特許第6594415号(P6594415)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6594415ディップコーティング装置およびコーティングされた部材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594415
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】ディップコーティング装置およびコーティングされた部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 3/09 20060101AFI20191010BHJP
   B05C 1/02 20060101ALI20191010BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20191010BHJP
   B05D 1/18 20060101ALI20191010BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   B05C3/09
   B05C1/02
   A61M25/10 500
   B05D1/18
   B05D7/00 K
【請求項の数】20
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-515411(P2017-515411)
(86)(22)【出願日】2016年2月26日
(86)【国際出願番号】JP2016055935
(87)【国際公開番号】WO2016174913
(87)【国際公開日】20161103
【審査請求日】2019年1月7日
(31)【優先権主張番号】特願2015-92285(P2015-92285)
(32)【優先日】2015年4月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075409
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久一
(74)【代理人】
【識別番号】100129757
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久彦
(74)【代理人】
【識別番号】100115082
【弁理士】
【氏名又は名称】菅河 忠志
(74)【代理人】
【識別番号】100125243
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩彰
(72)【発明者】
【氏名】江田 拓朗
【審査官】 團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平2−152573(JP,A)
【文献】 特開2001−178825(JP,A)
【文献】 特開2013−192885(JP,A)
【文献】 特開2015−65986(JP,A)
【文献】 特開平9−24580(JP,A)
【文献】 実開昭63−82470(JP,U)
【文献】 特開昭53−90377(JP,A)
【文献】 特開昭56−17658(JP,A)
【文献】 特開昭62−126028(JP,A)
【文献】 米国特許第5558900(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B05C 1/00−21/00
B05D 1/00− 7/26
A61M 25/00−25/18
39/00−39/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用管状体に塗布材料をコーティングするディップコーティング装置であって、
前記塗布材料を貯留する貯留槽と、
前記医療用管状体を保持する棒形状の第1固定部と、
前記貯留槽の壁部に直接または間接に設けられており、前記第1固定部との間で磁気引力が働く第2固定部とを有しており、
前記第1固定部は、前記貯留槽の側壁に向かって凸となる凸部を有していることを特徴とするディップコーティング装置。
【請求項2】
前記貯留槽の前記側壁の少なくとも一部が、前記塗布材料の液面に対する垂直方向を基準に傾斜している請求項1に記載のディップコーティング装置。
【請求項3】
前記第1固定部が第1固定部材に設けられており、
前記第2固定部が第2固定部材に設けられている請求項1または2に記載のディップコーティング装置。
【請求項4】
前記貯留槽と前記第2固定部とが一体である請求項1または2に記載のディップコーティング装置。
【請求項5】
前記凸部は、前記第1固定部のうち前記医療用管状体を保持している部分よりも前記貯留槽の底に近い側に配置されている請求項1〜4のいずれか一項に記載のディップコーティング装置。
【請求項6】
前記第1固定部のうち前記医療用管状体を保持している部分が、前記医療用管状体の内腔に挿通されている請求項1〜5のいずれか一項に記載のディップコーティング装置。
【請求項7】
前記凸部と前記第2固定部との間で磁気引力が働いている請求項1〜6のいずれか一項に記載のディップコーティング装置。
【請求項8】
前記貯留槽の前記側壁には肉厚部が設けられている請求項1〜のいずれか一項に記載のディップコーティング装置。
【請求項9】
前記肉厚部は、前記塗布材料の液面に対する垂直方向において、前記貯留槽の下側から上側に向かって厚くなるように形成されている請求項に記載のディップコーティング装置。
【請求項10】
前記貯留槽の前記側壁は、前記貯留槽の内側に突出した部分を有する請求項1〜のいずれか一項に記載のディップコーティング装置。
【請求項11】
前記第1固定部と前記第2固定部のうち少なくとも一方が磁石を有する請求項1〜10のいずれか一項に記載のディップコーティング装置。
【請求項12】
前記磁石が電磁石である請求項11に記載のディップコーティング装置。
【請求項13】
前記貯留槽の前記側壁に、前記第1固定部との間で磁気斥力が働く緩衝部材を有している請求項1〜12のいずれか一項に記載のディップコーティング装置。
【請求項14】
並行している複数の前記第1固定部が、並行している複数の前記医療用管状体をそれぞれ保持する請求項1〜13のいずれか一項に記載のディップコーティング装置。
【請求項15】
前記医療用管状体が医療用カテーテルである請求項1〜14のいずれか一項に記載のディップコーティング装置。
【請求項16】
前記医療用カテーテルがバルーンカテーテルである請求項15に記載のディップコーティング装置。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載のディップコーティング装置によって製造された医療用管状体。
【請求項18】
医療用管状体に塗布材料をディップコーティングして得られるコーティングされた部材の製造方法であって、
前記医療用管状体、貯留槽の側壁に向かって凸となる凸部を有している棒形状の第1固定部に固定する工程と、
前記医療用管状体を、前記塗布材料が貯留されている前記貯留槽内に浸ける工程と、
前記第1固定部を、前記貯留槽の壁部に直接または間接に設けられており前記第1固定部との間で磁気引力を発生可能な第2固定部に近づける工程と、
前記第1固定部と前記第2固定部との近接を解除する工程と、
