央を通る中心軸を軸線Oといい、軸線Oに沿った皿体6側を上方、その反対側を下方という。また、軸線O方向から見た平面視で軸線Oに直交する方向を径方向といい、軸線O回りに周回する方向を周方向という。また、
図3及び
図5では、内容物をドット状のハッチングで図示している。
【0024】
装着キャップ2は、環状の天壁部を有する有頂筒状に形成され、軸線Oと同軸に配置されると共に容器本体Aの口部A1に螺着されている。
なお、装着キャップ2の装着方法は、螺着に限定されるものではなく、例えばアンダーカット嵌合により容器本体Aの口部A1に装着されても構わない。装着キャップ2は、後述する空気用シリンダ16及び液用シリンダ13の上方への抜けを防止している。
装着キャップ2の天壁部の内周縁部には、軸線O方向に延びた挿通筒部10が全周に亘って形成されている。
【0025】
ポンプ4は、ステム3に連係して上下動する液用ピストン14及び空気用ピストン15と、内部がステム3内に連通し、その内部に液用ピストン14が上下摺動可能に配設された液用シリンダ13と、内部がステム3内に連通し、その内部に空気用ピストン15が上下摺動可能に配設された空気用シリンダ16と、を備えている。
さらに、ポンプ4は、ステム3内に配設され、液用シリンダ13から供給される内容物と、空気用シリンダ16から供給される空気と、を混合する気液混合室Rと、ステム3内に配設され、気液混合室Rで混合された気液混合体を発泡させて内容物を泡状にした状態で貯留シリンダ11内に供給させる発泡部材17と、を備えている。
【0026】
貯留シリンダ11は、軸線Oと同軸に配設された筒状に形成され、装着キャップ2に装着されている。
貯留シリンダ11は、装着キャップ2における天壁部の上方に配置された貯留筒部20と、貯留筒部20よりも上方に配置され、且つ貯留筒部20よりも径が小さいガイド筒部21と、貯留筒部20の上端部とガイド筒部21の下端部とを接続する環状の頂壁部22と、貯留筒部20を径方向外側から囲むと共に装着キャップ2の周壁部に外嵌された外郭筒部23と、を備えている。
【0027】
外郭筒部23の上端部は、貯留筒部20と頂壁部22との接続部分に一体に接続されている。これにより、貯留シリンダ11は二重筒状に形成され、外郭筒部23を介して装着キャップ2に装着されている。
【0028】
外郭筒部23のうち装着キャップ2の周壁部を囲んでいる部分の内周面には、軸線Oに沿った縦長の空気溝24が周方向に間隔をあけて複数形成されている。また、貯留筒部20の下端部には、該貯留筒部20を径方向に貫通する第1空気孔25が周方向に間隔をあけて複数形成されている。
これにより、貯留シリンダ11内は、装着キャップ2の挿通筒部10内に連通していると共に、第1空気孔25及び空気溝24を通じて貯留シリンダ11の外部に連通している。
【0029】
ガイド筒部21内には、吐出筒部5が上下動可能に挿通されている。ガイド筒部21の上端部には、吐出筒部5の外周面に摺接する環状のスクレーパ部26が径方向内側に向けて突設されている。これにより、吐出筒部5とスクレーパ部26との間は密にシールされている。
【0030】
なお、スクレーパ部26は、径方向内側に向かうにしたがって漸次下方に延びており、吐出筒部5の外周面に内容物が付着したとしても、付着した内容物をこすり落とす(扱き落とす)ことが可能とされている。そのため、吐出筒部5が貯留シリンダ11内に入り込んだ後、上方に復元移動する際に、吐出筒部5の外周面に内容物が付着したまま貯留シリンダ11の上方に復元移動することを防止し易い。
【0031】
液用シリンダ13及び空気用シリンダ16は、それぞれ円筒状に形成され、軸線Oと同軸に配置されている。図示の例では液用シリンダ13の上端開口部と空気用シリンダ16の下端開口部とが一体に連設され、液用シリンダ13及び空気用シリンダ16は一体に形成されている。
【0032】
