特許第6594423号(P6594423)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6594423駐車場における車両の誘導方法及び誘導装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6594423
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】駐車場における車両の誘導方法及び誘導装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20191010BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20191010BHJP
   G08G 1/14 20060101ALI20191010BHJP
   B60W 30/06 20060101ALI20191010BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20191010BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   G08G1/00 X
   G08G1/09 V
   G08G1/14 A
   B60W30/06
   B60W30/10
   G01C21/26 Z
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-522877(P2017-522877)
(86)(22)【出願日】2015年9月29日
(65)【公表番号】特表2018-502357(P2018-502357A)
(43)【公表日】2018年1月25日
(86)【国際出願番号】EP2015072432
(87)【国際公開番号】WO2016066362
(87)【国際公開日】20160506
【審査請求日】2017年4月27日
(31)【優先権主張番号】102014221751.2
(32)【優先日】2014年10月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハンス−イェルク マトーニー
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー ミーレンツ
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ ニコデムス
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】アルブレヒト イリオン
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ノアトブルフ
【審査官】 藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−054116(JP,A)
【文献】 特開2002−215236(JP,A)
【文献】 特開2015−153145(JP,A)
【文献】 特開2015−041348(JP,A)
【文献】 特開2015−219811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 〜 99/00
G01C 21/00 〜 21/36
G01C 23/00 〜 25/00
B60W 10/00 〜 50/16
G05D 1/00 〜 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場における車両(409)の誘導方法であって、
・開始位置から目標位置(501)に至る駐車場(303,401)におけるルート(601)を車両外部で特定し(101)、
・前記ルート(601)のうち少なくとも1つの区間を、通信ネットワークを介して車両(409)に送信し(103)、
・前記区間を辿る前記車両(409)の自律走行中の逸脱について、車両外部の監視システム(207)によって前記車両(409)を監視し(105)、
・逸脱発生時、当該逸脱を解消するための解消ルート(901)を特定し、
・当該解消ルート(901)を、前記通信ネットワークを介して前記車両(409)に送信し、それによって、前記車両(409)は、当該解消ルート(901)を辿る走行をすることにより前記逸脱を解消可能である、
駐車場における車両(409)の誘導方法。
【請求項2】
逸脱発生時、前記通信ネットワークを介してストップ信号を前記車両(409)に送信し、当該ストップ信号の受信に応答して前記車両(409)は停止する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ルート(601)の複数の区間を、前記通信ネットワークを介して順次、前記車両(409)に送信し、前記車両(409)は前記ルート(601)を区間ごとに辿りながら走行可能である、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記目標位置(501)から前記開始位置へ戻る帰還ルートも車両外部で付加的に特定し、
