(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594417
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】誘導充電装置のための異物検知方法および誘導充電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 50/60 20160101AFI20191010BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20191010BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20191010BHJP
【FI】
H02J50/60
H02J7/00 301D
H02J50/12
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-516827(P2017-516827)
(86)(22)【出願日】2015年8月26日
(65)【公表番号】特表2017-529056(P2017-529056A)
(43)【公表日】2017年9月28日
(86)【国際出願番号】EP2015069499
(87)【国際公開番号】WO2016050423
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2017年3月28日
(31)【優先権主張番号】102014219968.9
(32)【優先日】2014年10月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ゴンダ,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】マック,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】クルペシェビッチ,ドラガン
【審査官】
遠山 敬彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−059236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/60
H02J 7/00
H02J 50/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリー装置(12)を誘導充電するための少なくとも1つの充電コイル(18)を有する発振回路(24)を備えた誘導充電装置(10)用の異物検知方法であって、
前記発振回路(24)の共振周波数(fR)とこれに属する実クオリティ(QI(fR))とを検知し、次に該実クオリティ(QI(fR))を、前記共振周波数(fR)に依存する目標クオリティ(QS(fR))と比較し、該実クオリティ(QI(fR))と所定の目標クオリティ範囲(qS)を用いて異物(11)があるかないかを判定し、該実クオリティ(QI(fR))が前記目標クオリティ範囲(qS)を下回る場合に前記異物(11)があると判定し、該実クオリティ(QI(fR))が前記目標クオリティ範囲(qS)内にある場合に前記異物(11)がないと判定するようにした前記異物検知方法において、
前記実クオリティ(QI(fR))に、前記誘導充電装置(10)の内部温度(T)をベースにした修正係数(K)を乗じ、前記バッテリー装置(12)が充電されている状態で、該修正係数(K)が乗じられた該実クオリティ(QI(fR))と前記目標クオリティ範囲(qS)としての第1の目標クオリティ範囲(30)を用いて前記異物(11)があるかないかを判定し、前記バッテリー装置(12)が載置されていない状態で、該修正係数(K)が乗じられた該実クオリティ(QI(fR))と前記第1の目標クオリティ範囲(30)と異なる前記目標クオリティ範囲(qS)としての第2の目標クオリティ範囲(32)を用いて前記異物(11)があるかないかを判定し、前記修正係数(K)は、前記充電コイル(18)の測定抵抗値から導出される
ことを特徴とする異物検知方法。
【請求項2】
前記目標クオリティ範囲(qS)の上限(qSo)および/または下限(qSu)に、前記修正係数(K)の逆数(1/K)を乗じる
ことを特徴とする、請求項1に記載の異物検知方法。
【請求項3】
前記修正係数(K)を、検知した前記内部温度(T)を用いて算出する
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の異物検知方法。
【請求項4】
前記修正係数(K)を、室温(TR)に対し1.0の値に規格化する
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一つに記載の異物検知方法。
【請求項5】
前記内部温度(T)が室温(TR)よりも上のときの前記修正係数(K)の推移を、実際に検知した前記内部温度(T)の推移に比べて平坦化させる
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一つに記載の異物検知方法。
【請求項6】
前記内部温度(T)は、ワイヤレスエネルギー伝送の間に検知される
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の異物検知方法。
【請求項7】
前記誘導充電装置(10)は、手持ち工作機械のための誘導充電装置である
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の異物検知方法。