詳細には、空気用シリンダ16は、有底筒状に形成され、その底部に液用シリンダ13が空気用シリンダ16の内部と連通した状態で連結されている。つまり、大径の空気用シリンダ16の下側に小径の液用シリンダ13が連設されている。
但し、液用シリンダ13と空気用シリンダ16とをそれぞれ別体に構成したうえで、例えば、両者を係止する等して繋げても構わない。
【0033】
空気用シリンダ16の上端開口部は、装着キャップ2の周壁部及び天壁部の内面にそれぞれ密着した状態で固定されている。これにより、液用シリンダ13及び空気用シリンダ16は、装着キャップ2から垂下した状態で容器本体Aの内部に配設されている。
【0034】
空気用シリンダ16の上端部は、パッキン30を介して容器本体Aの口部A1の開口端縁上に配置されている。また、空気用シリンダ16の上端部側には、該空気用シリンダ16を径方向に貫通し、空気用シリンダ16内と容器本体A内とを連通する第2空気孔31が形成されている。
液用シリンダ13の下端部には、容器本体A内の内容物を液用シリンダ13内に吸い上げるチューブ体32が取り付けられている。
【0035】
ステム3は、主に貯留シリンダ11内に上下動可能に収容された上ステム40と、主に空気用シリンダ16内及び液用シリンダ13内に上下動可能に収容された下ステム50と、を備えている。
【0036】
上ステム40は、軸線Oと同軸上に配設された筒状に形成され、装着キャップ2の挿通筒部10の内側に挿入されている。上ステム40の外径は、挿通筒部10の内径よりも小さく形成されている。これにより、上ステム40と挿通筒部10との間には、環状の隙間が形成されている。
【0037】
上ステム40の上端部には、吐出筒部5が上方に向けて突設されている。
吐出筒部5は、軸線Oと同軸上に配設され、図示の例では上ステム40と同径に形成されている。吐出筒部5は、貯留シリンダ11のガイド筒部21内に挿通され、ガイド筒部21によって上下動可能に支持されていると共に、ガイド筒部21よりも上方に突出している。
【0038】
上ステム40と吐出筒部5との接続部分には、その中央部分に貫通孔41が形成された仕切板42が形成されている。従って、上ステム40内と吐出筒部5内とは、貫通孔41を通じて互いに連通している。なお、貫通孔41は吐出筒部5の下端開口部として機能する。また、貫通孔41の内周面は、下方に向かうにしたがって漸次縮径した断面テーパ状に形成されている。
【0039】
上ステム40には、仕切板42よりも下方に位置する部分に上ステム40を径方向に貫通する流通孔43が周方向に間隔をあけて複数形成されている。
流通孔43は、上ステム40内と、貯留シリンダ11内(具体的には、貯留筒部20内)とを連通している。これにより、貯留シリンダ11内と上ステム40内とは、流通孔43を通じて連通している。
【0040】
吐出ピストン12は、上ステム40に一体的に形成されている。
吐出ピストン12は、貯留筒部20の内周面に対して上下摺動可能に接した吐出筒44と、上ステム40のうち流通孔43よりも下方に位置する部分から径方向外側に向かって突設され、吐出筒44に連結された環状の連結部45と、を備えている。
これにより、吐出ピストン12は、貯留筒部20の内周面に対して、その全周に亘って密に摺接している。
【0041】
吐出ピストン12は、上述のように上ステム40に一体的に形成されているので、上ステム40に連係して上下動する。従って、上ステム40と共に吐出ピストン12が下方移動すると、
図3に示すように貯留シリンダ11内には、吐出ピストン12の上方に位置するように貯留空間Sが画成される。これにより、貯留空間Sを利用して、上ステム40からの内容物を貯留シリンダ11内に貯留することが可能となる。
なお、吐出ピストン12は、上ステム40と共に上方に復元移動すると、貯留空間S内に貯留された内容物を貯留シリンダ11内から押し出すように、吐出筒部5内に移送させる(
図5参照)。
【0042】
図1及び
図2に示すように、上ステム40内には発泡部材17が配設されている。