前記医療用管状体を、前記塗布材料が貯留されている前記貯留槽内から引き上げる工程と、を含むことを特徴とするコーティングされた部材の製造方法。
【請求項19】
前記第1固定部と前記第2固定部のうち少なくとも一方が電磁石を有しており、
前記第1固定部を、前記貯留槽の壁部に直接または間接に設けられており前記第1固定部との間で磁気引力を発生可能な第2固定部に近づける工程の後に、前記第1固定部と前記第2固定部の間で前記電磁石による磁気引力を発生させる請求項18に記載のコーティングされた部材の製造方法。
【請求項20】
医療用管状体前記第1固定部に固定する工程において前記医療用管状体の内腔に前記第1固定部を挿通する請求項18または19に記載のコーティングされた部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布材料を塗布することのできるディップコーティング装置と、被塗布部材に塗布材料がコーティングされた部材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塗布材料を被塗布部材に塗布する方式には、一般的にはディップコーティング、刷毛塗り、非静電スプレー塗装、静電スプレー塗装等の各種の方式がある。各塗布方式の性能は、塗布効率(塗布が必要な部位への投与量(g)/実際の塗布量(g))、面積生産性、塗布速度、塗膜の均一性、廃棄物の発生量、コストなどの指標で比較評価することができる。
【0003】
ディップコーティングは、液体の塗布材料を貯留した槽内に被塗布部材を浸して、引き上げる方法である。ディップコーティングは、被塗布部材に塗布材料を均一に塗布でき、塗布効率や面積生産性が高く、刷毛塗りよりも塗布材料内に異物が混入しにくく、スプレー塗装のようなノズルの詰まりも少ないことからよく用いられている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ガラス容器の外面にコーティング液を塗布するためのコーティング装置が記載されており、当該コーティング装置は、ディップ槽と、ガラス容器を自転自在に把持して搬送する無端搬送コンベアと、該コンベアのローラ部の外周面と接触してガラス容器を自転させる自転付与部とを有する。
【0005】
特許文献2には、円筒状金属部品の半分の範囲だけ塗布した後、残りの半分の範囲を塗布することにより、円筒状金属部品を支持する治具に塗料を付着させることなく処理することのできる、コーティング材塗布方法および塗布装置が記載されている。
【0006】
また、管状体の外表面を塗布するために、従来用いられてきたディップコーティング装置は、例えば、櫛状の固定部材と、固定部材の先端と係合する支持部材と、塗布材料を貯留する貯留槽を有する。そのような装置では、櫛状の固定部材に管状体を挿入し、管状体から露出した固定部材の先端と支持部材を係合した後、固定部材と支持部材と管状体とを一緒に塗布材料を貯留した貯留槽に浸けることにより、管状体への塗布材料の塗布を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−189210号公報
【特許文献2】特開平9−234407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のコーティング装置において、例えば、浮力が大きいガラスびんのような被塗布部材の場合、被塗布部材が塗布材料(コーティング液)中で移動してしまうことにより、他の被塗布部材やディップ槽の内壁と接触して、塗布不良が発生することがある。
【0009】
特許文献2のコーティング材塗布方法および塗布装置は、被塗布部材が外径の小さい管状体の場合に適用が難しく、1つの被塗布部材当たりに2回の塗布操作が必要であるから生産性を高めるのが困難である。また、塗布操作を2回に分けていることから、2つの塗布範囲の境界付近で塗布膜の膜厚にムラが発生するおそれがある。
【0010】
また、従来のディップコーティング装置は、管状体を塗布材料に浸漬する前後に、例えば櫛状の固定部材と支持部材の係合および解除操作が必要であるから、作業効率に関して改善の余地がある。また、被塗布部材である管状体だけではなく、本来、コーティングが不要な支持部材にも管状体の浸漬操作毎に塗布材料が付着するため、塗布効率が低下することも懸念される。
【0011】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、被塗布部材を固定する部材への塗布材料の付着を最小限に抑え、被塗布部材への塗布を容易に行うことができるディップコーティング装置と、被塗布部材に塗布材料をディップコーティングして得られるコーティングされた部材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成し得た本発明のディップコーティング装置とは、被塗布部材に塗布材料をコーティングするものであって、塗布材料を貯留する貯留槽と、被塗布部材を保持する第1固定部と、貯留槽の壁部に直接または間接に設けられており、第1固定部との間で磁気引力が働く第2固定部とを有する点に要旨を有するものである。本発明のディップコーティング装置は、被塗布部材を保持する第1固定部と、貯留槽の壁部に設けられている第2固定部との間で磁気引力が働くことにより、貯留槽内で被塗布部材は、第2固定部に引き寄せられた状態で固定される。したがって、本発明のディップコーティング装置は、被塗布部材が貯留槽内の塗布材料中で浮力を受けても、第1固定部は被塗布部材を保持したまま第2固定部に固定された状態を維持するため、被塗布部材は貯留槽内で移動しにくい。また、本発明のディップコーティング装置は、従来のディップコーティング装置のように被塗布部材の浸漬操作毎に、例えば櫛状の固定部材と係合する支持部材に塗布材料が付着することを抑制できるため、塗布材料の使用効率が高められる。
【0013】
本発明のディップコーティング装置は、被塗布部材に塗布材料をコーティングするディップコーティング装置であって、前記塗布材料を貯留する貯留槽と、前記被塗布部材を保持する第1固定部材と、前記貯留槽の壁部に直接または間接に設けられており、前記第1固定部材との間で磁気引力が働く第2固定部材とを有する構成であってもよい。つまり、第1固定部および第2固定部は、固定部材であってもよい。すなわち、第1固定部は、第1固定部材に設けられており、第2固定部は第2固定部材に設けられていてもよい。
【0014】
本発明のディップコーティング装置は、貯留槽と第2固定部が一体であってもよい。これにより、第1固定部と貯留槽との間で磁気引力が働くため、装置の構造を簡素化することができる。
【0015】
本発明のディップコーティング装置において、貯留槽は、塗布材料の液面と平行であって液面に近い第1断面の内径が、第1断面よりも底壁側の第2断面の内径よりも大きいことが好ましい。これにより、被塗布部材を塗布材料中に浸漬したり、塗布材料中から被塗布部材を引き上げるための貯留槽の開口部分の面積を大きくとることができる。その結果、本発明のディップコーティング装置では、被塗布部材と側壁との離間距離を大きくすることができるため、被塗布部材は側壁と接触しにくくなる。このため、被塗布部材と側壁との接触による被塗布部材の塗布不良の発生を抑えられる。
【0016】
