(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記追加的な摩擦は、前記テレスコープ型リンク及び前記アンカーリンクの寸法の選択と、前記テレスコープ型リンク及び前記アンカーリンクの材料の選択と、前記テレスコープ型リンク及び前記アンカーリンクのうちの少なくとも1つの表面への摩擦制御可能な材料の適用と、のうちの1つ以上を介して提供される、請求項2に記載の摩擦ヒンジ。
前記第1部品及び前記第2部品が互いから離れて回転されるように示されているトルクと比較すると、前記第1部品及び前記第2部品が互いに向かって回転されるように示されている、より少ないトルクと共に、非対称的なトルクプロファイルが設けられるように、前記摩擦コアの形状は選択される、請求項1に記載の摩擦ヒンジ。
前記摩擦シャフトは、実質的に楕円形のプロファイルを有し、前記摩擦バンドは、連続した円形のバンドであり、実質的に楕円形の摩擦シャフトと、前記連続した円形のバンドとの間のスペースによって整合性が作り出される、請求項5に記載の摩擦ヒンジ。
前記キックスタンドが回転されるように、調整可能な圧力機構を介して前記摩擦ヒンジの1つ以上の部品を圧縮して、増大したトルクを提供するように構成されているブレーキパッド
を更に含む、請求項5に記載の摩擦ヒンジ。
【発明を実施するための形態】
【0003】
コンピューティング及びネットワーキング技術の急増に伴い、より小さく、ポータブルで、ウェアラブルなコンピューティングデバイスが、日々、個人使用及び業務使用の主柱となってきている。タブレットコンピュータ、スマートフォン及びファブレットは、縦向き及び横向きで把持され得るデバイスか、あるいは、卓上又は他の平坦面に置かれ、かつ、デバイスを把持することなく縦向き又は横向きで視聴することができるデバイスの例である。例えば、ワシントン州レドモンドのMICROSOFT CORP.社のSURFACE(登録商標)デバイスは、接続可能なキーボード及び一体型キックスタンドを有するラップトップコンピュータに類似して使用され得るタブレットコンピュータである。ユーザーは、キックスタンドを使用して机上にある角度を有してデバイスを置くことができ、接続されたキーボード上でタイプすることができる。タブレットを手で使用することができないとき、同様のデバイスは、キックスタンドを利用してユーザーのために異なる視野角(angles of viewing)を提供することができる。
【0004】
キックスタンド及び同様の支持機構は、限定的で不連続なスクリーン角度(discrete screen angle)を有効にすることができる。不連続なスクリーン角度を提案することは、ユーザー経験(user experience)を制限してしまうかもしれない。更に、キックスタンド及び同様の支持デバイスは、ヒンジを介してそれらが支持するタブレットに連結され得る。
【0005】
例示的なキックスタンドの実施形態によると、ヒンジ及び/又はキックスタンドをデバイス筐体と同じ高さにすることを可能にするヒンジ回転範囲(hinge rotation spectrum)にわたって、キックスタンドとデバイス筐体との間に実質的に一定の間隙を維持することができる。接続機構は、さまざまな使用負荷及び約180度までの回転角度を支持することができる。他の例示的な実施形態によると、接続機構は、付随的な過負荷の主要因でありつつ、第1の位置に開く小さな力を可能にし、かつ、タブレットコンピューティングデバイスの設計ライフサイクルの間中ずっと、支持動作を維持することができる。
【0006】
これら及び他の特徴及び利点が、以下の説明を読むことと、関連図面の検討とにより明らかになるだろう。以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付図面を参照し、図面中、具体的な実施形態又は実施例が示されている。これらの態様を組み合せることができ、他の態様を利用することができ、本開示の精神又は範囲から逸脱することなく構造上の変更を行うことができる。従って、以下の詳細な説明は、限定的な意味に解釈されるべきではなく、かつ、請求項に記載されるような制限的態様として解釈されるべきではない。
【0007】