発泡部材17は、流通孔43よりも下方に位置する部分に配設され、筒状のケーシング60と、ケーシング60内に装着された2つの発泡エレメント61と、を備えている。
【0043】
ケーシング60は、上側が大径部60a、下側が小径部60bとされた2段円筒状に形成されている。ケーシング60は、大径部60aが上ステム40の内側に嵌合されることで、上ステム40に一体に固定されている。小径部60bの外周面には、その下端から上方に延びて大径部60aの底部外表面に至り、さらにその径方向外側に向けて延在して開口した複数のケーシング溝62が形成されている。
【0044】
なお、上ステム40の内周面のうち、仕切板42とケーシング60との間に位置する部分には、径方向内側に突出すると共に周方向に間隔をあけて配置された複数の縦リブ47が形成されている。ケーシング60は、この縦リブ47によって上方への抜け止めがされている。
【0045】
発泡エレメント61は、筒体63の一端開口端に、所定の網目が形成されたメッシュ部材64が張設された構成とされ、上下に2段に重なった状態(粗さの異なるメッシュを重ねた状態)で大径部60aの内側に装着されている。
この際、2つの発泡エレメント61のうち、ケーシング60内の下側に位置する発泡エレメント61はメッシュ部材64が下側を向き、ケーシング60内の上側に位置する発泡エレメント61はメッシュ部材64が上側を向くように配置されている。
【0046】
下ステム50は、軸線Oと同軸上に配設された筒状に形成され、その上端部は発泡部材17におけるケーシング60の小径部60bに外嵌されている。これにより、上ステム40と下ステム50とは、発泡部材17を介して一体に連結されている。
【0047】
なお、上ステム40の内周面において、下ステム50の上端部に対して径方向に対向する部分には、上下方向に延在し、且つ下方に開口した縦溝51が周方向に間隔をあけて複数形成されている。縦溝51は、下ステム50の上方開口縁を径方向に跨いで、発泡部材17のケーシング60に形成された複数のケーシング溝62に連通している。
【0048】
また、上ステム40の内周面のうち、縦溝51よりも下方に位置する部分には、下方に向かうにしたがって漸次径方向外側に傾斜した環状のテーパ面52が形成されている。さらに、上ステム40のうち、テーパ面52よりも下方に延びた部分は、空気用ピストン15の後述する内筒71を径方向外側から囲み、且つ内筒71に対して摺接する外側摺接部53とされている。
【0049】
下ステム50には、液用ピストン14と発泡部材17との間に位置する部分に、径方向内側に向けて円環状の弁座54が突設されている。弁座54と発泡部材17との間には、弁座54に離反可能に着座する球状の液吐出弁55が設けられている。下ステム50の内部において、発泡部材17と弁座54との間の空間が気液混合室Rとされている。
【0050】
下ステム50の外周面において、空気用ピストン15の後述する内筒71が配設される部分には、上下方向に延在し、且つ上記縦溝51に連通するステム溝56が周方向に間隔をあけて複数形成されている。
下ステム50のステム溝56、上ステム40の縦溝51、及び発泡部材17のケーシング溝62は、空気用シリンダ16内と気液混合室R内とを連通する空気通路57を構成する。
【0051】
また、下ステム50の外周面には、複数のステム溝56の下端が位置する部分に、径方向外側に向けて張り出して、空気用ピストン15の内筒71の下端に下方から当接するフランジ状の当接部58が形成されている。
これにより、当接部58は、空気通路57を通した気液混合室R内と空気用シリンダ16内との連通を遮断している。
【0052】
空気用ピストン15は、軸線Oと同軸に配置された状態で、空気用シリンダ16内に上下摺動可能に配設されている。空気用ピストン15は、空気用シリンダ16の内側に配設された外筒70と、外筒70の内側に配置された内筒71と、外筒70の上端部と内筒71の外周面とを連結し、軸線O方向に段付き状に形成された連結板部72と、を備えている。
【0053】