【請求項8】
バッテリー装置(12)を誘導充電するための少なくとも1つの充電コイル(18)を有する発振回路(24)と、コントロールユニット(22)と、を備えた誘導充電装置(10)であって、
前記コントロールユニット(22)が、前記発振回路(24)の共振周波数(fR)と、これに属する実クオリティ(QI(fR))とを検知し、次に該実クオリティ(QI(fR))を、前記共振周波数(fR)に依存する目標クオリティ(QS(fR))と比較し、該実クオリティ(QI(fR))と所定の目標クオリティ範囲(qS)を用いて異物(11)があるかないかを判定し、該実クオリティ(QI(fR))が前記目標クオリティ範囲(qS)を下回る場合に前記異物(11)があると判定し、該実クオリティ(QI(fR))が前記目標クオリティ範囲(qS)内にある場合に前記異物(11)がないと判定するようにした前記誘導充電装置において、
前記コントロールユニット(22)が、前記実クオリティ(QI(fR))に、前記誘導充電装置(10)の内部温度(T)をベースにした修正係数(K)を乗じ、前記バッテリー装置(12)が充電されている状態で、該修正係数(K)が乗じられた該実クオリティ(QI(fR))と前記目標クオリティ範囲(qS)としての第1の目標クオリティ範囲(30)を用いて前記異物(11)があるかないかを判定し、前記バッテリー装置(12)が載置されていない状態で、該修正係数(K)が乗じられた該実クオリティ(QI(fR))と前記第1の目標クオリティ範囲(30)と異なる前記目標クオリティ範囲(qS)としての第2の目標クオリティ範囲(32)を用いて前記異物(11)があるかないかを判定し、前記修正係数(K)は、前記充電コイル(18)の測定抵抗値から導出される
ことを特徴とする誘導充電装置(10)。
【請求項9】
前記内部温度(T)は、ワイヤレスエネルギー伝送の間に検知される
ことを特徴とする請求項8に記載の誘導充電装置(10)。
【請求項10】
手持ち工作機械のための誘導充電装置である
ことを特徴とする請求項8または9に記載の誘導充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項に記載の種類の誘導充電装置のための異物検知方法および誘導充電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
歯ブラシ、モバイルトランシーバーのようなバッテリーで作動する手持ち機器、電気で作動する手持ち工作機械等をワイヤレスで充電することは知られている。このため、手持ち機器の誘導充電装置からバッテリー装置へ誘導エネルギー伝送するために電磁場が利用され、この場合誘導充電装置およびバッテリー装置または手持ち機器はそれぞれコイルを有しており、これらのコイルは互いにわずかな間隔で位置決め可能であり、したがって協働して実質的に1つの変圧器を形成している。
【0003】
電磁場の領域に導電性の異物が入り込むと、異物を加熱する渦電流が形成されることがある。異物が磁化可能であれば、磁気ヒステリシス損失またはヒステリシス損失によっても異物が加熱される。加熱は相当のものであり、その結果誘導充電システムの作動安定性をもはや保証できない。さらに、異物は電磁場からエネルギーを引き出し、その結果バッテリー装置へのエネルギー伝送が損なわれる。
【0004】
特許文献1から、バッテリー装置へワイヤレスでエネルギーを伝送するための誘導充電装置を備えた誘導式充電システムが知られている。この場合、充電コイルを備えた誘導充電装置の共振変圧器が交番電磁界を発生させる。電気パラメータに依存して充電コイルの領域で物体を検知するために、共振変圧器に特定機構が設けられている。さらに、誘導充電装置は共振変圧器のクオリティ係数を変化させるためのコントロールユニットを含み、低クオリティ係数時のエネルギー伝送と、高クオリティ係数時の物体の検知とを可能にしている。
【0005】
さらに、まだ公開されていない特許文献2からは、誘導充電装置のための異物検知方法が知られている。この方法では、誘導充電装置の発振回路の共振周波数とこれに属する実クオリティとが検知され、次にこの実クオリティが共振周波数に依存する目標クオリティと比較される。その後、所定の目標クオリティ範囲を用いて、異物があるかないかの判定が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102012205693号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102013212588号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、技術水準から知られている誘導充電装置用異物検知方法および対応する誘導充電装置をさらに改善して、異物の検知精度を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、誘導充電装置のための異物検知方法には、特にワイヤレスエネルギー伝送の間に、誘導充電装置の内部温度を検知し、実クオリティに、内部温度をベースにした修正係数を乗じることが設けられている。さらに本発明は、特に手持ち工作機械のための、発振回路とコントロールユニットとを備えた、本発明による異物検知方法を実施するための誘導充電装置に関し、誘導充電装置内に組み込まれた温度センサが誘導充電装置の内部温度を検知する。このようにして、温度の影響とはほとんど関係なく、小さな異物をも検知できるより堅固な異物検知が可能である。
