特許第6594275号(P6594275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594275
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】車両制御システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/40 20060101AFI20191010BHJP
   H04L 12/803 20130101ALI20191010BHJP
【FI】
   H04L12/40 B
   H04L12/803
【請求項の数】3
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-175883(P2016-175883)
(22)【出願日】2016年9月8日
(65)【公開番号】特開2018-42147(P2018-42147A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2018年6月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立オートモティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】藤本 欽也
【審査官】 野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−194682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/40
H04L 12/803
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接続される複数の制御装置と、
前記複数の制御装置を互いに接続する複数の通信ネットワークと、
を備え、
前記制御装置は、前記複数の通信ネットワークのうち他の通信ネットワークのいずれかよりも空いている通信ネットワークを介して通信を行うことが可能な通信装置を有し、
前記複数の制御装置のうちの一は第1の制御装置であり、
前記複数の制御装置のうちの前記第1の制御装置とは異なる一は第2の制御装置であり、
前記複数の通信ネットワークのうちの一は、第1のプロトコルに基づく第1の通信ネットワークであり、
前記複数の通信ネットワークのうちの前記第1の通信ネットワークとは異なる一は、第2のプロトコルに基づく第2の通信ネットワークであり、
前記第1の制御装置は、
車両用装置の第1の制御量を演算する第1の演算部と、
前記第1の制御量を前記第1の通信ネットワークを介して前記第2の制御装置へ送信及び受信する手段を有する第1の送受信部と、
前記第1の制御量を前記第2の通信ネットワークを介して前記第2の制御装置へ送信及び受信する手段を有する第2の送受信部と、
前記第1の通信ネットワークのバス占有率と前記第2の通信ネットワークのバス占有率を演算し大小を判定する第1の判定部と、
送信時に、前記第1の通信ネットワークあるいは前記第2の通信ネットワークのいずれかに、送信する通信ネットワークを切替えられる第1の切替え部と、
前記第1の送受信部が受信した第1の受信値と前記第2の送受信部が受信した第2の受信値を格納する第1のRAMと、
前記第1のRAMに格納された前記第1の受信値および前記第2の受信値から前記車両用装置の第2の制御量を演算する第2の演算部と、
を備え、
前記第2の制御装置は、
前記車両用装置の第3の制御量を演算する第3の演算部と、
前記第3の制御量を前記第1の通信ネットワークを介して前記第1の制御装置へ送信及び受信する手段を有する第3の送受信部と、
前記第3の制御量を前記第2の通信ネットワークを介して前記第1の制御装置へ送信及び受信する手段を有する第4の送受信部と、
前記第1の通信ネットワークのバス占有率と前記第2の通信ネットワークのバス占有率を演算し大小を判定する第2の判定部と、
送信時に、前記第1の通信ネットワークあるいは前記第2の通信ネットワークのいずれかに、送信する通信ネットワークを切替えられる第2の切替え部と、
前記第3の送受信部が受信した第3の受信値と前記第4の送受信部が受信した第4の受信値を格納する第2のRAMと、
前記第2のRAMに格納された前記第3の受信値および前記第4の受信値から前記車両用装置の第4の制御量を演算する第4の演算部と、
を備える、
ことを特徴とする車両制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両制御システムにおいて、
前記第1の制御装置は、
前記第1の通信ネットワークのバスの占有状態と非占有状態の切り替え回数と前記第2の通信ネットワークのバスの占有状態と非占有状態の切り替え回数の大小を判定する第5の判定部をさらに備える、
ことを特徴とする車両制御システム。
【請求項3】
請求項1に記載の車両制御システムであって、
前記第2の制御装置は、
前記第1の通信ネットワークのバスの占有状態と非占有状態の切り替え回数と前記第2の通信ネットワークのバスの占有状態と非占有状態の切り替え回数の大小を判定する第6の判定部をさらに備える、
ことを特徴とする車両制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載通信ネットワークでは、自動車に搭載された制御用コンピュータ(車両用制御装置)であるECU(Electronic Control Unit)が相互に情報通信を行っている(例えば、特開2009−154661号公報参照)。
【0003】
特開2009−154661号公報には、車両に搭載された電力機器の制御指令値を算出する第1制御装置と、前記第1制御装置と主通信線および副通信線により接続され、前記第1制御装置から前記制御指令値を受信して前記電力機器を制御する第2制御装置と、を備える冗長通信システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−154661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
断線等の通信不良対策として、特開2009−154661号公報に開示される技術のように、冗長系を設ける方法がある。特開2009−154661号公報に開示される技術では、データを冗長化して送信する場合、バス占有率が冗長化した分だけ増加する恐れがある。
【0006】
一方、エンジン制御装置などの車両用制御装置は、様々な車両用装置を制御している。例えば、エンジン制御装置は、アクセルセンサから出力された信号に基づいて目標スロットル開度を演算し、実スロットル開度が目標スロットル開度になるようにスロットルモータを制御する。車両用制御装置による制御は、車両の走行に影響を与えるため、制御の精度を向上、遅延を縮減することが要請される。
【0007】
本発明の目的は、制御精度を向上し、制御遅延を縮減することが可能な車両制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の目的を達成するために、車両制御システムにおいて、互いに接続される複数の制御装置と、前記複数の制御装置を互いに接続する複数の通信ネットワークと、を備え、前記制御装置は、前記複数の通信ネットワークのうち他の通信ネットワークのいずれかよりも空いている通信ネットワークを介して通信を行うことが可能な通信装置を有し、前記複数の制御装置のうちの一は第1の制御装置であり、前記複数の制御装置のうちの前記第1の制御装置とは異なる一は第2の制御装置であり、前記複数の通信ネットワークのうちの一は、第1のプロトコルに基づく第1の通信ネットワークであり、前記複数の通信ネットワークのうちの前記第1の通信ネットワークとは異なる一は、第2のプロトコルに基づく第2の通信ネットワークであり、前記第1の制御装置は、車両用装置の第1の制御量を演算する第1の演算部と、前記第1の制御量を前記第1の通信ネットワークを介して前記第2の制御装置へ送信及び受信する手段を有する第1の送受信部と、前記第1の制御量を前記第2の通信ネットワークを介して前記第2の制御装置へ送信及び受信する手段を有する第2の送受信部と、前記第1の通信ネットワークのバス占有率と前記第2の通信ネットワークのバス占有率を演算し大小を判定する第1の判定部と、送信時に、前記第1の通信ネットワークあるいは前記第2の通信ネットワークのいずれかに、送信する通信ネットワークを切替えられる第1の切替え部と、前記第1の送受信部が受信した第1の受信値と前記第2の送受信部が受信した第2の受信値を格納する第1のRAMと、前記第1のRAMに格納された前記第1の受信値および前記第2の受信値から前記車両用装置の第2の制御量を演算する第2の演算部と、を備え、前記第2の制御装置は、前記車両用装置の第3の制御量を演算する第3の演算部と、前記第3の制御量を前記第1の通信ネットワークを介して前記第1の制御装置へ送信及び受信する手段を有する第3の送受信部と、前記第3の制御量を前記第2の通信ネットワークを介して前記第1の制御装置へ送信及び受信する手段を有する第4の送受信部と、前記第1の通信ネットワークのバス占有率と前記第2の通信ネットワークのバス占有率を演算し大小を判定する第2の判定部と、送信時に、前記第1の通信ネットワークあるいは前記第2の通信ネットワークのいずれかに、送信する通信ネットワークを切替えられる第2の切替え部と、前記第3の送受信部が受信した第3の受信値と前記第4の送受信部が受信した第4の受信値を格納する第2のRAMと、前記第2のRAMに格納された前記第3の受信値および前記第4の受信値から前記車両用装置の第4の制御量を演算する第4の演算部と、を備える、ことを特徴とする。