本発明のディップコーティング装置において、貯留槽の側壁の少なくとも一部が、塗布材料の液面に対する垂直方向を基準に傾斜していることが好ましい。貯留槽の側壁が傾斜していれば、被塗布部材を塗布材料中に浸漬したり、塗布材料中から被塗布部材を引き上げるための貯留槽の開口部分の面積を大きくとることができる。その結果、本発明のディップコーティング装置では、被塗布部材と側壁との離間距離を大きくすることができるため、被塗布部材は側壁と接触しにくくなる。これにより、被塗布部材と側壁との接触による被塗布部材の塗布不良の発生を抑えられる。
【0017】
前記第1固定部が棒形状であることが好ましい。これにより、塗布部材が管状体である場合に、塗布部材の折れ曲がりを防止して固定することができる。また、前記第1固定部材が棒形状であって、一方端部における外径が、他方端部における外径よりも大きいことが好ましい。これにより、第1固定部材が側壁に近づいたとしても、比較的外径が大きい一方端部が先に貯留槽の側壁と接触し、被塗布部材と側壁との離間距離を一定程度確保することができる。このため、被塗布部材は側壁と接触しにくくなり、被塗布部材と側壁との接触による塗布不良の発生を抑えられる。
【0018】
本発明のディップコーティング装置において、第1固定部は貯留槽の側壁に向かって凸となる部分を有することが好ましい。これにより、第1固定部が側壁に近づいたとしても、第1固定部の側壁に向かって凸となる部分が先に貯留槽の側壁と接触することになる。このため、本発明のディップコーティング装置では、被塗布部材と側壁との離間距離を一定程度確保することができることから、被塗布部材は側壁と接触しにくくなり、被塗布部材と側壁との接触による塗布不良の発生を抑えられる。
【0019】
本発明のディップコーティング装置において、貯留槽の側壁には肉厚部が設けられていることが好ましい。これにより、貯留槽の側壁の肉厚部において第1固定部と第2固定部との間で働く磁気引力の強度を弱めることができるため、第1固定部と第2固定部との引き離しをスムーズに行うことができ、貯留槽内から被塗布部材および第1固定部を取り出しやすくなる。
【0020】
肉厚部は、塗布材料の液面に対する垂直方向において、貯留槽の下側から上側に向かって厚くなるように形成されていることが好ましい。これにより、第1固定部と第2固定部をより一層スムーズに引き離すことができる。
【0021】
本発明のディップコーティング装置において、貯留槽の側壁は、貯留槽の内側に突出した部分を有することが好ましい。これにより、第1固定部が貯留槽の側壁に近づいたとしても、貯留槽の内側に突出した部分が先に貯留槽と接触しやすくなる。このため、被塗布部材と側壁との離間距離を一定程度確保することができることから、被塗布部材は側壁と接触しにくくなり、被塗布部材と側壁との接触による塗布不良の発生を抑えられる。
【0022】
本発明のディップコーティング装置において、第1固定部と第2固定部のうち少なくとも一方が磁石を有することが好ましい。第1固定部と第2固定部の少なくとも一方が磁石を有していれば、第1固定部と第2固定部の間に磁気引力を発生させることができる。
【0023】
本発明のディップコーティング装置において、磁石が電磁石であることが好ましい。磁石が電磁石の場合には、磁気引力の強度を調整することができる。
【0024】
本発明のディップコーティング装置は、貯留槽の側壁に、第1固定部との間で磁気斥力が働く緩衝部材を有していることが好ましい。これにより、緩衝部材が設けられている領域において、第1固定部が貯留槽に接触するリスクを低減できる。
【0025】
並行している複数の第1固定部が、並行している複数の被塗布部材をそれぞれ保持することが好ましい。このように第1固定部を構成することにより、本発明のディップコーティング装置では、並行している複数の被塗布部材に対しても塗布材料を塗布することができる。
【0026】
本発明において、被塗布部材が医療用管状体であることが好ましい。また、本発明のディップコーティング装置は、医療用管状体が医療用カテーテルであっても好ましく用いることができる。本発明のディップコーティング装置は、被塗布部材のコーティングを容易に行うことができるため、医療用管状体や医療用カテーテルの生産性を高めることができる。さらに、本発明のディップコーティング装置は、医療用カテーテルがバルーンカテーテルであっても好ましく用いることができる。本発明のディップコーティング装置は、被塗布部材が浮力が大きい管状体であっても好適に使用できるからである。
【0027】
本発明は、上記ディップコーティング装置によって製造された医療用管状体であることが好ましい。上記ディップコーティング装置によって製造された医療用管状体は、塗布材料が均一に塗布されていることから、塗布材料の機能が十分発揮され、また、塗布膜による管状体の保護効果を期待できる。
【0028】
さらに、本発明は被塗布部材に塗布材料をディップコーティングして得られるコーティングされた部材の製造方法であって、被塗布部材を第1固定部に固定する工程と、被塗布部材を、塗布材料が貯留されている貯留槽内に浸ける工程と、第1固定部を、貯留槽の壁部に直接または間接に設けられており第1固定部との間で磁気引力を発生可能な第2固定部に近づける工程と、第1固定部と第2固定部との近接を解除する工程と、前記被塗布部を、前記塗布材料が貯留されている貯留槽内から引き上げる工程と、を含む点に要旨を有する。本発明のコーティングされた部材の製造方法は、被塗布部材を固定する第1固定部と、貯留槽の壁部に直接または間接に設けられて、第1固定部との間で磁気引力を発生可能な第2固定部に近づける工程を含んでいるため、第1固定部に固定された被塗布部材は第2固定部に引き寄せられて、貯留槽内で固定される。したがって、被塗布部材が浮力を受けやすい場合であっても、第1固定部は被塗布部材を固定した状態で第2固定部と引き合うため、被塗布部材は貯留槽内で移動しにくい。また、本発明のコーティングされた部材の製造方法は、従来のディップコーティング方法のように被塗布部材の浸漬操作毎に、例えば櫛状の固定部材と係合する支持部材に塗布材料が付着することを抑制できるため、塗布材料の使用効率が高められる。
【0029】
本発明のコーティングされた部材の製造方法は、第1固定部と第2固定部のうち少なくとも一方が電磁石を有しており、第1固定部を、貯留槽の壁部に直接または間接に設けられており第1固定部との間で磁気引力を発生可能な第2固定部に近づける工程の後に、第1固定部と第2固定部の間で電磁石による磁気引力を発生させることが好ましい。第1固定部と第2固定部のうち少なくとも一方が電磁石を有していれば、磁気引力の強度を調整することができる。また、第1固定部を第2固定部に近づける工程の後に磁気引力を発生させることによって、第1固定部と第2固定部との間の距離が急激に減少しながら第1固定部と第2固定部が互いに引き合うことを抑止できる。これにより、塗布材料に与える衝撃や振動を少なく抑えることができ、そのため被塗布部材に塗布される塗布材料の厚さを均一にすることができる。
【0030】
本発明のコーティングされた部材の製造方法は、被塗布部材が管状体であり、被塗布部材を第1固定部に固定する工程において管状体の内腔に第1固定部を挿通することが好ましい。管状体の内腔に第1固定部を挿通することによって、管状体の内腔に塗布材料が侵入しにくくなるため、管状体の内腔に塗布材料が付着することを抑えられる。
