【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの課題は、各独立請求項に記載されている対象によって解決される。本発明の有利な構成は、各従属請求項に記載されている。
【0010】
1つの態様によれば、車両を動作させるための方法が提供され、この方法では、車両が通信ネットワークを介して、車両を始動させるための始動信号を受信し、所定の1つ又は複数の条件が満たされている場合にのみ、車両は始動信号に応答して自律的に始動する。
【0011】
更に1つの態様によれば、車両を動作させるための装置が提供され、この装置は、通信ネットワークを介して、車両を始動させるための始動信号を受信するように構成されている通信インタフェースと、所定の1つ又は複数の条件が満たされている場合に、始動信号に応答して車両を自律的に始動させるように構成されている始動装置と、を含む。
【0012】
1つの別の態様によれば、駐車場のための駐車場管理サーバが提供され、この駐車場管理サーバは、車両を始動させるための始動信号を生成するように構成されているプロセッサと、始動信号を、通信ネットワークを介して車両に送信するように構成されている通信インタフェースと、を含む。
【0013】
1つの別の態様によれば、コンピュータプログラムがコンピュータにおいて実行されると、車両を動作させるための方法を実施するプログラムコードを含むコンピュータプログラムが提供される。
【0014】
1つの態様によれば、車両を動作させるための方法を実施するように設計されている車両が提供される。
【0015】
1つの実施の形態によれば、車両が、車両を動作させるための装置を含む。
【0016】
即ち本発明は、特に、車両を始動させるために車両外部の始動信号を用いる車両へのアクセスを、所定の1つ又は複数の条件が満たされている場合にのみ許可するという着想を含む。これによって、特に、車両へのアクセスを制限することができるという技術的な利点が得られる。つまりこのことは、特に、始動信号が車両を始動させるための信号としてはもはや十分ではないことを意味している。何故ならば、それに加えて、所定の1つ又は複数の条件が満たされなければならないからである。従って、有利には、安全性(例えば盗難に対する保護)を高めることができる。特に、合法性に関するアクセスを保証することができる。
【0017】
本発明の範囲における駐車場は、
駐車フロアと称することもでき、車両を駐車する場所として使用される。従って、駐車場は、特に(私有地の駐車場における)複数の駐車マス又は(公有地の駐車場における)複数の駐車区画を有している、1つの繋がったスペースを形成している。1つの実施の形態によれば、駐車場にパーキングビルを含ませることができる。特に、駐車場にはガレージが含まれる。
【0018】
本発明の範囲において「自律的」とは、特に、車両がスタンドアローンで、即ち、運転者が介入することなく移動又は走行することを意味している。即ち、車両はスタンドアローンで駐車場を走行し、その際に、運転者はその走行に関して車両を制御する必要はない。運転者自身が車内に留まる必要もない。自動的に入庫及び出庫することができるその種の自律的に走行する車両は、例えばAVP車両とも称される。AVPとは「automatic valet parking」の略記であり、「自動駐車プロセス」と翻訳することができる。このAVP機能を備えていない車両は、例えば、通常の車両と称される。
【0019】
本発明の範囲における引き渡し位置とは、車両の運転者が自身の車両を自律的な駐車プロセスのために停めることができ、且つ、そこにおいて、自身の車両を後の時点に再び引き取ることができる位置であると解される。
【0020】
本発明の範囲における駐車位置とは、車両が自律的に駐車すべき位置である。
【0021】
1つの実施の形態においては、車両が自律的に、引き渡し場所から駐車位置まで移動する。
【0022】
1つの別の実施の形態においては、車両が自律的に駐車位置に入庫する。
【0023】
1つの別の実施の形態においては、車両が自律的に駐車位置から出庫する。
【0024】
1つの実施の形態によれば、車両が自律的に、駐車位置から引き渡し場所まで移動する。
【0025】
1つの実施の形態によれば、1つ又は複数の条件には、車両が始動信号に応答して自律的に始動するためには、現在の車両位置が所定の空間領域内に位置していなければならないことが含まれる。これによって、特に、車両を車両外部の始動信号を用いて始動させるためには、車両が所定の空間領域内に存在していなければならないという技術的な利点が得られる。車両が所定の空間領域外に存在する場合には、もはや車両を始動させることはできない。
【0026】
1つの実施の形態によれば、所定の空間領域は駐車プロセスに対応付けられている。所定の空間領域が駐車プロセスに対応付けられているということは、特に、所定の空間領域内では車両は自律的に駐車することができるということを意味している。駐車プロセスは、通常の場合、駐車に関する個々の操作、例えば、駐車位置へと向かう走行、入庫、出庫及び引き渡し位置へと戻る走行を実施するために、ある程度の領域を必要とする。このために必要とされるこの領域は、所定の空間領域に含まれている。即ち、この実施の形態によれば、車両が駐車プロセスを実施することができる領域内に存在する場合にのみ、始動信号を用いて車両を始動させることができることが保証される。
