特許第6594372号(P6594372)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594372
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】カーボン噴管を用いた噴霧杆
(51)【国際特許分類】
   A01M 7/00 20060101AFI20191010BHJP
   F16L 47/06 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   A01M7/00 J
   F16L47/06
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-93715(P2017-93715)
(22)【出願日】2017年5月10日
(65)【公開番号】特開2018-186784(P2018-186784A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2018年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】397002360
【氏名又は名称】ヤマホ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由
(72)【発明者】
【氏名】今川 良成
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3130052(JP,U)
【文献】 特開平8−277989(JP,A)
【文献】 特開昭57−165053(JP,A)
【文献】 米国特許第4403737(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 7/00
F16L 47/06
B05B 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴管(2)と、その噴管(2)に導入された噴霧液を外部に噴出させる噴霧ノズル(3,4)とを有し、前記噴管(2)の先端側がストレートな基端側に対して所定角度屈曲しており、その噴管(2)の先端と基端側の外周にそれぞれ前記噴霧ノズル(3,4)が設けられ、その噴霧ノズル(3,4)の噴霧の方向の相対的な位置決めがなされる液体散布用の噴霧杆であって、
前記噴管(2)が、ノズルホルダ装着用の雄ねじ(6)を先端に設けた先端側の屈曲管(2a)と、基端側のストレート管(2b)と、前記屈曲管(2a)の後部と前記ストレート管(2b)の前部に対応して設けられるねじ穴(7a)とそのねじ穴(7a)にねじ込む雄ねじ部(7b)とからなるジョイント(7)と、前記雄ねじ部(7b)の外周に螺合させるロックスリーブ(8)とで構成され、
前記屈曲管(2a)とストレート管(2b)の各々が、炭素繊維強化プラスチックスで形成され、
前記ロックスリーブ(8)は、前記屈曲管(2a)の後部側を挿入する第1ソケット部(8a)と、前記ストレート管(2b)の前部を挿入する第2ソケット部(8b)と、前記第1ソケット部(8a)と第2ソケット部(8b)との間に位置させて前記雄ねじ部(7b)に螺合させる雌ねじ部(8c)とを具備し、
前記雄ねじ部(7b)が前記ねじ穴(7a)にねじ込まれ、前記噴霧ノズル(3,4)の噴霧の方向の相対的な位置決めがなされた状態下で前記ロックスリーブ(8)の前記雌ねじ部(8c)を前記ねじ穴(7a)を有する管の接続側の端面に押圧して前記屈曲管(2a)と前記ストレート管(2b)の相対回転を止めるように構成されたカーボン噴管を用いた噴霧杆。
【請求項2】
前記ロックスリーブ(8)が樹脂製のスリーブである請求項1に記載のカーボン噴管を用いた噴霧杆。
【請求項3】
作業者が手で持って操作する操作杆(5)が含まれており、その操作杆(5)の先端に前記噴管(2)を接続した請求項1又は2に記載のカーボン噴管を用いた噴霧杆。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、薬剤などの噴霧液を通す噴管が軽量の炭素繊維強化プラスチックスで形成され(本発明ではこの噴管をカーボン噴管と言う)、さらに、そのカーボン噴管の先端側がストレートな基端側(根元側)に対して所定角度屈曲しており、そのカーボン噴管の先端と基端側の外周に噴霧の方向の相対的な位置決めが要求される噴霧ノズルが設けられた液体散布用の噴霧杆に関する。
【背景技術】
【0002】