【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、制御精度を向上し、制御遅延を縮減することが可能な車両制御システムを提供することができる。
【0010】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態によるエンジン制御装置、ハイブリッド制御装置を含む車両制御システムの構成を示すブロック図。
図2】本発明の第1の実施形態によるエンジン制御装置、ハイブリッド制御装置の構成を示すブロック図。
図3】本発明の第1の実施形態によるハイブリッド制御装置およびエンジン制御装置のバス占有率の算出のタイミングチャートの例を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態によるハイブリッド制御装置の処理のフローチャートの例を示す図。
図5】本発明の第1の実施形態によるハイブリッド制御装置の処理のフローチャートの例を示す図。
図6】本発明の第1の実施形態によるハイブリッド制御装置の処理のフローチャートの例を示す図。
図7】本発明の第1の実施形態によるエンジン制御装置の処理のフローチャートの例を示す図。
図8】本発明の第1の実施形態によるエンジン制御装置の処理のフローチャートの例を示す図。
図9】本発明の第1の実施形態によるエンジン制御装置の処理のフローチャートの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明の第1の実施形態によるエンジン制御装置及びハイブリッド制御装置の構成及び動作を説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
最初に、図1を用いて、車両制御システムのハードウェア構成を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態によるエンジン制御装置6、ハイブリッド制御装置10を含む車両制御システムの構成を示すブロック図である。
【0014】
本実施形態の車両制御システム300は、燃料の燃焼によってトルクを発生するエンジン1と、クラッチ機構2と、車輪3aの駆動軸3bに連結するモータ3と、モータ3を駆動するインバータ(電力変換装置)4と、バッテリ5と、アクセル開度を検出するアクセルセンサ11と、スロットル開度を検出するスロットルセンサ12と、スロットルモータ(スロットル装置)13と、インジェクター(燃料噴射装置)14と、点火装置15と、ブレーキ16と、ステアリング19と、エアバッグ20と、エンジン制御装置6と、クラッチ制御装置7と、モータ制御装置8と、バッテリ制御装置9と、電動パワーステアリング17と、エアバッグ制御装置18と、が搭載されて構成される。エンジン制御装置6は、スロットルセンサ12による検出結果であるスロットル開度を入力し、スロットルモータ13、インジェクター14および点火装置15を制御する。クラッチ制御装置7はクラッチ機構2を制御する。モータ制御装置8はインバータ4を制御することによってモータ3を制御する。バッテリ制御装置9はバッテリ5を制御する。電動パワーステアリング17は制御装置であってステアリング19を制御する。エアバッグ制御装置18はエアバッグ20を制御する。
【0015】
さらに、車両制御システム300には、上述の各制御装置6〜9、17および18に対して、指令を出すハイブリッド制御装置10が搭載される。各制御装置6〜10、17および18は、それぞれが不図示のCPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えて構成され、予め定めた制御プログラムにしたがって信号処理を行う。
【0016】
また、各制御装置6〜10、17および18は、互いに、通信線100および/または通信線200を介して種々の情報を送受信する。通信線100および通信線200は、多重通信線であり、CAN(Controller Area Network)プロトコルに基づくネットワークを構成する。通信線100および通信線200は、多重通信線に限られるものではない。
【0017】
通信線100は、主にハイブリッド制御に関わる制御装置を繋いでいるCANであり、例えば、ハイブリッド制御装置10、エンジン制御装置6、クラッチ制御装置7、モータ制御装置8、バッテリ制御装置9などが繋がっている。ハイブリッド制御とは、例えば、所定の燃費や運転性を実現するために、トルク配分を決定、指令することである。
【0018】
通信線200は、車両制御に関わる制御装置を繋いでいるCANであり、例えば、ハイブリッド制御装置10、エンジン制御装置6、電動パワーステアリング17、エアバッグ制御装置18などが繋がっている。車両制御とは、例えば、ステアリングの制御である。
【0019】
ハイブリッド制御装置10及びエンジン制御装置6は、通信線100および通信線200の2本の、目的が異なる通信線に繋がっている。
【0020】
エンジン制御装置6は、スロットルセンサ12からのスロットル開度などの入力に基づき、スロットルモータ13、インジェクター14、点火装置15を制御する。具体的には、目標スロットル開度や燃料噴射量、点火時期などが制御されることにより、運転状態に応じてエンジン1の出力が制御される。
【0021】
モータ3は、モータ(電動機)あるいはジェネレータ(発電機)として機能する。具体的には、モータ3は、加速時にはハイブリッド制御装置10からの信号に基づいてモータ(電動機)として機能し、制動時にはジェネレータ(発電機)として機能してバッテリ5に回生電力を供給し蓄電する。
【0022】
すなわち、インバータ4は、モータ制御装置8からの指令に基づきバッテリ5からの直流電力を交流電力に変換し、力行時に交流電力をモータ3に供給する。交流電力によりモータ3の固定子に回転磁界が形成され、モータ3の回転子が回転する。また、インバータ4は、回生時に、モータ制御装置8からの指令に基づきモータ3で発電された交流電力を直流電力に変換し、直流電力をバッテリ5に供給する。この直流電力によりバッテリ5が充電される。
【0023】
なお、バッテリ5に蓄積された電気エネルギは、モータ3用の電力として用いられるほか、不図示のDC−DCコンバータなどを介してエアコンなどの補機類の電力としても用いられる。
【0024】
次に、図2を用いて、本発明をハイブリッド制御装置10、エンジン制御装置6に適用した場合の構成の一例を説明する。図2は、本発明の第1の実施形態によるハイブリッド制御装置10、エンジン制御装置6の構成を示すブロック図である。
【0025】
ハイブリッド制御装置10とエンジン制御装置6はCAN通信で通信線100および通信線200を介して接続されている。ハイブリッド制御装置10とエンジン制御装置6の通信は、詳しくは後述するように、通信線100および通信線200のうち空いている方を介して行うことができる。空いているとは、詳しくは後述するように、例えば、バス占有率が低いことであり、バス占有時間のバラつき度合いが低いことである。
【0026】
ハイブリッド制御装置10は、演算部30と、バス占有率演算部31と、送受信部32と、送受信部33と、RAM34と、演算部35と、を備えて構成される。
【0027】