【0027】
1つの実施の形態によれば、所定の空間領域は駐車場を含むか、又は、所定の空間領域は駐車場である。これによって特に、駐車場内でのみ、始動信号を用いて車両を始動させることができるという技術的な利点が得られる。車両が駐車場外に存在する場合には、即ち、例えば駐車場を離れた後では、車両をもはや始動信号を用いて始動させることはできない。従って、有利には、駐車場管理サーバによる車両へのアクセスは、自動的なバレーパーキングプロセスの枠内では実現されるが、しかしながら、その種の自動
的なバレーパーキングプロセスの枠外では実現されない。
【0028】
空間領域は、例えば、駐車場の平面図を用いて、特にパーキングビルの平面図を用いて、有利には、不正確性を防止するためにデルタを用いて規定されている、及び/又は、例えば所定の点(例えばGPS座標)を中心にした所定の範囲によって規定されている。
【0029】
1つの別の実施の形態においては、1つ又は複数の条件には、車両が始動信号に応答して自律的に始動するために、現在時刻が所定の時間帯内になければなら
ないことが含まれる。これによって、特に、所定の時間にのみ始動信号を用いて車両を始動させることができるという技術的な利点が得られる。この時間以外では、車両をもはや始動信号を用いて始動させることはできない。従って、有利には、車両へのアクセスを所定の時間だけに制限することができる。
【0030】
1つの別の実施の形態によれば、所定の時間帯は、駐車場における車両の駐車期間に対応する。これによって、特に、車両を始動させることを目的とした車両へのアクセスは、車両の駐車期間中にのみ実現されるという技術的な利点が得られる。つまりこのことは、特に、車両がもはや駐車されておらず、駐車場から既に離れている場合には、車両へのアクセスはもはや実現されないということを意味している。
【0031】
つまり例えば、時間的な制限を、即ち所定の時間帯を、規定された時間帯(例えば2時間)とすることができるか、又は、有利には駐車プロセスの終了によって規定することができる。更に、運転者が駐車場を、特にパーキングビルを頻繁に利用する場合には、所定の時間帯を、例えば「継続的な時間帯」(例えば1年間)によって規定することができる。
【0032】
1つの別の実施の形態によれば、車両始動
認証が駐車場の駐車場管理サーバに送信される。車両始動
認証は、所定の時間帯及び/又は所定の空間領域を規定しており、その範囲内で、駐車場管理サーバは始動信号を用いて、車両を始動させることができる。
【0033】
これによって特に、どの期間に、またどの領域において、駐車場管理サーバによる車両へのアクセスが実現されるかを、駐車場管理サーバに通知できるという技術的な利点が得られる。
【0034】
1つの別の実施の形態においては、受信した始動信号に基づく車両の自律的な始動に応答して、車両が始動信号に応答して始動したという情報信号が通信ネットワークを介して、通信ネットワークの加入者に送信される。
【0035】
これによって、特に、通信ネットワークの加入者には、車両が始動信号に応答して始動されたということに関する情報が提供されるという技術的な利点が得られる。通信ネットワークの加入者は、例えば、携帯電話である。その種の携帯電話は、例えば、車両の運転者が所有するものである。従って、車両の運転者には、車両が今まさに始動されたことが通知される。
【0036】
1つの別の実施の形態によれば、車両は始動された状態に維持されるべきという確認信号を、車両が通信ネットワークを介して加入者から受信しなかった場合には、車両は自律的に停止する。これによって、特に、車両を始動された状態に維持するために明示的な同意が必要になるという技術的な利点が得られる。つまり、車両の運転者は自身の携帯電話を介して、確認信号を車両に送信することができる。つまりこのことは、特に、運転者が明示的に、車両は始動状態に維持されるべきという自身の同意を明示的に示さなければならないということを意味している。
【0037】
1つの別の実施の形態においては、車両が、通信ネットワークを介して送信された加入者の中断信号の受信に応答して停止する。これによって、特に、運転者が明示的に中断を要求した場合には、車両が再び停止するという技術的な利点が得られる。最終的には、運転者が、自身の車両を始動された状態に維持するか否かについての管理権限を保持する。
【0038】
1つの別の実施の形態においては、車両の自律的な始動の前に、車両が始動信号に応答して始動されるという情報信号が、通信ネットワークを介して、通信ネットワークの加入者に送信される。つまりこのことは、車両の始動よりも更に前に、車両の運転者には、間もなく始動プロセスが開始されるという情報が提供されることを意味している。従って、運転者は自身の明確な同意を示すこと又は示さないことができる。
【0039】
つまり、1つの別の実施の形態によれば、車両が通信ネットワークの加入者からの確認信号を受信しなかった場合には、車両は自律的に始動しない。
【0040】
装置及び駐車場管理サーバの機能性は、方法の機能性からも同様に明らかになり、またそれとは反対に、方法の機能性は、装置及び駐車場管理サーバの機能性からも同様に明らかになる。
【0041】
以下では、複数の有利な実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。