【文献】
CATT,Considerations about ProSe UE-UE Relays[online],3GPP TSG-SA WG2#104 S2-142853,2014年 7月11日,[検索日2019.02.01], インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG2_Arch/TSGS2_104_Dublin/Docs/S2-142853.zip>, 3節
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記過負荷状況は、前記リレーユーザ機器のプロセッサ、前記リレーユーザ機器のメモリ、前記リレーユーザ機器のポート、前記リレーユーザ機器の論理チャネルIDのうちの少なくとも1つに関する、
請求項1に記載のリレーユーザ機器。
前記過負荷状況は、前記リレーユーザ機器のプロセッサ、前記リレーユーザ機器のメモリ、前記リレーユーザ機器のポート、前記リレーユーザ機器の論理チャネルIDのうちの少なくとも1つに関する、
請求項6に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
<LTE(ロングタームエボリューション)>
WCDMA(登録商標)無線アクセス技術に基づく3G(第3世代移動通信システム)は、世界中で広範な規模で配備されつつある。この技術を機能強化または発展させる上での最初のステップとして、HSDPA(高速ダウンリンクパケットアクセス)と、HSUPA(高速アップリンクパケットアクセス)とも称するエンハンストアップリンクとが導入され、これにより、極めて競争力の高い無線アクセス技術が提供されている。
【0003】
ユーザからのますます増大する需要に対応し、新しい無線アクセス技術に対する競争力を確保する目的で、3GPPは、LTE(ロングタームエボリューション)と称される新しい移動通信システムを導入した。LTEは、今後10年間にわたり、データおよびメディアの高速伝送ならびに大容量の音声サポートに対するキャリアの必要を満たすように設計されている。高いビットレートを提供することができることは、LTEにとって重要な尺度である。
【0004】
LTE(ロングタームエボリューション)に関する作業項目(WI)の仕様は、E−UTRA(Evolved UMTS Terrestrial Radio Access(UTRA):進化型UMTS地上無線アクセス)およびE−UTRAN(Evolved UMTS Terrestrial Radio Access Network(UTRAN):進化型UMTS地上無線アクセスネットワーク)と称され、最終的にリリース8(LTEリリース8)として公開される。LTEシステムは、パケットベースの効率的な無線アクセスおよび無線アクセスネットワークであり、IPベースの全機能を低遅延かつ低コストで提供する。LTEでは、与えられたスペクトルを用いてフレキシブルなシステム配備を達成するために、1.4MHz、3.0MHz、5.0MHz、10.0MHz、15.0MHz、および20.0MHzのような、スケーラブルな複数の送信帯域幅が指定されている。ダウンリンクには、OFDM(直交周波数分割多重化)をベースとする無線アクセスが採用されている。なぜなら、かかる無線アクセスは、低いシンボルレートのため本質的にMPI(マルチパス干渉)を受けにくく、また、CP(サイクリックプレフィックス)を使用しており、さらに、様々な送信帯域幅の設定に対応可能だからである。アップリンクには、SC−FDMA(シングルキャリア周波数分割多元接続)をベースとする無線アクセスが採用されている。なぜなら、UE(ユーザ機器)の送信出力が限られていることを考えれば、ピークデータレートを向上させるよりも広いカバレッジエリアを提供することが優先されるからである。LTEリリース8/9では、MIMO(多入力多出力)チャネル伝送技術を含む数多くの主要なパケット無線アクセス技術が採用され、高効率の制御シグナリング構造が達成されている。
【0005】
<LTEのアーキテクチャ>
図1は、LTEの全体的なアーキテクチャを示している。E−UTRANは、eNodeBから構成され、eNodeBは、UE向けの、E−UTRAのユーザプレーン(PDCP/RLC/MAC/PHY)および制御プレーン(RRC)のプロトコルを終端処理する。eNB(eNodeB)は、PHY(物理)層、MAC(メディアアクセス制御)層、RLC(無線リンク制御)層、およびPDCP(パケットデータ制御プロトコル)層をホストし、これらのレイヤはユーザプレーンのヘッダ圧縮および暗号化の機能を含む。eNBは、制御プレーンに対応するRRC(無線リソース制御)機能も提供する。eNBは、無線リソース管理、アドミッション制御、スケジューリング、交渉によるアップリンクQoS(サービス品質)の執行、セル情報のブロードキャスト、ユーザプレーンデータおよび制御プレーンデータの暗号化/解読、ダウンリンク/アップリンクのユーザプレーンパケットヘッダの圧縮/復元を含む、多くの機能を実行する。複数のeNodeBは、X2インターフェースによって互いに接続されている。
【0006】
複数のeNodeBはまた、S1インターフェースによってEPC(進化型パケットコア)、より具体的には、S1−MMEによってMME(移動管理エンティティ)、S1−UによってSGW(サービングゲートウェイ)に接続されている。S1インターフェースは、MME/サービングゲートウェイとeNodeBとの間の多対多関係をサポートする。SGWは、ユーザデータパケットをルーティングして転送する一方、eNodeB間のハンドオーバ時におけるユーザプレーンのモビリティアンカとしても機能し、さらに、LTEと別の3GPP技術との間のモビリティのためのアンカ(S4インターフェースを終端させ、2G/3GシステムとPDN GWとの間でトラフィックを中継する)として機能する。SGWは、アイドル状態のユーザ機器に対しては、ダウンリンクデータ経路を終端させ、そのユーザ機器へのダウンリンクデータが到着したときにページングをトリガする。SGWは、ユーザ機器のコンテキスト、たとえば、IPベアラサービスのパラメータ、またはネットワーク内部ルーティング情報を管理および記憶する。さらに、SGWは、合法傍受の場合にユーザトラフィックの複製を実行する。
【0007】
MMEは、LTEアクセスネットワークの主要な制御ノードである。MMEは、アイドルモードのユーザ機器の追跡および再送信を含むページング手順の役割を担う。MMEは、ベアラの有効化/無効化プロセスに関与し、さらには、最初のアタッチ時と、CN(基幹ネットワーク)ノードの再配置を伴うLTE内ハンドオーバ時とに、ユーザ機器のSGWを選択する役割も担う。MMEは、(HSSと対話することによって)ユーザを認証する役割を担う。NAS(非アクセス層)シグナリングはMMEにおいて終端され、MMEは、一時的なIDを生成してユーザ機器に割り当てる役割も担う。MMEは、サービスプロバイダのPLMN(公衆陸上移動体ネットワーク)にキャンプオンするためのユーザ機器の認証をチェックし、ユーザ機器のローミング制約を執行する。MMEは、NASシグナリングの暗号化/整合性保護においてネットワーク内の終端点であり、セキュリティキー管理を取り扱う。シグナリングの合法傍受も、MMEによってサポートされる。さらに、MMEは、LTEのアクセスネットワークと2G/3Gのアクセスネットワークとの間のモビリティのための制御プレーン機能を提供し、SGSNからのS3インターフェースをMMEにおいて終端させる。さらに、MMEは、ローミングするユーザ機器のためのホームHSSに向かうS6aインターフェースを終端させる。
【0008】
<LTEにおけるコンポーネントキャリアの構造>
3GPP LTEシステムのダウンリンクコンポーネントキャリアは、時間−周波数領域において、いわゆるサブフレームに分割されている。3GPP LTEでは、
図2に示したように、各サブフレームが2つのダウンリンクスロットに分割されており、第1のダウンリンクスロットは、最初のいくつかのOFDMシンボルにおける制御チャネル領域(PDCCH領域)を含んでいる。各サブフレームは、時間領域における所与の数のOFDMシンボルからなり(3GPP LTE(リリース8)では12個または14個のOFDMシンボル)、OFDMシンボルそれぞれが、コンポーネントキャリアの帯域幅全体を範囲としている。したがって、OFDMシンボルは各々、それぞれのサブキャリア上で送信される複数の変調シンボルからなる。LTEにおいて、各スロット内で送信される信号は、N
DLRBN
RBSC個のサブキャリアおよびN
DLsymb個のOFDMシンボルのリソースグリッドによって記述される。N
DLRBは、帯域幅内のリソースブロックの数である。量N
DLRBは、セル内で設定されているダウンリンク送信帯域幅に依存し、以下を満たすべきである。
【数1】
式中、N
min,DLRB=6およびN
max,DLRB=110はそれぞれ、現行バージョンの仕様によってサポートされる最小ダウンリンク帯域幅および最大ダウンリンク帯域幅である。N
RBSCは、1つのリソースブロック内のサブキャリアの数である。通常のサイクリックプレフィックスサブフレーム構造について、N
RBSC=12およびN
DLsymb=7である。
【0009】
たとえば、例として3GPP LTE(ロングタームエボリューション)において使用される、OFDMを採用するマルチキャリア通信システムを考えると、スケジューラによって割り当てることのできるリソースの最小単位は、1つの「リソースブロック」である。物理リソースブロック(PRB)は、
図2に例示的に示したように、時間領域における連続するOFDMシンボル(たとえば、7個のOFDMシンボル)と、周波数領域における連続するサブキャリアとして定義される(たとえば、コンポーネントキャリアの12のサブキャリア)。したがって、3GPP LTE(リリース8)においては、物理リソースブロックは、時間領域における1スロットと、周波数領域における180kHzに対応する複数のリソースエレメントからなる(ダウンリンクリソースグリッドに関するさらなる詳細については、たとえば、非特許文献1の6.2節を参照)(3GPPのウェブサイトにおいて入手可能であり、参照によって本明細書に組み込まれている)。
【0010】
1つのサブフレームは2つのスロットからなり、それによって、いわゆる「通常の」CP(サイクリックプレフィックス)が使用されているときにはサブフレームに14個のOFDMシンボルが存在し、いわゆる「拡張」CPが使用されているときにはサブフレームに12個のOFDMシンボルが存在する。専門用語として、以下では、サブフレーム全体にわたる、同じ連続するサブキャリアに等しい時間−周波数リソースを、「リソースブロックペア」、または同じ意味で「RBペア」もしくは「PRBペア」と称する。
【0011】
用語「コンポーネントキャリア」は、周波数領域におけるいくつかのリソースブロックの組合せを意味する。LTEの将来のリリースにおいて、「コンポーネントキャリア」という用語はもはや使用されない。代わりに、この用語は「セル」に変更される。「セル」は、ダウンリンクリソースおよび任意でアップリンクリソースの組合せを意味する。ダウンリンクリソースのキャリア周波数とアップリンクリソースのキャリア周波数との間のリンクは、ダウンリンクリソースで送信されるシステム情報に示される。
【0012】
コンポーネントキャリアの構造の同様の想定は、以降のリリースにも適用される。
【0013】
<より広い帯域幅をサポートするためのLTE−Aにおけるキャリアアグリゲーション>
世界無線通信会議2007(WRC−07)において、IMT−Advancedの周波数スペクトルが決定された。IMT−Advancedのための全体的な周波数スペクトルは決定されたが、実際に利用可能な周波数帯域幅は、地域または国によって異なる。しかしながら、利用可能な周波数スペクトルのアウトラインの決定に続いて、3GPP(第3世代パートナーシッププロジェクト)において無線インターフェースの標準化が開始された。3GPP TSG RAN #39会合において、「Further Advancements for E−UTRA (LTE−Advanced)」に関する検討項目の記述が承認された。この検討項目は、E−UTRAを発展させる上で、たとえば、IMT−Advancedの要件を満たすために、考慮すべき技術要素をカバーしている。
【0014】
LTE−Advancedシステムがサポートできる帯域幅は100MHzであるが、LTEシステムは20MHzをサポートできるのみである。最近、無線スペクトルの不足によって無線ネットワークの発展が妨げられており、結果として、LTE−Advancedシステムのための十分に広いスペクトル帯域を確保することが困難である。したがって、より広い無線スペクトル帯域を得るための方法を見つけることが緊急課題であり、1つの可能な答えがキャリアアグリゲーション機能である。
【0015】
キャリアアグリゲーションでは、最大で100MHzの広い送信帯域幅をサポートする目的で、2つ以上のコンポーネントキャリアがアグリゲートされる。LTE−Advancedシステムでは、LTEシステムにおけるいくつかのセルが、より広い1つのチャネルにアグリゲートされ、このチャネルは、たとえLTEにおけるこれらのセルが異なる周波数帯域内にある場合でも100MHzに対して十分に広い。
【0016】
少なくとも、コンポーネントキャリアの帯域幅がLTEリリース8/9セルのサポートされている帯域幅を超えないとき、すべてのコンポーネントキャリアをLTEリリース8/9互換として設定することができる。ユーザ機器によってアグリゲートされるすべてのコンポーネントキャリアが必ずしもLTEリリース8/9互換でなくてよい。リリース8/9のユーザ機器がコンポーネントキャリアにキャンプオンすることを回避するため、既存のメカニズム(たとえば、バーリング(barring))を使用することができる。
【0017】
ユーザ機器は、その能力に応じて1つまたは複数のコンポーネントキャリア(複数のサービングセルに対応する)を同時に受信または送信することができる。キャリアアグリゲーションのための受信および/または送信能力を備えた、LTE−Aリリース10のユーザ機器は、複数のサービングセル上で同時に受信および/または送信することができ、これに対して、LTEリリース8/9のユーザ機器は、コンポーネントキャリアの構造がリリース8/9の仕様に従うことを条件として、1つのみのサービングセル上で受信および送信することができる。
【0018】
キャリアアグリゲーションは、連続するコンポーネントキャリアおよび不連続なコンポーネントキャリアの両方についてサポートされ、この場合、コンポーネントキャリアそれぞれは、(3GPP LTE(リリース8/9)の計算方式を使用するとき)周波数領域における最大110個のリソースブロックに制限される。
【0019】
同じeNodeB(基地局)から送信される、場合によってはアップリンクおよびダウンリンクにおいて異なる帯域幅の異なる数のコンポーネントキャリアをアグリゲートするように、3GPP LTE−A(リリース10)互換のユーザ機器を設定することが可能である。設定することのできるダウンリンクコンポーネントキャリアの数は、ユーザ機器のダウンリンクのアグリゲーション能力に依存する。逆に、設定することのできるアップリンクコンポーネントキャリアの数は、ユーザ機器のアップリンクのアグリゲーション能力に依存する。現在、ダウンリンクコンポーネントキャリアよりもアップリンクコンポーネントキャリアが多くなるように移動端末を設定することはできない。一般的なTDD配備では、コンポーネントキャリアの数および各コンポーネントキャリアの帯域幅は、アップリンクとダウンリンクとで同じである。同じeNodeBから送信されるコンポーネントキャリアは、必ずしも同じカバレッジを提供する必要はない。