内筒71は、上下に開口した筒状に形成され、その内側には下ステム50が上下動可能に挿入されている。内筒71の上端部には、上ステム40の外側摺接部53に摺接する内側摺接部73が内筒71の全周に亘って形成されている。外筒70の下端部には、空気用シリンダ16の内周面に摺接する環状の空気筒部74が形成されている。
【0054】
なお、内側摺接部73の上端縁と上ステム40のテーパ面52との間には、軸線O方向に隙間が形成されている。また、上ステム40の外側摺接部53の下端縁と連結板部72との間にも、軸線O方向に隙間が設けられている。
これにより、テーパ面52が内側摺接部73に対して接触するまで、空気用ピストン15に対する上ステム40の下方移動が許容されている。
【0055】
連結板部72には、空気用ピストン15の内部と外部とを連通する第3空気孔75が形成されている。内筒71の外周面には、第3空気孔75を開放自在に閉塞する筒状の外気導入弁76が嵌合されている。外気導入弁76は、連結板部72に対して離反自在に着座することで、第3空気孔75を開放自在に閉塞する可動弁76aを備えている。
空気筒部74は、後述する操作片114の押し下げ操作前、空気用シリンダ16に形成された第2空気孔31を径方向内側から閉塞している。
【0056】
液用ピストン14は、下ステム50の内側に嵌合された連結筒部80と、連結筒部80に接続されると共に、下ステム50よりも下方に配置され、且つ液用シリンダ13の内周面に摺接する液筒部81と、を備えている。
【0057】
液用ピストン14及び液用シリンダ13の内部には、上端部が中空逆円錐状に形成された上部弁体91とされ、下端部が液用シリンダ13内の下方開口部に着座及び離反可能な下部弁体92とされた棒状の弁部材90が設けられている。
【0058】
上部弁体91は、液用シリンダ13内と下ステム50内との連通及びその遮断を切替える切換弁とされ、液用ピストン14における連結筒部80の上方開口端に対して上方から離反自在に着座している。なお、液用ピストン14と液用シリンダ13との間には、コイルばね93が圧縮状態で配設されている。コイルばね93は、液用ピストン14を上方付勢状態で下方移動可能に支持している。
【0059】
なお、本実施形態では、貯留シリンダ11における貯留空間Sの内容積のうち、吐出ピストン12の下方移動に伴って増加する増加容積が、空気用シリンダ16の内容積のうち空気用ピストン15の下方移動に伴って減少する容積分以上の容積となるように、貯留シリンダ11は設計されている。
【0060】
皿体6は、吐出筒部5の上端開口部の内側に嵌合された連結筒部100と、連結筒部100の上端部から径方向外側に向かって延びた環状の皿本体101と、を備え、軸線Oと同軸に配設された状態で吐出筒部5に一体に装着されている。
連結筒部100の内側は、吐出筒部5内に連通する連通孔102とされている。皿本体101は、外径が装着キャップ2とほぼ同径となるように形成されている。
【0061】
図示の例では、皿本体101は、吐出筒部5の上端部から径方向外側に向かって延び、吐出筒部5の上方開口端上に接した環状の第1皿本体103と、第1皿本体103の外周縁部からさらに径方向外側に向かうに延びると共に、径方向外側に向かうにしたがって漸次上方に延びた第2皿本体104と、を備えている。
これにより第2皿本体104は、第1皿本体103の外周縁部から斜め上方に向けて僅かに湾曲している。従って、皿本体101は、連通孔102を通じて皿本体101の上面に吐出された内容物を零すことなく受け取り易い。
【0062】
吐出筒部5内には、吐出筒部5内とステム3内との連通及びその遮断を切替える弁体110が配設されている。
より具体的には、弁体110は、吐出筒部5に対する弁体110の下方移動時(すなわち、貯留シリンダ11に対するステム3の下方移動時)に、吐出筒部5内とステム3内との連通を遮断し、且つ吐出筒部5に対する弁体110の上方移動時(すなわち、上方へのステム3の復元移動時)に、吐出筒部5内とステム3内との連通を許容する。