【0009】
有利な構成では、目標クオリティ範囲の上限および/または下限に、修正係数の逆数を乗じる。これにより、修正した実クオリティと目標クオリティ範囲の限界値との間に一定の間隔を得ることができ、このことは、異物検知のための簡単な比較と、共振周波数とは独立の、異物検知の精度の十分一定の精度とを可能にする。
【0010】
修正係数は、少なくとも1つの充電コイルの測定した抵抗値から導出することができ、或いはこれとは択一的に、または、これに加えて、検知した内部温度を用いて算出することができる。この場合、修正係数を、特に25℃の平均室温に対し1.0の値に規格化する。このようにして、温度検知を損なわせる異物の影響を最小限にとどめること、または、回避させることができる。
【0011】
異物検知の精度をさらに良くするため、内部温度が比較的高いときの、特に室温よりも上のときの修正係数の推移を、実際に検知した温度に比べて平坦化させる。
【0012】
特に有利な態様では、少なくとも1つの温度センサは、発振回路の充電コイルに直接配置されておらず、また電力スイッチング要素のすぐ近くおよび誘導充電装置の他の自己発熱構成要素のすぐ近くにも配置されていない。これによって、誘導充電装置または発振回路の平均内部温度の正確な評価が可能である。
【0013】
本発明の他の利点は、従属請求項に記載された構成および図面並びに以下の説明から明らかである。
【0014】
次に、本発明を、
図1ないし図
4を用いて例を挙げて説明する。なお、図中の同じ参照符号は同じ機能を備えた同じ構成部材を示唆している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明による異物検知方法を実施するための誘導充電装置と、充電すべきバッテリー装置との図である。
【
図2】技術水準による誘導充電装置のコントロールユニットの関係テーブルをグラフの形態で示したものである。
【
図3】誘導充電装置の検知した内部温度Tに依存する修正係数の推移の第1実施形態のグラフである。
【
図4】誘導充電装置の検知した内部温度Tに依存する修正係数の推移の第2実施形態のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、異物11を検知するための本発明による方法を実施する誘導充電装置10を示している。
図1は、さらに、示していない手持ち工作機械を充電するバッテリー装置12を示している。誘導充電装置10は、充電システム14の一次側を形成し、手持ち工具バッテリーまたはバッテリーを組み込んだ手持ち工作機械として形成されたバッテリー装置12を充電するために設けられている。しかしながら、基本的には、誘導充電装置10を用いて、当業者にとって有意味と思われる他のバッテリー装置を充電することも考えられる。
【0017】
図1は、誘導充電装置10と充電すべきバッテリー装置12とを1つの充電作動で示している。この場合、バッテリー装置12は誘導充電装置10のハウジング16の上面に載置されており、誘導充電装置10の少なくとも1つの充電コイル18を介してワイヤレスで充電される。誘導充電装置10は充電電子ユニット20を有し、該充電電子ユニットは、コントロールユニット22と、少なくとも1つの充電コイル18および少なくとも1つのコンデンサ19を備えた発振回路24とを含み、発振回路は少なくとも1つの充電コイル18と電気接続されている。
【0018】
誘導充電装置10のコントロールユニット22は、共振周波数f
Rとこれに属する実クオリティQ
I(f
R)とを特定するために設けられている。さらに、コントロールユニット22は、実クオリティQ
I(f
R)を、共振周波数f
Rに依存する目標クオリティQ
S(f
R)と比較するために設けられている。この目的のため、コントロールユニット22はメモリ26を有し、該メモリ内には、検出された共振周波数f
Rに対して、複数の目標クオリティQ
S(f
R)を備えた目標クオリティ範囲q
Sを含んでいる関係テーブルがファイルされている(これに対しては、
図2に対する以下の説明も参照)。
【0019】
誘導充電装置10の充電作動の間、規則的な間隔で異物検知を実施する。異物検知の際には、充電作動を損なわせるような1つまたは複数の異物11が誘導充電装置10とバッテリー装置12との間、または、単純には誘導充電装置10の上だけにあるかどうか、および/または、操作者または誘導充電装置10に危険をもたらすかどうかをチェックする。異物検知は、まだ公開されていないDE102013212588号に記載されている方法に従って行い、すなわちまず共振周波数f
Rとこれに属する実クオリティQ
I(f
R)とを特定するように行う。次に実クオリティQ
I(f
R)を、共振周波数f
Rに依存する目標クオリティQ
S(f
R)と比較することで、定義された目標クオリティ範囲q
Sに基づいて、少なくとも1つの異物11が存在しているかどうかを最終的に判定する。
【0020】
図2は、メモリ26内にファイルされているコントロールユニット22の関係テーブルをグラフの形態で示したもので、横軸に共振周波数f
Rが、縦軸にクオリティQがプロットされている。グラフは3つの範囲30,32,34に分けられている。第1の範囲30は、バッテリー装置12を用いた作動に対する目標クオリティ範囲q
sによって形成されている。実クオリティQ
I(f
R)が範囲30の上限q
Soと下限q