演算部30は、ハイブリッド制御装置10の外部からの値を入力として演算を行い、バス占有率演算部31に演算結果を出力する。外部からの入力値は、例えば、アクセルセンサ11からのアクセル開度などである。すなわち、演算部30は、外部からの入力値に基づいて、車両用装置の制御量(例えば、モータ3の制御量やバッテリ5の制御量など)を演算する。
【0028】
バス占有率演算部31は、演算部30の演算結果を入力とし、また、通信線100および通信線200のバス占有率、バス占有時間のバラつき度合を演算する。この演算の結果、通信線100および通信線200のうちバス占有率がより低い通信線に対する送受信部(通信線100であれば送受信部32、通信線200であれば送受信部33)に、演算部30の演算結果を出力する。すなわち、通信線100のバス占有率が通信線200のバス占有率より低い場合は、送受信部32へ演算部30の演算結果を出力する。通信線200のバス占有率が通信線100のバス占有率より低い場合は、送受信部33へ演算部30の演算結果を出力する。通信線100のバス占有率と通信線200のバス占有率が等しい場合は、バス占有時間のバラつき度合がより低い方の通信線の送受信部へ、演算部30の演算結果を出力する。すなわち、通信線100のバス占有時間のバラつき度合が通信線200のバス占有時間のバラつき度合より低い場合は、送受信部32へ演算部30の演算結果を出力する。通信線200のバス占有時間のバラつき度合が通信線100のバス占有時間のバラつき度合より低い場合は、送受信部33へ演算部30の演算結果を出力する。なお、バス占有時間のバラつき度合についての説明は後述する。
【0029】
送受信部32は、通信線100に対する送信部および受信部として機能する。
【0030】
送受信部32が送信部として機能する場合、バス占有率演算部31から出力される、演算部30の演算結果を入力とし、ID、演算部30の演算結果などを含むCANフレームを、通信線100を介してハイブリッド制御装置10の外部へ送信する。すなわち、送受信部32は、演算部30の演算結果をエンジン制御装置6の送受信部36へ送信する。
【0031】
送受信部32が受信部として機能する場合、ハイブリッド制御装置10の外部からの値を入力としており、通信線100による値を受信する。すなわち、送受信部32は、エンジン制御装置6の送受信部36から送信された値を、受信する。
【0032】
なお、CAN通信では、2本の通信線の電圧差により通信を行うため、外部ノイズの影響を受けにくい。
【0033】
一方、送受信部33は、通信線200に対する送信部および受信部として機能する。
【0034】
送受信部33が送信部として機能する場合、バス占有率演算部31から出力される、演算部30の演算結果を入力とし、ID、演算部30の演算結果などを含むCANフレームを、通信線200を介してハイブリッド制御装置10の外部へ送信する。すなわち、送受信部33は、演算部30の演算結果をエンジン制御装置6の送受信部37へ送信する。
【0035】
送受信部33が受信部として機能する場合、ハイブリッド制御装置10の外部からの値を入力としており、通信線200による値を受信する。すなわち、送受信部33は、エンジン制御装置6の送受信部37から送信された値を、受信する。
【0036】
RAM34は不揮発性メモリであり、CANフレームのID毎に領域を割り当てられる。すなわち、RAM34には、受信したCANフレームのIDに対応する領域に受信値が格納される。CANフレームのID毎の領域は、例えば、グローバル変数である。演算部35は、RAM34の、受信したCANフレームのIDに対応する領域を参照して入力値とし、ハイブリッド制御装置10の外部への出力値(制御用パラメータ)を演算する。外部への出力値は、例えば、不図示のDC−DCコンバータへの制御信号などである。ハイブリッド制御装置10内の各構成は、RAM34に格納されている内容を参照可能である。
【0037】
エンジン制御装置6は、送受信部36と、送受信部37と、RAM38と、演算部39と、バス占有率演算部40と、演算部41と、を備えて構成される。
【0038】
送受信部36は、通信線200に対する送信部および受信部として機能する。
【0039】
送受信部36が受信部として機能する場合、エンジン制御装置6の外部からの値を入力としており、通信線100による値を受信する。すなわち、送受信部36は、ハイブリッド制御装置10の送受信部32から送信された値を、受信する。
【0040】
送受信部36が送信部として機能する場合、バス占有率演算部40から出力される、演算部41の演算結果を入力とし、ID、演算部41の演算結果などを含むCANフレームを、通信線100を介してエンジン制御装置6の外部へ送信する。すなわち、送受信部36は、演算部41の演算結果をハイブリッド制御装置10の送受信部32へ送信する。
【0041】
一方、送受信部37は、通信線200に対する送信部および受信部として機能する。
【0042】
送受信部37が受信部として機能する場合、エンジン制御装置6の外部からの値を入力としており、通信線200による値を受信する。すなわち、送受信部37は、ハイブリッド制御装置10の送受信部33から送信された値を、受信する。
【0043】
送受信部37が送信部として機能する場合、バス占有率演算部40から出力される、演算部41の演算結果を入力とし、ID、演算部41の演算結果などを含むCANフレームを、通信線200を介してエンジン制御装置6の外部へ送信する。すなわち、送受信部37は、演算部41の演算結果をハイブリッド制御装置10の送受信部33へ送信する。
【0044】
RAM38は不揮発性メモリであり、CANフレームのID毎に領域を割り当てられる。すなわち、RAM38には、受信したCANフレームのIDに対応する領域に受信値が格納される。CANフレームのID毎の領域は、例えば、グローバル変数である。演算部39は、RAM38の、受信したCANフレームのIDに対応する領域を参照して入力値とし、エンジン制御装置6の外部への出力値(制御用パラメータ)を演算する。外部への出力値は、例えば、スロットルモータ13へのスロットル開度などである。エンジン制御装置6内の各構成は、RAM38に格納されている内容を参照可能である。
【0045】
バス占有率演算部40は、演算部41の演算結果を入力とし、また、通信線100および通信線200のバス占有率、バス占有時間のバラつき度合を演算する。この演算の結果、通信線100および通信線200のうちバス占有率がより低い通信線に対する送受信部(通信線100であれば送受信部36、通信線200であれば送受信部37)に、演算部41の演算結果を出力する。すなわち、通信線100のバス占有率が通信線200のバス占有率より低い場合は、送受信部36へ演算部41の演算結果を出力する。通信線200のバス占有率が通信線100のバス占有率より低い場合は、送受信部37へ演算部41の演算結果を出力する。通信線100のバス占有率と通信線200のバス占有率が等しい場合は、バス占有時間のバラつき度合がより低い方の通信線の送受信部へ、演算部41の演算結果を出力する。すなわち、通信線100のバス占有時間のバラつき度合が通信線200のバス占有時間のバラつき度合より低い場合は、送受信部36へ演算部41の演算結果を出力する。通信線200のバス占有時間のバラつき度合が通信線100のバス占有時間のバラつき度合より低い場合は、送受信部37へ演算部41の演算結果を出力する。
【0046】
演算部41は、エンジン制御装置6の外部からの値を入力として演算を行い、バス占有率演算部40に演算結果を出力する。外部からの入力値は、例えば、スロットルセンサ12からのスロットル開度などである。
【0047】
ここで、ハイブリッド制御装置10は、制御用パラメータをCANの通信ネットワーク(通信線100を用いた通信ネットワークおよび/または通信線200を用いた通信ネットワーク)を介して他の各制御装置(6〜9、17、および18)に送信するパラメータ送信部として機能する。
【0048】
ここで、ハイブリッド制御装置10(バス占有率演算部31)は、通信線100のバス占有率と通信線200のバス占有率を演算し大小を判定する判定部として機能する。
【0049】
また、ハイブリッド制御装置10(バス占有率演算部31、送受信部32、送受信部33)は、送信時に、通信線100あるいは通信線200のいずれかに、送信する通信線を切替えられる切替え部として機能する。
【0050】
ここで、エンジン制御装置6は、制御用パラメータをCANの通信ネットワーク(通信線100を用いた通信ネットワークおよび/または通信線200を用いた通信ネットワーク)を介して他の制御装置(7〜10、17〜18)に送信するパラメータ送信部として機能する。