【0063】
弁体110は、吐出筒部5内及び連結筒部100内に上下動可能に配設された弁本体111と、弁本体111の下方移動時に、弁本体111を上方に向けて復元変位自在に支持する弾性支持片(弾性支持部)112と、を備えている。
【0064】
弁本体111は、軸線Oと同軸上に配設され、その上端部が連通孔102よりも上方に突出し、且つ下端部が貫通孔41の上方に位置する軸部113と、軸部113の上端部に接続された操作片114と、軸部113の下端部に接続され、弁本体111の下方移動時に貫通孔41を上方から閉塞する閉塞部115と、を備えている。
【0065】
弾性支持片112は、軸部113から径方向外側に向けて突設されていると共に、周方向に間隔をあけて複数形成されている。弾性支持片112の外周縁部は、連結筒部100の上方開口端上に配置されている。
これにより、
図3に示すように、吐出筒部5に対して弁本体111が下方移動した際、弾性支持片112は外周縁部を基点として下方に向けて弾性変形する。そのため、弁本体111の下方移動を解除すると、弾性支持片112は復元変形して弁本体111を上方に向けて復元移動させる(
図5参照)。
【0066】
図2に示すように、操作片114は連通孔102よりも拡径し、且つ第1皿本体103よりも縮径した円板状に形成され、第1皿本体103との間に一定の隙間をあけた状態で第1皿本体103の上方に配置されている。
これにより、
図3に示すように、吐出筒部5に対して弁本体111を上記一定の隙間分、下方移動させた際、操作片114は第1皿本体103の上面に接触する。よってこれ以降、吐出筒部5に対する弁本体111の下方移動は規制される。
【0067】
図2に示すように、操作片114には、該操作片114を上下に貫通し、内容物を流通させる通過孔116が形成されている。図示の例では、通過孔116は周方向に間隔をあけて並び、且つ径方向にも間隔をあけて並ぶように複数形成されている。
【0068】
閉塞部115は、貫通孔41の内周面に対応するように、下方に向かうにしたがって漸次縮径した断面テーパ状の外周面を有する円板状に形成されている。閉塞部115は、上述した一定の隙間をあけた状態で貫通孔41の上方に配置されている。これにより、吐出筒部5に対して弁本体111を一定の隙間分、下方移動させた際に、
図3に示すように、閉塞部115は貫通孔41の内周面に密に接触して貫通孔41を閉塞する。
【0069】
図2に示すように、軸部113には、径方向外側に向かって突出する縦リブ117が周方向に間隔をあけて複数形成されている。図示の例では、縦リブ117は、弾性支持片112よりも下方に位置する部分から閉塞部115に至るまで軸線Oに沿って形成され、その外周縁部は連結筒部100の内周面に近接している。
【0070】
縦リブ117の外周縁部のうち連結筒部100の下方開口端よりも下方に位置する部分には、径方向外側に向けて突出し、連結筒部100の下方開口端に下方から接触する規制突起118が形成されている。これにより、これ以上の弁本体111の上方移動が規制されている。
【0071】
(吐出器の使用)
次に、上述したように構成された吐出器1を使用する場合について説明する。なお、液用シリンダ13内には容器本体A内から内容物が吸い上げられているものとする。
【0072】
内容物を吐出する場合には、
図4に示すように、皿本体101よりも上方に配設された操作片114を例えば指先で押下げ操作する。これにより、弾性支持片112を弾性変形させながら、吐出筒部5に対して弁本体111を下方移動させることができる。そして、操作片114が第1皿本体103の上面に接触するまで弁本体111を下方移動させると、閉塞部115の外周面が貫通孔41の内周面に密に接触して貫通孔41を閉塞する。これにより、吐出筒部5内と上ステム40内との連通を遮断することができる。
【0073】