一部の実施形態が、タブレット又は同様のフォームファクタコンピューティングデバイスの一般的なコンテクストにおいて説明される一方で、態様はまた、キックスタンド又は同様の支持デバイスによって支持されることができる他のデバイス及びシステムとの組み合わせにおいて実施され得る。例えば、ディスプレイを含むデジタル写真フレーム、テレビ及び他のデバイスは、本明細書中に説明されるようなキックスタンドを利用することができる。
【0008】
図1は、キックスタンドを有するタブレットコンピュータの2つの異なる表示を示す。
【0009】
ダイヤグラム100における表示102は、キックスタンドを有するタブレットフォームファクターコンピュータを示す。コンピュータの本体104は、外側継目(lateral seam)に沿って本体104に連結されているキックスタンド106と共に実質的に矩形である。見た目の美しい一体化を提供するために、キックスタンド106及び本体104の連結は、ヒンジが本体104の裏面から突出しない、平らな接続(level connection)でよい。
【0010】
ダイヤグラム100の表示110は、キーボード118付きの同様のタブレットコンピュータの側面図である。キーボード118は、その底縁に沿って、コンピュータの本体114に恒久的又は一時的に接続され得る。キックスタンド116は、所定の角度で回転可能でよく、さまざまな視野角に対してタブレットコンピュータを置くことを可能にする。
【0011】
スクリーン角度を設定する機能は、ユーザー経験に対して実質的な影響を有することができる。一部の実施形態に従ったシステムでは、利用可能な不連続な位置(discreete position)数の増加か、あるいは、所望の範囲内の回転で継続的な調整の提供が、より多くの状況において、より多くのユーザーにとって最適なスクリーン角度を利用可能にすることにより、ユーザー経験を高めることができる。他の実施形態において、摩擦ヒンジは、キックスタンド116と本体114との間で最小の間隙を維持しながら、キックスタンド116の180度の回転を提供する機能との関連性を提供することができる。バンド摩擦技術を用いることによって、摩擦ヒンジは、充分なトルクを達成して、使用及び乱用の負荷を支持し、かつ、コンピュータのライフサイクルにわたって、これらの負荷を維持することができる。
【0012】
図2は、キックスタンド‐タブレットコンピュータ接続のクローズアップ表示を図示する。
【0013】
ダイヤグラム200に図示される例示的な実施形態によると、キックスタンド本体の連結のピボット点(pivot point)206は、キックスタンド204と本体202との間に実質的に一定のy間隙を維持しながら、180度の回転を可能にする。摩擦ヒンジは、最小の間隙を維持しながら、180度の回転を提供することができる。バンド摩擦技術を使用することによって、摩擦ヒンジは、充分なトルクを達成して、使用及び乱用の負荷を支持し、かつ、製品の寿命にわたって、これらの負荷を維持することができる。更に、180度になる機能は、追加的な機構又は複雑さを必要とすることなく、過負荷処理のために備えることができる(つまり、本体に予期せぬ圧力が加えられるとき、キックスタンドは、極限位置へと簡単に回転することができる)。
【0014】
図3A〜
図3Eは、異なる回転角度におけるテレスコープ型リンケージ(telescoping linkage)及び摩擦連結(friction coupling)を含む例示的な接続機構を図示する。
【0015】
図3A〜
図3Eにおいて、シャフトに連結されるテレスコープ型リンク(telescoping link)が示される。これは、例示的な実施例であり、実施形態に対する限定を意味しない。テレスコープ型リンク(telescoping link)はまた、摩擦コア(friction core)に連結されることができ、摩擦コアは、摩擦バンド(friction band)、摩擦ディスク(friction disk)又は摩擦クリップ(friction clip)でよい。バンド摩擦及びクリップ摩擦は、それら両方が、シャフトの周りで周方向に包まれる圧力をかけるという点において同様でよい。ディスク摩擦は、シャフトに対する円において、軸方向に摩擦を加えることができる。このようにして、ディスク摩擦は、若干小さいトルク密度を有することができるが、トルク曲線に追加的なプログラマビリティ(programmability)を加えることができる。ディスク摩擦の場合、摩擦がシャフトの周りにあってよいが、力は軸方向に加えられる。更に、摩擦コアは、単一でよいか、あるいは、(しばしば)バンド、クリップ及びディスクを一度に多数利用することができる。