【0051】
ここで、エンジン制御装置6(バス占有率演算部40)は、通信線100のバス占有率と通信線200のバス占有率を演算し大小を判定する判定部として機能する。
【0052】
また、エンジン制御装置6(バス占有率演算部40、送受信部36、送受信部37)は、送信時に、通信線100あるいは通信線200のいずれかに、送信する通信線を切替えられる切替え部として機能する。
【0053】
ここで、図3を用いて、バス占有率の算出について説明する。図3は、本発明の第1の実施形態によるハイブリッド制御装置10およびエンジン制御装置6のバス占有率の算出のタイミングチャートの例である。
【0054】
ハイブリッド制御装置10のバス占有率演算部31やエンジン制御装置6のバス占有率演算部40によるバス占有率の算出は、CANフレームをハイブリッド制御装置10やエンジン制御装置6の外部へ送信するタイミングで実施する。すなわち、ハイブリッド制御装置10におけるバス占有率の算出は、CANフレームをハイブリッド制御装置10の外部へ送信するタイミングで実施する。エンジン制御装置6におけるバス占有率の算出は、CANフレームをエンジン制御装置6の外部へ送信するタイミングで実施する。
【0055】
バス占有率は、単位時間当たりに通信データがバスをどれだけ占有しているかということになるため、CANフレームをハイブリッド制御装置10やエンジン制御装置6の外部へ送信するタイミングから単位時間分過去までに、いずれかのCANフレームがバスを使用していた時間から算出することができる。このバス占有率の算出は、CANフレーム送信毎に実施することとし、例えば、複数のCANフレームを続けて送信する場合、各々のCANフレーム1個の送信毎にバス占有率を算出する。
【0056】
なお、バス占有率は、次式によって算出する。
バス占有率[%]≒バス占有時間/単位時間×100
ここで、バス占有時間とは、単位時間中にいずれかのCANフレームがバスを使用している時間である。単位時間とは任意に設定する時間であり、本実施形態では、CANネットワーク上のCANフレームの周期が概ね100ミリ秒以内と想定し、ほとんどのCANフレームが1回は送受信される100ミリ秒程度に設定される。
【0057】
ここで、バス占有時間のバラつき度合とは、単位時間中に発生した「バス占有時間」と非「バス占有時間」(いずれのCANフレームもバスを使用していない時間)の切り替わり回数である。すなわち、いずれかのCANフレームがバスを使用している状態と、いずれのCANフレームもバスを使用していない状態の、相互の遷移回数である。単位時間当たりのこの遷移回数が多いほど、バス占有時間が「バラついている」と言える。すなわち、単位時間当たりのこの遷移回数が多いほど、バス占有時間のバラつき度合が高い。
【0058】
次に、図4を用いて、ハイブリッド制御装置10の動作を説明する。図4は、本発明の第1の実施形態によるハイブリッド制御装置10の処理を示すフローチャートの例である。
【0059】
ステップS10では、演算部30は、ハイブリッド制御装置10の外部からの値を入力とし、制御値(制御量)を演算する。
【0060】
ステップS11では、バス占有率演算部31は、通信線100および通信線200のバス占有率を比較する。通信線100のバス占有率が通信線200のバス占有率より低いかが真の場合は、ステップS12に処理を進める。偽の場合は、ステップS13に処理を進める。
【0061】
ステップS12では、送受信部32は、バス占有率演算部31から出力される、演算部30の演算結果を入力とし、演算部30の演算結果(制御値)をエンジン制御装置6の送受信部36へ、CAN通信で通信線100を介して送信する。
【0062】
ステップS13では、バス占有率演算部31は、通信線100および通信線200のバス占有率を比較する。通信線200のバス占有率が通信線100のバス占有率より低いかが真の場合は、ステップS14に処理を進める。偽の場合は、ステップS15に処理を進める。
【0063】
ステップS14では、送受信部33は、バス占有率演算部31から出力される、演算部30の演算結果を入力とし、演算部30の演算結果(制御値)をエンジン制御装置6の送受信部37へ、CAN通信で通信線200を介して送信する。
【0064】
ステップS15では、通信線100および通信線200のバス占有時間のバラつき度合を比較する。通信線100のバス占有時間のバラつき度合が、通信線200のバス占有時間のバラつき度合より低いかが真の場合は、ステップS16に処理を進める。偽の場合は、ステップS17に処理を進める。
【0065】
ステップS16は、ステップS12と同一の処理である。ステップS17は、ステップS14と同一の処理である。
【0066】
なお、図4に示した処理では、複数の通信ネットワーク(通信線100を用いた通信ネットワーク、通信線200を用いた通信ネットワーク)のバス占有率が等しくない場合には、複数の通信ネットワークのうちバス占有率が低い方を介して通信を行い、複数の通信ネットワークのバス占有率が等しい場合には、複数の通信ネットワークのうちバス占有時間のバラつき度合いが低い方を介して通信を行うようにしたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、複数の通信ネットワークのうちバス占有率が低い方を介して通信を行い、複数の通信ネットワークのバス占有率が等しい場合には予め定めた通信ネットワークを介して通信を行うようにしてもよいし、複数の通信ネットワークのうちバス占有時間のバラつき度合いが低い方を介して通信を行い、複数の通信ネットワークのバス占有時間のバラつき度合いが等しい場合には複数の通信ネットワークのうちバス占有率が低い方を介して通信を行うようにしてもよいし、複数の通信ネットワークのうちバス占有時間のバラつき度合いが低い方を介して通信を行い、複数の通信ネットワークのバス占有時間のバラつき度合いが等しい場合には予め定めた通信ネットワークを介して通信を行うようにしてもよいし、これらの組合せであってもよい。
【0067】
次に、図5を用いて、ハイブリッド制御装置10の動作を説明する。図5は、本発明の第1の実施形態によるハイブリッド制御装置10の通信線100を介した受信処理を示すフローチャートの例である。
【0068】
ステップS20では、送受信部32は、エンジン制御装置6の送受信部36から受信値を受信する。
【0069】
ステップS21では、送受信部32は、RAM34の、受信したCANフレームのIDに対応する領域に、受信値を格納する。
【0070】
ステップS22では、演算部35は、RAM34の、CANフレームのIDに対応する領域を参照して受信値を入力とし、ハイブリッド制御装置10の外部への出力値を演算する。
【0071】
次に、図6を用いて、ハイブリッド制御装置10の動作を説明する。図6は、本発明の第1の実施形態によるハイブリッド制御装置10の通信線200を介した受信処理を示すフローチャートの例である。
【0072】
ステップS30では、送受信部33は、エンジン制御装置6の送受信部37から受信値を受信する。
【0073】
ステップS31では、送受信部33は、RAM34の、受信したCANフレームのIDに対応する領域に、受信値を格納する。
【0074】
ステップS32では、演算部35は、RAM34の、CANフレームのIDに対応する領域を参照して受信値を入力とし、ハイブリッド制御装置10の外部への出力値を演算する。
【0075】
次に、図7を用いて、エンジン制御装置6の動作を説明する。図7は、本発明の第1の実施形態によるエンジン制御装置6の通信線100を介した受信処理を示すフローチャートの例である。
【0076】
ステップS40では、送受信部36は、ハイブリッド制御装置10の送受信部32から受信値を受信する。
【0077】
ステップS41では、送受信部36は、RAM38の、受信したCANフレームのIDに対応する領域に、受信値を格納する。
【0078】
ステップS42では、演算部39は、RAM38の、CANフレームのIDに対応する領域を参照して受信値を入力とし、エンジン制御装置6の外部への出力値を演算する。
【0079】
次に、図8を用いて、エンジン制御装置6の動作を説明する。図8は、本発明の第1の実施形態によるエンジン制御装置6の通信線200を介した受信処理を示すフローチャートの例である。
【0080】