【発明の効果】
【0031】
本発明のディップコーティング装置およびコーティングされた部材の製造方法によれば、貯留槽内で被塗布部材が第2固定部に引き寄せられた状態で固定される。したがって、被塗布部材が貯留槽内の塗布材料中で浮力を受けても、第1固定部は被塗布部材を保持したまま第2固定部に固定された状態を維持するため、被塗布部材は貯留槽内で移動しにくい。また、従来のディップコーティング装置のように被塗布部材の浸漬操作毎に例えば櫛状の固定部材と係合する支持部材に塗布材料が付着することを抑制できるため、塗布材料の使用効率が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係るディップコーティング装置の側面図(一部断面図)を表す。
図2図2は、本発明の実施の形態1に係るディップコーティング装置の側面図(一部断面図)を表す。
図3図3は、本発明の実施の形態2に係るディップコーティング装置の側面図(一部断面図)を表す。
図4図4は、本発明の実施の形態2に係るディップコーティング装置の側面図(一部断面図)を表す。
図5図5は、本発明の実施の形態3に係るディップコーティング装置の側面図(一部断面図)を表す。
図6図6は、本発明の実施の形態3に係るディップコーティング装置の側面図(一部断面図)を表す。
図7図7は、本発明の実施の形態3に係るディップコーティング装置の側面図(一部断面図)を表す。
図8図8は、本発明の実施の形態4に係るディップコーティング装置の側面図(一部断面図)を表す。
図9図9は、本発明の実施の形態5に係るディップコーティング装置の斜視図(一部断面図)を表す。
図10図10は、本発明の実施の形態6に係るディップコーティング装置の側面図(一部断面図)を表す。
図11図11は、被塗布部材である管状体の内腔に第1固定部を挿入した例を示す断面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴を理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0034】
本発明において、ディップコーティング装置は上下方向と左右方向を有する。なお、本願の図面のZ方向は、ディップコーティング装置の上下方向に相当し、本願の図面のX−Y方向は、塗布材料の液面に平行な方向に相当する。
【0035】
1.ディップコーティング装置
本発明のディップコーティング装置は、被塗布部材に塗布材料をコーティングするものであって、塗布材料を貯留する貯留槽と、被塗布部材を保持する第1固定部と、貯留槽の壁部に直接または間接に設けられており、第1固定部との間で磁気引力が働く第2固定部とを有する。本発明のディップコーティング装置は、被塗布部材を保持する第1固定部と、貯留槽の壁部に設けられている第2固定部との間で磁気引力が働くことにより、貯留槽内で被塗布部材は、第2固定部に引き寄せられた状態で固定される。したがって、被塗布部材が貯留槽内の塗布材料中で浮力を受けても、第1固定部は被塗布部材を保持したまま第2固定部に固定された状態を維持するため、被塗布部材は貯留槽内で移動しにくい。また、本発明のディップコーティング装置では、従来のディップコーティング装置のように被塗布部材の浸漬操作毎に例えば櫛状の固定部材と係合する支持部材に塗布材料が付着することを抑制できるため、塗布材料の使用効率が高められる。
【0036】
(実施の形態1)
図1および図2を用いて、本発明の実施の形態1に係るディップコーティング装置10(10A)について説明する。図1は、被塗布部材を塗布材料に浸けたときの側面図(一部断面図)であり、図2は、被塗布部材が引き上げられているときの側面図(一部断面図)を表す。ディップコーティング装置10Aは、貯留槽30と、第1固定部40と、第2固定部50とを有する。
【0037】
(1)被塗布部材
まず、ディップコーティング装置10によって塗布材料70が塗布される被塗布部材20について説明する。被塗布部材20は、少なくとも外表面に塗布材料70が塗布される部材であり、例えば、樹脂製、ガラス製や金属製の容器や管状体などが挙げられる。容器は、各種の気体、液体、固体を収納する部材である。管状体は、内腔を有する筒状の部材であり、例えば、単筒構造、直径の異なる複数の同心状の管から形成される多重筒構造、或いはこれらの組み合わせとすることができる。
【0038】
本発明のディップコーティング装置10は、第1固定部40と第2固定部50との間に発生する磁気引力によって、貯留槽30内での被塗布部材20の位置を固定することができる。このため本発明は、塗布材料70中で浮力を受けやすい被塗布部材20に対してコーティングするのに適している。さらに、本発明のディップコーティング装置10は、塗布膜厚の均一性を高くすることができるため、特に製品品質の安定性が求められる精密機器や医療分野の製品をコーティングする場合に好適である。
【0039】
本発明において、被塗布部材20が医療用管状体であることが好ましい。医療用管状体は樹脂製や金属製など、またはこれらを組み合わせたチューブであり、例えばカテーテル、樹脂ステント、ドレナージチューブ等に利用される。医療用管状体は、樹脂製であるものが多く、また、内腔を有することから塗布材料70に対する比重が小さいものが多い。このため、塗布材料70中で医療用管状体は、浮力を受けて浮き上がったり、塗布材料70を貯留する貯留槽30の側壁に接触したり、或いは塗布材料70中で揺動したりするため、その位置が定まりにくい。しかし、後述するように、本発明のディップコーティング装置10は浮力を受けやすい被塗布部材20であっても貯留槽30内での位置を固定しやすいものである。
【0040】
医療用管状体が医療用カテーテルであることが好ましい。本発明のディップコーティング装置10を用いれば、被塗布部材20のコーティングを容易に行うことができるため、医療用カテーテルの生産性を高めることができる。また、医療用カテーテルがバルーンカテーテルであってもよい。本発明のディップコーティング装置10は、浮力を受けやすい被塗布部材20にも適しているからである。
【0041】
(2)塗布材料
被塗布部材20に塗布される塗布材料70は液体または液状のものであればよく、例えばシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、或いはこれらの混合物等を溶媒によって希釈したものを用いることができる。塗布材料70の種類は、被塗布部材20に求められる機能、例えば、被塗布部材の摺動性向上、貯留槽の洗浄性がよいこと、取り扱いの容易性、被塗布部材の保護および補強を考慮して適宜選択することができる。また、被塗布部材が医療用の場合には、塗布材料70の種類は、人体に無害であること、抗血栓性、中でも薬剤を塗布する場合にはその治療効果等を考慮して適宜選択することができる。
【0042】
(3)貯留槽
貯留槽30は、塗布材料70を貯留するものであり、壁部31を有する。壁部31は底壁32と側壁33から構成される。貯留槽30の形状は特に制限されず、被塗布部材20および第1固定部40を貯留槽30内に出し入れするための開口部34を有していればよい。また、貯留槽30の開口部34には、塗布材料70への異物の混入を抑止するために蓋(図示していない)が設けられてもよい。塗布材料70の液面(X−Y方向)に対する垂直方向(Z方向)において、開口部34は、貯留槽30の側壁33の上側に設けられることが好ましく、側壁33の上側端部に設けられることがより好ましい。
