【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この課題は、独立請求項に記載された個々の特徴によって解決される。従属請求項にはそれぞれ、本発明の有利な実施形態が示されている。
【0009】
1つの態様によれば、駐車場における車両の誘導方法が提供され、この場合、
・開始位置から目標位置に至る駐車場におけるルートを車両外部で特定し、
・このルートのうち少なくとも1つの区間を、通信ネットワークを介して車両に送信し、
・この車両を、上記区間を辿る走行時、この区間を辿る自律走行中の逸脱について、車両外部の監視システムによって監視する。
【0010】
さらに別の態様によれば、駐車場における車両の誘導装置が提供され、当該装置には、
・開始位置から目標位置に至る駐車場におけるルートを特定するように構成されている、プロセッサと、
・上記のルートのうち少なくとも1つの区間を、通信ネットワークを介して車両に送信するように構成されている、通信インタフェースと、
・この車両を、上記の区間を辿る自律走行時、この区間を辿る走行中の逸脱について監視するように構成されている、監視システムと、
が含まれている。
【0011】
さらに別の態様によれば、車両のための駐車システムが提供される。この場合、駐車システムには、1つ又は複数の駐車位置を有する駐車場と、本発明による駐車場における車両の誘導装置とが含まれている。
【0012】
さらに別の態様によれば、以下のようなコンピュータプログラムが提供される。すなわちこのコンピュータプログラムは、これがコンピュータにおいて実行されるときに、本発明による駐車場における車両の誘導方法を実施するためのプログラムコードを含む。
【0013】
つまり本発明は特に、ルートのうち少なくとも1つの区間だけしか車両に呈示せず、そのため車両はさしあたり、駐車場におけるルートのうちその区間を辿りながら自律走行することしかできない、という着想を含むものである。なぜならば一般に、公知の車両はその車両が使用できる運転者支援システムにより、あるルートの一区間を辿りながら自律走行することは十分に可能であるが、ルート全体を一気に辿りながら自律走行することはできないからである。つまりこのことによって、かかる車両は有利には、駐車場において自律走行可能な状態にされ、その際にこの車両は、駐車場に関して何らかの情報を有する必要がない。駐車場に関する情報にはたとえば、一般にディジタルマップによって表現可能な駐車場の配置構成が含まれる。つまり車両は、たとえばどこに進入口があるかなどを把握していなくてよい。特に車両は、駐車場に存在しているかもしれない障害物の場所を、把握していなくてよい。さらに有利なことに、車両自体が駐車場内で自身の位置を特定する必要もない。従って、車両はそもそも、いかなる情報も有していなくてよい。そのような情報は、車両外部から供給され、又は、車両外部で特定され、1つの区間として車両に供給される。
【0014】
本発明の内容に即していえば「駐車場」とは、駐車エリアとも呼べるものであり、車両のための停車エリアの役割を果たす。よって、「駐車場」とは特に、複数の車庫(私有地の駐車場の場合)又は駐車区画(公有地の駐車場の場合)を含む、1つのまとまった領域を成すものである。1つの実施形態によれば、駐車場をパーキングビルに含まれるものとすることができる。特に駐車場は、屋内駐車スペースに含まれるものである。
【0015】
本発明の内容に即していえば「自律」とは特に、車両が独立で自動的に、つまり運転者の介在なく針路を進むこと、又は、走行することを表す。従って、車両は駐車場において自動的に走行し、運転者はそのために車両を操縦する必要はなく、又は、必ずしも車両内にいなくてもよい。かかる自律走行車両は、自動的に入庫及び出庫が可能であり、この車両はたとえばAVP車両と呼ばれる。AVPとは「automatic valet parking」のことであり、これを「自動駐車プロセス」と置き換えてもよい。このようなAVP機能をもたない車両は、たとえば「通常車両」と呼ばれる。