ステップS50では、送受信部37は、ハイブリッド制御装置10の送受信部33から受信値を受信する。
【0081】
ステップS51では、送受信部37は、RAM38の、受信したCANフレームのIDに対応する領域に、受信値を格納する。
【0082】
ステップS52では、演算部39は、RAM38の、CANフレームのIDに対応する領域を参照して受信値を入力とし、エンジン制御装置6の外部への出力値を演算する。
【0083】
次に、図9を用いて、エンジン制御装置6の動作を説明する。図9は、本発明の第1の実施形態によるエンジン制御装置6の処理を示すフローチャートの例である。
【0084】
ステップS60では、演算部41は、エンジン制御装置6の外部からの値を入力とし、制御値(制御量)を演算する。
【0085】
ステップS61では、バス占有率演算部40は、通信線100および通信線200のバス占有率を比較する。通信線100のバス占有率が通信線200のバス占有率より低いかが真の場合は、ステップS62に処理を進める。偽の場合は、ステップS63に処理を進める。
【0086】
ステップS62では、送受信部36は、バス占有率演算部40から出力される、演算部41の演算結果を入力とし、演算部41の演算結果(制御値)をハイブリッド制御装置10の送受信部32へ、CAN通信で通信線100を介して送信する。
【0087】
ステップS63では、バス占有率演算部40は、通信線100および通信線200のバス占有率を比較する。通信線200のバス占有率が通信線100のバス占有率より低いかが真の場合は、ステップS64に処理を進める。偽の場合は、ステップS65に処理を進める。
【0088】
ステップS64では、送受信部37は、バス占有率演算部40から出力される、演算部41の演算結果を入力とし、演算部41の演算結果(制御値)をハイブリッド制御装置10の送受信部33へ、CAN通信で通信線200を介して送信する。
【0089】
ステップS65では、通信線100および通信線200のバス占有時間のバラつき度合を比較する。通信線100のバス占有時間のバラつき度合が、通信線200のバス占有時間のバラつき度合より低いかが真の場合は、ステップS66に処理を進める。偽の場合は、ステップS67に処理を進める。
【0090】
ステップS66は、ステップS62と同一の処理である。ステップS67は、ステップS64と同一の処理である。
【0091】
つまり、ハイブリッド制御装置10から、同一のIDであるCANフレームを異なる通信線で受信した場合でも、RAM38の、CANフレームのIDに対応する領域に受信値を格納することで、演算部39から受信値を参照することを可能とする。
【0092】
上記の方法により、通信線100および通信線200のうちバス占有率が低い方を選択して、通信経路を選択可能となることで、送信周期の短縮が可能となる。通信線100および通信線200のうちバス占有時間のバラつき度合が低い方を選択して、通信経路を選択可能となることで、送信待ちとなる可能性の低減が可能となる。
【0093】
例えば、通信速度が500KbpsのCAN通信において、10ミリ秒の送信周期でデータフィールドが8バイトのデータを冗長化して送信した場合、バス占有率が約2%上昇する。バス占有率が低い方を選択して、通信経路を選択して送信した場合、バス占有率の増加は1%に抑えられる。改善した1%分で、例えば100ミリ秒送信周期のデータフィールドが8バイトのデータの場合、送信周期を100ミリ秒から約16.67ミリ秒に短縮可能であり、約83%短縮可能となる。
【0094】
なお、図9に示した処理では、複数の通信ネットワーク(通信線100を用いた通信ネットワーク、通信線200を用いた通信ネットワーク)のバス占有率が等しくない場合には、複数の通信ネットワークのうちバス占有率が低い方を介して通信を行い、複数の通信ネットワークのバス占有率が等しい場合には、複数の通信ネットワークのうちバス占有時間のバラつき度合いが低い方を介して通信を行うようにしたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、複数の通信ネットワークのうちバス占有率が低い方を介して通信を行い、複数の通信ネットワークのバス占有率が等しい場合には予め定めた通信ネットワークを介して通信を行うようにしてもよいし、複数の通信ネットワークのうちバス占有時間のバラつき度合いが低い方を介して通信を行い、複数の通信ネットワークのバス占有時間のバラつき度合いが等しい場合には複数の通信ネットワークのうちバス占有率が低い方を介して通信を行うようにしてもよいし、複数の通信ネットワークのうちバス占有時間のバラつき度合いが低い方を介して通信を行い、複数の通信ネットワークのバス占有時間のバラつき度合いが等しい場合には予め定めた通信ネットワークを介して通信を行うようにしてもよいし、これらの組合せであってもよい。
【0095】
上記実施形態では、通信装置が2つある(送受信部32および33の2つ、送受信部36および37の2つ)例を説明したが、これに限定せず、通信装置が3つ以上の構成に本発明を適用してもよい。通信装置が3つ以上の場合、それに応じて通信線も3つ以上になる。なお、通信装置が3つ以上すなわち3つ以上の通信ネットワークを備える構成においては、例えば、3つ以上の通信ネットワークのうちバス占有率が最も低い通信ネットワークを介して通信を行うようにしてもよいし、他の通信ネットワークのいずれかよりもバス占有率が低いことを最初に見つけた通信ネットワークを介して通信を行うようにしてもよい。
【0096】
上記実施形態では、通信装置がCAN通信を行う例を説明したが、これに限定せず、通信装置が例えば、LIN(Local Interconnect Network)、FlexRay、MOST(Media Oriented Systems Transport)、PLC(Power Line Communication)などの如何なるプロトコルで通信を行うものであってもよいし、複数の通信装置のそれぞれが異なるプロトコルで通信を行う構成に本発明を適用してもよい。
【0097】
上記実施形態では、通信装置が有線の例を説明したが、これに限定せず、通信装置が無線である構成に本発明を適用してもよい。
【0098】
以上説明したように、本実施形態によれば、冗長にデータを送信しない分、バス占有率の増加を抑えられる。バス占有率の増加を抑えた分、ハイブリッド制御装置10から送信する所定のデータの送信周期を短くすることで、制御に必要なパラメータをより細かい間隔で送信可能となり、高精度の制御が可能となり、精度の向上が実現され、また、制御遅延の縮減を実現できる。制御量は、例えばブレーキスイッチへの信号である。
【0099】
更に、本実施形態によれば、片側の通信線が断線した場合であっても、通信経路の切替えによってデータ送信が可能となる。すなわち、通信線100あるいは通信線200のいずれかが断線等で通信不能となった場合であっても、通信可能な通信線を用いてハイブリッド制御装置10からエンジン制御装置6へのデータ送信が可能となる。
【0100】
(第1の変形例)
バス占有率演算部31およびバス占有率演算部40は、送信先に決定した通信線が、他のCANフレームの送信中である場合、別の通信線に送信先を切り替えてもよい。
【0101】
本変形例によれば、送信先に決定した通信線が、他のCANフレームの送信中であっても、通信線を切り替えて送信することが可能となる。これにより、通信効率が向上する。
【0102】
(第2の変形例)
バス占有率演算部31およびバス占有率演算部40は、通信線100および通信線200のバス占有率の差が所定値以内の場合、予め定めた優先度に従って、送信先を選択してもよい。
【0103】
ここで、所定値とは、例えば1%である。優先度とは、例えば通信線の用途の重要さ等を考慮して定めた指標である。本変形例では、通信線100の用途がより重要であり優先度が高く、バス占有率を低減したい通信線であると想定する。この場合、バス占有率の差が1%以内の場合、優先度のより低い通信線である通信線200が送信先に選択される。
【0104】
本変形例によれば、優先度の高い通信線のバス占有率の上昇を抑えることが可能となる。これにより、通信の信頼性が向上する。
【0105】
なお、上記第1の実施形態では、エンジン制御装置6とハイブリッド制御装置10との間の通信の例を説明したが、他の制御装置、例えばモータ制御装置8、バッテリ制御装置9、クラッチ制御装置7、電動パワーステアリング17等の通信に適用してもよい。
【0106】
<付記1>
なお、以上説明した本発明は、
1.