【0020】
連続的にアグリゲートされるコンポーネントキャリアの中心周波数の間隔は、300kHzの倍数であるべきである。これは、3GPP LTE(リリース8/9)の100kHzの周波数ラスターとの互換性を保つと同時に、15kHz間隔のサブキャリアの直交性を維持するためである。アグリゲーションのシナリオによっては、連続するコンポーネントキャリアの間に少数の使用されないサブキャリアを挿入することによって、n×300kHzの間隔あけを容易にすることができる。
【0021】
複数のキャリアをアグリゲートする影響は、MAC層に及ぶのみである。MAC層には、アップリンクおよびダウンリンクの両方において、アグリゲートされるコンポーネントキャリアごとに1つのHARQエンティティが要求される。コンポーネントキャリアあたりのトランスポートブロックは最大1個である(アップリンクにおけるSU−MIMOを使用しない場合)。トランスポートブロックおよび必要時のそのHARQ再送信は、同じコンポーネントキャリアにマッピングする必要がある。
【0022】
キャリアアグリゲーションが設定されるとき、移動端末はネットワークとの1つのRRC接続のみを有する。RRC接続の確立/再確立時、1つのセルが、LTEリリース8/9と同様に、セキュリティ入力(1つのECGI、1つのPCI、および1つのARFCN)と、非アクセス層モビリティ情報(たとえば、TAI)とを提供する。RRC接続の確立/再確立の後、そのセルに対応するコンポーネントキャリアは、ダウンリンクPCell(プライマリセル)と称される。接続状態では、ユーザ機器あたり常に1つの、また1つだけのDL PCell(ダウンリンクPCell)および1つのUL PCell(アップリンクPCell)が設定される。設定されたコンポーネントキャリアのセットのうち、プライマリセル以外のセルはSCell(セカンダリセル)と称される。SCellのキャリアは、DL SCC(ダウンリンクセカンダリコンポーネントキャリア)およびUL SCC(アップリンクセカンダリコンポーネントキャリア)である。PCellを含む最大5つのサービングセルを、1つのUEに対して設定することができる。
【0023】
ダウンリンクPCellおよびアップリンクPCellの特徴は以下のとおりである。
1.SCellごとに、ダウンリンクリソースに加えてアップリンクリソースのUEによる使用を設定可能である(したがって、設定されるDL SCCの数はUL SCCの数よりも常に大きいかまたは等しく、アップリンクリソースのみを使用するようにSCellを設定することはできない)。
2.ダウンリンクPCellは、SCellとは異なり無効化することはできない。
3.ダウンリンクPCellにおいてRLF(レイリーフェージング)が発生すると再確立がトリガされるが、ダウンリンクSCellにRLFが発生しても再確立はトリガされない。
4.非アクセス層情報はダウンリンクPCellから取得される。
5.PCellは、ハンドオーバ手順(すなわちセキュリティキーの変更およびRACH手順)によってのみ変更することができる。
6.PCellは、PUCCHの送信に使用される。
7.アップリンクPCellは、レイヤ1アップリンク制御情報を送信するのに使用される。
8.ユーザ機器の観点から、各アップリンクリソースは1つのサービングセルに属するのみである。
【0024】
コンポーネントキャリアの設定および再設定ならびに追加および削除は、RRCによって行うことができる。有効化および無効化は、MAC制御要素を介して行われる。LTE内ハンドオーバ時、RRCによって、ターゲットセルで使用するためのSCellを追加、削除、または再設定することもできる。新しいSCellを追加するときには、SCellのシステム情報を送るために専用のRRCシグナリングが使用され、この情報は、送信/受信に必要である(LTEリリース8/9におけるハンドオーバ時と同様)。各SCellは、SCellが1つのUEに追加されるときにサービングセルインデックスによって設定され、PCellは、常にサービングセルインデックス0を有する。
【0025】
キャリアアグリゲーションを使用するようにユーザ機器が設定されているとき、アップリンクコンポーネントキャリアとダウンリンクコンポーネントキャリアの少なくとも一対が常にアクティブである。この対のうちのダウンリンクコンポーネントキャリアは、「ダウンリンクアンカーキャリア」と称されることもある。同じことはアップリンクについても当てはまる。
【0026】
キャリアアグリゲーションが設定されているとき、同時に複数のコンポーネントキャリアについてユーザ機器をスケジューリングすることができるが、一度に行うことのできるランダムアクセス手順は最大で1つであるべきである。クロスキャリアスケジューリング(Cross−carrier scheduling)では、コンポーネントキャリアのPDCCHによって別のコンポーネントキャリアのリソースをスケジューリングすることができる。この目的のため、それぞれのDCI(ダウンリンク制御情報)フォーマットにCIFと称される、コンポーネントキャリア識別フィールドが導入されている。
【0027】
クロスキャリアスケジューリングが行われていないときには、アップリンクコンポーネントキャリアとダウンリンクコンポーネントキャリアとの間の、RRCシグナリングによって確立されるリンクによって、グラントが適用されるアップリンクコンポーネントキャリアを識別することができる。アップリンクコンポーネントキャリアへのダウンリンクコンポーネントキャリアのリンクは、必ずしも1対1である必要はない。言い換えれば、同じアップリンクコンポーネントキャリアに複数のダウンリンクコンポーネントキャリアをリンクすることができる。同時に、1つのダウンリンクコンポーネントキャリアは、1つのアップリンクコンポーネントキャリアのみにリンクすることができる。
【0028】
<LTE D2D(デバイス間)ProSe(近接サービス)>
近接性ベースのアプリケーションおよびサービスは、新たに起こっている社会技術的傾向を表している。認められている分野は、オペレータおよびユーザにとって関心事である商業サービスおよび公衆安全に関するサービスを含む。LTEに近接サービス(ProSe)機能を導入すれば、3GPP産業が、この発展している市場に奉仕することが可能であり、同時に、ともにLTEに取り組んでいるいくつかの公衆安全団体の緊急の需要に奉仕することになる。
【0029】
D2D(デバイス間)通信は、LTEリリース12によって導入されている技術要素であり、LTEリリース12は、セルラネットワークに対するアンダーレイとしてのD2Dがスペクトル効率を増大させることを可能にする。たとえば、セルラネットワークがLTEである場合、すべてのデータ搬送物理チャネルが、D2DシグナリングにSC−FDMAを使用する。D2D通信において、ユーザ機器は、無線基地局を通す代わりに、セルラリソースを使用したダイレクトリンクを介して互いにデータ信号を送信する。本発明全体を通じて、用語「D2D」、「ProSe」および「サイドリンク」は交換可能である。
【0030】
<LTEにおけるD2D通信>
LTEにおけるD2D通信は、ディスカバリおよび通信の2つの領域に焦点を当てている。
【0031】
ProSe(近接性ベースのサービス)ダイレクトディスカバリは、ProSe使用可能UEによって、PC5インターフェースを介してE−UTRAダイレクト無線信号を使用してその付近にある他のProSe使用可能UEを発見するために使用される手順として定義され、後により詳細に説明される。
【0032】
D2D通信において、UEは、BS(基地局)を通す代わりに、セルラリソースを使用したダイレクトリンクを介して互いにデータ信号を送信する。D2Dユーザは、BS下で制御されたままである間に、すなわち、少なくともeNBのカバレッジ内にあるときに、直接的に通信する。それゆえ、D2Dは、セルラリソースを再使用することによってシステム性能を向上させることができる。
【0033】
D2Dは、アップリンクLTEスペクトル(FDDの場合)またはカバレッジを与えているセルのアップリンクサブフレーム(TDDの場合、カバレッジ外であるときを除く)において動作すると仮定される。さらに、D2D送信/受信は、所与のキャリア上で全二重通信を使用しない。個々のUEの観点から、所与のキャリア上で、D2D信号受信およびLTEアップリンク送信は全二重通信を使用しない、すなわち、D2D信号受信とLTE UL送信を同時に行うことは可能ではない。
【0034】
D2D通信において、1つの特定のUE1が送信の役割を有する(送信ユーザ機器または送信端末)とき、UE1がデータを送信し、別のUE2(受信ユーザ機器)がこれを受信する。UE1およびUE2は、それらの送信および受信の役割を交代することができる。UE1からの送信は、UE2のような1つまたは複数のUEによって受信することができる。
【0035】
ユーザプレーンプロトコルに関連して、D2D通信の観点からの合意の一部を以下に与える(参照によって本明細書に組み込まれている非特許文献2の9.2.2節も参照)。
【0036】
・PDCP:
−1:M D2Dブロードキャスト通信データ(すなわち、IPパケット)は、通常ユーザプレーンデータとして取り扱われるべきである。
−PDCPにおけるヘッダ圧縮/復元が、1:M D2Dブロードキャスト通信に適用可能である。
・公衆安全のためのD2Dブロードキャスト動作について、PDCPにおけるヘッダ圧縮のためにU−Modeが使用される。
【0037】
・RLC:
−RLC UMが1:M D2Dブロードキャスト通信に使用される。
−セグメント化および再組み立てが、RLC UMによってL2上でサポートされる。
−受信UEは、送信ピアUEごとに少なくとも1つのRLC UMエンティティを維持する必要がある。
−RLC UM受信機エンティティは、最初のRLC UMデータユニットを受信する前に設定される必要はない。
−そのため、ユーザプレーンデータ送信のためのD2D通信について、RLC AMまたはRLC TMの必要性は認められていない。
【0038】
・MAC:
−1:M D2Dブロードキャスト通信についてHARQフィードバックは想定されない。
−受信UEは、受信機RLC UMエンティティを識別するために発信元IDを知る必要がある。
−MACヘッダは、MAC層におけるパケットのフィルタリング除外を可能にするL2宛先IDを含む。
−L2宛先IDは、ブロードキャスト、グループキャストまたはユニキャストアドレスであり得る。
・L2グループキャスト/ユニキャスト:MACヘッダ内で搬送されるL2宛先IDは、受信されるRLC UM PDUを、それがRLC受信機エンティティに送達される前であっても、廃棄することを可能にする。
・L2ブロードキャスト:受信UEは、すべての送信機からのすべての受信されるRLC PDUを処理し、IPパケットを再組み立てして、上層に送達することを目標とする。
−MACサブヘッダは、(複数の論理チャネルを区別するために)LCIDを含む。
−少なくとも多重化/逆多重化、優先度処理およびパディングがD2Dにとって有用である。
【0039】
<ProSeダイレクト通信レイヤ2リンク>
簡潔には、ProSeダイレクト1対1通信は、2つのUEの間でPC5を介したセキュアなレイヤ2リンクを確立することによって実現される。各UEは、UEがレイヤ2リンク上で送信するすべてのフレームの発信元レイヤ2 IDフィールド内、および、UEがレイヤ2リンク上で受信するすべてのフレームの宛先レイヤ2 ID内に含まれているユニキャスト通信のためのレイヤ2 IDを有する。UEは、ユニキャスト通信のためのレイヤ2 IDが、少なくともローカルに固有であることを保証する必要がある。そのため、UEは、指定されていないメカニズムを使用して、隣接するUEとのレイヤ2 ID衝突の処理に備えるべきである(たとえば、衝突が検出されるときに、ユニキャスト通信のための新たなレイヤ2 IDを自己割り当てする)。1対1ProSeダイレクト通信のためのレイヤ2リンクは、2つのUEのレイヤ2 IDの組合せによって識別される。これは、UEが、同じレイヤ2 IDを使用して1対1ProSeダイレクト通信のための複数のレイヤ2リンクに携わることができることを意味する。
【0040】
1対1ProSeダイレクト通信は、参照によって本明細書に組み込まれている非特許文献3の7.1.2節に詳細に説明されているような、以下の手順から構成される。
・PC5を介したセキュアなレイヤ2リンクの確立。
・IPアドレス/プレフィックス割り当て。
・PC5を介したレイヤ2リンクの維持。
・PC5を介したレイヤ2リンクの解放。
【0041】
図3は、PC5インターフェースを介したセキュアなレイヤ2リンクを確立する方法を開示している。
1.UE−1が、相互認証をトリガするために、ダイレクト通信要求メッセージをUE−2に送信する。リンクイニシエータ(UE−1)は、ステップ1を実行するために、ピア(UE−2)のレイヤ2 IDを知る必要がある。一例として、リンクイニシエータは、最初にディスカバリ手順を実行すること、または、ピアを含むProSe1対多通信に参加することによって、ピアのレイヤ2 IDを学習することができる。
2.UE−2が、相互認証のための手順を開始する。認証手順が首尾よく完了すると、PC5を介したセキュアなレイヤ2リンクの確立が完了する。
【0042】
少なくとも以下の標準的なIETFメカニズムを、IPアドレス/プレフィックス割り当てに使用することができる。
・IPv4アドレスの割り当てのためのDHCPベースのIPアドレス設定。
・IPv6プレフィックス割り当てのための、RFC4862において指定されているIPv6ステートレスアドレス自動設定。
【0043】
2つのUEのうちの一方が、DHCPサーバまたはIPv6デフォルトルータとして動作する。ProSeUE−NWリレーの場合において(後のProSeリレーに関するチャプタも参照)、リレーは、PC5を介したセキュアなレイヤ2リンクにわたってそれに接続するすべての遠隔UEに対するDHCPサーバまたはIPv6デフォルトルータとして動作する。
【0044】
隔離された(非中継)1対1通信に携わるUEはまた、リンクローカルアドレスも使用することができる。
【0045】
PC5シグナリングプロトコルは、UEが黙示的なレイヤ2リンク解放を進めることができるように、UEがProSe通信範囲内にないときを検出するために使用されるキープアライブ機能をサポートすべきである。
【0046】
PC5を介したレイヤ2リンク解放は、他方のUEに送信される接続切断要求メッセージを使用し、他方のUEも、すべての関連するコンテキストデータを削除することによって実行することができる。接続切断要求メッセージを受信したとき、他方のUEは、接続切断応答メッセージによって応答し、レイヤ2リンクに関連するすべてのコンテキストデータを削除する。
【0047】
<ProSeダイレクト通信関連識別情報>
非特許文献4は、従属節8.3において、ProSeダイレクト通信に使用するための以下の識別情報を定義している。
・SL−RNTI:ProSeダイレクト通信スケジューリングに使用される固有の識別情報、
・発信元レイヤ2 ID:サイドリンクProSeダイレクト通信におけるデータの送信者を識別する。発信元レイヤ2 IDは、24ビット長であり、受信機におけるRLC UMエンティティおよびPDCPエンティティの識別のためのProSeレイヤ2宛先IDおよびLCIDとともに使用される。
・宛先レイヤ2 ID:サイドリンクProSeダイレクト通信におけるデータの目標を識別する。宛先レイヤ2 IDは、24ビット長であり、MAC層において2つのビット列に分割される。