【0043】
図1および図2に示すように貯留槽30の側壁33の少なくとも一部が、塗布材料70の液面(X−Y方向)に対する垂直方向(Z方向)を基準に傾斜していることが好ましい。図1および図2において、傾斜角はθで表されている。貯留槽30の側壁33が傾斜していれば、被塗布部材20を塗布材料70中に浸漬したり、塗布材料70中から被塗布部材20を引き上げるための貯留槽30の開口部分の面積を大きくとることができる。その結果、本発明のディップコーティング装置では、被塗布部材20と側壁33との離間距離を大きくすることができるため、被塗布部材20は側壁33と接触しにくくなる。これにより、被塗布部材20と側壁33との接触による被塗布部材20の塗布不良の発生を抑えられる。
【0044】
傾斜角θが小さすぎると、被塗布部材20が側壁33に接触するおそれがあるため、傾斜角θの下限値は5度が好ましく、10度がより好ましく、15度がさらに好ましい。他方、傾斜角θが大きすぎると、貯留槽30の開口部34における面積が大きくなりすぎて、X−Y方向における装置のサイズが増大することから、傾斜角θの上限値は70度が好ましく、60度がより好ましく、50度がさらに好ましい。
【0045】
また、被塗布部材20の塗布不良の発生を抑えるために、貯留槽30は、塗布材料70の液面(X−Y方向)に対する垂直方向(Z方向)の上側(開口部34側)における断面積が、下側(底壁32側)における断面積よりも大きいことが好ましい。貯留槽30中の塗布材料70は、塗布材料70の液面(X−Y方向)に平行であって液面に近い第1断面の面積が、第1断面よりも底壁側の第2断面の面積よりも大きいことが好ましい。つまり、貯留槽30の上側断面の内径は、下側断面の内径より大きいことが好ましい。これにより、被塗布部材を塗布材料中に浸漬したり、塗布材料中から被塗布部材を引き上げるための貯留槽の開口部分の面積を大きくとることができる。その結果、本発明のディップコーティング装置では、被塗布部材と側壁との離間距離を大きくすることができるため、被塗布部材は側壁と接触しにくくなる。
【0046】
貯留槽30の材質は特に制限されないが、例えばSUS304、SUS316、SUS420、SUS430等のステンレス鋼等の金属材料、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の高分子材料、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石等の磁束密度の高い永久磁石や電磁石、或いはこれらの組み合わせを用いることができる。中でも第1固定部40や第2固定部50を貯留槽30の壁部31と接触させた状態で移動させる場合には、貯留槽30は摩擦抵抗が小さく、滑り性が良い材質により形成されていることが好ましい。例えば、SUS304等のステンレス鋼の表面をPTFE等のフッ素樹脂で被覆したものを貯留槽30として用いることができる。なお、第1固定部40と第2固定部50との間の磁界をできるだけ遮蔽せず、磁気引力の強度を確保するために、貯留槽30の材料として磁性体を用いないことが好ましく、また、貯留槽30の肉厚は薄い方が好ましい。
【0047】
図1および図2に示すように、貯留槽30の側壁33には肉厚部35が設けられていることが好ましい。貯留槽30の肉厚部35において第1固定部40と第2固定部50との間で働く磁気引力の強度を弱めることができるため、貯留槽30内から被塗布部材20および第1固定部40を取り出しやすくなる。肉厚部35は、塗布材料の液面に対する垂直方向において、貯留槽30の下側から上側に向かって厚くなるように形成されていることが好ましい。特に、図1および図2に示すように、肉厚部35の底壁側が、貯留槽30の下側から上側に向かって厚くなるように形成されていることがより好ましい。これにより、第1固定部40と第2固定部50との間の距離が急激に増加することはないため、第1固定部40と第2固定部50をスムーズに引き離すことができる。また、本発明のディップコーティング装置では、第2固定部50が肉厚部35を通過する際に第1固定部40に与える衝撃や振動を少なく抑えることができ、そのため被塗布部材20に塗布される塗布材料70の厚さを均一にすることができる。
【0048】
(4)第1固定部
第1固定部40は、貯留槽30内において被塗布部材20を保持するものであり、後述する第2固定部50との間で磁気引力が働く。第1固定部40の形状は、塗布材料70に対する被塗布部材20の比重や被塗布部材20の形状などに応じて以下のように適宜設定することができる。第1固定部40は、固定部材であってもよい。すなわち、第1固定部40は、第1固定部材に設けられていてもよい。
【0049】
塗布材料70に対する被塗布部材20の比重が大きい場合には、被塗布部材20の浮力が小さいことから貯留槽30内で被塗布部材20の位置を固定しやすいため、被塗布部材20の少なくとも一部を固定できればよい。例えば、第1固定部40は、被塗布部材20の塗布範囲以外の部分を把持する把持部を有し、被塗布部材20を把持することにより固定してもよい。
【0050】
他方、塗布材料70に対する被塗布部材20の比重が小さい場合には、被塗布部材20は塗布材料70中で浮力を受けて移動することがある。したがって、塗布材料70に対する被塗布部材20の比重が小さい場合には、被塗布部材20全体が固定されていることが好ましく、被塗布部材20が管状体である場合には、管状体の内腔に第1固定部40が挿入されていることが好ましい。これにより、塗布材料70に対する被塗布部材20の比重を実質的に大きくできるため、貯留槽30内で被塗布部材20は移動しにくくなり、その位置を固定しやすくなる。
【0051】
被塗布部材20が管状体の場合、第1固定部40は棒状体(棒形状)であることが好ましい。これにより、被塗布部材20の折れ曲がりを防止して固定することができる。棒状体は、管状体の内腔に挿入される棒状の部材であり、塗布材料70中で浮力を受けることによって管状体が曲げられるのを防ぐ。一般に、被塗布部材20が塗布材料70の液面から引き上げられるときに被塗布部材20の外表面に塗布材料70が付着するが、塗布材料70の液面(X−Y方向)に対して被塗布部材20の軸方向が垂直に配置されることによって、塗布膜の膜厚は均一になる。このため、被塗布部材20が弾性を有する管状体の場合には、できる限り管状体を真っ直ぐにして液面と垂直な状態を保った状態で、被塗布部材20を塗布材料70中から引き上げるために、管状体を保持する部材として棒状体が好ましい。また、管状体の内腔に棒状体が挿入されていれば、管状体の内腔に侵入する塗布材料70を低減することができるため、塗布材料70の管状体の内表面への付着を抑制できる。
【0052】
棒状体は、管状体の内腔に挿入可能な形状であれば特に限定されないが、製造を容易にするためには円柱状、多角柱状であることが好ましい。また、棒状体と管状体が接触したときの応力集中を抑止するために、棒状体は円柱状や楕円柱状であることが好ましい。さらに、管状体に棒状体を挿入しやすくするために、棒状体の長軸方向が、管状体の長軸方向と平行であることが好ましい。