それぞれ接続される複数の制御装置(例えば、エンジン制御装置6、クラッチ制御装置7、モータ制御装置8、バッテリ制御装置9、ハイブリッド制御装置10、電動パワーステアリング17、エアバッグ制御装置18)と、
前記制御装置をそれぞれ接続する複数の通信ネットワーク(例えば、通信線100を用いた通信ネットワーク、通信線200を用いた通信ネットワーク)と、
を備え、
前記制御装置は、前記複数の通信ネットワークのうちバス占有率が低い方を介して通信を行うように構成される、
車両制御システム、としたので、
・制御精度を向上し、制御遅延を縮減することが可能な車両制御システムを提供することができる。
・バス占有率が低い方の通信ネットワークを用いることで、制御精度を向上し、制御遅延を縮減することが可能となる。
【0107】
また本発明は、
2.
第1の制御装置(例えば、エンジン制御装置6、クラッチ制御装置7、モータ制御装置8、バッテリ制御装置9、ハイブリッド制御装置10、電動パワーステアリング17、エアバッグ制御装置18)と、
前記第1の制御装置と接続される第2の制御装置(例えば、エンジン制御装置6、クラッチ制御装置7、モータ制御装置8、バッテリ制御装置9、ハイブリッド制御装置10、電動パワーステアリング17、エアバッグ制御装置18)と、
前記第1の制御装置及び前記第2の制御装置と、をそれぞれ接続する複数の通信ネットワーク(例えば、通信線100を用いた通信ネットワーク、通信線200を用いた通信ネットワーク)と、
を備え、
前記第1の制御装置は、前記複数の通信ネットワークのうちバス占有率が低い方を介して通信を行うように構成される、
車両制御システム、とした、としたので、
・制御精度を向上し、制御遅延を縮減することが可能な車両制御システムを提供することができる。
・バス占有率が低い方の通信ネットワークを用いることで、制御精度を向上し、制御遅延を縮減することが可能となる。
【0108】
また本発明は、
3.
2.に記載の車両制御システムであって、
前記第1の制御装置は、前記複数の通信ネットワークのバス占有率を演算し大小を判定するバス占有率判定部(例えば、バス占有率演算部31、バス占有率演算部40)を備える、
車両制御システム、としたので、
・バス占有率判定部によって、各通信ネットワークのバス占有率が演算され、バス占有率が低い方の通信ネットワークを求めることができる。
【0109】
また本発明は、
4.
2.に記載の車両制御システムであって、
前記第1の制御装置は、前記複数の通信ネットワークのバス占有時間のバラつき度合を演算し大小を判定するバラつき度合判定部(例えば、バス占有率演算部31、バス占有率演算部40)を備える、
車両制御システム、とした、としたので、
・バラつき度合判定部によって、各通信ネットワークのバス占有時間のバラつき度合が演算され、このバラつき度合に基づいて、使用する通信ネットワークを決定することができ、制御精度を向上し、制御遅延を縮減することが可能となる。
【0110】
また本発明は、
5.
2.に記載の車両制御システムであって、
前記第1の制御装置は、前記複数の通信ネットワークのバス占有率の差が所定値以内の場合、通信を行う通信ネットワークを、予め定めた優先度に従って選択するように構成される、
車両制御システム、とした、ので、
・バス占有率が高くても優先度が低い方の通信ネットワークを使用することで、優先度の高い通信ネットワークのバス占有率の上昇を抑えることが可能となり、通信の信頼性が向上する。
【0111】
また本発明は、
6.