・1つのビット列は、宛先レイヤ2 IDのLSB部分(8ビット)であり、サイドリンク制御レイヤ1 IDとして物理層に転送される。これは、サイドリンク制御において意図されているデータの目標を識別し、物理層においてパケットをフィルタリングするために使用される。
・第2のビット列は、宛先レイヤ2 IDのMSB部分(16ビット)であり、MACヘッダ内で搬送される。これは、MAC層においてパケットをフィルタリングするために使用される。
【0048】
グループ形成のために、また、UEにおいて発信元レイヤ2 ID、宛先レイヤ2 IDおよびサイドリンク制御L1 IDを設定するために、非アクセス層シグナリングが必要とされる。これらの識別情報は、より高位の層によって提供されるか、または、より高位の層によって提供される識別情報から導出される。グループキャストおよびブロードキャストの場合、より高位の層によって提供されるProSe UE IDは、発信元レイヤ2 IDとして直接的に使用され、より高位の層によって提供されるProSeレイヤ2グループIDは、MAC層における宛先レイヤ2 IDとして直接的に使用される。
【0049】
<近接サービスのための無線リソース配分>
送信UEの観点から、近接サービス使用可能UE(ProSe使用可能UE)は、2つのリソース配分モードにおいて動作することができる。
【0050】
モード1は、eNBによってスケジューリングされるリソース配分を指し、UEがeNB(またはリリース10リレーノード)から送信リソースを要求し、eNodeB(またはリリース10リレーノード)は、UEによってダイレクトデータおよびダイレクト制御情報(たとえば、スケジューリング割り当て)を送信するために使用されるリソースをスケジューリングする。UEは、データを送信するためにRRC_CONNECTEDである必要がある。特に、UEは、eNBにスケジューリング要求(D−SRまたはランダムアクセス)を送信し、その後、通常通りにバッファ状態報告(BSR)を送信する(以下のチャプタ「D2D通信のための送信手順」も参照)。BSRに基づいて、eNBは、UEがProSeダイレクト通信送信のためのデータを有すると判定することができ、送信のために必要とされるリソースを推定することができる。
【0051】
他方、モード2は、UEによる自主的なリソース選択を参照し、UE自体がリソースプールからダイレクトデータおよびダイレクト制御情報(すなわち、SA)を送信するためのリソース(時間および周波数)を選択する。1つのリソースプールが、たとえば、SIB18の内容によって、すなわち、フィールドcommTxPoolNormalCommonによって定義され、この特定のリソースプールは、セル内でブロードキャストされ、その後、依然としてRRC_Idle状態にあるセル内のすべてのUEにとって共通して利用可能である。実際的には、eNBは、上記プールの最大4つの異なるインスタンス、SAメッセージおよびダイレクトデータの送信のためのそれぞれ4つのリソースプールを定義することができる。しかしながら、UEは、たとえ複数のリソースプールで構成されたとしても、リスト内に定義されている最初のリソースプールを常に使用すべきである。
【0052】
代替として、別のリソースプールを、すなわち、例外的な場合においてUEによって使用することができるフィールドcommTxPoolExceptionalを使用することによって、eNBによって定義し、SIB18においてシグナリングすることができる。
【0053】
UEが使用することになるリソース配分モードは、eNBによって設定可能である。さらに、D2Dデータ通信のためにUEが使用することになるリソース配分モードはまた、RRC状態、すなわち、RRC_IDLEまたはRRC_CONNECTED、および、UEのカバレッジ状態、すなわち、カバレッジ内、カバレッジ外に依存し得る。UEは、サービングセルを有する(すなわち、UEがRRC_CONNECTEDであるか、または、RRC_IDLEにおいてセルにキャンプオンしている)場合、カバレッジ内と考えられる。
【0054】
図4は、オーバーレイ(LTE)およびアンダーレイ(D2D)システムに対する送信/受信リソースの使用を示す。
【0055】
基本的に、eNodeBは、UEがモード1またはモード2のいずれにおける送信を適用し得るかを制御する。UEが、D2D通信を送信(または受信)することができるそのリソースが分かると、UEは、対応する送信/受信に対してはその対応するリソースのみを使用する。たとえば、
図4において、D2Dサブフレームは、D2D信号を受信または送信するためにのみ使用されることになる。D2DデバイスとしてのUEは半二重モードで動作することになるため、UEは、任意の時点においてD2D信号を受信するか、または、送信するかのいずれかであり得る。同様に、
図4に示す他のサブフレームは、LTE(オーバーレイ)送信および/または受信に使用することができる。
【0056】
<D2D通信のための送信手順>
D2Dデータ送信手順は、リソース配分モードに応じて異なる。モード1について上述したように、eNBは、UEからの対応する要求後に、スケジューリング割り当ておよびD2Dデータ通信のためにリソースを明示的にスケジューリングする。特に、UEは、eNBによって、D2D通信が一般的に許可されているが、モード2リソース(すなわち、リソースプール)は与えられないことを通知され得、これは、たとえば、UEによるD2D通信関心インジケーションおよび対応する応答、D2D通信応答を交換することによって行うことができ、上述した対応する例示的なProseCommConfig情報要素は、commTxPoolNormalCommonを含まないことになり、これは、送信を含むダイレクト通信を開始したいと望むUEが、E−UTRANに、各個々の送信にリソースを割り当てることを要求する必要があることを意味する。したがって、そのような場合において、UEは、各個々の送信のためにリソースを要求する必要があり、以下において、要求/許可手順の種々のステップが、このモード1リソース配分について例示的にリストされる。
・ステップ1:UEが、PUCCHを介してeNBにSR(スケジューリング要求)を送信する。
・ステップ2:eNBが、PDCCHを介してULリソース(UEがBSRを送信するためのもの)を許可し、これはC−RNTIによってスクランブルをかけられる。
・ステップ3:UEが、PUSCHを介してバッファ状態を示すD2D BSRを送信する。
・ステップ4:eNBが、PDCCHを介してD2Dリソース(UEがデータを送信するためのもの)を許可し、これはD2D−RNTIによってスクランブルをかけられる。
・ステップ5:D2D Tx UEが、ステップ4において受信されている許可に従ってSA/D2Dデータを送信する。
【0057】
SCI(サイドリンク制御情報)とも称されるSA(スケジューリング割り当て)は、制御情報、たとえば、時間−周波数リソースに対するポインタ、変調およびコード化方式、ならびに、対応するD2Dデータ送信のためのグループ宛先IDを含むコンパクトな(低ペイロード)メッセージである。SCIは、1つの(ProSe)宛先IDのサイドリンクスケジューリング情報を伝送する。SA(SCI)の内容は基本的に、上記ステップ4において受信される許可に従う。D2D許可およびSA内容(すなわち、SCI内容)は、特にSCIフォーマット0を定義している、参照によって本明細書に組み込まれている非特許文献5の従属節5.4.3において定義されている。
【0058】
他方、モード2リソース配分について、上記ステップ1〜4は基本的に必要なく、UEは、eNBによって設定および提供される送信リソースプールから、SAおよびD2Dデータ送信のためのリソースを自主的に選択する。
【0059】
図5は、2つのUE、すなわち、UE−AおよびUE−Bのスケジューリング割り当ておよびD2Dデータの送信を例示的に示し、スケジューリング割り当てを送信するためのリソースは定期的であり、D2Dデータ送信に使用されるリソースは、対応するスケジューリング割り当てによって示される。
【0060】
<ProSeネットワークアーキテクチャおよびProSeエンティティ>
図6は、それぞれのUE AおよびB内の異なるProSeアプリケーション、ならびに、ネットワーク内のProSeアプリケーションサーバおよびProSe関数を含む、非ローミングの場合の高レベルの例示的なアーキテクチャを示す。
図6の例示的なアーキテクチャは、参照によって本明細書に組み込まれている非特許文献6の4.2章「Architectural Reference Model」から取得される。
【0061】
これらの機能エンティティは、参照によって本明細書に組み込まれている非特許文献6の従属節4.4「Functional Entities」に詳細に提示および説明されている。ProSe関数は、ProSeに必要とされるネットワーク関連動作のために使用される論理関数であり、ProSeの特徴の各々のための種々の役割を果たす。ProSe関数は、3GPPのEPCの一部分であり、近接サービスに関係する、承認、認証、データ取り扱いなどのような、すべての関連するネットワークサービスを提供する。ProSeダイレクトディスカバリおよび通信のために、UEは、PC3基準点を介して、特定のProSe UE識別情報、他の設定情報、および、ProSe関数からの承認を取得することができる。ネットワーク内で複数のProSe関数が配備され得るが、例示を容易にするために、単一のProSe関数が提示されている。ProSe関数は、ProSe特徴に応じて異なる役割を実行する3つの主な従属関数、すなわち、DPF(Direct Provision Function:ダイレクト付与関数)、ダイレクトディスカバリ名管理関数(Direct Discovery Name Management Function)、および、EPCレベルディスカバリ関数(EPC−level Discovery Function)からなる。DPFは、UEに、ProSeダイレクトディスカバリおよびProSeダイレクト通信を使用するために必要なパラメータを付与するために使用される。
【0062】
上記接続において使用されている用語「UE」は、ProSe機能をサポートするProSe使用可能UEを指す。
【0063】
ProSeアプリケーションサーバは、EPC ProSeユーザIDおよびProSe関数IDの記憶、ならびに、アプリケーション層ユーザIDおよびEPC ProSeユーザIDのマッピングをサポートする。ProSe AS(アプリケーションサーバ)は、3GPPの範囲外のエンティティである。UE内のProSeアプリケーションは、アプリケーション層基準点PC1を介してProSe ASと通信する。ProSe ASは、PC2基準点を介して3GPPネットワークに接続されている。
【0064】
<D2Dに関するUEカバレッジ状態>
すでに前述したように、D2D通信のためのリソース配分モードは、RRC状態、すなわち、RRC_IDLEおよびRRC_CONNECTEDとは別に、UEのカバレッジ状態、すなわち、カバレッジ内、カバレッジ外にも依存する。UEは、サービングセルを有する(すなわち、UEがRRC_CONNECTEDであるか、または、RRC_IDLEにおいてセルにキャンプオンしている)場合、カバレッジ内と考えられる。
【0065】
これまで言及した2つのカバレッジ状態、すなわち、IC(カバレッジ内)およびOOC(カバレッジ外)は、さらに、D2Dのサブ状態へと区別される。
図7は、以下のように要約することができる、D2D UEが関連付けられ得る4つの異なる状態を示す。
・状態1:UE1が、アップリンクおよびダウンリンクカバレッジを有する。この状態において、ネットワークは、各D2D通信セッションを制御する。さらに、ネットワークは、UE1がリソース配分モード1を使用すべきか、または、モード2を使用すべきかを設定する。
・状態2:UE2が、ダウンリンクカバレッジを有するが、アップリンクカバレッジを有しない、すなわち、DLカバレッジのみを有する。ネットワークは、(コンテンションベースの)リソースプールをブロードキャストする。この状態において、送信UEは、ネットワークによって設定されるリソースプールからSAおよびデータに使用されるリソースを選択し、そのような状態において、リソース配分は、D2D通信のモード2に従ってのみ可能である。
・状態3:UE3がアップリンクおよびダウンリンクカバレッジを有しないため、UE3は、厳密に言うと、すでにOOC(カバレッジ外)であると考えられる。しかしながら、UE3は、それ自体はセルのカバレッジ内にある何らかのUE(たとえば、UE1)のカバレッジ内にある。すなわち、それらの何らかのUEは、CPリレーUEまたは単純にリレーUEとしても参照され得る(ProSeリレーに関する後のチャプタも参照)。それゆえ、
図7における状態3のUEの領域は、CP UEリレーカバレッジエリアとして示すことができる。この状態3にあるUEはまた、OOC状態3 UEとしても参照される。この状態において、UEは、eNBによって送信され(SIB)、セルのカバレッジ内にあるCP UEリレーUEによってPD2DSCHを介してOOC状態3 UEへと転送されるいくつかのセル特有の情報を受信する。(コンテンションベースの)ネットワーク制御リソースプールが、PD2DSCHによってシグナリングされる。
・状態4:UE4はカバレッジ外にあり、セルのカバレッジ内にある他のUEからPD2DSCHを受信しない。状態4 OOCとしても参照されるこの状態において、送信UEは、予め設定されているリソースプールからデータ送信に使用されるリソースを選択する。
【0066】
OOC状態3とOOC状態4との間で区別する理由は、主に、カバレッジ外デバイスからのD2D送信と、レガシーE−UTRA送信との間で発生する可能性がある強い干渉を回避するためである。一般的に、D2D有効UEは、カバレッジ外にある間に使用するための、D2D SAおよびデータの送信のためのリソースプールを有する。これらのカバレッジ外UEが、セル境界付近の予め設定されているこれらの予め設定されているリソースプールで送信する場合、D2D送信とカバレッジ内レガシー送信との間の干渉が、セル内の通信に悪影響を与える可能性がある。カバレッジ内のD2D使用可能UEがD2Dリソースプール設定をセル境界付近のそれらのカバレッジ外デバイスに転送した場合、カバレッジ外UEは、eNodeBによって指定されるリソースにそれらの送信を制限し、それゆえ、カバレッジ内のレガシー送信との干渉が最小限に抑えられる。このように、RAN1は、カバレッジ内UEがリソースプール情報および他のD2D関連設定をカバレッジエリアのほんの外側にあるそれらのデバイス(状態3 IE)に転送しているメカニズムを導入している。
【0067】
カバレッジ内D2Dリソースプールに関するこの情報をネットワーク内で近接するUEに搬送するためにPD2DSCH(物理D2D同期チャネル)が使用され、それによって、ネットワーク内で近接するリソースプールが連携される。
【0068】
<D2Dディスカバリ>
ProSeダイレクトディスカバリは、ProSe使用可能UEによって、PC5を介してE−UTRAダイレクト無線信号を使用してその付近にある他のProSe使用可能UEを発見するために使用される手順として定義される。
図8は、デバイス間ダイレクトディスカバリのためのPC5インターフェースを概略的に示す。
【0069】
上層は、ディスカバリ情報の告知およびモニタリングの承認を処理する。この目的のために、UEは、「ディスカバリ信号」と称される、所定の信号を交換する必要がある。ディスカバリ信号を定期的にチェックすることによって、UEは、必要なときに通信リンクを確立するために、近接するUEのリストを維持する。ディスカバリ信号は、たとえ低信号対雑音比(SNR)環境にあっても確実に検出されるべきである。ディスカバリ信号が定期的に送信されることを可能にするために、ディスカバリ信号のためのリソースが割り当てられるべきである。