【0053】
棒状体は、軸方向に沿って貫通する流路を有していてもよい。すなわち、棒状体は、筒状、或いは円柱状や多角柱状等の柱状物の表面に溝が形成された形状でもよい。このように流路を有する棒状体が挿入された管状体を貯留槽30の塗布材料70中に浸漬する際に、貯留槽30のZ方向上側から下側に向かって流路に気体を流すことによって、管状体のZ方向下側から管状体の内腔に侵入しようとする塗布材料70を押し出すことができるため、管状体の内表面への塗布材料70の付着を抑制できる。
【0054】
第1固定部40が棒状体の場合に、管状体の内表面に塗布材料70が付着することをさらに抑制するためには、管状体に棒状体を挿入した状態で、管状体の内表面から第1固定部40の外表面までの距離の上限値は、150μmが好ましく、140μmが好ましく、130μmが好ましい。他方、管状体の内腔への第1固定部40の挿入を容易にする観点から、管状体に棒状体を挿入した状態で、管状体の内表面と第1固定部40の外表面の距離の下限値は、15μmが好ましく、20μmがより好ましく、30μmがさらに好ましい。なお、管状体の内表面から第1固定部40の外表面までの距離は、第1固定部40の全周囲において一定である場合も、一定でない場合も、上記範囲であることが好ましい。
【0055】
(5)第2固定部
第2固定部50は、貯留槽30の壁部31に設けられており、第1固定部40との間で磁気引力が働くものである。これにより、被塗布部材20が塗布材料70中で浮力を受けても、貯留槽30内で被塗布部材20は、第2固定部50に引き寄せられた状態で固定される。したがって、被塗布部材20が貯留槽30内の塗布材料70中で浮力を受けても、第1固定部40は被塗布部材20を保持したまま第2固定部50に固定された状態を維持するため、被塗布部材20は貯留槽30内で移動しにくい。また、従来のディップコーティング装置のように被塗布部材の浸漬操作毎に、例えば櫛状の固定部材と係合する支持部材に塗布材料が付着することを抑制できるため、塗布材料の使用効率が高められる。第2固定部50は、固定部材であってもよい。すなわち、第2固定部50は、第2固定部材に設けられていてもよい。
【0056】
第2固定部50は、貯留槽30の壁部31の内側に設けられてもよく、外側に設けられてもよいが、貯留槽30内に貯留可能な塗布材料70の容量を大きくする点と、第2固定部50への塗布材料70の付着を防止する点からは第2固定部50は壁部31の外側に設けられることが好ましい。また、第2固定部50は、貯留槽30の壁部31に直接に設けられてもよく間接に設けられてもよい。第2固定部50は、貯留槽30の壁部31に直接取り付けられていてもよく、接着剤などを介して間接的に取り付けられていてもよい。貯留槽30の壁部31と、第2固定部50は一体であってもよい。この場合、第1固定部40が磁石を有しており、壁部31が磁石と引き合う材料であることが好ましい。なお、本発明において「貯留槽の壁部と第2固定部が一体」とは、貯留槽が第1固定部との間で磁気引力が働く材料で形成されていることを意味する。
【0057】
第1固定部40と第2固定部50のうち少なくとも一方が磁石を有することが好ましい。第1固定部40と第2固定部50の少なくとも一方が磁石を有していれば、第1固定部40と第2固定部50の間に磁気引力を発生させることができる。磁石は、貯留槽30の側壁33を介しても十分な磁力を有する必要があるため、例えばネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石等の磁束密度の高い永久磁石を用いることができる。なお、第1固定部40と第2固定部50は、一方が磁石であり、他方が磁石と引き合う磁性材料でもよい。すなわち、第1固定部40が磁石の場合、第2固定部50には、例えば磁石と引き合うSUS304、SUS316、SUS420、SUS430等のステンレス鋼等の金属材料を用いることができる。また、第2固定部50が磁石の場合、第1固定部40には、例えば磁石と引き合うSUS304、SUS316、SUS420、SUS430等のステンレス鋼等の金属材料を用いることができる。
【0058】
磁石が電磁石であることが好ましい。磁石が電磁石の場合には、磁気引力の強度を調整することができるからである。
【0059】
なお、ディップコーティング装置10には、第1固定部40と接続される第1駆動部61と、第1駆動部61を支持する第1軸部62と、第2固定部50と第1駆動部61を接続する接続部63と、第2固定部50の進路を誘導する案内部64とを有する駆動手段60が設けられてもよい。
【0060】
図1および図2では、第1固定部40の上側部が第1駆動部61に接続されている。第1駆動部61を支持する第1軸部62の軸方向が、貯留槽30の側壁33の傾斜している部分と平行に配置されている。このため、第1駆動部61を第1軸部62に沿って移動させることにより、第1駆動部61に接続されている第1固定部40を貯留槽30の傾斜に沿って移動させることができる。
【0061】
図1および図2に示すように、第1固定部40を移動させる第1駆動部61が、第2固定部50にも接続されることが好ましい。磁気引力が働く第1固定部40と第2固定部50を連動させることができるため、貯留槽30のZ方向全体で、被塗布部材20の位置が固定されやすくなる。なお、図1および図2では、接続部63を介して第1駆動部61と第2固定部50が接続されている。
【0062】
第2固定部50が意図せずに貯留槽30から離れて磁気引力が弱まることを抑止するために、ディップコーティング装置10Aには第2固定部50の進路を誘導する案内部64を設けることもできる。磁気引力が弱まることを抑制するためには、案内部64の少なくとも一部が傾斜していることが好ましく、貯留槽30の側壁33と平行に傾斜していることがより好ましい。
【0063】
以下では、図1図2に示したディップコーティング装置10Aとは異なる態様のディップコーティング装置について図3図10を参照しながら説明する。なお、図3図10の説明において上記の説明と重複する部分は説明を省略する。図3図8図10は、ディップコーティング装置の側面図(一部断面図)であり、図9はディップコーティング装置の斜視図(一部断面図)を表す。
【0064】
(実施の形態2)
図3および図4を用いて、貯留槽30の側壁33に傾斜が設けられない実施の形態2に係るディップコーティング装置10(10B)について説明する。図3は、被塗布部材20が塗布材料70中に浸けられているときの側面図(一部断面図)を表し、図4は、被塗布部材20が引き上げられているときの側面図(一部断面図)を表す。
【0065】
貯留槽30の側壁33と被塗布部材20の接触を抑制するためには、ディップコーティング装置10Bの第1固定部40の外径は、軸方向において一様の大きさでなくてもよい。ディップコーティング装置10Bの第1固定部40が棒状体(棒形状)であって、該棒状体の一方端部における外径が、他方端部における外径よりも大きいことが好ましく、底壁32側の外径が、開口部34側の外径より大きいことがより好ましい。
【0066】