【0016】
図3Aにおけるダイヤグラム310は、一部の実施形態で利用され得るバンド/シャフト連結の部品を示す。回転摩擦トルクは、シャフト311と、実質的にシャフト311を取り囲むバンド312とによって提供される。シャフト311に取り付けられ、かつ、アンカーリンク(anchor link)318によって部分的に取り囲まれるテレスコープ型リンク316は、第2の軸において摩擦連結を可能にすることができる。バンド312は、キックスタンドリンク314に締結され得る。
【0017】
全てのヒンジ角度における、本体とキックスタンドとの間の実質的に一定の間隙の維持、使用負荷のための支持、最大回転(180度)のための支持、第1の位置に開く小さな力及び/又は付随的な過負荷のための支持は、第2の軸における摩擦連結の使用を介して達成されて、全てのキックスタンド角度におけるキックスタンドに純モーメント(pure moment)を誘発することができる。摩擦を抑制するために、テレスコープ型リンクは、モーメントに対して反応し、かつ、摩擦要素をメカニカルグラウンド(mechanical ground)に連結することができる。
【0018】
図3Bのダイヤグラム320は、異なる回転角度におけるダイヤグラム310の摩擦連結ヒンジ構成を示す。バンド/シャフトの結合は、金属粉末射出成形(MIM)技術を用いて形成され得る。MIM技術は、小さい特徴物の作製(small feature creation)を可能にすることができ、それは、次に、バンド又はクリップ摩擦アプローチに利用可能でない、異なるカムプロファイル(例えば、重量合わせ(weight matching))を可能にすることができる。更に、MIM技術で高強度鋼を成形することができ、これは、より高いトルク密度(又は、より小さい部品)を可能にすることができ、かつ、製造プロセスによる制約は少なくてよい(バンド及びクリップ摩擦がシートメタル及び他の製造制限の影響を受けるので)。MIM材料はまた、部品全体にわたる最大の歪みエネルギーにその材料を最適化し、それにより、最大トルク密度を達成するように、バンド形状を扱うことを可能にすることができる。
【0019】
MIM部品において、強度と延性のバランスを取ることは難しいかもしれない。つまり、部品が良好な耐破壊性を有するのに十分な延性があるときには、材料は柔らかすぎて、すぐに摩耗してしまう可能性がある。部品が摩耗に耐えるのに十分硬いときには、破砕の影響を受けてしまう可能性がある。一部の実施形態によると、非常に硬くてよく(例えば、HRC50+)、かつ、部品の摩耗に対処するバンドに、摩耗プレート(以下、
図3Eで議論)を組み込むことによって、延性から耐摩耗性を分離する(decouple)ことができる。例えば、破砕に耐えるのに十分な延性を有するために、バンドをHRC35に減らすことができる。
【0020】
図3Cのダイヤグラム330は、一部の実施形態に従ったテレスコープ型リンケージ‐バンド/シャフト連結の結合を用いて導入され得る追加的な機能を図示する。例えば、テレスコープ型リンク336の端部に近接する切欠き(notches)331は、小さな遊びスペース(free play space)を設けることができる。キックスタンドの回転開始時(例えば、5〜10度)、ユーザーがキックスタンドと本体との間に容易に指を入れることを可能にするアンカーリンク338に、テレスコープ型リンクが押し込まれると、ユーザーは、切欠きに起因してトルクを経験することができない。
【0021】
図3Dのダイヤグラム340は、ダイヤグラム310の摩擦連結ヒンジ構成の更に別の回転角度表示である。更なる実施形態において、適切な材料、寸法を選択するか、あるいは、追加的な材料を使用する(例えば、摩擦のより高い材料でアンカーリンクの内部をライニングする)ことによって、追加的な摩擦をテレスコープ型リンケージに導入することができる。システムの全摩擦は、その部品の摩擦の合計である。それ故、バンド/シャフト連結において必要な摩擦は、テレスコープ型リンケージにおいて追加的な摩擦を導入することによって、低減され得る。他の実施形態において、バンド/シャフト連結の摩擦が摩擦の主な原因であるように、システムの他の部品における摩擦を低減させることができ、ヒンジの寿命にわたる整合性を得ることができる。
【0022】