前記帰還ルートのうち少なくとも1つの区間を、前記通信ネットワークを介して前記車両(409)に送信し、
前記帰還ルートの前記区間を辿る前記車両(409)の自律走行中の逸脱について、車両外部の前記監視システム(207)によって前記車両(409)を監視する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記開始位置は引き渡し位置(407)であり、当該引き渡し位置(407)において、運転者は自身の車両(409)を自動駐車プロセスのために停車させることができ、
前記目標位置(501)は駐車位置(303,403)であり、当該駐車位置(303,403)に前記車両(409)を自動的に入庫して駐車することができ、
前記車両(409)の出庫の際には、これとは逆に、前記開始位置は前記駐車位置(303,403)であり、前記目標位置は前記引き渡し位置(407)である、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記駐車位置(305,403,501)へ入庫するための入庫ルート、及び/又は、前記駐車位置(305,403,501)から出庫するための出庫ルートを、車両外部で特定し、前記通信ネットワークを介して前記車両(409)へ送信し、前記車両(409)は、前記駐車位置(305,403,501)へ自律的に入庫可能であり、及び/又は、前記駐車位置(305,403,501)から自律的に出庫可能である、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記引き渡し位置から前記駐車位置まで、及び/又は、これとは逆に、前記駐車位置から前記引き渡し位置まで、前記車両(409)を遠隔制御によって誘導する、
請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記車両(409)は、前記駐車位置へ自律的に入庫し、及び/又は、前記駐車位置から自律的に出庫する、
請求項5乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ルート(601)上に障害物があった場合には、当該障害物を迂回する迂回ルートを車両外部で特定し、前記迂回ルートに基づき前記障害物の周囲を巡るように前記車両(409)を誘導する、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
駐車場における車両(409)の誘導装置(201)であって、
・開始位置から目標位置(501)に至る駐車場(303,401)におけるルート(601)を特定するように構成されている、プロセッサ(203)と、
・前記ルート(601)のうち少なくとも1つの区間を、通信ネットワークを介して車両(409)に送信するように構成されている、通信インタフェース(205)と、
・前記区間を辿る前記車両(409)の自律走行中の逸脱について前記車両(409)を監視するように構成されている、監視システム(207)と、
を含み、
前記監視システム(207)によって逸脱発生が識別された場合、前記プロセッサ(203)は、当該逸脱を解消するための解消ルート(901)を特定し、
前記通信インタフェース(205)は、当該解消ルート(901)を、前記通信ネットワークを介して前記車両(409)に送信し、それによって、前記車両(409)が当該解消ルート(901)を辿る走行をすることにより前記逸脱を解消可能とする、
駐車場における車両(409)の誘導装置(201)。
【請求項11】
車両(409)のための駐車システム(301)であって、
当該駐車システム(301)は、1つ又は複数の駐車位置(303,403)を有する駐車場と、請求項10に記載の装置(201)とを含む、
車両(409)のための駐車システム(301)。
【請求項12】
前記駐車場は、自律走行車両のために予約された領域を有する、
請求項11に記載の駐車システム(301)。
【請求項13】
コンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムを、前記監視システム(207)を含む誘導装置(201)又は前記誘導装置(201)を含む駐車システム(301)に含まれるコンピュータにおいて実行するときに、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法を実施するためのプログラムコードを含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場における車両の誘導方法及び誘導装置に関する。本発明はさらに、車両用駐車システム及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
完全自動化された(自律的な)いわゆるバレーパーキングの場合、運転者が自身の車両をたとえばパーキングビル前などの引き渡し場所に駐車し、そこから車両は駐車位置/駐車ブースまで自動走行し、再び引き渡し場所まで戻ってくる。
【0003】