【0070】
オープンおよび制限の、2つのタイプのProSeダイレクトディスカバリがある。オープンは、発見されているUEから必要とされている明示的な許可がない場合であり、一方、制限ディスカバリは、発見されているUEから明示的な許可がある場合にのみ行われる。
【0071】
ProSeダイレクトディスカバリは、たとえば、「find a taxi nearby(近くのタクシーを見つけて)」、「find me a coffee shop(コーヒーショップを見つけて)」のような、たとえば、発見されるUEからの情報を、この情報を使用することを許可されているUEにおいて特定の用途のために使用することができる、独立型サービスイネーブラであり得る。加えて、取得される情報に応じて、ProSeダイレクトディスカバリは、その後の動作のために、たとえば、その後のProSeダイレクト通信のために使用することができる。
【0072】
<ProSeダイレクトディスカバリモデル>
ProSeダイレクトディスカバリのための以下のモデルは、参照によって本明細書に組み込まれている非特許文献6の5.3節およびそのすべての従属節において定義されている。
【0073】
モデルA「I am here(私はここにいます)」
このモデルは、ProSeダイレクトディスカバリに参加するProSe使用可能UEの2つの役割を定義する。
・告知UE:このUEは、発見する許可を得ている近接するUEによって使用され得る特定の情報を告知する。
・モニタリングUE:告知UEの近傍の関心のある特定の情報をモニタリングするUE。
【0074】
このモデルにおいて、告知UEは、所定のディスカバリ間隔をおいてディスカバリメッセージをブロードキャストし、これらのメッセージに関心のあるモニタリングUEは、それらを読み出し、それらを処理する。告知UEは、それ自体に関する情報、たとえば、そのProSeアプリケーションコードをディスカバリメッセージ内でブロードキャストするため、このモデルは、「I am here」と称される場合がある。
【0075】
モデルB(「who is there?(そこにいるのは誰ですか?)」/「are you there?(あなたはそこにいますか?)」)
このモデルは、ProSeダイレクトディスカバリに参加するProSe使用可能UEの2つの役割を定義する。
・発見者UE:このUEは、当該UEが発見しようと関心を持っている物に関する特定の情報を含む要求を送信する。
・被発見者UE:この要求メッセージを受信するUEは、発見者の要求に関連する何らかの情報によって応答することができる。
【0076】
発見者UEは、応答を受信する可能性がある他のUEの情報を送信し、たとえば、情報は、応答することができるグループおよびグループのメンバーに対するProSeアプリケーション識別情報に関するものであり得るため、これは、「who is there/are you there」と称され得る。
【0077】
ディスカバリ情報の内容は、AS(アクセス層)にとってトランスペアレントであり、ProSeダイレクトディスカバリモデルのASおよびProSeダイレクトディスカバリのタイプにおいて区別は行われない。ProSeプロトコルは、有効なディスカバリ情報のみを告知のためのASに送達することを保証する。
【0078】
UEは、eNB設定によってRRC_IDLEとRRC_CONNECTEDの両方の状態においてディスカバリ情報の告知およびモニタリングに参加することができる。UEは、半二重制約に従ってそのディスカバリ情報を告知およびモニタリングする。
【0079】
<ディスカバリのためのリソース配分>
D2D通信は、ダイレクト送信(D2D)と従来のセルラリンクとの間の切り替えをオペレータが管理するネットワーク制御、または、オペレータが制御することなくダイレクトリンクをデバイスによって管理するかのいずれかであり得る。D2Dは、インフラストラクチャモードとアドホック通信とを組み合わせることを可能にする。
【0080】
一般的に、デバイスディスカバリは定期的に必要とされる。さらに、D2Dデバイスは、デバイスディスカバリを実行するためにディスカバリメッセージシグナリングプロトコルを利用する。たとえば、あるD2D使用可能UEがそのディスカバリメッセージを送信することができ、別のD2D使用可能UEが、このディスカバリメッセージを受信し、この情報を使用して、ダイレクト通信リンクを確立することができる。ハイブリッドネットワークの利点は、D2Dデバイスもネットワークインフラストラクチャの通信範囲内にある場合に、eNBのようなネットワークエンティティが付加的に、ディスカバリメッセージの送信または設定を支援することができることである。ディスカバリメッセージの送信または設定におけるeNBの協調/制御は、D2DメッセージがeNBによって制御されるセルラトラフィックとの干渉をもたらさないことを保証するためにも重要である。加えて、たとえデバイスのいくつかがネットワークカバレッジ範囲外にある場合であっても、カバレッジ内デバイスが、アドホックディスカバリプロトコルを支援することができる。
【0081】
本明細書においてさらに使用される用語の定義を目的として、少なくとも以下の2つのタイプのディスカバリ手順が定義される。
・UE自主的リソース選択(後にタイプ1と称される):ディスカバリ情報を告知するためのリソースが、非UE特異的に配分されるリソース配分手順。これは、さらに以下のことを特徴とする:
○eNBがUEに、ディスカバリ情報の告知に使用されるリソースプール設定を提供する。設定は、たとえば、SIBにおいてシグナリングすることができる。
○UEは、示されているリソースプールから無線リソースを自主的に選択し、ディスカバリ情報を告知する。
○UEは、各ディスカバリ期間中に、ランダムに選択されたディスカバリリソース上でディスカバリ情報を告知することができる。
・スケジューリングされたリソース配分(後にタイプ2と称される):ディスカバリ情報を告知するためのリソースが、UEごとに特異的に配分されるリソース配分手順。これは、さらに以下のことを特徴とする:
○RRC_CONNECTEDであるUEが、RRCを介してeNBからディスカバリ情報の告知のためのリソースを要求することができる。eNBは、RRCを介してリソースを割り当てる。
○リソースは、UEにおいてモニタリングのために設定されているリソースプール内で配分される。
【0082】
RRC_IDLEであるUEについて、eNBは、以下の選択肢のうちの1つを選択することができる。
・eNBは、SIBにおけるディスカバリ情報告知のためにタイプ1リソースプールを提供することができる。ProSeダイレクトディスカバリのために承認されているUEは、これらのリソースを、RRC_IDLEにおいてディスカバリ情報の告知に使用する。
・eNBは、SIBにおいて、eNBがD2Dをサポートするが、ディスカバリ情報告知のためにはリソースを提供しないことを示し得る。UEは、ディスカバリ情報告知のためのD2Dリソースを要求するために、RRC接続状態に入る必要がある。
【0083】
RRC_CONNECTEDであるUEについて:
・ProSeダイレクトディスカバリ告知を実行することを承認されているUEは、eNBに、当該UEが、D2Dディスカバリ告知を実行したいと望むことを示す。
・eNBは、UEがMMEから受信されるUEコンテキストを使用して、UEがProSeダイレクトディスカバリ告知について承認されているか否かを検証する。
・eNBは、専用RRCシグナリングを介してディスカバリ情報告知のためにタイプ1リソースプールまたは専用タイプ2リソースを使用する(またはリソースを使用しない)ように設定することができる。
・eNBによって配分されるリソースは、a)eNBがRRCシグナリングによってリソースを設定解除するか、または、b)UEがIDLEに入るまで有効である。
【0084】
RRC_IDLEおよびRRC_CONNECTEDである受信UEは、承認されると、タイプ1とタイプ2の両方のディスカバリリソースプールをモニタリングする。eNBは、SIBにおいてディスカバリ情報モニタリングに使用されるリソースプール設定を提供する。SIBはまた、隣接するセルにおいて告知に使用されるディスカバリリソースをも含み得る。
【0085】
<ProSeダイレクトディスカバリのための無線プロトコルアーキテクチャ>
図9は、ProSeダイレクトディスカバリのための無線プロトコルスタック(アクセス層)を概略的に示し、アクセス層プロトコルは、MACおよびPHYのみからなる。
【0086】
AS層は、以下の機能を実行する。
・上層(ProSeプロトコル)とのインターフェース:MAC層は、上層(ProSeプロトコル)からディスカバリメッセージを受信する。IP層は、ディスカバリメッセージの送信には使用されない。
・スケジューリング:MAC層は、上層から受信されるディスカバリメッセージを告知するために使用されるべき無線リソースを決定する。
・ディスカバリPDU生成:MAC層は、ディスカバリメッセージを搬送するMAC PDUを構築し、MAC PDUを、決定された無線リソースにおいて送信するために物理層に送信する。MACヘッダは付加されない。
【0087】
UEにおいて、RRCプロトコルは、ディスカバリリソースプールをMACに通知する。RRCはまた、MACへの送信のための配分されたタイプ2Bリソースを通知する。MACヘッダは必要ない。ディスカバリのためのMACヘッダは、それに基づいてL2に対するフィルタリングが実行され得るフィールドを一切含まない。MACレベルにおけるディスカバリメッセージフィルタリングは、ProSe UEおよび/またはProseアプリケーションIDに基づいて上層においてフィルタリングを実施するのと比較して、処理または電力を節約するとは考えられない。MAC受信機は、すべての受信されるディスカバリメッセージを上層に転送する。MACは、正確に受信されたメッセージのみを上層に送達する。L1はMACに、ディスカバリメッセージが正確に受信されたか否かを示すと仮定される。上層は、有効なディスカバリ情報のみをアクセス層に送達することを保証すると仮定される。
【0088】
<ProSe UE−ネットワークリレー>
UEはまた、遠隔UEがPC5基準点を介してProSe UE−ネットワークリレーと通信するように、ProSe UE−ネットワークリレーとして動作する機能および手順をサポートすることもできる。ProSe UE−ネットワークリレー動作は、3GPPリリース13内で指定されることになる。これまでのところ、3GPP RANワーキンググループにおいて初期合意のみが為されており、それらのいくらかは、たとえば、参照によって本明細書に組み込まれている非特許文献6および非特許文献7に見ることができる。それらの合意のいくつかを下記にリストする。しかしながら、この作業項目は、ごく最近に導入されたものであり、したがって、以下において仮定されている任意の合意がなお変更または改訂されることができるように、いまだ標準化の途上にあることが留意されるべきである。それゆえ、以下の合意は、論述を目的として仮定されるべきであり、しかしながら、本発明をこの特定の3GPP実施態様に限定するものとして理解されるべきではない。
【0089】
・ProSe UE−ネットワークリレーディスカバリおよびProSeリレー(再)選択について、遠隔UEがカバレッジ内とカバレッジ外である両方のシナリオに対処することができる。
・リレーUEは常にカバレッジ内になる。無線レベルにあるeNBは、UEがリレーとして動作することができるか否かを制御し、一方、ネットワーク制御がリレーUEごとか、セルごと(ブロードキャスト設定)ごとか、もしくは両方か、または何らかの他の様態かは、依然として決定されていない。
・遠隔UEがリレーディスカバリ目的でカバレッジ内にあるとき、ディスカバリのためのモニタリングおよび送信リソースは、リリース12メカニズム(アイドルモードについてはブロードキャスト、および、接続モードについては専用シグナリング)を使用してeNBによって提供することができる。遠隔UEは、モニタリングをいつ開始すべきかを決定することができる。
・遠隔UEがカバレッジ外であるとき、ディスカバリおよび通信(実際のデータ転送)のためのモニタリングおよび送信リソースは、UEが実際にいずれのリソースを使用すべきかが正確に分かるように、たとえば、予め設定することによって、すなわち、仕様/オペレータ設定(USIMなどにおいて)によって提供することができる。
【0090】
ProSe UE−ネットワークリレー(再)選択
・遠隔UEは、PC5無線リンク品質の無線レベル測定値を、ProSe UE−ネットワークリレー選択手順のために考慮に入れることができる。
・遠隔UEがカバレッジ外である場合について、無線レベル測定値は遠隔UEによって他のより高位の層の基準とともに、リレー選択を実行するために使用することができる。
・遠隔UEがカバレッジ外である場合について、再選択のための基準は、PC5測定値(RSRPまたは他のRAN1合意測定値)およびより高位の層の基準に基づく。リレー再選択は、遠隔UEによってトリガすることができる。
・遠隔UEがカバレッジ内である場合について、これらの測定値(PC5測定値)が使用されるか否か、および、どのように使用されるかは、依然として決定されていない(たとえば、測定値は、UEによって、カバレッジ外の場合と同様の選択を実行するために使用することができ、または、eNBに報告することができる)。
【0091】
ProSe UE−ネットワークリレーは、レイヤ3パケット転送を使用することができる。たとえば、UE−ネットワークリレー検出およびProSeダイレクトディスカバリのために、ProSe UE間の制御情報を、PC5基準点を介して交換することができる。
【0092】
ProSe使用可能UEはまた、PC3基準点を介して別のProSe使用可能UEおよびProSe関数の間のProSe制御情報の交換をもサポートすることになる。ProSe UE−ネットワークリレーの場合において、遠隔UEは、この制御情報を、PC5ユーザプレーンを介して、LTE−Uuインターフェースを介してProSe関数にむけて中継されるように送信する。
【0093】
ProSe UE−ネットワークリレーエンティティは、eNBのカバレッジ内にない、すなわち、E−UTRANに接続されていない遠隔UEに対する「ユニキャスト」サービスに対する接続をサポートする機能を提供する。
図10は、ProSe UE−ネットワークリレーシナリオを示す。ProSe UE−ネットワークリレーは、遠隔UEとネットワークとの間でユニキャストトラフィック(ULおよび/またはDL)を中継すべきである。ProSe UE−ネットワークリレーは、公衆安全通信に関連する任意のタイプのトラフィックを中継することができる一般的な機能を提供すべきである。
【0094】
遠隔UEとProSe UE−ネットワークリレーとの間の1対1ダイレクト通信は、以下の特性を有する。
・PC5基準点を介した通信がコネクションレスである。
・ProSeベアラは双方向性である。所与のProSeベアラ上で無線層に渡されるIPパケットは、関連するL2宛先アドレスを用いて物理層によって送信されることになる。同じProSeベアラ上で無線層から送られるIPパケットは、同じL2宛先にアドレス指定されて無線で受信されていることになる。
【0095】
ProSe UE−ネットワーク中継は、以下の機能を含むことができる。
・遠隔UEが近接するProSe UE−ネットワークリレーを発見することを可能にするために、モデルAまたはモデルBに従ったProSeダイレクトディスカバリを使用することができる。
・遠隔UEが、遠隔UEによってIPアドレス配分のために使用されるべきProSe UE−ネットワークリレーのL2アドレス、および、ProSe UE−ネットワークリレーによってサポートされる特定のPDN接続に対応するユーザプレーントラフィックを発見することを可能にするために使用することができるProSeダイレクトディスカバリ。