また、操作片114が第1皿本体103の上面に接触するので、これ以降、操作片114の押下げ操作に伴って弁体110を介して吐出筒部5及び上ステム40を下方移動させることができる。よって、操作片114をさらに押下げ操作することで、上ステム40を下方移動させることができ、これに伴って、発泡部材17、下ステム50及び液用ピストン14が下方移動させることができる。
【0074】
上ステム40及び下ステム50が下方移動すると、上ステム40の外側摺接部53が空気用ピストン15の内筒71の内側摺接部73に摺動しながら、空気用ピストン15に対して下方移動する。そのため、空気用ピストン15に対して上ステム40及び下ステム50を下方移動させることができる。
【0075】
従って、下ステム50の下方移動に伴って、下ステム50の当接部58が空気用ピストン15における内筒71の下方開口端から下方に離間する。これにより、気液混合室R内と空気用シリンダ16内とを、空気通路57を通じて連通させることができる。このとき、外気導入弁76の可動弁76aは、空気用シリンダ16の連結板部72に下方から着座しており、第3空気孔75を閉塞している。
これらのことにより、空気用シリンダ16内の空気を、空気通路57を通して気液混合室R内に供給することができる。
【0076】
また、上述した過程において、液用ピストン14の下方移動に伴って弁部材90も下方移動する。そのため、弁部材90の下部弁体92が液用シリンダ13の下方開口部に着座して、下方開口部を閉塞する。また、液用ピストン14のさらなる下方移動によって、液用ピストン14の上端部が弁部材90の上部弁体91から下方に離反する。これにより、液用シリンダ13内と下ステム50内とが連通する。
【0077】
そして、操作片114のさらなる押し下げ操作によって上ステム40及び下ステム50が下方移動すると、空気用ピストン15における内筒71の内側摺接部73が上ステム40のテーパ面52によって押下げられる。
よって、これ以降、
図3に示すように、空気用シリンダ16内と気液混合室R内とを連通させた状態を維持したまま、空気用ピストン15を上ステム40と共に下方移動させることができる。また、液用ピストン14は、下ステム50と共に引き続き下方移動する。
【0078】
そして、液用ピストン14が液用シリンダ13内を下方移動することで、液用シリンダ13内の内圧が上昇するので、液吐出弁55を弁座54から離反させることができ、液用シリンダ13内の内容物を気液混合室R内に供給することができる。
【0079】
従って、気液混合室R内で内容物と空気とを合流させて、気液混合体にすることができる。すると、気液混合体は、小径部60bから発泡部材17の内部に流れ込んで発泡すると共に、2つの発泡エレメント61のメッシュ部材64を通過することで、きめの細かい所定の泡状となる。この泡状となった内容物は、流通孔43を通じて貯留シリンダ11内に供給される。
この際、上述のように、吐出筒部5内と上ステム40内との連通が閉塞部115によって遮断されているので、内容物を貯留シリンダ11内に確実に供給でき、貯留空間Sを利用して、貯留シリンダ11内に泡状の内容物を一旦貯留することができる。
【0080】
次いで、
図5に示すように、操作片114の押下げ操作を解除すると、コイルばね93の上方付勢力(弾性復元力)によって、液用ピストン14が押し上げられるので、液用ピストン14、下ステム50、上ステム40及び発泡部材17が上方に復元移動する。
その過程において、下ステム50の当接部58が空気用ピストン15の内筒71の下方開口端に対して下方から接触するので、これ以降、空気用ピストン15も上方に復元移動する。特に、当接部58が内筒71の下方開口端に接触することで、空気用シリンダ16内と気液混合室R内との連通が遮断される。
【0081】
そして、上ステム40の復元移動に伴って、吐出ピストン12が貯留シリンダ11内を上方移動するので、貯留シリンダ11内に貯留された泡状の内容物を貯留シリンダ11内から押し出す。
【0082】