図3Eのダイヤグラム360は、バンド364及びシャフト362を含むバンド/シャフト構造に組み込まれる摩耗プレート366を示す。上記で議論したように、部品の摩耗に対処する摩耗プレート366を組み込むことによって、一部の実施形態に従った延性から耐摩耗性を分離することができる。摩耗プレートは、シャフト362の挿入によって、適切な位置で保持される。摩耗プレート366を適切な位置で保持するように、締まり嵌め連結(close‐fit coupling)、ダブテール継手(dovetail joint)又は同様の連結機構を利用することができる。摩耗プレート366はまた、締まり嵌め(interference fit)、糊、溶接等によって保持され得る。
【0023】
図4は、例示的なバンド/シャフト連結を図示する。
【0024】
ダイヤグラム400は、半径dのシャフト404と、シャフト404を実質的に取り囲むバンド402とを連結する、基本的な円形のバンド/シャフト連結を示す。シートメタルに基づくシステムにおいて、トルク密度は、シャフト404の所定の直径に対して、材料の厚さの2倍に限定される。それ故、円形のシートメタルに基づくバンド/シャフト連結を用いて、より薄いタブレットコンピュータを所望のトルク密度で設計することができない。一部の実施形態に従ったシステムは、テレスコープ型リンケージ及び非円形シャフトプロファイルを用いることによって、上記で議論される他の設計態様と、所望のトルク密度とを提供することができる。
【0025】
図5A〜
図5Dは、異なる実施形態のために使用され得る金属粉末射出成形のバンド/シャフト連結のさまざまな実施例を図示する。
【0026】
シャフトが回転している間にバンド502のアームが別々に押し開けられるように、増大するトルクプロファイルを提供する円形のシャフトとは対照的に、
図5Aの例示的なバンド/シャフト連結は、実質的に楕円形のシャフト504を含む。バンド502のアーム間の間隙506はまた、トルク曲線の極小値(dip)の位置を選択する異なる位置(例えば、位置508又は510)に配置されることができ、それにより、小さい力で、あるいは、力を全くかけずに、どの回転角度でユーザーがキックスタンドを動かすことができるのかを決定する。留意すべきことは、この例示的なヒンジが開口を有さないバンドを使用することができるという点である。それは、連続したフープ(hoop)を有することができ、楕円形シャフトと円形バンドとの間のスペースによって、整合性を作り出すことができる。摩擦界面においてバンド形状と一致する円形アークをシャフトが有することができるように、形状を設計することができ、整合性及び接触面を最適化するように、シャフトに接触しないシャフトプロファイルの側部を設計することができる。
【0027】
図5Bのシャフト514は、基本的に2つの同心円(半径d1及びd2)の結合であるプロファイルを有する。同心円は、カムプロファイルを定義することができ、そこでは、特定の角度領域にトルクを設定するように半径が選択される。これは、バンドにおいて、補完する(一致しない)形状を必要とすることができる。一部の実施形態において、バンド上の平坦部を使用することができ、これは、シャフト上の半径が適切に機能することを可能にすることができる。他の実施形態において、バンドの断面は、バンドにおける歪みエネルギーを最適化するようにプロファイルされ得る。例えば、偏心円を使用することができる。このようにして、材料の使用を最適化するようにバンドの断面を調整して、材料外に最大の歪みエネルギーを達成することができ、それにより、最大のトルク密度を達成することができる。同心円の一部の実施形態において、2つの円形の中心は、分岐することができる。中心が分岐するように、バンド512の歪みエネルギーをより効率的に使用することができる。
【0028】
更に他の実施形態において、カム曲線は、キックスタンドの重量プロファイル(weight profile)に一致させることができる。調整又はプログラムされたトルクプロファイルを生成するために、バンド(若しくは、クリップ又はディスクスタック)及びシャフトのための形状又は「プロファイル(profile)」があってよい。重量プロファイルが一致する一部の実施形態において、そのプロファイルは、極座標におけるラインに関する方程式、例えば、R=mq+bに従うことができ、Rは所定のqにおけるプロファイル半径で、mはその半径の変化の割合で、bは初期半径である。別の例示的な実施形態において、