Suとの内側にあれば、誘導充電装置10とバッテリー装置12との間の領域に異物11がないと前提する。さらに、バッテリー装置12が誘導充電装置10の上に載置されて充電をされるべきものと前提する。第2の範囲32は、バッテリー装置12なしの作動に対する目標クオリティ範囲q
Sによって形成されている。実クオリティQ
I(f
R)が範囲32の上限q
Soと下限q
Suとの内側にあれば、誘導充電装置10の上に異物11がないと前提する。さらに、バッテリー装置12は誘導充電装置10の上にないと前提する。
【0021】
第1の範囲30と第2の範囲32とを取り囲んでいる第3の範囲34は、誤差範囲によって形成されている。実クオリティQ
I(f
R)がこの範囲34にあれば、任意の誤差が存在するか、或いは、誘導充電装置10に対するバッテリー装置12の位置決めが悪く、バッテリー装置12の充電が可能でないか、または、非常に制限的にのみ可能であると前提する。なお誤差は誘導充電装置10内、バッテリー装置12内、および充電システム14の周囲にも存在しうる。第3の範囲34は2つの部分範囲34’,34”を有している。第3の範囲34の第1の部分範囲34’は、クオリティQに関し、第1の範囲30の下限q
Suの下側に配置されている。実クオリティQ
I(f
R)がこの第1の部分範囲34’の内側にあれば、少なくとも1つの異物11が誘導充電装置10とバッテリー装置12との間の領域にあると前提する。第3の範囲34の第2の部分範囲34”は、クオリティQに関し、第2の範囲32の下限q
Suの下側に配置されている。実クオリティQ
I(f
R)がこの第2の部分範囲34”の内側にあれば、少なくとも1つの異物11が誘導充電装置10の上にあると前提する。
【0022】
しかしながら、実クオリティQ
I(f
R)の推移はとりわけ温度の影響に依存している。すなわち、誘導充電装置10の内部温度Tが上昇すれば、実クオリティQ
I(f
R)は低下する。逆に、温度値の降下とともに実クオリティQ
I(f
R)は上昇する。これは、主に、充電コイル18の内部抵抗が温度Tの上昇とともに増大し、温度Tの降下とともに減少することに起因している。たとえばコンデンサのような発振回路24の他の構成要素も、実クオリティQ
I(f
R)に対して対応する温度の影響を持つことがある。温度の影響は異物検知の精度に悪影響する。それ故本発明の課題は、実クオリティQ
I(f
R)をこの種の温度の影響に十分依存しないようにすることである。
【0023】
本発明によれば、誘導充電装置10は温度センサ36(
図1を参照)を有し、該温度センサはコントロールユニット22と接続されて、少なくとも1つの充電コイル18の付近で誘導充電装置10の内部温度Tを検知する。誘導充電装置10または発振回路24の平均内部温度Tを可能な限り正確に評価するため、温度センサ36は、有利には、充電コイル18に直接配置されておらず、また電力スイッチング要素のすぐ近くおよび誘導充電装置10の他の自己発熱構成要素のすぐ近くにも配置されていない。このようにして、温度検知に対するこれら構成要素の温度悪影響を十分に最小化または回避させることができ、その結果少なくとも1つの充電コイル18によって発生する(加えて、充電コイル18のアースによって安定化される)誘導充電装置10の内部温度Tの影響を第一義的に考慮することができる。
【0024】
したがって、本発明による異物検知方法によれば、特にワイヤレスエネルギー伝送の間に誘導充電装置10の内部温度Tを検知し、測定した実クオリティQ
I(f
R)に、内部温度Tをベースにした修正係数Kを乗じる。補助的に、目標クオリティ範囲q
sの上限q
Soおよび/または下限q
Suに修正係数Kの逆数1/Kを乗じる。修正係数Kは、上述したように内部温度Tに依存して変化するので、少なくとも1つの充電コイル18の測定抵抗値から導出することができる。これとは択一的に、または、これに加えて、温度センサ36を用いて検知した内部温度Tを用いて修正係数Kを算出することが可能である。
【0025】
図3には、内部温度Tに依存する修正係数Kの推移が図示されている。修正係数Kは、温度限界値T
minとT
maxとによって定義される作業範囲内で、内部温度Tの上昇とともに非線形的に増大する。T
Rはたとえば25℃の平均室温であり、この平均室温のもとで修正係数Kは値K=1.0に規格化されている。しかし、室温T
Rとして、コントロールユニット22のメモリ26の内部にたとえば23℃または24.5℃のような他の値がファイルされていてよい。
【0026】
異物検知の感度は、内部温度Tが比較的高ければ、
図4に従って修正係数Kを適合させることによってさらに改善させることができる。この場合、室温T
Rのいくぶん上までは修正係数Kの推移は
図3の推移に対応している。しかしながら、これよりも高い温度値に対しては、修正係数Kの曲線は、破線で示したもともとの推移に比べて最大温度値T
maxまで平坦になる。このことは、実際に検知された温度影響をいくぶん少なめに相殺させるが、しかし他方で異物検知の精度を向上させる。
【0027】
最後に指摘しておくが、示した本発明の実施形態は図面に示した曲線推移にも、
図1による誘導性充電システムの構成にも限定されるものではない。
【符号の説明】
【0028】
10 誘導充電装置
11 異物
18 充電コイル
22 コントロールユニット
24 発振回路
36 温度センサ
f
R 共振周波数
K 修正係数
Q
I(f
R) 実クオリティ
Q
S(f
R) 目標クオリティ
q
S 目標クオリティ範囲
q
So 目標クオリティ範囲の上限
q
Su 目標クオリティ範囲の下限
T 誘導充電装置の内部温度
T
R 室温