車両用装置の第1の制御量を演算する第1の演算部(例えば、演算部30、演算部41)と、
前記第1の制御量を第1のプロトコルに基づく第1の通信ネットワーク(例えば、通信線100を用いた通信ネットワーク、通信線200を用いた通信ネットワーク)を介して第2の制御装置へ送信及び受信する手段を有する第1の送受信部(例えば、送受信部32、送受信部33、送受信部36、送受信部37)と、
前記第1の制御量を第2のプロトコルに基づく第2の通信ネットワーク(例えば、通信線100を用いた通信ネットワーク、通信線200を用いた通信ネットワーク)を介して前記第2の制御装置へ送信及び受信する手段を有する第2の送受信部(例えば、送受信部32、送受信部33、送受信部36、送受信部37)と、
前記第1のプロトコルに基づく前記第1の通信ネットワークのバス占有率と前記第2のプロトコルに基づく前記第2の通信ネットワークのバス占有率を演算し大小を判定する第1の判定部(例えば、バス占有率演算部31、バス占有率演算部40)と、
送信時に、前記第1の通信ネットワークあるいは前記第2の通信ネットワークのいずれかに、送信する通信ネットワークを切替えられる第1の切替え部(例えば、バス占有率演算部31、送受信部32、送受信部33、バス占有率演算部40、送受信部36、送受信部37)と、
前記第1の送受信部が受信した第1の受信値と前記第2の送受信部が受信した第2の受信値を格納する第1のRAM(例えば、RAM34、RAM38)と、
前記第1のRAMに格納された前記第1の受信値および第2の受信値から前記車両用装置の第2の制御量を演算する第2の演算部(例えば、演算部35、演算部39)と、
を備える第1の制御装置(例えば、エンジン制御装置6、クラッチ制御装置7、モータ制御装置8、バッテリ制御装置9、ハイブリッド制御装置10、電動パワーステアリング17、エアバッグ制御装置18)と、
前記車両用装置の第3の制御量を演算する第3の演算部(例えば、演算部30、演算部41)と、
前記第3の制御量を前記第1のプロトコルに基づく前記第1の通信ネットワークを介して前記第1の制御装置へ送信及び受信する手段を有する第3の送受信部(例えば、送受信部32、送受信部33、送受信部36、送受信部37)と、
前記第3の制御量を前記第2のプロトコルに基づく前記第2の通信ネットワークを介して前記第1の制御装置へ送信及び受信する手段を有する第4の送受信部(例えば、送受信部32、送受信部33、送受信部36、送受信部37)と、
前記第1のプロトコルに基づく前記第1の通信ネットワークのバス占有率と前記第2のプロトコルに基づく前記第2の通信ネットワークのバス占有率を演算し大小を判定する第2の判定部(例えば、バス占有率演算部31、バス占有率演算部40)と、
送信時に、前記第1の通信ネットワークあるいは前記第2の通信ネットワークのいずれかに、送信する通信ネットワークを切替えられる第2の切替え部(例えば、バス占有率演算部31、送受信部32、送受信部33、バス占有率演算部40、送受信部36、送受信部37)と、
前記第3の送受信部が受信した第3の受信値と前記第4の送受信部が受信した第4の受信値を格納する第2のRAM(例えば、RAM34、RAM38)と、
前記第2のRAMに格納された前記第3の受信値および第4の受信値から前記車両用装置の第4の制御量を演算する第4の演算部(例えば、演算部35、演算部39)と、
を備える第2の制御装置(例えば、エンジン制御装置6、クラッチ制御装置7、モータ制御装置8、バッテリ制御装置9、ハイブリッド制御装置10、電動パワーステアリング17、エアバッグ制御装置18)と、
を含む、
ことを特徴とする車両制御システム、としたので、
・制御精度を向上し、制御遅延を縮減することが可能な車両制御システムを提供することができる。
・バス占有率の大小を判定し、第1の通信ネットワークと第2の通信ネットワークとを切り替えて用いることで、制御精度を向上し、制御遅延を縮減することが可能となる。
【0112】
また本発明は、
7.
6.に記載の車両制御システムであって、
前記第1の制御装置は、
前記第1のプロトコルに基づく前記第1の通信ネットワークのバスの占有状態と非占有状態の切り替え回数と前記第2のプロトコルに基づく前記第2の通信ネットワークのバスの占有状態と非占有状態の切り替え回数の大小を判定する第5の判定部(例えば、バス占有率演算部31、バス占有率演算部40)をさらに備える、
ことを特徴とする車両制御システム、としたので、
・第1の制御装置が、バスの占有状態と非占有状態の切り替え回数の大小を判定し、第1の通信ネットワークと第2の通信ネットワークとを切り替えて用いることで、制御精度を向上し、制御遅延を縮減することが可能となる。
【0113】
また本発明は、
8.
6.に記載の車両制御システムであって、
前記第2の制御装置は、
前記第1のプロトコルに基づく前記第1の通信ネットワークのバスの占有状態と非占有状態の切り替え回数と前記第2のプロトコルに基づく前記第2の通信ネットワークのバスの占有状態と非占有状態の切り替え回数の大小を判定する第6の判定部(例えば、バス占有率演算部31、バス占有率演算部40)をさらに備える、
ことを特徴とする車両制御システム、としたので、
・第2の制御装置が、バスの占有状態と非占有状態の切り替え回数の大小を判定し、第1の通信ネットワークと第2の通信ネットワークとを切り替えて用いることで、制御精度を向上し、制御遅延を縮減することが可能となる。
【0114】
<付記2>
なお、以上説明した本発明は、
1.
互いに接続される複数の制御装置(例えば、エンジン制御装置6、クラッチ制御装置7、モータ制御装置8、バッテリ制御装置9、ハイブリッド制御装置10、電動パワーステアリング17、エアバッグ制御装置18)と、
前記複数の制御装置を互いに接続する複数の通信ネットワーク(例えば、通信線100を用いた通信ネットワーク、通信線200を用いた通信ネットワーク)と、
を備え、
前記制御装置は、前記複数の通信ネットワークのうち他の通信ネットワークのいずれかよりも空いている通信ネットワークを介して通信を行うことが可能な通信装置(例えば、バス占有率演算部31、送受信部32、送受信部33、バス占有率演算部40、送受信部36、送受信部37)を有する、
ことを特徴とする車両制御システム、としたので、
・制御精度を向上し、制御遅延を縮減することが可能な車両制御システムを提供することができる。
・他の通信ネットワークのいずれかよりも空いている通信ネットワークを用いることで、制御精度を向上し、制御遅延を縮減することが可能となる。
【0115】
また本発明は、
2.
1.に記載の車両制御システムにおいて、
前記通信装置は、前記複数の通信ネットワークのうち最も空いている通信ネットワークを介して通信を行う、
ことを特徴とする車両制御システム、としたので、
・制御精度を向上し、制御遅延を縮減することが可能な車両制御システムを提供することができる。
・最も空いている通信ネットワークを用いることで、より制御精度を向上し、制御遅延を縮減することが可能となる。
【0116】
また本発明は、
3.
2.に記載の車両制御システムにおいて、
前記通信装置は、前記複数の通信ネットワークのうちバス占有率が最も低い通信ネットワークを介して通信を行う、
ことを特徴とする車両制御システム、としたので、
・バス占有率が最も低い通信ネットワークを用いることで、より制御精度を向上し、制御遅延を縮減することが可能となる。
【0117】
また本発明は、
4.
2.に記載の車両制御システムにおいて、
前記通信装置は、前記複数の通信ネットワークのうちバス占有時間のバラつき度合いが最も低い通信ネットワークを介して通信を行う、
ことを特徴とする車両制御システム、としたので、
・バス占有時間のバラつき度合いが最も低い通信ネットワークを用いることで、より制御精度を向上し、制御遅延を縮減することが可能となる。
【0118】
また本発明は、
5.
2.に記載の車両制御システムにおいて、
前記通信装置は、前記複数の通信ネットワークのバス占有率が等しくない場合には、前記複数の通信ネットワークのうちバス占有率が最も低い通信ネットワークを介して通信を行い、バス占有率が最も低い通信ネットワークが複数ある場合には、該バス占有率が最も低い通信ネットワークのうちバス占有時間のバラつき度合いが最も低い通信ネットワークを介して通信を行う、
ことを特徴とする車両制御システム、としたので、
・バス占有率およびバス占有時間のバラつき度合いに基づいて、用いる通信ネットワークを決定することで、より制御精度を向上し、制御遅延を縮減することが可能となる。
【0119】
また本発明は、
6.
1.に記載の車両制御システムにおいて、
前記通信装置は、前記複数の通信ネットワークのバス占有率の差が所定値以内の場合、予め定めた優先度に従って、通信を介する通信ネットワークを選択する、
ことを特徴とする車両制御システム、としたので、
・通信ネットワークの空き具合に加え、優先度に基づいて、用いる通信ネットワークを決定することで、通信ネットワークの信頼性を高め、柔軟なシステムを提供することが可能となる場合がある。
【0120】
また本発明は、
7.