・ダイレクトディスカバリをサポートするPC5基準点で「告知」または「被発見」UEとして動作する。
・UE−ProSe UE−ネットワークリレーポイントツーポイントリンクと対応するPDN接続との間でIPパケットを転送する遠隔UEに対するデフォルトルータとして動作する。
・ルータ要請およびルータ広告メッセージを、IETF RFC4861において定義されているように処理する。
・DHCPv4サーバおよびステートレスDHCPv6リレーエージェントとして動作する。
・IPv4が使用される場合、遠隔UEのローカルに割り当てられているIPv4アドレスを、それ自体に置き換えるNATとして動作する。
・宛先レイヤ2IDとして遠隔UEによって使用されているL2リンクIDを、ProSe UE−ネットワークリレーによってサポートされる対応するPDN接続にマッピングする。
【0096】
ProSe UE−ネットワークリレーのユーザプレーンプロトコルアーキテクチャが、
図11に示されている。
【0097】
<ProSe UE−ネットワークリレーディスカバリ>
前述したようにモデルAとモデルBの両方のディスカバリがサポートされ、モデルAは単一のディスカバリプロトコルメッセージ(UE−ネットワークリレーディスカバリ告知)を使用し、モデルBは、2つのディスカバリプロトコルメッセージ(UE−ネットワークリレーディスカバリ要請およびUE−ネットワークリレーディスカバリ応答)を使用する。リレーディスカバリに関する詳細は、参照によって本明細書に組み込まれている非特許文献3の6節に見出すことができる。
【0098】
以下のパラメータは、UE−ネットワークリレーディスカバリ、グループメンバディスカバリ、および、UE−UEリレーディスカバリのすべてに共通である。
・メッセージタイプ:告知(モデルA)または要請/応答(モデルB)、リレーディスカバリ追加情報(モデルA)。
・ディスカバリタイプ:これがUE−ネットワークリレーディスカバリ、グループメンバディスカバリ、または、UE−UEリレーディスカバリであるかを示す。
【0099】
以下のパラメータが、UE−ネットワークリレーディスカバリ告知メッセージ(モデルA)において使用される。
・ProSeリレーUE ID:ダイレクト通信に使用され、ProSe UE−ネットワークリレーが確立したPDN接続と関連付けられるリンク層識別子。
・アナウンサ情報(Announcer info):告知しているユーザに関する情報を提供する。
・リレーサービスコード:ProSe UE−ネットワークリレーが公衆安全アプリケーションに提供する接続サービスを識別するパラメータ。リレーサービスコードは、ProSe UE−ネットワークリレーにおいて広告のために設定され、ProSe UE−ネットワークリレーにおいて、それらが接続を提供する特定のAPNにマッピングする。加えて、リレーサービスコードはまた、ProSe UE−ネットワークリレーがサービスを提供する承認されたユーザをも識別し、たとえば、遠隔UEとProSe UE−ネットワークリレーとの間の認証および承認に必要な関連するセキュリティポリシまたは情報を選択することができる(たとえば、警察関係者のみのための中継のリレーサービスコードは、消防士のみのための中継のリレーサービスコードとは、たとえそれらが、可能性として、たとえば、インターネットアクセスをサポートするために同じAPNへの接続を与えられる場合であっても、異なることになる)。
・無線層情報:遠隔UEが適切なUE−ネットワークリレーを選択するのを支援するための、無線層情報、たとえば、eNBとUE−ネットワークリレーとの間の無線状態に関する情報を含む。
【0100】
以下のパラメータが、UE−ネットワークリレーディスカバリ要請メッセージ(モデルB)において使用される。
・発見者情報:発見者ユーザに関する情報を提供する。
・リレーサービスコード:発見者UEが関心がある接続に関する情報。リレーサービスコードは、関連接続サービスにおいて関心を持たれているProSe遠隔UEにおいて設定される。
・ProSe UE ID:ダイレクト通信に使用される発見者のリンク層識別子(モデルB)
【0101】
以下のパラメータが、UE−ネットワークリレーディスカバリ応答メッセージ(モデルB)において使用される。
・ProSeリレーUE ID:ダイレクト通信に使用され、ProSe UE−ネットワークリレーが確立したPDN接続と関連付けられるリンク層識別子。
・被発見者情報:被発見者に関する情報を提供する。
・無線層情報:遠隔UEが適切なUE−ネットワークリレーを選択するのを支援するための、無線層情報、たとえば、eNBとUE−ネットワークリレーとの間の無線状態に関する情報を含む。
【0102】
図12は、非特許文献3の6.1.2.2.1節において定義されているような、モデルAによるUE−ネットワークリレーディスカバリのための手順を例示的に示すシグナリング図である。前述したように、リレーUE(すなわち、告知UE)は、リレーディスカバリ告知メッセージをブロードキャストする。
【0103】
図13は、非特許文献3の6.1.2.2.2節において定義されているような、モデルBによるUE−ネットワークリレーディスカバリのための手順を例示的に示すシグナリング図である。前述したように、リレーを探索している遠隔UE(すなわち、発見者UE)は、リレーディスカバリ要請メッセージをブロードキャストする。この例示的なシナリオにおいて、被発見者(すなわち、リレーUE)のうちの2つが、対応するリレーディスカバリ応答メッセージによって応答すると仮定される。
【0104】
<ProSe UE−ネットワークリレーを介したProSeダイレクト通信>
UE−ネットワークリレー機能は、非特許文献6においてすでに文書化されているProSe機能の発展に基づいて指定されることになる。
【0105】
ProSe UE−ネットワークリレー可能UEは、ネットワークにアタッチし(まだ接続されていない場合)、必要なリレートラフィックを有効化するPDN接続に接続し得るか、または、遠隔UE向けのリレートラフィックを提供するために追加のPDN接続に接続する必要があり得る。UE−ネットワークリレーをサポートするPDN接続は、遠隔ProSe UEリレートラフィックのためにのみ使用されるべきである。
図14は、ProSe UE−ネットワークリレーを介するダイレクト通信を示す。
1.ProSe UE−ネットワークリレーが、初期E−UTRANアタッチ(まだアタッチされていない場合)を実行し、かつ/または、中継のためのPDN接続を確立する(この中継のための適切なPDN接続がまだ存在しない場合)。IPv6の場合において、ProSe UE−ネットワークリレーは、非特許文献7において定義されているように、ネットワークからプレフィックスデリゲート関数を介してIPv6プレフィックスを取得する。
2.遠隔UEは、モデルAまたはモデルBディスカバリを使用してProSe UE−ネットワークリレーのディスカバリを実行する。この手順の詳細は、
図12および13に関連して前述している。
3.遠隔UEは、受信されたリレー選択情報を使用してProSe UE−ネットワークリレーを選択し、その後、
図3を参照して前述したように、1対1通信のための接続を確立する。
4.IPv6がPC5上で使用されるとき、遠隔IEは、IPv6ステートレスアドレス自動設定を実行し、ここで、遠隔UEは、IETF RFC4862において指定されているようにルータ広告メッセージ(ステップ4b)を要請するために、宛先レイヤ2IDとしてリレーのレイヤ2IDを使用してルータ要請メッセージ(ステップ4a)をネットワークに送信すべきである。ルータ広告メッセージは、割り当てられているIPv6プレフィックスを含むべきである。遠隔UEは、ルータ広告メッセージを受信した後、IETF RFC4862に従って、IPv6ステートレスアドレス自動設定を介してIPv6アドレス全体を構築する。しかしながら、遠隔UEは、インターフェース識別子を生成するための基礎として、非特許文献8において定義されている識別子を一切使用すべきでない。プライバシーのために、遠隔UEは、ネットワークを巻き込むことなく、非特許文献9において定義されているように、IPv6アドレス全体を生成するために使用されるインターフェース識別子を変更することができる。遠隔UEは、パケットを送信している間に自動設定IPv6アドレスを使用すべきである。
5.IPv4がPC5上で使用されるとき、遠隔UEはDHCPv4を使用する。遠隔UEは、宛先レイヤ2IDとしてリレーのレイヤ2IDを使用してDHCPv4ディスカバリ(ステップ5a)メッセージを送信すべきである。DHCPv4サーバとして動作するProSe UE−ネットワークリレーは、割り当てられている遠隔UE IPv4アドレスとともにDHCPv4要請(ステップ5b)を送信する。遠隔UEが貸与要請を受信したとき、UEは、受信されたIPv4アドレスを含むDHCP REQUESTメッセージを送信する(ステップ5c)。DHCPv4サーバとして動作するProSe UE−ネットワークリレーは、貸与期間、および、クライアントが要求している場合がある任意の他の設定情報を含むDHCPACKメッセージを遠隔UEに送信する(ステップ5d)。DHCPACKメッセージを受信したとき、遠隔UEは、TCP/IP設定プロセスを完了する。
【0106】
上記で説明したように3GPPは、主要な作業項目として、リレーディスカバリおよびリレーダイレクト通信を含むProSeリレー機能を導入する。ProSeリレーのために現在定義されているメカニズムはかなり非効率的である。
【発明を実施するための形態】
【0144】
移動局もしくは移動ノードまたはユーザ端末もしくはユーザ機器は、通信ネットワーク内の物理エンティティである。1つのノードが、いくつかの機能エンティティを有し得る。機能エンティティとは、所定の機能セットを実施し、かつ/または、これをノードまたはネットワークの他の機能エンティティに提供するソフトウェアまたはハードウェアモジュールを指す。ノードは、ノードを、それを介してノードが通信することができる通信設備または媒体にアタッチする1つまたは複数のインターフェースを有することができる。同様に、ネットワークエンティティは、それを介して他の機能エンティティまたは対応するノードと通信することができる通信設備または媒体に機能エンティティをアタッチする論理インターフェースを有することができる。
【0145】
特許請求の範囲と本出願とを合わせた中で使用されるものとしての「リレーユーザ機器」は、別のユーザ機器(「遠隔ユーザ機器」と称される)に対するリレーとしての役割を果たすことが可能であるユーザ機器を指すものとして広範に理解されるべきである。これはまた、直接的に2つのユーザ機器の間でのダイレクト通信送信をサポートする機能をも含む(下記D2DまたはProSe参照)。一実施態様によれば、リレーユーザ機器は、3GPP LTE−Aについて定義されているものとしての、および、背景技術の節において記載されているものとしてのリレー機能をサポートすべきである。上記に関連して、用語「遠隔ユーザ機器」は、リレーユーザ機器のピアとしての、すなわち、リレーがダイレクト通信をともに確立することを期待するものとしてのユーザ機器の役割を示すのみであるべきである。
【0146】
特許請求の範囲と本出願とを合わせた中で使用されるものとしての用語「無線リソース」は、時間−周波数リソースのような、物理無線リソースを指すものとして広範に理解されるべきである。
【0147】
特許請求の範囲と本出願とを合わせた中で使用されるものとしての用語「ダイレクト通信送信」は、2つのユーザ機器間での直接的な、すなわち、無線基地局(たとえば、eNB)を介しない送信として広範に理解されるべきである。これに応じて、ダイレクト通信送信は、2つのユーザ機器間で直接的に確立される接続に使用される用語である「ダイレクトサイドリンク接続」を介して実行される。たとえば、3GPPにおいて、D2D(デバイス間)通信、またはProSe通信、またはサイドリンク通信の用語が使用される。特許請求の範囲と本出願とを合わせた中で使用されるものとしての用語「ダイレクトサイドリンク接続」は、3GPPのコンテキストにおいては、背景技術の節において記載されているPC5インターフェースとして広範に理解されるべきであり、またそのように理解することができる。
【0148】
特許請求の範囲と本出願とを合わせた中で使用されるものとしての用語「過負荷状況」は、リレーがさらなる遠隔ユーザ機器に対する、すなわち、すでにサービスされている任意の(少しでも存在すれば)遠隔ユーザ機器に加えて任意の新たな遠隔ユーザ機器に対するリレーとしての役割を果たすことを妨げるか、または、深刻に阻害する、リレーユーザ機器に対して存在している特定の状況として広範に理解されるべきである。「リレーが、リレーとしての役割を果たすことを妨げるか、または、深刻に阻害する」ことの機能定義は、リレーユーザ機器が、さらなる単一の遠隔ユーザ機器に対するリレーとしての役割を果たすことが不可能であるというように狭く解釈されるべきではない。むしろ、過負荷状況は、たとえば、リレーユーザ機器の効率的な動作が保証されると理解される特定の制限を規定することによって、リレーユーザ機器にとって柔軟に定義され得る。過負荷は、プロセッサ、メモリ、ポート、論理チャネルID、アップリンク/ダウンリンクにおいて利用可能な帯域幅などのような、リレーユーザ機器のハードウェアまたはソフトウェア構成要素のいずれかを参照し得る。過負荷は、急速に変化する場合があるため、一時的なものであることを特徴とする。付加的にまたは代替的に、過負荷は、他のリレーユーザ機器にサービスすることによってリレーユーザ機器においてすでに実行されている中継処理によって引き起こされるものとして理解されることができる。用語「過負荷インジケーション」は、対応して理解されるべきである。
【0149】
UEによってリレーユーザ機器を発見するために実行されるべき、現在標準化されているダイレクトディスカバリ手順は初期段階にあり、UEによって他のUEを発見するために実行されるべきダイレクトディスカバリと同様であるが、多くの態様において依然として異なっている。本発明者らが特定した1つの欠点は、現在、特定のリレーUEが、たとえば、過負荷であり、したがって、新たなさらなる遠隔UEに対するリレーとしての役割を果たすことができない場合に、遠隔UEがそのリレーUEを選択することを妨げると予期されるメカニズムがないことである。たとえば、メモリプロセッサ、ポート、論理チャネルID、PC5/uuインターフェースにおけるアップリンク/ダウンリンク方向において利用可能な帯域幅などのような、リレーユーザ機器の様々なソフトウェアまたはハードウェア構成要素のうちの1つまたは複数が過負荷(すなわち、その限界またはそのごく近く)であり得る。
【0150】
例示的なシナリオとしては、リレーUEが1つまたは複数の遠隔UEにすでにサービスしており、結果として、その能力がすでに過負荷/制限され、この場合、リレーUEは追加の遠隔UEに関心がないか、または、それに対するリレーとしての役割を果たすことさえできないということであろう。
【0151】
しかしながら、今のところ、これらのシナリオを考慮に入れるメカニズムが提供されていないため、遠隔UEは、リレーの過負荷状況に関して知らないことになり、同リレーを発見した後に、接続を設定することを期待して過負荷のリレーを選択する可能性がある。結論的に、過負荷リレーは、遠隔UEによるリレー選択を拒絶することができ、または、リレー選択を受諾する(したがって、リレーと遠隔UEとの間でダイレクト接続が確立されることを可能にする)ときでも、過負荷リレーは、その構成要素のうちの1つまたはいくつかにおける過負荷のため、要求に応じて遠隔UEにサービスすることが可能でない場合がある。このことは、遠隔UEが、新たな(願わくは過負荷でない)リレーを選択するためにリレー再選択を最終的に実行しなければならないという結果になる場合があり、これには遅れを伴う。さらに、過負荷リレーに関する遠隔UEの接続要求/試行は、次いでリレーにおける負荷をさらに増加させる。