ただし、現在の車両又は間もなく市場に導入される車両によっても、この種のバレーパーキングは通常、実施不可能であり、又は、せいぜいのところ技術的に多大な手間をかけることでしか実施可能でない。それというのも、そのために車両は、数多くの補助システム(制御装置、センサ)及びデータを必要とするからであり、それらは現在の車両又は間もなく市場に導入される車両では、一般的には利用することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明の概要
従って、本発明が基礎とする課題として挙げられるのは、かかる補助システムを装備していない車両であっても、それにもかかわらず駐車場において自律走行可能とし得る、駐車場における車両の誘導方法を提供することである。
【0005】
本発明が基礎とする課題として同様に挙げられるのは、上記の方法に対応する駐車場における車両の誘導装置を提供することである。
【0006】
本発明が基礎とする課題としてさらに挙げられるのは、対応する車両用駐車システムを提供することである。
【0007】
本発明が基礎とする課題としてさらに挙げられるのは、対応するコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この課題は、独立請求項に記載された個々の特徴によって解決される。従属請求項にはそれぞれ、本発明の有利な実施形態が示されている。
【0009】
1つの態様によれば、駐車場における車両の誘導方法が提供され、この場合、
・開始位置から目標位置に至る駐車場におけるルートを車両外部で特定し、
・このルートのうち少なくとも1つの区間を、通信ネットワークを介して車両に送信し、
・この車両を、上記区間を辿る走行時、この区間を辿る自律走行中の逸脱について、車両外部の監視システムによって監視する。
【0010】
さらに別の態様によれば、駐車場における車両の誘導装置が提供され、当該装置には、
・開始位置から目標位置に至る駐車場におけるルートを特定するように構成されている、プロセッサと、
・上記のルートのうち少なくとも1つの区間を、通信ネットワークを介して車両に送信するように構成されている、通信インタフェースと、
・この車両を、上記の区間を辿る自律走行時、この区間を辿る走行中の逸脱について監視するように構成されている、監視システムと、
が含まれている。
【0011】
さらに別の態様によれば、車両のための駐車システムが提供される。この場合、駐車システムには、1つ又は複数の駐車位置を有する駐車場と、本発明による駐車場における車両の誘導装置とが含まれている。
【0012】
さらに別の態様によれば、以下のようなコンピュータプログラムが提供される。すなわちこのコンピュータプログラムは、これがコンピュータにおいて実行されるときに、本発明による駐車場における車両の誘導方法を実施するためのプログラムコードを含む。
【0013】
つまり本発明は特に、ルートのうち少なくとも1つの区間だけしか車両に呈示せず、そのため車両はさしあたり、駐車場におけるルートのうちその区間を辿りながら自律走行することしかできない、という着想を含むものである。なぜならば一般に、公知の車両はその車両が使用できる運転者支援システムにより、あるルートの一区間を辿りながら自律走行することは十分に可能であるが、ルート全体を一気に辿りながら自律走行することはできないからである。つまりこのことによって、かかる車両は有利には、駐車場において自律走行可能な状態にされ、その際にこの車両は、駐車場に関して何らかの情報を有する必要がない。駐車場に関する情報にはたとえば、一般にディジタルマップによって表現可能な駐車場の配置構成が含まれる。つまり車両は、たとえばどこに進入口があるかなどを把握していなくてよい。特に車両は、駐車場に存在しているかもしれない障害物の場所を、把握していなくてよい。さらに有利なことに、車両自体が駐車場内で自身の位置を特定する必要もない。従って、車両はそもそも、いかなる情報も有していなくてよい。そのような情報は、車両外部から供給され、又は、車両外部で特定され、1つの区間として車両に供給される。
【0014】
本発明の内容に即していえば「駐車場」とは、駐車エリアとも呼べるものであり、車両のための停車エリアの役割を果たす。よって、「駐車場」とは特に、複数の車庫(私有地の駐車場の場合)又は駐車区画(公有地の駐車場の場合)を含む、1つのまとまった領域を成すものである。1つの実施形態によれば、駐車場をパーキングビルに含まれるものとすることができる。特に駐車場は、屋内駐車スペースに含まれるものである。
【0015】
本発明の内容に即していえば「自律」とは特に、車両が独立で自動的に、つまり運転者の介在なく針路を進むこと、又は、走行することを表す。従って、車両は駐車場において自動的に走行し、運転者はそのために車両を操縦する必要はなく、又は、必ずしも車両内にいなくてもよい。かかる自律走行車両は、自動的に入庫及び出庫が可能であり、この車両はたとえばAVP車両と呼ばれる。AVPとは「automatic valet parking」のことであり、これを「自動駐車プロセス」と置き換えてもよい。このようなAVP機能をもたない車両は、たとえば「通常車両」と呼ばれる。
【0016】
1つの実施形態によれば、通信ネットワークはWLANネットワーク及び/又は移動無線ネットワークを含む。
【0017】