噴霧用のノズルを複数有する噴霧杆の従来例として、下記特許文献1の図1に示されるようなものがある。その噴霧杆は、液体通路を内部に有するストレートな噴管の外周に、噴霧液を噴出させる噴霧ノズル(ノズルユニット)を所定の間隔をあけて複数取り付けている。
【0003】
この種の噴霧竿の中に、軽量化の要求に応えるために、カーボン噴管を採用したものがある。
【0004】
特許文献1の図1に示されている噴霧竿は、噴管の素材については特に触れていないが、噴管が、端部に雄ねじの無いストレート管であるので、その噴管として、カーボン噴管を採用することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017−13039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在製品化されている長尺のカーボン噴管は、いずれも、ストレート管である。
【0007】
そのような噴管は、問題なく製造できるが、先端側が屈曲しており、その屈曲部の先端にノズルホルダを装着するための雄ねじを有し、なおかつ、NC旋盤などの加工機にセットできない形状、サイズの噴管は、加工機を用いたねじ切り加工ができないことから、製造することができない。
【0008】
この加工設備上の製造制約があることから、先端側が屈曲していてその屈曲部の先端にノズルホルダを装着するための雄ねじが設けられているカーボン噴管を備え、そのカーボン噴管の先端と基端側の外周に、噴霧の方向の相対的な位置決めが要求される噴霧ノズルがそれぞれ設けられた噴霧杆は、実現不可能と考えられて市場には提供されていなかった。
【0009】
しかしながら、そのような形状の長尺の噴管を用いた軽量な噴霧杆は、噴霧作業の負担軽減を考えると不可欠である。
【0010】
そこで、この発明は、基端側がストレートで先端側は屈曲している噴管を備えた噴霧杆、より詳しくは、噴管の先端と基端側の外周にそれぞれ噴霧の方向の相対的な位置決めが要求される噴霧ノズルが設けられた噴霧杆について、カーボン噴管を採用して全体の軽量化を図ることを課題としている。また、長尺の噴管は、自重や噴霧液を噴霧ノズルから噴射したときの反動などで反りを生じ易い。そこで、その反りの防止も併せて図ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、この発明においては、噴管と、その噴管に導入された噴霧液を外部に噴出させる噴霧ノズルとを有し、前記噴管の先端側がストレートな基端側に対して所定角度屈曲しており、その噴管の先端と基端側の外周にそれぞれ前記噴霧ノズルが設けられ、その噴霧ノズルの噴霧の方向の相対的な位置決めがなされる液体散布用の噴霧杆を以下の通りに構成した。
【0012】
即ち、前記噴管が、ノズルホルダを装着する雄ねじを先端に設けた先端側の屈曲管と、基端側のストレート管と、前記屈曲管の後部と前記ストレート管の前部に対応して設けられるねじ穴とそのねじ穴にねじ込む雄ねじ部とからなるジョイントと、前記雄ねじ部の外周に螺合させるロックスリーブとで構成され、
前記屈曲管とストレート管の各々が、炭素繊維強化プラスチックスで形成され、
前記ロックスリーブは、前記屈曲管の後部側を挿入する第1ソケット部と、前記ストレート管の前部を挿入する第2ソケット部と、前記第1ソケット部と第2ソケット部との間に位置させて前記雄ねじ部に螺合させる雌ねじ部とを具備し、
前記雄ねじ部が前記ねじ穴にねじ込まれた状態下で前記ロックスリーブの雌ねじ部を前記ねじ穴を有する管の接続側の端面に押圧して前記屈曲管と前記ストレート管の相対回転を止めるものにした。
【0013】
前記ロックスリーブは、金属製のスリーブも利用できるが、噴霧竿のより一層の軽量化を考えると、樹脂製のスリーブが望ましい。
【0014】
前記ストレート管の外周に設ける噴霧ノズルは、1個、複数個を問わない。その噴霧ノズルは、着脱可能なものが、傷んだ時の交換ができて好ましい。
【0015】
この発明の噴霧杆は、作業者が手で持って操作する操作杆を含ませ、その操作杆の先端に前記噴管を接続することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明の噴霧竿は、カーボン噴管を採用しているので、軽量化の要求に応えることができる。また、カーボン噴管は、強度に優れるため、自重や噴霧の反動による反りも防止される。
【0017】
この発明で採用したカーボン噴管は、先端側の屈曲管を基端側のストレート管から独立させることで製造上の制約を無くしている。
【0018】