【0152】
以下の例示的な実施形態は本発明者らによって、上記で説明した問題を軽減するために着想されている。
【0153】
様々な実施形態の特定の実施態様は、3GPP規格によって与えられ、背景技術の節において部分的に説明されているような広範な仕様において実装されるべきであり、特定の重要な特徴が、様々な実施形態に付随して以下に説明されているように追加される。実施形態は、たとえば、上記背景技術の節に説明されている3GPP LTE−A(リリース10/11/12/13)の通信システムのような移動体通信システムにおいて有利に使用することができるが、実施形態は、この特定の例示的な通信ネットワークにおける使用に限定されないことに留意されたい。
【0154】
これらの説明は本開示の範囲を限定するものとして理解されるべきではなく、本発明の開示をより良好に理解するための実施形態のほんの一例として理解されるべきである。特許請求の範囲において説明されているような本開示の全般的な原理を、異なるシナリオにおいて、本明細書において明示的に記載されていない様式で適用することができることを、当業者は認識するはずである。これに応じて、様々な実施形態の説明を目的として仮定されている以下のシナリオは、本発明およびその実施形態をそのように限定すべきではない。
【0155】
例示を目的として、ただし、以下の実施形態の範囲を制限すべきではないいくつかの仮定が行われる。1つには、ProSe通信、すなわち、eNodeBを介して迂回することのないUE間の直接的なダイレクトD2D送信を実行することを可能にされるユーザ機器(ProSe使用可能UE)が想定される。さらに、このシナリオにおけるこれら(ProSe使用可能UE)のうちの少なくとも1つは、3GPP規格のリリース13における特定の実施態様について背景技術の節において説明されているようなリレー機能をサポートすべきである。言い換えれば、このリレーUEは、他の(ProSe使用可能)UE(遠隔UE)に対するリレーとしての役割を果たすことが可能であるべきであり、それによって、これらの遠隔UEが、リレーを介してeNBに接続することが可能にされる。
【0156】
さらに、上述したように、以下の実施形態は、3GPP LTE−A(リリース12/13)環境内で実施することができる。様々な実施形態は主に、他の機能(すなわち、様々な実施形態によって変更されない機能)が、背景技術の節において説明されているものと正確に同じままであり得るように、または、様々な実施形態に一切影響を与えないように変更され得るように、リレーUEと遠隔UEとの間で実行されるダイレクトディスカバリ手順への改善を提供する。たとえば、リレーUEとのダイレクト(リレー)通信の確立は、同じままであり得る。
【0157】
(第1の実施形態)
以下において、上記の問題を解決するための第1の実施形態を、詳細に説明する。第1の実施形態の実施態様が、
図15〜18に関連して説明される。
【0158】
第1の実施形態によれば、過負荷インジケーションがディスカバリ手順に導入されており、リレーUEは、対応するリレーUEが過負荷であるか否かを示す(および、受信側遠隔UEはそれを学習する)ことが可能になる。リレーUEが、過負荷インジケーションを使用することによって、リレーUEが過負荷であることを示す場合、遠隔UEは、対応する過負荷のリレーではなく、ディスカバリ工程中に発見される別の利用可能な(過負荷でない)リレーを選択すべきである。このように、ディスカバリメカニズムを過負荷インジケーションによって拡張することによって、リレー選択を遅らせることを回避し、かつ過負荷のリレーにおける負荷をさらに増加させることを回避するように、リレーUEの過負荷状態をダイレクトディスカバリ中に考慮に入れることができる。
【0159】
リレーUEは、ハードウェアであろうとソフトウェアであろうと、いくつかの理由で過負荷であり得る。特に、リレーUEは、その(ハードウェア)構成要素のうちの1つまたはいくつかがすでにそれらのそれぞれの限界で動作しているために、過負荷状況にあり得る。たとえば、リレーUEのプロセッサ、メモリ、ポート、レイヤ2、レイヤ3で利用可能なバッファサイズが過負荷であり得る。リレーUEがさらなる遠隔UEを中継することをサポートするには、使用可能な論理チャネルIDまたは必要な物理層データ送信能力が不足している、というような他の理由もあり得る。上述した理由のいずれも、リレーUEがさらなる遠隔ユーザ機器に対するリレーとしての役割を果たすことを妨げ得る、または少なくとも、追加の遠隔UEに対するリレーとしての役割を果たすリレーUEの能力を深刻に制限する。
【0160】
リレーとしての役割を果たすことに対するこの妨害は、一時的な性質のものであり得、したがって、たとえばプロセッサ負荷の場合のように、交互に急速に変化することができる。また、リレーUEの論理チャネルIDは、自身の通信PDN接続を終了するときに、または以前の遠隔UEに対するリレーとしての役割を果たすことを停止するときに、突然解放されることになる。さらに、過負荷状況は、1つまたは複数の遠隔UEにすでにサービスしているために、リレーUEにおいて引き起こされる場合もある。
【0161】
それゆえ、過負荷状況は、たとえば、それ自体は過負荷として理解すべきでない、リレーUEの低バッテリ状態から区別すべきである。たとえば、低バッテリは、通常は徐々に生じて問題になるのみである一方、過負荷状況の1つの特性は、それが交互に急速に変化する場合があることである。また、低バッテリの場合、リレー装置は、eNBに対してPPI(電力選好指標;非特許文献10の”powerPrefIndicationConfig”)インジケーションを使用して、バッテリを多少節約するのを援助し得るが、しかしながら、これは過負荷状況については可能でない(たとえば、eNBは、それ自体では「この」リレーによってサービスされているいくつかの遠隔ベアラを選択的に切断/解放することができないため)。
【0162】
したがって、リレーUEは、その構成要素のうちの1つまたはいくつかにおける過負荷を識別し、したがって、それが過負荷状況にあるか否かを判定するために、それ自身のシステムをモニタリングすべきである。これは、定期的に、または、特定の瞬間に、たとえば、リレーディスカバリメッセージを送信して遠隔UEがリレーUEを発見することを可能にするときに(もしくは少し前に)行うことができる。リレーUEの過負荷状態をモニタリングすることによって、リレーUEは、したがって、その過負荷の現状に従ってダイレクトディスカバリ中に過負荷インジケーションの対応する値をいつでも設定することができる。
【0163】
すでに上記で示したように、本発明の第1の実施形態は、リレーUEによって送信されるリレーディスカバリメッセージを適切な過負荷インジケータによって拡張することによって、ダイレクトディスカバリメカニズムを改善するものとする。特に、リレーUEは、モデルAまたはモデルBに従ってディスカバリメッセージを送信しており、そのメッセージは、第1の実施形態に従って、リレーUEの現在の過負荷状態を反映する値を有する過負荷インジケーションを含むように拡張されている。換言すれば、リレーUEによって送信/ブロードキャストされる通常のリレーダイレクトディスカバリメッセージを再使用し、過負荷インジケーションによって拡張して、第1の実施形態による改善を可能にする。
【0164】
これに応じて機能強化されているディスカバリメッセージを
図15および16において示すが、
図15は、モデルAによるダイレクトディスカバリによる拡張リレーディスカバリ告知メッセージを開示し(
図12も参照)、
図16は、モデルBによるダイレクトディスカバリによる拡張リレーディスカバリ応答メッセージを示す(
図13も参照)。これらの図面の両方から明らかなように、メッセージは過負荷インジケーションを含む。
【0165】
その最も単純な形態において、過負荷インジケーションは、2つの異なる状態(すなわち、過負荷である、および過負荷でない)間で区別しさえすればよく、単純な1つのビットフラグによって実装することができ、2つの値の各々がそれぞれ状態の一方を示す。無論、過負荷インジケーションは異なる実装でもよく、いくつかの他の例が下記にさらに提示される。
【0166】
図17は、一般的な第1の実施形態によるリレーUE処理を示す例示的な工程フロー図である。他方、
図18は、一般的な第1の実施形態による遠隔UE処理を示す例示的な工程フロー図である。
【0167】
リレーUEによって送信される(モデルAまたはモデルBのいずれかによる)対応するリレーディスカバリメッセージは遠隔UEによって受信されるが、遠隔UEは、新たな情報要素(過負荷インジケーション)を処理することが可能であり、したがって、発見したばかりのリレーUEが過負荷であるか否か、および、同リレーUEが自身のリレーとしての役割を果たすために選択されるべきであるか否かを、過負荷インジケーションから判定することができる。好ましくは無論、リレーUEが過負荷であるというインジケーションを受信した遠隔UEは、上記過負荷のリレーUEを、そのディスカバリ後に選択しないでおくべきであり、むしろ異なるリレーUEを、自身のリレーとしての役割を果たすように選択すべきである。
【0168】
結論的に、第1の実施形態は、リレーUEの過負荷状態を考慮に入れ、したがって、過負荷のリレーに関する冗長な接続設定を回避し、このようにして、遠隔UEのリレー(再)選択を促進させ、ならびに、過負荷のリレーUEにおける過剰な過負荷を軽減する、単純で効果的なメカニズムを提供する。
【0169】
第1の実施形態の有利な実施態様において、過負荷インジケーションは、リレーUEにおける過負荷状況に関するより詳細な情報を提供するために、さらに機能強化される。言い換えれば、リレーディスカバリメッセージは、対応するリレーUEが過負荷であるか否かに関する上述したインジケーションのみを提供するのではなく、さらなる利点を提供する過負荷状態に関する追加の情報を含むべきである。
【0170】
第1の実施態様によれば、リレーディスカバリメッセージは、過負荷状態の時間情報であって、(存在すれば)リレーUEにおいて過負荷状態がどれだけの時間持続すると予期されているかを示す時間情報を含むことができる。特に、リレーUEにおける過負荷状態の種類に応じて、リレーUEは、過負荷がどれくらい持続することになるかを確実に推定することが可能である。たとえば、過負荷がリレーユーザ機器における残りの論理チャネルIDの不足のためであり、かつ、特定のPDN接続の終了(および、したがって、論理チャネルIDの解放)がすぐに予期されることになる場合には、リレーUEは、過負荷状況が特定の時間内に存在しなくなることをすでに予期することができる。上記の場合、リレーディスカバリメッセージは、遠隔UEがいつリレーUEの過負荷状況が終了すると予期することができるかに関する情報を付加的に提供することができる。この時間情報は、前述した過負荷インジケータと別個に、または、あわせてリレーディスカバリメッセージに符号化することができる。たとえば、過負荷インジケーションは、依然として単純な1つのビットフラグとして実装することができる一方、時間情報は、たとえば、xビットフィールド(多少粒度が細かい時間インジケーションを可能にする)によって実装することができる。他方、0の時間は、過負荷状態が存在しないというインジケーションとして遠隔UEによって理解されることができる一方、0より大きい(異なる)任意の時間インジケーションは、リレーUEが過負荷であることを示すものとして理解されるという点で、過負荷は、時間情報に非明示的に含め得る。そのような時間インジケーションをリレーディスカバリメッセージに含めることが必ずしも賢明であるわけでもないように、そのような時間インジケーションが特定の過負荷理由で可能でない場合があることに留意されたい。これに応じて、そのような時間通信は、論理チャネルIDが存在しないような、特定の過負荷状態についてのみリレーディスカバリメッセージに含め得るが、他の過負荷状態については含めない。
【0171】
第2の実施態様によれば、リレーディスカバリメッセージは、過負荷状態の方向情報を含むことができ、この方向情報は、(存在すれば)過負荷を限定する特定の方向を示す。代替的に無論、方向情報は、過負荷の方向ではなく、むしろ反対に過負荷でない方向を示すこともできる。特に、たとえば、プロセッサまたはメモリ過負荷が両方の中継方向(PC5および/またはUuインターフェースにおけるアップリンク/ダウンリンク)に影響する可能性が高いのに対して、他の過負荷状態は、特定の中継方向の一方、すなわちPC5インターフェースを介するアップリンクもしくはダウンリンク(遠隔UEとリレーUEとの間;
図6、10もしくは11参照)またはUuインターフェースを介するアップリンク/ダウンリンク(リレーUEとeNodeBとの間;
図6、10もしくは11参照)のみに限定され得る。この文脈において、一般的に、3つの異なるタイプのUEが存在することに留意されたい(非特許文献11参照):受信/送信ともに可能、送信のみ可能、受信のみ可能。したがって、たとえば、すでに1つまたはいくつかの受信/送信専用の遠隔UEに対するリレーとしての役割を果たしているとき、リレーUEは、さらなる受信/送信専用の遠隔UEをサポートすることは可能でない場合があるが、他方、その他の方向における中継、すなわち送信/受信専用の遠隔UEをサポートすることは十分可能であり得る。より一般的には、特定のインターフェース(PC5またはUu)を介するリレーUEの残りの送信/受信能力が制限され、したがって、1つの特定の方向にのみ過負荷状態を引き起こす場合がある。これに応じて、残りの送信/受信能力に応じて、リレーUEは、送信専用のUEまたは受信専用のUEにサービスすることが可能であり得るのみであり、その逆は可能ではない。
【0172】
リレーディスカバリメッセージに過負荷状態に対する方向情報を含めることによって、遠隔UEに過負荷状況が関係する特定の方向に関して通知することが可能である。上述したように、方向インジケーションは、アップリンクとダウンリンクとの間で区別すること(たとえば、1ビットフィールドを介して)ほど単純であり得、この場合、たとえば、リレーディスカバリメッセージに方向情報が存在しないことは、過負荷状況がダウンリンク方向およびアップリンク方向の両方に関することを意味するものとなる。代替的に、方向情報は、アップリンクもしくはダウンリンクのみに、または、アップリンクおよびダウンリンクの両方に関する過負荷間で区別し得る。さらに、方向情報は、アップリンク/ダウンリンクがPC5インターフェースおよび/またはUuインターフェースに関するか否かを区別することさえできる。このように、本明細書において使用されるものとしての用語「アップリンク」および「ダウンリンク」は、Uuインターフェースのみを指すものとして理解されるべきではなく、むしろPC5インターフェースにも適用可能である。方向情報は、時間情報と同様に、過負荷インジケーションと別個に、または、あわせて示すことができる。2ビットを使用することによる複合インジケーションを考えると、4つの可能なビット組合せのうちの1つは、リレーUEが過負荷でないというインジケーションと関連付けることができ、一方、4つの可能なビット組合せのうちの残りの3つは、それぞれ、アップリンク方向のみの過負荷、ダウンリンク方向のみの過負荷、ならびにアップリンク方向およびダウンリンク方向の両方の過負荷を示すことができる。または、さらなる拡張において、4つの可能なビット組合せのうちの残りの3つは、それぞれ、候補遠隔UEが特定のリレーUEにアクセスするために持続性チェック(0と1との間のランダムな10進数を引き出し、これが以下の値、たとえば、0.25未満である場合のみ、リレーにアクセスする)を実行すべきである過負荷百分率、たとえば、25%、50%、75%を示すことができる。