さらに本発明の内容に即していえば「引き渡し位置」とは、車両の運転者が自身の車両を自律駐車プロセスのために停止しておくことのできる位置であり、その場所で自身の車両をあとから再び受け取ることのできる位置である。
【0018】
本発明の内容に即していえば「駐車位置」とは、車両が自律的に駐車することになる位置のことである。
【0019】
1つの実施形態によれば、車両は、自律的に引き渡し位置から駐車位置に至る針路を進むように構成されている。
【0020】
別の実施形態によれば、車両は、駐車位置に自律的に入庫するように構成されている。
【0021】
さらに別の実施形態によれば、車両は、駐車位置から自律的に出庫するように構成されている。
【0022】
さらに別の実施形態によれば、車両は、自律的に駐車位置から引き渡し位置に至る針路を進むように、又は、走行するように構成されている。
【0023】
別の実施形態によれば、逸脱発生時、この逸脱を解消するための解消ルートが特定され、この解消ルートは、通信ネットワークを介して車両に送信され、それによってこの車両は、上記解消ルートを辿る走行により逸脱を解消可能となるように構成されている。このようにすれば特に、逸脱を解消することができる、という技術的な利点がもたらされる。それというのも通常、辿りながら走行される区間は、車両の周辺センサ、アルゴリズム、及び/又は、アクチュエータにおける不正確さに起因して、一般に偏差を有しているからである。つまり車両は、その車両に予め与えられた区間を正確に辿りながら走行するわけではない。従って、実際の路線と目標の路線との間には、つまり実際区間と目標区間との間には、偏差すなわち逸脱が存在する。しかし、このような逸脱は、解消ルートを用いることによって埋め合わせ可能であり、又は、解消可能である。すなわち監視システムは、車両が予め定められた区間を辿りながら走行していなければ、そのことを識別し、つまり監視システムは逸脱を識別する。
【0024】
別の実施形態によれば、逸脱発生時、通信ネットワークを介してストップ信号が車両に送信され、それによりこのストップ信号の受信に応答して車両は停止できるようになる。このことによって特にもたらされる技術的利点とは、停止させられた車両がもはや、車両周囲の他の物体又は障害物に向かって自ら走行する可能性がないかぎりは、衝突のリスクを低減できる、ということである。
【0025】
別の実施形態によれば、上述のルートにおける複数の区間が、通信ネットワークを介して順次、車両に送信され、それにより車両はルートを区間ごとに辿りながら走行可能となる。つまりこの場合には特に、車両はルートを区間ごとに辿って走行することができる。ここで「順次」という表現が特に意味するのは、車両が1つの区間を辿りながら走行し終えてはじめて、それまで辿りながら走行してきた区間の直後に続く新たな区間が、車両に供給される、ということである。車両は、個々の区間を順次辿りながら走行していくことで、有利には開始位置から目標位置まで到達することになる。つまり全体としてみれば、1つの完全なルートを成すすべての区間が、相前後して、つまり順次、車両に供給される。すなわち、1つのルートが複数の区間に分割され、それらの区間が順次、つまり相前後して、車両に供給される。さらにここで「供給される」という表現が特に意味するのは、各区間が通信ネットワークを介して車両に送信される、ということである。
【0026】
1つの実施形態によれば、これらの区間はすべて、それぞれ等しい長さを有する。
【0027】
別の実施形態によれば、これらの区間の個々の長さは、区間を辿りながら走行する際の難易度に依存する。たとえば、直線区間は曲線区間よりも長い。つまり長さは、現在の走行ルート区間又は走行ルートの複雑さに依存する。
【0028】
さらに別の実施形態によれば、区間の個々の長さは、自律走行のタスクに関する車両の対応能力レベルに依存する。対応能力レベルは特に、コントローラ、センサ及びアクチュエータの対応能力レベル又は機能に基づく。つまり個々の長さは、車両がどの程度まで自律走行可能か、又は、どの程度まで良好に自律走行可能か、という車両の対応能力に応じて選定される。
【0029】
さらに別の実施形態によれば、区間の個々の長さは、交通密度又は物体密度に依存する。つまり、車両の周囲に多くの車両が存在する場合には、そのような多くの車両を基準として、それよりも少ない車両しか車両の周囲に存在しない場合よりも、区間が短い。すなわち、周囲の状況に応じて長さが選定される。
【0030】
さらに別の実施形態によれば、駐車位置へ入庫するための入庫ルート、及び/又は、駐車位置から出庫するための出庫ルートが、車両外部で特定され、通信ネットワークを介して車両へ送信されるように構成されており、それによって車両は、駐車位置へ自律的に入庫可能となり、又は、駐車位置から自律的に出庫可能となる。このようにすることで特に、車両自体が必ずしも駐車支援システムを備えていなくてもよい、という技術的な利点がもたらされる。つまり、車両自体が自律駐車機能を備えている必要がない。その理由は、必要とされるルートは、すなわちそこを辿って走行することで車両が入庫又は出庫できるルートは、車両外部で特定されるからである。従って、車両自体は、駐車位置の正確な寸法に関する情報を有していなくてよい。特に車両は、駐車位置周囲に存在するかもしれない障害物に関する情報を有していなくてよい。つまりこの情報は車両外部で得られるものであり、入庫ルート又は出庫ルートとして通信ネットワークを介して車両に供給される。