図5Cのシャフト524は、組み合わせプロファイルを有することができる。第1部品が、一定の半径d1を有する円(実質的にシャフトの左半分)でよい一方で、その部品は、第2の半径d2を有することができる。その部品は、線形的又は非線形的に増大することによって、半径がd1からd2に変化するように設計され得る。一代替形において、半径は、d1からd2へ急激に増大することができる。d1からd2への線形的な増大は、最初に一定のトルクを提供することができ、その後に増大するトルクプロファイルが続き、これは、シャフト524の増大する半径部分に起因したバンド522の増大する歪みエネルギーが、バンド522を押し開くからである。ドロップ部品(drop component)525は、回転が終わるところを定義するように使用され得る。
【0029】
図5Dにおける例示的なシャフト528は、キックスタンドが戻り止め位置(detent positions)を有することを可能にする多角形プロファイルを有する。多角形(六角形、八角形など)を選択することによって、複数の所望の戻り止め位置を設定することができる。更に他の実施形態において、上記で議論したプロファイルと他のものの組み合せを使用することができる。例えば、ある戻り止め位置から別の位置へと増大するトルクプロファイルをもたらす、一定に増大する半径プロファイルと多角形プロファイルを組み合わせることができる。
【0030】
更に別の実施形態において、キックスタンドが開くときのより高いトルク及びより高い摩擦係数並びにキックスタンドが閉じるときのより低いトルクを可能にするバンド/シャフト構造と共に、ブレーキレバー構造を使用することができる。一部の実施形態において、1つ以上のヒンジ部品が2つの可撓性又は半可撓性パッドの間に挟持され得るところに、ゴム製のブレーキパッドを使用することができ、摩擦係数を所望値に設定することができるように、調整可能な圧力機構(例えば、ねじ)を介して、パッドを互いに対して押圧することができる。
【0031】
図1〜
図5における実施例は、特定の部品、プロファイル及び構成と共に説明されてきた。実施形態は、これらの例示的な構成に従ったシステムに限定されない。タブレットコンピュータ及び同様のデバイスのための摩擦ヒンジが、本明細書に記載される原理を用いて、他のタイプの連結を利用する構成で実施され得る。
【0032】
図6は、テレスコープ型リンケージの例示的なトルク‐回転角度曲線を図示する。
【0033】
ダイヤグラム600は、最初の数度の回転(first few degrees of rotation)に関するトルクの線形的増加(602)を示し、回転が続くように、トルクが実質的に一定のままか、あるいは、わずかに低下し、かつ、トルク値がピークに達する(606)までのより著しい線形的増加(604)が、その後に続いている。このタイプのトルク曲線の課題は、ユーザーが、たとえ最初の数度でも、キックスタンドをまず開けるように、増大する力を提供する必要性を経験することである。ユーザーがキックスタンドを開け始めるとき、ユーザーは、キックスタンドに固い把持を有することができない。隆起部やハンドルなどの、特別に形成された把持部品は、キックスタンドを開け始める時、ユーザーにキックスタンドを強く把持させることによって、この影響を軽減させることができる。
【0034】
図7は、バンド/シャフト連結の例示的なトルク‐回転角度曲線を図示する。
【0035】
ダイヤグラム700におけるバンド/シャフト連結のトルク曲線は、クローズアップ表示で詳細に示した回転開始時、トルク領域を実質的に含まない(702)。従って、ダイヤグラム700に図示するものと同様のトルク曲線を有するキックスタンドは、ユーザーが相当の力をかけずにキックスタンドを開けることを可能にする。例えば、ユーザーは、キックスタンドを開けるために5Nmm未満のトルクを提供するだけでよい。低トルク領域に続き、最初に小さなピークが起こる可能性があるが、トルク曲線の著しい増加部分(704)は、残りの回転を介して実質的に一定のトルク706を提供することができるのを確実にすることができる。
【0036】
図8は、二段式カム曲線に関する例示的なトルクプロファイルを図示する。
【0037】