6.に記載の車両制御システムにおいて、
前記通信装置は、前記複数の通信ネットワークのバス占有率の差が所定値以内の場合、前記複数の通信ネットワークのうち前記優先度が最も低い通信ネットワークを介して通信を行う、
ことを特徴とする車両制御システム、としたので、
・現在空いていても優先度が高ければ、その通信ネットワークを混雑させず、その通信ネットワークの信頼性を確保でき、柔軟なシステムを提供することが可能となる場合がある。
【0121】
また本発明は、
8.
1.に記載の車両制御システムにおいて、
前記複数の制御装置のうちの一は第1の制御装置(例えば、エンジン制御装置6、クラッチ制御装置7、モータ制御装置8、バッテリ制御装置9、ハイブリッド制御装置10、電動パワーステアリング17、エアバッグ制御装置18)であり、
前記複数の制御装置のうちの前記第1の制御装置とは異なる一は第2の制御装置(例えば、エンジン制御装置6、クラッチ制御装置7、モータ制御装置8、バッテリ制御装置9、ハイブリッド制御装置10、電動パワーステアリング17、エアバッグ制御装置18)であり、
前記複数の通信ネットワークのうちの一は、第1のプロトコルに基づく第1の通信ネットワーク(例えば、通信線100を用いた通信ネットワーク、通信線200を用いた通信ネットワーク)であり、
前記複数の通信ネットワークのうちの前記第1の通信ネットワークとは異なる一は、第2のプロトコルに基づく第2の通信ネットワーク(例えば、通信線100を用いた通信ネットワーク、通信線200を用いた通信ネットワーク)であり、
前記第1の制御装置は、
車両用装置の第1の制御量を演算する第1の演算部(例えば、演算部30、演算部41)と、
前記第1の制御量を前記第1の通信ネットワークを介して前記第2の制御装置へ送信及び受信する手段を有する第1の送受信部(例えば、送受信部32、送受信部33、送受信部36、送受信部37)と、
前記第1の制御量を前記第2の通信ネットワークを介して前記第2の制御装置へ送信及び受信する手段を有する第2の送受信部(例えば、送受信部32、送受信部33、送受信部36、送受信部37)と、
前記第1の通信ネットワークのバス占有率と前記第2の通信ネットワークのバス占有率を演算し大小を判定する第1の判定部(例えば、バス占有率演算部31、バス占有率演算部40)と、
送信時に、前記第1の通信ネットワークあるいは前記第2の通信ネットワークのいずれかに、送信する通信ネットワークを切替えられる第1の切替え部(例えば、バス占有率演算部31、送受信部32、送受信部33、バス占有率演算部40、送受信部36、送受信部37)と、
前記第1の送受信部が受信した第1の受信値と前記第2の送受信部が受信した第2の受信値を格納する第1のRAM(例えば、RAM34、RAM38)と、
前記第1のRAMに格納された前記第1の受信値および前記第2の受信値から前記車両用装置の第2の制御量を演算する第2の演算部(例えば、演算部35、演算部39)と、
を備え、
前記第2の制御装置は、
前記車両用装置の第3の制御量を演算する第3の演算部(例えば、演算部30、演算部41)と、
前記第3の制御量を前記第1の通信ネットワークを介して前記第1の制御装置へ送信及び受信する手段を有する第3の送受信部(例えば、送受信部32、送受信部33、送受信部36、送受信部37)と、
前記第3の制御量を前記第2の通信ネットワークを介して前記第1の制御装置へ送信及び受信する手段を有する第4の送受信部(例えば、送受信部32、送受信部33、送受信部36、送受信部37)と、
前記第1の通信ネットワークのバス占有率と前記第2の通信ネットワークのバス占有率を演算し大小を判定する第2の判定部(例えば、バス占有率演算部31、バス占有率演算部40)と、
送信時に、前記第1の通信ネットワークあるいは前記第2の通信ネットワークのいずれかに、送信する通信ネットワークを切替えられる第2の切替え部(例えば、バス占有率演算部31、送受信部32、送受信部33、バス占有率演算部40、送受信部36、送受信部37)と、
前記第3の送受信部が受信した第3の受信値と前記第4の送受信部が受信した第4の受信値を格納する第2のRAM(例えば、RAM34、RAM38)と、
前記第2のRAMに格納された前記第3の受信値および前記第4の受信値から前記車両用装置の第4の制御量を演算する第4の演算部(例えば、演算部35、演算部39)と、
を備える、
ことを特徴とする車両制御システム、としたので、
・制御精度を向上し、制御遅延を縮減することが可能な車両制御システムを提供することができる。
・バス占有率の大小を判定し、第1の通信ネットワークと第2の通信ネットワークとを切り替えて用いることで、制御精度を向上し、制御遅延を縮減することが可能となる。
【0122】
また本発明は、
9.
8.に記載の車両制御システムであって、
前記第1の制御装置は、
前記第1の通信ネットワークのバスの占有状態と非占有状態の切り替え回数と前記第2の通信ネットワークのバスの占有状態と非占有状態の切り替え回数の大小を判定する第5の判定部(例えば、バス占有率演算部31、バス占有率演算部40)をさらに備える、
ことを特徴とする車両制御システム、としたので、
・第1の制御装置が、バスの占有状態と非占有状態の切り替え回数の大小を判定し、第1の通信ネットワークと第2の通信ネットワークとを切り替えて用いることで、制御精度を向上し、制御遅延を縮減することが可能となる。
【0123】
また本発明は、
10.
8.に記載の車両制御システムであって、
前記第2の制御装置は、
前記第1の通信ネットワークのバスの占有状態と非占有状態の切り替え回数と前記第2の通信ネットワークのバスの占有状態と非占有状態の切り替え回数の大小を判定する第6の判定部(例えば、バス占有率演算部31、バス占有率演算部40)をさらに備える、
ことを特徴とする車両制御システム、としたので、
・第2の制御装置が、バスの占有状態と非占有状態の切り替え回数の大小を判定し、第1の通信ネットワークと第2の通信ネットワークとを切り替えて用いることで、制御精度を向上し、制御遅延を縮減することが可能となる。
【0124】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、本発明は、搭載車両の種類に限定されるものではなく、例えば、自動運転機能や自動駐車機能を有する車両に搭載されていてもよい。
【0125】
また、上記の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【符号の説明】
【0126】
1…エンジン、2…クラッチ機構、3…モータ、4…インバータ(電力変換装置)、5…バッテリ、6…エンジン制御装置、7…クラッチ制御装置、8…モータ制御装置、9…バッテリ制御装置、10…ハイブリッド制御装置、11…アクセルセンサ、12…スロットルセンサ、13…スロットルモータ(スロットル装置)、14…インジェクター(燃料噴射装置)、15…点火装置、16…ブレーキ、17…電動パワーステアリング、18…エアバッグ制御装置、19…ステアリング、20…エアバッグ、30…演算部、31…バス占有率演算部、32…送受信部、33…送受信部、34…RAM、35…演算部、36…送受信部、37…送受信部、38…RAM、39…演算部、40…バス占有率演算部、41…演算部、100…通信線、200…通信線。
図1
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図9