【0031】
さらに別の実施形態によれば、車両は、自動的につまり自律的に又は完全に自動化されて、入庫又は出庫するように構成されている。つまりこの実施形態の場合には、入庫ルート又は出庫ルートが車両に供給されるようには構成されていない。この場合には車両は、駐車位置に向かって誘導されるだけであり、又は、引き渡し位置に向かって誘導されるだけである。入庫又は出庫は車両自体が実行し、特にそのために必要とされる入庫ルート又は出庫ルートを車両自体が特定する。
【0032】
さらに別の実施形態によれば、目標位置から開始位置へ戻る帰還ルートも車両外部で付加的に特定され、この帰還ルートのうち少なくとも1つの区間が、通信ネットワークを介して車両に送信され、車両は、この帰還ルートの区間を辿る自律走行時、この区間を辿る走行中の逸脱について、車両外部の監視システムによって監視されるように構成されている。これによって特に、車両を開始位置へも誘導できる、という技術的な利点がもたらされる。開始位置から目標位置に至るルートに関連して構成された実施形態は、この帰還ルートについても同様に適用される。すなわち、帰還ルートについても特に、逸脱発生時に解消ルートを相応に特定することができる。特に、帰還ルートを辿る走行時に逸脱が発生した場合も、ストップ信号を車両に送信することができる。さらに1つの実施形態によれば、帰還ルートの各区間を同様に順次、送信するようにも構成されている。
【0033】
さらに別の実施形態によれば、開始位置は、運転者が自身の車両を自動駐車プロセスのために停車可能な引き渡し位置であり、目標位置は、車両を自動的に駐車可能な駐車位置であり、又は、この逆に、開始位置は駐車位置であり、目標位置は引き渡し位置である。このことによって特に、駐車場において車両のための自動入庫プロセスを実現できる、という技術的な利点がもたらされる。すなわち特に、いわゆるバレーパーキングを自動的に実行することができる。
【0034】
装置の機能は、方法の機能に基づき同様の態様で得られるものであるし、また、その逆もあてはまる。つまり、装置の特徴は、方法の特徴からそのまま得られるものであるし、また、その逆もあてはまる。
【0035】
1つの実施形態によれば、本発明による装置は、本発明による方法を実施又は実行するように構成されている。
【0036】
次に、有利な実施例に基づき本発明について詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】駐車場における車両の誘導方法に関するフローチャートを示す図。
図2】駐車場における車両の誘導装置を示す図。
図3】車両用駐車システムを示す図。
図4】自動駐車プロセス実行時のそれぞれ1つの時点を示す図。
図5】自動駐車プロセス実行時のそれぞれ1つの時点を示す図。
図6】自動駐車プロセス実行時のそれぞれ1つの時点を示す図。
図7】自動駐車プロセス実行時のそれぞれ1つの時点を示す図。
図8】自動駐車プロセス実行時のそれぞれ1つの時点を示す図。
図9】自動駐車プロセス実行時のそれぞれ1つの時点を示す図。
図10】自動駐車プロセス実行時のそれぞれ1つの時点を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1には、駐車場における車両の誘導方法のフローチャートが示されている。
【0039】
ステップ101によれば、開始位置から目標位置に至る駐車場におけるルートが車両外部で特定される。ステップ103において、上記ルートのうち少なくとも1つの区間が、通信ネットワークを介して車両に送信される。ステップ105によれば、上記区間走行時、この区間を自律走行しているときの逸脱について、車両外部の監視システムにより車両が監視される。このようにして車両は車両外部で誘導され、つまり遠隔制御される。
【0040】
本発明による監視ステップによって特に、問題又は危険な状況が発生したときにそれを識別可能である、という技術的利点がもたらされる。たとえば、車両が予め定められた区間を自律走行していないときに、そのことを識別可能である。
【0041】
図2には、駐車場における車両の誘導装置201が示されている。
【0042】
この装置201には、開始位置から目標位置に至る駐車場におけるルートを特定するように構成されたプロセッサ203が含まれている。さらにこの装置201には通信インタフェース205が含まれており、このインタフェースは、上記ルートにおける少なくとも1つの区間を、通信ネットワークを介して送信するように構成されている。装置201にはさらに監視システム207が含まれており、このシステムは、上記の区間を辿りながら自律走行しているときに、区間走行時の逸脱について車両を監視するように構成されている。
【0043】
1つの実施形態によれば、この装置201は、本発明による方法、特に図1に示した方法を実施又は実行するように構成されている。
【0044】