【0016】
1つの実施形態によれば、通信ネットワークはWLANネットワーク及び/又は移動無線ネットワークを含む。
【0017】
さらに本発明の内容に即していえば「引き渡し位置」とは、車両の運転者が自身の車両を自律駐車プロセスのために停止しておくことのできる位置であり、その場所で自身の車両をあとから再び受け取ることのできる位置である。
【0018】
本発明の内容に即していえば「駐車位置」とは、車両が自律的に駐車することになる位置のことである。
【0019】
1つの実施形態によれば、車両は、自律的に引き渡し位置から駐車位置に至る針路を進むように構成されている。
【0020】
別の実施形態によれば、車両は、駐車位置に自律的に入庫するように構成されている。
【0021】
さらに別の実施形態によれば、車両は、駐車位置から自律的に出庫するように構成されている。
【0022】
さらに別の実施形態によれば、車両は、自律的に駐車位置から引き渡し位置に至る針路を進むように、又は、走行するように構成されている。
【0023】
別の実施形態によれば、逸脱発生時、この逸脱を解消するための解消ルートが特定され、この解消ルートは、通信ネットワークを介して車両に送信され、それによってこの車両は、上記解消ルートを辿る走行により逸脱を解消可能となるように構成されている。このようにすれば特に、逸脱を解消することができる、という技術的な利点がもたらされる。それというのも通常、辿りながら走行される区間は、車両の周辺センサ、アルゴリズム、及び/又は、アクチュエータにおける不正確さに起因して、一般に偏差を有しているからである。つまり車両は、その車両に予め与えられた区間を正確に辿りながら走行するわけではない。従って、実際の路線と目標の路線との間には、つまり実際区間と目標区間との間には、偏差すなわち逸脱が存在する。しかし、このような逸脱は、解消ルートを用いることによって埋め合わせ可能であり、又は、解消可能である。すなわち監視システムは、車両が予め定められた区間を辿りながら走行していなければ、そのことを識別し、つまり監視システムは逸脱を識別する。
【0024】
別の実施形態によれば、逸脱発生時、通信ネットワークを介してストップ信号が車両に送信され、それによりこのストップ信号の受信に応答して車両は停止できるようになる。このことによって特にもたらされる技術的利点とは、停止させられた車両がもはや、車両周囲の他の物体又は障害物に向かって自ら走行する可能性がないかぎりは、衝突のリスクを低減できる、ということである。
【0025】
別の実施形態によれば、上述のルートにおける複数の区間が、通信ネットワークを介して順次、車両に送信され、それにより車両はルートを区間ごとに辿りながら走行可能となる。つまりこの場合には特に、車両はルートを区間ごとに辿って走行することができる。ここで「順次」という表現が特に意味するのは、車両が1つの区間を辿りながら走行し終えてはじめて、それまで辿りながら走行してきた区間の直後に続く新たな区間が、車両に供給される、ということである。車両は、個々の区間を順次辿りながら走行していくことで、有利には開始位置から目標位置まで到達することになる。つまり全体としてみれば、1つの完全なルートを成すすべての区間が、相前後して、つまり順次、車両に供給される。すなわち、1つのルートが複数の区間に分割され、それらの区間が順次、つまり相前後して、車両に供給される。さらにここで「供給される」という表現が特に意味するのは、各区間が通信ネットワークを介して車両に送信される、ということである。
【0026】
1つの実施形態によれば、これらの区間はすべて、それぞれ等しい長さを有する。
【0027】
別の実施形態によれば、これらの区間の個々の長さは、区間を辿りながら走行する際の難易度に依存する。たとえば、直線区間は曲線区間よりも長い。つまり長さは、現在の走行ルート区間又は走行ルートの複雑さに依存する。
【0028】