先端側の屈曲管は、その屈曲管をNC旋盤などの加工機にセットして先端のねじ切り加工を行なう際に、後部側が加工機と干渉しない長さにしてある。後端にもねじ切り加工を行なう屈曲管については、前部側も後端のねじ切り加工を行なう際に加工機と干渉しない長さにしてある。
【0019】
その先端側の屈曲管と基端側のストレート管を互いに接続する。その接続は、屈曲管の先端とストレート管の外周にそれぞれ設ける噴霧ノズルについて、噴霧の方向の相対的な位置決めが行なえるものでなければならない。
【0020】
管の接続は、接続する2本の管の突き合せ部にねじ穴と雄ねじ部を対応させて設け、前記ねじ穴に雄ねじ部をねじ込む方法が最も簡単で接続の信頼性も確保し易いが、この方法では、ねじ穴に対する雄ねじ部のねじ込み終点において、2本の管の周方向相対位置が正しく定まることが保証されない。また、2本の管の接続部に曲げ力が作用するとねじ嵌合部がダメージを受ける可能性も高い。
【0021】
この発明の噴霧杆は、前記ロックスリーブを設けたことによって上記2つの懸念を払拭し、先端と基端側外周に設けられる噴霧ノズルの噴霧の方向の相対的な位置決めを行なって前記屈曲管とストレート管をねじで接続することが可能になっている。
【0022】
前記ロックスリーブは、前記雄ねじ部に螺合しており、このロックスリーブをロックナットとして働かせてねじ穴にねじ込んだ雄ねじ部を回り止めすることができる。
【0023】
前記ねじ穴に対して前記雄ねじ部をねじ込み終点近く迄ねじ込み、そのねじ込み終点近くで、前記屈曲管とストレート管の周方向相対位置の位置決めを行う(それらの管に設けられた噴霧ノズルの噴霧方向のずれを修正する)。
【0024】
その後、ロックスリーブを緩み方向に回転させてねじ穴が設けられている側の管の端面に強く押し当てる。
【0025】
このときの反力で、ロックスリーブの雌ねじ部が螺合相手の雄ねじ部のねじ山に押し当てられ、これにより、ロックスリーブが屈曲管及びストレート管との間に生じる摩擦力で回り止めされ、屈曲管とストレート管に設けられた噴霧ノズルが位置決めされた位置に固定される。
【0026】
また、この状態では、前記屈曲管の後部と前記ストレート管の前部がロックスリーブに設けられた第1ソケット部と第2ソケット部にそれぞれ挿入され、これにより、2つの管の接続部に側方から加わる力がロックスリーブに受け止められ、ねじ嵌合部が曲げ力によってダメージを受けることもなくなる。
【0027】
なお、操作杆を含ませた噴霧杆は、操作杆の先端にカーボン噴管を接続することで、作業者から噴霧ノズルまでの距離を延ばすことができ、背の高い樹木などに対しても液体の散布が行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】この発明の噴霧杆の一例を示す側面図である。
図2図1の噴霧杆の要部を示す拡大側面図である。
図3図1の噴霧杆の先端側の拡大断面図である。
図4図1の噴霧杆の噴管の先端に設けられた噴霧ノズルの拡大断面図である。
図5図1の噴霧杆の噴管のストレート部の外周に設けられた噴霧ノズルの拡大断面図である。
図6】この発明で採用した噴管の先端側の屈曲管と基端側のストレート管の、ロックスリーブによる相互固定を行なう前の接続状態を示す断面図である。
図7】この発明で採用した噴管の正面図である。
図8】噴管の接続部を、ロックスリーブによる固定を行なった後の状態にして示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、この発明のカーボン噴管を用いた噴霧杆の実施の形態を、添付図面の図1図8に基づいて説明する。
【0030】
図1及び図2に示すように、例示の噴霧杆1は、噴霧液を通す噴管2と、その噴管に導入された噴霧液を外部に噴出させる噴霧ノズル3,4と、噴管2の後端を接続した操作杆5を組み合わせている。
【0031】
噴管2は、炭素繊維強化プラスチックスで形成されたカーボン噴管であり、先端にノズルホルダ装着用の雄ねじ6(図3図4参照)を有する。その噴管2は、先端側が屈曲管2aで、また、基端側がストレート管2bで各々形成されており、基端側のストレート管2bに対して屈曲管2aが図3に示すように、所定角度α屈曲している。
【0032】
屈曲管2aは、所定の曲率を有するように曲げて金型に収め、次いで、樹脂を加熱硬化させ、その後に心金を抜き取るなどの方法で製造することができる。
【0033】
このようにして製造する屈曲管2aは、後部側の長さを自由に設定することができ、その後部側の長さを、NC旋盤などの加工機と干渉しない長さにすることで先端のねじ切り加工を支障なく実施することが可能になっている。