この装置は車両外部の装置であり、つまり車両自体の中には存在しておらず又は配置されていない。従って、車両外部から車両を遠隔制御することができる。これによれば、駐車場で車両がどのように走行すべきであるのかが、車両に通知される。よって、車両は、駐車場において自律走行可能とするためには、単に予め定められた区間を辿りながら走行するだけでよい。車両は自身が自律走行するために、駐車場に関する情報をもっている必要がない。特に車両は、自身が駐車場で自律走行するために、駐車場において自身で位置特定を実行する必要がない。なぜならば、一般に位置特定のためには衛星たとえばGPS衛星との見通し内通信路が存在しなければならないため、そのような位置特定は一般にその実施が極めて難しいからである。見通し内通信路の存在は、駐車場特にパーキングビルや屋内駐車スペースの中では通常、該当しない。
【0045】
図3には、車両用駐車システム301が示されている。
【0046】
この駐車システム301には、駐車場303が含まれている。駐車場には、1つ又は複数の駐車位置305が含まれている。駐車システム301にはさらに、図2に示した装置201が含まれている。
【0047】
図4乃至図10には、自動駐車プロセスいわゆる自動バレーパーキング(Automatic Valet Parking)実行時のそれぞれ1つの時点が示されている。
【0048】
これらの図面に示されている駐車場401には、駐車ブース又は区画エリアに対応する複数の駐車位置403が含まれている。つまりこれらの駐車位置403に、車両を駐車することができる。駐車車両405は、たとえばAVP車両である。
【0049】
AVP車両409は、引き渡し位置407に止められた状態にある。ついでこの車両は、それに割り当てられた駐車位置まで走行することになる。
【0050】
図4には、引き渡し位置407に止められている車両409が示されている。この場合、本発明による装置201が設けられており、ここでは見やすくするため監視システム207だけしか示されていない。装置201におけるその他の要素は、見やすくするため示されていない。
【0051】
1つの実施形態によれば、監視システム207には、1つ又は複数のカメラ特にビデオカメラが含まれている。さらに別の実施形態によれば、監視システム207には、1つ又は複数のレーダセンサが含まれている。
【0052】
従って、装置201は監視システム207を用いて、引き渡し位置407にAVP車両409が存在していることを検出する。
【0053】
つまり装置201は、以下のようにして車両409のための駐車位置を特定し、この位置は図5に破線で示されており、参照符号501によって表され又は参照符号501が付されている。
【0054】
参照符号411の付された円錐によって、監視システム207の捕捉角度がシンボリックに例示されている。装置201と車両409との間の通信は、特に無線通信ネットワークを介して実施され、特にWLANを介して実施される。このことは、参照符号415で示す相応のピクトグラムでシンボリックに表されている。
【0055】
装置201はさらに、引き渡し位置407から駐車位置501に至る経路又はパス又はルートを特定する。このルートは、図6によれば参照符号601で表されている。
【0056】
この場合、特定されたルート601が複数の区間に分割され、それらの区間が車両に送信され、特に順次、車両に送信されるように構成されている。ついで図7には、特定されたルート601を車両409が区間ごとに辿りながら走行する様子が示されている。これによれば車両はルートを辿りながら走行している間、監視システム207によって監視される。図8には一例として駐車場401に、相応の捕捉角度803を有する監視カメラ801が示されており、この捕捉角度803の範囲内で監視カメラ801によって車両409を捕捉することができる。本発明の内容に即していえば「監視カメラ」は、特にビデオカメラである。
【0057】
監視システム207が、ルート601の走行時に逸脱を検出したならば、装置201は、逸脱解消パス又は逸脱解消ルートを計算又は決定する。図9にはこのことが示されており、その際、逸脱解消ルートには参照符号901が付されている。
【0058】
1つの実施形態によれば、図10に示されているように入庫プロセスを駐車支援システムによって実行することができ、つまり車両自体によって実行することができる。このために車両はたとえば、シンボリックに描かれた周囲センサ機構1001を含み、このセンサ機構にはたとえば、1つ又は複数のレーダセンサ、及び/又は、1つ又は複数の超音波センサが含まれている。別の実施形態によれば選択的に、装置201が相応の入庫ルートの計算又は決定を引き継ぐことができる。同じことは出庫についてもあてはまる。
【0059】
駐車位置501から引き渡し位置407まで戻る経路についても、同様のことが実行される。その場合も、対応する帰還ルートが決定され、車両は、帰還ルートを区間ごとに辿りながら走行する際に監視され、状況によっては相応の逸脱解消パス又は逸脱解消ルートが必要に応じて計算されて、車両に伝送される。
【0060】