図5Dと併せて上記で議論したように、さまざまなプロファイルのシャフト又は同等の構造が、戻り止め位置及び/又は異なるトルクプロファイルを作り出すように利用され得る。ダイヤグラム800は、二段式トルク曲線を示し、テレスコープ型リンケージと一緒に、バンド/シャフト連結は、キックスタンドが回転されるように、3つの異なるトルクがユーザーによって経験されることを可能にすることができる。最初の数度(開領域802)に関し、上記で議論した切欠きなどの機構を介して実質的にゼロのトルクを達成することができる。第1の実質的に一定のトルク領域804が続くことができ、第2の実質的に一定のトルク領域806がその後に続くことができる。
【0038】
第1の実質的に一定のトルク領域804は、ユーザーが45度までキックスタンドをより容易に開けることを可能にする。キックスタンドに対する0〜45度の範囲は、ユーザーがタブレットコンピュータのディスプレイを直立位置にしたいときの、キックスタンドに対する典型的な位置を含むことができる。典型的な位置の後、キックスタンドが付随的に開くこと(例えば、180度に開くこと)を常に防ぐように、より多くのトルクを加えることができる。ユーザーは、キックスタンドを例えば140度に開いて、スタイラス又は他の入力デバイスを用いてタブレット上で書くために、最適化される鈍角の表面を提供したいかもしれない。ユーザーがタブレット表面上で書くようにタブレット上に下向きの力を加えるとき、キックスタンドを140度超に開けるためにより多くのトルクが必要であることは、キックスタンドが更に開くことを有益に防ぐことができる。第2又は第3段階における増大したトルクプロファイルは、典型的な使用領域を越えてしまったことをユーザーに示唆するように使用され得る。更に、他の実施形態において、ユーザーがより高い回転度のためにより小さい力を加えるつもりであるため、より高い回転度のために示されるトルクは、初期領域(例えば、最初の45度)のためのトルクよりも少なくてよい。
【0039】
更に他の実施形態において、非対称的なトルクプロファイルが提供され、そこでは、開けることと比較すると、キックスタンドを閉じるためにより少ないトルクを示すことができる。このようにして、ユーザーは、キックスタンドを開けるときよりも小さい力で、キックスタンドを閉じることができる。
【0040】
一部の例示的な実施形態によると、摩擦シャフト(friction shaft)と、摩擦シャフトを実質的に取り囲むように構成される摩擦バンド(friction band)とを有するバンド/シャフト構造と;摩擦シャフトに取り付けられるテレスコープ型リンクと、テレスコープ型リンクを少なくとも部分的に取り囲むように構成されるアンカーリンクとを含むテレスコープ型リンケージ構造とを、摩擦ヒンジが備えることが記載される。
【0041】
摩擦バンドは、第1部品に取り付けられるように構成されることができ、アンカーリンクは、第2部品に取り付けられるように構成されることができ、摩擦ヒンジは、回転中に、第1部品と第2部品との間に実質的に一定の間隙を維持しながら、第1部品と第2部品との間で回転連結を可能にする。摩擦ヒンジはまた、第1部品及び第2部品の回転の初期部において、実質的にゼロのトルクが提供されるように、テレスコープ型リンクの端部に近接して形成される1つ以上の切欠きを含むことができる。テレスコープ型リンク及びアンカーリンクは、摩擦ヒンジのために追加的な摩擦を提供するように選択され得る。
【0042】
追加的な摩擦は、テレスコープ型リンク及びアンカーリンクの寸法の選択と、テレスコープ型リンク及びアンカーリンクの材料の選択と、テレスコープ型リンク及びアンカーリンクのうちの少なくとも1つの表面への摩擦制御可能な材料の適用と、のうちの1つ以上を介して提供されることができる。バンド/シャフト構造によって提供される摩擦が、バンド/シャフト構造によって提供される摩擦を補完するように選択されるか、あるいは、優勢になるように、追加的な摩擦を最小限にすることができる。
【0043】
摩擦シャフトのプロファイルは、第1部品の重量プロファイルを実質的に一致させるように選択され得る。第1部品及び第2部品が互いから離れて回転されるように示されるトルクと比較すると、第1部品及び第2部品が互いに向かって回転されるように示されている、より少ないトルクと共に、非対称的なトルクプロファイルが設けられるように、摩擦シャフトのプロファイルは選択され得る。バンド/シャフト構造は、金属粉末射出成形(MIM)を利用して形成され得る。