【0034】
図示の屈曲管2aは、先端側の長さも、後端のねじ切り加工においてNC旋盤などの加工機と干渉しない長さにしてある。
【0035】
なお、噴管2の基端側のストレート管2bは、既知のシートワインディング成形法や引き抜き成形法などで製造することができる。
【0036】
この噴管2の屈曲管2aとストレート管2bは、図3図6図8に示すように、両者の突き合せ部に対応して設けたねじ穴7aと、そのねじ穴7aにねじ込む雄ねじ部7bとからなるジョイント7を用いて互いに連結されている。
【0037】
例示の噴管2は、ねじ穴7aをストレート管2bの前部に、雄ねじ部7bを屈曲管2aの後部にそれぞれ設けているが、ねじ穴7aと雄ねじ部7bは、互いの設置位置が置き換えられていても構わない。
【0038】
噴管2には、雄ねじ部7bの外周に螺合させるロックスリーブ8が含まれている。そのロックスリーブ8は、図6図8に詳しく示すように、屈曲管2aの後部側(雄ねじ部7bよりも前側部分)を挿入する第1ソケット部8aと、ストレート管2bの前部を挿入する第2ソケット部8bと、雌ねじ部8cとを有する。雌ねじ部8cは、第1ソケット部8aと第2ソケット部8bとに挟まれる位置にある。
【0039】
ロックスリーブ8は、ポリアセタールなどの高強度樹脂で形成されたものが用いられている。このロックスリーブ8は、ジョイント7の雄ねじ部7bに予め螺合させておいて使用される。
【0040】
噴管2の屈曲管2aの先端とストレート管2bの外周には、前記噴霧ノズル3、4がそれぞれ設けられている。
【0041】
屈曲管2aの先端の噴霧ノズル3は、図3図4に示すように、屈曲管2aの先端に設けた雄ねじ6にノズルホルダ9を螺合させ、そのノズルホルダ9で保持している。
【0042】
噴霧ノズル3は、フィルタ3a、ノズルホルダ9に螺合させるユニオンナット(キャップ)3b、そのユニオンナット3bを回り止めするロックナット3c、ユニオンナット3bで締付けてノズルホルダ9の先端に固定する噴板ホルダ3d、その噴板ホルダ3dで保持した噴板3e及び、噴板ホルダ3dとノズルホルダ9との間に挟持されてフィルタ3aを定位置に固定するパッキン3fを組み合わせたものを例示した。
【0043】
噴板3eは、中央に噴口を有しており、噴管2に導入された噴霧液がその噴口から霧化されて外部に噴射される。この噴霧ノズル3は、周知の他の構造の噴霧ノズルに置き換えることができる。
【0044】
ストレート管2bの外周の噴霧ノズル4は、本出願人が前記特許文献1で提案しているものが設けられている。
【0045】
その噴霧ノズル4は、図5に示すように、噴管2のストレート管2bの外周の半周に抱きつかせるロアクランプ4a、噴管2の外周の残りの半分に抱きつかせるアッパークランプ4b、ロアクランプ4aとアッパークランプ4bを互いに固定する締結部材(図示せず)を有する。
【0046】
これらのほかに、フィルタ4c、ロアクランプ4aに螺合させるユニオンナット(キャップ)4d、そのユニオンナット4dを回り止めするロックナット4e、噴口を有する噴板4fと噴板ホルダ4gを一体化した噴口ピース4h、噴板ホルダ4gとロアクランプ4aとの間に挟持されてフィルタ4cを定位置に固定するパッキン4i、及びOリング4jを組み合わせたものになっている。
【0047】
ロアクランプ4aと、アッパークランプ4bと、締結部材の3者は噴口ピース4hを定位置に保持するホルダとして働く。
【0048】
噴口ピース4hは、噴口を有する噴板4fと噴板ホルダ4gを一体化したものであって、ユニオンナット4dで締付けてロアクランプ4aの先端に固定される。
【0049】
噴管2のノズル装着部には、図示した小孔の貫通孔2cが設けられている(図3図5参照)。図5に示すように、その貫通孔2cに、前記ロアクランプ4aに設けられた筒状差し込み部4kが挿入され、その筒状差し込み部4kの周囲が前記Oリング4jによって液密にシールされている。
【0050】
これにより、噴管2に導入された噴霧液がロアクランプ4aの内部通路経由で噴口ピース4hの設置部に流れて噴板4fの噴口から外部に噴射される。
【0051】
なお、ストレート管2bの外周に設ける噴霧ノズル4は、図1図2に示したように複数あってもよいし、1個のみでもよい。また、この噴霧ノズル4も、既知の他の構造のノズルであってもよい。ストレート管2bの外周に装着するホルダとそのホルダで支える噴板を備えていれば、例示の構造でなくても採用できる。
【0052】