従って、本発明には特に、現在すでに知られている運転者支援システムだけしか装備されていない車両によって、完全自動(自律型)バレーパーキングを実行できるようにした技術的構想を提供する、という着想が含まれている。この場合、本発明による着想には特に、車両を遠隔制御するという着想が含まれており、このような遠隔制御は特に、たとえば駐車スペースマネージメントシステム又は駐車スペース管理システムを含むことのできる装置201によって行われる。駐車スペース管理システムは特に、駐車位置の割り当てを調整する。
【0061】
つまり特に、目標位置(駐車ブース/駐車位置)、その目標位置へ向かって辿るべき走行経路、又は、同様に引き渡し位置まで戻るように辿るべき経路、駐車場内たとえばパーキングビル内での車両の位置、及び、特別な状況が発生したときの解釈及びリアクション選択/リアクション発生に関する情報のみを、装置がもっていればよい。車両自体はそのつど、予め定められた経路(パス)又はルートを辿りながら走行するだけであり、その際に車両自体は自身の正確な位置を把握しておらず又は把握する必要はない。辿りながら走行すべき経路又は辿りながら走行すべきルートは、本発明によれば、ルート又は経路における多数の区間(個別区間)によって表される。従って、この場合、引き渡し位置(引き渡し場所とも称する)から駐車位置(たとえば駐車ブース)に至る、又は、駐車位置(駐車ブース)から引き渡し場所に至る経路全体のうち、各部分セクション(区間)が、車両に対し好ましくは何回にもわたって装置から供給され、特に駐車スペースマネージメントシステム又は駐車スペース管理システムから供給される。
【0062】
このことが技術的に有意義である理由は、現在知られている車両システムは通常、短い経路を辿りながら走行することしかできないからであり、また、センサ、アルゴリズム、アクチュエータの不正確さに起因して、辿りながら走行される経路は一般に偏差を有するからである。
【0063】
その際に1つの実施形態によれば、車両の自律走行がその期間全体にわたり監視されるように構成されている。特に車両の自律走行において、車両の位置が特定される。すなわち、車両の位置が特定される。このことは特に、たとえば複数のビデオカメラを含むことのできる監視システムによって行われる。この監視システムを特に、駐車スペース監視システムと呼ぶことができる。
【0064】
その際に、車両が経路を正確に辿りながら走行していない(目標値と実際値との間に差がある)、ということが判明したならば、1つの実施形態によれば、その車両のために補正又は逸脱解消区間/逸脱解消ルートが計算され、通信ネットワークを介して車両に供給される。
【0065】
さらに1つの実施形態によれば、好ましくは、駐車場管理システムは、場合によっては(たとえば経路上に物体が存在するなどして)区間がブロックされているときに、対応する障害物の周囲を巡る経路を計算又は決定することができ、その障害物の周囲を巡るように車両を誘導することができる。従って、1つの実施形態によれば、ルート上に障害物があった場合には、障害物を迂回する迂回ルートが車両外部で特定され、車両は、その迂回ルートに基づき障害物の周囲を巡るように誘導される。
【0066】
さらに1つの実施形態によれば、場合によっては特別な状況が発生したならば、装置は、ストップ信号によって走行を中断させるように構成されている。
【0067】
1つの部分経路又は1つの区間を辿って走行することは、(経路プラニングシステムを含む)現在市販されている支援システム又は次世代の支援システムであれば、一般的に可能である。
【0068】
さらに1つの実施形態によれば、駐車ブース/駐車位置への入庫プロセスは、駐車支援システム/入庫システムによって行われるように構成されている。すなわち特に、駐車管理システムは車両を、駐車位置に至るまでの経路で誘導するだけであり、駐車位置では駐車管理システムが、駐車スペースの位置を車両に伝達し、正確にいえば、車両内の駐車支援システムに伝達し、ついでこのシステムが入庫を引き継ぐ。これに相応するように、特に、車両は、駐車支援システムによって駐車位置から自律的に出庫するように構成されている。
【0069】
さらに別の実施形態によれば、このことは、装置、特に駐車管理システムによって引き継がれ、つまり入庫プロセスが計算される。当然ながらこのことは、出庫プロセスについても同様にあてはまる。
【0070】
1つの実施形態によれば、通信ネットワークを介した通信が暗号化されるように構成されている。特に通信は、C2Xシステムを介して実行される。「C2X」とは、「Car - to - Infrastructure」のことであり、つまり車両と定置されたインフラストラクチャとの間の通信のことである。
【0071】
つまり本発明の利点とは特に、現在知られている車両によって自律型バレーパーキングを実施できる、という点にあるとみなすことができる。
【0072】
1つの別の実施形態によれば、パーキングビル/駐車場は、完全自動型又は自律型のバレーパーキングのために、固有の領域を確保しておくように構成されている。これによって有利には、混在交通(AVP車両と通常車両)及び/又は歩行者によって発生するおそれのある問題を、回避することができる。つまり1つの実施形態によれば、駐車場は自律走行車両のために予約された領域を有している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10