【0044】
他の実施形態によると、キックスタンド及びコンピューティングデバイスを連結するための摩擦ヒンジは、摩擦シャフトと、摩擦シャフトを実質的に取り囲むように構成される摩擦バンドとを有するバンド/シャフト構造と;摩擦シャフトに取り付けられるテレスコープ型リンクと、テレスコープ型リンクを少なくとも部分的に取り囲むように構成されるアンカーリンクとを含むテレスコープ型リンケージ構造と、を備えることができ、摩擦バンドは、キックスタンドに取り付けられるように構成され、アンカーリンクは、コンピューティングデバイスの本体に取り付けられるように構成され、摩擦ヒンジは、キックスタンドの回転中に、キックスタンドと本体との間に実質的に一定の間隙を維持しながら、キックスタンドと本体との間で回転連結を可能にする。
【0045】
摩擦シャフトは、実質的に楕円形のプロファイルを有することができる。摩擦バンドにおける間隙の位置は、摩擦ヒンジの回転角度‐トルク曲線における所望の極小値(dip)に基づき選択され得る。摩擦ヒンジは、キックスタンドが開閉するように、不均整なトルクと、増大した摩擦とを提供するように構成されるブレーキレバー構造を更に含むことができる。摩擦ヒンジはまた、キックスタンドが回転されるように、調整可能な圧力機構を介して摩擦ヒンジの1つ以上の部品を圧縮して、増大したトルクを提供するように構成されるブレーキパッド構造を含むことができる。摩擦シャフトの形状及びテレスコープ型リンケージの寸法は、キックスタンドの回転範囲(rotation spectrum)にわたる多段トルクプロファイル(multi‐step profile)を提供するように選択され得る。例えば、構造は、シャフトにおける短半径(minor radius)と、バンドにおける平坦面とを含むことができるが、これは、他のバンド/シャフトプロファイルで達成されることができる。短半径が平坦面と接触する角度では、バンドのたわみ量が少ないので、トルクはより低くてよい。長半径(major radius)が平坦部に対抗する角度では、バンドのたわみ量が多いので、トルクはより高くてよい。
【0046】
更なる例示的な実施形態によると、タブレットデバイスのための回転支持構造は、複数の角度でタブレットデバイスを支持するように構成され得るキックスタンドと;摩擦シャフトと、摩擦シャフトを実質的に取り囲むように構成される摩擦バンドとを含むバンド/シャフト構造と;摩擦シャフトに取り付けられるテレスコープ型リンクと、テレスコープ型リンクを少なくとも部分的に取り囲むように構成されるアンカーリンクとを含むテレスコープ型リンケージ構造と、を備え、摩擦バンドは、キックスタンドに取り付けられるように構成され、アンカーリンクは、タブレットデバイスの本体に取り付けられるように構成され、摩擦ヒンジは、キックスタンドの回転中に、キックスタンドと本体との間に実質的に一定の間隙を維持しながら、キックスタンドと本体との間で回転連結を可能にする。
【0047】
摩擦シャフトは、異なる直径を有する2つの実質的な同心円を含むプロファイルを有することができ、直径のうちの少なくとも1つは、キックスタンドが回転されるように示される所望のトルクに基づいて選択される。キックスタンドのための複数の戻り止め位置に基づき選択される、多角形の複数の側部を有する摩擦シャフトは、多角形プロファイルを有することができる。摩擦シャフトはまた、実質的に一定の直径の第1の円形と、増大する直径の第2の円形との組み合せを有するプロファイルを含んで、キックスタンドの回転範囲にわたる、増大するトルク部と、一定のトルク部とを含む、トルクプロファイルを提供することができる。摩擦シャフトは、実質的に一定の直径の第1の多角形と、増大する直径の第2の多角形との組み合わせを含む更なるプロファイルを有して、戻り止め位置を有するキックスタンドの回転範囲にわたる、増大するトルク部と、一定のトルク部とを含むトルクプロファイルを提供することができる。
【0048】
上記の明細書、実施例及びデータは、実施例の構成の製造及び使用の完全な説明を提供する。本発明の主題を構造的特徴及び/又は方法論的動作に固有な言葉で説明してきたが、添付の特許請求の範囲で定義した本発明の主題は、必ずしも上述した特定の特徴又は動作に限定されないことを理解すべきである。むしろ、上述の特定の特徴及び動作は、添付の特許請求の範囲及び実施形態を実施する例示的な形態として開示されている。