具体的には、ディップコーティング装置10Bの第1固定部40は、側壁33に向かって凸となる部分(以下、「凸部」と記載する)を有することが好ましい。これにより、第1固定部40が側壁33に近づいたとしても、凸部41が先に貯留槽30の側壁33と接触することになる。また、被塗布部材20と側壁33との離間距離を一定程度確保することができることから、被塗布部材20は側壁33と接触しにくくなり、被塗布部材20と側壁33との接触による塗布不良の発生を抑えられる。凸部41は、第1固定部40の一方端部に設けられていることが好ましく、底壁32側に近接して配置される第1固定部40の一方端部に設けられていることがより好ましい。
【0067】
図3および図4では、第1固定部40の凸部41は、管状体である被塗布部材20の外径よりも大きい直径を有する球状に形成されている。このように凸部41が球状に形成されていれば、全周にわたって被塗布部材20が側壁33と接触しにくくなるため好ましい。球状の凸部41は、第1固定部40の一方端部をレーザー等によって溶融することにより形成できる。
【0068】
図示していないが、第1固定部40が棒状体の場合、凸部41は、第1固定部40の一方端部を、プレス機等を用いて一方向に折り曲げることによって形成されてもよい。また、レーザー等によって所望の形状に成形した凸部41を第1固定部40に接続してもよい。
【0069】
ディップコーティング装置10Bは、貯留槽30の側壁33に傾斜が設けられていないことから、第1駆動部61は第1固定部40および第2固定部50と同一方向(Z方向)に移動する。このため実施の形態1と比較して、X−Y方向において装置を小型化することができる。
【0070】
(実施の形態3)
図5図7を用いて、貯留槽30の側壁33に傾斜が設けられない実施の形態3に係るディップコーティング装置10(10C)について説明する。図5は、被塗布部材20が塗布材料70に浸けられているときの側面図(一部断面図)を表し、図6は、被塗布部材20が引き上げられているときの側面図(一部断面図)を表し、図7は、第1固定部40が引き上げられているときの側面図(一部断面図)を表す。
【0071】
図5図7に示すように、ディップコーティング装置10Cの貯留槽30の側壁33は、貯留槽30の内側に突出した部分(以下、「突出部」と記載する)を有することが好ましい。これにより、第1固定部20が側壁33に近づいたとしても、突出部36が先に貯留槽30と接触しやすくなる。このため、被塗布部材20と側壁33との離間距離を一定程度確保することができることから、被塗布部材20は側壁33と接触しにくくなり、被塗布部材20と側壁33との接触による塗布不良の発生を抑えられる。
【0072】
突出部36は、貯留槽30を上下方向(Z方向)に3等分割したときの下側部に形成されることが好ましい。突出部36が貯留槽30の上側に形成されると、被塗布部材20を貯留槽30内に移動させる際に所望の塗布範囲に到達する前に第1固定部40が突出部36と接触するおそれがあるためである。
【0073】
突出部36は、貯留槽30の周方向の一部に設けられていればよいが、貯留槽30と被塗布部材20との接触リスクを低減するためには、突出部36は貯留槽30の周方向全体にわたって設けられていることがより好ましい。
【0074】
図5図7では、貯留槽30の突出部36の外側に直方状の第2固定部50が設けられているため、より一層、突出部36において第1固定部40と接触しやすい。図5図7では、第2固定部50が貯留槽30の外側に配されている例を示したが、第1固定部40と第2固定部50との間に働く磁気引力が小さくて済むように、第2固定部50は貯留槽30の内側に配置することもできる。
【0075】
ディップコーティング装置10Cは、貯留槽30の壁部31に第2固定部50が固定されていることから、第2固定部50を動かすための駆動手段を設ける必要がない。また、実施の形態2と同様に、貯留槽30の側壁33に傾斜が設けられていないことから、実施の形態1と比較して、X−Y方向において装置を小型化することができる。
【0076】
なお、ディップコーティング装置10Cには被塗布部材20と第1固定部40を貯留槽30内外へ移動させるための駆動手段60が設けられている。駆動手段60は、被塗布部材20に接続されている第1駆動部61と、第1駆動部61を支持する第1軸部62と、第1固定部40に接続されている第2駆動部65と、第2駆動部65を支持する第2軸部66を有する。
【0077】
(実施の形態4)
図8は、本発明の実施の形態4に係るディップコーティング装置の側面図(一部断面図)を表す。図8に示すディップコーティング装置10(10D)は、第1固定部40と貯留槽30との間で磁気引力を働かせる構成例である。つまり、貯留槽と第2固定部とが一体の場合の構成例である。図8に示されるように、ディップコーティング装置10Dは、被塗布部材20に塗布材料70をコーティングするものであって、塗布材料70を貯留する貯留槽30と、被塗布部材20を保持し、かつ貯留槽30との間で磁気引力が働く第1固定部40とを有する。ディップコーティング装置10Dは、第1固定部40と貯留槽30との間で磁気引力が働くため、装置の構造を簡素化することができる。なお、第1固定部40と貯留槽30の少なくともいずれか一方が磁石を有していればよく、磁石は電磁石でもよい。この場合、他方は磁石と引き合うSUS304、SUS316、SUS420、SUS430等のステンレス鋼等の金属材料を用いることができる。
【0078】
(実施の形態5)
図9は、本発明の実施の形態5に係るディップコーティング装置の斜視図(一部断面図)である。図9に示すディップコーティング装置10(10E)は、複数の被塗布部材20を一緒に塗布する場合の構成例である。図9に示されるように、並行している複数の第1固定部40(40A、40B、40C)が、並行している複数の被塗布部材20(20A、20B、20C)をそれぞれ保持することが好ましい。このように第1固定部40を構成することにより、並行している複数の被塗布部材20に対しても塗布材料70を塗布することができるため、生産性が高められる。
【0079】
(実施の形態6)
図10は、本発明の実施の形態6に係るディップコーティング装置の側面図(一部断面図)を表しており、第1固定部40と緩衝部材55との間で磁気斥力を働かせる構成例を示している。ディップコーティング装置10(10F)では、第1固定部40が磁石を備え、貯留槽30が磁石と引き合うステンレス鋼で構成されていることが好ましい。図10に示すように、ディップコーティング装置10Fは、貯留槽30の側壁33に、第1固定部40との間で磁気斥力が働く緩衝部材55を有していることが好ましい。これにより、緩衝部材55が設けられている領域において、第1固定部40が貯留槽30に接触するリスクを低減できる。緩衝部材55は、貯留槽30の底壁32よりも上側に配置されていることがより好ましい。図10では、緩衝部材55は側壁33の内側に設けられているが、緩衝部材55は側壁33の外側に設けられていてもよい(図示せず)。このように緩衝部材55を設ける態様は、上述した実施の形態2〜4のように、側壁33が傾斜していない貯留槽30を用いる場合に好適に使用できる。
【0080】
本発明は、上記ディップコーティング装置によって製造された医療用管状体であることが好ましい。上記ディップコーティング装置によって製造された医療用管状体は、塗布材料70が均一に塗布されていることから、高い摺動性と、塗布膜による管状体の保護効果を期待できる。