一方、これと同時に、操作片114の押下げ操作の解除に伴って、弾性支持片112が復元変形して弁本体111を上方に向けて復元移動させるので、閉塞部115が吐出筒部5の貫通孔41内から上方に離間し、吐出筒部5内と上ステム40内とを連通させる。なお、弁本体111は、規制突起118が連結筒部100の下方開口端に対して下方から接触するまで上方移動する。
【0083】
このように、吐出ピストン12が泡状の内容物を貯留シリンダ11内から押し出しているときに、吐出筒部5内と上ステム40内とが連通するので、泡状の内容物を吐出筒部5内及び連通孔102内を通じて皿本体101の上面に吐出することができる。
【0084】
また、空気用ピストン15が上方移動することで、空気用シリンダ16内が減圧されて負圧状態となるので、外気導入弁76の可動弁76aが開弁して、第3空気孔75を開放する。これにより、第3空気孔75、装着キャップ2の挿通筒部10の内側、第1空気孔25及び空気溝24を通じて、空気用シリンダ16内に外気を導入することができる。
なお、空気用シリンダ16の内圧が吐出前の状態に戻ると、外気導入弁76の可動弁76aが閉弁して第3空気孔75を閉塞する。
【0085】
また、液用ピストン14が液用シリンダ13内を上方移動することで、液用シリンダ13内は減圧されて負圧状態となるので、チューブ体32を通じて、容器本体A内の内容物を液用シリンダ13内に吸い上げることができ、次回の吐出に備えることができる。
【0086】
なお、空気用ピストン15が下方移動してから、元の位置に復元移動するまでの間、
図3に示すように、第2空気孔31が開放されるので、容器本体A内は、第2空気孔31、装着キャップ2の挿通筒部10の内側、第1空気孔25及び空気溝24を通じて外部に連通する。そのため、容器本体A内の空気置換を行うことができ、容器本体A内から液用シリンダ13内に内容物を吸上げたとしても、容器本体A内が減圧されてしまうことを防止できる。従って、ステム3のスムーズな復元移動、及び内容物のスムーズな吐出を行うことができる。
【0087】
上述したように、本実施形態の吐出器1によれば、貯留シリンダ11内に泡状の内容物を一旦貯留できるので、操作片114を介してステム3を下方移動させたときに泡状の内容物が皿本体101に吐出されることを防止でき、その後、ステム3を上方に復元移動させたときに泡状の内容物を皿本体101に吐出させることができる。
【0088】
従って、操作片114から例えば指先を離した後に、泡状の内容物を皿本体101に吐出させることができるので、指先に泡状の内容物が付着し難い。また、貯留シリンダ11内に一旦貯留した内容物を皿本体101に吐出するので、ステム3から吐出された内容物を直接的に皿本体101に吐出する場合と比べて、内容物の勢いを抑制し易い。従って、泡状の内容物を零し難く、皿本体101に安定に吐出することができる。
【0089】
さらに、皿本体101に泡状の内容物を安定に吐出できるので、例えば泡状の内容物を任意の量だけ掬い取って使用することができる。従って、従来では困難であった使い方を行うことができ、非常に使い易く、利便性を向上することができる。
【0090】
また、皿本体101に吐出された泡状の内容物は、径方向に拡散して皿本体101の上面全体に亘って拡がると共に、操作片114の通過孔116を通じて操作片114の上面側にスムーズに移動する。
従って、操作片114によって泡状の内容物の流れが変更され難く、皿本体101から泡状の内容物がさらに零れ難くなる。従って、皿本体101の広範囲に亘って、内容物を安定して吐出させることができる。
【0091】
なお、本実施形態では、貯留シリンダ11における貯留空間Sの内容積のうち、吐出ピストン12の下方移動に伴って増加する増加容積が、空気用シリンダ16の内容積のうち空気用ピストン15の下方移動に伴って減少する容積分以上の容積とされているので、ステム3を下方移動させた際に、貯留シリンダ11の内容積を超える量の空気が気液混合室Rを経由して貯留シリンダ11内に供給されることを防止することができる。
従って、