さらに別の実施形態によれば、区間の個々の長さは、自律走行のタスクに関する車両の対応能力レベルに依存する。対応能力レベルは特に、コントローラ、センサ及びアクチュエータの対応能力レベル又は機能に基づく。つまり個々の長さは、車両がどの程度まで自律走行可能か、又は、どの程度まで良好に自律走行可能か、という車両の対応能力に応じて選定される。
【0029】
さらに別の実施形態によれば、区間の個々の長さは、交通密度又は物体密度に依存する。つまり、車両の周囲に多くの車両が存在する場合には、そのような多くの車両を基準として、それよりも少ない車両しか車両の周囲に存在しない場合よりも、区間が短い。すなわち、周囲の状況に応じて長さが選定される。
【0030】
さらに別の実施形態によれば、駐車位置へ入庫するための入庫ルート、及び/又は、駐車位置から出庫するための出庫ルートが、車両外部で特定され、通信ネットワークを介して車両へ送信されるように構成されており、それによって車両は、駐車位置へ自律的に入庫可能となり、又は、駐車位置から自律的に出庫可能となる。このようにすることで特に、車両自体が必ずしも駐車支援システムを備えていなくてもよい、という技術的な利点がもたらされる。つまり、車両自体が自律駐車機能を備えている必要がない。その理由は、必要とされるルートは、すなわちそこを辿って走行することで車両が入庫又は出庫できるルートは、車両外部で特定されるからである。従って、車両自体は、駐車位置の正確な寸法に関する情報を有していなくてよい。特に車両は、駐車位置周囲に存在するかもしれない障害物に関する情報を有していなくてよい。つまりこの情報は車両外部で得られるものであり、入庫ルート又は出庫ルートとして通信ネットワークを介して車両に供給される。
【0031】
さらに別の実施形態によれば、車両は、自動的につまり自律的に又は完全に自動化されて、入庫又は出庫するように構成されている。つまりこの実施形態の場合には、入庫ルート又は出庫ルートが車両に供給されるようには構成されていない。この場合には車両は、駐車位置に向かって誘導されるだけであり、又は、引き渡し位置に向かって誘導されるだけである。入庫又は出庫は車両自体が実行し、特にそのために必要とされる入庫ルート又は出庫ルートを車両自体が特定する。
【0032】
さらに別の実施形態によれば、目標位置から開始位置へ戻る帰還ルートも車両外部で付加的に特定され、この帰還ルートのうち少なくとも1つの区間が、通信ネットワークを介して車両に送信され、車両は、この帰還ルートの区間を辿る自律走行時、この区間を辿る走行中の逸脱について、車両外部の監視システムによって監視されるように構成されている。これによって特に、車両を開始位置へも誘導できる、という技術的な利点がもたらされる。開始位置から目標位置に至るルートに関連して構成された実施形態は、この帰還ルートについても同様に適用される。すなわち、帰還ルートについても特に、逸脱発生時に解消ルートを相応に特定することができる。特に、帰還ルートを辿る走行時に逸脱が発生した場合も、ストップ信号を車両に送信することができる。さらに1つの実施形態によれば、帰還ルートの各区間を同様に順次、送信するようにも構成されている。
【0033】
さらに別の実施形態によれば、開始位置は、運転者が自身の車両を自動駐車プロセスのために停車可能な引き渡し位置であり、目標位置は、車両を自動的に駐車可能な駐車位置であり、又は、この逆に、開始位置は駐車位置であり、目標位置は引き渡し位置である。このことによって特に、駐車場において車両のための自動入庫プロセスを実現できる、という技術的な利点がもたらされる。すなわち特に、いわゆるバレーパーキングを自動的に実行することができる。
【0034】
装置の機能は、方法の機能に基づき同様の態様で得られるものであるし、また、その逆もあてはまる。つまり、装置の特徴は、方法の特徴からそのまま得られるものであるし、また、その逆もあてはまる。
【0035】
1つの実施形態によれば、本発明による装置は、本発明による方法を実施又は実行するように構成されている。
【0036】
次に、有利な実施例に基づき本発明について詳細に説明する。