【0173】
このように、異なるタイプのUEについてと同様に、過負荷のリレーUEは、「受信専用」モード(たとえば、遠隔UEにデータを送信するのではなく、遠隔UEからデータを受信して、さらにそれをeNBに中継することのみを可能にする)または「送信専用モード」(たとえば、遠隔UEからデータを受信するのではなく、eNBから受信されるデータを遠隔UEに送信することのみを可能にする)であることができる。
【0174】
したがって、この方向情報を受信する遠隔UEは、ディスカバリ後にこの追加情報を使用して、適切なリレーを選択することができる。たとえば、遠隔UEが、まったく過負荷でないリレーUEを好ましく選択し得るのに対して、遠隔UEが選択することができる唯一の発見されたリレーが過負荷のリレーUEである状況があり得る。その後、過負荷が遠隔UEの関心がない方向(たとえば、受信専用のUEにとってのアップリンク方向)のみに関する場合、このリレーUEは、その過負荷状態にもかかわらず、この遠隔UEによって選択することができる。
【0175】
上記に関連して、過負荷の方向情報(たとえば、受信専用もしくは送信専用)、または、過負荷でなく、したがって、依然としてリレーUEによって受け入れられている「空き」方向は、遠隔ユーザ機器のユーザに(たとえば、スクリーンユーザインターフェース上に)表示することもできる。ユーザは、このように、この一方向に制限されているリレーを選択することが依然として望ましいか否かを選択することを可能にされ得る。逆に、過負荷状態が終了すれば、ユーザ機器は、同様にこの終了を遠隔ユーザ機器のユーザに示して、過負荷方向がULおよびDLであったかどうか、ユーザがそれぞれ話すまたは聞く(PC4インターフェース上で)ことを可能にすることができる。
【0176】
第1の実施形態のまたさらなる実施態様によれば、過負荷状態のレベルを示すことができる。たとえば、過負荷状態は、50%、または、70%もしくは90%であるとして識別することができ、すなわち、過負荷は、所定数の異なる重大度レベル間で区別される。たとえば、4つの(たとえば、20、50、70および90)または8つの異なるレベル(たとえば、10、30、40、50、60、70、80、100)を、それぞれ2または3ビットによって区別することができる。この追加のレベル情報を受信する遠隔UEは、それを使用してアドミッション制御を適用することができる。たとえば、遠隔UEがリレーを介する接続の確立を試行しているダイレクト通信の優先度に応じて、遠隔UEは、過負荷のリレーUEを選択することさえあり得る。実施態様例として、アドミッション制御は、過負荷のリレーUEを選択するか否かを判定するために、異なる過負荷のレベルとその後比較することができる異なる優先度レベルを導入することによって達成し得る。詳細には、特定の過負荷のレベルを、ディスカバリ後に依然としてリレーUEを選択することが可能であるために遠隔UEが有すべき最低レベルの優先度を示す特定の所定の優先度閾値と関連付けることができる。これに応じて、リレーUEを介するPDN接続を確立したいと望む遠隔UEが、指示されているレベルの関連する優先度閾値より大きい優先度を有する場合、その遠隔UEは、リレーUEを選択して、それとの接続を確立することができる。
【0177】
第1の実施形態の上述した実施態様(すなわち、上述した追加の種々の情報要素)のいずれも、組み合わせて使用することもできる。たとえば、過負荷に利用可能な方向情報は、レベル情報と組み合わせることができ、したがって、たとえば、アップリンク方向が90%の過負荷である一方、ダウンリンク方向はほんの20%過負荷であることを示すことが可能である。または、推定される時間情報は、それぞれ異なる過負荷方向について示すことができる。
【0178】
さらなる有利な実施態様は、リレーUEによってすでにサービスされている遠隔UEにおける過負荷インジケーションの受信に関し、以下において説明する。リレーUEは、すでに1つまたはいくつかの遠隔UEに対するリレーとしての役割を果たしていると仮定される。リレーとしてのリレーUEによってすでにサービスされている遠隔UEも、ダイレクトディスカバリメカニズムに従ってリレーUEによって送信されるリレーディスカバリメッセージ(過負荷インジケーションを備えた)を受信するとさらに仮定される。たとえば、ダイレクトディスカバリメッセージは、リレーUEと遠隔UEの時間および周波数を同期させるように使用することができ、その場合、遠隔UEは、それらのタイミングおよび周波数をサービスしているリレーUEと同期させておくように、リレーディスカバリメッセージを連続的に受信することが可能であるべきである。過負荷インジケーションをリレーディスカバリメッセージで受信することと代替的に、リレーUEにすでに接続されており、かつサービスされている遠隔UEは、過負荷インジケーションを異なって、たとえば、リレーUEからのダイレクトメッセージで受信することができる。いずれにせよ、リレーUEが過負荷であるというインジケーションを受信すると、サービスされている遠隔UEは、過負荷のリレーUEとのダイレクト接続を解除することができ、任意で異なるリレーを付加的に選択することができる(必要ならば適切なダイレクトディスカバリ後に)。
【0179】
さらなる有利な実施態様において、リレーUEを介する低優先度通信を行っている遠隔UEのみが、リレーを解放するように過負荷のリレーUEとのダイレクト接続を解除すべきである。逆に、リレーUEを介する高優先度通信のためにすでに接続されている遠隔UEは、過負荷インジケーションを介してリレーUEが過負荷状況にあることを学習しているにもかかわらず、継続することができる。
【0180】
たとえば、「パケット単位優先度」が、各遠隔UEおよびリレーUEを介するその通信ごとに定義される。アクセス層は、プロトコルデータユニットと関連付けられているProSeパケット単位優先度を使用して、UE内送信(すなわち、同じUE内での送信を待っている、異なる優先度と関連付けられているプロトコルデータユニット)に優先順位をつける。アプリケーションによって選択されるProSeパケット単位優先度を尊重しつつ、媒体をスケジューリングされているまたはスケジューリングされていない送信モードでアクセスするという方法は、アクセス層の範囲内である。ProSeパケット単位優先度の、たとえば8つのレベルをサポートするには、広範囲のアプリケーションをサポートすることが必要とされる。
【0181】
リレーUEが過負荷であることを学習すると、パケット単位優先度は、その後、リレーUEを介する接続を継続するか否か、または、接続を解除して、任意で継続するリレーとしての異なるリレーUEを選択するか否かを判定するために、サービスされている遠隔UEによって、所定の優先度閾値と比較することができる。たとえば、所定の閾値優先度より高いパケット単位優先度を備えた遠隔UEのみが、引き続き過負荷のリレーUEを使用することになる一方、より低いパケット単位優先度を備えた他の遠隔UEは、中継を中断することになる(そして、代わりに異なるリレーを選択することができる)。
【0182】
過負荷インジケーションを使用して、遠隔UEによる過負荷のリレーUEへの不要な接続試行を回避しているにもかかわらず、いくつかの遠隔UEは、依然として過負荷のリレーを選択し、接続の確立を試行する場合がある。過負荷のリレーUEの1つの可能な応答は、遠隔UEによる接続試行を受諾しないことである。特に、リレーUEが遠隔UEからダイレクト通信要求を受信した場合(
図3参照)、リレーUEは、通常のセキュリティアソシエーションの認証工程および確立から開始するのではなく、むしろ、たとえば、適切な拒絶応答メッセージによって応答することによって、接続試行を拒絶することができる。これには、遠隔UEに対するアドレス設定(ルータ広告を送信することなど)を可能にするリレーUEのさらなるステップ(
図14参照)が実行されないことが等しく伴う。
【0183】
(第2の実施形態)
以下において、上記の問題を解決するための第2の実施形態を、詳細に説明する。第2の実施形態の主な概念は、第1の実施形態のそれと異なる。しかしながら、第2の実施形態の基礎原理を説明していくシナリオについて、同様の仮定を行うことができる。特に、以下において説明するように、改善されたリレーダイレクトディスカバリメカニズムを実装すべきであるProSe使用可能およびProSeリレー使用可能UEが想定される。
【0184】
上述した第1の実施形態についてと同じように、リレーUEは、その過負荷状態をモニタリングすべきである。単なる繰返しを回避するために、リレーUEが過負荷であるか否かを判定するステップを扱っている第1の実施形態の対応する一節を参照するが、これには、たとえば、リレーUEにおける過負荷状態の定義、いつ過負荷判定を実行するかなどが含まれる。
【0185】
第2の実施形態の改善されたダイレクトディスカバリメカニズムは、必ずしも、リレーディスカバリメッセージが過負荷インジケータを含むように拡張されている第1の実施形態に関してのように、背景技術の節において導入されている実際のリレーディスカバリメッセージを変更するわけではない。むしろ、リレーUEが過負荷であるときに、リレーディスカバリメッセージが、過負荷のリレーUEによってすでにサービスされている遠隔UEによって受信されるのみであることを達成するように、リレーUEが過負荷であるか否かに応じて、リレーディスカバリメッセージを送信するための異なる送信リソースが使用される。それによって、サービスされている遠隔UEは、引き続きリレーディスカバリメッセージを受信することが可能である一方、他の遠隔UE(すなわち、過負荷のリレーUEによって現在サービスされていない)は、過負荷のリレーUEによって送信されるリレーディスカバリメッセージを受信することが可能でなく、したがって、過負荷のリレーUEを発見することが可能でない。
【0186】
背景技術の節においてすでに説明されているように、現在標準化されているディスカバリメカニズム(中継のためではなく、UE間ダイレクト接続のため)は、ディスカバリリソース(リソースプール内からの)がeNodeBによってスケジューリングされる(タイプ2)か、または、対応するリソースプール(eNodeBのセル内でSIBを介してブロードキャストすることができる)からリレーUEによって自主的に選択される(タイプ1)かのいずれかを可能にする。
【0187】
非特許文献10からASN.1構造に注目することによって、一例を挙げることができる。
【0188】
<SL−DiscConfig>
IE SL−DiscConfigは、サイドリンクダイレクトディスカバリのための専用の設定情報を指定する。
【0189】
<SL−DiscConfig情報要素>
【0191】
リレーディスカバリメッセージを送信するための無線リソースが、eNodeBによってスケジューリングされることができる(scheduled−r12)か、または、対応するリソースプールからリレーUEによって自主的に選択されてもよい(ue−selected−r12)かのいずれかである、リレーディスカバリメカニズムのための同様のメカニズムが想定され得る。eNodeBのカバレッジ外にあり、したがって、eNodeBからSIB情報を直接的に受信しないであろう遠隔UEも、リレーUEによって送信されるリレーディスカバリメッセージを受信することが可能でなければならないことに留意されたい。これに応じて、リレーUEおよび遠隔UEの両方によって知られている無線リソースを使用することによって、リレーのためのダイレクトディスカバリが実装されることを保証しければならない。これは、たとえば、eNodeBから受信されるシステム情報(SIB)をリレーUEがブロードキャストすることによって、遠隔UEもそのような情報を認識し、したがって、リレーUEによってリレーディスカバリメッセージを送信するために使用されるのと同じリレーディスカバリのための無線リソースをモニタリングすることができるようにして、行うことができる。この場合、上記で説明したように、リレーディスカバリメッセージの送信のために実際に使用される無線リソースは、eNodeBによってスケジューリングされることができ、または、リレーUEによって自主的に選択されることもでき、遠隔UEが対応する無線リソースプールのすべての無線リソースをモニタリングしていると仮定する。代替的に、無線リソース(時間−周波数リソース)プールは、リレーUEおよび遠隔UEにおいて予め設定する、たとえば、UEのUSIM(汎用加入者識別モジュール)に予め記憶することができる。
【0192】
要約すると、特定の無線リソースは、システムにおいて定義され、リレーUEと遠隔UEとの間の相互作用によってリレーのためのダイレクトディスカバリメカニズムを実装することが可能になる。
【0193】
第2の実施形態によれば、UEの過負荷状態に応じて、リレーディスカバリメッセージを送信するために、異なる無線リソースセットが使用される。より詳細には、リレーUEにおいて過負荷が存在しないと判定されるとき、第1の無線リソースセットが、リレーUEによってリレーディスカバリメッセージを送信するために使用され、第1のリソースセットは、一般的に、セル内のすべての遠隔UE(過負荷のリレーUEによってすでにサービスされている、または、過負荷のリレーによってサービスされていない)によってモニタリングされる。この第1の無線リソースセットは、上記を目的として現在の標準化において通常に定義されている、たとえば、SIBによって定義される、または、UEのUSIMにおいて予め設定される無線リソースであることができる。
【0194】
リレーUEが過負荷であると判定されるときは、第1の無線リソースセットと異なる第2の無線リソースセットが、リレーUEによってリレーディスカバリメッセージを送信するために使用される。この第2の無線リソースセットは、サービスされていない遠隔UEによってではなく、リレーUEによって現在すでにサービスされている遠隔UEによってのみモニタリングされるべきである。上記目的のために、第2の無線リソースセットは、リレーUE自体によって定義することができ、その後これに応じて、自身が現在リレーとしての役割を果たしている遠隔UEに通知される。これに応じて、リレーUEは、この第2の無線リソースセットを第1の無線リソースセットと異なるように決定し、その結果、第1の無線リソースセットをモニタリングしている遠隔UEは、第2の無線リソースセット上で送信されるリレーディスカバリメッセージを受信しないことになる。代替的に、第2の無線リソースセットは、eNodeBによって決定することができ、そのセル内に、たとえば、システム情報(SIB)でブロードキャストすることができ、この場合、eNBのカバレッジ外である遠隔UEも、対応するシステム情報を受信することが可能であるべきであり、これは、たとえば、一般的にリレーUEによってシステム情報を中継してシステム情報のカバレッジを拡大することによって達成することができる。またさらなる代替態様によれば、第2の無線リソースセットは、たとえば、UEのUSIMに予め設定することもできる。
【0195】
要約すると、少なくとも2つの異なる無線リソースセットがリレーダイレクトディスカバリメカニズムのために定義され、リレーUEは、過負荷であるときに一方の無線リソースセットを使用し、過負荷状態にないときに他方の無線リソースセットを使用することができる。リレーUEによって実行されるリレーダイレクトディスカバリメカニズムは、これに応じて、以下のように作用する。一般的な例示的な第2の実施形態によるリレーUEについて、対応するフロー図を