前記ロックスリーブ8は、図6に示すように、雄ねじ部7bの根元側に螺合しており、このロックスリーブ8をロックナットとして働かせてねじ穴7aにねじ込んだ雄ねじ部7bを回り止めする。
【0053】
屈曲管2aとストレート管2bの接続は、ねじ穴7aに対して雄ねじ部7bをねじ込み終点近く迄ねじ込み、そのねじ込み終点近くで、屈曲管2aとストレート管2bの周方向相対位置の位置決めを行なってそれらの管に設けられた噴霧ノズル3、4の噴霧方向のずれを修正する。
【0054】
図7に、屈曲管2aとストレート管2bの周方向相対位置の位置決めを終えた状態を示す。この周方向相対位置の位置決めを行なう際には、図6に示すように、ロックスリーブ8を、極力雄ねじ部7bの根元近くまで移動させておく。
【0055】
噴霧ノズル3、4の噴霧方向のずれを修正したら、その後、図8に示すように、ロックスリーブ8を緩み方向(雄ねじ部7bから外れる方向)に回転させてねじ穴7aが設けられている側の管(図のそれはストレート管2b)の端面に強く押し当てる。
【0056】
このときの反力で、ロックスリーブ8の雌ねじ部8cが自身が螺合している雄ねじ部7bのねじ山に押し当てられる。これにより、ロックスリーブ8が、屈曲管2a及びストレート管2bとの間に生じる摩擦力で回り止めされ、噴霧ノズル3,4が正しい相対姿勢を保つ位置に固定される。
【0057】
また、屈曲管2aとストレート管2bの接続と、噴霧ノズル3,4の相対位置の固定が完了した状態では、屈曲管2aの後部がロックスリーブ8の第1ソケット部8aに、さらに、ストレート管2bの前部が第2ソケット部8bに適合した状態でそれぞれ挿入される。
【0058】
そのために、屈曲管2aとストレート管2bの接続部に側方から加わる力がロックスリーブ8に受け止められ、ねじ穴7aと雄ねじ部7bの嵌合部が曲げ力によってダメージを受けることもなくなる。
【0059】
ここで、ストレート管2bの外周に設ける噴霧ノズル4が例示のものである場合には、
雄ねじ部7bをねじ穴7aに対するねじ込み終点までねじ込む方法で屈曲管2aとストレート管2bを接続し、その後、ストレート管2bに噴霧ノズル3の向きに対応させた貫通孔2cをあけて噴霧ノズル4を装着する方法を採ることも考えられる。
【0060】
その方法によれば、ロックスリーブ8を用いずに屈曲管2aとストレート管2bをねじで接続して噴霧ノズル3,4の相対位置の位置決めの要望に応えることができるが、この方法では、生産性の悪化が避けられない。また、ねじ穴7aと雄ねじ部7bの嵌合部の保護も期待できない。
【0061】
ロックスリーブ8を用いるこの発明の噴霧杆1によれば、そのような不具合も解消される。
【0062】
なお、例示の噴霧杆1は、操作杆5の先端に噴管2が継ぎ足すように接続された長尺の杆になっている。この長尺の噴霧杆は、作業者から噴霧ノズル3,4までの距離を延ばすことができ、畑、水田などにおいても安定した液体の散布が行なえる。
【0063】
図示の操作杆5は、作業者が掴むグリップ5aを有する。この操作杆5は、ステンレス鋼などの金属で形成された杆、繊維強化プラスチックスで形成された杆のいずれであってもよい。この操作杆5は、パイプで形成したものが重量増が抑えられて好ましい。
【0064】
パイプで形成される操作杆は、内部の穴を噴管の内部に通じた液体通路として利用することができるが、噴管2に対する噴霧液の供給は、噴管2の後部にホース(図示せず)を接続してそのホース経由で行なうこともできる。
【0065】
操作杆5の内部の穴を液体通路として利用する形態、ホース経由で噴管2に噴霧液を供給する形態のどちらも、操作杆5の根元近くに噴霧液の供給、停止の切替を行なうバルブ(これも図示せず)を設置すると好ましい。
【符号の説明】
【0066】
1 噴霧杆
2 噴管
2a 屈曲管
α 屈曲管の屈曲角
2b ストレート管
2c 貫通孔
3,4 噴霧ノズル
3a フィルタ
3b ユニオンナット
3c ロックナット
3d 噴板ホルダ
3e 噴板
3f パッキン
4a ロアクランプ
4b アッパークランプ
4c フィルタ
4d ユニオンナット
4e ロックナット
4f 噴板
4g 噴板ホルダ
4h 噴口ピース
4i パッキン
4j Oリング
4k 筒状差し込み部
5 操作杆
5a グリップ
6 ノズルホルダ装着用の雄ねじ
7 ジョイント
7a ねじ穴
7b 雄ねじ部
8 ロックスリーブ
8a 第1ソケット部
8b 第2ソケット部
8c 雌ねじ部
9 ノズルホルダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8