【0081】
2.コーティングされた部材の製造方法
本発明は、被塗布部材に塗布材料をディップコーティングして得られるコーティングされた部材の製造方法であって、(1)被塗布部材を第1固定部に固定する工程と、(2)被塗布部材を、塗布材料が貯留されている貯留槽内に浸ける工程と、(3)第1固定部を、貯留槽の壁部に直接または間接に設けられており第1固定部との間で磁気引力を発生可能な第2固定部に近づける工程と、(4)第1固定部と第2固定部との近接を解除する工程と、(5)被塗布部材を、塗布材料が貯留されている貯留槽内から引き上げる工程と、を含む。実施の形態1にかかるディップコーティング装置の構成を示す図1図2図11を用いて、本発明のコーティングされた部材の製造方法について説明する。図11は、被塗布部材20の内腔に、軸方向(Z方向)に垂直な断面が円形の棒状体の第1固定部40を挿入した例を示す断面図を表す。
【0082】
(1)被塗布部材を第1固定部に固定する工程
被塗布部材20を第1固定部40に固定する。被塗布部材20の第1固定部40への固定は、第1固定部40と第2固定部50との間に働く磁気引力が十分弱い状態で、すなわち第1固定部40と第2固定部50を離間させた状態で行う。
【0083】
図11において被塗布部材20は多重筒構造の医療用管状体であり、多重筒構造の一部にバルーン部22が形成されているバルーンカテーテル21である。バルーンカテーテル21の内腔に第1固定部40が挿通されて、第1固定部40の貯留槽30側の一部がバルーンカテーテル21から露出している。このように、被塗布部材20が管状体であり、被塗布部材20を第1固定部40に固定する本工程において管状体の内腔に第1固定部40を挿通することが好ましい。管状体の内腔に第1固定部40を挿通することによって、管状体の内腔に塗布材料70が侵入しにくくなるため、管状体の内腔に塗布材料70が付着することを抑制できる。
【0084】
(2)被塗布部材を塗布材料が貯留されている貯留槽内に浸ける工程
図1に示すように、被塗布部材20を、塗布材料70が貯留されている貯留槽30内に浸ける。具体的には、図1において、第1駆動部61を第1軸部62に沿って図1のA方向に移動させることにより、第1固定部40および被塗布部材20も貯留槽30の側壁33に沿ってA方向に移動するため、貯留槽30の塗布材料70中に被塗布部材20が浸けられる。
【0085】
(3)第1固定部を、貯留槽の壁部に直接または間接に設けられており第1固定部との間で磁気引力を発生可能な第2固定部に近づける工程
第1固定部40を、貯留槽30の壁部31に直接または間接に設けられており第1固定部40との間で磁気引力を発生可能な第2固定部50に近づける。第1固定部40に固定された被塗布部材20は第2固定部50に引き寄せられて、貯留槽30内で固定される。
【0086】
なお、上記の(1)被塗布部材を第1固定部に固定する工程と、(2)被塗布部材を塗布材料が貯留されている貯留槽内に浸ける工程と、(3)第1固定部を、貯留槽の壁部に直接または間接に設けられており第1固定部との間で磁気引力を発生可能な第2固定部に近づける工程は、いずれか一方の工程が完了してから他方の工程が実施されてもよいし、同時にまたは時間差で実施されてもよい。
【0087】
本発明のコーティングされた部材の製造方法は、第1固定部40を第1固定部40との間で磁気引力を発生可能な第2固定部50に近づける工程を含んでいるため、第1固定部40は被塗布部材20を固定した状態で第2固定部50と引き合うことから、被塗布部材20は貯留槽30内で移動しにくい。したがって、本発明のコーティングされた部材の製造方法は、貯留槽30内での被塗布部材20の位置を固定することができるため、被塗布部材20が浮力を受けやすい場合の使用にも適している。また、従来のディップコーティング方法のように被塗布部材の浸漬操作毎に、例えば櫛状の固定部材と係合する支持部材に塗布材料が付着することを抑制できるため、塗布材料の使用効率が高められる。
【0088】
第1固定部40と第2固定部50のうち少なくとも一方が電磁石を有しており、第1固定部を、貯留槽の壁部に直接または間接に設けられており第1固定部との間で磁気引力を発生可能な第2固定部に近づける工程の後に、第1固定部40と第2固定部50の間で電磁石による磁気引力を発生させることが好ましい。第1固定部40と第2固定部50のうち少なくとも一方が電磁石を有していれば、磁気引力の強度を調整することができる。また、第1固定部を第2固定部に近づける工程の後に磁気引力を発生させることによって、第1固定部40と第2固定部50との間の距離が急激に減少しながら第1固定部40と第2固定部50が互いに引き合うことを抑止できる。これにより、塗布材料70に与える衝撃や振動を少なく抑えることができ、そのため被塗布部材20に塗布される塗布材料70の厚さを均一にすることができる。
【0089】
(4)第1固定部と第2固定部との近接を解除する工程
被塗布部材20が所望の塗布範囲まで浸かったら、第1固定部40と第2固定部50との近接を解除する。したがって、第1固定部40と第2固定部50の固定状態が解除される。
【0090】
(5)被塗布部材を、塗布材料が貯留されている貯留槽内から引き上げる工程
図2に示すように、第1固定部40をB方向に移動させて被塗布部材20を塗布材料70が貯留されている貯留槽30内から引き上げ、磁気引力が弱まるまで第1固定部40と第2固定部50を離間させる。図2に示すように貯留槽30に肉厚部35が設けられている場合には、第1固定部40と第2固定部50の磁気引力が弱まる貯留槽30の肉厚部35で第1固定部40と第2固定部50を離間させればよい。
【0091】
なお、上記の(4)第1固定部と第2固定部との近接を解除する工程と、(5)被塗布部材を、塗布材料が貯留されている貯留槽内から引き上げる工程は、いずれか一方の工程が完了してから他方の工程が実施されてもよいし、同時にまたは時間差で実施されてもよい。
【0092】
このようにして、被塗布部材20に塗布材料70がコーティングされた部材を得ることができる。本発明のコーティングされた部材の製造方法は、従来のディップコーティング方法のように被塗布部材の浸漬操作毎に、例えば櫛状の固定部材と係合する支持部材に塗布材料が付着することを抑制できるため、塗布材料の使用効率が高められる。
【0093】
本願は、2015年4月28日に出願された日本国特許出願第2015−92285号に基づく優先権の利益を主張するものである。2015年4月28日に出願された日本国特許出願第2015−92285号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
【符号の説明】
【0094】
10、10A、10B、10C、10D、10E、10F:ディップコーティング装置
20:被塗布部材
21:バルーンカテーテル
22:バルーン部
30:貯留槽
31:壁部
32:底壁、33:側壁、34:開口部、35:肉厚部、36:突出部
40:第1固定部
41:凸部
50:第2固定部
55:緩衝部材
60:駆動手段
61:第1駆動部
62:第1軸部
63:接続部
64:案内部
65:第2駆動部
66:第2軸部
70:塗布材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11