図19に示す。一般的なリレーダイレクトディスカバリメカニズムによれば、リレーディスカバリメッセージは、モデルAまたはモデルB(すなわち、定期的にか、または、専用のリレーディスカバリ要請メッセージに応答してかいずれか、
図12、13も参照)によって準備される。第2の実施形態の1つの例示的な実施態様によれば、対応するリレーディスカバリ(告知または応答)メッセージは、
図12および13に関連して説明されているような現在標準化されているリレーディスカバリメカニズムについて定義されているようなものであることができる。
【0196】
その上、これはまだ標準化されていないが、リレーディスカバリメッセージは、リレーおよび遠隔UE間で同期を維持する追加の目的に対応し得る。この目的で、ここでは、リレーディスカバリメッセージは、一次および二次同期符号のような同期符号および信号などの追加情報を含むことができる。それゆえ、すべての遠隔UE(それらがリレーによってすでにサービスされているか否かに影響されない)が、リレーUEによって送信されるリレーディスカバリメッセージを受信すべきであることが有利である。
【0197】
図19から明らかなように、リレーUEは、その構成要素を(連続的に)モニタリングして、リレーUEにおいて過負荷状況が存在するか否かを判定する。判定の結果に応じて、ダイレクトディスカバリ、すなわち、準備したばかりのリレーディスカバリメッセージの送信のために、異なる無線リソースセットを選択する。
図19のために使用されている特定の例において、リレーUEが過負荷であると判定されるときに第2の無線リソースセットが選択される一方、リレーUEが過負荷でないと判定されるときに第1の無線リソースセットが選択される。最後に、リレーディスカバリメッセージを送信するステップは、第1のセットであろうと第2のセットであろうと、選択された無線リソースセットを使用することによって実行される。
【0198】
遠隔UEは、第2の実施形態によるリレーUEのためのダイレクトディスカバリメカニズムに適切に関与するように設定しなければならない。遠隔UE挙動の1つの例示的な実施態様を
図20のフロー図に示すが、これは、遠隔UEがリレーUEによってすでにサービスされている(すなわち、リレーUEがすでにこの特定の遠隔UEに対するリレーとして動作している)か、または、サービスされていない(すなわち、リレーUEが現在この特定の遠隔UEに対するリレーとして動作していない)かに関して分割されている。すでに前記したように、サービスされているおよびサービスされていない遠隔UEは、異なる無線リソースセットをモニタリングしており、したがって、過負荷のリレーUEがリレーディスカバリメッセージを送信するために第2のリソースセットを使用するときでも、サービスされている遠隔UEは、引き続きリレーディスカバリメッセージを受信することを達成する。
【0199】
図20から明らかなように、サービスされていない遠隔UEは、過負荷状況にないときにリレーUEによって使用される第1の無線リソースセットのみをモニタリングすべきである一方、サービスされている遠隔UEは、過負荷であるときにリレーUEによって使用される第2のリソースセットもまたモニタリングすることになる。結果として、サービスされていない遠隔UEは、遠隔UEによって実行されるリレーダイレクトディスカバリ(モデルAまたはモデルB)中に、過負荷のリレーUEが発見されないように第2の無線リソースセットを使用することによって送信されるリレーディスカバリメッセージを受信せず、過負荷のリレーUEは認識できなくなる。しかしながら、リレーUEにすでに接続されており、少なくとも第2のリソースセットをモニタリングする遠隔UEは、リレーUEが過負荷でないときだけでなく、リレーUEが過負荷であるときにも、リレーディスカバリメッセージを受信する。このことは、リレーディスカバリメッセージを時間および周波数同期のために使用するときに特に有利であるが、リレーUEにすでに接続されている遠隔UEは、時間および周波数同期を維持することが可能であるためである。
【0200】
第2の実施形態の有利な実施態様によれば(
図20に反して)、第1および第2の無線リソースセットの両方をモニタリングする代わりに、サービスされている遠隔UE(すなわち、リレーUEがすでに自身に対するリレーとして動作しているUE)は、リレーUEが過負荷であるか否かに応じて第1または第2のリソースセットのみをモニタリングする。上記を目的として、サービスされている遠隔UEは、リレーUEの過負荷状態に関して通知されるべきであり、その結果、常に「正しい」無線リソースセットがモニタリングされる。たとえば、リレーUEが過負荷状態の変化(すなわち、過負荷になる、または、過負荷が終了する)を判定すると、リレーUEはその現在サービスされている遠隔UEに過負荷状態変化に関して通知する。これは、再設定メッセージのようなRRC接続UEに向けてeNBによって使用されるものなどのダイレクトメッセージを、PC5インターフェース上ではあるが使用することによって行い得る。
【0201】
いずれにせよ、したがって、サービスされている遠隔UEは、リレーUEの過負荷状態に関して最新情報が与えられており、したがって、リレーUEによってリレーディスカバリメッセージを送信するためにその後実際に使用される無線リソースをモニタリングすることになる。
【0202】
この有利な実施態様によれば、リレーUEにすでに接続されている遠隔UEは、両方の無線リソースセットをモニタリングする必要はなく、したがって、上記に関連して処理が軽減される。しかしながら、このことは、逆に、サービスされている遠隔UEが、過負荷でないリレーUEによって送信されるリレーディスカバリメッセージを受信しないことを意味する。リレーディスカバリメッセージが通常は時間および周波数同期のために使用される場合、サービスされている遠隔UEは、少なくとも、リレーUEが過負荷でない(すなわち、サービスされている遠隔UEがリレーディスカバリメッセージを受信しない)間は、時間および周波数同期のための代替メカニズムを適用することができる。
【0203】
(第3の実施形態)
以下において、上記の問題を解決するための第3の実施形態を、詳細に説明する。第3の実施形態の概念は、上記で説明した第1および第2の実施形態のそれと異なる。第3の実施形態について、同様の仮定を行うことができる。たとえば、以下において説明するように、改善されたリレーダイレクトディスカバリメカニズムを実装すべきであるProSe使用可能およびProSeリレー使用可能UEが想定される。第1および第2の実施形態について提示されている仮定に加えて、第3の実施形態は、大部分は、モデルAによる(すなわち、リレーディスカバリメッセージが定期的に送信される)リレーダイレクトディスカバリに限定される。
【0204】
上述した第1および第2の実施形態についてと同じように、リレーUEは、その過負荷状態をモニタリングすべきである。ここでも、単なる繰返しを回避するために、リレーUEが過負荷であるか否かを判定するステップを扱っている第1の実施形態の対応する一節を参照するが、これには、たとえば、リレーUEにおける過負荷状態の定義、いつ過負荷判定を実行するかなどが含まれる。
【0205】
第3の実施形態の改善されたダイレクトディスカバリメカニズムは、必ずしも、背景技術の節の実際のリレーディスカバリメッセージを変更するわけではなく(第1の実施形態と対照的)、リレーディスカバリメッセージの送信のためにリレーUEによって異なる無線リソースが使用されることもない(第2の実施形態と対照的)。言い換えれば、第3の実施形態は、既存の(または、他の適切な)リレーディスカバリメッセージを再使用することができ、かつ、たとえば、上記に関連して先行技術においてすでに想定されている既存の(または、他の適切な)無線リソース割り当てメカニズム(タイプ1もしくはタイプ2、または、その他)を再使用することができる。
【0206】
むしろ、第3の実施形態の背後の着想は、リレーUEの過負荷状態に応じてリレーディスカバリメッセージを送信する定期性を適合させることである。
【0207】
特に、背景技術の節において説明されているように、リレーUEによってリレーディスカバリメッセージが定期的に送信/ブロードキャストされるモデルAによるリレーダイレクトディスカバリにおいて、リレーディスカバリメッセージを定期的に送信するために使用する定期性は、RRC設定を含むより高位のシグナリングを使用してeNodeBまたはより高位の層によって設定される。言い換えれば、リレーディスカバリメッセージ(モデルAによる)の送信は、eNodeBによって設定することができる特定の一定の瞬間に実行される。
【0208】
リレーUEは、それが過負荷でない限り、リレーディスカバリメッセージを送信するためのこの定期性に従うことができる。他方、リレーUEがそれが過負荷であると判定すると、リレーディスカバリメッセージ送信の定期性は増加される、言い換えれば、リレーディスカバリメッセージが低頻度で送信されるように、続いて送信されるリレーディスカバリメッセージ間の期間が増加される。その後、過負荷状況が存在しなくなるとリレーUEが判定すれば、定期性は初期値に戻るように減少させることができる。
【0209】
図21は、一般的な例示的な第3の実施形態のためのリレーUE挙動を示すフロー図である。この図面から明らかなように、モデルAによる通常のリレーダイレクトディスカバリが想定されており、リレーUEは、特定の定期的な瞬間にリレーディスカバリメッセージを準備および送信する。
図21による第3の実施形態の例示的な実施態様において、追加の並列処理チェーンが想定されており、リレーUEはまず、リレーUEにおいて過負荷状況が存在するか否かを判定し、この判定の結果に依存して、モデルAリレーディスカバリのための定期性を適切な値に設定する。特に、リレーUEが過負荷である場合、リレーディスカバリメッセージを送信する定期性に対して第2の値が使用される一方で、リレーが過負荷でないと判定されるときは、リレーディスカバリメッセージを送信する定期性に対して第1の値が使用される。第2の値が第1の値より大きく、その結果、定期性が、リレーUEが過負荷であるときに増加され、その後、過負荷状態が一旦存在しなくなれば再び減少されることに留意されたい。
図21からは直接的に認識できないが、リレーUEがいつリレーディスカバリメッセージを送信するかを判定するステップ(すなわち、「リレーディスカバリメッセージの送信の時間?」)は、定期性を異なる値に設定する並列処理に直接的に依存する。
【0210】
前述したように、リレーディスカバリメッセージを送信する定期性に対する第1の(初期)値は、たとえば、eNodeBによって決定することができる。同様に、リレーディスカバリメッセージを送信する定期性に対する第2の(増加)値もまた、たとえば、eNodeBによって決定することができる。代替的に、定期性に対する第2の値は、eNodeBからのインジケーションなしでリレーUE自体によって決定することができる。
【0211】
過負荷状態にあるときにリレーUEによってリレーディスカバリメッセージが低頻度で送信されることを達成するために、第2の値自体は第1の値より大きいべきである。有利には、遠隔UEが適当な時点で対応するリレーディスカバリ無線リソースをモニタリングすることが保証されるように、第2の定期性値は第1の定期性値の倍数である(たとえば、毎2秒対毎0,2秒)。さらに、第3の実施形態のこの有利な実施態様において、リレーUEが過負荷であるか否かに関して遠隔UEに通知することは必要でない。
【0212】
代替的に、第2の定期性値は、任意のより大きい値(初期の第1の値の倍数に限定されない)であることができるが、この場合、しかしながら、遠隔UEに、適用すべきそれぞれの定期性に関する対応する情報、ならびに、いつどの定期性を適用するかに関する情報を提供しなければならない。このことは、遠隔UEがリレーディスカバリメッセージを低頻度でモニタリングすればよく、遠隔UEでのバッテリを多少節約することができるという恩恵も有するものである。
【0213】
第3の実施形態の有利な実施態様によれば、第2の定期性値は、実質的にリレーUEによってさらなるリレーディスカバリメッセージが送信されないように設定することができ、たとえば、第2の値は無限大に設定することができる。
【0214】
過負荷状況のリレーUEによってリレーディスカバリメッセージを低頻度で送信することによって、少なくとも特定の期間の間、遠隔UEが過負荷のリレーUEを発見することを回避することが可能である。これに応じて、リレー選択が促進され、過負荷のリレーUEにおいて追加の処理負荷も招かれない。
【0215】
<本開示のハードウェアおよびソフトウェア実装>
他の例示的な実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、または、ハードウェアと協働するソフトウェアを使用した、上述した様々な実施形態の実装に関する。これに関連して、ユーザ端末(移動端末)およびeNodeB(基地局)が提供される。ユーザ端末および基地局は、本明細書において記載されている方法を実行するように適合されており、これは、受信機、送信機、プロセッサのような、方法に適切に関与する対応するエンティティを含む。
【0216】
様々な実施形態は、コンピューティングデバイス(プロセッサ)を使用して実施または実行され得るものとさらに認識される。コンピューティングデバイスまたはプロセッサは、たとえば、汎用プロセッサ、DSP(デジタル信号プロセッサ)、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、または、その他プログラマブルロジックデバイスなどであってもよい。様々な実施形態は、これらのデバイスの組合せによっても実行または具体化することができる。特に、上述した各実施形態の記述において使用されている各機能ブロックは、LSIによって集積回路として実現することができる。それらは、チップとして個々に形成されてもよく、または、1つのチップが、それら機能ブロックの一部分またはすべてを含むように形成されてもよい。それらは、それらに結合されているデータ入力および出力を含むことができる。本明細書において、LSIは、集積度の差に応じて、IC、システムLSI、スーパーLSI、またはウルトラLSIとして参照されてもよい。しかしながら、集積回路を実装する技法は、LSIに限定されず、専用回路または汎用プロセッサを使用することによって実現されてもよい。加えて、LSIの製造後にプログラムすることができるFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、または、LSIの内部に配置される回路セルの接続および設定を再構成することができる再構成可能プロセッサが使用されてもよい。
【0217】
さらに、様々な実施形態は、プロセッサによって、または、直接的にハードウェアにおいて実行されるソフトウェアモジュールによって実施することもできる。また、ソフトウェアモジュールとハードウェア実装の組合せも可能であり得る。ソフトウェアモジュールは、任意の種類のコンピュータ可読記憶媒体、たとえば、RAM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、レジスタ、ハードディスク、CD−ROM、DVDなどに記憶することができる。さらには、複数の異なる実施形態の個々の特徴は、個々に、または任意の組合せにおいて、別の実施形態の主題とすることができることにさらに留意されたい。
【0218】
具体的な実施形態において示した本開示には、多数の様々な変更および/または修正を行うことができることが、当業者には理解されるであろう。したがって、本発明の実施形態は、あらゆる点において例示的であり、本発明を制限するものではないものと考えられる。