図3に示すように、ステム3の下方移動時に、貯留シリンダ11内に泡状の内容物を確実に貯留できると共に、閉塞部115に過度な圧力が作用し難い。
【0092】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0093】
例えば、上記実施形態では、泡状の内容物を吐出する場合を例にあげて説明したが、泡状に限定されるものではなく、液状の内容物を吐出しても良い。この場合には、空気用シリンダ16、空気用ピストン15及び発泡部材17が不要となる。
【0094】
また、上記実施形態では、弾性支持片112の弾性復元変形を利用して弁本体111を上方に復元移動させたが、この場合に限定されるものではなく、例えば弁本体111と仕切板42との間にコイルばね等の弾性部材を配設して、弁本体111を復元変位自在に支持しても構わない。この場合であっても、同様の作用効果を奏功することができる。
【0095】
さらに、上記実施形態では、弁体110が操作片114、閉塞部115及び弾性支持片112を具備している場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、貯留シリンダ11に対するステム3の下方移動時に吐出筒部5内とステム3内との連通を遮断し、且つ上方へのステム3の復元移動時に吐出筒部5内とステム3内とを連通することができれば、弁体110をどのように構成しても構わない。
【0096】
但し、本実施形態のように構成した場合には、皿本体101よりも上方に突出する操作片114を利用して吐出操作を行えるので操作性を向上することができ、好ましい。また、閉塞部115が吐出筒部5の貫通孔41を閉塞することで、吐出筒部5内とステム3内との連通を遮断するので、ステム3の下方移動時に吐出筒部5内に内容物が流入することを抑制でき、貯留シリンダ11内に内容物をより積極的に供給させ易い。従って、貯留シリンダ11内に速やかに内容物を貯留することができ、好ましい。
【0097】
さらに、
図6に示すように、皿本体101との間に内容物を拡散させる拡散室R1を画成するように、操作片114を形成しても良い。
この場合の皿本体101は、連結筒部100の上端部から径方向外側に向けて環状に形成され、その外周縁部には下方に向けて延びたガイド筒120が全周に亘って形成されている。
【0098】
操作片114は、皿本体101を上方から覆うように形成され、その外周縁部には下方に向けて延び、ガイド筒120を径方向外側から囲む囲繞筒121が形成されている。これにより、操作片114は、囲繞筒121がガイド筒120によってガイドされながら安定して上下動可能とされている。また、皿本体101の上面と操作片114の下面との間に画成される空間が、拡散室R1とされている。
【0099】
このように構成されている場合には、ステム3の上方への復元移動に伴って皿本体101の上面に泡状の内容物を吐出すると、泡状の内容物は拡散室R1内で径方向に拡散しながら複数の通過孔116に達する。従って、複数の通過孔116からほぼ均等に操作片114の上面に泡状の内容物を吐出することができる。そのため、泡状の内容物がより零れ難くなる。
【0100】
なお、上述のように構成した場合には、泡状の内容物は必ず通過孔116を通過する。従って、通過孔116の通過時に泡状の内容物が造形片を成形するように、例えば通過孔116の形状や配置を工夫しても良い。
この場合には、泡状の内容物が通過孔116を通過することで造形片となって操作片114の上面に吐出される。これにより、操作片114上には、各通過孔116から吐出された造形片が組み合わされることで、立体的な造形物となった内容物が現れる。
このように、泡状の内容物を単に吐出するのではなく、立体的な造形物を象った状態で吐出させることができるので、内容物に意匠性や美観性を持たせることができ、付加価値を高めることができる。
【0101】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。